ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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聖剣奪還計画です!

俺――兵藤 一誠は、部室で眷属、家族全員で教会から来た女性三人の話を聞いていた。

 

「……マリアお姉ちゃん、どうして…死んだって」

 

「…ごめんなさい。私は聖剣計画……そこにいる『木場 祐奈』さんと同じ被験者なの。ただ、彼女は逃げ切れたみたいだけど……私は皆と一緒に死んだわ。…いいえ、死んだことにされていたの」

 

「死んだことに?」

 

俺は疑問に思って、つい訊いてしまった。

 

「えぇ、私は瀕死の状態だったの。皆は死んでしまった……そこに、一筋の光が見えたの」

 

女性……マリアさんは言葉を紡いでいく。

 

「その光は、私の目の前で止まった。……朦朧としていた意識が徐々に戻っていって、目の前にいる光……それが龍介さんだったの」

 

それを聞いて、全員の視線が兄さんに向けられた。

 

それに答えるかのように兄さんが口を開いた。

 

「……そうだったな。俺はあの時、野宿のために森へ入った。……暗い森を暫く歩いていると、一軒の建物を見つけた……だが、その中は異常だった。少年少女が倒れていて、皆口から血を吐いていた。全員安否を確認したが、すでに死んだ後だったんだ……だが、一人だけ辛うじて生きていた。俺はその少女を治癒した…その少女は一時的に意識を失ったんだが、数分後に目を覚ました。それが彼女、マリアだった」

 

その話を聞いた時、全員に緊張が走った。兄さんの目が一瞬だけど、怒りを帯びたモノに変わったんだ。

 

「……この話にはまだ、続きがあります」

 

「そうだな…………俺はマリアを回復させた後、全員の死体を集めて体内の浄化及び再生を行った。その後に…………転生を行ったんだ」

 

「…はい、私もその時は驚きました。『目の前で起きていることは、夢ではないかと』……それは、龍介さんの後ろに現れ、その大きな口を開けました……その中からは、死んだ者の魂が出てきて同志の中へと入っていきました」

 

「そうだ。俺の行ったのは『外道(げどう)輪廻天生(りんねてんせい)』、己のほとんどの力を代償に死者の魂を呼び戻し、生き返らせる。禁忌の術だ」

 

『っ!!!!』

 

兄さんの言葉を聞いた時、俺を含めて全員が驚愕の表情をした。

 

「……マリア、あいつらは今元気にしているか?」

 

「はい。出国前に届いた写真と手紙です」

 

マリアさんがそう言って兄さんに紙と写真を渡した。

 

「……そうか。全員元気に過ごしているんだな」

 

「「…………」」

 

隣に座っている二人は、何の事情も知らないようだ…じっとマリアを見ていた。

 

俺の隣から殺気を感じなくなった……不思議に思って、俺はそっちを向いた。

 

「…皆が……生きている?…本当に…生きているの?」

 

焦点の合わない木場、俺はその震えている背中をそっと摩ってあげた。

 

「イッセー、ほれ」

 

兄さんが受け取った写真を、家の時と同じように投げてきた。

 

俺はキャッチして木場に見せた。

 

「……みんなぁ…」

 

木場がその場に座り込んでしまった。胸に写真を抱いて涙を流している。

 

見せる瞬間に見えたけど、その写真に写っていた少年少女たちは、みんな俺と年が変わらない。

 

「……私の私事(プライベート)は終えたわ。ここからは、仕事としての話よ」

 

いきなり雰囲気の変わったマリアさん。……怖っ!!!

 

「……っ!んっ!…カトリック本部、プロテスタント、正教会ともに二本ずつ保管していた。残る一本は神、堕天使、悪魔の三つどもえ戦争の折に行方不明。そのうち、各陣営にあるエクスカリバーが一本ずつ奪われた。奪った連中は日本に逃れ、この地に持ち運んだって話なのさ」

 

気圧されたのか、髪に緑メッシュを入れた女性――ゼノヴィアだっけ?彼女が慌てて本題に入った。

 

「私の縄張りは出来事が豊富ね。それでエクスカリバーを奪ったのは?」

 

「……奪ったのは『神の()子を()見張()る者()』の幹部、コカビエルだよ」

 

ズルッ!

 

名前を聞いた兄さんが、ソファーからずり落ちた。

 

「…またあいつか。迷惑な戦闘狂が」

 

兄さんは悪態をつきながら、座り直した。

 

「また……とは?」

 

「…はぁ。全員指輪外していいぞ」

 

ゼノヴィアの質問に、何故か兄さんは俺たちの方を見ていた。

 

突然だったけど、兄さんの言う通りに全員指輪を外した。

 

「っ!!どういうことだ!なぜ堕天使の気配がこの場に現れた!!」

 

「落ち着け。これは異能の存在(気配)を人間サイズまで落とすアイテムだ。今感じ取った気配は、そこの三人だ。……手は出すなよ?俺でも家族を攻撃されたら、殺しかねないから」

 

ゾワッ!!

 

今、兄さんからとんでもない質の殺気を感じた。まるで、今にでも殺せるようなモノだ。

 

「うっ…」

 

殺気にあてられたゼノヴィアが、冷や汗を額に一筋流してソファーに座り直した。

 

「話を続ける。……こいつら三人は、先日、廃教会でアーシア・アルジェントの神器を抜こうと計画していたが、部下であるはずの『ドーナシーク』に裏切られた。そいつは『神の()子を()見張()る者()』の幹部であるコカビエルの右腕だった。つまりは、利用されていたということ。そいつは俺が処分して(葬って)おいたが、協力者一名を取り逃がした」

 

「……その協力者は、誰なんですか?」

 

イリナが兄さんの話に質問していた。

 

「……そいつの名は『フリード・セルゼン』。白髪の神父だ」

 

「「「フリード・セルゼン……」」」

 

三人ともフリードの名前を聞いた直後、黙ってしまった。

 

「どうした?」

 

「……すまない。少し考え事をしていた。……それでなのだが、私たちの依頼――私たちと堕天使のエクスカリバー争奪戦に協力してほしい。……本来なら、逆のことを言っていたはずだった。しかし、イリナとマリアの信頼のおける人物を目の前にして気が変わった。…そこにいる堕天使三人も脅威ではないと判断した上、あの神父の名が出てきた以上私たち三人ではどうすることもできない……だから、頼むっ!協力してほしい」

 

ゼノヴィアが頭を下げた。ちょっと上から目線の言い方だったけど、兄さんは頷いていた。

 

「……リアス、今回のヤマ……エクスカリバーの奪還に協力してやってくれ。俺のところも全員が協力体制をとる。……あの戦闘狂を止める」

 

「……わかりました。私たちも聖剣を向けられたら、ただじゃすまないものね」

 

「……すまない。いや、ありがとうと言っておくべきか」

 

こうして、俺たちリアス眷属+遠山家は教会の使者のイリナ、ゼノヴィア、マリアさんと協力して聖剣『エクスカリバー』の奪還隊がここに結束した。

 

                    D×D

 

次の休日、俺は匙を部室に呼び出した。

 

「遅かったな」

 

隣にいる兄さんが、匙に声をかける。

 

「こ、こんにちは」

 

「全員そろったな。……はじめようか」

 

この部室には、リアス眷属、シトリー眷属(匙のみ)、教会組三人、遠山家が集まっている。

 

「今回はかなり危険のある作戦だ」

 

そう言うと、兄さんは手に持っていた地図を広げた。……町内一帯の地図だ。

 

「こことここ、それにこことここを重点的に三小隊にわかれて探索する。メンバーは、第一小隊から、イッセー、匙、祐奈、白音、ゼノヴィア、イリナ、奏。第二小隊…花楓、黒歌、マリア。第三小隊はアイム、冴子、カミュ。第四小隊……俺一人だ。俺は連絡の入った小隊の援護をする役目だ。あと…リアス、朱乃、アーシア、レイナーレ、ミッテルト、カラワーナ、辰巳、理子、春奈は、遠山家で待機。…俺の分身体に結界を張らせてこの街中の探知もさせる」

 

兄さんの説明を終えると、俺は兄さんに質問してみた。

 

「兄さん…このチームのバランスって意味あるの?」

 

「まあな。主力の奏、花楓、カミュは各小隊に配置してあるし……危険な時に指揮をとれるようにしてもいる。それに、相手は聖剣を使う可能性がある……各小隊には刀剣を使える者を最低一人は配置しているぞ」

 

「……すごいっすね。会長顔負けの参謀っす」

 

「まぁ、戦闘じゃ俺たちより兄さんの方が上だし……オールラウンドな人だよ」

 

「匙、イッセー、俺を褒めても何も出ないぞ」

 

「「それはわかっていますって!!」」

 

……でも、本当にすごいと思っているんだ。俺の憧れ、兄、ライバル……一生敵わないかもしれない。それでも、俺は兄さんの背中を追いかけて…いつか必ず追い抜いて見せるさ!!

 

                    D×D

 

――数日後――

 

俺たちは部活動を終えると、第一小隊は公園に集まり神父やシスターの格好をしだした。胸に下げてある十字架は兄さんが作った偽物。本物そっくりに出来ていて、一目じゃ区別がつかない。

 

この格好で街中を歩く。できるだけ人気のない場所を中心に。

 

ここ数日こうして探索しているが、一向に姿を見せないんだ。

 

……今日こそ足をつかみたい――と励んではみたものの、時間は残酷にも過ぎていき…時刻は六時をまわっていた。

 

徐々に日が落ちていき、空が薄暗くなっていく。

 

「…そろそろ時間ですね」

 

白音ちゃんがそう漏らす。

 

「そうだね。そろそろ――」

 

俺が答えて引き返そうとした時、木場が言葉をかけてきた。

 

「…作戦は成功みたいだね」

 

「…あぁ」

 

その問いに答えるゼノヴィア。

 

ゾクッ!

 

瞬間、俺の全身を悪寒が襲った。

 

「上だ!」

 

匙の叫び。全員が上空を見上げた時、長剣をかまえた白髪の少年神父が降ってきた!!

 

「神父御一行様天国へご案内ってね!!」

 

ギギィィィィン!!

 

一番近かった木場へ襲いかかったが、魔剣を瞬時に作り出した木場は少年神父――フリードの一撃を防いでいた。

 

「フリード!」

 

「おやおや、その声はイッセーくんかい?っと、よく見るとシスターにはクソビッチが混じっていやがった。しかも、教会の者まで。これはこれは!悪魔と共闘とは、死刑!死刑でござんすっ!!」

 

「お前が言うなっ!!」

 

俺はつい突っ込んでしまった。って、何してんの?俺?

 

「そうでしたそうでした。俺っちははぐれでしたねぇ――」

 

バチバチバチッ!!

 

その時、一筋の閃光がフリードを襲った。

 

ズガガガガガガガガ――

 

フリードは何かに吹き飛ばされたが、聖剣を地面に突き立てて勢いを殺した。

 

「間に合ったか。それにしても、今のを防ぎきるとはな」

 

さっきまでフリードのいた位置に、雷を纏った兄さんがいた。

 

「……ギリギリでしたね」

 

声の発生元はイリナ。手元には携帯電話が握られていた。

 

「兄さん、その『雷』は?」

 

「これか?これは『雷遁の鎧(らいとんのよろい)』。単純に防御力と攻撃力を飛躍的に上昇させているが、反射速度は落雷に等しい」

 

一瞬じゃねーか!千分の一だぞ!?あれ?一万分の一だっけ?

 

「とまあ、そんなことはいいとして……とんだ化け物だな。俺の攻撃を防ぎ、勢いを殺しやがった」

 

「これはこれは!!またあんたですか!殺したいのは山々だけども、今は戦況不利なんで!はい、バイチャッ!」

 

カッ!

 

眩しい!目の視力を奪われた!

 

フリードは閃光弾を使って逃走しやがったんだ。

 

徐々に視力が戻っていき、前が見えるようになった。

 

その時にはフリードは逃走した後だった。

 

「追うぞ、イリナ!」

 

「うん!」

 

ゼノヴィアとイリナが頷きあって、その場を駆け出す。

 

「僕も追います!」

 

木場も二人の後について行ってしまった。

 

「……さて、リアスたちにどう報告しようか」

 

困り果てている兄さんが、サングラスを外した。

 

「…サングラスつけていたなら、兄さんが追えばいいのに」

 

毒づいた俺。

 

「…一先ず三人を除いた全メンバーで、緊急会議をするから家に戻るぞ」

 

そう言って、兄さんは家に向かい歩き出す。俺たちもそれについて行った。

 

 

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