「リアス、学園は私たちの結界で覆っています。余程のことがない限り、外への被害はありません」
会長が部長に現状報告してくれていた。
匙は、会長の眷属とともに結界を張り続ける作業に入るみたい。
「これは最小限に抑える為のモノです。正直言ってコカビエルが本気を出せば、学園だけでなくこの地方都市そのものが崩壊します。さらに言うなら、すでにその準備に入っている模様なのです。校庭で力を解放しつつあるコカビエルの姿を、私の下僕が捉えました」
学園前の門にリアス眷属(祐奈除く)、シトリー眷属、マリアさん、遠山家(カミュ、辰巳除く)が集合していた。
学園内を見ると、淡い青色の結界が張ってあった。
「ありがとう、ソーナ。あとは私たちが何とかするわ」
「リアス、相手は桁違いの化け物ですよ?いくら龍介さんたちが協力してくれるとはいえ、勝てる可能性は低いわ。今からでも遅くない、あなたのお兄さまへ――」
「あなただって、お姉さまを呼ばなかったじゃない」
「私のところは……。あなたのお兄さまはあなたを愛している。サーゼクスさまなら、必ず動いてくれます。だから――」
「すでにサーゼクスさまに打診しましたわ」
二人の会話を遮って、朱乃さんが言う。
「朱乃!」
そこに兄さんが割って入った。
「悪いが時間がない。中であいつらが動き出している……サーゼクスが到着するまで、俺たちが何としてでも阻止する…朱乃、到着までの時間を教えてくれ」
「はい、到着するまで一時間かかると」
それを聞いていた部長は、大きなため息を吐いた。
「一時間……。わかりました。その間、私たち生徒会はシトリー眷属の名にかけて、結界を張り続けて見せます」
「……一時間ね。さて、私の下僕悪魔たち。私たちはオフェンスよ。結界内の学園に飛び込んで、コカビエルの注意をひくわ。これは死戦よ!それでも死ぬことは許さない!生きて帰ってあの学園に通うわよ、皆!」
『はい!』
俺たちは気合の入った返事をした。
「俺も言うことは同じだ。全員が無事に帰還、いつもの楽しい生活を続けよう!全員、全力であたってくれ!!」
『はい!』
兄さんの方も纏まっている……やっぱり兄さんは凄いや。
「兵藤!あとは頼むぜ!」
「わーてるよ!匙。帰ったら、ゲームの続きしようぜ!」
「おう!決着つけようぜ!」
コツン。
俺と匙は、お互いの拳に拳をぶつけた。
『相棒、相手はコカビエルだ。不足はないが、気を抜くなよ!』
「(わーてるよ!天龍の恐ろしさ、見せてやろうじゃねぇか!!)」
『あぁ!!』
D×D
俺たちは正門から堂々と入り込む。
「――っ」
俺は校庭に入った瞬間、異様な光景を目の前にして言葉を失った。
校庭の中央に四本の剣が神々しい光を発しながら、宙に浮いている。それを中心に怪しい魔方陣が校舎全体に描かれている。
魔方陣の中央に初老の男……誰だ?
「バルパー・ガリレイか。やはり、こいつが関わっていたか」
兄さんが俺の思考に気づいてか、気づかずか……わからないけど、そう口にした。
「誰?そこの何とかガリレオじいさんって」
「バルパー・ガリレイ。聖剣計画の首謀者だった男だ」
「っ!!」
それを聞いた俺は、はらわたが煮えくり返る感覚に陥っていた。
マリアさんの方を見ると、表情は冷静のままだったけど……目が怒りに染まっていた。
「バルパー、お前はエクスカリバーをどうするつもりだ?」
兄さんが初老のジジイ――バルパー・ガリレイに殺気を放ちながら訊いた。
「四本のエクスカリバーを一つにするのだよ」
「バルパー。あとどれぐらいでエクスカリバーは統合する?」
「ッッ!」
空中から聞こえた声!全員が空へ視線を向けた時、月光を浴びるコカビエルの姿があった。
宙に浮いている椅子に腰をかけ、俺たちを見下ろしていた。
「五分もいらんよ、コカビエル」
「そうか。では、頼むぞ」
コカビエルはバルパーから部長に視線を移す。
「サーゼクスは来るのか?それともセラフォルーか?」
「あいつらが来る前に、俺たちでお前を止めて見せるさ」
その問いに答えたのは……兄さんだった。
ヒュッ!ドォォォォォォォォォオオン!!!!
風切のあと、爆音が辺り一帯に爆風とともに広がっていく。
爆風が発生したのは――体育館だ!ガラスが爆風で粉々に割れていたけど、形を保っていた……一歩手前で爆発したのか?
『『
声の発していたのは……奏さんだった!!でも、いつもと違い体自体が赤いモノになっている!?その姿は形容のし難い異形のモノだった。
「尾が四本か……大丈夫なのか?」
『……心配しないで。これでも結構仲がいいんだから』
「そうか。あまり放つなよ?結界の外に出たら…参事どころじゃないからな」
『わかっているよ。そうならない為にも、早くコカビエルを斃そう』
兄さんと奏さんの会話が終わった。
『…おい、相棒』
「(何だよ)」
『さっきのあれは…かなり不味いぞ』
「(と言うと?)」
『ざっと見たところで、一割出しているかどうかだったな』
「(奏さんが?)」
『そうだ。あんなもの
「(うそん!!マジでか!!?)」
『大マジだ。それに、今のモノよりまだ大きいやつがあると言っていたな』
「(そうだったっけ?)」
『憶測だが、それを全力で放たれたら……この島国自体が消し飛ぶな』
「(ウソだろ!!消し飛ぶって……どうすればそこまでいくのか…)」
『あの三人の力は未知数すぎる。さすが転生者といったところか』
俺とドライグの会話も一区切り。
「ほう、なかなかだな。サーゼクスたちが到着するまで楽しめそうだ……と、その前に地獄から連れてきた俺のペットと遊んでもらおうかな」
コカビエルが指を鳴らすと、魔方陣が現れた。しかも、一つや二つじゃない!四十はあるぞ!!
魔方陣が輝き終わるとそこにいたのは――。
ギャオォォォォォォォォォォォォォオオオンッッ!!!!!!!
三つ首の大きな犬だ!!って、犬は三つも首ねぇだろうが!!
「――ケルベロス!!」
忌々しそうに部長が言った。
「ケルベロス?」
「えぇ、地獄の番犬の異名を持つ魔物よ」
地獄の番犬って!!だからデカいのか!!
「……来る者は拒まず、出る者には容赦をしない。…ある宗教の一部を抜粋した言葉だ。これだけの数、さすがに俺一人で相手したら……この学園が消し炭になっちまうな」
「消し炭!?兄さん!何考えているの!?」
「地獄以上の業火で消し去ろうなんてな」
「怖い!兄さん怖いよ!」
「……先手必勝だ。
キューン――ドッ!!
兄さんの術が『ケルベロス』の一体に当たり、その『ケルベロス』は塵と化して消えていた。
『
奏さんがさっきの砲撃で『ケルベロス』二体を一気に消し飛ばしてしまった!!
「これでも食らいなさい!」
部長が消滅の魔力を連発して、『ケルベロス』一体の頭を全て消失させた。
その『ケルベロス』は塵となって霧散していった。
「甘いですわ!」
空中にいた朱乃さんに『ケルベロス』が炎を吐くが、ヒラリとかわして天へ指を向ける。そこには、稲光が走っていて――
「食らいなさい♪」
ドオォォォォン!!
一瞬の閃光の後、特大の雷がケルベロスを包み込んだ。
「「こっちにも(いるにゃ!)(います!)」」
黒歌姉さんが仙術でケルベロスを弱らせていき、白音ちゃんが『
「来い!『鬼姫』!!」
冴子さんが
「――ハッ!!」
『鬼姫』と化した冴子さんだ。
「「ノモブヨ、ヲシ、ハシタワ、ドケダ、グンミーチャ、デーリブラ!!」」
カッ!!
声のした方を向くと、チェーンソーを構えた春奈ちゃんからはピンクの光が、仕込み刀を構えた理子ちゃんからはオレンジの光が二人を包み込んでいた。
「な…何が起きたんだ!?」
光が止むと、そこにいたのは――。
「ほぇ!!これが『
「きゃっはー!!理子、こういうの着てみたかったんだよねー♪」
コスプレをした春奈ちゃんと理子ちゃんだった!!
「(何故にコスプレ!?)」
俺は突っ込まざるを得なかった……こんな時なのに。
「ハルハル~、めっちゃ体軽いよ~」
「にゃ!?ほんとだぁ!空飛べるかな~」
「やってみようよっ!それ!」
会話の途中で理子ちゃんが突然ジャンプした。
「きゃっはー!!飛べるよ♪」
「こうかな?えいっ!」
すると春奈ちゃんもジャンプして、二人とも宙に浮いていた。
「(マジかよ……兄さん、何ちゅー物作ってんだよ!?)」
宙に浮いた二人は、高速で一体の『ケルベロス」に接近した。
「魔剣!ミストルティンキーック!!」
ドゥルルルルルルッッ!!
ピンクのチェーンソーが共鳴するかのように、刃を回転させて『ケルベロス』の首を切り落とした!!
「(……キックじゃねぇぇぇぇええッッ!!!)」
俺は理不尽な攻撃に、心の中でつい突っ込んでしまった。
『……相棒、突っ込みご苦労さん』
ドライグゥゥゥゥゥウウ!!!お前も俺の見方じゃないのか!!
全員がケルベロス相手に優勢で戦っている。
その時だった!!
「きゃぁ!!」
アーシアの近くに一体のケルベロスがいた。
そいつはアーシア目がけて突進していたんだ!
「クソっ!!」
俺はアーシアの目の前に立ちはだかって、壁となった。
「(……ここまでか!!)」
俺は覚悟して目を瞑った。
ギャオォォォォオオオッッ!!!
苦しそうに悲鳴を上げるケルベロス。目の前にいたのは――。
「加勢に来たぞ」
ゼノヴィアだった。
悲鳴を上げているケルベロスには……首が一つない!
「(そうか。ゼノヴィアが首をはねたんだ!!)」
「
ザクザクザク!!!
突然ケルベロスの足元に魔剣が大量に出現し、足を貫いていた。
「今だよ!ゼノヴィア!」
「あぁ。食らえ!聖剣の一撃を!!」
ゼノヴィアは
サアァァァァァ……。
胴体を二つに斬られたケルベロスは、塵と化して宙へ霧散していった。
その時、全員の動きが止まった。
「全員後退しろ!!今から俺が一気に屠る!!!!」
突然、兄さんが予想外のことを叫んだからだ。
D×D
「……面倒になってきたな」
俺――遠山 龍介は、この戦場を一気に収める方法を思い出した。
「全員後退しろ!!今から俺が一気に屠る!!!!」
それを聞いた皆は、少し戸惑いながらも俺の遥か後方へ避難した。
パンッ!!
俺はそれを確認すると、合掌して一気に仙術を練り上げる。
「
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――。
一面に大樹海が発生する。
皆が避難した場所までは影響が及んでいない。もちろんだが、コカビエルのいる高さには木がとどいていない。
「一撃で終わらせる!!」
すると、木々がざわめき出して……次々にケルベロスを屠っていく。
数秒で、あれだけいたケルベロスが全滅した。