ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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コカビエルVSオカルト連合軍《中篇》

校庭全体に広がる樹木の森林。

 

「(これは……少しやりすぎたかな?)」

 

この森林の後片付けは後回し。

 

その時だった。

 

「――完成だ」

 

森林から少し離れた場所で、バルパーが声を上げていた。

 

「(巻き込んでいなかったか)」

 

これだけ広範囲に出現させた木遁の効果範囲に入っていないとは……悪運が強い奴め。

 

四本のエクスカリバーが神々しい光を発し始める。

 

「四本のエクスカリバーが一本になる!」

 

その神々しい光が校庭全域に広がっていった。

 

光が収まった時、そこにあったのは青白いオーラを放つ一本の聖剣だった。

 

「エクスカリバーが一本になった光で、下の術式も完成した!あと二十分もしないうちにこの街は崩壊するだろう。解除するにはコカビエルを倒すしかない」

 

「(あ~あ、結局こうなっちまったか)」

 

俺はイッセーたちを成長させたいが、町が破壊されるのもな……。

 

                    D×D

 

俺――兵藤 一誠は、校庭に立っているバルパーを睨み付けていた。

 

二十分じゃサーゼクスさまたちが間に合わねぇ!

 

「フリード!」

 

「はいな、ボス」

 

コカビエルから名を呼ばれて暗闇の中から出てきたのは……白髪のクソ神父だ。

 

「陣のエクスカリバーを使え。最後の余興だ。四本の力を得たエクスカリバーで戦ってみせろ」

 

「ヘイヘイ。まーたく、俺のボスは人使いが荒くてさぁ。でもでも!チョー素敵仕様になったエクスカリバーちゃんを使えるなんて光栄の極み、みたいな?ちょっくら悪魔でもチョッパーしますかね!」

 

イカレた笑みを見せながら、フリードが校庭のエクスカリバーを握った。

 

「くくく……」

 

バルパーは嬉しそうに、狂った笑いをしていた。

 

「バルパー・ガリレイ。僕は『聖剣計画』の生き残り……いや、正確にはあなたに殺された身だ。悪魔に転生したことで生き永らえている」

 

そこにもう一つの声が入る。

 

「私も『聖剣計画』の生き残りです。因子は抜かれましたが、後天的に因子が成長して聖剣が扱えます」

 

「ほう、あの計画の生き残りか……これは縁を感じる上に興味深いな。抜いたはずの因子が成長するとは……冥土の土産だ。フリードに切られる前に渡しておこう」

 

そう言って、バルパーは木場に何かを投げた。

 

それをキャッチする木場。

 

「それはあの計画の時に抜いた『因子』だ。三つほどフリードに使ってしまった。それが最後の因子だ」

 

その時、木場の手の中にある因子が光り輝きだした。

 

「……そうだね、僕はもう復讐する気持ちはないよ。皆が生きていたから。だから僕は――」

 

光り輝く因子が、木場の中に溶け込んでいった。

 

「聖剣を受けいれるよ!!」

 

『……相棒』

 

その時、ドライグが話しかけてきた。

 

『あの『騎士(ナイト)』は至った』

 

至った?それって――。

 

『そうだ。相棒が一時的になった『禁手(バランス・ブレイカー)だ』

 

そうか。木場が禁手(バランス・ブレイカー)にね……。

 

                    D×D

 

――同志は生きている。

 

あの日、マリアさんに聞いたんだ…「皆は復讐を望んでいない」って。

 

その時に僕は……復讐を止めた。

 

また会える……そう思ったら、自然と消えていったんだ。

 

「――すべてが終わったわけじゃない……バルパー・ガリレイ。あなたを滅ぼさない限り、あの時の悲劇が繰り返されてしまう」

 

「ふん。研究に犠牲はつきものだと昔から言うではないか。ただそれだけのことだぞ?」

 

やはり、あなたは邪悪すぎる!

 

「木場ァァァァァアアッッ!!!フリードとエクスカリバーをぶっ叩けェェェェェエエッッ!!!……おまえは、リアス・グレモリー眷属の『騎士』で、俺の仲間だ!戦え木場ァァァァァァアアッッ!!!」

 

「祐奈!やりなさい!自分で決着をつけるの!エクスカリバーを超えなさい!私の『騎士』はエクスカリバーごときに負けはしないわ」

 

「祐奈ちゃん!信じてますわよ!」

 

「ファイトです!」

 

「やるにゃ!祐奈!」

 

『やっちゃえぇ!!』

 

――イッセーくん、リアス部長、朱乃さん、アーシアさん、黒歌さん、皆。

 

「――僕は剣になる」

 

僕の中にあるものは――。

 

「部長、仲間たちの剣となる!今こそ僕の思いに応えてッ!『魔剣創造(ソード・バース)』ッッ!!」

 

――皆の思いだ!

 

神々しい輝きと禍々しいオーラを放ちながら、僕の手元に現れたのは一本の剣。

 

皆、完成したよ。

 

「――禁手(バランス・ブレイカー)、『(ソー)(ド・)(オブ・)(ビト)(レイ)(ヤー)』。聖と魔を有する剣の力、その身で受け止めるといい」

 

                    D×D

 

僕はフリード目がけて走り出す。

 

ギギィィィィィン!!

 

「ッ!本家本元の聖剣を凌駕すんのか、その駄剣が!?」

 

「それが真のエクスカリバーならば、勝てなかっただろうね。――でも、そのエクスカリバーでは、この剣に宿る思いには勝てない!」

 

ギギィン!ギギン!ギギィィィィィン!!

 

フリードは擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)の能力を使っているが、僕は彼のすべての攻撃をいなした。

 

「――ッ!」

 

フリードは目元を引きつらせ、驚愕の表情になる。

 

「そうだ。そのままにしておけよ」

 

横殴りにゼノヴィアが介入してくる。

 

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ」

 

僕の視界で空間が歪み、その中心にゼノヴィアが手を入れた。

 

――そこから出てきたのは、一本の聖なるオーラを放つ剣。

 

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は開放する。――デュランダル!」

 

「デュランダルだと!」

 

「貴様、エクスカリバーの使い手ではなかったのか!」

 

バルパーだけじゃなく、コカビエルも驚きを隠しきれない様子だ。

 

「残念。私はもともと聖剣デュランダルの使い手だ。エクスカリバーの使い手も兼任していたにすぎない」

 

――エクスカリバーとデュランダルの二刀流。

 

「デュランダルは想像を遥かに超える暴君でね。触れたものは何でもかんでも切り刻む。私の言うこともろくに聞かない。ゆえに異空間に閉じ込めておかないと危険極まりないのさ。使い手の私ですら手に余る剣だ。――さて、フリード・セルゼン。お前のおかげでエクスカリバーとデュランダルの頂上決戦ができる。私はいま歓喜に打ち震えているぞ。一太刀目で死んでくれるなよ?」

 

「そんなのアリですかぁぁぁぁああ!?ここにきてのチョー展開!クソビッチが!そんな設定いらねぇんだよォォォォォオオ!!」

 

ガキキィィィィィン!!

 

たった一薙ぎ聖剣エクスカリバーが砕かれた。

 

「所詮は、折れた聖剣か。このデュランダルの相手に――」

 

ゼノヴィアの言葉が止まった……いや、僕も同じなんだ。

 

――体が動かない。

 

どうして?さっきまではまだ余裕だったのに。

 

徐々に目の前のフリードがブレていき、そこにいたのは――。

 

「死ねやぁぁぁぁぁ!!」

 

エクスカリバーを振り上げていたフリードだった。

 

エクスカリバーが振り下ろされた瞬間――。

 

ギギィィィン!!

 

誰かによって防がれていた。

 

「……よぉ、無事だったか?」

 

「ギギギギギギギギギ」

 

そこには『鮫肌』でエクスカリバーを受けていたイッセーくんがいた。

 

                    D×D

 

「……よぉ、無事だったか?」

 

俺はアーシアから借りた鮫肌で、フリードの振り下ろしているエクスカリバーを防いでいる。

 

――夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)。幻覚で相手を惑わせるエクスカリバー。

 

俺はフリードの動きに不審な部分があったのに気がついていた。

 

四本のエクスカリバーの能力中、三本しか使っていなかった。そこに俺は疑問を持ったんだ。

 

それにたどり着いたのは、兄さんとの特訓のことを思い出したから。

 

その時、兄さんは言っていたんだ。『幻術はここぞというところで使用する』と。

 

俺はアーシアから鮫肌を借り、プロモーションで『騎士』へ。貯めていた倍加を解放して一気にフリードに接近して今に至る。

 

とりあえずは、間一髪ってところだ。

 

「ギギギギギギギギ」

 

鮫肌がフリードの持つエクスカリバーから聖なるオーラを吸収している。

 

「うおぉっ!!俺っちのエクスカリバーちゃんが!!!」

 

「おらぁ!!」

 

俺は力を失ったエクスカリバーを上段より鮫肌で叩いた。

 

バキッ!

 

儚く砕け散ったエクスカリバー。

 

「マジかよマジかよマジですかよ!伝説のエクスカリバーちゃんが木端微塵の四散霧散かよ!酷い!これは酷すぎる!――」

 

フリードの戯言なんて聞いている暇がないから、思いっきり鮫肌で脳天に天誅を食らわせてノックアウト!

 

「……イッセーくん」

 

「…すまない、助かった……まさか、あそこで『夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)』を使ってくるとは、予想していなかった。お前がいなかったら、私たちは今頃――」

 

俺はゼノヴィアの言葉をさえぎった。

 

「兄さんとの修行のおかげだよ。そこで、幻術の発動するタイミングとか少し教わっていてね。それに、こいつのおかげだし」

 

俺は鮫肌を前に突き出す。

 

「ギギギギギギ」

 

こいつ、倍加した俺の力を根こそぎ持っていきやがった!!……約束だから仕方ないけど。

 

「せ、聖魔剣だと……?あり得ない……」

 

近くにいたバルパーが呟いている。

 

「木場……」

 

俺は木場に「決着をつけろ」と言ってやる。

 

「……そうだね」

 

すると木場は、バルパーの方に歩いていく。

 

「バルパー・ガリレイ。覚悟を決めてもらう」

 

木場が聖魔剣を構えた時――。

 

「……そうか!わかったぞ!聖と魔、それをつかさどる存在のバランスが大きく崩れているとするならば説明はつく!つまり、魔王だけではなく、神も――」

 

直後、何かの思考に達していたバルパー眼前で爆発が起きた。

 

「それ以上言わないでくれるかな?それと、今死んでもらっては困るんだよね」

 

そこにいたのは『兄さん』だ。

 

さっきまでいた校庭の森林を見てみると、そこにあったのは……すべて切り株だった。

 

「さっきまであそこにあった木々は、この『聖王剣コールブランド』で次元の狭間に飛ばした。そして、コカビエルの槍はこの『魔帝剣グラム』で切り裂いた」

 

兄さんが説明をいれてくれる。

 

その兄さんの姿は、神々しい光と禍々しいオーラの二つを身に纏い、その二本うち、片方の大剣からは途轍もない何かを感じる。

 

「そうそう、イッセー。この『魔帝剣グラム』には強力な『龍殺し(ドラゴンスレイヤー)』がある。お前は赤龍帝(ドラゴン)を宿している…だから近づくな」

 

そう言い残すと、兄さんは宙に浮いてコカビエルと相対(睨み合い)になる。

 

「コカビエル、最終警告だ。禁手(バランス・ブレイカー)となった俺は容赦しない。それでも()るのなら、死を覚悟するんだな」

 

兄さんの威圧(プレッシャー)が、離れている俺たちのところまで届いている。

 

俺はバルパーの方を確認した。バルパーはさっきの爆風で気絶している。

 

「フハハハハハハハハ!!いいぞ!いい重圧(プレッシャー)だ!魔王に匹敵するぐらいだ!」

 

狂ったように笑い出したコカビエル。

 

「――そうだな。気が変わった……お前たちに冥土の土産として教えてやろう」

 

突然語り出すコカビエル。

 

「先ほどバルパーが言おうとしていたことさ……先の三つどもえ戦争で四大魔王だけじゃなく、()()死んだのさ!」

 

『――っ!!』

 

信じられない……皆も俺と同じ様子だった。

 

「知らなくて当然だ。神が死んだなどと、誰に言える?人間は神がいなくては心の均衡と定められた法も機能しない不完全な者の集まりだぞ?我ら――」

 

ドオォォォォォォオオンッッ!!!

 

その時だった。コカビエルの言葉を遮るように聖なるオーラが放たれていた。

 

「……コカビエル、少々口が過ぎたようね」

 

発射元は――。

 

「許さないッッ!!」

 

マリアさんだった!!

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