ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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魔王さまが下宿!?

俺――兵藤 一誠は今、絶賛チャリ召喚中です!

 

未だにチャリ移動という何だか情けない悪魔です。

 

でもこれがいい運動になる上、常連さんにはかなりウケているんだ。

 

「よー、悪魔くん。今日も悪いな」

 

ついた早々に、俺は呼び出した相手を見て溜息をついた。

 

相手は黒髪にワルそうな風貌、見たところ二十代ぐらいの男。

 

外国人だから実年齢はいくつかわからない。それに、かなりの日本かぶれの人だ。だって……浴衣ばかり着ているんだもんね。

 

兄さんと同等ぐらいのイケメンかな?ただ違うのは、全身からにじみ出ている悪党っぽい雰囲気だ。ワル系が好きな女子だったら一発で落ちるだろう。

 

俺はこの人に連日で召喚されている。

 

昨日なんか夜中に『パン』を買いに行かされた。その前は夜中に『釣りに行こう』とか言い出して、釣りスポットに連れて行かれた。さらにその前は――。

 

思い出すのが億劫になってきた…毎回大したお願いでもないのに。

 

「悪魔くん、今日はゲームでもやらないか?昼間にレースゲームを買ったんだ。相手がいなくて寂しくてな」

 

おふぅ…またですか。

 

「は、はい。喜んで」

 

俺は営業スマイルで答える。

 

でもこの人、契約面ではいいんだもん。こちらが要求する以上の物をくれたりするんだ。高価そうな絵画をはじめ、宝石、金塊、etc……。

 

「……じゅる」

 

やべぇっ!つい欲が出かけたぞ。

 

ゲームをセットする依頼主。

 

「よし、セットできた。日本って国は時間()潰しのアイテムが多くていいな。ほら、コントローラー」

 

「あ、どうも……俺、この手のゲーム結構得意なんですよ」

 

何せ、週に二日は匙と勝負しているもんな。コカビエルの騒動以来、馬が合うみたいでよく遊びに来ている。

 

「へぇ、そりゃ楽しみだ。こっちは初心者だから軽く頼む」

 

『GO』

 

ゲームが始まる。始めは俺が余裕で勝っていたんだが、数周したときに変化が起きた。

 

「一通りは覚えたぜ、そろそろ追い抜くか!」

 

戯言だと気にしていなかったんだが――。

 

「うおぉぉぉ!!マジか!」

 

俺の車を軽々と追い抜いて行く。うそんっ!初心者にソッコーで負けるなんて!

 

『WIN!』

 

あっさりとゴールしやがった!!

 

「どうやら俺の勝ちだな、悪魔くん」

 

「まだまだ!」

 

「おー、気合入りまくりだねぇ。じゃあ、もう一レースするか……悪魔くん――いや、赤龍帝」

 

……え?今、俺のこと――。

 

「……あんた、誰だ?」

 

「俺は――」

 

ガチャ。

 

その時、玄関の開く音がして……誰か入ってきた。

 

「おーい、買ってきたぞ~……って、先客がいたか」

 

いつも聞いている声……兄さん?

 

「……やはり、イッセーか。…アザゼル、晩食買ってきたぞ」

 

目の前に現れたのは、予想通り兄さんだった!!

 

「…おいおい、人が自己紹介しているときに名前呼ぶなよ」

 

「あ~、悪い悪い」

 

「……仕方ないか。――俺はアザゼル。堕天使の(かしら)をやっている。よろしくな、龍介の義弟(おとうと)の兵藤一誠」

 

その瞬間、男――堕天使アザゼルの背中から十二枚もの漆黒の翼が展開した。

 

                    D×D

 

「冗談じゃないわ!」

 

部室に帰って部長に報告した。すると、部長は眉を吊り上げて怒りを露わにしていた。

 

「確かに悪魔、天使、堕天使の三すくみのトップ会談がこの町で執り行われるとはいえ、突然堕天使の総督が私の縄張りに侵入し、営業妨害していたなんて……!」

 

部長は怒りでぷるぷると全身を震わせている。

 

――先日、この町で起きた『コカビエル』の単独暴走事件。それが悪魔、天使、堕天使の三すくみの関係に多少なりとも影響を及ぼした。その結果が、一度トップ同士が集まって今度の三すくみ関係について話し合うことになったんだ。

 

「……悪かったな。相談もなしに接触していて」

 

後ろから聞こえた声――兄さんだ。

 

「……そうです。一言、言ってもらえればよかったのです!」

 

部長が怒り気味に兄さんへ言う。

 

「…あとで、全員分のケーキ買ってあるから……それで機嫌を直してくれ」

 

ケーキというキーワードを聞いた部長が、徐々に怒りをおさめていく。

 

甘いもの好きだからな、部長は。

 

「……わかりました。…しかし、どうしたものかしら……。あちらの動きがわからない以上、こちらも動きづらいわ。相手は堕天使の総督だから――」

 

「アザゼルは昔からそういう男だよ、リアス」

 

その時、部屋の隅から声が聞こえた。

 

「お、お、お、お兄さま!」

 

部長が慌てて立ち上がり、驚愕の声を出していた。

 

「先日のコカビエルのようなことはしないよ、アザゼルは。今回みたいな悪戯するだろうけどね。しかし、総督殿は予定よりも早い来日だな」

 

そうおっしゃられた魔王さま。魔王様の後方には銀髪のメイドさん、グレイフィアさんもいた。魔王さまの『女王(クイーン)』だから当然か。

 

「…よう、サーゼクス。仕事か?」

 

「いや、今日はプライベートで来ている」

 

「……お兄さま、ど、どうしてここへ?」

 

兄さんが魔王さまに質問して魔王さまが答える。そして、『プライベート』の言葉に反応した部長が怪訝そうにして魔王さまに訊いた。

 

「何を言っているんだ。授業参観が近いのだろう?私も参加しようと思っていてね。ぜひとも妹が勉学に励む姿を間近で見たいものだ」

 

あー、そういえば授業参観がありましたね。確か兄さんが俺のクラスに見に来るんだっけ?隣にはアイム。白音ちゃんたちのクラスには黒歌姉さん。部長たちのクラスにカミュが見に行くみたい。

 

「グ、グレイフィアね?お兄さまに伝えたのは」

 

「はい。学園からの報告はグレモリー眷属のスケジュールを任されている私のもとへ届きます。むろん、サーゼクスさまの『女王(クイーン)』でもありますので主へ報告いたしました」

 

「報告を受けた私は魔王職が激務であろうと、休暇を入れてでも妹の授業参観に参加したかったのだよ。安心しなさい。父上もちゃんとお越しになられる」

 

グレイフィアさんが部長の質問に答え、それに魔王さまが答えられる。

 

「そ、そうではありません!お兄さまは魔王なのですよ?ほっぽり出してくるなんて!魔王が一悪魔を特別視されてはいけませんわ」

 

そうか!部長のお兄さんは魔王だから…いくら肉親とはいえ、特別にしてもらうのをよしとしないのか。

 

しかし、部長の言葉に首を横に振った魔王さま。

 

「いやいや、これは仕事でもあるんだよ?リアス。実は三すくみの会談をこの学園で執り行おうと思っていてね。会場の下見に来たんだよ」

 

「――っ!ここで?本当に?」

 

「あぁ。この学園とはどうやら何かしらの縁があるようだ。私の妹であるおまえと、伝説の赤龍帝、聖魔剣使い、聖剣デュランダル使い、龍介の双子姉妹、魔王セラフォルー・レヴィアタンの妹が所属し、コカビエルと白龍皇が襲来してきた。これは偶然で片づけられない事象だ。さまざまな力が入り交じり、うねりとなっているのだろう。そのうねりを加速させているのは龍介と兵藤一誠くん――転生者と赤龍帝だと思うのだが」

 

サーゼクスさまが俺と兄さんへ視線を送る。

 

「――赤龍帝は人を引き付ける……今のイッセーに当てはまる言葉だ。俺は主にイッセーの…赤龍帝の力が引き付けていると思っている。小さいころに出会ったことも、すべてがそうだと思うんだ……そして、俺は転生者だ。この世界じゃない場所から生かされたもの」

 

兄さんが語り終わる。このことを初めて知ったアーシアたちは驚いていた……って、魔王さまも、兄さんの素性知っていたんですか!?

 

「さて、これ以上難しい話をここでしても仕方がない。うーむ、しかし、人間界に来たとはいえ、夜中だ。こんな時間に宿泊施設は空いているのだろうか?」

 

その時……俺はいいアイデアを思いついて、手を挙げながら口にした。

 

「そ、それなら――」

 

                    D×D

 

「――と言うわけで、サーゼクスとグレイフィアが泊まることになった」

 

俺――遠山 龍介は、リビングで重要部分だけを取り出してカミュたちに説明した。

 

「サーゼクス。さっそくで悪いんだが、部屋が少なくて俺とイッセーの部屋しか入れない。そうだな……イッセーの部屋でいいか?」

 

「ふむ、一般の家庭では部屋の数が少ないのだな……ちょうどよかった。寝る前にひょ…一誠くんに話したいことがあるからね」

 

「イッセー、よかったな。魔王と一対一の面談ができるぞ」

 

「兄さん……ここは学校じゃないんだけど」

 

「冗談の通じない奴だな~」

 

俺はイッセーをからかって、本題の話に入る。

 

「……サーゼクス。俺も会談に参加しないといけないんだよな?」

 

「……そうなるね。龍介も龍介の家族全員も関係している。それに、龍介は三すくみのどこにも所属していない『中立の存在』だから、三すくみの会談の進行者を任せられる」

 

「………さすがに、『戦争』だけは勘弁願いたいよ」

 

「そうならない為にも、龍介に進行を頼みたい。三すくみの『(トップ)』は龍介を頼っているからね」

 

「(……そう言われてもなぁ)」

 

「――わかった」

 

俺は内心困っていたが、戦争だけは観念してほしい思いでそれを承諾した。

 

「…ハハハ。龍介が動けば世界が滅んでしまう。えーと、あの巨人は何ていったかな?」

 

「……須佐能乎(すさのお)のことか?」

 

パキパキ――。

 

俺は背中から須佐能乎の頭蓋(片腕)を出す。

 

「ふむ……いつ見ても恐ろしいね。私の『滅殺の魔弾(ルイン・ザ・エクスティンクト)』を防いだだけはあるよ。……あのときは驚いたね、一度も攻撃が当たらなかった。アザゼルが『最強』と称している意味が分かる。『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』の片割れが傍にいるのも、龍介の力の影響だと思うよ」

 

「…片割れか――」

 

『片割れ』と聞いた瞬間、俺、サーゼクス、グレイフィア、辰巳以外が驚愕していた。

 

俺はアザゼルと密談で『片割れ』のことは聞いているから、なんの反応もしていない。

 

「…そのことは、会談で話そう。多分アザゼルが話題として出してくるだろうな」

 

「そうだね。またその時に話そう」

 

「よし…そういうことだから、今日は俺が夕飯の支度をするから」

 

俺はそう言って、影分身をだして料理の支度に入った。

 

                    D×D

 

「兄さんの料理は星五つでも敵わないかもしれないや……」

 

俺は自室で一人呟いていた。

 

さっきまで部長がここにいたんだけど……グレイフィアさんに自室へ連れて行かれてしまった。

 

ライザー戦以降、部長やアーシアたちの様子が一変している。

 

部長は遠山家に引っ越ししてきた後、就寝時間になると俺の部屋に入ってきて添い寝をしてくれるんだ。

 

その日を境に、アーシアや白音ちゃんたちが部屋に入ってきて戦場になってしまう。

 

そんなわけで、俺のベッドが拡張されてしまっていたんだ……兄さんによって。

 

部屋も広い、兄さんが空間を広げてしまったから。

 

もう兄さんの能力は無茶苦茶すぎて、俺の脳が追いつきそうにない。

 

トントン。

 

部屋のドアがノックされた。

 

「はい、どうぞ」

 

俺はベッドから降りて、ドアを開ける。

 

「やあ、兵藤一誠くん」

 

そこに立っているのは魔王さま。

 

魔王さまは俺の部屋に入り、ベッドの端に座る。

 

「(――魔王さまのパジャマ姿、何かギャップが合わないから面白いな)」

 

俺は座っている魔王さまを見てそう思った。

 

「…アザゼルに会ったそうだね」

 

「はい。兄さんと密談していて驚きました」

 

「…ふむ。多分私と同じような件だろう…あまり気にしなくてもいい。アザゼルは神器(セイクリッド・ギア)に強い興味を持っている。キミの赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)も例外じゃないだろう。現にキミと同じ『神滅具(ロンギヌス)』を持つ者が彼のもとへと身を寄せている」

 

「……何のためにですか?」

 

「それはわからない。けれど、アザゼルは天界、冥界、人間界に影響を及ぼせるだけの力を持った組織の総督だ。しかし、彼はコカビエルのような戦好きではない。過去の対戦で最初に戦から手を引いたのは堕天使だったぐらいだからね」

 

「…そうだったんですか。意外と雰囲気に合わない人ですね」

 

「…ハハハ、そうだね。――そうそう、せっかく伝説のドラゴンが悪魔側に来てくれたのだから、優遇させてもらうよ」

 

魔王さまの言葉に、俺は驚いた。

 

「…あ、ありがとうございます!」

 

「それに、妹はキミのことを大切にしている。あんなに楽しそうなリアスは冥界でもそう見れなかった。きっと、今は毎日が楽しいのだろう。それはキミのおかげだと思っている」

 

……俺のおかげ?俺は守りたくて、降りかかる火の粉を払ってきただけだ。

 

「兵藤一誠くん。妹を――リアスのことをこれからも頼むよ」

 

「はい。俺は…いえ、自分はリアス・グレモリーの『兵士(ポーン)』ですから!」

 

「ありがとう。――そうだ、兵藤一誠くん。キミのことを妹同様『イッセーくん』とよんでもいいかな?」

 

「も、もちろんです!」

 

光栄だ!!魔王さまに愛称で呼ばれるなんて!!

 

「……では、イッセーくん。私のことを名前ほうで呼んでくれるかな?お義兄(にい)さんでもいいのだからね」

 

「さ、さすがにお兄さんは失礼かと……サーゼクスさまとお呼びしてよろしいですか?」

 

「では、そういうことにしておこう。うーん、しかし残念だ。伝説のドラゴンにお義兄(にい)さんと呼ばれたかったのだが………。まあ、近いうちにそうなるだろうから、今はこれでいいのかもしれないね」

 

「??」

 

「ところでイッセーくん」

 

「はい」

 

「話が変わるが、キミは女性の大きなお乳が好みのようだね?」

 

「は、はい。大好きです」

 

「リアスの胸は兄の私から見ても豊かなものだと思う」

 

「そ、そうですね!」

 

「……これは可能性の話なのだが…キミの赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の能力『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』だったね。それを使ってリアスの胸に高めた力を譲渡したら、どうなるんだろうね。まあ、気にしないでくれたまえ」

 

「――ッ!!」

 

俺は言い知れない感覚に落ちた。ぶ、部長のおっぱいに『赤龍帝からの贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)』を使う……?そんな…今まで考えもしなかった!!それなら、朱乃さんや夕麻ちゃんたちに使っても――。

 

クソッ!!想像がつかない!!性欲の権化だと歌われた俺が、想像もできないことだと!!

 

「さて、私はどう寝ろうかな?」

 

俺が一人頭を抱えているとき、サーゼクスさまが考え込んでいた。

 

「あの、このベッドを使われては?」

 

「…うーん。そこはリアスの特等席だろう?いくら兄としても、それはできないね」

 

「そ、そうですか。あっ!押し入れに確か――」

 

俺は押し入れに入れてある布団一式を引き出した。

 

「ふむ。これはなかなか体験できないものだね」

 

「(そうか。床にひいた布団で寝るなんて、魔王さまの身ではできないもんな。…ん?貴族の身でもできないよな?)」

 

俺はどうでもいい事を考えながら、布団一式をひいた。

 

「ありがとう。それでは、イッセーくん。おやすみ」

 

サーゼクスさまは布団に入ると、横になって寝てしまった。

 

俺は答えの出ない妄想に一晩中励んだ(徹夜した)

 

 

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