ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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驚異の授業参観です!

「イッセー、あとで見に行くからな?」

 

家を出るとき玄関で兄さんが言ってきた。

 

最新のハンディカムで各クラス録画するようだ……正直言って恥ずかしい。

 

俺――兵藤 一誠は、自席でそんなことを思い出していた。

 

「……はぁ」

 

そりゃ、溜息も出るわけで――。

 

「おーい、聞いてんのか?イッセー」

 

すぐ傍で悪友の元浜が話していた。

 

「何かあったのか?話の途中で溜息をつくなんてよ」

 

もう一人、悪友の松田も話しかけてくる。

 

「――イッセー」

 

その時、いつの間にか近くにゼノヴィアやアーシアたちが来ていた。

 

「何か用か?」

 

「先日は突然あんなことを言って申し訳なかった」

 

「(あんなことって……あぁ~、子作りのことか)」

 

「やはり、いきなりそんなことは難しいと思う……だからこそ――」

 

もぞもぞとスカートのポケットから何かを取り出すゼノヴィア。

 

「まずはこれを用いて練習をしよう」

 

ポケットから取り出されたモノ――コンドームを俺の目の前…机の上に展開する。

 

すると、クラスの全員の視線が俺の机の上に集中した。

 

「――って、んなもん出すなぁぁぁぁぁぁぁぁああッッ!!!何を……何を大衆の前で取出しってんだよ!!」

 

突然の事態に取り乱す俺。

 

さっそくクラス中が騒ぎ出した。そんなことはお構いなしにゼノヴィアは続ける。

 

「私のいた世界では、これの使用にひと悶着あったが……やはりつけた方が日本のお国柄的にも都合がいいのだと思う」

 

そんな事どうでもいいんだよ!!

 

「こういうものをこういうところで出すな!!時と場所を考えてくれ!!」

 

訴えるものの、ゼノヴィアは可愛く首をかしげている……わかっていないようだ。

 

「アーシアたちも使うといい。無計画な性交はお互い傷つくそうだ。男女の関係は難しいね」

 

そう言ってアーシア、夕麻ちゃん、理子ちゃんにコンドームを渡すゼノヴィア。

 

アーシアは『これ』が何に使うのか理解していないらしい。可愛く首をかしげて頭の上に(?)を浮かべている。

 

対象的に夕麻ちゃんと理子ちゃんはわかっているみたい。だって、顔が赤いから。

 

「アーシア、それはね――」

 

わからないままでいいというのに、エロメガネっ娘こと桐生が間髪入れずにアーシアに耳打ちした。

 

「……きゅう」

 

あー!アーシアがお顔を真っ赤にして卒倒しちゃったよ!

 

思考がエロ娘の桐生が訊いてくる。

 

「でもいいのかな~?ゼノヴィアっちを抱いてしまったら、アーシアが――むぐっ!」

 

「あーあー、桐生さん?それ以上言わないでください!!」

 

突然復活したアーシアが、桐生の口をすごい速さで塞いだぞ!?

 

「……もう、アーシア。そろそろモーションかけないと、兵藤が大変なことになっちゃうって言ったでしょ?あいつの周りには強敵ばかり……うかうかしていると、食べられちゃうかもよ?」

 

もう限界だ!!俺の純粋な精神が持たん!!

 

その時、廊下に黒い着物の女性と、下ろしたてのスーツに身を包んだ黒髪の男性が歩いていた。

 

――兄さんたちだ。

 

俺は脱兎のごとく、走って廊下に出た。

 

「ん?イッセーか」

 

物音に気がついた兄さんは、後ろを振り返って俺を確認した。

 

そこにいたのは…兄さんと黒歌姉さん、カミュ、アイムだった。

 

「ちょうどよかった。今から三年と一年の教室を見に行こうと思っていてな。教えてくれるか?」

 

俺は首を縦に振った。

 

「こっち」

 

俺は兄さんたちの前を歩く。死角に潜るようにして。

 

「イッセーが逃げたぞ!」

 

遠くで声が聞こえたが、気にしない気にしない。

 

                    D×D

 

兄さんたちの案内が終わり、授業に入った。

 

後ろの扉は開け放たれていて、クラスメートの親御さんが入ってくる……その中には兄さんの姿もある。

 

ハンディカムを片手にこっちを見ていた。

 

授業は英語。いつもと同じおっとりとした女性教諭が段ボール三つを抱えて入ってきた。

 

「(前見えてないのに、よくぶつからないな……)」

 

正直言うと…先生というより、生徒と間違われてもおかしくない小柄な身長の持ち主。髪はツインテール。どう見ても外国人にしか見えない……でも、国籍は日本人だし。名前だって『栗栖(くりす) 理恵(りえ)』だから日本人。

 

白衣を着た女性教諭は段ボールを置くと、中から長方形の物体を生徒に配っていく。

 

机の上に置かれた物体をよく見ると、それは…紙粘土?

 

女性教諭は嬉々として説明しだす。

 

「いいですかぁ~?いま渡した紙粘土でぇ、好きなものを作ってみてくださぁ~い。動物でもぉ、人でもぉ、何でもいいで~すぅ。自分がぁ、いま脳に浮かべたものを形作ってくださ~い。時間は三十分間で~すぅ。ランダムに指名しますのでぇ~、紙粘土で作ったものを説明してもらいますぅ」

 

んふぅ!粘土でイングリッシュ!!書かないだけマシか。

 

よーし!俺の英会話能力のお披露目タイムだ!当てられればの話だけどな。

 

「始めてくださ~い」

 

理恵先生が教壇でストップウォッチを取り出して時間を計りだした。

 

「む、難しいです」

 

前の席では、アーシアが苦戦している。

 

順応早いな……それが、アーシアの取り柄の一つなんだよね。

 

周りを見てみると、皆も悩みに悩みながらも手を動かしている。

 

「(俺も早く作らないとな……)」

 

俺は目を閉じて、粘土をいじくる。妄想で出てきたのは日常風景だった。

 

この三カ月ちょっとでいろいろな事が起きた。兄さんが帰国して、夕麻ちゃんと出会い、部長と祐奈、ファースト幼馴染の朱乃さんに出会った。そして悪魔に転生した。そしてアーシアと出会い、ミッテルとカラワーナさん、冴子さん、理子ちゃん、春奈ちゃんにも出会った。奏さんも廃教会で出会った。そのあと、アーシアも悪魔に転生したんだ。

 

アイムやゼノヴィア、イリナ、マリアさんとも出会って、一悶着あったな。

 

激動と言っても過言ではないと思う。俺の日常は――。

 

「あらあら~、兵藤くん?」

 

誰かに肩を突かれて、目を開けた。

 

振り向くと理恵先生が笑顔で俺の手元を凝視している。

 

俺も手元を見てみると――。

 

『おおっ!!』

 

クラスから歓声が沸く…俺も驚いてしまった。

 

俺の手元にあるのは、グレモリ―眷属フルメンバー、遠山家フルメンバー+ドライグ&エルシャさんたちのミニチュアサイズの像が存在していた。

 

我ながら驚いた…輪郭やサイズなど正確に造形しているではないか。

 

「素晴らしいですぅ。これは才能としか言いようがありませんねぇ。そろそろ時間なのでぇ、一番バッターはぁ……兵藤さんに決定ですぅ~」

 

「……ま、マジですか!?」

 

時計を見てみると、制限時間の三十分が近づいていた。

 

「(俺って、長い時間妄想していたんだな……)」

 

俺は持ち前の『悪魔の力』で流暢な英会話を見せた。

 

俺の理由を知っているものはごく普通に聞いていたけど、親御さんはすごく驚いていて……拍手喝采だった。

 

                    D×D

 

――昼休み――

 

「よくできているわね……まるで、実物をそのまま小さくしたみたいだわ」

 

と、部長が俺の作った紙粘土の像を微笑みながら触っていた。

 

「あらあら、私もいますわ。イッセーくんはとても器用ですわね」

 

朱乃さんも紙粘土を微笑みながら触っている。

 

お茶を買いに販売機の前にいたら、部長と朱乃さんに鉢合わせた。

 

「ところで、部長。サーゼクスさまはいらっしゃったんですか?」

 

俺の質問に部長は額に手を当てて答える。

 

「ええ、父も一緒に来たわ」

 

そうか…サーゼクスさまが来るって言っていたもんな。

 

「――あ、部長。それにイッセーくんと朱乃さん」

 

そこへ祐奈が現れた。

 

「あら、祐奈。お茶?」

 

部長が訊くと、祐奈は首を振って体育館の方を指さす。

 

「いえ、何やら魔女っ娘が撮影会をしていると聞いたもので。……ちょっと見に行こうかな~と思いまして」

 

祐奈の予想外の返答に……俺と朱乃さんは顔を見合わせながら首を傾げ、部長は再び額に手を当てていた。

 

                    D×D

 

カシャカシャ!!

 

体育館に入ると、カメラを持った男どもがフラッシュをたいて何かを撮影している。

 

その先――檀上を見てみると、見覚えのある格好が目に飛び込んできた。

 

かなりの美少女さんがアニメキャラの格好をしている……誰かに似ているような気がしたのだが、気のせいだろう。

 

その美少女さんがしている格好――確か『魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブ』だたはず!……心は乙女(おとめ)、体は漢である俺のお得意様の『ミルたん』がこのアニメキャラに夢中だった。

 

人垣を通り抜けてきた部長と朱乃さんが俺の隣に到着した。部長は前方の魔法少女ミルキーを目にした途端、慌てふためく。

 

「なっ!」

 

久しぶりに見た気がする…部長のこんな狼狽っぷり。

 

「オラオラ!天下の往来で撮影会たーいいご身分だぜ!」

 

そんなことを言いながら、生徒会の知り合いである匙が人だかりを追い払っていく。

 

それに続くように、生徒会のメンバーらしき女子も続いて中心の撮影現場(人だかりの中)へ。

 

「ほらほら、解散解散!今日は公開授業の日なんだぜ!こんなところで騒ぎを作るな!」

 

蜘蛛の子を散らすようにいなくなる撮影者たち。

 

「あんたもそんな格好をしないでくれ。って、もしかして親御さんですか?そうだとしても場に合う衣装ってものがあるでしょう。困りますよ」

 

「えー。だってぇ、これが私の衣装だもん」

 

匙が注意を促すが、ミルキーは可愛くポージングして聞く耳を持たない。

 

「何事ですか?サジ、問題は簡潔に解決しなさいといつも言って――」

 

声のした方を見ると……そこにはソーナ・シトリー会長がいて、その後ろには紅髪の男性が二人と兄さんたちがいた。

 

状況からして、会長先導のもと学校を見回っていたのだと思う。

 

「ソーナちゃん!見つけた☆」

 

ミルキー娘は会長を見つけると檀上から飛び降りて、嬉しそうに走って抱きついた。

 

「(会長の知り合いかな?匙は知らなさそうだし)」

 

疑問に思う俺をよそに、サーゼクスさまが構わずにコスプレ娘へ声をかける。

 

「あぁ、セラフォルーか。キミもここへ来ていたのだな」

 

「セラフォルーさま、お久しぶりです」

 

「あら、リアスちゃん☆おひさ~☆元気にしてましたか?」

 

部長が挨拶をして、返事を返したコスプレ娘。

 

「あ!リューくん☆おひさ~☆」

 

「久しいな、セラ」

 

コスプレ娘は、後方にいた兄さんに気づいて手を振る。それに答えた兄さん。

 

「イッセー。紹介が遅れたけど、この方は現四大魔王のお一人、セラフォルー・レヴィアタンさま。ソーナのお姉さまよ」

 

「(そうだったんだ~。だから兄さんも愛称で呼んでいたんだねぇ)」

 

「…………」

 

一瞬黙り込む俺。次の瞬間――。

 

「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええッッ!!!」

 

俺は絶叫を上げ、その絶叫が体育館にこだまする。

 

「ちょっと待ってください!今、兄さんと愛称で呼び合っていましたよね!」

 

俺は間髪入れずに突っ込む。

 

「うん☆リューくんは親友だもん☆」

 

「そ、そうですか」

 

完全に押されてしまった俺。もうついて行かれん!

 

その時だった。

 

「あらあら~。皆さん、こんなところで何をしているのですかぁ?」

 

体育館の入り口から声が響き渡る。

 

おっとりとした話し方にかわいい声――。

 

『理恵先生!?』

 

その場にいた生徒全員(俺を含め)先生の名前を叫んでいた。

 

その人は、英語科教師の『栗栖(くりす)理恵(りえ)』先生だ。

 

いつの間に入ってきていたのだろうか?ドアの開く音が全く聞こえなかった。

 

「あらあら~、リュースケさんもいらしていたんですねぇ~」

 

『ッ!!』

 

全員が驚いた。名前を呼ばれた本人の兄さんは、何かに納得した顔になっている。

 

「やっぱり、アリエ――」

 

ドンッ!!

 

「私の名前はぁ~理恵ですよぉ~。その名前はぁ、今は使っていませんのでぇ……呼ばないでくださいねぇ♪」

 

理恵先生の姿が一瞬ブレたかと思うと、一瞬で兄さんの目の前に立った上に…腹部に拳をめり込ませていた。

 

ドオォォオンッッ!

 

兄さんが豪快に吹き飛ばされ、体育館の壁に激突したように見えたが……よく見ると、壁ではない何かにぶつかったみたい。壁に波紋が浮いていた。

 

「(怖ッ!!後方に般若が……って、そうじゃなくて!兄さんが殴り飛ばされた!?)」

 

今の光景に全員が驚愕した。

 

だって、あの『最強』と歌われている兄さんが簡単に殴り飛ばされたんだぞ!?

 

「リュースケさん?下手な演技はぁ、止めてくださいねぇ」

 

クスクスと笑っている理恵先生。

 

白衣のポケットに両手を入れて、兄さんに近寄っていく。

 

誰もが動けないでいた。四大魔王であるサーゼクスさまも、レヴィアタンさまも。

 

「――下手な芝居で悪かったな」

 

どこからか聞こえてくる声。

 

「ここだよ」

 

その声は、檀上の垂れ幕の裏から聞こえた。

 

さっき理恵先生が殴り飛ばした兄さんを見ると、そこには『木人形』が横たわっていただけ。

 

いつの間にか入れ替わっていた兄さん。それを見切れた理恵先生は何者なんだろうか?

 

「それではぁ~、私も本気でいきましょうね~」

 

「おいおい、ここで()るつもりかよ……」

 

そんな兄さんの言葉をよそに、理恵先生は白衣のポケットから何かを取り出す。

 

「ノモブヨ、ヲシ、ハシタワ、ドケダ、グンミーチャ、デーリブラ」

 

ドォォォォォォオオンッッ!!

 

理恵先生を中心に朱い魔力が渦巻いていく。

 

「まさか…おまえ――」

 

兄さんが驚愕の表情をしている。そういえば、理子ちゃんと春奈ちゃんも同じことをしていたような――。

 

ブオォォォォォオオッッ!!

 

渦が払われ、理恵先生が姿を現した。

 

「――やはりか」

 

兄さんの言葉に俺――いや、俺たちは固唾をのんだ。

 

そこにいる理恵先生は、先ほどと大して変わらない服装だ。白衣を着ている…だが、頭には魔法使いが被っているような三角帽子を被り、白衣の下にはいつも着ている服ではなく、露出のあるロリドレスのような衣装を纏っていた。それに両手には一本ずつ日本刀が握られ、刀身は薄く朱い光を放っていた。

 

魔装少女っていう変身形態だっけ?とにかく、とてつもなく強いのはわかっている。

 

「いきますよ~」

 

のんびり口調で話す理恵先生だが、動くスピードは遥かに速かった。

 

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