「『
イッセーが俺の言葉に疑問を持って言う。
俺たちは部室でハーフヴァンパイアこと『女装ギャスパー』の今後について話し合っていた。
「そうだ。俺も今さっき思い出したところでな……無意識に発動させているのは危険だ。意識下で操れるようにならないと、敵味方関係なしに時間を停められてしまう。そうなれば……ここから先を話さなくともわかるだろう」
俺の言葉に高速で頷くイッセー。
「……それにしても、ここまで強力な
話を切り替えたイッセー。その問いにリアスは答える。
「――『
「……ミューテーション・ピース?」
イッセーが頭を傾げる。それに答えたのは祐奈だ。
「通常の『
「ということは……ギャスパーの才能に関係あるってわけだな」
「はい。龍介さんの指摘通り、彼は類稀な才能の持ち主なの。無意識のうちに神器の力が高まっていくみたいなの。そのせいか、日々力が増していってるわ――上の話では、将来的に『
リアスが頷き説明する。
「バ、バランス・ブレイカーですか!?俺もライザーの時になったけど、結構危険なものですよ?そうなった上に制御ができないんじゃ――」
「あぁ。イッセーが…今思っている通りだ。ギャスパーがこのまま『
『…………』
俺の説明に全員が黙り込んでしまった。
「――だが、今回……サーゼクスがギャスパーの封印を解いてもいいと判断したのは何故か?わかるよな?リアス」
俺はリアスに質問してみる……返答次第で、俺はギャスパーを再度封印するつもりだ。
「……はい。私の評価が認められたと聞きましたわ。今ならギャスパーを制御できるかもしれない……私がイッセーと祐奈を『
「……ギリギリ合格の返答だな」
「…どういう意味でしょうか?」
「そうだな、せめて『俺たちも』と入れるところだな」
「そうですね……お兄さまは龍介さんに託したのでしょう」
「そう言うな。サーゼクスはリアスに託したんだ……当たり前だろ?眷属を成長させるのは何が何だろうと、主であるリアスなんだよ。俺はリアス達の『手助け』役として頼まれたにすぎない……サーゼクスに。――似た
俺は微笑みを浮かべて結論を述べた。
「…ありがとうございます。そうですね……私は主であり、眷属は家族ですから。手を取り合って進むのは必然ですわ」
「そういうことだな……自身はついたか?」
「はい。私も眷属の皆も励まされましたわ」
「そりゃ、よかった」
リアスたちは緊張や不安が和らいだのか、皆の表情が緩んでいる。
「――ところで…何故、理恵が
俺は話題を切り替え、理恵を見る。部室にいる面々も理恵に注目した。
「そうですねぇ。しいて言うならばぁ~……オカルト研究部の顧問になったからですぅ」
『…………』
理恵の返答に一瞬、部室の空気が固まる。――次の瞬間。
『ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?』
「…………」
俺はジト目で、理恵以外の面々は驚きのあまりに声を上げていた。
『な、何事ですかぁぁぁぁ!?』
イッセーの近くにある大きな『段ボール』からギャスパーの悲鳴が聞こえた。
完全に忘れてたわ。寝てたんだろう?やけに静かだったからな。
「クスクス……当たり前じゃないですか~。私は教師なのですよぉ?」
「……頼まれたな?理事長のサーゼクスに」
「そうですぅ。校長からぁ『理事長から』と辞令が下りまして~。これが~、その時に貰った辞令書ですぅ」
理恵は白衣のポケットからその『辞令書』を取り出す。
「…………………………」
リアスが読み、朱乃に渡す。
順に読んでいくと廻されていき、中身の文章を確認していく面々。
「……確かにお兄さまの書かれた字でしたわ」
中の文章を確認したリアスがそう言う。
「ということでぇ~、私――栗栖理恵はぁ、ただ今をもちまして~オカルト研究部の顧問になりしましたぁ。よろしくお願いしますね~」
「……はぁ。楽しそうだな」
「もちろんですぅ。実験の材料がオカルト研究部にたくさんありますから~」
『……ッ!!!』
瞬間、理恵の近くにいた奴らが急いで離れる。
「クスクス。これからが楽しみですぅ」
悪戯な笑顔でそう言う理恵。
『(その実験の意味って、改造のことだよね!!?)』
この時、俺を除く全員は心の中で理恵にそう突っ込んでいた……俺が『
D×D
夕方に差しかかった時間帯、旧校舎の近くで吸血鬼が聖剣使いに追いかけられていた。
「ほら、走れ。デイウォーカーなら日中でも走れるはずだよ」
「ヒィィィィィィッ!!デュランダルを振り回しながら追いかけてこないでぇぇぇぇぇぇッ!!」
傍目から見れば、完全に吸血鬼狩りになっている。デュランダルも危険な音を立てながら聖なるオーラを放ち続ける。
ゼノヴィア曰く「健全な精神は健全な肉体から」らしく、ギャスパーの体力を鍛えることにしたらしい。
必死に逃げるギャスパー。追いつかれたら一瞬で滅ぼされるもんな。
そういえば…兄さんが「後で体育館にこい。基礎訓練をしてやる」って言って、行ってしまったもんな。何でも体力が基本いると思う。
「私と同じ『僧侶』さんにお会いして光栄でしたのに、目も合わせてくれませんでした……ぐすっ」
「よしよし……後でお仕置きしておくから」
残念そうに涙目をしているアーシアを夕麻ちゃんが慰めている……あれから少し時間がかかったけど、三人ともアーシアによく接してくれていると思う。
そういえば、辰巳たちは兄さんについて行ったのかな?さっきから姿が見えないし。
「おーおー、やってるやってる」
とそこへ匙が現れた。
「よー、兵藤。解禁された引きこもり眷属がいるって聞いて見に来たぜ!」
「匙か。ゼノヴィアに追い掛け回されているのがそうだぜ」
「おっ!金髪女子かっ!」
「残念ながら、あいつは女装野郎だそうです」
嬉しそうな様子から、落胆した匙。まさに、天国から地獄へ落ちた状況。
「そりゃ詐欺だ!てか、引きこもりで女装って……誰かに見せるもんじゃないのか?矛盾してるし、難易度高いな」
「だよな。意味のわからん女装癖だ。似合っているのが何とも言えん・・・・・・しかも、匙と同じ反応をしたら兄さんに大笑いされたんだ」
「……」
匙は同情の目で俺を見つめる。
「…話がそれた。匙は何でそんな格好しているんだ?」
「見ての通りだ。花壇の手入れをしているんだ……一週間前から会長の命令でな。ここ最近学園の行事が多かっただろ?それに今度、魔王さま方もここへいらっしゃる。学園を綺麗に見せるのは生徒会『
堂々と胸を張る匙……それって、雑用なんじゃ?まあ、こいつは会長が好きだからな。気持ちを折るわけにはいかないな。
ゾワゾワ……。
話をしていたら、ここへ近づいてくる誰かの気配がする。俺と匙がその方へ視線を向けた時――俺は我が目を疑った。
「へぇ。魔王眷属の悪魔さん方と龍介の家族か……レイナーレとミッテルトも一緒にお遊戯会か」
「ア、 アザゼルッ!!」
「よー、赤龍帝。あの夜以来だ…元気にしてたか?」
突然現れたそいつを全員が怪訝そうに見つめた……ただ、二人を除いて。
「「ア、アザゼルさま!」」
ばっと片膝をついて頭を下げる夕麻ちゃんとミッテルト。
そうだった……今ここにいないカラワーナさんを入れた三人は、元々『
「おいおい、堅苦しいな。ちょっと散歩がてら悪魔さんのところに見学に来た瞬間、元部下に頭を下げられるとか恥ずかしいじゃねえか。しかも、やる気がねぇのに構えられてもな……聖魔剣使いはいるか?」
まずい!オファーか?んなこたぁさせねーぞ!!
「たく、めんどくせーな」
頭をかきながら近寄ってくるアザゼル。
「そこで隠れているヴァンパイア」
木蔭に隠れていたんだろうギャスパーが慌てふためく。
「『
兄さんと同じことを言うアザゼル。近くまで近寄られたギャスパーぶるぶる震えていた。
ほんと…あの時と同じで悪意は感じず、興味津々の様子だ。
アザゼルがこっちに振り向くと、匙を指さしてきた。
「それ、『
「…お、俺の神器が相手の神器から力を吸い取れるのか?今まで単にパワーを吸い取って弱らせるだけかと……」
「ったく、これだから最近の神器所有者は自分の力をろくに知ろうとしない。『
それを聞いた匙は、少し考えるそぶりを見せていた。
「追加だが、それは持ち主の成長次第でラインの本数も増やせる。そうすりゃ、吸い取る力も倍々だ」
追加の情報を聞いた匙が固まっちまった。
「それとだが……一番早い方法として、赤龍帝を宿した者の血を飲むことだ。ヴァンパイアに飲ませておけば力がついてくるさ。ま、あとは自分たちでやってみろ」
アザゼルはそう言い残して立ち去ろうとしたが、すぐ立ち止まってこっちを振り向いた。
「ヴァーリ――うちの白龍皇が勝手に接触して悪かったな。さぞ驚いただろう?なーに、あいつは変わっているが、すぐに赤白ライバル対決をしようってわけじゃない。もしそうなれば、どこかの世話焼きが止めるだろうよ。いくら歴代最強の白龍皇と言っても、あいつの足元にも及んでないさ」
そう言うと、アザゼルは今度こそこの場から去っていった。
D×D
夕日が西に差しかかったころ、俺――遠山龍介は体育館でバレーボールとネットを借り、辰巳たち八人と準備をしていた。
試合をするわけじゃないぞ?
準備中に気がついたんだが、アザゼルの気配を感じ取った……イッセーたちの傍で。
「……まあ、あいつは何もしないだろうな」
俺はあまり気にせず、黙々と準備を進めていく。
その時、カラワーナが近くにきて耳打ちをする。
「……龍介、アザゼルさまがここにいらっしゃるのだが……私はどうしたらいい?」
こいつは、教会事件後――堕天使の組織『
「見かけたら頭下げとけばいいだろ?あいつもそこまで気にかけた様子でもなかったし、逆に安心してたぞ?」
暴走しない意味でな。
「……そ、そうなのか。気まずいが、お会いした際に謝っておこう」
「あぁ。それでいいさ」
俺は軽く微笑みかけた。すると、カラワーナが素早く顔をそむけた。
「ん?」
俺はそむけた顔を覗いてみる。
「っ!み、見るなッ!」
確認できたぞ?相当顔を真っ赤にしていたな。
「可愛いやつだな」
俺は何気ない…確信をもってそう口にした。
「んなッ!」
こっちを向いたカラワーナの頭から湯気が出ていた。オーバーヒートでも起こしたな?
『………』
そんなやり取りをしていると、作業をしていた七人から刺し殺すような視線を背中に受けた。
D×D
数分後、準備の終えた体育館にイッセーたちが入ってきた。
「遅かったなッ!イッセー」
「仕方がないじゃん。アザゼルに遭遇したんだから」
何もなかった様子を見ると、アザゼルはイッセーたちに何かを言い残していったと見ていいだろう。
「あいつは何か言ってきたか?」
俺は確認のために訊いてみる。
「う、うん。ギャスパーの神器と匙の神器について……あと、俺の血のことも」
大体予想通りだな。原作と変わりがない展開だ。
「準備はできている。全員準備体操したら、ギャスパーが神器を制御できるよう練習をするぞ?」
『はい!』
ここにいる全員が元気よく返事をした。