ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

49 / 135
赤龍帝と白龍皇

「さて、ヴァーリ――ヴァーリ・ルシファー。おまえは俺と闘いたいと言っていたな。どうする?今のおまえでは手も足も出ないと思うが?」

 

俺は少し威圧感を出しながら、空中でホバリングしている白龍皇に尋ねる。

 

「それもいい。しかし、今の俺では、いくら奥の手を使っても勝てないだろうな。最悪自滅するだけだ」

 

「わかっているじゃないか。じゃあ、どうするつもりだ?」

 

俺はわかっている質問をヴァーリにする。

 

「そうだな。彼――兵藤一誠には、復讐者になってもらおう!」

 

返ってきた返事に、俺は瞑目した。

 

「(悪いな、イッセー。おまえの力を見せるため俺は――)」

 

                    D×D

 

「そうだな……まずは、キミの大切な育て親を殺そう!」

 

何を言っているんだ?兄さんも兄さんで、何で――。

 

「そうすれば、キミの身の上が少しは面白いものになる。育て親を俺のような貴重な存在に殺されれば、晴れて重厚な運命に身を委ねられると思わないか?うん、そうしよう」

 

「…………」

 

何も言い表せない。心中に何かが渦巻いている。

 

かつてないほどの何かが俺の中で生まれようとしていた。

 

「殺すぞ、この野郎」

 

俺はぼそりと呟く。

 

「……お前の言う通り、カミュは俺の育て親だ。そして、ドラゴン。でもな、母さんと父さんが死んで、懸命に俺を育ててくれた。支えてくれたんだ」

 

何で野郎に……こんな奴にカミュを殺されなきゃならないんだ?

 

「……殺させない」

 

ふざけんなよ!?おまえの都合で、俺の大切な家族を、一番繋がりのあるカミュを殺されてたまるか!!

 

「てめぇなんかに俺の育て親(カミュ)を殺されてたまるかよぉぉぉぉぉぉぉおおッッ!!!」

 

Welsh(ウェルシュ) Dragon(ドラゴン) over(オーバー) booster(ブースター)!!』

 

俺の怒りに呼応したのか、神器が真っ赤で強大なオーラを解き放ち始めた。

 

アザゼルからもらったリングが作用したのか、俺は何の代価を払わずに『(ブース)(テッド)(・ギア・)(スケイ)(ルメイル)』を装備できていた。

 

しかし、左腕の籠手の宝玉にはカウントダウンらしきものが発生している。多分、時間的には三十分ないと思う。それでも、前の三倍は延びているからマシなほうだろうな。

 

「――っ!見ろ、アルビオン。兵藤一誠の力が桁違いに上がったぞ!怒りという単純明快な引き金が理由だが、これは……心地よい龍の波動だな」

 

『神器は単純で強い思いほど力の糧とする。兵藤一誠の怒りは純粋なほど、おまえに向けられているのさ。――真っ直ぐな者ほど、ドラゴンの力を引き出せる心理の一つ』

 

「そうか。そういう意味では、俺よりも彼のほうがドラゴンと相性がいいわけだ」

 

何やらヴァーリとアルビオンが会話をしているけど、そんなモノ知るかっての!

 

「しかし、頭が悪いのはどうだろうか!兵藤一誠!キミはドライグを使いこなすには、知恵が足りなさすぎる。それは罪だよ」

 

「さっきから聞いていればベラベラと!俺のわからねぇことを話してんじゃねぇ!!」

 

「そう!それこそバカというやつなんだ!」

 

俺は背中の噴射口からオーラを噴き出して、ヴァーリに向かって飛び出す!ヴァーリは俺のタックルを軽々と避ける。俺は反転して、避けたヴァーリへ再度突っ込む。左の籠手からアスカロンを伸ばして、下手な剣戟(けんげき)を繰り出して追撃する。

 

その時、俺の中にいるドライグが話しかけてきた。

 

『相棒、気をつけろ。「(バニシ)(ング・ド)(ラゴン)」の能力は厄介だ』

 

どういうことだ、その能力?

 

『相反する力。奴は俺と逆に半減する能力と、その半減した力を自分に加算できる能力を持っているんだよ。つまり、おまえの力を奪い、自分の糧とする。スタミナは回復できない。あくまでパワーのみだ』

 

じゃ、じゃあ、俺は元に戻せても、奴はプラスされていくってことなのか!?

 

『そうだ。だが、発動条件がある。一度でも触れられれば発動する。つまり、触れさせなければいい。それに、いくら宿主がすごくても、必ずキャンパシティ――上限が存在する。それを超える力は背中の光翼から吐き出すことで、身を滅ぼすことなく上限を維持できる』

 

ということは、奴はバーストして自爆することなく戦えるってことか。

 

ドゴンッ!

 

「ぶはっ!!」

 

しまった!!接近しすぎて奴の重い拳を胸へモロに食らってしまった。

 

Divide(デイバイト)!』

 

直後、白龍皇の宝玉から音声が流れて、俺の力が一気に消失する。

 

Boost(ブースト)!』

 

しかし、俺の神器も発動して、力がもとに戻る。

 

「(なるほど……)」

 

息が詰まったが、理解ができた。

 

「ほらほらほら!!」

 

奴は距離を取って、小さな無限にも等しい魔力弾を放ってくる。

 

「くぅっ!!」

 

奴の魔力弾は一発一発が重い。徐々にダメージを蓄積していき、体中アザを作っていることを容易に想像できる。

 

「攻撃も単調だ。ただ突っ込むだけじゃ、意味がない。宝の持ち腐れ。力の使い方も下手だ」

 

あー、そうかよ!それなら――!!

 

俺は左の籠手にアスカロンを収納して、背中の噴出口から一気にオーラを噴出させて突っ込む。

 

痛い!!けど、それがどうした!?たった一発、一発でいいんだ!!

 

左手を強く握り、防御なしで弾幕の中へ。

 

鎧に魔力弾が被弾して、各所の装甲が破壊されていく。

 

「突貫か。バカの一つ覚えだな。そんなもので――」

 

ヴァーリが光の盾らしきものを展開して防御しようとしたが――。

 

「ドライグゥゥゥゥゥゥゥッッ!!収納しているアスカロンに譲渡だ!!」

 

『承知!!』

 

Transfer(トランスファー)!』

 

アスカロンを収納したまま、拳に(ドラゴ)(ン・スレ)(イヤー)(オーラ)だけを宿らせるッ!!

 

ドゴンッ!!

 

「――ッ!??????」

 

バキッ!!

 

俺の拳は奴の顔面へ直撃し、兜にヒビが広がると同時に一部が崩れ落ちた。

 

奴は思いがけない一撃を食らい、体勢が後ろへ逸れていた。

 

俺はその隙をついて、光翼に腕を回した。

 

「おまえの神器の効果はここから来ているそうだな?だったら!」

 

Transfer(トランスファー)!』

 

俺の力が過剰なまでに奴の光翼へ譲渡される。

 

「吸い取る力と吐き出す力を一気に高める!!処理しきれなくなるほどにな!!」

 

「くっ!」

 

ビィィィィィィン!!

 

奴の宝玉がハチャメチャな点灯を繰り返す。直後に、奴の体中から凄まじいほどに感じていたドラゴンの力が消失していく。

 

コンピューターと同じ。処理しきれなくなれば、壊れたり、電源が落ちてしまう。それと同じ現象が、奴の神器に起きているんだ。俺にだってそこら辺は理解できる。

 

奴の力量を遥かに超える速度で吸い取り、吐き出す。俺は白龍皇の機能をオーバードライブさせた。その結果、奴の神器は機能を停止したわけだ。

 

『――ッ!!何てことだ……ッ!!ヴァーリ、一度体勢を立て直せ!』

 

ヴァーリがアルビオンの声に反応して、両腕をクロスして防御するが――。

 

バガンッ!!

 

俺はアスカロンの力が籠った左拳を打ち出す。すると、クロスしていたヴァーリの籠手を難なく破壊し、腹部にめり込ませる。

 

「ゴホッ――」

 

ヴァーリは口から吐血した。俺に殴られた腹部を押えながらよろよろと下がっていく。

 

「……ハハハ、すごいな。俺の神器を吹っ飛ばした!!やれば出来るじゃないか!それでこそ、ライバ――」

 

ガンッ!

 

「殴らせてもらった。俺はおまえを殴らないと気が済まない」

 

これは、俺の育て親のカミュをバカにした分のお返しだ。

 

俺は、ふと思いついたことをドライグに訊いてみた。

 

「なあ、ドライグ。神器は思いに応えて進化するんだよな?」

 

『あぁ、そうだが……相棒、まさか――』

 

そうだ、ドライグ。そのまさかだよ。

 

俺は、さっき破壊した時に胸部から抜け出たモノ――白い宝玉を手にしていた。

 

俺の考えが正しければ、少なくとも、これに白龍皇の力が宿っているはずだ。

 

「ドライグ。俺のイメージを伝えるから。――やってみてくれ」

 

『――やはりか。相棒、危険なイメージだぞ?だが、面白い!死ぬかもしれないが、覚悟はできているな?』

 

「死ぬのは勘弁してほしいな。俺だって、まだやりたい事が沢山あるんだよ。――だけど、痛みぐらいなら我慢してやる!!それで目の前のクソ野郎を超えられるならなッ!!」

 

『フハハハハハハハハハハ!!いい覚悟だ!!ならば、俺も覚悟を決めよう!正気の沙汰ではないが――我は力の塊と称された赤き龍の帝王!!お互い、生きて超えてみせるぞ!相棒――いや、兵藤一誠ッッ!!』

 

「応ッ!!」

 

「何をするつもりだ!?」

 

ヴァーリが興味深そうに訊いてきたから、俺は返してやった。

 

「『(バニシ)(ング・ド)(ラゴン)』!アルビオン!ヴァーリ!もらうぜ、おまえの力を!!」

 

バリンッ!

 

俺は自分の右手の甲にある宝玉を割り、そこに『(バニシ)(ング・ド)(ラゴン)』の宝玉をぶち込んだ!!

 

「――ッ!!」

 

ドクンッ!!

 

俺の中で何かが脈を打った。――瞬間、形容しがたい激痛が、宝玉をはめ込んだ右腕から全身に伝わっていく!!

 

「うがぁぁぁぁぁぁぁぁああッッ!!ぬがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああッッ!!!!!」

 

『ぐ、ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおッッ!!』

 

俺の中でドライグも苦悶を漏らしていた。

 

『無謀なことを。ドライグよ、我らは相反する存在だ。それは自滅行為だぞ?――こんなことでおまえは消滅する気なのか?』

 

『アルビオンよ!おまえは相変わらず頭が固いものだ!我らは長きに亘り、争い続けてきた。毎回毎回同じことの繰り返しだった!』

 

俺は二匹の会話を聞きながら、苦痛に耐えていた。

 

『だがな、俺はこの宿主――兵藤一誠に出会って一つ学んだ!――バカを貫き通せば、可能になることがある。とな!』

 

「バカで結構だ――いや、俺もドライグも大バカでいい!!神器!俺の想いに応えろぉぉぉぉぉぉ!!」

 

Vanishing(バニシング) Dragon(ドラゴン) Power(パワー) is(イズ) taken(テイクン)!』

 

右腕が白い光に包まれる。光が止むと、そこにあったのは――。

 

「……へへへ、『(ディ)(バイ)(ディ)(ング)籠手(・ギア)』ってとこか?」

 

白き籠手が出現していた。

 

『あり得んッ!こんなことはあり得ない!』

 

アルビオンが驚愕の声音を出していた。

 

パチパチパチ。

 

俺へ拍手を送るヴァーリ。

 

「面白い。なら、俺も少し本気を出そう!俺が勝ったら、キミの周囲にあるものすべても白龍皇の力で半分にしてみせよう!」

 

ヴァーリが宙で大きく手を広ると、光翼も巨大に伸びていく。

 

Half(ハーフ) Dimension(ディメンション)!』

 

宝玉の音声と共に、眼下に広がる木々へ手を向ける。

 

グバンッ――グババババババンッ!!

 

木々が一瞬で半分の太さになり、また半分に。またまた半分になっていく。

 

「兵藤一誠、おまえにもわかりやすく説明してやろう」

 

アザゼルが言う。その隣には兄さんも立っていた。二人は両手をメガホンにして、叫んだ。

 

「「あの能力はすべてを半分にしていく。白龍皇が本気になれば、リアス・グレモリーたちのバストも半分になる!」」

 

「…………………………は?」

 

俺の脳内は疑問ばかりだった。

 

おっぱい が 半分 に なる。

 

部長たち の おっぱい が 半分 に なる。

 

「………ふ」

 

うん。殺そう。

 

「ふっざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああッッ!!!!!!」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)!!!!!!!!』

 

各場所にある宝玉から音声が流れる。

 

「許さない!!テメェだけは絶対に許さない!!ぶっ倒してやる!!ぶっ殺してやるッッ!!!!!」

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)!!!!!!!!』

 

ドゴォォォォォォォンッッ!!!

 

俺の周囲がはじけ飛ぶ!そして、旧校舎の外壁が崩れだした!!

 

「アッハッハッハッハッハッ!!なんだそりゃ!!マジかよ!!女の胸が小さくなるかもしれないって理由だけでドラゴンの力が跳ね上がりやがった!!」

 

爆笑しているアザゼル。

 

『むっ?おい、相棒。何だか知らんが、体の奥底から別の力が湧いて出てきやがったぞ!!?』

 

「どういうこ――」

 

ドライグに訊こうとしたら、俺もそれを感じ取った。

 

ボコボコボコ――。

 

「――ッ!!これってまさか!?」

 

『どうやら間違いなさそうだ。あの女、「九尾の妖狐」とか言っていたな?そいつの力が流れ込んできている。理由はわからないが、ありがたく使わせてもらおう!!』

 

「あぁ!使わせてもらおうじゃん!!」

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)!!!!!!!!』

 

どんどん大きくなっていくドライグの力。それに比例するかように、俺の中にあった『九尾の妖狐』の力も大きくなっていく」

 

「おいおい、何じゃありゃ!!?」

 

「何故、『九喇嘛』の力がイッセーに!!?」

 

アザゼルと兄さんも驚愕している。そんなこと、俺にだってわかんねーよッ!!

 

俺はヴァーリに向き直り、叫んだ。

 

「部長や眷属、家族に手を出してみろッ!!二度と立てない体にしてやらぁッッ!!この半分マニアがぁぁぁぁぁぁぁああッッ!!!!」

 

ドンッ!!

 

白龍皇は俺へ向けて駆け出す。――遅いな。

 

バッ!っと、俺は横合いからヴァーリを蹴り飛ばす。

 

「は、速い!スピードで俺を超えるのか!?」

 

知るかっ!!勝手に言ってやがれっ!!

 

「これは部長のおっぱいの分!」

 

ドスッ!!

 

ヴァーリの腹部へ拳を一撃!

 

Divide(デイバイト)!』

 

「ぐはっ!」

 

同時に移植したばかりの白龍皇の力が発動し、ヴァーリのオーラが激減して、俺のオーラと兄さんが言っていた『九喇嘛』のオーラも増幅した。

 

吐瀉物を口から吐くヴァーリ。しかし、俺はお構いなしに攻撃を続ける!

 

「これは眷属全員のおっぱいの分!!」

 

ゴスッッ!!!

 

バリンッッ!!

 

顔面に俺のストレートが入った!!衝撃で兜が半分に割れ、ヴァーリが吹っ飛んだ!

 

「これが家族みんなのおっぱいの分だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああッッ!!!!!」

 

俺は手のひらにドライグのオーラを集める。その時、一緒に九喇嘛のオーラも集まりだす感覚がした。

 

「いっけぇぇぇ!!!!ドラゴンショットォォォォォォォォォオオッッ!!!!」

 

ドォォォォォォォ――。

 

手元の球体が、超極太の砲撃となってヴァーリを襲う!!しかし、白龍皇なだけあって、とっさに宙へ飛んだためギリギリで回避された。

 

俺の放ったドラゴンショットは、前方にあった森林へ入っていき――。

 

ゴッ――ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオンッッッッ!!!!

 

一瞬の閃光の後、でかいドーム型となって森林を飲み込んだ。

 

それが収まった後、森林があった場所は――。

 

「や、やべぇ……」

 

丸ごと消え去っていて、あったのは……深くえぐり取られた痕だけだった。

 

学園の周囲にある結界は、無事破壊されずに済んだようで、俺はヴァーリと相対し直した。

 

「……面白い。本当に面白い」

 

『ヴァーリ、奴の半減の力に対する解析は済んだ。だが、あの『朱いオーラ』の解析は不可能に近い。あれを避けながらは、至難だぞ?』

 

「アルビオン、今の兵藤一誠に白龍皇の『(ジャガーノー)(ト・ドライブ)』を見せるだけの価値があるんじゃないだろうか?」

 

『ヴァーリ、この場でそれは良い選択ではない。無暗に「(ジャガーノー)(ト・ドライブ)」となれば、ドライグの呪縛が解けるかもしれないのだ!』

 

「願ったり叶ったりだ、アルビオン。――『我、目覚めるは、覇の理に――』」

 

『自重しろ、ヴァーリ!!我が力に翻弄されるのがおまえの本懐か!?』

 

何やらヴァーリが唱えだして、それを止めているアルビオン。

 

その時、神速で俺とヴァーリの間に入り込んできた者がいた。

 

そいつは三国志の武将が来ているような鎧を身に纏った男だ。

 

「ヴァーリ、迎えに来たぜぃ」

 

「美猴か。何をしに来た?」

 

ヴァーリは口元の血を拭いながら立ち上がり、爽やかそうな男性――美猴に話す。

 

「それは酷いんだぜぃ?相方がピンチだっつーから遠路はるばるこの島国まで来たってのによ?ん?何か後ろから、ものすごく嫌な気を感じるぜぃ――って、何だあれ?キツネか?にしても、物騒な奴と()り合ってたんだなぁ?ヴァーリ」

 

「いや、あれが今代の『赤龍帝』の宿主だ」

 

何やら俺のほうを向いて話しているヴァーリと美猴。美猴が話を聞くと、かなり驚いていた。

 

「本部に帰ろうぜぃ。カテレアが暗殺に失敗したんだろう?なら、観察役のおまえの役目も終わりだ。俺っちと一緒に帰ろうや」

 

「……そうか、もう時間か」

 

「おい、おまえは誰なんだ?」

 

俺は痺れを切らして、突然現れた男に指をさして質問した。

 

「――闘戦勝仏の末裔だ」

 

それに答えたのはアザゼル。

 

「そ、そ、孫悟空ぅぅぅぅぅ!!!」

 

さっきまでの怒りが吹き飛ぶ勢いだった。実際、どっかに行ってしまっていた。

 

「俺っちは仏になった初代と違うんだぜぃ。自由気ままに生きるのさ。俺っちは美猴。よろしくな、不思議な赤龍帝」

 

何か、気軽に挨拶されたんですけど……俺。

 

この展開、逃げる気かっ!

 

俺は直感でその場を駆け出そうとしたが、突如、俺の神器が解除されてしまった。

 

ずでんっ!!

 

アーシア顔負けのコケっぷり。思いっきり顔面から地面にキスをしてしまったので、鼻から血が滴る。

 

「あははは、面白いな。この赤龍帝。土産話にいっちょ記念撮影っと」

 

パシャ!

 

カメラ音がして、俺の恥ずかし映像が撮影されてしまった。

 

「ま、待て!逃がすかっ!」

 

美猴は出現させた根で地面をつつく。すると、そこから黒い影が広がり、ヴァーリと美猴は闇の中へ消えてしまった。

 

クソッ!逃がしちまった!!俺の恥ずかし写真と共に!!!

 

                    D×D

 

――数日後――

 

平日、学校が終わった後――みんな各部活に行っていた。

 

ミッテルトは弓道部。カラワーナさんと冴子さん、白音ちゃん、辰巳は剣道部に。白音ちゃんと辰巳は、ここ最近幽霊部員状態で久しぶりに行ったら、主将から怒られたみたい。

 

理子ちゃんは美術部に行っている。何でも、変装が得意だからモデルに勧誘されたのこと。

 

春奈ちゃんは外の運動部の助っ人に行っている。運動が得意で練習相手に引っ張りダコ。

 

マリアさんは華道部と家庭部を兼任しているらしい。わかるもん、アーシアのお姉さんだし。

 

というわけで、オカルト研究部の部室にいるのは、お馴染みの部員に花楓ちゃんと奏さん、夕麻ちゃん。さっきまでいた顧問の理恵先生だけなんだけど――。

 

「――てなわけで、今日からこのオカルト研究部の副顧問になった。アザゼル先生と呼べ。もしくは総督でもいいぜ?」

 

着崩したスーツ姿のアザゼルが部室にいた。

 

「あらあら~、そこはぁ~、私の席ですよぉ~?」

 

直後、何処からか現れた理恵先生が後方に般若を出しながら微笑む(怒る)

 

しかし、全く動じないアザゼル……先生。

 

「おっ、アザゼルがここの副顧問か!」

 

理恵先生と同じく、突然現れた兄さん。

 

「理由は訊くなよ?面倒な上に面倒だからな」

 

「ただ面倒なだけじゃん」

 

俺はつい突っ込んでしまう。

 

「アザゼル、その腕は……義手か?」

 

「見るか!?人口神器の研究ついでに作った本物そっくりの義手だ。光力式レーザービームやら、小型ミサイルやらを搭載できる万能アームさ。左腕を失くした記念につけてみたんだよ!」

 

バシュ!

 

アザゼル先生の義手が飛び出した!!部室を大きく旋回して――アザゼル先生の左腕にくっ付いた!!

 

「俺がこの学園に滞在できる条件は――まあ、大体予想はついているだろう?おまえ達の神器の正しい管理と成長。それの監督役だ。これから先、いつ『(カオス)(・ブリ)(ゲード)』が攻めてくるかわからない。そのためと言ってもいいだろうな」

 

アザゼル先生の言葉に皆が真剣な表情になる。

 

「ところで、カテレアの方はどうなったんだ?龍介」

 

耐えきられなかったのか、アザゼル先生は話を兄さんに振る。

 

「あぁ。レヴィが面倒を見ているよ。俺もたまに見に行くけどな。目を合わせると、睨みつけられた」

 

兄さんは苦笑いをして話をしている。

 

「そうか。なら、心配はいらねぇな!今日はバーベキューだろ?」

 

「あぁ。とっくに用意はしてある。俺の家の庭でな」

 

「あいつらも来ればいいのにな」

 

「仕方がないだろ?サーゼクスとセラは魔王。ミカエルは天使長。おまえだけなんだよ、自由にいられるのは」

 

「まぁな」

 

「全員の部活、生徒会が終わったら家に集合な。霜降り松坂牛があるぞ?」

 

兄さんの言葉に全員の目が光った……怖っ!!

 

「じゃ、俺は用意…じゃない。買い出し行ってくるわ」

 

そう言って、部室を出ていく兄さん。用意って言いかけてたな。

 

「あぁ。これもミカエルさま、主のおかげです」

 

「そうだね、アーシア」

 

「「アーメン」」

 

元協会二人組は、天に向かって『アーメン』とお祈りを捧げている。普通なら、悪魔の二人はダメージを受けるのだが、あの襲撃の終わった後に、俺がミカエルさんに相談したんだ。すると、ミカエルさんは快く引き受けてくれた。だから、悪魔の二人は特別に祈れるわけ。

 

こうして、時間が来るまで色々と話をしたんだ。

 

                    D×D

 

――三時間後――

 

「――では、三大勢力トップ会談が無事に調印できたことを記念して……かんぱーい!!」

 

『かんぱーい!!!』

 

わいわい――。

 

調印式が会談の次の日に行われ、無事に代表三人が調印した。

 

今は遠山家でバーベキュー際を行っている。

 

参加者は、遠山家、オカルト研究部、生徒会、『煉獄の七姉妹(セブンス・シスター・アビス)』、エール、使い魔の三()。まあ、一部を除いた会議の出席者だな。

 

「イッセーくん」

 

少し離れた場所で、朱乃がイッセーに抱きついている。

 

リアスから事前に聞いていたことだが、今日より朱乃、ゼノヴィアが同居になった。そして『リフォームをしてもいいか?』と許可のお願いもされてしまった。

 

まぁ、リフォームのことはちょっと前から考えていたし、サーゼクスたちがタダでしてくれるようだから、二つ返事でOKを出しておいた。

 

カテレアは、俺の造った木遁の特殊な結界を張った屋敷で生活してもらっている。生活物はすべて配置していて、何不自由ないだろう。まぁ、軟禁状態になるな……外に出られない上に、転移魔法陣もその他の魔力によるものも使えないからな、中は。

 

その屋敷は、ここから数十メートルしか離れていない。目の届く場所にある。いつも、レヴィが面倒を見に行っていて、何も問題なさそうだ。俺には大ありだけどな。

 

「兄さん、ちょっといいかな?」

 

「ん?何だ、イッセー」

 

「実はさ、今度の学園の夏祭り、バンドをすることになった」

 

「……………」

 

バ、バンド!!?

 

「兄さん!演奏を教えてください!お願いします!!」

 

手を合わせ頭を下げるイッセー。

 

「わかったよ。そのかわり、死ぬほど特訓してやるからな」

 

「二週間しかないけど、よろしくお願いします!!」

 

こうして、楽しい一夜は深夜を回るまで続いた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。