~夏祭りin 駒王学園~
「全員集まったな?」
和平締結の打ち上げより二日後、俺はリビングにここに住んでいる者の他、数人にも来てもらっていた。
「兄さん、どうやって練習するの?」
こいつは、俺の義弟の兵藤一誠。
「そうだな……最近完成した部屋で二週間必死に頑張ってもらおうと思う。と言っても、その部屋は俺の作った特殊な部屋だから……まぁ、入ってみればわかるさ」
俺はあるモノを持ってくるために、自室へ戻る。
部屋のクローゼットを開け、壁にかけてある特殊な結界を解く。
結界が消えた後、壁を外し、中から段ボール四個を取り出した。
「これで全部だな」
俺は軽くした段ボール四個を抱え、リビングに戻る。
「悪い悪い。この中に入っているモノを使ってもらおうと思う。俺が向こうで集めたりしていたもの。ここにはないモノばかりだぞ」
俺は段ボールのテープを剥いでいく。開けると中には大量のCD、衣装、楽譜が整理された状態で詰め込まれていた。
「こ、これ、全部兄さんの所有物?」
「そうだが?」
『…………』
これに唖然と固まってしまった面々。俺を含めた転生者四人は、ごく普通の態度でいる。
「懐かしいですねぇ~」
リエが中から、どこかのセーラー服を引っ張り出す。
「それ、リエ姉さまの制服ですね」
奏が服を見て言う。最近、向こうにいた頃のように奏と花楓はリエのことを『リエお姉さま』と呼んでいる。プライベートでのことだが。
いろいろ集めていたもんだな……俺。イッセーたちには漫画本とかを貸していたんだが……まぁ、いいか。
「これの中から使ってもらおうと思う。変なものは入ってないから安心しとけ。全員二週間分……いや、四か月分だな。その分の私用物を持ったら、開かずの間の前に集合しろ。その中が練習場所だ」
「兄さん、その『四か月分の私用物』って何?」
「おまえもわかっていないな。簡単に言えば、生活用品や、生理品などのことだ。生活用品ぐらいはわかるだろ?泊まるのに必要なモノのことだ」
「なるほど」
ついでに補足も入れておこう。
「イッセー。エロ本は持っていくなよ?あくまでも『バンド』の練習であって、『エロエロ』な練習をするわけではない。わかったか?」
「わ、わかったけど……隠し場所知ってたの?」
「当たり前だろ。兄だからな」
「兄関係ないっしょ」
「全員知っているぞ?」
そう俺が口にすると、先日来たばかりのエールたち以外は首を縦に頷いた。
「マ、マジか――」
イッセーが頭を抱えて唸ってしまった。
「それはいいとして、準備できたら集合な」
俺は段ボール四個を抱えると、自室に戻り、支度する。
必需品諸々。あれやこれやを神威で吸い込んでいく。
準備が完了し、開かずの間の前へ。
数十分後、全員が集まった。
「全員用意はできたな?いくぞ?」
俺の問いに全員が頷いた。
扉を開き、中に入る。
『おお~!!』
感嘆の声。
目の前に続く廊下に、左右には各室がズラリ。
そう、ここは歌などを収録するスタジオを真似たもの。収録部屋が約三十ほど。奥にはエレベーターがあり、上に行くと演奏ホール。下に行くと生活空間となっている。
俺はエレベーターへ乗り、下へのボタンを押す。
総員五十名は乗れるように設計しているため、今いる人数でも余裕で乗れる。
地下につくと、左右には『朱雀の間』と『玄武の間』があり、奥には『青龍の間』がある。
「俺とイッセーは青龍の間を使う。残りは朱雀の間と玄武の間を使ってくれ」
俺はイッセーを連れて青龍の間へ入る。
中は広く、畳が敷いてある和風の部屋。約三十畳はある大広間。どの間もそれぐらいはある。
ここにはトイレと風呂も整備している。一間、銭湯と同じ仕組みの浴場とトイレが奥にあり、他にも冷蔵庫や洗面台なども整備してある。
「準備したら、二間の前にいくぞ?」
「は、はい」
気合を入れるイッセー。
俺は神威で必需品の数々を引きずり出して、用意する。
例の段ボールを抱えて、青龍の間をでた。
イッセーと二間の前で待つこと十分。
二間からジャージに着替えた全員が出てきた。
「全員集まったみたいだな。参加するのは……主にオカルト研究部と俺、黒歌か。残りは先日引っ越してきた
俺の問いに頷く面々。
「それなら、不参加者には身辺のことをしてもらおうかな。料理とか、掃除とか」
『任せてください』
エールを除く不参加者は快く引き受けてくれる。
当のエールは――。
「――見学したい」
予想外の返答が返ってきてしまった。
「構わないが……邪魔にならないようにしてくれよ?」
「うん」
あっさりと了解したエール。
「楽器は自動的にセッティングされるからいいとして、先ずは……曲選びからだな。移動するぞ」
俺は参加者の全員+エールを連れて上階へ。
さてと、五十以上ある中から厳選二十でもしますか。
「全部聴こうと思うが、フルだと時間がかかりすぎてしまう。ということで、サビの部分だけを編集したモノを流す。この紙に書かれている順番にだ。気に入ったものにチェックを入れていってくれ」
一人一枚ずつ用紙を配っていく。
鑑賞席に座ってもらい、耳にヘッドフォンを被ってもらう。
「手元のボタンで音量の調整ができるから、自身でしてくれ。始めるぞ?」
俺もヘッドフォンを被って、PCを使って操作する。
~♪
前世で聴いていたアニソンが流れていき、一時間半ほどで終了した。
用紙を集めて、集計結果をホワイトボードに書き連ねていく。
五十以上の曲の中から、厳選で十八曲が決まった。
「――以上が投票のあった曲だ。次は……ボーカルだな」
次もまた用紙を配っていく。
「一人五曲まで。歌いたいと思ったものにチェックを入れていってくれ」
五分後、全員の用紙を回収してホワイトボードに書き連ねていく。
「ふむふむ。意外といい感じに分かれたな」
集計を見ると、ソロもいれば五人のところも出ている。
「まず、一か月間はボーカルの練習。次の一か月は演奏。残りは流していく。いいな?」
バランス的にみると……俺、フルで演奏出ないといけないよな。
ん?待てよ。
「一か所、ボーカルに穴があるぞ?」
よく見ると、一曲だけ誰もチェックを入れていない。
「リュースケが歌ったら?」
「俺が?」
「うん!」
奏が満面の笑みで言う。
「(は、嵌められた……)」
今の反応から見ると、二票しか入っていなかった曲なのはこれだけ。
奏の横で花楓が噴き出し笑いをした瞬間が見て取れた。
ヤラレた。花楓と奏は俺が歌えることに気づいていたようだ……いつからだ?
「ま、まぁ、俺も一曲ぐらいはいいだろう。さてと、時間も少ない。とっとと進むぞ」
俺は片づけをして、部屋を移動する。
各部屋に振り分けて発声練習をする面々。それを廊下から見ているエール。
初日はこれといった練習はせず、発生練習のみで終えた。
D×D
日は刻々と過ぎ、期限の日。
本番前日、練習を終えた面々は片付けに入る。
この四か月で全員上手くなったと思う。一応バンドなので、一曲の参加人数は決めてある。その組み合わせで最後の二か月練習をしてみた。初めは上手くいっておらず、ボーカルと演奏のテンポが全く合っていなかった。しかし、残り一か月を切ったところで合いだして、二週間前には完全に合うようになっていた。
片づけが終わり、集合場所の玄関口前へ。
数分すると、全員が集合した。
互いに「お疲れ」と声を掛け合っている。
「さて、明日は……と言っても、向こう側は明け方。早朝より楽器を運送しなければならない。寝られるのは運送が終わってから本番の一時間前まで。部室で待機になっているが、俺とイッセーはトラックの中で仮眠をとる」
皆眠そうな眼を覚まして、開かずの間を出ていく。
現在は午前五時。時間の感覚がう○○また○うの真逆の状態になっている。
俺も欠伸を噛み殺しながら、予約しておいたトラックを取りに行き、家の前につけた。そして、トラックに使用する楽器を運び込んでいく。
時間は午前五時五十分。ちょうどいい時間だ。
助手席にイッセーを乗せて出発する。残りは徒歩による動きとなった。
通りを走ること十分。
学校の門前にトラックを停めた。
「おはようございます。搬送ご苦労さまです」
出迎えてくれたのは、生徒会だ。
ソーナが運転席横から挨拶をしてきたので、俺も挨拶をする。
「おはよう、ソーナ。朝早くからすまないな」
「いえ、生徒会の仕事のうちですから」
「よう、調子はどうだ?兵藤」
「ん~?匙か。眠いけど、いいぜ?」
「そうか!いやな、どんなヤツするのか楽しみでさ!」
隣で盛り上がる匙とイッセーの会話。
「さて、中に通してもらってもいいか?」
「はい。どうぞ」
門を通って中へ。校庭には屋店のテントが張っており、祭りの準備がほとんど出来ている状態だ。
案内される通りに進むと、十数メートル先に特設のステージがセットされていた。
俺はステージの裏にトラックを停め、機材や楽器の乗っている荷台を開けた。
「中の機材やらは、軽重化してあるんで…二人いれば運べる」
俺は補足を入れて、イッセーと運び出す。
生徒会もその後に続いて運び出す。
おおよそ運び出したころで、リアスたち――徒歩組が到着した。
その後、リアスたちと合流して、二時間にわたって準備を進めた。
午前八時過ぎ。音響機械のチェックなどを踏まえたテストをした。
全て順調に進んで、休憩時間へ。
女性陣は部室と生徒会室に。俺とイッセーはトラックの中で仮眠をとることにした。
D×D
午後六時半。本番の時間となって準備をした俺たちは、衣装を着てステージ裏でスタンバイしている。
ソーナには機器の説明をして操作してもらっている。
その操作と生徒会メンバーへの指示は的確。流石に『すごい』と俺は思った。
「――それでは、オカルト研究部の皆さん。おねがいします」
生徒会の一人――誰だっけ?えーと…椿姫だったっけ?副会長の。
その女生徒による紹介の後、第一曲目のメンバーがステージへ上がる。俺もだけど。
会場は大騒ぎ。どんだけ嬉しいんだか。
高速でチューニングしていくメンバー。練習してると自然とできてしまったのだ。
「一曲目、『
ボーカルのレイナーレが中央で曲名を言う。レイナーレの右にカラワーナ、左に冴子が立っており、三人ともマイクを握る。
~♪
俺とイッセーのギターがスタートを切る。続いて龍巳、白音の演奏が入ってくる。
歌詞の空白でバックが大きくなり、入ると同時に元に戻る。
三人は息を合わせて個と合を練習通りに歌っていく。
演技として、三人の背中から堕天使の翼が展開する。
もちろん、俺が制作したもので本物ではない。
一曲目が無事に終わり、二曲目に続けて入る。
その二曲目も終わり、三曲目へ突入。
四曲目はボーカルの交代――リアスを中心に、朱乃、祐奈、アーシアの四人が立つ。
五曲目も同じく配置をアーシアが中心になっただけ。
六曲目でボーカルは代わり、二~三曲ずつ代わっていく。
順調に曲は流れていき――。
十五曲目で俺の番が来てしまった。
俺はギターを持ったまま前へ。
そう。俺は歌いながら弾く!
「十五曲目『
ギターとボーカルを同時に入れる。
歌詞の空白にはギターで盛り上げる。
最後のサビの部分で用意していた『龍の翼』(自作)を展開してフィニッシュ!
会場もボルテージが上がりまくっている。
残りの三曲も順調に進んで、二時間にわたる
D×D
一曲目『
(vocal/冴子、レイナーレ、カラワーナ)
二曲目『
(vocal/冴子、レイナーレ、カラワーナ)
三曲目『激情論』
(vocal/冴子、レイナーレ、カラワーナ)
四曲目『
(vocal/リアス、朱乃、祐奈、アーシア)
五曲目『方程式は答えない』
(vocal/リアス、朱乃、祐奈、アーシア、ゼノヴィア)
六曲目『魔・カ・セ・テ』
(vocal/春奈、理恵)
七曲目『***パショナート』
(vocal/春奈、理恵)
八曲目『
(vocal/マリア)
九曲目『
(vocal/マリア)
十曲目『Link』
(vocal/黒歌)
十一曲目『緋色の空』
(vocal/黒歌)
十二曲目『
(vocal/奏)
十三曲目『
(vocal/奏)
十四曲目『
(vocal/花楓、龍巳、理子、ミッテルト、白音)
十五曲目『
(vocal/龍介)
十六曲目『CLOSER』
(vocal龍介、/一誠)
十七曲目『
(vocal/花楓、龍巳、理子、ミッテルト、白音)
十八曲目『夏祭り』
(vocal/全員+演奏)