ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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冥界へGO!

数日後――俺を含めた遠山家とオカルト研究部のメンツはまず、最寄りの駅に向かった。

 

イッセーたち学生は、駒王学園の夏征服。比べて俺は『暁』の装束に『暗部』の狐の仮面をかけた、どこかの不審者といったら納得してしまう姿だ。だが、魔法で周囲(一般人)からは、スーツを着込んだ『サラリーマン』の姿で映って見えている……はず。

 

リエは相変わらず、白衣を着ている。その他は、各々で決めている服装をしているが……黒歌もリエと変わらず、お気に入りの着物を着て歩いている。

 

リアスたちの歩みが止まる。目の前には、定員五人乗れるかどうかの小さなエレベーターがある。

 

「じゃあ、まずはイッセーとアーシアとゼノヴィア来てちょうだい。先に降りるわ」

 

「お、降りる?」

 

リアスの言葉に疑問を口にしたイッセー。

 

「…………白眼(びゃくがん)

 

俺は気づかれないように……って、仮面しているのに関係ないと思いながらも、こっそり白眼で地下を透視する。――地下は特殊な結界に包まれており、ちょっとやそっとの事では認識されないようにされている……人間には見つからない空間だ。

 

俺は白眼を引っ込めると、万華鏡写輪眼に変化させる。エレベーターに乗るのが面倒だからだ。

 

「慣れている祐奈と朱乃は後から来てちょうだい」

 

「「はい、部長」」

 

二人の返事を聞いたリアスは、イッセーたち三人を連れて乗り込んだ。

 

しばらくして、上へ昇るマークが出されてエレベーターが動く……カモフラージュか。

 

「――億劫だ」

 

俺は一言吐いて、指を鳴らした。――直後、このエレベーターの周囲から人が遠のきだす。ほかのエレベーターに並び、こっちへは来ない。

 

「……リュースケ、何をしたの?」

 

(スプラ)(イト・ド)(ラゴン)のスバルがコソっと訊いてきた。

 

「人払いと、アザゼルたち三人+一個以外に不可視の結界を張ったんだよ。周囲からは祐奈、朱乃、アザゼル+一個しか見えていない。――ということで……」

 

俺は手元にチャクラ糸を出して、三人+一個を除いたメンツを引き寄せた。

 

「――部分倍加(ぶぶんばいか)

 

引き寄せた直後に、自身の両腕を大きくさせて包み込むようにそっと触れる。

 

『――っ!!』

 

これには全員驚いたらしく、目を見開いている。

 

神威(カムイ)の発動条件で自身以外を引きずり込むには、発動者が触れていないと無理なんだ。直接、又は間接的にでもいい。触れていれば引きずり込むことができる。

 

「先に降りるよ。――神威(カムイ)

 

スゥー――。

 

俺の右目が渦を巻き始め、自身と腕の中にいるメンツを転移させる。

 

直後、風景が変わって目の前にエレベーターがあり、後方には広――いや、ものすごく広い空間がある。

 

俺は術を解いて、腕を元の大きさに戻した。

 

その時、エレベーターのドアが開いてイッセーたちが出てきた。

 

「――え?」

 

リアスが驚きの声を一瞬だけもらす。

 

「よぅ。後からアザゼルたちは『それ』で降りてくるから」

 

俺はエレベーターを指さして言う。

 

「……とまあ、認識されないように結界を張ったから」

 

一応のフォローは入れておく。

 

「……え、えぇ。わかったわ」

 

引き気味に答えるリアス。

 

それから二分ちょっとでアザゼルたちが乗って降りてきた。

 

合流した俺たちは、リアスの後ろについて歩く。

 

「――ここが、三番ホームよ」

 

『おぉ~』

 

目の前には列車『らしき』大型の物体が停まっていて、イッセーたちが関心の声を漏らしていた。『らしき』と言ったのは、地上の列車のフォルムに酷似しているから。

 

「グレモリー家所有の列車よ」

 

リアスが堂々と答える。わからないことでもない……少しぐらい自慢したいのだろう。

 

それにしても、相当な経費がかかっているな。改築された遠山家だって、周囲にご近所がないにしろ、周囲が大よそ縦横一般の一軒家十軒ずつはある。完全に大豪邸と化していたんだよな……山のふもとでよかったと思う。

 

ついでに、カテレアを軟禁している『木遁』屋敷まで改築されていたしな。

 

自動で開いたドアを(くぐ)り、列車の中へと足を踏み入れる俺たち。

 

全員が乗り終わったのが確認されたようにドアが閉まる。

 

そして、『リィィィィィィン』と汽笛が鳴らされて列車が動き出した。

 

リアスは列車の先頭車両……いわゆる『ファーストクラス』で、眷属のイッセーたちを含めるオカルト研究部+カミュは中間車両。俺たち『暁』は、後列の車両となった。しきたりに沿ったそうだが、客分である俺たちを含めると……こういう配分になったらしい。カミュのは、わがままなんだけどな。

 

そういえば、『暁』も『煉獄の七姉妹(セブンス・シスター・アビス)』、『神の子(エール)』、『邪龍(アース)』、『族龍(スバル&メイル)』の十一人(?)を迎え入れたことにより、人員が増加し……中小規模の精鋭部隊になってしまった。

 

列車が発車し、各々が席に座る。

 

俺の座っている席は三人ほど腰をかけることができるが……俺一人のため、悠々と横になって寝ることにした。

 

他愛のない会話をしているのを聞きながら、俺は意識を落としていった。

 

                    D×D

 

『――ん?ここは……』

 

俺は見知らない空間に立っていた。

 

地下道のような……そうでない場所。――そこを歩いている俺は、何かに魅かれるように歩みを進める。

 

しばらくして、俺はトンと歩みを止めた。目の前には大きな鳥居が建ててある。

 

『――おまえか、我を封印した者は』

 

デカい鳥居の奥から低く、恐ろしい声が聞こえてきた。

 

『そうだ。と言っても、一度封印を解いたんだけどな』

 

俺は最低限の刺激だけで抑えれるよう答えておく。

 

『……ふっ、よもや、こんな人間に封印されるとは……我も弱ったものだ』

 

何だか勝手に自嘲し始めたぞ?

 

俺はデカい鳥居を潜って、奥へと歩みを進めた。その奥には、首が八本、尾が八本、胴が一つのドデカい蛇が横たわっていた。

 

『かなり大変そうだな。――八岐大蛇(やまたのおろち)

 

『――おまえが、こうしたのだろう?かなり窮屈だ』

 

七つの首と胴、八本の尾を巨大な鳥居で抑えられている蛇を目のあたりにする。

 

『解いてほしいのか?』

 

『解けばおまえを飲み込んでやる』

 

俺は有無を言わずに、腹部にある八卦封印を解いた。

 

『――バカが!!』

 

八岐大蛇は、封印の鳥居が解けるや否や、俺に飛びかかるように高速で襲ってきた。

 

『――須佐能乎(スサノオ)ッッ!!』

 

俺は瞬時に須佐能乎の骨格を形成し、修験者の布を被せ、天狗の面をかける。そして、二本の左手で八咫鏡(やたのかがみ)を八岐大蛇の顔面にぶつけて無力化し、残りの二本の右腕で胴を押さえつけた。

 

『……ぐはっ!!バカな――』

 

『俺が止められないとでも思ったか?笑止だ。おまえは舐め過ぎている。精神の中なら、須佐能乎の完成体を作り出すくらい容易だ』

 

それを聞いて、八岐大蛇は大人しくなる。

 

『――八岐大蛇(やまたのおろち)。おまえは封印から解放されている身だが、魂しか残っていなかった。完全な自由ではないが、小さな自由ぐらいならある』

 

『…………』

 

『俺の分身を用いれば、少しの間だけだが……自由に行動できるだろう』

 

『……フッ。それ以外はおまえの中に居ろと?』

 

『そうなるな。だが、悪くないと思うぞ?二度と封印されることなく、自由に行動できる。どうだ、この条件で俺の中に住むのは?』

 

俺は須佐能乎を八岐大蛇(やまたのおろち)から遠退けた。

 

『(――条件的には、あまり悪くないはず……。いや、難しいか?)』

 

『――ハハハッッ!!いいだろう!おまえの中に居座らせてもらおう』

 

『……そうか。八卦封印は解いておくから――』

 

『力を貸せと言いたいのだろう?いいぞ、貸してやる。おまえの力を見込んだ上の事だ。そう簡単に死ぬ(たま)でもない。二度と封印されるのは御免(こうむ)りたいのでな。実体を持てば、また封印されるだろう?』

 

『結構頭がいいな。あっさり断られると思っていた』

 

『頭が切れると言ってほしいところだ。まぁ、酒につられて封印されたことは内緒にしてほしい。さすがに――』

 

『わかっている。だが、諸説ある中で『そのこと』は一部載ってあったぞ?』

 

『なぬッ!!我が封印されている間に、そんなことが……』

 

『諸説ある中のごく一部だ。結構有名なんだがな』

 

『うぅ……』

 

あれ?泣いちまっているな。八頭の首が同時に泣くって……珍しいが、フォローぐらい入れてやろう。

 

『そう嘆くな。真実は誰も知らない……俺の調べた記録(記憶)だ。見てみろ』

 

『…………』

 

『な?ほとんどは伝説でも真実じゃない。この中に事実のモノがあったか?』

 

『……ない。一部だけ一致しているモノがあるが、一つも全てを語っていない』

 

『だろ?誰も真実を知らないんだ』

 

『……うむ』

 

納得したー!!いや、ある意味助かったんだけどねっ!うん。

 

『というわけだ。これからよろしくな……叢雲(ムラクモ)

 

『ムラクモ?』

 

『おまえの呼び名だよ。正体を簡単にバラすわけにはいかないだろ?』

 

皮肉な呼び名になるな。死後、取り出された有名な聖剣『草薙の剣』の別名から取ったのだから。

 

俺は叢雲との交渉を終え、意識を現実へと戻した。

 

                    D×D

 

「――んぅ」

 

俺は目を覚まし、上体を起こした。

 

腕時計を見ると、四十分ほど寝ていたようだ。

 

「――すぅ」

 

近くで寝息が聞こえて、俺は見回してみた。すると、さっきまでおれの頭が置かれていた場所の横にリエの寝顔があった。

 

久しぶりに見たリエの寝顔。転生前は、よく見ていたのにな……。

 

「――うれしそうですね」

 

近く――前の席から、暗い声が聞こえてきた。

 

俺はゆっくりとその方を向く。そこには、レヴィとサルベリアが顔をのぞかせていた。

 

「……ん?そうかな?いや、そうかもしれない。転生前はよく見ていたのに、今は一度も見ていなかったからな」

 

俺の言葉を聞いて、レヴィは頬をふくらまし、サルベリアは一層鋭く睨みつけてきたぞ。

 

「…………」

 

俺は無言だが、二人に微笑んでおく。

 

すると、二人は慌てたように引っ込んでしまった。

 

『もうすぐ次元の壁を突破します。もうすぐ次元の壁を突破します』

 

直後、アナウンスが入ると……外の風景が変わり、紫色の空と山などの景色が見えてきた。

 

「――綺麗ですねぇ~」

 

俺の隣からのんびりとした声が聞こえた。

 

「起きたのか?」

 

「は~い。少しウトウトしていましたぁ」

 

「そうか」

 

俺は再び視線を窓の外へ向ける。

 

「久しぶりの景色だ。――入国手続きしたっけ?」

 

ふと思い出したことに、リエが答えた。

 

「さきほどぉ、それらしき事をしていましたぁ」

 

「そうなのか?寝ている間に……か」

 

それならいいと、三度(みたび)外へ視線を移した。

 

                    D×D

 

数十分後、再びアナウンスが入る。

 

『まもなくグレモリー本邸前。まもなくグレモリー本邸前。皆さま、ご乗車ありがとうございました』

 

ガクンッ。

 

列車が止まり、ドアの開く音が聞こえる。

 

「――終点か。降りるぞ」

 

俺は降りようとドアのほうへ歩み寄った時、前方からアザゼルが歩いてきて……俺の前に立ち止まった。

 

「悪いな、龍介。俺とおまえはこのまま魔王領へ向かう。他は降りていいぞ」

 

アザゼルのせいで、俺は降りることができずにそのまま魔王領へと向かうことになった。

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