ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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温泉は桃源郷!?

「そうか、シトリー家と対決とはな」

 

会合後、俺たち全員はグレモリー家の本邸に帰ってきた。そこで出迎えてくれたのは……アザゼルだった。それから広いリビングに集合し、アザゼルに先ほど話した内容を話した。

 

「……対戦日まで約二十日間か」

 

「しゅ、修行ですか?」

 

イッセーが訊くとアザゼルはうなずく。

 

「当然だ。明日から開始予定。すでに各自のトレーニングメニューは考えてある」

 

「でも、俺たちだけ堕天使総督のアドバイス受けていていいのかな?反則じゃないんですか?」

 

こいつ、俺との修行のことを忘れて言ってやがるな?俺の特訓は違反に値しないのか?

 

「別に。副総督のシェムハザが各家にアドバイス与えているくらいだし、俺は色々とデータを悪魔側に渡したつもりだぜ?あとは若手悪魔の己のプライドしだい。強くなりたい、種の存続を高めたい、って心の底から思っているのなら脇目を振らずだろうよ。それと――」

 

アザゼルはこっちを見て真剣な表情で言った。

 

「――龍介、おまえ……何かトラブルに巻き込まれたな?」

 

『っ!?』

 

ウソだろ!?何でバレてんだ?

 

「おまえ今、『なぜバレた』って思っただろ」

 

「…………」

 

俺は黙ってしまい、何も言えなくなった。

 

「図星だな」

 

「あぁ。その通りだよ」

 

俺は仕方なく、ロリ神との会話の内容を話した。

 

「――ということだ。この件は俺とリエ、奏、花楓の四人だけで対処する」

 

「まったく、面倒なことになっちまったな。わかった、俺たちは手出しをしない。かなり危ない奴らみたいだしな」

 

「そうだ、俺の記憶では……二人とも不死身なゾンビコンビだ」

 

「そうか……」

 

「心配するな。あいつらは冥界の極端にいる。そう易々と来れない距離だろうからな。明日、偵察でここを発つから」

 

「りょーかい。そういうことだ。明日の朝、おまえたち全員は庭に集合。そこで各自の修行方法を教える。覚悟しろよ」

 

切り替えてイッセーたちに言うアザゼル。

 

『はい!』

 

リアスたち参加組は声を合わせて返事をした。

 

皆が笑い合う中で、一人――白音だけ元気がないように見えた。

 

                    D×D

 

「皆さま、温泉のご用意ができました」

 

雑談の中、グレイフィアさんが現れて報告してくれる。

 

お、温泉!!最高の報告だ。

 

グレモリーの庭の一角にポッツリと存在している温泉。

 

悪魔文字で書いてある『男』ののれんを(くぐ)って、脱衣所へ。

 

脱衣を済ませて、いざ温泉へ!!

 

俺はさっそくアザゼル先生と共に浸かる。いい湯だなぁ、癒される。

 

兄さんは『偵察の準備があるから、先に浸かってこい』と、部屋へ戻ってしまった。すると、そのあとに黒歌姉さんたちが一斉に立ち上がって『用事が出来た』と言い残し、どこかへ行ってしまった。

 

だから、女風呂にはオカ研の女子メンバー(暁を除く)+カミュが入っているんだ。

 

「旅ゆけば~♪」

 

温泉に浸かりながら、鼻歌交じり時の歌を歌っている。黒い十二枚の翼も展開にしていた。

 

「ハハハハ、やっぱ冥界――地獄といえば温泉だよな。しかも冥界でも屈指の名家グレモリーの私有温泉とくれば名泉も名泉だろう」

 

なんとも温泉に浸かりなれている総督さまだぜ。俺の家にも温泉はあるけど、室内だしな。

 

「(……そういや、ギャー助はどこだ?いくら女装っ子だからって、裸の付き合いをできないのはどうだろうか?)」

 

入り口の方を見ると……案の定。ウロウロしているギャスパーがいた。

 

俺は一旦上がって、ギャスパーのもとへ。

 

「おいおい、ほら、温泉なんだから入らなきゃだめだろう」

 

入口のギャスパーを捕まえる。

 

「キャッ!」

 

かわいらしく声を上げるギャスパー。

 

俺はこのままだと違う世界に行きかねないと思い、有無を言わさずにギャスパーを抱え上げた――お姫様抱っこで。

 

そして、一気に温泉にへ――。

 

ザパ――ンッ!!

 

放り投げてやった。

 

「いやぁぁぁぁぁん!あっついよぉぉぉぉ!溶けちゃうよぉぉぉ!イッセー先輩のエッチィィィィッ!!」

 

『イッセー、ギャスパーにセクハラしちゃだめよ?』

 

木霊したギャスパーの絶叫に部長が答えた。そのあと、女子たちのクスクスという小さな笑い声が聞こえた。恥ずかしい!!

 

ザバ――ン!!

 

俺はたまらなくなり、温泉に飛び込んだ。

 

引きこもりを温泉に入れただけなのに……。

 

浮かび上がった涙目の俺に、先生が声をかけてきた。

 

すごくいやらしい顔なんですけど……。

 

「ところでイッセー、女の胸を揉んだことはあるか?」

 

「は、はい!こう手でモミモミっと!」

 

「そうか、じゃあ……こう、女の乳首を指でつついたことはあるか?」

 

「い、いえ。まだです」

 

宙を指で押すようにしていた先生が、俺を見て嘆息した。

 

「なんだ、おまえ。乳を指でつついたことがないのか?乳首をな、『ポチッ』とじゃなくて、『ずむっ』とつつくんだよ。指が胸に埋没していく様は圧巻だぜ?」

 

「(なん……だと……?)」

 

直後、俺の体中に電撃が走った。

 

た……確かにデカいおっぱいの場合、どこまで指が埋まるのか気になるが……しかし!!

 

「ち、乳首は玄関のブザーじゃないんですよ!?」

 

しかし、先生は俺の言葉に首を振り、にやける。

 

「いや、あれはある意味ブザーに近い。押すと鳴るんだよ。『いやーん』って」

 

「――ッッ!!!」

 

再び俺の体中を電撃が走った。

 

「おっぱいって、乳首って、そんなに機能があったんですね」

 

直後、俺の耳に女の子たちの声が届いた。

 

『あら、リアス。またバストが大きくなったのかしら?ちょっと触ってもいい?』

 

『そ、そう?ぅん……。ちょっと、触りかたが卑猥よ、あなた。って、そういう朱乃も前よりブラジャーのカップ変わったんじゃないの?』

 

『前のは多少キツくてもそのままにしていたものだから……。けれど、最近は大きく見せてもいいかなって思えてきたのよ。見せたい相手がいると、女は大胆になるわね、リアス』

 

『……そ、そうね。けれど、あまりあの子を刺激しないでちょうだいね』

 

『ひゃん!……カミュさん?』

 

『あらあら、朱乃ちゃんったら、かわいい声を出すのね』

 

『……ぁん。カミュさん、そこは……ぁあん』

 

『ちょ、朱乃!手をはな……ぁん』

 

『アーシアもやってみるか?聞いた話では揉んでもらえば大きくなるらしいぞ?こんな風に――』

 

『はぁん!!ダ、ダメですぅ!ゼノヴィアさん!あっ……うぅぅん……そんな、まだイッセーさんにもこんなことされて……』

 

『ふむ、アーシアのは私と違ってさわり心地がいいな。なるほど、これなら男も喜ぶかも……ひゃ!!』

 

『ゼノヴィア、あなたは隙がありすぎるわよ。ほら』

 

『レ、レイナーレ!?くそ、不覚を取られた!こうなれば――』

 

『え?ちょっ、ゼノヴィア!?はゎっ!!』

 

『へぇ~、レイナーレにも隙があるぞ。ほら!』

 

『や、そこは……ぁあん』

 

「(…………)」

 

俺は女湯から聞こえてくる女子たちの会話に――興奮していた。鼻血がドバッ!!っと大量に流れて……あー、ヤバいな。早く止血しないと。

 

俺だって男だ。覗いてみたい!!男湯と女湯を隔てる壁!これを登ってあちら側を覗きたい!!

 

俺はどこかに穴がないかと壁周辺を調べてみる。

 

「なんだ、おまえ。覗きたいのか?」

 

アザゼル先生がいやらしい笑みを浮かべて俺に訊いてくる。

 

「せ、先生!これはその!」

 

「別つにいいじゃねぇか。男同士なんだしよ。温泉で女湯を覗くのはお約束ってもんだ。――だけどな、それじゃスケベとしては二流以下だ」

 

「二流ですか!!じゃ、じゃあ、どうすれば一流に!?」

 

先生は一瞬考える素振りを見せた後、俺の腕をつかんだ。

 

「――そうだな、こんな感じかなっ!!男なら混浴だぞ、イッセー!!」

 

ぶうぅぅぅぅぅぅぅん!!!

 

俺は突然の浮遊感に襲われ、同時に景色がグルグルと回る。

 

あの総督、俺をぶん投げやがった!?

 

景色が女湯へ変わり、部長たちと目が合う。そうして次の瞬間――。

 

ドッボォォォォォン!!!!

 

俺は勢いよく温泉にたたきつけられて、湯の中をもがいていた。

 

お湯から飛び出ると――そこは、まさに桃源郷だった。

 

ブッ!!

 

突如吹き出す鼻血。当たり前だ。野郎のいたところから女体だらけの場所へ転移すれば、世界が変わるんだ。

 

突然飛んできた俺に罵声の一つでもくるのかと思ったが――。

 

「あら、イッセー。アザゼルに飛ばされてきたのね?ちゃんと体は洗ったの?」

 

「うふふ、イッセーくんったら。大胆ですわ」

 

それより、お二人は前を隠そうともせずに近づいてくる。

 

部長より一瞬先に朱乃さんに捕獲される俺。

 

「イッセーくん♪捕まえましたわ」

 

むにゅっ!!

 

正面から抱きつかれ、俺の体に朱乃さんの柔らかい体が密着してくる!!

 

むにゅっ!!

 

今度は後ろから柔らかい感触が襲う!

 

俺の肩から部長のお顔が飛び出てくる。

 

「朱乃!私のイッセーから離れなさい!」

 

「やーですわ。イッセーくんと温泉を楽しむことに決めましたの。もうこうやって密着して全身を温めますわ。……イッセーくんのお体、こうして触れているだけで気持ちいいんだもの……」

 

「ダメよ!イッセーの体は私のものなんだから!」

 

お二人が一層強く抱きしめてくる!!

 

グイッ!!

 

直後、横がら手を引っ張られて何か柔らかいものへ顔をうずめた俺。

 

「(この感触は……おっぱい!!)」

 

俺は柔らかい感触のするものから顔を上げると、そこにいたのはカミュだった!!

 

「イッセーは渡しません!!小さいころから育ててきた私のイッセーです!!」

 

部長と朱乃さんは一瞬驚いていたが、すぐに俺の腕と背中に抱きついてきた!!!

 

「私はイッセーの主よ!渡さないわ!!」

 

「私だってイッセーくんの幼馴染ですわ。渡しませんわ!!」

 

「私はイッセーの姉だ!絶対に渡さない!!」

 

三方向から挟まれている俺。部長、朱乃さん、カミュのおっぱいに挟まれているよ俺ぇぇぇぇっ!!

 

「あぅぅぅぅ、私もイッセーさんと温泉楽しみたいのに……」

 

「さすがにあの三人からイッセーを奪取するのは至難の(わざ)だろうね。今日は遠くから見守るしかない」

 

「そうね、さすがにイッセーくんをあそこから連れ出すのは難しいわ」

 

「僕もそう思います。羨ましいのですが、今日は見守りましょう」

 

「え~、リコはどうする~?」

 

「理子も無理だと思うな~。かなりの鉄壁だしぃ」

 

「あたしは……ミストルティンがあれば、突入できる!!」

 

アーシアたちが少し離れたところで何かを言っているようだが……。

 

ハッと俺は我に返った!この展開だと、白音ちゃんが無言もしくは一言いって殴ってくるはずなんだが……。白音ちゃんは憂鬱(ゆううつ)そうな表情で温泉に顔を半分つけて、泡をぶくぶくさせていた。

 

「(……あれ?白音ちゃん、まだ調子が悪いのかな?)」

 

――とその時、俺の意識が遠のきかけた。

 

「(あぁ、そうか。鼻血と温泉の熱気、おっぱいサンドの熱気のせい……か)」

 

「……ぬはっほっ」

 

……俺は口から魂が抜ける感触を得ていた。幸せすぎても魂は抜けるんだね……。

 

「イッセー!!」

 

「イッセーくん!!」

 

「イッセー!」

 

部長と朱乃さん、カミュが慌てふためく。けど、俺は幸せだった。

 

こうして俺の意識は遠のいていった。

 

                    D×D

 

俺は部屋で、明日出立するための準備をしていた。

 

ある程度できており、最後の点検をしている。

 

「――クナイ、手裏剣、巻物は……全部あるな。よし」

 

その時、部屋のドアがノックされる。

 

「いいぞ」

 

俺は神威(カムイ)で道具を吸い込み、きれいな状態に戻す。

 

「リュースケさ~ん、きましたよ~」

 

おっとり声の人物――リエだ。

 

「例のモノはできたか?」

 

「はぁ~い、ちゃんとできていますよぉ~」

 

リエは俺の前に座り、両手を突き出す。その手のひらに淡い光が数個出現した。

 

「生体宝珠はぁ、十二個できていますぅ」

 

「一人あたり三回まで可能ってことか……。なぁ、リエ」

 

「何でしょう~?」

 

俺は大切な人に言ってはいけない頼みをした。いや、人間として最低の頼み事だ。

 

「わかりましたぁ~。そのかわりぃ、私のお願いも聞いてくださぁ~い」

 

「わかったよ。何でも一つ聞くよ」

 

「……人間界に戻ったら~、デートしてくださいねぇ~」

 

一瞬俺は唖然とした。デ、デート!?

 

「い、いいのか?もっと、厳しい対価でいいんだぞ」

 

「私にとってはぁ、これ以上にない対価ですよ~。……ダメ…ですかぁ~?」

 

悩殺するように手を胸の前で組み、上目づかいで見上げてきた。

 

「あ、あぁ。リエがデートでいいって言うなら……それでいい」

 

「よかったですぅ。これでもぉ、懸命なんですよぉ?」

 

「あぁ。明日は役を頼んだ」

 

「任されました~」

 

俺は立ち上がり、ベッドの上にある着替えを取りドアの前に立つ。

 

「リエ、温泉に行くぞ」

 

そうして俺とリエは、着替えを持って庭にある温泉へ向かった。

 

                    D×D

 

温泉の前に集合した俺たち後半組。

 

俺は『男』と悪魔文字で書かれたのれんを。他全員は『女』と悪魔文字で書かれたのれんを潜って脱衣所へ。

 

中に入ると人の気配は感じず、服の一着も見当たらない。

 

「(イッセーたちは、すれ違いで上がったのか?)」

 

俺はそんなことを考えながら脱衣して、籠の中に入れる。

 

ドアを開け出ると、和風の温泉が広がっていた。

 

俺は体に湯を流し、湯に浸かる。

 

「……はぁ~。気持ちいいな……温泉」

 

肩まで浸かり、タオルをたたんで頭の上へ。

 

近くでメンバーの女子たちの声が聞こえる。

 

「(……ん?近く?)」

 

俺は疑問に思い、振り返ってみる。後ろには男風呂と女風呂を隔てる壁があるが、壁の向こうからは何も聞こえてこない。もちろん、脱衣所と思われる方からも。

 

「(ま、まさかな……)」

 

俺は一瞬……大変危険なことを考えてしまったが、まずは無いだろうと思考を中断した。

 

「――突入!!」

 

突然声が大きくなったと思えば、ここの脱衣所のドアが開け放たれ、誰かが俺の方へ駆け出してきた。

 

湯気で姿が見えにくいが、声からすると……黒歌か!!

 

俺は急いで黒歌の走ってくる軌道を写輪眼で見切り、ぶつからないように最小限の動きで(かわ)した。

 

ざぶぅぅぅん!!

 

黒歌はそのまま温泉へダイブ。すぐに湯から飛び出した。

 

「――ぷはー!!何で避けるのよ~」

 

「当たり前だろ。おまえはいきな――」

 

俺は黒歌の姿を目視した直後、顔を背ける。

 

「?……あ、龍介。今、私の裸見たでしょ?」

 

「み、見てない」

 

声が上ずって、説得のないものになってしまった。

 

「く、黒歌!せめてタオルぐらい巻きなさいよ!」

 

ザブザブと中に入ってきて、俺と黒歌の間に立つサルベリア。

 

「はいはい、わかったにゃー」

 

「わかればよろ――」

 

ばさっ!!

 

突然サルベリアが体に巻いていたタオルが取り払われた!!

 

「――きゃっ!!」

 

叫び声をあげてしゃがみ込むサルベリア。声が可愛かったぞ。

 

「にゃはは」

 

悪戯の笑みを浮かべた黒歌は、湯から上がって体を洗いにいった。

 

「……見た?」

 

サルベリアが顔を紅潮させ、涙目でこっちに振り向いた。

 

「み、見てない……見てないぞ」

 

後ろ姿だったのに、どうやって前を見ろというんだ?

 

「はぁ……黒歌も黒歌ね。私だって我慢してるのに……」

 

愚痴っぽく呟きながら、辰巳が黒歌から預かったサルベリアのタオルを本人に返す。

 

黒歌以外は、全員タオルを身にまとっている。

 

「(桃源郷と言ったらそうかもしれないな……俺も男の端くれだ、異性にはどうしても反応してしまうな)」

 

俺は頭の上にのせていたタオルを腰に巻く。大事なところが見えないように注意を払いながら。

 

その後、女子全員が温泉に入ってきたが……何故か俺の周りに浸かっている状態で、とても恥ずかしい上に居づらい。

 

イッセーが持っているエロゲーの一部にあったような状態が眼前で起きている。……裏面を見ただけだがな。

 

徐々に体が火照りだす。温泉と興奮の二つで。

 

俺は理性が飛ばないように必死に止める一方、体は正直なので、どうしても反応を見せてしまう。

 

「(おさまれ~、おさまってくれ~)」

 

俺は心を落ち着けるように目をつむり、必死に自分を説得する。

 

理性との勝負。今まで以上に手ごわい相手になりそうだ……飛んで行ってしまわないように。

 

これ幸い。ガールズトークをしているので、俺は無関係だから集中していられる。せめてだが……耳に魔力で創った耳栓をして外音をシャットアウトする。俺は女子たちの会話を盗み聞きするようなタマじゃないし、割り込むようなこともしない。

 

少しして俺の理性が安定してきた上に、皆は温泉をあがるようだ。

 

上がっていく途中、花楓が話しかけてきた。

 

「――お兄ちゃん、後で明日のことを話したいから、部屋に行ってもいい?」

 

「あぁ、そのことか。わかっているよ、俺の部屋でいいのなら」

 

俺は了承し、花楓は奏と話しながら脱衣所に入っていった。

 

「……なんか、いきなり一人になると……さみしいな」

 

俺は全員が脱衣所に入ったのを見送って、冷水を浴びに温泉をあがりシャワーのあるところへ。

 

「上せたな。さすがに倒れてはシャレにならない」

 

シャワーの温度を冷水にして浴びる。これが上せた体にちょうどいいんだ。

 

しばらくして脱衣所から声と気配がなくなる。

 

「さてと、部屋に戻るか」

 

俺は脱衣所に入り、着替えて部屋へと戻っていった。

 

                    D×D

 

「(――まだ部長は起きているみたい)」

 

私は部長の部屋の前に立って、ノックをした。

 

「白音です。お話があって、よろしいでしょうか?」

 

『白音?お入りなさい』

 

「失礼します」

 

私はドアを開けて部屋の中へ入る。

 

「お話って、何かしら?」

 

部長はベッドの上に座ってレーティングゲームの本を読んでいた。

 

「部長――リアス・グレモリーさま、私をあなたの眷属にしてください!お願いします!」

 

私は頭を下げて言った。

 

「…………」

 

返事がない。少しして頭を上げると、部長は目を見開いて驚いていた。

 

「――本当にいいの?転生したら、元には戻れないのよ?」

 

落ち着いて話す部長。その手には『戦車(ルーク)』の駒が握られていた。

 

「はい。私は自分の意志で転生したいとお願いしました。後悔はしません」

 

私は自分の意志を部長にしっかりと伝える。

 

「……わかったわ。理由は訊かないけど……本当にいいのかしら?」

 

「はい、お願いします」

 

「わかったわ。転生の儀式をするから、こっちに来てちょうだい」

 

私は部長のベッドの上に横になった。

 

部長は私の上に『戦車(ルーク)』の駒を一つ置き、赤い魔力をまとい始める。そして、演唱を始めた。

 

「我、リアス・グレモリーの名において命ず。汝、遠山白音よ。今、我の下僕となるため、我に魂を捧げ、悪魔と成れ。汝、我が『戦車(ルーク)』として、新たな生に歓喜せよ!」

 

駒が赤く輝きだした瞬間、部長が目を見開いた。

 

「ウソでしょ。こんなことが起きるなんて……」

 

私は部長が言った言葉の意味を理解できず、転生されていく。ただ、異変が起きたのは何となくわかった気がする。

 

駒が輝き終わると、私の中へ音も立てずに入っていった。

 

「――転生は終了したわ。でも、こんな現象は初めてよ」

 

「……何が起きたのですか?」

 

部長は一度深呼吸をして、私の目を見て言った。

 

「……『(イーヴ)(ィル)(・ピ)(ース)』が転生の最中に『(ミュー)(テーシ)(ョン・)(ピース)』へ変化したのよ。こんな事例、私は初めてだわ」

 

「(『(イーヴ)(ィル)(・ピ)(ース)』が『(ミュー)(テーシ)(ョン・)(ピース)』に転生の最中に変化した……!?)」

 

「私は、大丈夫なのでしょうか?」

 

「わからないわ。明日、皆に話してみるわ。安心なさい、白音。あなたは私の眷属になったのだから。歓迎するわ」

 

「……はい。これからよろしくお願いします。部長」

 

少し不安があるけど、でも……兄さまと一緒に居られる。そう思ったらその不安もどこかに消えていってしまった。

 

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