ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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白音とイッセーとドラゴンと……

次の日。俺たちはグレモリー家の広い庭の一角に集合した。

 

服装は、イッセーたちグレモリー眷属全員(白音含む)ジャージ。アザゼルもジャージを着ている。冴子とカラワーナとマリアは、動きやすいスポーツウェアの上とジャージの下を着ている。ルリエルたち姉妹は、なぜか改造した駒王学園の制服を着こんでいる……どこで手に入れたんだか……。俺たち偵察班以外の残りは、普通の私服を着ている。俺は暗部の胴当てと籠手を装備した軽装で、花楓は暁の装束を。奏は私服に黒いマント。リエは相変わらず白衣をまとっている。

 

全員が庭に置かれているテーブルの椅子に座って修行開始のミーティングとなった。

 

俺たち四人は、ミーティング後にグレモリー邸を出立する。

 

アザゼルがデータらしきものを持って席に着く。

 

「先に言っておく。今から俺が言うものは将来的なものを見据えてのミーティングメニューだ。すぐに効果が出る者もいるが、長期的に見なければならない者もいる。ただ、おまえらは成長途中の若手だ。方向性を見誤らなければいい成長をするだろう。さて、まずはリアス。おまえだ」

 

アザゼルが初めにリアスを呼ぶ。

 

「おまえは最初から才能、身体能力、魔力全てが高スペックの悪魔だ。このまま普通に暮らしていてもそれらは高まり、大人になる頃には最上級悪魔の候補となっているだろう。だが、将来よりもいま強くなりたい、それがおまえの望みだな?」

 

「ええ。ライザーの時はイッセーが体を犠牲にして勝てたけど、今後は犠牲なしに自分たちだけの力で勝っていきたいもの」

 

「なら、この紙に記してあるトレーニングどおり、決戦日直前までこなせ」

 

そう言ってアザゼルに手渡された紙を見て、リアスは首を傾げる。

 

「……これって、特別すごいトレーニング方法とは思えないのだけれど?」

 

「そりゃあそうだ。基本的なトレーニング方法だからな。おまえはそれでいいんだ。すべてが総合的にまとまっている。だからこそ、基本的な練習だけで力が高められる。問題は『(キング)』としての資質だ。『(キング)』は時によって、力よりも頭も求められる。魔力が得意じゃなくても、頭の良さ、機転の良さで上まで(のぼ)り詰めた悪魔だっているのは知っているだろう?―――期限までおまえはレーティングゲームを知れ。ゲームの記録映像、記録データ、それらすべて頭にたたき込め。『(キング)』に必要なのは、どんな状況でも打破できる思考と機転、そして判断力だ。眷属の下僕悪魔が最大限に力を発揮できるようにするのがおまえの仕事なんだよ。ただ、これも覚えておけ、実際のゲームでは何が起こるのかわからない。戦場と同じだ」

 

普段はおちゃらけているアザゼルだが、こういう時はしっかりとアドバイスができるやつだな。親友でよかったと思う。

 

「次に朱乃」

 

「……はい」

 

アザゼルに呼ばれて、不機嫌そうな返事をした朱乃。

 

「おまえは自分の中に流れる血を受け入れろ」

 

「…………」

 

「フェニックス家との一戦、記録映像で見せてもらったぜ。龍介の道具のおかげで打倒できたはものの、戦闘不能になれば意味がない。本来のおまえのスペックなら、敵の『女王(じょおう)』を難なく打倒できたはずだ。――なぜ、堕天使の力をふるわなかった?雷だけでは限界がある。光に雷を乗せ、『雷光(らいこう)』にしなければおまえの本当の力は発揮できない」

 

「…………」

 

黙り込んでしまった朱乃。

 

「朱乃、決戦当日までに『雷の巫女』から『雷光の巫女』になってみせろよ」

 

「…………」

 

アザゼルは朱乃に言うが、朱乃は応えなかった。

 

「次は祐奈だ」

 

「はい!」

 

「まずは(バランス)(・ブレイカー)を解放している状態で一日保たせて見せろ。それに慣れたら、実戦形式の中で一日保たせる。それを続けていき、状態維持を一日でも長くできる様にしていくのがおまえの目的だ。あとはリアスの様に基本トレーニングをしていけば十分に強くなれるだろうさ。剣術のほうは……おまえの師匠にもう一度習うんだったな?」

 

「ええ、一から指導してもらう予定です」

 

祐奈は師に剣術を再度教わるみたいだ。えーと、祐奈の師って誰だっけ?

 

「次はゼノヴィア。おまえはデュランダルを今以上に使いこなすことと、もう一つの聖剣に慣れてもらうことにある」

 

「もう一つの聖剣?」

 

ゼノヴィアはアザゼルの言葉に首をかしげた。

 

「あとで教える」

 

そう言ってゼノヴィアからギャスパーへ視線を変える。

 

「次にギャスパー」

 

「はいぃぃぃぃぃ」

 

「はぁ……そうビビるな。おまえは今のままでは戦力外だ。その恐怖する心身を一から鍛えなおすため、おまえ専用の『引きこもり脱出計画!』なるプログラムを組んだから、それで真っ当な心構えを身に着けてこい。せめて、人前でも動きが鈍らない程度にしろ」

 

「はいぃぃぃぃ!!」

 

相変わらずビビりまくっているギャスパー。大丈夫なのか?

 

「最後にアーシア」

 

「は、はい!」

 

おっ!ここ一番の気合が入っているアーシア。

 

「おまえも基本的なトレーニングで、身体と魔力の向上。そして、メインは(セイクリ)(ッド・ギア)強化とその鮫肌(さめはだ)との連携だ」

 

「――そういうことか。アーシアの聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)の効果範囲を広げるんだな?」

 

「そうだ。いくら回復速度が速くとも、『触れる』ことが出来なければ意味がない。それに、移動中に攻撃を受ければチームの回復要員がいなくなり負ける原因になるだろうよ」

 

俺の回答に頷いたアザゼル。やはりそうか。

 

「鮫肌は聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)でも回復できない体力と、戦闘力のないアーシアの補助ということになる。扱い方は……把握しているな?」

 

「はい、鮫肌さんに教えてもらっています。リュースケさんにも能力を教わりました」

 

「それなら話は早いな。――だが、大きな問題は敵味方の判断が出来ずに回復させてしまいそうなところだ。判断できずに回復してしまえば……言わずともわかるはずだ」

 

まあな。アーシアは優しすぎて敵味方関係なく回復させそうだ。

 

「そうならないように、俺は『回復能力を飛ばす』というところに目をつけた」

 

「な、なるほど」

 

アーシアが目を輝かせていた。かなり嬉しそうだ。

 

「この方法で直接触れなくとも、遠距離の見方を回復できるのは戦略性が広くなる。あとは護衛に誰かを配置した上に、鮫肌で敵の体力を削れば文句なしだ」

 

確かに理想的なフォーメーションの組み方になる。鮫肌は感知もできるから、攻防にも向いているわけだ。

 

「体力勝負になることが多いから、基礎トレーニングでちゃんと底上げをしておけよ?」

 

「は、はい!がんばります!」

 

これで全員のトレーニングメニューが発表されたわけだ。

 

「そうだわ、新しい下僕の紹介をするわね」

 

すると、リアスが立ち上がって白音のところへ。

 

「私の新しい『戦車(ルーク)』の白音よ」

 

『…………』

 

瞬間、周囲の空気が止まった。

 

『えぇぇぇぇッッ!!!!』

 

一泊おいて、全員が驚愕の声を上げた。

 

バサッ!

 

白音の背中から黒い悪魔の翼が生える。

 

「――今日から新しい眷属になりました『戦車(ルーク)』の白音です。よろしくお願いします」

 

頭を下げて自己紹介をした白音。未だに声が出ない俺たち。

 

「――駒はいくつ使ったんだ!?」

 

アザゼルが止まった空気を破り、リアスに質問する。

 

戦車(ルーク)の駒一つで済んだのだけれど――」

 

リアスの表情が厳しくなり、一瞬だけ間をおいて言った。

 

「――転生途中に(ミュー)(テーシ)(ョン・)(ピース)に変化したのよ」

 

それを聞いた瞬間、アザゼルの表情が険しくなった。

 

「どういうことだ?今まで転生途中に変化した報告はないぞ。これは、相当レアな現象だな……」

 

アザゼルが考え込んでしまう。

 

「そうか、白音も転生したんだな。それなら、黒歌が手伝ってあげたらどうだ?」

 

俺は(ミュー)(テーシ)(ョン・)(ピース)に変化した現象が気になったが、それよりも先に白音の特訓が必要だと判断した。

 

「いいけどにゃ~。白音、今までより厳しくいくから、覚悟してね」

 

「はい。黒歌姉さま、よろしくお願いします」

 

にっこりとほほ笑んだ白音に抱きつく黒歌。言っていることと、やっていることが違うんだが?

 

「……うん。このことは追々として、最後にイッセーなんだが……そろそろか?」

 

アザゼルがそう言って空を見た時――。

 

ドォォォォォォォオオン!!

 

俺たちのいる近くに飛来してきたそいつは、ここにいる数名の者と同類の者。

 

「――ドラゴン!!」

 

イッセーが声を上げる。

 

そうだった、こいつはドライグ以外のドラゴンの姿を見たことがないんだ。

 

というより、初見のやつが多いな。冴子や理子たちとかな。

 

「アザゼル、よくもまあ悪魔の領土に堂々と入れたものだな」

 

「ハッ、ちゃんと魔王さま直々の許可を取って入国したぜ?タンニーン」

 

そんな時、タンニーンの前に辰巳たちが立った。

 

「久しい、タンニーン」

 

「オーフィス……いや、辰巳といったな。サーゼクスから話は聞いている」

 

「勢ぞろいしたな、各ドラゴンが」

 

俺はそう呟いた……聞こえるようにな。

 

「ここまで揃うとは思ってもいなかったぞ。邪龍、龍王、天龍、無限の龍神、それぞれの属の龍がこの場に会している」

 

感心した声音で言ったタンニーン。

 

「さっそくで悪いが、タンニーン。こいつが話していた現赤龍帝だ」

 

「ほう、力量はどのくらいだ?」

 

「ざっと、タンニーンの千分の一ほどか?」

 

『久しいな、タンニーン。俺の相棒は見ての通り弱い。死なない程度に鍛えてくれ』

 

「現赤龍帝を鍛えるのは初めてだな」

 

「しっかりいじめてくれよ、タンニーン」

 

アザゼルにドライグ、タンニーンは以外にも仲がいい。

 

「リアス嬢、あちらの山一つ貸してもらえるか?こいつをそこに連れて行く」

 

「えぇ、鍛えてあげてちょうだい」

 

「任せろ。死なない程度に鍛えてやるさ」

 

なんか、どんどん話が進んでいるのだが……まぁいいか。

 

俺は前に出てタンニーンに申し出る。

 

「初めてだ、タンニーン。なんか話が進んでいるようだから、義弟(おとうと)のイッセーをよろしく頼む」

 

「ほう。ということは、おまえが『龍介』という者だな?」

 

「あぁ。サーゼクスから聞いていると思う」

 

「聞いている。義弟を借りるぞ」

 

「頼んだ。鍛え上げてくれ」

 

俺とタンニーンの対話が終わる。

 

「(俺じゃ、イッセーを甘やかして、手を抜きかねないもんな)」

 

次の瞬間、イッセーがタンニーンの極太の腕につかまれ……タンニーンは翼をはばたかせて、大空へ飛び立つ。

 

「部長ォォォォォォッ!!兄さぁぁぁぁぁぁぁんッ!!」

 

叫ぶイッセーをよそに、皆が手を振って見送った。

 

「さて、俺たちも偵察に行きますか」

 

俺はそう言って、歩き出す。

 

「行ってくるね~」

 

「行ってきます」

 

花楓と奏も挨拶をして歩き出す。

 

「みなさぁ~ん、がんばってくださぁ~い」

 

おっとりとした口調で檄を飛ばしたリエ。そこ逆と思うんだけど。

 

そうして俺たち四人は、冥界の極端へ偵察に出たのであった。

 

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