――冥界極端――
「――そろそろ休憩だ」
俺たち四人は一時間走り続けた後、十分ほど休憩を取って移動している。
ここまで来るのに、二日使ってしまった。
生活の方は大丈夫。
白眼で飛段と角都の位置を確認しながら、自分も休憩を取る。
今は目立った行動をしていないようだ。
「お兄ちゃん、二人の様子は?」
花楓が休憩の度に訊いてくる。俺は応えた。
「まだ動いていない……というより、こっちに向かって歩いてきていることには変わりはないが……」
「そうなの?思っていたより慎重ね」
「かもしれない。下手に動けないな……こちら側も」
「そうですねぇ」
四人で話し合うこと九分。
「そろそろ行こうか」
俺が立つと、三人とも立って後を追ってくる。
「警戒しておけ、三人とも」
俺は気の締まった声音で言った。
「――あと十数分後に接触する」
三人は俺の顔を見て頷いた。
D×D
走ること十二分――俺は白眼で二人の正確な距離を測りとり、後方三人に『止まれ』とハンドジェスチャーを送る。
「三人は指示通り各位置で待機。――散!」
俺は命令を下すと、三人は指示された位置にある木陰に身を隠した。
直後、前方数十メートル先に二人組――飛段と角都の姿を確認した。
俺は即両目を万華鏡写輪眼へ変化させ、木分身一体を作り出して真横に配置した。
それから数秒後、飛段と角都が歩を止めた。こちらを警戒しているようだ。
俺は二人に向けて歩を進める。同じく二人も俺の方へ歩を進める。
俺は対話のできる十分な距離で歩を止めた。向こうも同時に歩を止める。
数秒間、周囲は静寂と化した。
その静寂を振り払うように俺は口を開いた。
「――おまえたちは、『飛段』と『角都』か?」
「――そうだ。俺は角都。こいつは飛段だ」
俺の質問に角都が応える。
飛段はお馴染みの『三刃の大鎌』を背負い、腰に特殊警棒と同じ伸縮型の例の『鋭利な棒』を携えている。
二人とも暁の装束は着ておらず、飛段は黒の羽織を右のみに羽織っており、下はズボン。反対に角都は黒いタンクトップを身に着け、下は同じくズボン。
思っていたより……ラフな格好だ。
「……俺は遠山龍介。転生者として訊くが、おまえたち二人はここから先で何をする?」
俺は冷静に殺気を放ちながら問う。
「――別に、誰かを殺そうなんて思ってねーよ。こう見えても、俺と角都の旦那は無駄な殺生はしねぇぜ?」
俺は驚愕した。まさか、飛段からそんな言葉が出るとは思ってもいなかったから……。
「……どういうことだ?おまえたち二人は、生前は重罪人だったんだろ?しかも、悪神の手先だとか……」
「ん~、まぁな。……だけどよ、俺たちは向こうじゃ重罪人っていっても、俺は大切な人を守ろうとして、襲ってきた強盗たちを
「……運が悪く犯罪者になったわけ……ということか」
「そういうこと。角都の旦那も俺も望んで人殺しはしねぇよ。……でさ、ここどこなんだ?」
二人の経緯がわかったから、俺は木分身と万華鏡写輪眼を収納した。
「え?悪神から何も聞いてないのか?」
「……あぁ。俺と飛段は理由も聞かされずにここへ――この姿で蘇ったわけだ」
なるほど……。
「……そうなのか。ここは冥界の極端に当る場所。この世界は『ハイスクールD×D』なんだ」
「……知っているか?角都の旦那」
「知らないな。どういう世界なんだ?」
俺は二分ほどで軽く説明する。
「……なるほど。それで、転生した人間は何かしらの漫画に出てくる姿で蘇るというんだな?」
「そうだな、俺は『うちはイタチ』の姿をしている。能力はチート以上だが……」
「チート以上!?何だよそれ。俺は飛段だけどよぉ、不死身とそれを利用した『術』しかないんだぞ」
「……俺も角都と同じ能力を持っている。漫画で出なかった『水遁』はオリジナルだがな」
その時、俺のインカムから声が聞こえた。
『――リュースケ、話の内容はわかったから……そっちに顔を出すよ?』
奏からだ……ということは、残りの二人も出てくるのだろう。
その直後、地面に大きな影が現れた。
その影は徐々に大きくなり、俺の横に着陸する。
「――おまたせ。二人を連れてきたよ、お兄ちゃん」
そこには、大剣の
「飛段、角都、紹介する。三人は俺と同じ『暁』のメンバーで、右から栗栖理恵、遠山奏、遠山花楓。全員転生者なんだ」
俺の紹介に納得している二人。
その時、俺の頭の中にある疑問が浮かんだ。
「……それでさ、飛段と角都は転生後からここまでの間、どうしていたんだ?」
俺は疑問を訊いてみると、二人は顔を見合わせた。そして、少し笑いながら応えた。
「野宿してたに決まっているだろ。風呂は何とかなったけどな」
それを聞いて、俺は言う。
「――ついてこいよ。俺の知り合いに気の利くやつがいてさ。そいつに紹介してやるよ」
もちろん気の利くやつとは、サーゼクスのこと。
「……いいのか?俺たちはここのルールも何も知らないんだが?」
「かまわないさ。あいつなら、下宿場所ぐらい確保してくれるだろうよ」
俺は五人から少し離れ、巨大な影を出現させる。
「(想像力が豊かになりつつあるな、俺は)」
そう思いながら、モンスターの名前を呼んだ。
「――来い!!『オシリスの
ズズズズズズ――。
すると、巨大な影から胴体の長い赤龍が空へと舞いあがる。
ギュオォォォォォォォォオオンッッ!!!!
上下二つある下の口を開き、大きな咆哮を上げる。
「おーい、こっちだ、こっち」
俺は手を上げて『降りてこい』とジェスチャーする。
オシリスの
ここの道は広いと思っていたが、オシリスの
「――何だよ、こいつは……」
飛段は目が飛び出した顔になり、驚愕していた。
一方角都は……冷静でいる。驚きの声を上げたりしていない。
「俺の能力の一つで召喚したモンスターだ。説明は着いてするから、乗れ」
俺はオシリスの
全員を乗せたオシリスの
「(危ねぇ、結界張っておかないとな)」
俺は自分を含め、後方に座っている全員を包み込む簡易結界を張った。強風で落ちたらシャレにならん。
こうして空高く昇った俺たちは、小さな景色を見ながら魔王領へと飛んだのだった。