ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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三姉妹の再会

 

イッセーの報告を聞いて、軽く同情してしまった俺。義弟の特訓は相当ハードな内容だった。

 

とにかく、一日中タンニーンに追い駆けまわされていたらしい。道理でオーラの質量が高まっていたわけだ……たくましくもなっているがな。

 

同情したのは義弟だけでなく、小さいころの俺と同じだったから。強く、守れるように力を求めていたころがあった。

 

号泣してリアスに抱きつくイッセー。そんなイッセーを優しく宥めるリアス。

 

「(本当にたくましくなったな、イッセー。でもよ、同じ野宿でもちゃんとした食材と寝床はあったぞ)」

 

野生生活をしてきたイッセーに俺は感心していた。どこまでもたくましくなっていくな……。

 

俺は親鳥の気持ちでイッセーを見ていた。デジャヴな気もするが。

 

「まあ、いいか。報告会は終了。明日はパーティだ。今日はもう解散するぞ」

 

アザゼルの一言で報告会は終了となった。

 

「((バランス)(・ブレイカー)に至れなかったのは仕方ないが……何か嫌な予感がするんだよな……。原作を持ってくれば良かったか?)」

 

後悔する俺だった。

 

                    D×D

 

翌日の夕刻、俺は調子のいい体で仙術を練っていた。

 

前日の夜しっかり眠ることができたのは、黒歌たちが俺の部屋に侵入してこなかったことだ。かなり珍しいことだが、疲れていれば自然なのだろう。

 

膨大な自然の気を一身に受け続ける。これは、精神力の修行でもあるんだ。

 

その集中している気を体内で圧縮し、質量を増やしていく。

 

数分して俺は集めるのをやめた。部屋の外で誰かがノックをしたからだ。

 

「どうぞ」

 

俺は返事をして、組んでいた座禅を崩した。

 

「失礼します。皆様のご用意が出来ましたので、お呼びに参らせてもらいました」

 

礼儀正しく言うのは、ここのメイドだ。

 

「あぁ、着替えてすぐに出る」

 

俺はそう言って、ベッドの横にかけてあるタキシードを手に取る。

 

「お着替え、手伝います」

 

そう言って部屋に入ってくるメイド。

 

「いや、自分でできるから」

 

「いえ、これも仕事のうちです。タキシードを」

 

俺の手からタキシードを取ろうとして、俺に近づいてくるメイド。一方の俺は、着替えを見られるのが恥ずかしく、抵抗するようにタキシードを引っ込める。

 

しかし、現実は甘くない。タキシードを取ろうと、俺に手を伸ばしてきたメイドが足を躓いて倒れてきた!

 

「(おっと!!)」

 

俺はタキシードをベッドの上に放って、メイドを抱き寄せる。

 

そのメイドと俺の視線が重なったとき、俺は気がついた。

 

「――おまえ、ベネチアだな?」

 

「……バレてしまいましたか」

 

メイド――ベネチアは、被っていた変装用の顔をベリベリと剥がし、のど元に貼っていた変声用のテープも剥ぎ取った。

 

「理子から借りたな?その道具」

 

「えぇ、その通りです。この衣装は、ここの使用人から拝借してきました。……どうですか?」

 

ベネチアは俺から少し離れて、クルリと回って見せた。

 

「似合っているけど、その格好で行くんじゃないだろうな?」

 

「いいえ、皆と同じ衣装で行きます。ご心配なく。それより――」

 

ベネチアはベッドの上にあるタキシードを手にした。

 

「お着替えを」

 

「いやいや、俺一人で出来るから!」

 

そう言って、ベネチアからタキシードを取り返す。

 

直後、俺はベネチアに折れることになった。

 

「っ…………」

 

涙目で俺を見上げてきたからだ。

 

「……はぁ」

 

俺はタキシードの上着のみをベネチアに手渡す。

 

「上着とネクタイを任せるから、そんな目で俺を見るな」

 

反則級に可愛いベネチア。俺はこの手に弱いんだ。

 

ベネチアはタキシードの上着を手に取ると、反転して物凄く笑顔になりやがった。

 

俺は顔を赤くしながら、ベッドの陰に隠れて着替えていく。

 

ネクタイと上着をベネチアにしてもらい、満足そうなベネチアと共に部屋を出た。

 

「私も着替えてきますので、広場で待っていてください」

 

そう言い残して、去っていくベネチア。

 

俺は広場へ足を運ぶ。

 

数分歩いて広場に出ることができた。やけに広い屋敷だよな、軽く迷っちまった。

 

広場を見渡してみると、隅にイッセーを発見!

 

俺はイッセーに近づく。

 

「よう、イッセー。ん?そっちは匙か?」

 

イッセーの陰で見えなかったが、横には魂の抜けたように落ち込んでいた匙の姿が見えた。

 

「あ、兄さん。それと、飛段さんに角都さん」

 

飛段?角都?俺は後ろを向くと、こっちに向かってくる角都と飛段の姿が見えた。

 

二人もタキシードを着て容姿を整えていて、角都は特殊メイクで口元を普通の人間と同じものにしている。

 

 

「似合っているじゃないか」

 

俺は傍まで来た二人に声をかけた。

 

「きついんだよなぁ。このタキシード」

 

「そう言うな。俺の方がきつい」

 

二人してタキシードが苦手のようだ。

 

「イッセー、お待たせ。あら、匙くん来ていたのね」

 

イッセーの後方からリアスが声をかける。

 

リアスの後ろには、女性陣の皆さんがついてきていた。

 

全員がドレス姿。色も各々に合ったものを選んでいて、周りの目を引きそうな雰囲気だ。

 

「にゃぁ~。白音はやっぱり可愛いわぁ」

 

黒のドレスを着こんだ黒歌が、白のロリドレスを着こんだ白音に抱きついていた。

 

「く、黒歌姉さま……やめてください」

 

顔を赤くした白音が必死に黒歌を離そうと突っ張っていた。

 

「アーシア、とっても似合っているじゃない。恥ずかしがらないで」

 

「お、お姉ちゃん、恥ずかしいです……」

 

こっちもこっちで、マリアがアーシアに抱きついて妹バカ(シスコン)を発揮していた。

 

「サジ、サジ?どうしました?」

 

そこにソーナと眷属の女性陣が現れた。

 

ゴゴゴゴゴ――。

 

軽い地響きが聞こえ、しばらくしてから執事がきて言った。

 

「タンニーン様とそのご眷属の方々がいらっしゃいました」

 

どうやら、タンニーンが約束通りに迎えに来てくれたようだ。

 

                    D×D

 

庭に出るとタンニーンぐらいのサイズをしたドラゴンが十体ほどいる。

 

「約束通り来たぞ、兵藤一誠」

 

「うん!ありがとう、おっさん!」

 

「おまえたちが背に乗っている間、特殊な結界を背中に発生させる。それで空中でも髪や衣装やらが乱れないだろう。女はその辺大事だからな」

 

「ありがとう、タンニーン。会場まで頼むわ。シトリーの者もいるのだけれど、だいじょうぶかしら?」

 

「おおっ、リアス嬢。美しい限りだ。そちらの件は任せてくれ」

 

そこに辰巳たちドラゴン娘たちが前へ出た。

 

「タンニーン、よろしく」

 

「こちらこそだ、無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)の片割れといえども、光栄に思っている」

 

「私もよろしく頼む。タンニーン」

 

「あぁ、眷属の皆にも話は通している。安心して乗るといい」

 

タンニーンと辰巳たちの会話が終わり、それぞれ乗り出す。

 

イッセーがタンニーンの頭の上に乗ったのを飛段が見て、俺と角都に問うてきた。

 

「角都の旦那と龍介も頭の上に乗るのか?」

 

見てからに乗る気満々の飛段。

 

「そうだな、俺も乗ろう」

 

角都も乗りたいみたいなので、急遽試作した暴風結界の札を二人に渡した。

 

それを懐に入れて、眷属ドラゴンの頭の上に乗る飛段と角都。

 

俺も頭の上に乗り、自身に暴風結界を張った。

 

タンニーンを先頭に眷属のドラゴンたちは飛び始める。

 

『――絶景だな、空の上は』

 

内から叢雲(ムラクモ)が話しかけてきた。

 

「(そうだな、オシリスの上とはどう違う?)」

 

『そうだな……揺れ方だな。西洋の龍らしい揺れ方だ。初めてだが』

 

なんとも、あやふやな回答をする叢雲(ムラクモ)

 

『主、調子の方は如何かな?』

 

「(そうだな。そこそこ調子がいいってところ?おまえの力も引き出せたしな)」

 

『そうかそうか!!それはよかった』

 

そんな風に小一時間ほど叢雲と対話していた。

 

すると、眼下に光明が広がり始めていた。

 

「ご到着のようだな」

 

そこは、パーティ会場となる場所のようだった。

 

                    D×D

 

パーティ会場となる超高層高級ホテルは、グレモリー領の(はし)っこにある広大な面積の森のなかにポツリと存在していた。

 

俺たちは陸上競技をする会場らしきところに降り立つ。タンニーンと眷属がその競技場の上空に来たとき、下からライトが一斉にこちらを照らしてきた。

 

「じゃあ、俺たちは大型悪魔専用の待機スペースに行く」

 

全員が降りたのを確認したタンニーンは、両翼をはばたかせて眷属と一緒にこの敷地のどこかにある専用スペースへ飛び去って行った。

 

手を振って見送る俺たちは背後から声をかけられた。

 

声をかけてきた人は……迎えに来ていたホテル従業員。俺たちはそいつに連れられて待機していたリムジンに乗車する。もちろん、リアスとイッセーたち、ソーナと匙たち、俺たちと残りのメンバーに別れてだ。

 

以外にもリムジンは中の造りが広く、全員が悠々と乗れてしまった。

 

「今回は代表として出場しないんだね……?」

 

珍しく第一声で「お腹すいた」以外の言葉を言うベラナ。

 

「む?リュースケは今、私に対して失礼なことを考えていたでしょ?」

 

「(バ、バレてた)」

 

「そ、そんなことはナイヨー」

 

「話し方がヘン」

 

「ま、まぁ。それは置いておいて、質問の答えは『出場しない』だ」

 

無理やり話を戻して、気を逸らす作戦に出る……苦手な分野だ。

 

「そ、そう。……そうよね。リアスちゃんとソーナちゃんたちの正々堂々とした試合だもんね。私たちは介入しちゃいけないもんね?」

 

「そういうこと。今回は……と言っても、前回の非公式レーティングのことはここにいる半数の者たちしか知らないか」

 

「……そうね。私たちは前回、リアスたちのゲームを見ていないもの」

 

ベラナの言葉にアリスが応える。

 

「(見ていない?知らないの間違いじゃないのか?)」

 

俺の疑問を察知したように、マキアが口を開いた。

 

「私たちは会合の後、リアスに訊いたの。結果などの詳細の全部を教えてくれたわ」

 

俺はそれを聞いて「なるほど」と納得してしまった。

 

そんな風に皆が他愛のない会話をしたり、俺の肩に乗っていたオシリスを撫でたりしていると、リムジンが停車した。

 

降りると、眼前に大きなホテルが立ちはだかっていて、大勢の従業員に迎え入れられた。そのまま中へ入り、俺と朱乃とソーナの『女王(クイーン)』の椿姫(つばき)でフロントに行き、確認を取る。

 

エレベーターへ案内され、三機に別れて乗り込んだ。

 

かなり上に上がっていくようだ。体に軽くGがかかっている状態が続き、数十秒後――。

 

「着いたわね」

 

エレベーターが停まったことで、かかっていたGが元に戻る。

 

アースの言葉を聞いて、俺は深呼吸した。

 

エレベーターのドアが開き、一歩出ると会場入り口も開かれる。

 

きらびやかな広間が俺たちを出迎えてくれた。フロアいっぱいに大勢の悪魔と美味しそうな食事の数々。

 

一目散にベラナと辰巳が釣られてしまい、数並ぶ料理を食しに行ってしまった。

 

速攻で脱落してどうすんの?的なことは思うだけにしておく。

 

周りの視線がリアスやソーナ、なぜか俺達にまで集中していた。

 

俺は視線に耐えられず、その場を離れようと歩き出すと――。

 

「お、おい。ちょっと待てよ」

 

飛段が俺を引き留めてきた。

 

「はぁ。あまりに視線がむず痒くてな……場所を移そうと思っていたんだ」

 

「それなら、俺も行く」

 

角都までついてきやがった!!

 

結局、俺と飛段と角都で場所を移動した。したはよかったのだが――。

 

「――リュースケさまですよね!?」

 

足止めを食らってしまった。

 

一人の女性に声をかけられて足を止めたのが引き金のように、どんどん周囲に女性が集まりだしてしまった。

 

「あ、あの!魔王さまから駒を頂いたと噂で聞いたのですが?」

 

「ヒダンさんですよね!?不死身の体って本当なんですか!?」

 

「カ、カクズさん!異形の物体を四体も操るところを見せてください!」

 

完全に逃げ場を失った上に、質問攻めにあう俺と飛段と角都。

 

俺たちは一度顔を見合わせて、溜息を吐いてから質問に答えた。

 

「あぁ、『(キング)』の駒を頂いたよ。隣にいる飛段は『兵士(ポーン)』。角都は『僧侶(ビショップ)』を使っている――」

 

「そうだぜ。俺は不死身だけど、ここは実践のできる場所じゃないな――」

 

「そうだな、さすがにここでは――」

 

俺はふと、取り巻きの隙間から向こうの様子を確認した。すると、金毛の猫が横切って行ったのを目にする。

 

「(金毛の猫……まさかな)」

 

俺は気になったので、抜けていこうとしたが……失敗する。

 

「……はぁ。木分身」

 

俺は印を素早く結び、左の腕から俺の分身体を出現させる。

 

その行為に周囲の女性たちは驚いていたが、すぐに好奇の目を向けられた。

 

離れるどころか、逆の効果をもたらしてしまったらしい。

 

「質問の続きは『分身体』の俺に訊いてくれ。俺は野暮用で抜けさせてもらうのでね」

 

スゥー、と神威を使用して間をすり抜けていく。

 

飛段が慌てて止めようとしたが、手遅れだった。

 

間をすり抜けた俺は、先ほどの金猫を探しに広場を出た。

 

                    D×D

 

辺りを見回してみたが、先ほどの金毛の猫は姿を消していた

 

その時、俺の目の前にミニ・オシリスが飛んできた。

 

察するに、怪しい行動をとっている者がいたとのこと。

 

俺はミニ・オシリスの案内でエレベーターに乗り、一階へ。

 

エレベーターから降りると、外に出て近くの森へミニ・オシリスが飛んでいく。俺はついて行くが、森に入って数秒走ったところで気がついた。

 

「――結界か」

 

俺の数メートル後方が先の見えない結界の壁でおおわれている。

 

「時間がないな……白眼ッ!!」

 

俺は両目を白眼に変化させ、望遠で様子を探ってみる。

 

「……見つけた」

 

ここから約三百メートル先に複数感知した。

 

記憶よりわかるのは……イッセー、リアス、白音、黒歌、タンニーン。相対しているのは…………美候か。もう一人は――。

 

状況からして戦闘になっている。リアスと白音がしゃがみ込んでいて、とても苦しそうにしている。それを気で治癒している黒歌。黒歌もかなり消耗しているようだ。

 

イッセーは近くの樹に手をついて起き上がろうとしている。

 

「(この状況はマズすぎる!!)」

 

俺は眼前を飛んでいたミニ・オシリスを呼び、両目を神威の万華鏡写輪眼へ変化させる。そして、神威によって転移する。

 

スゥゥー――。

 

視界が変わり、眼前には金髪をした黒歌が立っていた。――いや、黒歌に似ている別人だ。黒歌の気配は後方から感じている。

 

その女性は、驚愕の表情をしていた。

 

「――来たか、遅いぞ!!」

 

空中からタンニーンが叫んでくる。相対している相手は――金斗雲に乗った美猴。

 

「やべっ!!金華ッ、そいつと戦うんじゃねぇ!!」

 

「なによっ!!いきなり現れてッ!!」

 

ドッ!!

 

女性――金華が俺に向けて大きい魔力弾を放ってきた。

 

ボシュゥゥゥゥ――。

 

俺は左腕でそれを食い止める。さすがに素手なので、タキシードは袖半分が破け去り、左腕からは血が噴き出ている。

 

「…………」

 

俺は痛いのを我慢し、百豪で高速治癒を開始する。

 

徐々に傷口がふさがっていき、数秒後には完全に塞がって跡形もない。

 

「――なるほど。彼が人間最強なのね」

 

金華は納得のいった表情でこっちを見ている。

 

「部……お…は……が………足り……至れ……少し…ます」

 

離れているためか、イッセーたちの会話の内容を聞き取れない。

 

仕方なく、俺は後方を見た。直後、一つの人影から何かが俺に被弾してくる!!

 

俺はそれをキャッチした。――髪串だ。それも、黒歌のお気に入りのやつ。

 

目を凝らして見てみると、その人影は……黒歌だ。足元には白音がしゃがみ込んでいて、苦しそうにしていた。

 

『――イッセーたちを見るにゃ!見たら帰ってお仕置きだからっ!!』

 

写輪眼のせいで、黒歌の口の動きで言葉がわかってしまった。

 

しかし、時は遅く……俺はイッセーとリアスの方を見てしまっていたんだ。――読唇と同時に。

 

今まさに、イッセーがリアス・グレモリーの乳房を押そうとしていた!!

 

俺たちが冥界に来て翌日、イッセーが俺に言ってきた。

 

『兄さん、部長の乳首をつついたらどうなると思う?』

 

と訊かれて、俺は『知らん』と無視したんだった。

 

それを今ここで行おうと!?

 

「お、おっさん!大変だ!!」

 

今度はハッキリと聞こえてくる。イッセーの声が。

 

「どうした!何かあったのか!」

 

「右のおっぱいと左のおっぱい!どっちをつついたらいい!?」

 

「ぶっふー」

 

俺は二人の会話を聞いていて、吹き出してしまった。

 

空中と地上での口論。頭が沸騰してきた俺は叫んでしまった。

 

「イッセーッ!!両方ともつつけばいいだろッッ!!」

 

半ギレで怒鳴った俺に視線が集中する。恥ずい……。

 

「――!!兄さん!」

 

イッセーの喜ばしい声が聞こえた……って、まさか――。

 

再び逸らしていた視線をイッセーとリアスに向ける。そこには、リアスの両乳房をつつこうとイッセーが指の照準を合わせていた。

 

そして――。

 

『………………』

 

静寂の中、突然産声が上がる。

 

『――至ったッ。本当に至りやがったぞォッ!!』

 

ドライグが歓喜の笑いを上げる中、イッセーの周囲に赤い高出量のオーラが出現した。

 

Welsh(ウェルシュ) Dragon(ドラゴン) Balance(バランス) Breaker(ブレイカー)!!!!!!!!』

 

赤いオーラは鎧を形成していき、イッセーを包み込んだ。

 

(バランス)(・ブレイカー)、『(ブース)(テッド)(・ギア・)(スケイ)(ルメイル)』ッ!主のおっぱいつついてここに降臨ッッ!!」

 

イッセーェェェェェエエッッ!!すごく恥ずかしいこと言っているよっ!決まり方がすごい恥ずかしいからっ!!

 

俺は心中で突っ込みを入れる。お兄ちゃんそろそろ泣くよ!?

 

「アハハハハハハ!!」

 

その光景を見て、金華が笑っていた。

 

「ハッ!おもしろいじゃないの!なら、妖術仙術ミックスお見舞いしようかしら!」

 

金華の両手に白と黒の違う力がまといはじめた。

 

「――仙人モード!!」

 

俺は瞬時に仙術チャクラを練り上げ、右手の平に集中させる。

 

「(……金華はまだ気がついていない)」

 

右手の平に小さな球体――螺旋丸(らせんがん)を創り、仙術を練りこんで巨大化させる。

 

ドウッ!

 

金華がイッセーに向けて放った。

 

仙法(せんぽう)――」

 

ザッ!

 

俺はイッセーと金華の一直線上に割り込み――。

 

「――超大玉螺旋丸(ちょうおおだまらせんがん)ッッ!!」

 

ドオォォォォォォン!!!

 

両術がぶつかり、大きな爆発を巻き起こす。

 

砂煙が止んだ瞬間、俺はイッセーのところまで下がった。

 

「イッセー!!合体技いくぞ」

 

「ちょ、兄さん?」

 

俺は待たずに分身を出す。

 

「――わかった。ドライグ」

 

イッセーはドライグと対話していたようだ。

 

キュイィィィィィィィィィィィィンッッ――。

 

俺の手の平には、高密度、高音の物体が回転している。

 

仙法(せんぽう)風遁(ふうとん)螺旋手裏剣(らせんしゅりけん)ッッ!!」

 

サァァァァァァ――。

 

俺は地面をこすりつけながら、それを投げ飛ばす!!

 

ドッ!!

 

後方からとんでもない密度の塊が放たれた。イッセーだ!!

 

塊は金華のすぐ隣を通り過ぎ、螺旋手裏剣は在らぬ方向――金華の後方にある森の中に木々を切り裂きながら飛んでいく。

 

ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオ!!!!!

 

螺旋手裏剣が森の中を、高密度の塊は山を吹き飛ばした!!

 

赤い閃光と共に爆風がここまで届き、黒い霧を吹き飛ばした。

 

螺旋手裏剣は、大型のドームとなって森の一部を削り取っていた。

 

「――合体技じゃなかったな」

 

俺は苦笑いで誤魔化す。

 

「こ、こんなのありえない……」

 

金華は腰を抜かして尻餅をつく。

 

イッセーと俺は金華の前まで移動し、宣言する。

 

「俺の可愛い義妹(いもうと)を泣かすんじゃねぇ!!」

 

「今度は手加減なしで殺す。二度と家族に手を出すなっ」

 

金華の目は『恐怖』のそれだった。

 

金華を捕らえようと手を伸ばした瞬間――。

 

「――捕まえられては困ります」

 

突如どこからか声がした。

 

「美猴、金華、先ほどの戦闘で結界が破れています。じきに悪魔たちがここへ来ます」

 

木の陰から現れた青年。今の声はこの青年のモノだろう。

 

「おまえ、ヴァーリの付添いじゃなかったかい?」

 

背広を着て眼鏡をかけた青年。手には見覚えのある聖剣――。

 

「金華が遅いのでね、見に来たのですよ。そうしたら美猴までいる。まったく、何をしているのやら」

 

青年はため息をついた。

 

「あ、その聖剣は確か――」

 

俺は思い出したところで、青年に被された。

 

「これのことですね?これは、聖王剣コールブランド。見たことがお有りなのですか?」

 

「そうだ。俺の(セイクリッ)(ド・ギア)で創造できる一振りだから」

 

そう言って、俺は(セイクリッ)(ド・ギア)で聖王剣コールブランドを創りだした。

 

「ほう。それでは、あなたがウワサの『龍介』さんですね?」

 

「あぁ、本人だよ。俺は遠山龍介」

 

「少し土産話が出来ましたね。美猴、金華、帰りますよ」

 

青年は聖王剣で空間を切り開く。

 

「それでは。聖魔剣とデュランダル使いに伝えておいてくださいね。――いつか会いまみえたいと」

 

そう言い残すと、青年は金華に肩を貸している美猴と共に切り開いた空間へと逃げて行った。

 

それから数分後、騒ぎを嗅ぎつけた悪魔の者たちに俺たちは保護され、魔王主催のパーティは『(カオス)(・ブリ)(ゲード)』襲来により、急遽(きゅうきょ)中止となってしまった。

 

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