俺は別のモニターを見ている。そこには、ゼノヴィアと祐奈がソーナの眷属『
ゼノヴィアがイッセーから借り受けた聖剣・アスカロンに、異空間からデュランダルのオーラのみを取り出してアスカロンに付与させた……かなり面白い使い方をしている。
しかし、ゼノヴィアの攻撃は一歩及ばず、『
カウンターによる不利な状況を理解したのか、祐奈がゼノヴィアと立ち位置を変えた。これによって、ゼノヴィアは『
祐奈は二人を相手に、少し優勢の戦いをしている。
一方ゼノヴィアは、猛攻による猛攻で『
――『
鏡の出現に躊躇せず斬撃を放ったゼノヴィア。だが、『
しばらくの間、隠れた祐奈はゼノヴィアの怪我を、市販の救急キッドを用いて治療を始めた。だが、これだけの怪我とダメージを押さえられるわけがない。それでも治療を続ける祐奈。
二人の隠れている物陰に近づいていく椿姫、翼紗、巴柄。
治療をあきらめたのか、三人の前に現れた祐奈。
その祐奈の背に、隠れるように空間に裂け目が生じている。その裂け目から、聖なるオーラ……デュランダルのオーラが祐奈に流れ込んでいた。
そして、駐車場一帯に花が開くように……聖魔の剣が生えていった。そして、その聖魔剣の花には、聖剣・デュランダルのオーラが付加されていた…アスカロンと同じように。
花開いた聖魔剣に貫かれた翼紗と巴柄。体が発光していき…消えた。リタイアだ。
椿姫は、聖魔剣の花から逃げ切れたようだ。駐車場に姿はない。
祐奈はゼノヴィアの隣に膝を折って座る。抱えると微笑みを浮かべている。
二人とも微笑み合って、ゼノヴィアは光に包まれて消えた。その時、駐車場に花開いていた聖魔剣は、儚く散るように砕けて空を舞った。
『ソーナ・シトリーさまの「騎士」、「戦車」共に一名、リタイア』
『リアス・グレモリーさまの「騎士」一名、リタイア』
グレイフィアのアナウンスが響き渡った。
D×D
視線を移してイッセーと匙の戦いを見る。
イッセーは無事カウントを終了し、『
二人の戦いはデットヒートを起こし、イッセーは拳打、匙はボロボロになりながらも、家具などにラインをつないで放っていた。
ただ、鎧を着こんだイッセーの右腕には、今もラインが繋がれている。物凄い執念だな……匙。
しかし、その戦いも終結を迎えようとしている。
イッセーが一方的に殴りだしたのだ。ただの拳打を容赦なく打ち込んでいく。
しかし、匙は一向に倒れないでいた。相当なダメージと怪我、意識が所々で飛びかけているのか、膝を折りそうな仕草が見えてきた。
見るに堪えがたい匙の姿。しかし、ここにいる誰もがその映像から目を離せないでいた。
ゆっくりと一歩ずつ、イッセーへ歩み寄る匙。その目にまだ、執着の火が灯っている。そして、イッセーの前に立ち止ると、ボロボロの拳でゆっくりと殴りかかる……が、イッセーはそれを躱して、カウンターの一撃を顔面へ叩き込んだ。
物凄い衝撃音が聞こえ、確実に意識を絶ったと思われたが…………匙は、イッセーの右腕を両手でつかんでいた。引き抜こうとしたイッセーだが、直ぐにそれを止めた。匙の体が光に包まれ出したからだ。
――放さねぇぞ!何がなんでも――
匙の口がそう動いた気がした。動かないはずの匙の口が、一瞬だけそう言ったのだ。
匙が消えるまで、イッセーは一切顔を逸らすことなく見続けていた。
光が消えた後、近くの店に避難していた白音が姿を現した。
イッセーはマスクを収納し、白音と言葉を交わす。
そして、白音はイッセーの手を握り、二人は広場に向かって歩き出した。
D×D
俺は拍手をする。もちろん、イッセーではなく匙にだ。
周囲は唖然としている。当たり前だろう、自分の身内に拍手を送っている…そうにしか見えないからな。
「今の戦いは…感動したよ。セラフォルー、ソーナはいい眷属を持ったな」
俺の言葉にきょとんとしているセラフォルー。
「匙だよ、イッセーをここまで追い込んだんだ。賛辞に値するだろ?」
「……そうね。ソーナちゃんは、いい眷属を持ったと思うわ☆」
少し涙目だが、今はそっとしておこうと思う。号泣でもされたら困るからな。
「そうだね。ただ、あの繋がり続けているラインは、一体なんだと思う?」
「わからないとしか言えない。オーラを吸い取られているわけでもない。何だろうな」
俺はサーゼクスの問いに答えられなかった。見通せないモノは見通せない。
俺は中央広場のモニターを見た。集結しだす残りの両メンバー。
中盤も終わり、終盤へゲームは一気に進んだ。
D×D
中央広場に集結した両メンバー。にらみ合いになっている。
俺はモニターを見て、気がついた。
イッセーの体内の気の流れに異常がみられる。
気の流れには様々な形状があるが、今のイッセーの気の流れは……間違いなくあれだ。それだと、右腕に繋がれているラインの説明ができる。
ラインの伸びる方向を目で追うと、『
俺は血液パックを見て、眉間を押さえた。
――イッセーの負けだな。……と。
匙は元から、イッセーの失血による強制転移を狙っていた。カウンター
ここ最近、原作読む暇がなかった……それに、忘れていた。
まぁ、それでもいいかな?別に、原作の大半を忘れていても…大事な部分を覚えていればね。
アーシアから回復のオーラを受けていたイッセーが、その場に片膝をついた。限界が近いのだろう。
後で賛辞を贈ろう。えーと、匙とソーナだな。
戦況に戻る。
ソーナとリアスの話を聞いていると、突然イッセーのオーラが高まるのが目に見えた。
俺は写輪眼で、そのオーラの行く先を見たところ、すべてが脳へ移動していた。
――まさか、また変態術を身に着けたのか?
俺の予想は見事に当たった。
イッセーが叫ぶ!!
『広がれ、俺の夢の世界ッ!』
俺は咄嗟に感覚
『マギルティ=センス』の派生版は、五感のうち二感を故意に共有する。俺はその二感……聴覚と視覚を共有させた。もちろん、俺の耳は魔法の耳栓で塞ぎ、目は閉じてイッセーに悟られないようにする。
すると、俺の視覚と聴覚がイッセーの視覚と聴覚に連結した。
「あなたの声を聞かせてちょうだいなッ!」
直後、イッセーの視界がリアス……の胸に移動され、呼びかけた。
すると、リアスの胸から声が聞こえてきた。
『イッセー、だいじょうぶかしら……?あまり変なことをすると、体に障っちゃう……』
幼いリアスの声が聞こえた。これって、まさか……。
イッセーが今の声をリアスに問う。
「部長、いま俺を心配してくれましたね?変なことばかりしていると、体に障ると……」
「イッセー!ど、ど、どうしてそれを……!?」
カミングアウトに驚きを隠せないリアス。動揺が丸分かりだ。
次にイッセーの視界が、ソーナの胸に移動する。
「あなたは今、何を考えている?」
『もしかして、心の声を開発したのかしら☆ソーナ、困っちゃう☆』
セラと同じ口調で語るソーナ。姉妹は似るっていう…のか?
「ソーナ会長、いま俺の新必殺技が心の声を聞けるものだと思いましたね?」
その問いにソーナは狼狽した。
俺は接続を切ろうとしたが、肝心の切断方法を忘れてしまった……頭が真っ白になってしまったせいで。
仕方がなく、そのまま耳を傾けておくことにした。罪悪感がハンパない!
「新技『
俺は意識的に聴覚を遮断した……会話は聞こえているけど。とにかく、スルーすることにしたんだ。身が持ちそうもない。
イッセーが暴走気味に、次々とソーナ眷属の胸の内を聞いていく……後で謝罪しておこう。俺も聞いてしまったことだし……。
聞き終わると、両眷属の一部を除いた者から、総突っ込みという罵倒に近い言葉をイッセーとイッセーを通して俺も喰らってしまった。
「血が足りねぇ……。会長のおっぱいさん、今の作戦はどういう感じか教えておくれ!」
少し視界がぼやけてきている。イッセーも限界に近いのだろう。
『この特殊な結界は、「僧侶」の二人が作ってくれた囮なの☆精神だけ結界に置いて、姿は立体映像なのよん☆精神だけこちらに来ていれば、体の気配を消せるし、結界内にオーラがあるように見せることも可能だもん☆本当の私は屋上でーす☆結界内の私を狙うように攻撃させて、少しでも疲弊させるのが作戦だったりするのよ☆』
なるほど、ソーナはリアスたちの体力を削ろうって作戦だったわけか……イッセーの新技のせいで筒抜けだけど。
「皆、会長のあの結界は……囮だ。結界の中に…………」
イッセーは、ソーナの胸の内が語ってたことをリアスたちに最後の力を振り絞って話し伝えた。その直後、イッセーの視界がタイルの床に向かって行く。
倒れこんだイッセー。
「イッセーさん!」
駆けつけようとしていたアーシアの前に椿姫が立ちふさがる。
アーシアはその場で祈りを上げるように手を組んだ。直後、周囲に広がりだすオーラ。回復のオーラだろう。修行の内容にあったからな。
「それを待っていました!」
さっきまで血液パックを片手に持っていた『
このパターン、くるな……あれが!
『
「
淡い緑色のオーラが、赤い危険な色のオーラへと変質した。
俺の予想が当たる。
「――あっ」
アーシアが光に包まれていく。
「……回復の反転はダメージ……。アルジェントさんの回復力は絶大。……それを反転すれば……」
――やはり、要のアーシアを狙っていたか。だけどよ、それは無難に近いと思うぞ。
俺は心の中で語る……ここにいる全員が、まだ気がついていない…もう一つの状況に。
「――え?」
先ほどまで結界の近くにいた、もう一人の『
その原因である『それ』に全員の視線が集まった。
そう、そこには…アーシアの背中に引っ付いている『鮫肌』の柄が伸びて、『
アーシアの回復のオーラを反転させたことで、引っ付いていた鮫肌にも影響が出たんだ。元々鮫肌は、相手の力を吸収して溜め込み、主に柄を通して分け与える。それがアーシアから反転の影響を受けて、吸収が放出に。溜め込みが受け流しへ変化したんだ。一体化している能力は『回復』の類に入るのだろう。同じ回復を持つアーシアだから、反転の影響を受けた……と、俺は推測する。
状況を理解できない周囲は、ただ茫然と見ていることしかできない。
『
そして、イッセーの視界が閉じ始める。限界を迎えたようで、視界に映っている右手が光に包まれていた。
そしてそのまま、視界と聴覚の感覚がなくなった。
D×D
俺は目を開けると、要人ルームの椅子に座っていた。
どうやら、『マギルティ=センス』の効果が自然消滅したらしい。いやはや、一時は相当焦ったぜ。
『ソーナ・シトリーさまの「僧侶」二名、リタイア』
『リアス・グレモリーさまの「僧侶」、「兵士」共に一名、リタイア』
俺は何事もなかったようにモニターへ視線を向ける。
周囲では、何やらさっきのことで話し声が聞こえてきたが、俺は無視を図る。
戦況はさっきので、ソーナ側はソーナと椿姫の二名。対してリアス側は、リアス、朱乃、白音、祐奈の四名。
朱乃がフラフラと椿姫の方へと歩き出す。そして、体中に閃光と雷をほとばしり始めた。
――『雷光』。父親のバラキエルの力だ。
『消しますわ!!』
朱乃の雷光は、一本の鋭状のモノと化して椿姫に迫る。
しかし、椿姫は雷光を間一髪で避けた。
『僕もいるからっ!!』
神速で詰め寄る祐奈。その時、椿姫が懐から小瓶を取り出した。――『フェニックスの涙』!!
それを宙に投げ、長刀で破壊する。
『
突如、フェニックスの涙が赤く変質する。だが、祐奈は咄嗟に作り替えた水の聖魔剣で、変質したフェニックスの涙を吸収した。
フェニックスの涙は、他のものと混ざるとその効果を失う。祐奈はそれを利用したのだ。
バヂヂヂヂヂ!!
スパークノイズと共に、先ほどの雷光が椿姫に飛雷する。
『
大鏡を出現させ、雷光を映え返しにしようとした時――。
『そうはさせません!!』
祐奈が雷光の前に立ち、片方の聖魔剣を雷光に向けた。
聖魔剣に吸収される雷光。
雷光を帯びた聖魔剣ができ、それを『
直後、大きな音を立てて割れた『
一方、椿姫は腹部に手を当てて膝をついていた。
『あなたの神器「
燕返し……斬り返しのある二段斬り。初段を浅く斬り、二段目に真の一撃を加える。奏の得意技の一つ。それを覚えたのか……。
雷光を吸収した聖魔剣は、儚い音と共に砕け散る……耐久度が低かったのだろう。
『僕の役目はここまでです。朱乃さん』
祐奈は椿姫から離れる。直後――。
ドオォォォォォンッッ!!
雷鳴と共に雷光が椿姫を直撃し、椿姫は光をまとって消えた。
『ソーナ・シトリーさまの「女王」一名、リタイア』
その頃、屋上で戦っていた『王』二人の決着もついた。結果はソーナの