ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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Reunion of fate

試合が終わり、俺はサーゼクスとセラフォルーと共に匙の寝ている病室へと向かった。

 

他のメンバーも、それぞれの病室に行っている。

 

匙のいる病室の前に着いた俺は、ノックをして中に入る。

 

「入るぞ?」

 

俺とサーゼクスとセラフォルーの登場に、ベッドの上で目を丸くしている匙。傍らで座っていたソーナも驚いていた。

 

「すまないね。取り込み中だったかな?」

 

「い、いえ。突然だったもので、驚いてしまって……ご用件は?」

 

ソーナが匙の代わりにサーゼクスと話をする。サーゼクスは、懐から小箱を取り出した。

 

「これを匙くんに」

 

「こ、これは……」

 

ソーナが二度目の驚いた表情をした。

 

そう。サーゼクスが手に持っている小箱は、このゲームで活躍した功労を賞するもの。

 

「これを受け取りなさい」

 

ベッドの上で座っている匙の傍に立ち、小箱を差し出しているサーゼクス。

 

「あ、あの…これは……?」

 

緊張して声が震えている匙。

 

「これはレーティングゲームで優れた戦い、印象的な戦いを演じた者に贈られるものだ」

 

「お、俺は……兵藤に負けました……。こ、これを受け取っていい立場ではありません」

 

「そうだ。けど、結果的にイッセーくんを――あの赤龍帝を倒した。私たちはキミの戦いを観戦室で興奮しながら見ていた。そこにいる龍介や、あの北欧のオーディンもキミに賛辞を贈ったほどなんだよ」

 

サーゼクスは小箱から勲章を取り出して、匙の胸につける。

 

「匙、俺は義弟(おとうと)のイッセーよりおまえを賞した。何故だかわかるか?」

 

横から話に入る俺を見て、匙は首を横に振った。

 

「家族の俺がイッセーを賞せず、匙をたたえた理由……それは、あの戦いでの勇姿と、おまえの中にある『命を懸けて』戦う心なんだよ。そして、イッセーとの()()に勝った。試合ではなく勝負だ。それを見ていた俺やサーゼクス、オーディンの爺さんの心を捉えたんだよ」

 

俺は匙の傍まで歩み寄って、頭の上に手を乗せてクシャッと軽く撫でた。

 

「私は有望な若手悪魔を見られてうれしい。もっと精進しなさい。私は期待しているよ」

 

サーゼクスも匙の頭を撫でた。

 

「何年、何十年先になってもいい。――レーティングゲームの先生になりなさい」

 

匙は無言で泣いている。止めどなく流れる涙はシーツを濡らしている。

 

「……サジ、あなたはたくさんの人々に勇姿を見せたのですよ。あなたは立派な戦いをしたのですから」

 

ソーナも嬉し涙を流していた。そのソーナの頭をそっと撫でるセラフォルー。

 

「(初めて見た……セラのそんな顔)」

 

セラフォルーの表情は、姉の表情そのものだった。

 

「さて、あの恥ずかしい技を開発した義弟(イッセー)のところにでも行きますか。制裁を加えに」

 

俺は悪戯な笑みをして、匙のいる病室をあとにした。

 

                    D×D

 

「リュースケや」

 

俺がイッセーのいる病室に向かっていると、声をかけてくる人物がいた。

 

「あ、オーディンの爺さん」

 

俺は振り向いて名を呼んだ。

 

「リュースケや、赤龍帝のとこに行くのか?」

 

「そうですよ、ちょっと制裁を加えに行こうかとね」

 

俺は視線を斜め後ろにいる甲冑姿の女性……ヴァルキリーに向けた。

 

「そういえば、後ろにいるヴァルキリーの人……また代わったんですね」

 

「そうじゃのぅ。お主が旅に出てから直ぐに代わり、その時から就いてくれとる」

 

結構長いんじゃ?そう思ったが、失礼と感じたので言わないでおく。

 

オーディンの爺さんが歩み出す。後ろに付き添うヴァルキリーも歩き出し、結局俺は二人の後ろについて行く形で歩き出した。

 

部屋の前に着き、ノックを二回する。

 

『はーい、どうぞ』と中からイッセーの返事がしたので、ドアを開けて中に入った。

 

「に、兄さん。と……じいさん、誰っスか?」

 

俺の横に立ったオーディンの爺さんは、イッセーの質問に笑って答えた。

 

「わしは北の田舎ジジイじゃよ。赤龍帝、もう少し修行が必要なようじゃな。まぁ、精進せい」

 

「オーディンさまですね?初めてお目にかかります。私、リアス・グレモリーですわ」

 

イッセーが『誰だっけ?』的な目でオーディンの爺さんを見ていたので、俺が砕いて説明する。

 

「……イッセー。北欧の神話は知っているだろう?おまえがプレイしているゲームにも出てくるアースガルズの主神だ」

 

「……あ、そういえば髭の長い爺ちゃんが、長い杖を持っていたっけ?」

 

「そんなところ」と俺は話を戻す。

 

「うむうむ、サーゼクスの妹じゃな?試合見ておったぞ。ああいうこともある。お主も精進じゃな。しかし……デカいのぉ。観戦中、こればかり見とったぞい」

 

瞬時にイッセーの目が鋭くなった。あぁ……やっぱり、こういう(くだり)になるのか……。

 

その時、オーディンの爺さんの後ろにいたヴァルキリーが、ハリセンでオーディンの爺さんの頭を引っ叩いた。

 

「もう!ですから卑猥な目は禁止だと、あれほど申したではありませんか!これから大切な会談なのですから、北欧の主神としてしっかりしてください!!」

 

オーディンの爺さんが頭を引っ叩かれたことに唖然としたイッセーとリアス。

 

「……まったく、隙のないヴァルキリーじゃて。わーとるよ。これから天使、堕天使、悪魔、ギリシャのゼウス、須弥山の帝釈天、暁のリュースケとテロリスト対策の話し合いじゃったな」

 

「あ、俺も会議に参加するんだったっけ?忘れてたわ」

 

「まぁ、よいわ。サーゼクスの妹と赤龍帝。世は試練だらけじゃがな、楽しいこともたくさんあるぞい。存分に楽しんで、存分に苦しんで前へ進むんじゃな…リュースケのように。若造を育てる唯一の方法じゃよ。ほっほっほ」

 

オーディンの爺さんはそう言って俺の背を叩き、ヴァルキリーの人と部屋をあとにしていく。

 

――まぁ、俺は苦労してここまで辿り着いたんだよね。

 

俺は過去の記憶を思い出して、イッセーの髪をわしゃわしゃと撫でた。

 

                    D×D

 

――八月後半、俺たちは本邸前で帰宅の準備に入っていた。

 

イッセーはリアスの両親……グレモリー卿とヴェネラナ夫人と挨拶を交わしている。

 

俺はというと――。

 

「本当にいいのか?飛段、角都」

 

「あぁ。こっちの方が色々と都合がいいからな。人間界では正体がバレ易い」

 

「そういうこと。俺も角都の旦那と同意見だ。不死身が何かしろの弾みにバレれば、シャレにならないからな」

 

角都と飛段の二人と話していた。当の本人たちである二人は、人間界よりここ(冥界)のほうが住み易いと言うんだ。まぁ、二人がそう言うんなら、しょうがないけども。

 

「わかったよ。領地に住むんだな?」

 

「そうだ。手入れのし甲斐がある上に、自然もあって不自由がない。中にいる奴らもな」

 

「俺も自然は好きだぜ?ちょうど、この三段鎌で草刈りでもしようと思っていたんだ」

 

意外な返答だ……。あの三段鎌が戦闘以外で役に立つとは…。

 

時間になり、皆が列車に乗り込む。

 

「何かあったら、魔方陣でも飛ばして来いよ」

 

「「あぁ」」

 

二人は返事をして列車から下がった。俺は窓から手を振る。

 

「リュースケ兄さま、リアスお姉さま。お元気で!」

 

ミリキャスの言葉に手を振って微笑む。

 

サーゼクス、グレイフィア、ミリキャス……親子のスリーショットを見て平和だと思った。

 

                    D×D

 

帰りの列車の中、俺はイッセーの宿題の手伝いをしていた……講師役として。

 

まぁ、イッセーは勉強の出来ないバカではない。平均前後と言ったところだろうか?そこそこ内容はわかっているようだ。

 

先ほどまで騒いでいた皆は寝ている。

 

――それから十数分後。

 

宿題を終えたイッセーは、疲れのせいか寝ている。

 

起きている俺は、花楓に頼んで創造させた新しい神器を起動させてみる。

 

まずは、巨神兵の豪腕(オベリスク・ディグニティー)。右腕に剛腕な蒼天の色の腕の籠手が出現する。甲にある宝玉は青色をしており、輝きを持っている。

 

次に天空竜の翼尾(オシリス・リッジ)。腰の下辺りから長く紅蓮の色の尾が出現する。尾先にある宝玉は赤色をしており、輝きを持っている。

 

最後に翼神竜の金翼(ラー・クレスト)。背中から広く黄金の色の翼が出現する。両翼の中心にある二つの宝玉は黄色をしており、輝きを持っている。

 

三つの神器は正常に働いている。宝玉の中には、オベリスクの巨神兵、オシリスの天空竜、ラーの翼神竜が直接封印されていて、それぞれの能力を発揮できる。(バランス)(・ブレイカー)にも至っているし、亜種と言っても、鎧化するのに差がほとんどない。

 

「ふわぁ~」

 

俺も眠くなってきたので、大きな欠伸を一つ。近くに人が眠っていると、自然に眠くなるのは体の構造上のモノなのか…?

 

神器を収納して目を閉じた。そのまま意識が遠退いていき、ブラックアウトした。

 

                    D×D

 

列車が人間界の地下ホームに到着した瞬間、俺は飛び起きた。

 

いつの間にか横にされていて、飛び起きた俺を見て皆が苦笑を見せている……恥ずかしい。

 

降りていくメンバーの中、急いで荷物を持って手鏡で寝起きの顔になっていないか確認した。

 

なっていなかったので列車を降りた時、数メートル先で何か困惑しているメンバーの姿を確認して、近くに駆け寄った。そこには――。

 

「アーシア・アルジェント……やっと会えた」

 

優男がアーシアに詰め寄っており、アーシアが困惑した表情で佇んでいる。

 

「おいおいおい!!アーシアに何の用だ?」

 

その間に入り込むイッセー。喧嘩が勃発するかと思って警戒しながら聞くが……。

 

「僕を忘れてしまったのかな?僕とキミはあの時に出会ったはずだよ?」

 

優男はそんなことは気にせず、服の胸元を開く。そこには大きな傷跡が…。

 

それを見たアーシアが、目を見開いていた。

 

「――っ。その傷跡は、もしかして……」

 

「そう、あのときは顔を見せられなかったけど、僕はあのときの悪魔だ」

 

その時、俺の脳裏に浮かんだある悪魔の名前を思い出した。

 

「――ディオドラ・アスタロト。あの会合の時に顔合わせした上級悪魔か?」

 

俺の答えに思い出した表情をしている面々。

 

ディオドラはアーシアのもとに跪くと、その手を握って手の甲にキスをした。

 

瞬間、飛び出そうとしたイッセーとマリア。俺はイッセーを、マリアは辰巳に止められた。

 

「アーシア、僕はキミを迎えに来たんだ。会合のとき、挨拶が出来なくてゴメン。でも、僕とキミの出会いは運命だったんだと思う。―――僕の妻になって欲しい」

 

ディオドラは、俺たちの目の前でアーシアに求婚したんだ。

 

――暑かった夏が終わり、季節の変わり目となる秋が始まろうとしていた。

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