ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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体育館裏のホーリー
転校生が来ました!!


早朝、俺は玄関で困っていた。

 

「また、ディオドラからか……」

 

「またなの?ホント、しつこいわね」

 

俺の後ろから声をかけてくる者がいた……マリアだ。

 

「あぁ、面倒だから、飛段と角都に横流しするか」

 

俺はアーシア宛に送られてくるディオドラの贈り物……大きなものや食品などを冥界に住んでいる飛段と角都に横流ししている。

 

神威(カムイ)で送られてきていた大きな荷物を吸い込んだ。

 

「おはようございます。龍介さん」

 

また後ろから声をかけられる…リアスか。

 

「これ、アーシア(あて)の手紙だ」

 

俺は手に持っている手紙(ラブレター)を手渡した。

 

「これで何通目かしら?」

 

額に手を当てて困った素振りをするリアス。

 

「イッセーは寝ているのか?」

 

話題を変えてみる俺。

 

「はい。まだ寝てますわ……ここ最近、うなされていることが多いのよ」

 

「……」

 

わざわざ話題を逸らしたのに、心配事を思い出させてしまった……。

 

「まぁ、将来の義妹(いもうと)候補だから……ディオドラには悪いが、渡すわけにはいかないな」

 

「そうね、アーちゃんはイッセーくんオンリーでいいのよ!」

 

アーちゃんって……どこまでシスコンなんだ…?

 

「そ、そうですわね。イッセーたちを起こしに行ってきます」

 

慌ててイッセーの部屋に向かうリアス。

 

そうだな…ここ二週間で、ディオドラからの手紙(ラブレター)は軽く四十通は超えている。ストーカーもいいところだ……ホント。

 

しかも、人間界に帰ってきたのが二週間と一日前。帰ってきた翌日から届きだしたんだ。……人なら容赦なく警察に突き出しているところだ。それか、直々に説教でもしているがな。

 

「さて、朝食の用意をしますか。皆が起きてくる頃だな」

 

「そうね。私も手伝うよ」

 

マリアと一緒にキッチン向かう。

 

朝からフルコースでも作りますかな!冗談です。ゴメンなさい。

 

                    D×D

 

俺は全員を見送った後、昼飯について考えていた。

 

今日は弁当を持っていく約束をしている。全員が食べられるモノを作ろうと思っている。

 

昼休みまでに作らないと、全員の昼が抜きになってしまう。

 

その時、急に魔方陣が飛んできたので、席を外して廊下に出た。

 

『…龍介ですね?繋がりましたか』

 

「ん?いきなり何の用だ?ミカエル」

 

『いえ、急なことで…』

 

「急なこと?」

 

『そちらに一人スタッフを動員致しました』

 

「スタッフを?知っている奴か?」

 

『はい、紫藤イリナですよ?』

 

あぁ~。イッセーのセカンド幼馴染の子か。

 

「でも、ホントに急だな」

 

俺は笑いながら話す。

 

『えぇ。そちらに天界のスタッフが一人もいないのはいけないと思い、彼女を送らせました』

 

「教会じゃなく、天界ね。イリナは天使にでもなったか?」

 

俺は冗談のつもりで言ったのだが……。

 

『はい。紫藤イリナは私のエースとして転生いたしました』

 

「…………」

 

ミカエルの返事を聞いて、黙ってしまった。

 

『それでは、私も仕事がありますので。これで…』

 

「あ、あぁ。仕事がんばれよ」

 

通信用の魔方陣が消え、俺はため息をついた。

 

「…また、増えるのか……」

 

                    D×D

 

「えー、このような時期に珍しいかもしれませんが、このクラスに新たな女の子の仲間が増えます」

 

突然の担任教師による告知。

 

俺もクラスの男子と共にテンションを上げていた。だって、女子だもん!そりゃ、テンションが上がりますって。

 

「じゃあ、入ってきて」

 

先生の声に促されてはいってきたのは――。

 

「紫藤イリナです。皆さん、どうぞよろしくお願いします」

 

自己紹介してペコリと頭を下げる栗毛の転校生。

 

首から下げている十字架が輝きを放つ。以前と違い、髪型はツインテールにしているけど、間違いない。あのエクスカリバー強奪事件で来日した紫藤イリナ本人だ!

 

                    D×D

 

「ちょっと来てくれ」

 

昼休みになり、男子や女子から質問攻めにあっているイリナの手を引き、俺、アーシア、ゼノヴィア、夕麻、理子、辰巳の六人は人気のない場所へ急いで連れ出した。

 

――紫藤イリナ。俺のセカンド幼馴染。

 

まさか、敵としてここに来たわけじゃ……ないよな?今は三大勢力と兄さんたちは協定を結んでいる。じゃあ、イリナがここに来た理由は…?

 

「おっひさ~。イッセーくん!ゼノヴィア!」

 

ゼノヴィアに抱きついたイリナ。

 

「ゼノヴィア!元気そうでよかったぁ~。立場上複雑だけれど、素直に会えてうれしいわっ!」

 

「あぁ、久しぶりだね、イリナ。元気そうで何よりだけど……胸にかけてある十字架がチクチクと地味にダメージを与えてくるのは、天罰だろうか……」

 

元聖剣三人コンビのゼノヴィアも笑みを見せている。

 

「なぜ、ここに?」

 

夕麻が素朴な質問をする。

 

「ミカエル様の命により、使いとしてここに転校してきたの。詳しくは放課後で。噂の旧校舎で。ね?」

 

そう言って、イリナは可愛くウインクをした。

 

俺はメールで部長にイリナのことを訊いてみると、『放課後に詳しく紹介をするから、それまでに相手をしてあげてちょうだいね。いちおう、転校生という事になっているから』と返信があった。

 

よし、それなら放課後まで待とう。

 

俺たちが教室へ帰ろうとした時、後ろから声をかけられた。

 

「お~い、イッセー、弁当持ってきたぞ~」

 

そこには……今朝、約束した通りに兄さんたちが弁当を持って走ってきた。

 

                    D×D

 

「紫藤イリナさん、あなたの来校を歓迎するわ」

 

放課後の部室。オカルト研究部のメンバー全員とソーナ、アザゼル、飛段と角都以外のメンバー全員が集まり、イリナを迎え入れていた。

 

「はい!皆さん!初めまして――の方もいらっしゃれば、再びお会いした方のほうが多いですね。紫藤イリナと申します!教会――いえ、天使さまの使者として駆王学園にはせ参じました!」

 

オカルト研究部のメンバーと遠山家の皆が拍手を送る。

 

イリナが「主への感謝~」とか「ミカエルさまは偉大で~」とか言い始める。皆は苦笑しながらも聞いていた。

 

それからしばらくして、アザゼルが口を開いた。

 

「おまえさん、『聖書に記されし神』の死は知っているんだろう?」

 

「せ、先生ぇぇぇ!!いきなりすぎますよっ!」

 

「イッセー、イリナがここに来たのは、そういう事を込みで任務を受けているんだ。ここは三大勢力の協力圏内の中でも最大級に重要視されている場所の一つ。ここに関係者が来るってことは、ある程度の知識を持って来ているということになる。そうだろう?アザゼル」

 

俺はイッセーに聞かせながら、アザゼルに確認を取る。

 

「その通りだ。そうだろ?紫藤イリナ」

 

「もちろんです、堕天使の総督さま。龍介さん。安心して?イッセーくん。私は主の消滅をすでに認識しているの」

 

頬を薄い朱に染めるイッセー。いらない心配をして恥ずかしくなったようだな。

 

イリナは歩いてマリアの目の前に立った。

 

「お久しぶりです。マリアさん」

 

敬語で話すイリナ。

 

「お帰り、イリナ」

 

イリナを抱き寄せるマリア。

 

「意外にタフだね。信仰心の厚いイリナが何のショックも受けずにここへ来ているとは」

 

ゼノヴィアの一言を聞いたイリナは、一泊置いた後……マリアから離れ、大粒の涙を浮かべながらゼノヴィアに詰め寄りながら叫んだ。

 

「ショックに決まっているじゃなぁぁぁぁい!心の支え!世界の中心!あらゆるものの父が死んでいたのよぉぉぉぉっ!?すべてを信じていままで歩いてきた私なものだから、それはそれは大ショックでミカエルさまから真実を知らされたとき、あまりの衝撃で七日七晩寝込んでしまったわぁぁぁっ!ああああああ、主よ!」

 

イリナはテーブルに突っ伏しながら大号泣してしまった。

 

「わかるわ」

 

「わかります」

 

「わかるよ」

 

「わかるわね」

 

「わかる」

 

「うん、わかるって」

 

マリアとアーシア、ゼノヴィア、レイナーレ、カラワーナ、ミッテルトがうんうんとうなずきながらイリナに優しく話しかける。

 

すると、イリナはゼノヴィアに抱きついた。

 

「ゼノヴィアに別れ際、酷いこと言ったわ!ゴメンなさい!」

 

「気にしていない。あれは破れかぶれだった私が悪かった。いきなり、悪魔に転生だものな。でも、こうして再会できてうれしいよ」

 

「これからは同じ主を敬愛する者同志、仲良くできたら幸いです」

 

「そうね。私も前みたいに仲良くしたいわ」

 

「私は堕天使ですけれど、今後は仲良くしましょうね。イリナさん」

 

「私も堕天使だ。レイナーレと同じく仲良くできたら幸いだと思う」

 

「ウチもっ!堕天使だけどぉ~、元々は同じ主を敬愛してたしぃ、今も変わらないよ?」

 

『あぁ、主よ!』

 

七人は一緒に祈りをあげだす。

 

まぁ、マリアたち四人の制服に隠れている十字架……敬愛していたことは本当だよな。

 

「……と七人とも、いいところで悪いんだけど……エールのこと忘れてないか?イリナは初耳だと思うけど」

 

俺は祈りを上げ終えたと同時に切り出す。すると、イリナの前に歩き、立ち止ったエール。

 

「エールです。神と人間の間に産まれました」

 

やっぱり無口なのは変わらないかぁ~。ここ最近、少しずつ口数が増えてきてると思ったんだけどなぁ……。

 

「っ!よ、よろしくお願いします!!私はイリナですっ」

 

急にテンションの上がったイリナ。相変わらず喜怒哀楽の差が激しい子だよな…。

 

「ミカエルの使いってことでいいんだな?」

 

アザゼルの確認にイリナがうなずく。

 

「はい、アザゼルさま。ミカエルさまはここに天使側の使いが一人もいないことに悩んでおられました。現地にスタッフがいないのは問題だ、と」

 

「あぁ、そんなことをミカエルが言っていたな。ここは天界、冥界の力が働いているわけだが、実際の現地で動いているのはリアスとソーナ・シトリーの眷属と、龍介たちと俺を含めた少数の人員だ。まあ、それだけでも十分機能しているんだが、ミカエルの野郎、律義なことに天界側からも現地で働くスタッフがいたほうがいいってんでわざわざ送ってくると言ってきてたのさ。ただでさえ、天界はお人好しを超えたレベルのバックアップ態勢だっつーのに。俺はいらないと言ったんだが、それではダメだと強引に送ってきたのがこいつなんだろう」

 

ため息を吐きながら言ったアザゼル。

 

「あぁ、俺のところにも連絡が来たぞ。まぁ、部屋が一つ増えるくらいだが……」

 

ここもだが、家も大所帯で賑わっている。

 

しばらくしてイリナはふいに立ち上がると、祈りのポーズをする。―――すると、イリナの体が輝きはじめ、背中から一対二枚の白い翼が勢い良く生えた。

 

俺以外の全員が驚くが、アザゼルはあごに手をやりながら、冷静にイリナに訊く。

 

「――紫藤イリナといったか。おまえ、天使化したのか?」

 

「天使化?そんな現象があるんですか?」

 

イッセーがアザゼルに訊くと、アザゼルは肩をすくめた。

 

「いや、実際にはいままでなかった。理論的なものは天界と冥界の科学者の間で話し合われてはいたが……」

 

目を細めているアザゼルの言葉に頷いたイリナ。

 

「はい。ミカエルさまの祝福を受けて、私は転生天使となりました。なんでもセラフの方々が悪魔や堕天使の用いていた技術を転用して、それを可能にしたと聞きました」

 

俺が頷いている中、イリナは話を続ける。

 

「四大セラフ、他のセラフメンバーを合わせた十名の方々は、それぞれ、A(エース)からクイーン、トランプに(なら)った配置で『(ブレイ)使(ブ・セ)(イント)』と称した配下を十二名作ることにしたのです。カードでいうキングの役目が主となる天使さまとなります」

 

アザゼルは、イリナの話に興味を持った目で聞いていた。こういった話が大好きだからな……。

 

「なるほど『(イー)(ヴィ)(ル・ピ)(ース)』の技術か。あれと堕天使の人工(セイクリッ)(ド・ギア)の技術を応用しやがったんだな。ったく、伝えた直後に面白いもん開発するじゃねぇか、天界も。悪魔がチェスなら、天使はトランプとはな。まあ、もともとトランプは『切り札』という意味も含んでいる。神が死んだあと、純粋な天使は二度と増えることができなくなったからな。そうやって、転生天使を増やすのは自軍の強化に繋がるか……ん?そのシステムだと、裏でジョーカーなんて呼ばれる強い者もいそうだな。十二名も十二使徒に倣った形だ。まったく、楽しませてくれるぜ、天使長さまもよ」

 

アザゼルは楽しそうに笑い声を漏らした。

 

「……で、イリナはミカエルの『エース』ってところか?」

 

俺は知っているが、なるべく自然に訊いてみた。

 

「そう、私はAよ!ふふふ、ミカエルさまのエース天使として光栄な配置をいただいたのよ!もう死んでもいい!主はいないけれど、私はミカエルさまのエースとして生きていけるだけでも十分なのよぉぉぉぉっ」

 

おっ、目が爛々と……いやいや、暴走じみてるって。

 

「ミカエルも大変だな」

 

俺は同情するぞ、ミカエル。

 

イリナは俺たちへ楽しげに告げる。

 

「さらにミカエルさまは悪魔のレーティングゲームに異種戦として、『(イー)(ヴィ)(ル・ピ)(ース)』と『(ブレイ)使(ブ・セ)(イント)』のゲームも将来的に見据えているとおっしゃっていました!いまはまだセラフのみの力ですが、いずれはセラフ以外の上位天使さまたちにもこのシステムを与え、悪魔のレーティングゲーム同様競い合って高めていきたいとおっしゃられていましたよ!」

 

驚くメンバーを尻目にアザゼルが感心していた。

 

「天使や悪魔のなかには上の決定に異を唱える者も少なくない。長年争い合ってきた仲だ。突然、手を取り合えと言えば不満も出るさ。しかし、考えたな、ミカエル。そうやって、代理戦争を用意することでお互いのうっぷんを競技として発散させる。人間界のワールドカップ、オリンピックみたいなもんだ」

 

「面白そうですねぇ~。私たち六人でどこまでいけるのか気になりますねぇ~」

 

リエが興味津々といった表情で口を開いた。

 

俺もそう思ったぞ。どこまで上れるのか、試したいさ。

 

「じゃあ、俺たちグレモリー眷属と天使のゲームシステムが戦うこともあるんですか?」

 

イッセーの問いにアザゼルは首をひねる。

 

「将来的にはそうなるかもな。と言っても、すぐにじゃない。少なくとも十年……もしかしたら二十年後だ。ま、お前らはその頃ちょうど新人悪魔としてもいい時期だろうし、楽しめるだろうさ」

 

『その時は、ワシらも存分に戦わさせてもらうぞ』

 

九喇嘛(くらま)が奏の口を借りて発言した。

 

「そんときは存分に戦え!」

 

楽しそうに答えたアザゼル。……規模を考えろよ。

 

「その辺りの話はここまでにしておいて、今日は紫藤イリナさんの歓迎会としましょう」

 

ソーナが笑顔を見せながら改めて言った。

 

「悪魔の皆さん!私、いままで敵視してきましたし、滅してもきました!けれど、ミカエルさまが『これからは仲良くですよ?』とおっしゃられたので、私も皆さんと仲良くしていきたいと思います!というか、本当は個人的にも仲良くしたかったのよ!教会代表として頑張りたいです!よろしくお願い致します!」

 

『よろしくっ!!』

 

その後、生徒会のメンバーも合流して、イリナの歓迎パーティーが行われた。

 

もちろん、パーティー食は…俺持ちだったけどね!トホホ…。

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