ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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収録と決戦

俺は翌日の朝、暁の女子全員が寝ている自分のベッドから這い出た。

 

もう慣れてきたので神威(カムイ)を使わずに抜け出している。

 

昨夜は突入された直後に意識を強制的に落としたため、拷問的なことは受けていない。しかも、俺が寝ている間にあれこれされる心配は一切ない。服には特殊な術式を施しているからだ。

 

部屋を出てリビングへ向かう。まだ誰も起きてくる気配はなく、朝食のじゅ――。

 

「…おはよう、リュースケ」

 

――キッチンにエールがいた。

 

「お、おはよう。まだ早いと思うんだが…エール」

 

朝五時過ぎ……俺は起き慣れてはいるが、用意するには一時間早い。

 

「今日は、リアスたちのインタビューの日だから…早めに朝食の用意をしてる」

 

「イ、 インタビュー!?初耳だぞ?」

 

「昨夜、リュースケが部屋に籠もっている時にリアスから聞いた」

 

「……」

 

そういう事か…。

 

「収録スタジオに同行するから、皆早く起きて用意しないと」

 

「同行するのか……。ってことは、俺たちの収録はないと見ていいのか?」

 

小さく頷くエール。

 

俺もエプロンを着て、朝食の準備を手伝う。

 

「ちなみに、献立の方は?」

 

「……和食で梅干しと漬物と味噌汁」

 

「りょーかい」

 

そこそこ簡単でよかった……量は多いけどな。

 

                    D×D

 

朝食を食べ終えて自室に入る。

 

撮影はないとしても、スタジオに入るのなら身なりは整えておかないとならない。

 

ちなみに、角都と飛段も来るそうだ。サーゼクスが声を掛けたんだと。

 

用意が終わり、リビングへ集合する。

 

「さて、移動するぞ。黒歌…頼んだ」

 

「りょーかいにゃ」

 

黒歌は行くメンバーの足元に巨大な魔方陣出現させて、冥界へ転移させる。

 

                    D×D

 

転移魔法陣のスペースが設けられた場所に着くなり、待機していたスタッフが温かく迎え入れてくれた。

 

「よぉ、この間ぶりだな」

 

声が掛けられて振り向くと、そこにいたのは角都と飛段だ。

 

「お待ちしておりました。リアス・グレモリーさま。そして、眷属の皆さま。さあ、こちらへ。暁の皆さまもどうぞ」

 

プロデューサーの悪魔に連れられて、エレベーターを二台を使い最上階へ。

 

リアスたちメンバー以外は暁のメンバーと伝えている。

 

エレベーターが最上階に着き、廊下に出る。少し進んでいくと壁にポスターがイベントスタジオ並みに貼られていた。そこに写っているのは……リアスだった。アイドルが売りに出た時と同じような感じか?

 

暁の女性陣は、リアスの写っているポスターを見て話していた。

 

すると、廊下の先から見知った人物が人を十人ぐらい引き連れて歩いてくる。

 

「サイラオーグ。あなたも来ていたのね」

 

リアスが声をかけた人物は……バアル家の次期当主、サイラオーグだ。

 

貴族服を肩へ大胆に羽織り、臨戦的な気を漂わせている。

 

すぐ後ろについている金髪ポニーテールの女性……確か、サイラオーグの『女王(クイーン)』だったな。

 

「リアスか。そっちもインタビュー収録か?」

 

「ええ。サイラオーグはもう終わったの?」

 

「これからだ。おそらくリアスたちとは別のスタジオだろう。――試合、見たぞ」

 

サイラオーグの一言にリアスは小さく顔をしかめた。

 

「お互い、新人丸出し、素人臭さが抜けないものだな」

 

サイラオーグは苦笑する。

 

サイラオーグとリアスは少し会話した後、お互いに握手を交わす。そして、サイラオーグは去って行った。

 

その後、俺たちは一度、それぞれの楽屋に通され、手荷物を置いた。

 

アザゼルは他の番組に出演とのことで引率していない。イリナと理子と春奈、辰巳やカミュ、ドラゴン娘たちたちは家で留守番をしている。

 

その後、スタジオらしき場所に案内され、中へ通される。まだ準備中で、局のスタッフたちがいろいろと作業をしていた。

 

先に来ていたのであろうインタビュアーの女性がリアスにあいさつをする。

 

「お初にお目にかかります。冥界第一放送局の局アナをしているものです」

 

「こちらこそ、よろしくお願いしますわ」

 

リアスも笑顔で握手に応じた。

 

「さっそくですが、打ち合わせを――」

 

と、リアスとスタッフ、局アナの女性を交えて番組の打ち合わせを始めた。俺たちは関係がないので少し離れた場所で待機する。

 

スタジオには観客用の椅子も大量に用意されている。俺たちはこの椅子に座ってインタビューを聞くのか。

 

「……ぼ、ぼ、ぼ、ぼぼぼぼぼぼ、僕、帰りたいですぅぅぅぅ……!!」

 

イッセーの背中でぶるぶる震えているギャスパー。……引きこもりにテレビ出演は酷かもなぁ…。

 

しばらくして…リアスたちが打ち合わせをしている時、イッセーが立ち上がり、スタッフの人に案内されながらスタジオをあとにしていった。何かあるのか?と、呑気に考えていた俺であった。

 

                    D×D

 

収録後、俺はイッセーのいる楽屋に入って談笑していた。

 

入った時はぐったりしていたものの、話をしていると少しずつ戻してきた。

 

「ところでイッセー、別のスタジオで何を撮ったの?」

 

リアスが楽屋のお菓子をつまみながら訊いた。

 

「内緒です。スタッフの人にもできるだけ身内にも教えないでくれって言われてたんで」

 

内緒か…。

 

「イッセー、俺の写輪眼で吐かせてやろうか?」

 

「に、兄さん……冗談は()してよ」

 

「ははは、バレたか。まぁ、無理に吐かせる気もないし、そろそろ荷物をまとめに帰りますか」

 

俺は立ち上がってドアの前に立つ。ノブに手をかけて開けた時――。

 

「――あ」

 

「……ん?」

 

目の前に金髪をツイン縦ロールにしている少女が立っていた。手にはバスケットを持っている。どこかで見たような……?

 

「こ、こんにちは。イッセーさまはいらっしゃいますか?」

 

「あぁ、そこにいるよ」

 

俺は立ち退いて道を開ける。

 

「レイヴェル・フェニックスか。どうしてここに?」

 

イッセーの声で思い出した…フェニックス家の長女だったな。

 

イッセーと視線があうレイヴェル。すると、一瞬パァっと顔を輝かせるが、すぐに不機嫌な表情に変わる。

 

そして、手に持っていたバスケットをイッセーへ突きだす。

 

「こ、これ!ケーキですわ!この局に次兄の番組があるものですからついでです!」

 

見事なツンデレだっ!俺は軽く吹きそうになったのを抑えて、部屋を何事もない涼しげな雰囲気を保ちながらあとにした。

 

――イッセー、おまえも大変だな……修羅場が容易に想像できるぞ。

 

                    D×D

 

俺は例の部屋で暴れている。と言っても、角都と飛段を呼んで相手を頼んだだけだがな。

 

「水遁、壊籠蟇(えるめす)!!」

 

角都が発声直後、水遁を操る繊維質の黒い化け物から複数の水玉が超高速で発射される。

 

須佐能乎(スサノオ)!!」

 

俺は須佐能乎(スサノオ)の腕で水玉を受け止めるが、貫通して入ってきやがった!

 

「チッ、天照(あまてらす)!!」

 

すると、水玉に黒炎が発火して消失させる。代わりに、俺の左目から一筋出血した。

 

「旦那っ!!」

 

「風遁、圧害(あつがい)!!」

 

今度は風遁を操る化け物が突風を巻き起こし、飛段をこちらに向けて吹き飛ばしてきた。

 

「ヒャッハァァァァァッッ!!」

 

奇声を上げながら吹き飛んでくる飛段。回転しながら両手に鋭利な棒を持つ。さながら『飛来してくるドリル』と例えたらわかり易いだろうか?

 

「おいおい、冗談じゃねぇぞ!」

 

俺は(セイクリッ)(ド・ギア)巨神兵の豪腕(オベリスク・ディグニティー)』を発動し、右腕にまとわせる。

 

「ゴッド・ハンド・クラッシャァァァァァッッ!!!!」

 

光り輝く右腕を飛段の高速回転ドリルにぶつけた。

 

激しい火花が散り、爆発が巻き起こった!

 

「ぐっぅ!!」

 

俺は吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。

 

右腕にまとっている巨神兵の豪腕(オベリスク・ディグニティー)は無事で、収納した。代わりに(セイクリッ)(ド・ギア)天空竜の翼尾(オシリス・リッジ)』を装着する。長い尾が特徴だ。

 

(バラン)(ス・ブ)(レイク)!!」

 

周囲に紅蓮のオーラが出現し、俺の体を包み込む。オーラが収まると、俺の体には紅蓮の鎧がまとっていた。

 

――『天空竜の翼尾(オシリス・リッジ)』の(バランス)(・ブレイカー)、『(オシリス)(・リ)(ッジ・ス)(ケイ)(ルメイル)』。

 

カシャカシャ……ブイィィィィィン――。

 

二段ある口の下が開き、オーラを集結させていく。

 

「超伝導波サンダーフォースゥゥゥゥゥッッ!!!」

 

ドオォォォォォォォォォォンッッ!!!!!!

 

極太のレーザー砲が飛段と角都を飲み込んだ。

 

                    D×D

 

「ふいぃ~」

 

「死ぬかと思たぞ…」

 

「悪い悪い、ちょっとやり過ぎた」

 

俺は角都と飛段の三人で風呂に入っている。もちろん、角都と飛段が入っていることは皆知っているので、遠慮してもらっている…と言うより、命令で縛った。

 

(セイクリッ)(ド・ギア)って言ったっけ?あの籠手やら尾やら鎧とかさ」

 

「あぁ、この世界の神が遺した人間の血を持つ者のみに受け継がれる道具だ…と言っても、中には封印や契約で従えているモノもあるからな。道具と言えないかも…」

 

「ほう……」

 

顎に手をやり感心している角都……ん?

 

「――角都、おまえは感心している素振りで目を光らせるな。…って、飛段…おまえ、あらかさまに目を光らせるなよ、丸わかりだ」

 

二人は正反対の動作をしていたが、結局は(セイクリッ)(ド・ギア)が欲しいわけだな…。

 

「はぁ……わーたよ。少し落ち着いたら創ってやるよ。花楓に頼んでな」

 

二人は俺の言葉に満足したのか、湯にどっぷり浸かる。

 

俺はタオルを(まぶた)の上に乗せ、一思い耽る。

 

――どうせ、原作の一部を回避しようと必ず繋がってしまう。なら、流れに任せてみたらいいかもしれない…大事な場面を除いて。

 

気がついたら、角都と飛段が上がっていた。俺も頃合いだと思い風呂を上がり浴場を出た。

 

                    D×D

 

「さて、転移の用意はできたか?」

 

リアス眷属対ディオドラ眷属決戦の当日の深夜、リビングにて…俺は暗部の装備(仮面無し)の上に暁の装束を羽織っている。

 

駒を持っていない辰巳たちも全員召集。暁の装束を羽織ってもらっている。

 

「やはり、この装束だとシックリくる」

 

「俺もだ、角都の旦那」

 

俺は角都と飛段の会話をよそに、魔方陣の中心に立ち術式を弄る。

 

「イッセーやリアスたちには秘密に行動している。だから、あいつらはこれから起きることを知らない。向こうに着いたら全員でバックアップし、犠牲なく(カオス)(・ブリ)(ゲード)の要人物の生け捕り、雑兵の殲滅を遂行すること。絶対死ぬな!」

 

『了解!!』

 

全員の息が合う。

 

「飛ぶぞ」

 

魔方陣が輝き出す――。

 

                    D×D

 

「そろそろ時間ね」

 

部長がそう言い、立ち上がる。

 

決戦日。俺たちは深夜にオカルト研究部の部室に集まっていた。アーシアがシスター服、ゼノヴィアは例のエッチな戦闘服。他の俺たちは駆王学園夏の制服姿だ。

 

兄さんたちは、家のリビングから直接VIP部屋に飛ぶらしいのでここにはいない。

 

中央の魔法陣に集まり、転移の瞬間を待つ。

 

相手はディオドラ・アスタロト。現ベルゼブブを出した御家の次期当主。どんな力を使ったか知らないけど、絶大な魔力で単騎突入も可能な悪魔。

 

今はとにかくディオドラを倒すことだけに集中しよう。アーシアは何があっても渡さない!!

 

そして、魔法陣に光が走り、転送のときを迎えようとしていた――。

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