「……着いたのか?」
魔法陣のまばゆい輝きから視力が回復し、目を開けてみると――。
そこはだだっ広い場所だった。
……一定間隔でぶっとい柱が並んでいる。下は……石造りだ。きょろきょろ辺りを見渡すと、後方に巨大な神殿の入り口がある!!
「……おかしいわね」
部長がそう言う。
俺もそうだが、他のメンバーも怪訝そうにしていた。
運営側で何か起こったのかな?そんな風に首をかしげて思っていたら――。
神殿の逆方向に魔方陣が出現する!
ただし、魔方陣はひとつだけじゃなかった!さらにパッパッ光りだして、辺り一面、俺たちを囲むように出現していく!
「……アスタロトの紋様じゃない!」
祐奈が剣をかまえる。
朱乃さんも手に雷を走らせながら言う。
「……魔方陣すべて共通性はありませんわ。ただ――」
「全部、悪魔。しかも記憶が確かなら――」
部長が紅いオーラをまといながら、厳しい目線を辺りに配らせていた。
魔方陣から現れたのは…大勢の悪魔たち!!全員、敵意、殺意を漂わせながらのご登場だ。
何百人か、千人ぐらいか、とにかくとんでもない数に囲まれている!!
「魔法陣から察するに『
マジかよ!!『
「忌々しき偽りの魔王の血縁者、グレモリー。ここで散ってもらおう」
囲む悪魔の一人が部長に挑戦的な物言いをする!!やっぱり、旧魔王を支持する悪魔にとってみれば、現魔王とそれに関与する者たちが目障りなのだろう。
「キャッ!」
悲鳴!この声は――アーシア!!
アーシアの方へ振り向くと、そこにアーシアの姿はない!
「イッセーさん!!」
空から声!上を見上げると、アーシアを捕らえたディオドラの姿があった!!や、野郎ォォォォッッ!!!
「やあ、リアス・グレモリー。そして赤龍帝。アーシア・アルジェントはいただくよ」
さわやかにふざけたことを言ってくれる!!
「アーシアを放せ、卑怯だぞ!このクソ野郎!!つーか、そもそもどういうこった!ゲームをするんじゃないのかよ!?」
俺の叫びに、ディオドラは初めて醜悪な笑みを見せた。
「バカじゃないの?ゲームなんてしないさ。キミたちはここで彼ら――『
部長が宙に浮かぶディオドラを激しくにらむ。
「あなた、『
部長のオーラがいっそう盛り上がる。キレてる!!ですよね!!俺だってぶちギレ寸前だ!!この野郎だけはッ!!
「彼らと行動したほうが、僕の好きなことを好きなだけできそうだと思ったものだからね。ま、最後のあがきをしていてくれ。僕はその間にアーシアと
ディオドラが嘲笑するなか、ゼノヴィアが俺に叫ぶ。
「イッセー、アスカロンを!!」
「おう!」
俺はすぐに籠手を出現させて、先端からアスカロンを取りだし、ゼノヴィアに手渡した。
「アーシアは私の友達だ!おまえの好きにはさせん!」
素早く宙に浮かぶディオドラに斬りかかろうとするが――。ディオドラの放つ魔力の弾がゼノヴィアの体勢を崩してしまう。剣はディオドラに届かなかったが、刃から放たれた聖なるオーラの波動が野郎に向かう。
……なんて思ったが、ディオドラは宙で舞うように軽く避けやがった!!
「イッセーさん!ゼノヴィアさん!イッ――」
助けを請うアーシア!だが、「ぶぅぅん」と空気が打ち震え、空間が歪んでいく。
ディオドラとアーシアの体がぶれていき、しだいに消えていった。
「アーシアァァァァァアアッッ!!」
俺は宙に消えたアーシアを叫ぶが、返事なんて返ってきやしない。
「イッセーくん!冷静に!いまは目の前の敵をなぎ払うのが先だよ!そのあと、アーシアさんを助けに行こう!!」
崩れおれる俺に祐奈が檄を入れてくれる。
「――その通りだ、イッセー」
後方から声が聞こえ、そちらを向いたそこにいたのは――。
「遅れてすまない。少し手間取った」
兄さんたちが輝く魔方陣から姿を現していた。
「兄さん…」
「何泣きそうな顔しているんだよ、俺の
黄金に輝いている鎧を解除しながら言った兄さんの言葉に、涙をふき取った俺。
「さて、アーシアを奪還するぞ!!」
兄さんの声にみんなが頷いた。
D×D
「――やはりこうなったな」
俺たちは転移直後、『
エールが大結界を張り巡らして旧魔王派の悪魔たちの攻撃を防いでいる。
「リュースケや、行くのかの?」
「オーディンの爺さん、力を貸してもらえますか?」
「なーに、わしも行くからのぅ。ロスヴァイセ、お主はここに残って援護するのじゃ」
「はい」
オーディンの爺さんがお供に連れているヴァルキリー…ロスヴァイセに指示を出した。
「アザゼル、サーゼクス、俺はイッセーたちのもとに向かう」
「りょーかい。そうだ、龍介…これを渡してくれ」
俺はアザゼルから大量のインカムを受け取る。
「任せなさい。龍介、リアスたちを頼んだよ」
「あぁ、無事に帰させるさ」
俺は背中に
「
周囲を黄金のオーラが包み込み、徐々に鎧を形成していく。
オーラが止むと、俺の体には黄金に輝く全身鎧が装着されていた。
「――『
俺は皆の方を向いて指示を出す。
「エールはここで防御結界を張り続けて、花楓は
皆はそれぞれうなずく。あとは――。
「黒歌、強制転移用の魔方陣を頼む」
「もうやってるにゃ」
流石は黒歌だ。俺が指示を出している間に用意を進めているとはな…。
「オーディンの爺さん、お願いします」
「ほっほっほ、任せなさい」
すると、オーディンの爺さんの左目が小さく輝きだす。
「黒歌、準備が出来しだい飛んでくれ」
俺は意識を集中させ、ラーと意識を合わせる。
「――ゴッド・フェニックス」
静かに口にした……直後、周囲を破壊せんばかりの黄金のオーラが全身を包み込んだ。
「準備が出来たにゃ!飛ぶわよ!!」
目の前の景色が消え去った後、体全体に何か重い物で殴り飛ばすような感覚が襲う…ほんの一瞬の出来事だった。
数メートル前にイッセーたちの姿が見える。
「アーシアァァァァァアアッッ!!」
イッセーが宙に向けて叫んだ。直前に見えたが、ディオドラがアーシアをさらって空間を移動したんだ。
「イッセーくん!冷静に!いまは目の前の敵をなぎ払うのが先だよ!そのあと、アーシアさんを助けに行こう!!」
崩れおれるイッセーに祐奈が檄を入れていた。
俺は鎧を解除しながら歩み寄る。
「――その通りだ、イッセー」
俺の声が聞こえたようで、こちらを向いたイッセーたち。
「遅れてすまない。少し手間取った」
「兄さん…」
イッセーの頬に一筋の涙が伝っている。
「何泣きそうな顔しているんだよ、俺の
俺の言葉に涙をふき取ったイッセー。
全員を見回し、声をかけた。
「さて、アーシアを奪還ずるぞ!!」
俺の言葉にみんなが頷いた。
「――って、来て早々どこを触ろうとしているのですか?……オーディンさま」
隙をついて朱乃の制服のスカートをめくろうとしていたオーディンの爺さんを、九尾チャクラモードの奏が超神速で近づいて手を握り止めていた。
「いいではないか、年寄りの楽しみを取るでないぞ」
「やっぱり、こうなるか…」
俺は眉間に手を持っていって、困った素振りをする。
「オーディンさま!どうしてここへ?」
リアスが驚きながら訊いた。
オーディン爺さんは、長い白ひげをさすりながら言う。
「うむ。話すと長くなるがのぅ、簡潔にいうと『
オーディンの爺さんの言葉に続いて言う。
「いま、運営側と各勢力の面々が協力態勢で迎え撃っている。まぁ、ディオドラが裏で旧魔王派の手を引いていたことは判明していた。先日の試合での急激なパワーアップもオーフィスの『蛇』を受け取っていたからだ。だが、このままだとおまえらが危険だ。しかし、このゲームフィールドごと、強力な結界に覆われている。そこら辺の力の持ち主では突破も破壊も難しい」
「じゃあ、兄さんたちはどうやって入ってきたの?」
「ミーミルの泉に片目を差し出したとき、わしはこの手の魔術、魔力、その他の術式に関して詳しくなってのぅ。結界に関しても同様」
左目を覗きこもうとしたイッセーを、オーディンの爺さんが止める。
「カラワーナ、レイナーレ、ミッテルト、これを
俺は懐から純白の腕輪を三つ取り出して投げ渡す。
キャッチした三人はお互いを見合わせて反応に困っている。
「その腕輪は、おまえたち三人が使う
「相手は北欧の主神と最強と名乗る転生者だ!討ち取れば名が揚がるぞ!」
俺の声を遮るように旧魔王派の悪魔が一斉に魔力弾を放とうとしたとき、フィールドを白い閃光が包み込んだ。
「そうはさせないよ!」
「アーシアを返してもらいます!!」
「ウチたちがいるの、忘れてるっしょ!!」
目の前に舞い降りてくるカラワーナ、レイナーレ、ミッテルト。背中に生えているのは堕天使の漆黒の翼ではなく、天使の純白の翼。服装は黒のボディコンスーツ、ボンデージ、ゴスロリから、清楚なものに変化していた。
ここにいる全メンバーが驚きの顔を見せている。――実験は成功だ。
『
三人の声がこだまし、各々の手に武器が握られる。
「
「
「サジタリウス。強力にして神速の破魔矢、受けて消え去りなっ!」
一瞬怯んでいた旧魔王派の悪魔だが、一斉に魔力弾を放つ――。
ボボボボボボンッ!!
地面に突き刺された
ゴォォォォォォオオッッ!!
薙ぎられる
ドッ――。
サジタリウスから発射された破魔矢は、一本の大きな光の矢となって遥か遠くまで地を抉り悪魔を数十人規模で消し去っていく。
「神殿に入るぞ、三人とも来い。ここはオーディンの爺さんに任せるよ」
「ほっほっほ、わしも負けておられんのぅ」
愉快に笑うオーディンの爺さん。左手に槍らしきものが出現する。
「――グングニル」
それを反対側にいる悪魔たちへ一撃繰り出す。刹那――。
ブゥゥゥウウウウウウンッ!
槍から極大のオーラが放出され、空気を貫くような鋭い音が辺り一面に響き渡る。
こちらも遥か遠くまで地を抉り、悪魔を数十人を余裕で消し去っていった。
側面は結構減ってきたので、俺も一発打ち込もうと思う。
俺は右腕に、
「オーディンの爺さん、俺からの置き見上げだよ……
本日二度目の
周囲を蒼天色のオーラが包み込み、徐々に鎧を形成していく。
オーラが止むと、俺の体には筋骨隆々で青々とした全身鎧が装着されていた。
「――『
俺は天高く右腕を上げ、叫ぶ。
「ラー、オシリス。おまえたち二体の力を借りるぞっ!!」
すると、俺の腰辺りと背中に『
「消し去れっ!インフィニティ・ゴッド・クラッシャァァァァァァァアアアアアアッッ!!!!」
ドンッ――ゴオォォォォォォォォォォォォォオオオオッッ!!
突き出した正拳突きから光り輝く極大のオーラが放出した。そのオーラは前方の広範囲と遥か遠くまでを破壊し尽くし、数百の旧魔王派の悪魔たちを消し去っていた。
「ほっほっほ、やりよるわい。少しは敬老精神を磨いたのぅ」
また愉快に笑うオーディンの爺さん……そりゃどうも。
「ほれ、あとはわしが相手をしておくぞい。早く神殿へ走れ」
俺は頷き、全員の後ろ…