中に入ると、俺はアザゼルから受け取ったインカムを全員に配る。
全員がつけ終わると、俺が合図を送る。
「……アザゼル、全員つけたぞ」
『龍介か。ってことは、全員無事だな?』
アザゼルの声が聞こえ、全員がジェスチャーで『聞こえた』と送ってくれる。
『言いたいこともあるだろうが、まずは聞いてくれ。このレーティングゲームは「
イッセーたちゲームメンバーには、このことを事前に話していない。今、「予想をしていた?」と疑問に思っているのだろうな…。
『最近、現魔王に関与する者たちが不審死する事が多発していた。裏で動いていたのは「
俺もその中に含まれているんだろうな……さっき、魔力弾の集中砲弾に襲われたし。
「では、あのディオドラの魔力が以前よりも上がったのは?」
と、リアスが訊く。
『オーフィスの力を借りたんだろう。ディオドラがそれをゲームで使ったことは奴らも計算外だったろうな。それゆえ、グラシャラボラス家の一件と
「まぁ、そのおかげで予見通りに旧魔王派の襲撃を受け、大義名分が出来たってことだよな」
『そういうこと。俺たちとしてもまたとない機会だ。今後の世界に悪影響を出しそうな旧魔王派を潰すにはちょうどいい。現魔王、天界のセラフたち、オーディンのジジイ、ギリシャの神、帝釈天とこの仏どもも出張ってテロリストどもを一網打尽にする寸法だ。事前にテロの可能性を各勢力のボスに極秘裏に示唆して、この作戦に参加するかどうか聞いたんだがな。どいつもこいつも応じやがった。どこの勢力も勝ち気だよ。いま全員、旧魔王の悪魔相手に暴れているぜ』
「悪いけど、俺たちの暁もそれに参加している。ちょっとした
たぶん、イッセーたちは俺たちを恨んでいるかもしれない。黙っていたとはいえ、危険に巻き込んだのだから…。
「……このゲームはご破算ってわけね」
『悪かったな、リアス。戦争なんてそう起こらないと言っておいて、こんなことになっちまっている。今回、おまえたちを危険な目に遭わせた。いちおう、ゲームが開始する寸前までは事を進めておきたかったんだ。奴らもそこまで仕掛けてくるだろうと踏んでいたからな。案の定、その通りになったが、おまえたちを危ないところに転送したのは確かだ。この作戦もサーゼクスを説得して、俺が立案した。どうしても旧魔王派の連中をいぶり出したかったからな』
「もし、俺たちが万が一…死んでしまったらどうしたんですか?」
イッセーが何気なく訊くとアザゼルは真剣な声音で言った。
『俺もそれ相応の責任を取るつもりだった。俺の首で事が済むならそうした』
「俺もそうだな。長としての責任は取るつもりでいる……おまえたちを死んでも守り抜くために。な」
俺も黙って参加していたのだから、それ相応の覚悟はしている。
「アザゼル、先ほどディオドラにアーシアがさらわれた。同盟規約に沿い、アーシア・アルジェントをディオドラ・アスタロトより奪還し、実力行使でディオドラに制裁を加える。いいか?」
『……ったく、そう言うと思ってたぜ。龍介、本気で戦闘するなよ?跡形も無くなってしまったら、面倒だからな…』
「おいおい、俺を『超』が付くほど化け物扱いするなよ。あ、そう言えば……ここに着いたとき、一発ぶっ放したんだったわ…」
『まぁ、おまえは俺たちでも苦戦するほどの化けもんだよ。家族に優しい『化けもの』だ』
化け物と言われて引きつったが、家族に優しいとか……なんだか、照れるね。
「行くぞ、最優先事項はアーシアの奪還とディオドラに天誅を加えること」
『最後に言っておく。フィールドが危険なことには変わりはない。ゲームは停止しているため、リタイヤ転送は無い。危なくなっても助ける手段はないから肝に銘じておけ。――必ず帰ってこい』
リアスが白音に訊いた。
「白音、アーシアは?」
「……向こう…神殿の奥です。そこからアーシア先輩とディオドラ・アスタロトの気配を感じます」
白音は神殿の奥を指をさして示す。
「黒歌、常に敵の気配を感知しておいてくれ。不意打ちは面倒だからな」
「わかってるわ。この奥……二ブロック先に十名ほどの気を感じるわ」
黒歌の言葉を聞いて考える俺。
「一斉に叩くか」
結論…瞬殺することにした。
俺たちは警戒しながら目とジェスチャーで合図しながら神殿の奥に向かい走る。
D×D
神殿のなかは広大な空間だ。大きな空間がずっと続いていく感で広間に巨大な柱が並ぶぐらいで他に目立ったものはない。
神殿を抜けるとさらに前方に新たな神殿が現れ、そこを目指す。それを三度繰り返すと、神殿の中に入ったとき――気配を感じた。
イッセーたちは足を止めて、一斉にかまえた。
前方から現れたのは――フードを深く被ったローブ姿の小柄な人影が十名ほど。
『やー、リアス・グレモリーとその眷属と暁の皆』
――。
神殿中にディオドラの声が響きわたる。
『ハハハ、辺りを見渡しても僕は見つからないよ。僕はこのずっと先の神殿でキミたちを待っているからね。――遊ぼう。中止になったレーティングゲームの代わりだ。ルールはお互いの駒を出し合って、試合をしていくんだ。一度使った駒は僕のところへ来るまで二度と使えない。あとは好きにしていいんじゃないかな。第一試合、僕は「
……
リアスが言葉を発しようとしたところで、俺はそれを片手で遮り申す。
「なぁ、俺たちもいるんだ。どうだ?俺たちも雑ぜてくれないかな」
『いいよ、おもしろそうだからね。より強力な眷属と戦えるならね』
――かかった!!ディオドラの奴、俺の罠にかかりやがった。
「承認ありがとよ。さっそくだ……メイル、スバルをだそう。リアス、イッセー以外の人選で頼む。出来るだけ体力を温存させたいからな」
「はい。こちらは白音とギャスパー、ゼノヴィアを出すわ」
「いま、呼ばれたメンバーは集合」
俺の声に呼ばれた五人が集まる。
(ゼノヴィアとメイルは『
(了解。そういうのは得意だ)
(OKよ。最小限の範囲で氷漬けにしてあげるわ)
俺は目線を移し、三人に言う。
(ギャスパーはこのカプセルを飲め。イッセーの血が入っている…カプセルは噛み砕くように)
(りょ、了解ですぅぅぅぅっ!)
(スバルは龍化して右翼を雷撃で撃破。残った場合、威嚇でも構わない)
(任せて♪一撃で仕留めるから!!)
(白音は『白虎』で仙術を混ぜた攻撃を食らわせてこい。仙術の恐怖を植えつけるつもりでな)
(…はい。死ぬほど怖いと教え込んできます)
『じゃあ、始めようか』
ディオドラの声と共に向こうの眷属が一斉に構えをとる。
ドクンッ!!
ギャスパーがカプセルを食べると、胸が大きく脈打つ。
俺はリアスの前に立ち一言。
「悪いな、リアス。俺が指揮を執ってしまって」
「いえ。ところで、なにを指示なさったのでしょうか?」
「ん?『恐怖を叩きこんで来い』って言ったけど?」
「そ、そうですか……」
リアスが軽く引いている。なぜだろうか…?
「あ、奏……ちょっと来てくれ」
俺は奏に手で招くジェスチャーをする。奏が駆けつけてくれた。
「なにかな?リュースケ」
「この先、三人待機しているみたいなんだが、どうも仲間割れをしているようだから、不意打ちで叩いてきてくれるか?
「任せておいて。中にいる皆も暴れたいみたいだから、死なないように
奏は再び
ブルッ!!
突如発生した冷気。とんでもないほどの低温…明らかに氷雪地域の気温を遥かに下回っているであろう冷気。その発生源の方を見ると、人型のままで一対二枚の大きな翼を広げているメイルの姿が見える。その大きく広げた翼を羽ばたかせて吹雪を生み出していた。足を取られて動けない向こうの眷属の二人。メイルの数メートル後方にゼノヴィアが両手に持つデュランダルとアスカロンを交差させて聖なるオーラを高めて……って、天井に穴が開いている上に壁とかがひび割れ始めている。なんつー聖剣のオーラの質量と濃さなんだ?
メイルが飛び退くと同時に振り下ろされた二振りの聖剣と莫大な聖なるオーラ。悪魔に直撃すれば消滅は逃れられない。
前方に広がる聖剣のオーラで削り飛ばされた壁や天井。先ほどまでメイルの氷雪攻撃で足を取られていた『
メイルとゼノヴィア……いいコンビなのかもしれない。足止め&聖剣によるパワー押し。
一方の白音、ギャスパー、スバルは……。
ギャスパーが右翼側の時間を停止させ、人化したままのスバルが帯電させていた蒼い雷を頭上で大きな球状へ形成、圧縮していく。それを高速で投げ放つ。
バヂヂヂヂ――。
スパークノイズと共に大きな柱を上げる。蒼い雷で出来た柱がなくなると、そこには倒れている向こう側の『
『……ギャーくん、私の方は停めなくていいから』
インカムに入る白音の声。
『……「
白く輝いてISをまとう白音……冥界でのゲームまでと違い、形態が変化している。
『……第二形態「
――そういえば白音に俺の研究室の一部を見せたことがあった。原作ISのオリジナルを元に再現させた十機。
『……行きます。
浮遊していた白音が『
パン――。
小気味のいい音と共に『
尻餅をついて逃げようとしている残りの『
『
パン――。
また小気味のいい音と共に『
『……遊んでいる場合ではありません。先を急ぎますよ』
白音に釘を刺されて戻って来るギャスパーとスバル。
「さて、俺の仕事だな」
俺は
「残りは『
状況確認をしていたリアスが訊いてくる……今頃気がついたのか…。
「あいつは先に行っているよ。仲間割れを起こしている三人を不意打ちにね……ん?」
俺は白眼でこの先の神殿内にいる三名の動きを見ていて気がついた。
「どうかしました?」
リアスは俺が訝しげな表情をしていたことに気づいたようで、訊いてきた。
「いや、向こうの残りの人数と今見ている三人の行動が不自然だったからな……待て、もしかすると――」
俺は更に奥の方を見てみる。すると、奏の姿と仲間割れをしていた
「ディオドラの奴、ゲーム相手じゃない俺たちもこれへの参加を許可したのは、部外者を一人紛れ込ませていたからだ。それも、相当厄介な奴だ」
ちょうどそのとき、インカムに声が入った。
『――あなたは……どうしてここにいる!!』
『ん~?その声は、忘れられないねぇ。おひさ~』
『フリード・セルゼン!!』