私は
直ぐ前方に三人を確認したが、リュースケの言う『仲間割れをしている』とは違い、壁に背を預けていたりしていたので、頭上を通過して先に進む。
ゾクッ――。
私は移動を中断してホバリングする。
「……今の邪念は、そういう事ね」
リュースケが言っていた事がわかったわ。仲間割れどころか、二人からは何も感じられない。
再び神速で飛び出す。さっきの邪悪な念は、とんでもないモノだわ…。
新たな神殿に突入した直後、数十メートル先に三人の影が見えた。一人は両腕を前に突きだし、ゆっくりと持ち上げている。あとの二人は、その人影の両腕に首を掴まれてもがいていた。
私は首を締め上げている人影に神速で体当たりをした。直後、弾け飛ぶように神殿の壁に高速で叩きつけられた人影。私は瞬時にチャクラの腕を二本作り出して、首を絞められていた二人を掴みとり、神殿の柱にそっと座らせた。
二人は咽ていたが、こちらを凝視すると腰から剣を抜こうとしていた。しかし、私はこの二人の力量は図りきっているため、背を向けて体当たりで吹き飛ばした人影のすぐ近くに飛ぶ。
ゆっくりと起き上る人影……その姿がはっきりと見えた。
「――あなたは……どうしてここにいる!!」
私の叫び声に口の端を釣り上げて嘲笑する。
「ん~?その声は、忘れられないねぇ。おひさ~」
「フリード・セルゼン!!」
そう、あの『はぐれ神父』フリード・セルゼンが目の前に立っている。
「最悪ね…」
私は
「いったいねぇ~。死んだらどうすんの?」
またゆっくりと起き上るフリード。かなりマズイことになってきたかも…。
そのとき、私のすぐ隣を何かが通過した!
それはフリードの頭上を掠めて壁に突き刺さり……破砕した。
「――お待たせ、奏ちゃん」
「――フリード、まだ生きていたのね」
声のした方向――神殿の入り口にマリアと祐奈が立っていた。
私のもとに二人が駆け寄ってくる。
「奏さん、苦戦しているようですね…」
「だって、あの神父頑丈過ぎなのよ。神速で殴りつけても起き上がってくる程よ」
「そう…、ディオドラの『
「あそこの柱のところに寝かせています。それより、フリードはどうします?」
「龍介さんが斬り殺して良いと言ってました」
「わかったわ」
私は両手に深緑の葉で長剣を作り出す。
『――奏、そこの男は人間を辞めているわ。気をつけなさい」
内にいる二尾の
フリードはにんまりと口の端を吊り上げると、人間とは思えない
「ヒャハハハハハハハハハハハハハッハハハハハッ!!てめえらに殴り倒されたあと、ヴァーリのクソ野郎に回収されてなぁぁぁぁぁぁあっ!腐れアザゼルにリストラ食らってよぉぉぉおおっ!」
ボコッ!ぐにゅりっ!
異様な音を立てながらフリードの体の各所が不気味に盛り上がりだす!!神父の服を突き破り、角や羽が生えていき、全体が大きく隆起する。腕や足も何倍も膨れあがっていく。
「行き場無くした俺を拾ったのが『
いろいろな生き物を混ぜたような、一切の統合性を見せていない形で形成されていくフリードの身体。『
『シャハハハハッ!!』
『
『僕もあの姿にはなりたくないな…』
『オレもなりたかねぇ』
『
『俺もよ。あれはゴメンってんだ』
『ラッキーセブン。あれにならずに良かった』
『主が奏でよかったぞ。あんなモンになれば、ただじゃ済まねーだろーな』
『フン』
何か内にいる尾獣たちが話し合っている?
「ヒャハハハハハハッ!ところで知ってたかい?ディオドラ・アスタロトの趣味をさ。これが素敵にイカレてて聞くだけで胸がドキドキだぜ!」
唐突にフリードはディオドラの話しをしだした。
「ディオドラの女の趣味さ。あのお坊ちゃん、大した好みでさー、教会に通じた女が好みなんだって!そ、シスターとかそういうのさ!」
シスター?私たちは顔を見合わせる……マリアの瞳が鬼のように変貌していくのが見て取れた。たぶん、シスターはアーシアのことだと思う…。
フリードは大きな口の端を上げながら続ける。
「しかも狙う相手は熱心な信者や教会の本部になじみが深い女ばかりだ。俺さまの言ってることわかるー?さっき倒してきた眷属悪魔の女たちは元信者ばかりなんだよ!自分の屋敷にかこっている女どももおんなじ!ぜーんぶ、元は有名なシスターや各地の聖女さま方なんだぜ!ヒャハハハ!マジで趣味良いよなぁぁっ!悪魔のお坊ちゃんが教会の女を誘惑して手籠めにしてんだからよ!いやはや、だからこそさ、悪魔でもあるのか!!熱心な聖女さまを言葉巧みに超絶うまいことやって堕とすんだからさ!まさに悪魔のささやきだ!!」
フリードは哄笑を上げながら続ける。
「アーシアちゃんが教会から追放されるシナリオを書いたのは、元をただせばディオドラ・アスタロトなんだぜ~。シナリオはこうだ。ある日、シスターとセッ〇スするのが大好きなとある悪魔の坊ちゃんは、チョー好みの美少女聖女さまを見つけました。会ったその日からエッチしたくてたまりません。でも、教会から連れだすにはちょいと骨が折れそうと判断して、他の方法で彼女を自分のものにする作戦にしました。……聖女さまはとてもとてもおやさしい娘さんです。
ゆらゆらと長い髪が波立っているマリア。憤怒の形相で激情を抑え込んでいるのがわかる……ものすごく怖いけど。
フリードはお構いなく、トドメとばかりに言った。
「信じていた教会から追放され、神を信じられなくなって人生を狂わせられたら、簡単に僕のもとに来るだろう――と!ヒャハハハハ!聖女さまの苦しみも坊ちゃんにとっては最高のスパイスなのさ!!最底辺まで堕ちたところを
ブツンッ!!
何かがキレる音がした……私から?いえ、そうかもしれないけれど、私以上に激情を抑えられなくなった人が傍にいる。
――マリアだ!!
「……殺す」
ドスの利いた声音で言うマリア。直後、右手に握っていた七支刀型の『
ズガガガガガ――。
七支刀の枝六本が透過して伸び、高速でフリードの腕と脚を貫いていた。
「…『
……認識が間に合わない。相当な手練れじゃないと、今の攻撃を見切って避けられない。
「く、クソビッチが……」
私と祐奈は地面を蹴って駆け出す。
「――燕返し、八連斬!!」
私はフリードの手足の関節部分を斬り返しで確実に斬り離す。
そして、祐奈がフリードの首を斬り離した。
「――んだよ、それ。強すぎんだろ……」
ザシュッ!!
転がるフリードの頭部に『
「――終わったみたいだな」
後ろから声が掛けられる……リュースケだ。
「…えぇ。ちょうど今、トドメを刺したばかりよ」
マリアが言うと、リュースケは頷いた。
「それと、さっきのフリードの話…インカム通して聞こえていたからな」
リュースケはそう言って歩き出した。
D×D
俺は『
「……映像の一件の記憶が正しければ、『
祐奈がそう言う。
確かに記憶している映像より、各々の体型などから割り出せば一致する……結構な記憶力が必要になるけど…。
「待っていました。リアス・グレモリーさま」
『
『
ここは俺が出張って瞬殺劇にするっていう手もあるが…。ここは黒歌を出した方――。
「あらあら、では、私が出ましょうか」
「そうね、私も出るわ」
朱乃とリアスに先を越されてしまった……。
二人とも一歩前に出て肩を並べる。
「あら、部長。私だけでも十分ですわ」
「何を言っているの。いくら雷光を覚えたからって、無茶は禁物よ?ここはダメージをもらうより、堅実にいって最小限の事で抑えるべきだわ」
何か、ここは二人に任せておいた方がいいな。
俺は祐奈とマリアを呼ぶ。
「祐奈、マリアの二人はこの先にいる奏の援護に行ってくれ。フリードは斬り殺しても構わないから」
二人は頷くと、祐奈はリアスを一瞥してマリアと共に先へ走っていく。
ついでにいいことを思いついたので、イッセーを呼ぶ。
「イッセー、ちょっといいか?」
「何の用かな?」
「そのな、ごにょごにょ……」
「え!…それでいいの?」
「あぁ。それで朱乃は間違いなくパワーアップするはず……リアスも触発されるだろうな」
最後に呟いた言葉は、イッセーには聞こえていないと思う。
「朱乃さーん」
イッセーが呼ぶと、朱乃が振り向いた。
「えっと、その人たちに完勝したら、今度の日曜日にデートしましょう!!」
ククク……。
俺は声を押し殺して笑う。
「……うふふ。うふふふふふふふふふ!!イッセーくんとデートできる!」
朱乃が迫力のある笑みを浮かべながら、周囲に雷を迸らせる。
「ひたひ、ひたひよ……ひろねひゃん」
イッセーの頬をつねっている白音。頬を小さく膨らませて『やきもち』アピールをしている。しかも、ISの手で。
「酷いわ!イッセー!!私というものがありながら、朱乃にだけそんなことを言って!!」
案の定、触発されたな。
「うふふ、リアス。これも私の愛がイッセーくんに通じた証拠よ。もう諦めるしかないわね?」
「な、な、何を言っているの?デ、デ、デート一回ぐらいで雷を迸らせる卑しい朱乃なんかに言われたくないわ!!」
俺は二人の口論を聞き流しながら、二体の山椒魚と三つの腕輪を取り出して捕獲の準備に入る。
とうとうこの空気に耐えられなくなったのか、『
「あなた方!!いい加減にしなさい!私たちを無視して男の取り合いなどと――」
「「うるさいっ!!」」
ドッゴォォォォォォオオオオン!!!!
二人の特大な滅びと雷光のオーラの一撃を受けた『
思った通りの展開で、俺は山椒魚を操りながら三人に近づいていく。一応死んでいないか確認を取ったが、心配はいらなさそうだ。――これで結構な情報を抜き取れる。
終わる気配のない口論を聞き流しながら、腕輪を填めて、山椒魚に閉じ込めて、
ちょうどその時、インカムに声が入る。
『ヒャハハハハハハハハハハハハハッハハハハハッ!!てめえらに殴り倒されたあと、ヴァーリのクソ野郎に回収されてなぁぁぁぁぁぁあっ!腐れアザゼルにリストラ食らってよぉぉぉおおっ!』
フリードの声だ。口論していたリアスと朱乃も口を閉じて、インカムからの声を聴いているようだ。
全員が集中して聴く中、とんでもないことが聞こえてきた。
『ディオドラの女の趣味さ。あのお坊ちゃん、大した好みでさー、教会に通じた女が好みなんだって!そ、シスターとかそういうのさ!』
俺たちはインカムの声を聞き逃さないようにしながら、神殿の奥へと歩みを進める。
『しかも狙う相手は熱心な信者や教会の本部になじみが深い女ばかりだ。俺さまの言ってることわかるー?さっき倒してきた眷属悪魔の女たちは元信者ばかりなんだよ!自分の屋敷にかこっている女どももおんなじ!ぜーんぶ、元は有名なシスターや各地の聖女さま方なんだぜ!ヒャハハハ!マジで趣味良いよなぁぁっ!悪魔のお坊ちゃんが教会の女を誘惑して手籠めにしてんだからよ!いやはや、だからこそさ、悪魔でもあるのか!!熱心な聖女さまを言葉巧みに超絶うまいことやって堕とすんだからさ!まさに悪魔のささやきだ!!』
フリードは哄笑を上げながら続ける。
『アーシアちゃんが教会から追放されるシナリオを書いたのは、元をただせばディオドラ・アスタロトなんだぜ~。シナリオはこうだ。ある日、シスターとセッ〇スするのが大好きなとある悪魔の坊ちゃんは、チョー好みの美少女聖女さまを見つけました。会ったその日からエッチしたくてたまりません。でも、教会から連れだすにはちょいと骨が折れそうと判断して、他の方法で彼女を自分のものにする作戦にしました。……聖女さまはとてもとてもおやさしい娘さんです。
それを聞いた瞬間、俺を含めた全員の怒りのオーラが爆発したようにあふれ出る……。
フリードはお構いなく、トドメとばかりに言う。
『信じていた教会から追放され、神を信じられなくなって人生を狂わせられたら、簡単に僕のもとに来るだろう――と!ヒャハハハハ!聖女さまの苦しみも坊ちゃんにとっては最高のスパイスなのさ!!最底辺まで堕ちたところを
ドゴッ――!!
神殿の壁が破砕する。俺とイッセー以外の全員が魔力などをぶつけていたからだ……。
奏たちのいる神殿へ入り、三人の姿を発見する……が、対面している奴は――。
「フ、フリードなのか?化け物……あの姿」
イッセーが驚愕している……無理もない。
ズガガガガガ――。
マリアが握っている七支刀の枝六本が透過して伸び、高速でフリードの腕と脚を貫いていた。
「…『
皮肉だな……フリード・セルゼン。
「く、クソビッチが……」
奏と祐奈は地面を蹴って駆け出す。
「――燕返し、八連斬!!」
奏はフリードの手足の関節部分を斬り返しで確実に斬り離す。
そして、祐奈がフリードの首を斬り離した。
「――んだよ、それ。強すぎんだろ……」
ザシュッ!!
転がるフリードの頭部にマリアが『
「――終わったみたいだな」
俺は三人に声をかける。
「…えぇ。ちょうど今、トドメを刺したばかりよ」
マリアが応えた。
「それと、さっきのフリードの話…インカム通して聞こえていたからな」
俺はさっき気がついた柱の下で横になっている『
「…さて、次はラスボスだ」
俺は皆をみる。すると、全員が頷いた。
「行こう、アーシアを助けに」
イッセーが俺の横に並び立つ。
「……龍と愛の恐ろしさ」
白音がボソリと、とんでもないことを言う。
聞かなかったことにしておこう。さすがに怖いぞ…。
そうして俺たちは、ディオドラの待つ神殿へ駈け出した。