ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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翌朝、朝食を済ませた俺たちは地下の大広間に集まっていた。

 

「オーディンの爺さんからのプレゼントだとよ。――ミョルニルのレプリカだ。ったく、クソジジイ、マジでこれを隠してやがった。ミドガルズオルムの野郎、よくこんな細かいことまで知ってたな」

 

「そんなに凄いものなんですか?」

 

イッセーが訝しげに訊くと、アザゼルが再度言い直してくる。

 

「北欧の雷神トールが持つ武器のレプリカだ。それには神の雷が宿っているのさ」

 

「はい、オーディンさまはこのミョルニルのレプリカを赤龍帝さんにお貸しするそうです。どうぞ」

 

ロスヴァイセがイッセーに形が日曜大工の金槌を渡す。

 

「オーラを流してみてください」

 

ロスヴァイセに言われるまま、イッセーはミョルニルにオーラを流す。

 

カッ!っと一瞬の閃光のあと、ミョルニルはどんどん大きくなっていき――。

 

ゴスッ!

 

大き過ぎる金槌となり、床の上に落ちかけたところを須佐之乎(すさのお)の腕を潜り込ませて支えた。

 

「おいおいおい。オーラを纏わせすぎだ。抑えろ抑えろ」

 

アザゼルが嘆息しながら言う。

 

イッセーはオーラの量を減らす。すると、ミョルニルは徐々に小さくなっていき、両手で触れるサイズまで縮小された。

 

「オモイィィィィ!!」

 

イッセーは持ち上げようと躍起になるが、一ミリたりとも持ち上がらないミョルニル。

 

「イッセー、またあとで練習したらどうだ?先に作戦を立てた方がいいと思うのだが…」

 

イッセーは俺を見ると、頷いてミョルニルを元の大きさに戻した。

 

アザゼルが咳払いをして全員に言う。

 

「あー、作戦の確認だ。まず、会談の会場で奴が来るのを待ち、そこからシトリー眷属がロキとフェンリルごと違う場所に転移させる。転移先はとある採石場跡地だ。広く頑丈なので存分に暴れろ。ロキ対策の主軸はイッセーとヴァーリと龍介。二天龍で相対し、龍介が隙をついて大技で仕留める。フェンリル相手は他のメンバー――グレモリー眷属とヴァーリチームと龍介の眷属で鎖を使い、捕縛。そのあと撃破してもらう絶対にフィンリルをオーディンのもとに行かせるわけにはいかない。あのオオカミの牙は神をも砕く。主神オーディンといえど、あの牙に噛まれれば死ぬ。何としても未然に防ぐ」

 

これが作戦だ。まぁ、俺とヴァーリは裏で違う作戦を立てているけどな。

 

「さて、俺は先に部屋へ戻るよ。やる準備がたくさんあるからな……アザゼル、あとよろしく」

 

そう言い残して俺は自室へ戻った。

 

部屋に入ると、道具を大量に出して整理を始める。

 

手裏剣、クナイ、起爆札、起爆粘土…etc。

 

巻物を取り出して術式を書き込んでいく。その術式の中央に武器などを置いて印を結ぶと、煙を上げて異空間へ収納される。

 

念のために、増血丸と兵糧丸を特殊な瓶に詰めて異空間へ収納する。

 

必要なものを収納できたので、巻物を戦闘用のジャケットにある複数のポケットに入れていく。

 

全ての作業を終えて、俺はベッドの上に横になって目を瞑る。

 

そして、そのまま意識を落としていった。

 

                    D×D

 

あれから何時間寝ただろうか?ふと、俺は目を覚ました。

 

額に手をやると、汗で湿っている。服も寝汗で濡れていた……とても気持ちが悪い。

 

俺は時計を見る。――午後十時過ぎだ。

 

かなりの時間を寝ていたことになる。完全に昼と夕飯を食べないで寝ていたため、腹が空いて体に上手く力が入らない。

 

部屋の小さな冷蔵庫の中から補給栄養剤を取り出して飲んだ。すると、ものの数分で体に力が入るようになったので、リビング前を通って大浴場へ。

 

リビングではユーがテレビを見ており、食器をカミュとエールが片づけていた。

 

「カミュ、皆は?」

 

「龍介……、オーディンさまとロスヴァイセさんは、アザゼルと出かけていると思いますよ?角都さんと飛段さんは領土へ帰られましたし、ヴァーリたちも帰ったと思いますよ?」

 

「解散したってわけか……」

 

カミュは「はい」と答えて片づけに戻った。

 

――風呂にでも行ってるのか?

 

俺は怪訝に思いながらも、地下の大浴場へ行ってみる。

 

しかし、大浴場の入り口には使用中の足止め版が出ていない。仕方なく、俺は中へ入って脱衣所を見て回る。……見て回ったが、誰一人の脱衣した跡がない。

 

「もしかして、部屋か特訓か…?」

 

俺はあまり考えもせず、足止めを出して脱衣する。

 

「ふぁ~、眠い…」

 

俺はあくびをして浴場へ足を進める。

 

体を洗い流し浴槽へ入る。

 

――それから数十秒後、脱衣所のドアが開けられた!!

 

「一番乗りにゃん!!」

 

嫌な感覚がして、湯に浸かった状態で反射的に後ろを振り返ってしまった!

 

「く、黒歌……!」

 

目に入っていたのは……全裸姿の黒歌だった。

 

「フフフ……。龍介、もう逃げられないわよ」

 

悪戯な笑いを浮かべる黒歌。

 

「疲れたわね~」

 

「早く汗を流しましょう」

 

今度はルリエルとレヴィが……。『煉獄の七姉妹(セブンス・シスター・アビス)』の七人が脱衣所から入ってきた!

 

……と言うより、辰巳やアースのドラゴン娘四人、カラワーナと冴子、アイム、花楓と奏…。リビングにいるエールとユーとリエを除いた暁の女子全員が入ってきた。

 

俺は慌てて視線を逸らして下腹部にあるモノをタオルで隠そうとしたが……。

 

「な、ない!!って、黒歌ぁぁぁ!」

 

いつの間にか俺のタオルを盗んでいた黒歌。

 

仕方なく、近くにあった湯桶の助け舟で下腹部のモノを隠す。

 

ちゃぷちゃぷと湯に入る女子たち。前を隠そうともせず、モロに視界へ入ってくる…。

 

ゆっくりと近づいてくる女子たち。その光景が血に飢えた狼が一匹のウサギを狙って近づいているように見えてきた……。もちろん、そのウサギは俺だけどね。

 

体を密着させてくるので、肌を通して女の子独特の柔肌を感じるが、俺は平常心を無理やり保っていた。

 

こんなところで賢者(ワイズマン)が失われれば、奥底に眠っている愚者(フール)が悪さをするだろう。しかも、悪戯の領域を遥かに超えたモノをするに違いない。

 

そうは思いつつも、俺の現実は過酷だ。「いま襲えば、俺が狼になれるんじゃ?」と思っている自分が少なからずいる。愚者(フール)が少しだけ出てきているようだ。

 

「……」

 

時折、意識が薄れつつある。風呂の熱気と女子たちの体温と俺の抑える理性が体温を上げて血を煮えたぎらしていた。鼻血が出そうな感覚が襲ってきたが、そう簡単に出るものじゃないようだ。イッセーは簡単に出ているのにな…。

 

「……っ」

 

とうとう俺は意識を保てなくなり、女子たちの隙間をすり抜けるかのごとく湯の中へ沈む。

 

湯の外から俺を呼ぶ声がしているが、体に力の入らない俺はそのまま湯の中で意識を失った。

 

                    D×D

 

――気がつくと、俺は自室のベッドの上で寝ていた。

 

「……うっ!頭が痛い」

 

頭の上にある時計を取っていると、朝の五時過ぎ。

 

俺は起き上がると、違和感を感じた。その違和感のもとをすぐに見た俺は、少し考え込む。

 

――なぜ、俺は服を着ているんだ?

 

そう、俺は服を着ている。普通なら違和感など感じることはないが、今の俺は風呂で気を失って溺れていたはずなんだ。

 

『……主よ、起きたか』

 

内から話しかけてくる者がいる…ムラクモだ。

 

『何だ?ムラクモ』

 

『いや、いま主が思っている疑問に答えてやろうと思っていてな』

 

『知っているのか?』

 

『あぁ、率直に言うとだな、主が溺れていたときに混浴していた女たちだ』

 

『…………』

 

俺は一瞬呆けたあと、額に手を当てた。

 

『もしかすると、俺の下腹部……見られた?』

 

俺の質問に『あぁ』と答えたムラクモ。

 

ガクッと膝をついてorz をした。

 

『良いじゃないか。減るものでもないだろう?』

 

『そういう問題ではない。俺にも羞恥の心はある』

 

『かわいいこと言うのぉ、………ここまでウブだったとは』

 

『ん?何か最後に余計なこと言わなかったか?』

 

『いや、なんでもない。…それより』

 

ムラクモの声のトーンが低くなり、真剣な声音をする。

 

『俺が知っている北欧の知識に「ロキの飼うフェンリルには子がいる」という事だけを伝えておこうと思ってな』

 

『はっ!?一体だけじゃないのか?』

 

『残念だが、二匹以上いると見て行動して方がいい。あの白龍皇には悪いがな』

 

ムラクモの声がさらに低くなる。

 

『ロキは確実に首を取りに来るぞ』

 

『承知した』

 

俺はそう答えて目を瞑る。

 

『そろそろ時間か……行って来い、主よ』

 

俺はムラクモとの会話を終えて部屋を出た。

 

                    D×D

 

朝食を皆で囲んで食べている。

 

『…………』

 

沈黙したまま食事を口に運んでいる様子を見ていたイッセーやリアスたちは、どういたらいいのかわからず、オドオドとしながら食を進めていた。

 

空気の重い朝食が終わり、身支度をして家を出るハイスクールのイッセーたち。

 

それを見送った後、朝食の片づけをし、留守番組のメンバーのエールとユーを除いた全員を俺の部屋に召集した。昨夜、俺と混浴したメンバーだ。

 

集まったのを確認した俺は、開口一番に言った。

 

「…いつまでもそうされていると、俺は指示が出しにくい。だから、昨夜の事故……俺のせいで不快にさせたことは謝る。あとで花楓たちにも謝っておく。だから――」

 

俺の言葉に女子たちが反論する。

 

「ち、ちがうの!あれは…確かに事故だったけど……」

 

「あれは、リュースケが悪いわけじゃないの!その、見た……」

 

全員が言葉の後半部分を濁してしまい、よく聞き取れなかった。

 

「……だから、謝らなくていいし、忘れましょう?」

 

「忘れましょう?」とか言われても、どう反応すればいいのか皆目見当もつかない。

 

「……わかった。全員このことは忘れよう。ロキ戦に支障をきたせば、最悪、誰かの命が失われかねない。昨晩の浴場では、何事もトラブルは起きなかった……という事でいいな?」

 

俺の言葉に沈み込む女子全員……なぜに?

 

「まぁ、あまり考えることはないか…。そうだな、研究室にでも行くか」

 

俺は解散した後、部屋にある隠し扉前のセキュリティーを解除する。

 

『……認証しました。龍介さま』

 

機械から音声が流れてきて、隠し扉が自動で開く。

 

俺は時間が来るまで研究室で過ごした。

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