ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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乳龍帝と精霊と少女と……

ロキ戦の時刻になり、俺は全員を引き連れてイッセーたちと合流し、オーディンの爺さんと日本の神々が会談をする都内のとある高層高級ホテルの屋上にいる。

 

周囲のビルの屋上にシトリー眷属が各々配置され、待機している。ただ、イッセーの話では「匙はグリゴリで特訓中らしい」と聞いている。

 

アザゼルは会談での仲介役を担うためにオーディンの爺さんの傍にいる。

 

遥か上空にはタンニーンが飛んでいるが、人間に視認されないよう、術をかけているようだ。

 

ヴァーリたちや角都と飛段は少し離れたところで待機している。

 

遠山家でここにいないのはエールとユーだ。エールは俺の代わりに会談に出てもらい、ユーはエールの付き添いとして傍にいてもらっている。

 

「――時間ね」

 

リアスが腕時計を見ながら呟く。

 

会談が始まった時刻だ。

 

さて、残すはあのロキが来るのを待つだけ。

 

「小細工なしか。恐れ入る」

 

ヴァーリが苦笑した。その瞬間、ホテル上空の空間が歪み始め、大きな穴が開いていく。

 

そこから姿を現したのは――悪神ロキとフェンリル。

 

「目標確認。作戦開始」

 

バラキエルが小型通信機でそう言うと、ホテル一帯を包むように巨大な結界魔方陣が展開され始める。

 

ソーナを中心とし、シトリー眷属がこの屋上にいる者全員を戦場に転移させる。

 

ロキは結界を感知しているが、不敵に笑むだけで抵抗を見せない。

 

周囲が光に包まれる。少しして目を開けると、そこは大きく開けた土地だった。

 

ここは古い採石場跡地。今現在は使われていない。

 

近くには大きな湖のようなものもある。

 

周囲を確認すると、先ほど板屋上での全員の立ち位置が変わっていない。

 

前方にロキとフェンリル。確認したところでイッセーは(バランス)(・ブレイカー)のカウントを開始した。

 

「逃げないのね」

 

リアスが皮肉げに言うと、ロキは笑う。

 

「逃げる必要はない。どうせ抵抗してくるのだろうから、ここで始末した上であのホテルに戻ればいいだけだ。遅いか早いかの違いでしかない。会談をしてもしなくてもオーディンには退場していただく」

 

「貴殿は危険な考えにとらわれているな」

 

バラキエルが言う。

 

「危険な考え方を持ったのはそちらが先だ。各神話の協力などと……。元はと言えば、聖書に記されている三大勢力が手を取り合ったことから、すべてが歪み出したのだ」

 

「話し合いは無意味のようだな」

 

俺はそう言い、ジャケットからも着物を複数取り出す。

 

「先手は取らせてもらうよ」

 

バッ!!と空高く巻物を投げた俺は、巻物の中心に入り込むようにして高く跳躍する。

 

ボン――ヒュン!!

 

巻物をすべて開いて三叉のクナイを出現させる。そして、それを高速で放つ。

 

次々に三叉のクナイを呼び出しては高速で周囲に投げていく。味方には当たらないように投げる。

 

俺の懐にある一本を除き、すべての三叉のクナイを周囲に設置させた。

 

Welsh(ウェルシュ) Dragon(ドラゴン) Balance(バランス) Breaker(ブレイカー)!!!!!!!!』

 

Vanishing(バニシング) Dragon(ドラゴン) Balance(バランス) Breaker(ブレイカー)!!!!!!!!』

 

赤と白の光が二人を包み込み、鎧を身にまとった。

 

「これは素晴らしい!二天龍がこのロキを倒すべく共同するというのか!こんなに胸が高鳴る事はないぞッ!」

 

ロキは二人に任せて、俺はフェンリルの方を向いた。

 

ヒュン!!

 

俺は飛雷神でフェンリルの周囲に設置したクナイへ飛ぶ。

 

飛び回りながら、セットしているクナイをフェンリルに向けて投げつけていく。

 

しかし、そこは神速の足を持つ魔物。軽々とクナイを避けるフェンリル。

 

「……我は最強にして、すべての勝利を(つか)む者なり。人と悪のすべての敵と、すべての敵意を(くじ)く者なり。(ゆえ)に我は、立ちふさがるすべての敵を打ち破らん!!」

 

花楓が(カン)(ピオ)(ーネ)の力である『東方の軍神(ウルスラグナ

)』の化身『雄牛』で近くにあった大岩を片手で持ち上げ、高速で放り込んできた。

 

「羽持てる者を恐れよ。邪悪なる者も強き者も、羽持てる我を恐れよ!我が翼は、(なんじ)らに呪詛(じゅそ)(むく)いを与えん!邪悪なる者は我を打つに(あた)わず!」

 

(おおとり)』の力を重ねてフェンリルを迎撃する花楓。

 

九喇嘛(くらま)、私たちも行くよ!!」

 

目の前に九喇嘛(くらま)チャクラモードの奏が入り、神速でチャクラの腕を使い迎撃する。

 

神速三人相手に分の悪いフェンリルは、徐々にダメージを蓄積させていく。

 

「――今よ!!」

 

リアスが手を挙げる。

 

「にゃん♪」

 

金華がほほ笑むと同時に周囲に魔方陣を展開し、地面から大きく太い魔法の鎖――グレイプニルを出現させた。

 

それを見たフェンリルはロキの方へ引こうとしたが、その四肢を砂の腕が握り閉めている。

 

そう、俺が飛雷神で飛んでいるときに地面に仕込んでおいたもの。砂一掴みあれば、地面の岩石を砕いて砂へ変えるのは造作もないこと。

 

タンニーン、バラキエルを始め、俺とイッセーとヴァーリ以外の全員がグレイプニルをつかんでフェンリルのほうへ投げつける。

 

オオオオオオオオオンッ……。

 

ダークエルフによって強化されたグレイプニルは、意志を持つかのように巨体の狼を縛り上げた。

 

「――フェンリル、捕縛完了だ」

 

バラキエルが身動きのできなくなったフェンリルを見て、そう口にした。

 

「スペックは少々落ちるが――」

 

ロキの両サイドの空間が激しく歪みだし、灰色の巨体の狼が現れる――。

 

「スコルッ!ハティッ!」

 

ロキの声に呼応するように、天に向かって吠える二匹の狼。

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!

 

二匹の狼は感情の籠もっていない瞳で、俺たちを見据える。

 

『やはり出てきたか……主よ、フェンリルの子だ。牙も爪も健在と見ていい』

 

ムラクモが俺の中でそう言った。

 

――了解、肝に銘じておくよ。

 

「ヤルンヴィドに住まう巨人族の女を狼に変えて、フェンリルと交わらせた。その結果生まれたのがこの二匹だ。親よりも多少スペックは劣るが、牙は健在だ。十分に神、貴様らを葬れるだろう」

 

ロキが二匹の狼に指示を出す。

 

「さぁ、スコルとハティよ!父を捕らえたのはあの者たちだ!その牙と爪で喰らいちぎるがいいっ!!」

 

ヒュッ!

 

風を切る音と共に一匹が俺へ、もう一匹が金華たちの方へ駆け出した。

 

『――させませんよ』

 

突如聞こえた声。よく聞き覚えのある声だ。

 

『『『『『『『『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおッッ!!!!!!!!』』』』』』』』

 

その声のもとは――奏だ。

 

奏の場所には砂塵が舞い、突風が吹き荒れる。

 

それが収まったとき、そこにいたのは――。

 

「シャハハハハハハ!!俺様の登場だぜ!!」

 

守鶴(しゅかく)又旅(またたび)磯撫(いそぶ)孫悟空(そんごくう)穆王(こくおう)犀犬(さいけん)重明(ちょうめい)牛鬼(ぎゅうき)が元々のサイズで奏の体から出てきていた。

 

「フェンリルですか……。久しぶりに高鳴りますね」

 

「僕は皆の盾になるから、ドンドン攻撃して」

 

「ウキィー!!」

 

(わたくし)の角は痛いですよ?」

 

「俺もよ。簡単に捕まらんよ」

 

「ラッキーセブン。手加減はしない」

 

「あぁ、俺たちの力で抑えてやろう」

 

『フンッ。好き勝手に言いおって』

 

奏の口を借りて、九喇嘛(くらま)がつまらなそうに言った。

 

フェンリルより一回りほど大きい尾獣たち。

 

フェンリルと尾獣たちの攻防が始まり、そこにタンニーンも参戦した。

 

「ちょこざかとっ!!」

 

普段はお淑やかな口調だが、感情が高ぶると別人のように口調などが変わる又旅(またたび)

 

神速で動き回るフェンリルに翻弄されている……。

 

しかし、奏が『騎士の駒(ナイト)』の持ち主のため、尾獣たちの立ち回りも速い。

 

俺はロキの方を向き直した。

 

ロキがイッセーへ矛先を向けているが、ヴァーリがロキの背後に回り込み、手に大きな魔力を込めている。

 

だが、ロキへ一撃を当てる寸前――。

 

「ぐはっ!!」

 

神速でヴァーリに喰らいつく何か。それは、神を殺せる牙がヴァーリの白銀の鎧を貫通していた。

 

「ふははははっ!まずは白龍皇を噛み砕いたぞ!!」

 

嘲笑するロキ。

 

ヴァーリを咥えているのは、子のフェンリルではなく……親のほうだ!

 

俺は先ほどまでいた場所を見ると、鎖を咥えていた。戦闘をしている最中でこうもしてやられるとはな…。

 

「ついでだ。こいつらの相手もしてもらおうか」

 

ロキの足下の影が広がり、そこから体が細長いドラゴンが複数現れる。

 

「ミドガルズオルムも量産していたかッ!」

 

タンニーンが憎々しげに吐いた。

 

量産型のミドガルズオルムが一、二、三――。

 

「何体いるんだよ!!」

 

イッセーが声を上げた。

 

――ざっと見て四、五十匹ってところか?

 

かなりの量のミドガルズオルムが上空へ上がり、一面をミドガルズオルムが覆う。

 

ゴバァァァァンッ!!

 

タンニーンが容赦なく、ミドガルズオルムの群れへ炎を吐く。

 

「風遁、練空弾(れっくうだん)ッ!!」

 

守鶴(しゅかく)が大きく息を吸い込み、腹を叩いて高圧縮された空気を吐き出してミドガルズオルムを吹き飛ばす。

 

猫火鉢(ねこひばち)!!」

 

又旅(またたび)が大きく爪を振るい、超大量の青白い火炎弾を飛ばしてミドガルズオルムに砲火した。

 

荒海飛沫(あらみしぶき)!!」

 

磯撫(いそぶ)が近くの湖に潜り込み、引きずり込んだミドガルズオルムを空中へ打ち上げて口から強力な水鉄砲を飛ばして直撃させる。

 

灼河大噴火(しゃくがだいふんか)ッッ!!」

 

孫悟空(そんごくう)が両手でミドガルズオルムを掴みあげて、両手を熔岩化させ地面へと叩きつける。

 

五山飛(ござんと)び!!」

 

穆王(こくおう)がミドガルズオルムを頭突いて吹き飛ばし、落下しだしたところを追いかけるように踏みつけて爆風を巻き起こした。

 

荷束泡沫(かそくほうまつ)ッッ!!」

 

犀犬(さいけん)が禍々しい色の巨大な液玉を吐き出す。それはミドガルズオルムに直撃して爆発した。

 

鱗粉爆砕(りんぷんばくさい)!!」

 

重明(ちょうめい)がドリルのように回転しながら周囲に膨大な鱗粉をばら撒くと、それは巨大な竜巻へと変わる。そのままミドガルズオルムに突進し、鋼鉄の歯を鳴らすことによって火花を起こし、粉塵爆発で周囲の鱗粉を爆発させた。

 

尾獣八巻(びじゅうはちま)きッッ!!」

 

牛鬼(ぎゅうき)が全身に自身の蛸足を巻きつけ、それを一気に解放した反動の高速回転で周囲にいるミドガルズオルムを吹き飛ばす。

 

オオオオオオオオオンッッ!!

 

オオオオオオオオオオンッッ!!

 

二匹の子フェンリル咆哮が響き渡る。

 

ヴァーリチームとリアス眷属の全員が子フェンリルと死闘を繰り広げている。

 

一方で分担して子フェンリルと量産型ミドガルズオルムの撃破に当たっている遠山家のメンバー。角都は量産型ミドガルズオルムを、飛段は子フェンリルの相手をしていた。

 

「ヴァーリ!!」

 

俺は親フェンリルに噛まれているヴァーリに声をかける。

 

「作戦変更だ、金華たちを連れて行け。二匹の子フェンリルは俺がもらい受ける」

 

「……っ」

 

一瞬、ヴァーリの表情が驚いていたが、すぐに笑みを浮かべた。

 

「……計り知れないな。了解した……兵藤一誠」

 

ヴァーリがイッセーに言う。

 

「……ロキは、キミに任せる」

 

イッセーの頭に?が浮かんでいるように見えるが、頭の中では浮かんでいるのだろう。

 

「この親フェンリルは――俺が確実に殺そう」

 

そう言うヴァーリ。それを耳にしたロキが笑う。

 

「ふははははははっ!どうやってだ!すでに瀕死ではないか!強がりは白龍皇の名を(おとし)めてしまうのではないか?」

 

「――天龍を、このヴァーリ・ルシファーを舐めるな」

 

ヴァーリは静かに口ずさみだす。それと同時に鎧の各宝玉が七色に輝きだした。

 

「我、目覚めるは――」

 

〈消し飛ぶよっ!〉〈消し飛ぶねっ!〉

 

「覇の理に全てを奪われし、二天龍なり――」

 

〈夢が終わるっ!〉〈幻が始まるっ!〉

 

「無限を妬み、夢幻を想う――」

 

〈全部だっ!〉〈そう、すべてを捧げろっ!〉

 

「我、白き龍の覇道を極め――」

 

「「「「「「「「「「汝を無垢の極限へと誘おう――ッ!!」」」」」」」」」」

 

Juggernaut(ジャガーノート) Drive(ドライブ)!!!!!!!!!!!!』

 

フィールド全域を照らし出す、大出力の光がフェンリルの口から溢れ、フェンリル自身をも呑みこんでいく。

 

「金華!作戦変更だ!!俺とフェンリルを予定のポイントに転送しろッ!そして、すぐにおまえたちも来いっ!!」

 

光り輝くヴァーリが叫ぶ。金華がそれを聞いてにんまり笑い頷くと、ヴァーリに向けて宙で指を動かした。

 

すると、巨大な光と化したヴァーリとフェンリルを魔力の帯が包み込み、しだいに両者は夜の風景に溶け込み、この場から消えていく。

 

消える瞬間に写輪眼で親フェンリルを軽く精神攻撃しておいた。多少なりともヴァーリの作戦が生きるようにと思ってな。

 

ヴァーリに続いて転移する金華と美猴とアーサー。追撃されないように子フェンリルの間に入り込んで妨害する。

 

――火遁(かとん)豪火球(ごうかきゅう)!!

 

俺は等身大以上の火球を作りだして、子フェンリルに向けて放つ。案の定、子フェンリルは追撃をあきらめて火球を回避した。

 

「妹たちを頼むにゃ――」

 

背中にかけられた金華の声…。振り向いた時には三人の姿はなかった。

 

グレイプニルも同時に転送したらしく、ここにはない。

 

――そのとき、俺たちのもとに叫び声が聞こえた。

 

「朱乃!」

 

リアスの悲鳴だ!そこには子フェンリルに噛まれようとしている朱乃の姿があった。

 

JET(ジェット)!!』

 

イッセーの鎧から音声が発されると同時に、イッセーが間合いを詰めだす。

 

「隙ありだな!!」

 

ロキが魔術を撃ち出そうとしていた。

 

「させると思うか!!土遁(どとん)土流壁(どりゅうへき)!!」

 

俺は足元に両手をついて地面から岩の壁を出現させる。

 

「そうはさせん!」

 

「その通りです!」

 

タンニーンとロスヴァイセが援護弾をロキに向けて撃ち出していた。

 

見れば、量産型ミドガルズオルムも残り一体となっており、奏を中心に尾獣たちによっていじめられていた。

 

俺は、とんっ!と軽く飛び上がって岩壁の上に立つ。

 

雷遁の衣をまとい…駆け出す!!

 

雷斗忍遇(ライトニング)――」

 

俺は雷速でイッセーにぶん殴られたフェンリルに接近し、その土手っ腹に右ストレートを打ち込む。

 

「――須吐励刀(ストレート)ォォォォッッ!!!!」

 

子フェンリルは勢いよく吹き飛び、もう片方の子フェンリルに激突する。

 

悲鳴を上げる二匹はさらに吹き飛んで地面を転がり、動かなくなった。

 

俺は二匹の傍まで近寄り、血脈を計る。

 

……二匹とも脈はあるので、ただ気絶しているようだ。

 

俺は二匹の四肢を熔遁(ようとん)護謨紐(ゴムひも)で縛り、神威(カムイ)で吸い込んで退場させた。

 

『私は姫島朱乃のおっぱいではありません。――私はおっぱいの妖精です』

 

いきなり頭に響く女性の声。あまりの突然な出来事に頭を振って正気を戻そうとした。

 

『――主よ、我にも聞こえている。どうやら、赤龍帝が乳龍帝としての力を発揮したみたいだ』

 

ムラクモがそう言うが――って、イッセーが?

 

『あぁ、赤龍帝を通して受信している。別に主がおかしくなったわけではない』

 

俺はため息をつきながら、イッセーの近くまで神速で移動した。

 

『落ち着いてください。私はこの娘のおっぱいを介してあなたに話しかけているのです』

 

頭の中で響く声、ミドガルズオルムをいじめていた尾獣たちが大人しくなる。

 

『私は全てのおっぱいを司りし神――乳神さまに仕える精霊です。あなたの頑なまでのおっぱいへの渇望が私を呼び出したのです』

 

「お、おっさん!!」

 

「なんだ!また何か起きたのか!?また乳なのか!?」

 

以外にも鋭いタンニーン。あ、流れ的にはそうなるか…。

 

「乳神さまって、どこの神話体系の神さまだ!?」

 

イッセーの問いかけに土流壁の向こうで戦っていたタンニーンは、開いた口がふさがらない様子だった。……いや、この場にいる全員が間の抜けた表情で戦闘を中断させ、イッセーに視線を集中させた。

 

一泊開けて、タンニーンがリアスに叫んだ!!

 

「…………ッ!!リアス嬢ぉぉぉぉッ!あいつの頭に回復をかけてやってくれぇぇっ!!致命傷だぁぁぁっ!!!」

 

「イッセー、しっかりして!幻聴よ!あぁ、なんてこと!フェンリルの毒牙が赤龍帝の精神にまで!!」

 

完全に勘違いをしているリアス。

 

イッセーが弁解を図ろうとして、逆にバラキエルを怒らせてしまう。

 

『い、いや、皆聞いてくれ。確かに俺にも乳の精霊とやらの声が聞こえる……。俺の知らない世界の力を感じる。残念な結果だが、こいつは異世界の神を呼び寄せてしまったらしい』

 

ドライグがイッセーの弁明をする。

 

「バカな!」

 

「そんな!」

 

「ドライグまでダメージを!!」

 

……現実は残酷だな。皆、イッセーはわかるが……まさか、ドライグの言葉も信じていない。

 

『うおおおおおおんっ!!どうせおっぱいドラゴンの声なんて誰も信じちゃくれないんだ!俺は悪くないぞ!相棒が、相棒がぁぁぁぁぁぁ!!』

 

泣き叫ぶドライグ。

 

ぱあっ!!っと、アーシアがイッセーの鎧の宝玉に回復の光を届ける。

 

「聞こえた?」

 

「聞こえましたね」

 

「俺もよ。はっきりと聞こえたさ」

 

「ウキー、なんだよっ、乳の精霊って!!」

 

「僕も聞こえたよ。確かに乳の精霊って言ってた」

 

「わからん精霊が降臨したぞ?」

 

「シャハハハハハハ、おもしれーや!」

 

「ラッキーセブン。カナデも聞こえた?」

 

「うん、はっきり乳の精霊と名乗っていたね」

 

尾獣たちと奏が、ぶっ倒れているミドガルズオルムを放置して集まる。

 

「花楓も聞こえたよ……。異世界の使いの者みたい」

 

「私も聞こえましたぁ~。本当に面白いですねぇ~、イッセーさんはぁ」

 

「俺も聞こえたぞ。とんだ者を呼び寄せたな」

 

「聞こえたぜ。なんだよ、乳神とその使いって」

 

花楓、リエ、角都、飛段も聞こえたらしい。っというか、転生者の全員に聞こえたってことか!?

 

『よく聞きなさい、乳龍帝よ』

 

ハハハ、そのネーミング…かなり流行りつつあるな。異世界の使いなのに…。

 

『この巫女の本音を聞くことで、乳神さまの力をここに降臨させるのです』

 

何だかとんでもないことが起きる予感がしてきたんだが?

 

『おっぱいを求める者に乳神さまは慈悲深いご加護を与えます。きっと役に立つでしょう』

 

危険予知のアラートは鳴っていない……ということは、危ないことではなさそうだな。

 

『――では、この娘の思いを聞きなさい』

 

俺は目を閉じると、目の前にどこかの風景が映し出された。

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