眠れない闇夜
――京都旅行の直前の朝、俺は目を覚ます。
「眠い……っと、旅行の用意をしないといけないんだったな……」
そう、俺を含めた数人は六泊五日京都へ旅行することとなっている。その理由は、三大勢力と京の妖怪勢力と
――本当は俺一人でよかったんだけどな…。まぁ、観光を兼ねるから、人数はいたほうが楽しいと思っていたが……。
このことを全員に話したあと、「行きたい!」と言ってきたんだ。まぁ、カミュは学校帰りのリアスたちと軟禁している連中の面倒を見るために残るそうだ。そのため、学校に行っていないカミュ以外の全員が旅行についてくることとなった。
朝食を摂ったあと、リアスたちは支度をして眷属フルメンバーが揃ったことを報告しに冥界のグレモリー家へ行くそうだ。付き添いでイリナとカミュ、ミッテルトとレイナーレ、理子と春奈がついて行くという。
家に残った俺たちは旅行の用意に取り掛かるため、身支度をしていた。
――そうそう、昨日ハティとスコルのことを紹介したら、全員が驚いていた。証拠として肘と膝先、獣耳と尻尾を出現させると、全員が納得してくれた。その数十分後に辰巳たちからの集中砲火を食らったのは言うまでもない…。
身支度が終わると、全員が玄関に集まる。移動は車庫に停めてある四台のミニバンに乗り込む。各運転席に俺、リエ、黒歌、ベネチアが乗り込んだ。その中で十人乗りを運転するのは俺だ。……残りの四台のミニバンはお留守番となる
車庫から出て坂を下っていき、私道から国道に出る。
目的地の店は、品揃えがいい割に高くない手ごろな値段で販売しているショッピングモールだ。駒王学園の近くにもデパートがあるが、未だ行ったことの無い所に行ってみたいのは人間の性だ。まぁ、足りない物があれば寄って行けばいいだけだし。
――走ること二十分…目的のショッピングモールに到着した。
かなり広い駐車場に入り、店寄りに車を駐車する。
広い駐車場だけに大きいショッピングモール。中に入れば、そこは――。
『広すぎ。目的のものを探すのに疲れそう』
「そうですね。手分けして探す方が無難でしょう」
ユーとエールが広大な店内を見て感想を言う(ユーはメモ書きだけどな)。
――ということで、俺たちは
組み合わせは……俺とリエと角都と飛段、エールと花楓とユーと奏、ルリエルとサルベリアとレヴィとマキア、アリスとベラナと黒歌と辰巳、冴子とカラワーナとアイムとマリア、メイルとスバルとスコルとハティ。ベネチアとアースは、心配が大きいメイルたちと行動してもらう。
入り口の近くに案内表があるので、それで各場所を当たってもらう。
俺とリエと角都と飛段は……医薬品か。
薬局へ足を運び、数のある商品棚から必要なものを選び取っていく。
腹痛薬、解熱剤、傷薬、絆創膏、etc……。
買い物籠の中に入れていき、レジを通る。
「会計7756円になります」
――おぉっ!!噂通りだな。普段なら一万円は優に超えているはずだ。
俺は財布から万券と56円を出して、お釣りの2300円を受け取る。
レジ袋に品を詰め終えると、集合場所の広場に向かう。
その広場に着くと、二、三十席はある四、五人座れる長椅子に腰を下ろした。
それから数分後、ニュースの流れている大型液晶テレビを鑑賞していたら、横から肩を突かれた。
「おっ、終わったか」
ベネチアがアースとメイル、スバルとスコルとハティを連れて横に立っていた。
「えぇ、必要なものは揃えたわ」
そう言うと、俺の後ろにある長椅子に腰を下ろす。
それから五分と経たないうちに、エールと花楓とユーと奏、ルリエルとサルベリアとレヴィとマキア、アリスとベラナと黒歌と辰巳、冴子とカラワーナとアイムとマリアも買い物を終えて戻ってきた。
「……買いすぎだろ、黒歌」
「てへぺろにゃん」
黒歌たち四人はお菓子の担当だったが、そのお菓子の量が手に持っている袋……十六枚分!しかも、袋が伸びきってしまうぐらいギュウギュウに詰め込んでいた。
――食いしん坊には叶わん…!!
俺は若干引き気味にその袋見ていた。
「……帰るか」
俺は立ち上がり、荷物を持って歩き出す。
その後ろでそれぞれ荷物を持って歩き出した。
店を出て俺の運転している車の荷物置きを開ける。
十人乗りだから、荷物を全部入れることが出来た。
その代りに来た時より席が変わりメンバーの変更はないが、後部座席にエールとユーが詰める形で乗り込む。
助手席には飛段が乗っており、角都はベネチアの運転している車の助手席に乗っている。
ちょうど横一列に並んでおり、オートで窓を下ろすと助手席と運転席が筒抜け状態で見える。
「角都。昼はレストランにしたいのだが、どうするか回してくれるか?」
すると、角都は運転席のベネチアに話し、伝達されていく。
「……満場一致でレストランだそうだ」
「りょーかい!近くにある『グランメゾン型ファミレス』に集合だ」
俺は伝えると、車を発進させる。
近くと言っても、ここから十分はかかる。
――走ること十分。
グランメゾン型ファミレスの駐車場に車を駐車させて中に入る。
店員に人数を告げると、六人席五カ所に案内される。
俺の座る席には、横にリエ、正面に角都と飛段が座る。
五席を四、四、六、六、六の割合で座っている。
ここは料理の値段が割高だが、それ相応に味と質のいいものが食べられる……高級ファミレスとして有名なんだ。
俺たちは、それぞれのメニューから料理を選んで注文していく。
「――以上でよろしいでしょうか?」
「はい。お願いします」
「かしこまりました」
店員が注文の確認を取って厨房へ行った。
「さ~て、京都のことでも話すか?」
俺は向こうでする会談以外の話を出して、時間を潰していった。
D×D
夕方、帰ってきてから各々で旅行の準備に入っていた。
角都と飛段は自分の領の家でするらしく、必要なものを袋に詰めて帰った。
俺はすべての荷物を旅行バックに詰め込んでベッドの横に置く。
冴子たちは通常の授業があるので行くことが出来ないが、エールたちの準備を手伝ってくれている。
俺は用意が終わったので、夕飯の支度に入った。
それから数分後、廊下が騒がしくなりだして……リビングに入ってきた。
「――ただいま~。兄さん、腹減った」
「おかえり、どうだった?リアスの実家は」
「楽しかったよ。京都のお土産に漬物を買うよ」
「そうか、明日だろ。用意はできているのか?」
「あ、確認だけしてみるよ」
「支度には時間がかかるから、風呂もついでに入ってこい」
「わかった、兄さん」
イッセーはリビングから自室に戻っていく。アーシアたちも自室に戻り、リアスたちの手を借りて準備の確認をするようだ。
「……分身でも使うかぁ」
時間を短縮するため、影分身を用いて夕飯の支度を急いだ。
D×D
夕飯を食べ終え、風呂にも入り、就寝のために自室のベッドの上で横になっていた。
どのぐらい時間が経っただろうか……。
「うっ……ん…」
俺は目を覚まし、体の異常を感じていた。
――これは、もしかして……。
俺はゆっくりと
いつかの流れのように、誰かが俺の上に跨っている…?
「……カラワーナか?」
そう、目の前には黒のネグリジェをまとって俺の上に跨っているカラワーナがいた。
「リュースケ……」
カラワーナはゆっくりと俺に顔を近づけてくる。
「お、おい……何を…!?」
俺は腕を動かしてカラワーナを制止させようとしたが、両方の肘から下が動かない。どうにかしようと両手首を動かしたとき――。
「……ぁん」
「……ぅん」
突如、聞こえた甘い響きに柔らかい感触。視力を極限に使い、カラワーナの陰になりかけていた両腕の先を見ると……そこには、冴子とマリアが俺の両腕の肘から先をホールドしていた。
ホールドされている腕を見ると、肘裏に顔が置いてあり、ネグリジェの上から胸に手の平が当てられている状況だった!!
徐々に顔が熱くなるのが分かる。これだと腕を抜くどころか、手自体動かすことができないぞ…。
……しかも、肘が完全にロックされている。なんつー力だよ、曲げ伸ばしすらすることもできやしない。
目の前にはカラワーナの顔と、たわわな胸が……。
――いかん!理性が飛びそうだ…!!
俺は必死に理性を抑えながら、回避方法を考えていた。
回避…回避…回避……。
――くそっ!!回避方法なんか……あ、あった。
俺は恥ずかしさを堪えて、カラワーナが俺の顔スレスレに近づいたところを狙って実行した。
「……カラワーナ」
耳元に口を寄せて言う。……声質はこんな感じか?
「カラワーナ。聞こえているかい?カラワーナ」
少し低い声で、カラワーナの心に潜り込むように語りかける。
……すると、カラワーナの動きが制止する。そして、ゆっくりと俺の顔から離れて、輪郭全体を捉えられる位置まで離れた。
その表情は少し驚いている。そうだよな、俺がこんな声で話すのは初めてだから。
「カラワーナ、聞こえているのなら…返事をしてほしいな」
「は…はい」
いつものカラワーナと違い、クールな彼女の態度は消えている。代わりに、たった今だが……俺の質問に顔を赤らめて可愛い声音で返事をしてくれた。普段の俺なら、クラっときていただろうな…。
「俺はカラワーナのことが好きだ。だから、俺が無抵抗な状態でされることを喜んでいる――そう思っていたのかな?だとしたら、心外だよ」
「そ、そんなこと……」
「カラワーナは、俺のことを理解してくれていると思っていたけど――違ったのかな?カラワーナ」
甘い艶を交えた声で、名前を折り交ぜて語る。
「い、いや、そんな……」
カラワーナの態度が、普段ではありえないほど従順なものに変わっていく。
――よし!このまま押せば、安全ラインまで下がってくれるはずだ。
俺は焦りと羞恥が襲ってくる心を抑えつつ、カラワーナに囁き続ける。
「カラワーナ、今はカラワーナのしたいことをしてあげられないけれど、一緒に暮らしている未来でいっぱいしてあげるよ。だから、今は我慢してくれるね?カラワーナ」
「……う、うん」
先ほどよりも従順かつ、可愛い反応を見せてくれるカラワーナ。
「ありがとう。お礼と言ってもつまらないかもしれない……、俺の上で寝るのはダメかな?」
「…っ、いいの?」
「あぁ、両手が使えないから抱きしめてあげられないけれど、カラワーナがいいと言うならば、俺は構わないと思う」
その瞬間、カラワーナは満面の笑みを見せて、俺の胸元に頭を預けるように乗り……寝てしまった。
可愛い寝息が聞こえて安心する俺。その直後に羞恥と先ほどまで言っていた己の言葉に顔を赤くしながら、眠りづらい静かなる時間を目を瞑って過ごした。