ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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裏京都

俺たちは全員がロビーに集まり、そこで待っていたアザゼルやイッセーたちと合流する。

 

「すまない、待たせたな」

 

「いや、さっき来たばかりだ。理恵のほうは先に行かせた」

 

「あぁ。わかった……案内頼む」

 

その後、俺たちはアザゼルの案内のもと、町の一角にある料亭へ向かった。

 

中に入ると、和風感が漂う雰囲気を感じた。その中を通されて通路を抜けると、個室が現れる。

 

戸を開けると――そこには着物姿のセラフォルーと浴衣を着たリエが座っていた。

 

「ハーロー!リューくん、赤龍帝ちゃん、リアスちゃんの眷属の皆、暁の皆、この間ぶりね☆」

 

ハイテンションなあいさつをしてきたセラフォルー。……初対面の者もいるけどな。

 

「おいしいですねぇ~。やっぱりぃ、京は京豆腐に限りますぅ」

 

その対面ではリエが至福の空間の中で京豆腐を食べていた。

 

「お、兵藤たちか」

 

匙がイッセーに声をかける……生徒会二年生も来ていたようだ。

 

「ここのお料理、とてもおいしいの。特に鶏料理は絶品なのよ☆リューくんや赤龍帝ちゃんたちも匙くんたちも食べてね♪」

 

俺たちが席に着くや否や、セラフォルーが料理を追加してくる。まぁ、ホテルの料理の量だけじゃ物足りないと言う者がここに数人いたから無問題だが。

 

「さて、セラフォルー。例の件はどうだった?」

 

俺は座ってすぐに訊いてみた。

 

「……京都に住む妖怪の報告では、この地の妖怪を束ねていた九尾の御大将が先日から行方不明なの」

 

『――やはりか』

 

突然、奏の口から発された声。

 

「……九喇嘛(くらま)か。その反応だと、気がついていたようだが」

 

『あぁ。あの九尾の小娘が探していた母親がそうだろう?わしだけではない。他の連中も気づいておるぞ』

 

他の連中とは……守鶴たちのことか。

 

「もう、犯人は分かってんじゃねーのか?」

 

飛段が箸を止めて言う。

 

「十中八九『(カオス)(・ブリ)(ゲード)』よね」

 

答えるようにセラフォルーが真剣な面持ちで言った。

 

「耳が痛いな」

 

「そうですね」

 

サルベリアとマキア呟いた。

 

「ったく、こちとら修学旅行で学生の面倒見るのに精一杯だってのにな。やってくれるぜ、テロリストどもが」

 

アザゼルが忌々しそうに吐き捨てた。額には小さく青筋が出ている……。

 

「どちらにしてもまだ(おおやけ)にすることはできないわね。なんとか私たちだけでことを収束しなければならないの。私はこのまま協力してくださる妖怪の方々と連携して事に当たるつもりなのよ」

 

セラフォルーがアザゼルの杯に酒を注ぎながら言った。

 

「そうですねぇ。私もせっかくの京を台無しにされては困りますのでぇ~」

 

リエはクスクスと笑いながら京豆腐を食している。……ってか、何杯目だよ。

 

「まぁ、俺も無事に会議を済ませたいからな…。そのためには、御大将を助け出さないといけないというところだな」

 

俺はため息をつく。……色々と気苦労が重なるな。

 

「ということで、イッセー。旅行を楽しんでこい」

 

「え、でも……」

 

遠慮がちのイッセーに俺は言った。

 

「何か事があれば呼ぶ。だが、おまえたちにとって修学旅行は貴重だろ?この件を含めて俺たちはこの京を訪れたも同然。任せておけ」

 

「そういうことだ。いまは京都を楽しめよ」

 

アザゼルがいいところを持っていきやがった。

 

「そうよ、赤龍帝ちゃん、ソーナちゃんの眷属ちゃんたちも。いまは京都を楽しんでね。私も楽しんじゃう!」

 

セラフォルーがそう言う。……おまえが一番京を楽しんでいる気がしてならないんだが?

 

俺は再度溜め息をついた。

 

――前途多難だ。

 

                    D×D

 

――翌日、俺たちは朝食を終えた後、身支度をしてロビーに集まっていた。

 

「さて、京の街の見回りを始めますか。担当地区は――」

 

それぞれの見回りをする地区を言い渡す。

 

解散して俺はホテルの近くにあるバス停からバスに乗り、移動していく。

 

しばらくしてバスを降り、俺はとある場所に向かう。

 

「――金閣か。懐かしい限りだ」

 

俺は金閣寺前の池の柵から風景を眺めている。……そう、俺の担当地区は金閣寺周辺だ。

 

少し歩くと人気のない場所に鳥居があり、その鳥居の内側は明らかに周囲と違う「異世界」へ繋がっているのが分かる。

 

――っ!?

 

突然鳴りだした携帯電話。俺は通話ボタンを押して口を開いた。

 

「もしもし?」

 

『龍介か?今どこにいる?』

 

「ん?金閣寺だが」

 

『それはちょうどいい。近くに鳥居は無いか?』

 

「もしかすると、結界の張ってある鳥居か?」

 

『あぁ、それだ。そこから中へ入ってこい』

 

「いきなりだな。何かあったのか?」

 

『……あぁ、御大将の件のことで誤解が解けた』

 

――そういう事か。

 

「わかった。すぐに行く」

 

俺は電話を切り、鳥居の中へ足を踏み入れた――。

 

                    D×D

 

「銀じゃない!?」

 

俺たちは銀閣寺に着き、寺を見たゼノヴィアが開口一番に叫んだのがそれだった。

 

「……ゼノヴィアさんはお家でも『銀閣寺は銀で金閣寺は金。きっとまぶしいんだろうな』って瞳を輝かせて言っていたものですから」

 

アーシアが震えるゼノヴィアの肩を抱きながら、そう言った。

 

「建設に携わった足利義向が死んだから銀箔を貼るのを止めたとか、幕府の財政難で中止になったとか、諸説あるけど、銀箔じゃないわね」

 

桐生がそう説明を入れてくれた。

 

銀閣も一通り回ると、近くのお店で昼食を済ませる。そのお店で角都さんと飛段さんを隅の方で発見したけど、ただ観光をしているわけじゃなさそうだし、声を掛けずに次の金閣寺へ向かった。

 

                    D×D

 

「金だっ!今度こそは金だぞ!!」

 

金閣寺に着き、寺を見たゼノヴィアが開口一番に叫んだのがそれだった。

 

「金だぞぉぉっ!」

 

両手をあげてゼノヴィアが喜んでいる。金閣寺はすんごい金ピカだ!

 

金閣寺を見て回ったあと、お土産を買い、休憩所――お茶屋で一休みをすることに。

 

「どうぞ」

 

和服のお姉さんが入れたての抹茶を運んできてくれた。和菓子も添えて。

 

「……金ピカだった」

 

皆が茶菓子をいただいているのに、ゼノヴィアはいまだ覚めぬ夢の中のようだ。よほど金閣寺を見た感動がデカかったみたいだ。

 

――そのとき、ふいにケータイが鳴った。

 

ディスプレイには……兄さんからだ。

 

「はい、もしもし。どうかしたの?兄さん」

 

『イッセーか!いまむ…………』

 

突然切れた兄さんとの会話。

 

「いきなり電話があったと思ったら、話し中に切れたよ……」

 

……と、お茶屋の方を振り返ると――松田、元浜、桐生が眠りこけていた!

 

俺は人間じゃない気配を感じていた。それはゼノヴィアが睨みつけている女性店員を見たときに確信した。

 

女性店員の頭部に獣耳が生えている。尻尾も出ていて……ふと周囲を見回せば、獣耳の方々ばかりだ。

 

俺たちは警戒して、それぞれが得物を握ろうとしたとき――。

 

ギュルゥゥゥゥゥゥゥゥ――。

 

突然、俺たちの前の空間が渦を巻きだした!

 

「――まったく、肝心なときにバッテリーが切れるか?」

 

「――待ってください」

 

目の前に現れたのは――兄さんとロスヴァイセさん!!

 

「兄さん!ロスヴァイセさん!どうしてここに?」

 

俺の問いにロスヴァイセさんが息を吐きながら言う。

 

「えぇ、あなたたちを迎えに行くようアザゼル先生に言われました」

 

「先生に?何が起こっているんですか?」

 

「停戦です。というか、誤解が解けました。――九尾のご息女があなたたちに謝りたいと言うのです」

 

停戦?誤解って……じゃあ、もう狐さんや天狗さんに襲われることはないと?

 

疑問に残る俺たちに獣耳のお姉さんが一人、前に出て深く頭を下げてくる。

 

「私は九尾の君に仕える狐の(あやかし)でございます。先日は申し訳ございませんでした。我らが姫君もあなた方に謝罪したいと申されておりますので、どうか私たちについてきてくださいませ」

 

どこに?――と訊く前に狐の妖怪と言うお姉さんが続けた。

 

「我ら京の妖怪が住む――裏の(みやこ)です。魔王さまと堕天使の総督殿、暁の皆さまも先にそちらへいらっしゃっております」

 

どうやら、俺たちが観光している間に上が誤解を解いてくれていたようだった。

 

                    D×D

 

私たちが足を踏み入れたのは――異界のような場所。

 

そこは江戸時代のような街並みで、古い家屋が建ち並び、扉や通りから面妖な者たちが顔を覗かせていた。

 

『妖怪がたくさんいる……』

 

内にいる磯撫(いそぶ)が周囲を見て驚いていた。

 

九喇嘛(くらま)と同じ九尾のお姫さまがいる場所まで狐の(あやかし)の女性の案内で歩く私たち。薄暗い中、点々と灯が道の先へと続いている。

 

「うきゃきゃきゃきゃ」

 

目の前で提灯が目と口を出現させて笑い出した!!

 

『シャハハハハハハハハハハッ!おもしれぇ!!』

 

内にいる守鶴(しゅかく)が大笑いしている…。

 

「すみません。ここの妖怪たちはイタズラ好きで……。害をなす者はいないと思いますが……」

 

と、先導の狐の(あやかし)の女性が歩きながら謝ってきた。

 

「……人間か?」

 

「いんや、悪魔だってよ」

 

「悪魔か。珍しいなや」

 

「あのキレイな外国の娘っこも悪魔か?」

 

「龍だ。龍の気配もあるぞ。悪魔と龍……」

 

妖怪たちの話し声が聞こえてくる。……ゴメンなさいね、私は人間なの。

 

家屋が建ち並ぶ道を抜け、小さな川を挟んで林に入り進むと――巨大な赤い鳥居が出現した。

 

その鳥居の先に大きく古い屋敷が建っている。

 

「お、来たか」

 

「やっほー、皆☆」

 

アザゼル先生とセラフォルーさまがいて、近くにエールたちの姿が見えた。

 

アザゼル先生とセラフォルーさまの間には――先日、奇襲を仕掛けてきた九尾のお姫様がいる。

 

「九重さま、皆さまをお連れ致しました」

 

狐の妖の女性は報告を済ませると、ドロンと炎を出現させて消えてしまった。

 

お姫さまは一歩出てきて口を開いた。

 

「私は表と裏の京都に住む妖怪たちを束ねる者――八坂の娘、九重(くのう)と申す」

 

自己紹介と共に深々と頭を下げてきたお姫さま。

 

「先日は申し訳なかった。お主たちを事情も知らずに襲ってしまった。どうか、許して欲しい」

 

「ま、いいんじゃないか。誤解が解けたのなら、私は別にいい。京都を堪能できれば問題ないよ。二度と邪魔をしない限りね」

 

「そうね、許す心も天使に必要だわ。私はお姫さまを恨みません」

 

「はい。平和が一番です」

 

「えぇ、私も邪魔さえされなければ何もしないから」

 

「理子も同意!!こんなにちっさい姫さまかわいい!!」

 

ゼノヴィアやイリナ、アーシア、レ…夕麻、理子は昨日のことを許すみたい。

 

「てな感じらしいんで、俺も別にいいって。顔を上げてくれよ」

 

「し、しかし…」

 

腑に落ちない様子の九重ちゃん。

 

そんな九重ちゃんの前に立ったイッセーは、膝をついて目線を合わせる。

 

「えーと、九重で良いかな?なあ、九重、お母さんのこと心配なんだろう?」

 

「と、当然じゃ」

 

「なら、あんな風に間違えて襲撃してしまうこともあるさ。もちろん、それは場合によって問題になったり、相手を不快にさせてしまう。でも、九重は謝った。間違ったと思ったから俺たちに謝ったんだよな?」

 

「・・・もちろんだとも」

 

イッセーは九重ちゃんの肩に手をそっと置いて言う。

 

「それなら俺たちは何も九重のことを(とが)めたりしないよ」

 

九重ちゃんはイッセーの言葉を聞いた顔を真っ赤に染めてモジモジしながらつぶやいた。

 

「……ありがとう」

 

――落としちゃったね……妖怪勢力の姫さまを。

 

「やりやがったな!!」

 

飛段がイッセーの背中を叩きながら言う。

 

立ち上がったアザゼル先生もイッセーを小突いた。

 

「さすがおっぱいドラゴンだな。子供の扱いが上手だ」

 

「ちゃ、茶化さないでくださいよ。これでも精一杯なんですから!」

 

周囲が笑いに包まれた。

 

『――カナデ、私たちも挨拶をしておきたいから……出てもいい?』

 

内にいる又旅(またたび)がそう言うので、横にいるリュースケに訊く。

 

「……リュースケ、皆が挨拶をするのに出たいって言ってるんだけど……」

 

「ん?あぁ……犀犬(さいけん)専用のタライね」

 

すると、リュースケは神威(カムイ)でプラスチック製の大きなタライを一つ取り出して目の前に置いた。

 

――皆、出てきていいよ。

 

私の合図と共に、朱いチャクラが体を覆ていき――分散して八つの個体に別れた。

 

そのチャクラは形が整えられて、皆が私たちと等身大の姿を現した。

 

『シャハハハハハハ、俺は守鶴(しゅかく)だ。九尾と聞くとバカ狐と思っちまうが…ま、よろしく頼むぜ』

 

『私は又旅(またたび)と申します。姫さま、先日は九喇嘛(くらま)が失礼をいたしました』

 

『僕は磯撫(いそぶ)。よろしく、姫さま』

 

『ウキー!俺は孫悟空(そんごくう)だ。昨日のことは気にすることはないぜ?』

 

(わたくし)穆王(こくおう)と申します。姫さまは昨日のことはあまりお気になさらずに』

 

『俺やよ犀犬(さいけん)ってんだ。小さな姫さん、あまり気にすることはないってんよ』

 

『ラッキーセブン、長明(ちょうめい)だ』

 

『俺は牛鬼(ぎゅうき)。姫さん、昨日は驚いたがな、いまは気にしていない。俺たちは手助けができればいいと思っている』

 

皆が紹介すると同時に九重(くのう)ちゃんを励ます。

 

その光景に妖怪側が驚いていた。

 

「私は遠山奏と申します。私はこの尾獣たちの世話をしています。どうぞよろしくお願いします…九重(くのう)姫」

 

私は正座をして頭を下げる。

 

「あ、こちらこそ、よろしく頼むぞ」

 

慌てて正座をして頭を下げた九重ちゃん。それでも、作法が乱れていなかった。

 

九重ちゃんは頭を上げると、皆の方を向いて再度頭を下げた。

 

「……咎がある身で悪いのじゃが……どうか、どうか!母上を助けるために力を貸して欲しい!」

 

九重ちゃんの心からの悲痛な叫びだった。

 

                    D×D

 

この京都を取り仕切る妖怪の大将――九尾の狐こと『八坂(やさか)』は、須弥山(しゅみせん)帝釈天(たいしゃくてん)から遣わされた使者と会談するため、数日前にこの屋敷を出たという。しかし、八坂は帝釈天の使者との会談の席に姿を現さなかった。不審に思った妖怪サイドが調査したところ、八坂に同行していた警護の烏天狗(からすてんぐ)を保護したそうだが、瀕死の状態に陥っていた。その烏天狗が死の間際、八坂が何者かに襲撃され、さらわれたことを告げたらしい。それで、京都にいる怪しい輩を徹底的に捜していたとき、イッセーたちは誤解によりあの社で襲撃を受けた。

 

その後、アザゼルとセラフォルーが九重たちと交渉し、冥界側と関与が無い事を告げ、手口から今回の首謀者が『(カオス)(・ブリ)(ゲード)』の可能性が高いと情報を提供した。

 

ちなみに、俺はアザゼルに呼ばれてここに来た際に…九重たちに「暁も関与していない」ことを告げておいた。

 

「かなり面倒だな……」

 

俺はため息を吐いた。

 

「ま、各勢力が手を取り合おうとすると、こういうことが起こりやすい。オーディンのときもロキが来ただろう?今回はその敵役がテロリストどもだったわけだ」

 

アザゼルが不機嫌そうに言った。

 

「総督殿、魔王殿、龍介殿、どうにか八坂姫を助けることはできんのじゃろうか?我らならばいくらでも力をお貸し申す」

 

と、天狗の爺さんもそう言う。

 

すると、天狗の爺さんが一枚の絵画を見せる。

 

「ここに描かれておりますのが八坂姫でございます」

 

そこに描かれているのは、巫女装束を着た金髪の女性。面影が九重に似ているな…。

 

「八坂姫をさらった奴らがいまだにこの京都にいるのは確実だ」

 

アザゼルがそう口にした。

 

「どうして、思うんですか?」

 

イッセーが訊く。アザゼルはうなずきながら説明をする。

 

「京都全域の気が乱れていないからだ。九尾の狐はこの地に流れる様々な気を総括してバランスを保つ存在でもある。京都ってのはその存在自体が大規模な力場だからな。九尾がこの地を離れるか、殺されていれば京都に異変が起こるんだよ。まだその予兆すら起きていないってことは、八坂姫は無事であり、さらった奴らもここにいる可能性が高いってわけだ」

 

その考えは合っているな。俺も龍脈やらいろいろな力を感知しているが、乱れ事態が起きていない…。

 

「セラフォルー、悪魔側のスタッフはすでにどれぐらい調査をおこなっている?」

 

「つぶさにやらせているのよ。京都に詳しいスタッフにも動いてもらっているし」

 

それを聞いたアザゼルはイッセーたちを見渡すように視線を向ける。

 

「おまえたちに動いてもらう事になるかもしれん。人手が足りなさすぎるからな。特におまえたちは強者との戦いに慣れているから、対英雄派の際に力を貸してもらうことになるだろう。悪いが最悪の事態を想定しておいてくれ。あと、ここにいないシトリー眷属には俺から連絡しておく。それまでは旅行を満喫してていいが、いざというときは頼むぞ」

 

『はい!』

 

イッセーたちはアザゼルの言葉に応じる。

 

「すまない、龍介たちにも協力してもらわないといけない」

 

「はなからそのつもりでいる。会談に参加している時点でこういうことはあるさ」

 

俺はアザゼルの頼みに応じる姿勢をみせる。

 

「……どうかお願いじゃ。母上を……母上を助けるのに力を貸してくれ……。いや、貸してください。お願いします」

 

九重が三度手をつき、深く頭を下げる。両脇の狐の女性と天狗の爺さんも続く

 

――悲痛だ。

 

小さな子が頭を下げ、声を涙で震わせていた。

 

俺は体の奥底から怒りが沸々とこみ上げてくるのが感じ取れた。

 

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