ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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VS英雄派

――俺とイッセーは中衛として戦闘をおこなっている。

 

「行くぜ、ドラゴンショット乱れ撃ち!!」

 

イッセーがプロモーション『僧侶(ビショップ)』により、ドラゴンショットの威力を底上げして中規模の乱射を英雄派と漏れたアンチモンスターへ食らわせていく。

 

「――須佐之乎(すさのお)

 

俺は飛来してくる光の攻撃を左手の八咫鏡(やたのかがみ)で無力化しつつ、火遁(かとん)鳳仙火(ほうせんか)の術と水鉄砲(みずでっぽう)の術を放ち、けん制をする。その隙にイッセーがドラゴンショットの乱射で屠る。

 

――先ほど、角都や飛段、エールたちの増援により、陣形が変化している。

 

前衛にモンスター軍団+尾獣+神獣と祐奈、イリナ、飛段、ハティとスコルが参戦して、祐奈は『光を喰らう魔剣』を盾にし、イリナは光の剣を出現させて空中から隙を見て屠っている。

 

対してスコルとハティは手足を狼化させて、神速でアンチモンスターを屠っていた。

 

最後に飛段。プロモーションにより『騎士(ナイト)』の神速で翻弄しながら高速の三段鎌で傷つけ、『僧侶(ビショップ)』による呪術(じゅじゅつ)死司憑血(しじひょうけつ)を多数用に変化させて、両足を突き刺して行動不能にしたあと…心臓を一突きにして息の根を止めていく。

 

中衛に俺、イッセー、レイナーレ、アース、スバル、メイル、理子、ルリエル、レヴィ、サルベリア、ベネチア、マキア、ベラナ、アイス、アイム、奏、花楓、リエ+ふうりんかにゃんで流れ弾の対処と英雄派の構成員とアンチモンスターへの応戦。

 

後衛にアーシア、エール、辰巳、黒歌、ユーだ。

 

アーシアは回復のオーラを飛ばすことで仲間を回復させる生命線。

 

エールは飛来してくる光の攻撃を結界で防御し、ユーはスタッフでミニブラックホール生成して光の攻撃を吸い込んでいる。

 

辰巳は攻撃を仕掛けてくる英雄派の構成員を容赦なく叩いて戦闘不能にしている…。

 

黒歌はその四人を仙術で補助している。

 

アザゼルは曹操と交戦中で、ロスヴァイセは……いまだ、酔って寝ているようだ。

 

俺とイッセーは中衛の中衛というポジションにいる。俺の後ろ……須佐之乎(すさのお)の背中には、九重(くのう)が隠れている。

 

――と、ドラゴンショットを放つイッセー、須佐之乎(すさのお)火遁(かとん)鳳仙火(ほうせんか)の術&水鉄砲(みずでっぽう)の術でけん制している俺のもとに襲来する複数の影――制服姿の女生徒が数名…。どうも、曹操たちが着ている制服は英雄派のユニホームらしい。

 

「赤龍帝とうちはイタチの相手は私たちがします!」

 

槍や剣を携えた数名がイッセーに突貫していく。

 

「――っ。やめておけ、女性では赤龍帝に勝てないよ!」

 

腰に何本も剣――魔のオーラをまとっているのを帯剣している白髪の優男が叫ぶ。

 

――イッセーだけを狙わせないよ。

 

俺は影を伸ばし、突貫していった女生徒の人数分を枝分かれさせて影をくっつけた。

 

「――影縛(かげしば)りの術…成功だ」

 

くっつけた直後に、動きが止まった女生徒たち。

 

「くっ!私たちの動きが止められている!?」

 

女生徒の一人が驚愕して言った。

 

「イッセー!いまのうちに決めろっ!!」

 

「おうっ!!」

 

俺はイッセーに叫ぶと、イッセーは次々と女生徒に触れていく――。

 

「『洋服崩壊(ドレス・ブレイク)』ッッ!!」

 

バババッ!!と、女生徒の服が弾け飛ぶと同時に影縛(かげしば)りの術を解く。

 

「い、いやぁあああああああっ!!!」

 

「魔術で施させた服が……まるで役に立たないなんて!!」

 

女生徒たちは悲鳴をあげて自身の裸体を手で隠す。そして、そのまま素早く近くの家屋に逃げ込んでいった。

 

「さ、最低な技じゃな。こんなに酷い技を見たのは生まれて初めてじゃぞ……」

 

九重がイッセーの技に呆れていた。……うん、俺もあとで説教を食らいそうだ。

 

俺は女生徒が逃げる際に放棄していった武器を、『天照(あまてらす)』と『炎遁(えんとん)加具土命(かぐつち)』で跡形も残らないように燃やし尽くした。

 

「やはり、女では赤龍帝に勝てない上に、うちはイタチの実力は未知数だな……なかなか厳しいね。さすがだよ、おっぱいドラゴンと仇敵ドミニオン」

 

優男はにっこり微笑んだあと、他の英雄派メンバーに言う。

 

「皆も気をつけてほしい。彼ら二人は赤龍帝と転生者。赤龍帝のほうは歴代でも最も才能がなく、力も足りないが――。その強大な力に溺れず、使いこなそうとする危険な赤龍帝だよ。対して、うちはイタチのほうは仲間を守りながらも引くことがなく、強大な力を未だに隠し持っているほど――。二人は強大な力を持ちながら、その力に過信しない者ほど、恐ろしいものはないね。あまり手を抜かないように」

 

……手を抜かないようにって、いままで抜いていたのか…。

 

「……敵にそんなことを言われるなんてな」

 

イッセーが若干照れているように見えた。

 

「そうかな?キミはキミが思っている以上に現赤龍帝の存在は危険視されているに値するものだと認識しているけどね。同様にキミの仲間の眷属と――ヴァーリも」

 

「それなら、俺はブラックリストから外れるってことだな?」

 

俺の問いに優男は首を横に振った。

 

「……いや、キミやキミの仲間の暁は逆にランクアップしているよ。その力を周囲の状況に合わせて調整しながらふるう……そんな芸当は普通しないものだよ」

 

さすがに見抜かれているようで、俺は警戒を高めるようにする。

 

「さて、僕もやろうかな」

 

優男が一歩前に出る。帯刀している剣を解き放ちながら。

 

「初めまして、グレモリー眷属と暁。僕は英雄シグルドの末裔、ジーク。仲間は『ジークフリート』と呼ぶけど、ま、そちらも好きなように呼んでくれてかまわないよ」

 

白髪の青年――ジークフリート…また厄介な奴が出てきたな。

 

「……どこかで見覚えがあると思っていたが、やはり、そうなのか?」

 

ゼノヴィアの言葉にイリナがうなずく。

 

「えぇ、だと思うわ。あの腰に帯刀している複数の魔剣から考えて絶対にそう」

 

イリナの言葉を聞き、俺はジークフリートに問うた。

 

「……ジークフリート、おまえは教会の戦士『(カオス)(エッジ)ジーク』か?」

 

それを聞いたジークフリートは、目を細めて答えた。

 

「そうですよ。光栄です……うちはイタチに知ってもらえていて」

 

イッセーが「誰?」的な表情をしていたので、説明した。

 

「ジークフリートは悪魔祓い――ゼノヴィアとイリナ、マリア元同胞だ。カトリック、プロテスタント、正教会を含め、トップクラスの戦士だ。俺がマリアを助けた頃だったな、正教会に出入りしていたときに耳にしてね…。まさか、『(カオス)(・ブリ)(ゲード)』に所属しているとは思いもしなかったが」

 

俺の説明に驚きと納得の表情をしたイッセー。

 

「ジークさん!あなた、教会を――天界を裏切ったの!?」

 

イリナが叫ぶ。ジークフリートは口の端を釣り上げた。

 

「裏切ったってことになるかな。現在、『(カオス)(・ブリ)(ゲード)』に所属しているからね」

 

「……なんてことを!教会を裏切って悪の組織に身を置くなんて万死に値しちゃうわ!」

 

「……少し耳が痛いな」

 

ゼノヴィアは頬をかいていた。もとは教会側の戦士だった彼女だが、破れかぶれで悪魔に転生しているからな…。

 

クスクスと小さく笑うジークフリート。

 

「いいじゃないか。僕がいなくなったところで教会にはまだ最強の戦士が残っているよ。 あの人だけで僕とデュランダル使いのゼノヴィアの分も十分に補えるだろうし。案外、あの人は『(ブレイ)使(ブ・セ)(イント)』のジョーカー候補なんじゃないかな?――と、紹介も終わったところで剣士同士やろうじゃないか。デュランダルのゼノヴィア、天使長ミカエルの(エース)――紫藤イリナ、そして聖魔剣の木場祐奈」

 

元教会関係者だった三人に宣戦布告するジークフリートは、手に持つ剣――魔剣にオーラをまとわせる。

 

「また厄介な代物を握っているな……『魔帝剣グラム』」

 

俺の言葉に思い出した様子の祐奈とイッセーとゼノヴィア。

 

「――そういえば、伝説の武器などを創造できる(セイクリッ)(ド・ギア)をお持ちでしたね」

 

「そうだ。俺の(セイクリッ)(ド・ギア)は伝説の武器をも創りだせる」

 

ジークフリートの問いに答えた俺。

 

ガギィィィィィィンッ!!

 

その瞬間、聖魔剣を真正面から受けるジークフリートと聖魔剣を振るった祐奈。

 

俺は須佐之乎(すさのお)の背中に隠れている九重を、砂のクッションに乗せてイッセーに渡す。

 

「に、兄さん?」

 

「俺はそろそろ疲れてきたからな。一気に屠れば何とかなるかもしれない」

 

俺は前線での戦闘を見る――アンチモンスターはいくら屠られようと、『(アナイア)(レイシ)(ョン・メ)(ーカー)』の所有者である少年が使い続ける限り、アンチモンスターは創造されて出現する。

 

俺は祐奈たちから少し離れた場所に移動しながら須佐之乎(すさのお)の形態を一段下げ、前線に出ている者たちへ指示を送る。

 

「――前線の全員は中衛まで後退しろ。いまから八坂ノ勾玉 (やさかのまがたま)を放つ。アンチモンスターを一掃する威力だ……巻き込まれたくなければ後退しろ」

 

俺は『(アナイア)(レイシ)(ョン・メ)(ーカー)』とは違う影をのばし、前衛にいるモンスターたちを引っ込めた。

 

後退するメンバーたち。それを追撃しようと光の攻撃を放つアンチモンスター。

 

俺は両眼の万華鏡写輪眼を変化させ、須佐之乎(すさのお)も変化させる。

 

「――炎遁(えんとん)加具土命(かぐつち)!!」

 

全員の背後に黒炎の防壁を作り出して光の攻撃を飲み込む。

 

木遁分身(もくとんぶんしん)の術(じゅつ)

 

俺の両端に二体の木遁分身を作り出し、それぞれの須佐之乎(すさのお)を出現させる。

 

――女神、武将、二面阿修羅…骨格を経て人の形を作り出す。

 

「「「八坂ノ勾玉(やさかのまがたま)!!!」」」

 

女神は右手に写輪眼模様を、武将は右手に黒炎の玉を、二面阿修羅は連結した勾玉をそれぞれ作り出す。

 

ドドドドドドドドッッ!!!

 

そして、女神はそれを高速回転させながら放ち、武将は黒炎の玉から散弾のように黒炎の勾玉を放つ。二面阿修羅は連結した勾玉を上空へ放ち、(あめ)(あられ)のように広範囲に降り注ぐ。

 

一瞬にして一掃されるアンチモンスター。

 

「――こんなものか?」

 

俺は須佐之乎(すさのお)を解除して、木遁分身も元に戻した。

 

もう、アンチモンスターは出現してこない。たぶん、あの少年の体力が限界なのか、止められたか……どちらにしろ、いまの俺たちには勝てないと踏んだか…?

 

――パチパチパチ。

 

「さすがは転生者だ。ここまで強いとは…。少し楽に戦えると思っていたんだが、いまのを見るともう少し資料が必要だな」

 

俺の近くまで拍手をしながら歩いてくる曹操。

 

少し離れた場所にいるアザゼルに目をやると、曹操との戦闘で鎧も黒い翼もボロボロになっている。

 

曹操は肩に聖槍をトントンとしながら言う。

 

「だから、旧魔王派のように油断はしないつもりだ。いまのうちに摘むか、それとも――」

 

曹操の言葉を遮るようにアザゼルが近くに来て問う。

 

「ひとつ訊きたい。貴様ら英雄派が動く理由は何だ?」

 

その問いに曹操は目を細めながら答える

 

「堕天使の総督殿。意外に俺たちの活動理由はシンプルだ。『人間』としてどこまでやれるのか、知りたい。そこに挑戦したいんだ。悪魔、ドラゴン、堕天使、その他諸々、超常の存在を倒すのはいつだって人間だった。――いや、人間でなければならない」

 

「英雄になるつもりか?って、英雄の子孫だったな」

 

曹操は人差し指を青空に真っ直ぐ突き立てた。

 

「――よわっちい人間のささやかな挑戦だ。蒼天のもと、人間のままどこまでいけるか、やってみたくなっただけさ」

 

――人間か…俺たちもいちおう人間なんだが。

 

心中でそう突っ込んでいるときだった…。

 

パァァァアアアッ。

 

イッセーたちと英雄派の間に魔方陣がひとつ、輝きながら出現する。

 

「――あれは」

 

アザゼルが魔方陣を見てつぶやいた。

 

その輝きの中から現れたのは――魔法使いの格好をした、かわいらしい外国の少女だ。全員が呆気にとられている。魔法使いの格好をした少女はイッセーたちのほうに体を向けると、深々と頭を下げた。

 

そして、俺とアザゼルのほうも向いて微笑みかけてきた。

 

「はじめまして。私はルフェイ・ペンドラゴンです。ヴァーリチームに属する魔法使いです。以後、お見知りおきを」

 

ヴァーリチームと聞いた瞬間、イッセーたちが身構える。仕方なく俺はイッセーたちの前まで軽く跳躍して着地すると、全員を宥める。

 

そんな中、アザゼルが少女――ルフェイに訊く。

 

「……ペンドラゴン?おまえさん、アーサーの何かか?」

 

「はい。アーサーは私の兄です。いつもお世話になっています」

 

アザゼルがあごに手をやりながら言う。

 

「ルフェイか。伝説の魔女、モーガン・ル・フェイに(なら)った名前か?確かにモーガンも英雄アーサー・ペンドラゴンと血縁関係にあったと言われていたかな……」

 

すると、ルフェイが目を爛々と輝かせながら、イッセーに視線を送っている。

 

「あ、あの……」

 

イッセーに近づくと手を突き出す。

 

「私、『乳龍帝(ちちりゅうてい)おっぱいドラゴン』のファンなのです!差し支えないようでしたら、あ、握手をしてください!」

 

イッセーは突然のことに間の抜けた表情となったが、断れることもなく「あ、ありがとう……」と苦笑しながらルフェイに握手をしてあげた。

 

「やったー!」

 

ルフェイはすごく喜んでぴょんぴょんと跳ねている…。

 

曹操の陣営も呆気に取られて当惑していた……が、頭をかきながら曹操が息を吐く。

 

「ヴァーリのところの者か。それで、ここに来た理由は?」

 

曹操の問いにルフェイは屈託のない笑顔で返した。

 

「はい!ヴァーリさまからの伝言をお伝え致します!『邪魔だけはするなと言ったはずだ』――だそうです♪――うちのチームに監視者を送った罰ですよ~」

 

ドウゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!

 

ルフェイが可愛く発声した直後、大地を揺るがすほど震動がこの場を襲う。

 

ガゴンッ!

 

――俺が土遁で地を割る音と同じものが近くで起こる。そちらに目を向けると、地を割り、土を巻き上げながら『それ』は姿を現した。

 

『ゴオオオオオオオオオオォォォォォオオオッ!!』

 

それを見たアザゼルが叫ぶ。

 

「――ゴグマゴグか!」

 

その巨人――ゴーレムは、尾獣たちと比べても…さほど差のない大きさだ。ざっと十メートルはあるな。

 

アザゼルの言葉にルフェイがうなずいた。

 

「はい。私たちのチームのパワーキャラで、ゴグマゴグのゴッくんです♪」

 

――大したネーミングだ…。ゴッくんって……どうすれば、この巨体のゴーレムにそのネーミングをつけられるのか、気になるところだ。

 

「先生、あの動く石巨人的なものは……」

 

イッセーの問いにアザゼルが説明する。

 

「ゴグマゴグ。次元の狭間に放置されたゴーレム的なものだ。稀に次元の狭間に停止状態で漂ってるんだよ。なんでも(いにしえ)の神が量産した破壊兵器だったらしいが……。全機が完全に機能停止だったはずだ」

 

「あんなのが次元の狭間にいるんですか!?機能停止って、あれ動いてますけど!」

 

「あぁ、俺も動いているのを見るのは初めてだ。問題点が多すぎたようでな、機能停止させられて次元の狭間に放置されたと聞いていたんだが……動いているぜ!胸が躍るな……ッ!」

 

――あ~あ、完全にアザゼルのスイッチが入ってしまった。子供のように目を爛々と輝かせているのが何よりの証拠だな…。

 

しかし、ハッと気づいたアザゼルがつぶやいた。

 

「そうか。ヴァーリが次元の狭間でうろついていたのはグレートレッドの確認だけじゃなかったんだな」

 

アザゼルの意見にルフェイが答える。

 

「はい。ヴァーリさまはこのゴッくんを探していたのです。オーフィスさまが以前、動きそうな巨人を次元の狭間の調査で感知したことがあるとおっしゃられまして、改めて探索したしだいです」

 

「な、なぁ。まだあいつのチームはこういうのいるの……?」

 

イッセーが不安げにルフェイに訊いた。

 

「えーと、いまのところ、ヴァーリさま、美猴さま、兄のアーサー、金華さん、フェンリルちゃん、ゴッくん、私の七名です」

 

イッセーはそれを聞いて額に脂汗をかいていた。

 

ルフェイが答えた直後、ゴグマゴグが英雄派に向かって、巨大な拳を振り下ろした。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォオオオオオオンッ!!

 

特大の破砕音とともに、ゴグマゴグの一撃が渡月橋を破壊してしまった。

 

英雄派の構成員は全員その場から飛びのき、橋の向こう岸に退避した。

 

「ハハハハ!ヴァーリはお冠か!どうやら監視していたのがバレたようだ!」

 

曹操は高笑いしながら、聖槍をゴグマゴグに向けた。

 

「伸びろっ!」

 

聖槍の切っ先が伸び、ゴグマゴグの肩に突き刺さった。

 

ズズゥゥゥゥゥンッ!!

 

ゴグマゴグがその一撃で体勢を崩されて、その場に倒れた。その衝撃で振動が巻き起こり、周囲を大きく揺らす。

 

俺は向こう岸を見たとき、ゆらりゆらりとおぼつかない歩みで英雄派に近づく者が目に映った。

 

――ロスヴァイセだ。

 

「……ういー。ヒトが気分よく寝ているところにドッカン!バッタン!チュドーンって、うるさいんれすよ!」

 

……いまだに酔っている上に、ご機嫌が斜めのようだ。

 

酔っぱらいの登場に英雄派の面々も間の抜けた表情になるが、すぐに攻撃の態勢を取りだす。

 

「なんれすか?やるんれすか?いいれすよ。元オーディンのクソジジイの護衛ヴァルキリーの実力、見せてやろうじゃないれすかッ!!」

 

ロスヴァイセは大きく叫んだあと、自身の周囲に数えきれないほどの魔方陣を展開し始めた。

 

「全属性、全精霊、全神霊を用いた私の北欧式フルバースト魔法をくらえぇぇぇぇぇぇええええッ!!」

 

ズドドドドドオォォォォォォォォッ!!!

 

大量の魔方陣から凄まじい量の魔法が縦横無尽にぶっ放され、空中で幾重も軌道を変えながら英雄派の陣営の頭上に降り注ぐ。

 

――やはりこちらにも飛んできたか!!

 

制御しきれていない流れ弾が複数、飛来してくる中…俺は先頭に立って須佐之乎(すさのお)を出現させた。

 

八咫鏡(やたのかがみ)!!」

 

左手に握られている『絶対防御』を誇る八咫鏡(やたのかがみ)で流れ弾を無力化して防ぐ。

 

しかし、数が多いためにすべてをさばききれない。酒刈太刀(さけがりのたち)を振るっても通過してしまう流れ弾が複数――。

 

ドドドドドド――。

 

通過した流れ弾は、後方で展開された結界とミニブラックホールで防がれていた。

 

――エールとユーだな。

 

すべての流れ弾を処理しきって術を解く。

 

向こう岸の英雄派は――霧を両手にまとった青年がすべての魔法を弾いていた様子だ。

 

その霧使いは手元から霧を発生させて、英雄派の全員を薄い霧で覆い始めた。

 

曹操が霧の中から言う。

 

「少々、乱入が多すぎたか。――が、祭りの始まりとしては上々だ。アザゼル総督!」

 

曹操は俺たちに向けて楽しそうに宣言する。

 

「我々は今夜この京都という特異な力場と九尾の御大将を使い、二条城でひとつ大きな実験をする!ぜひとも制止するために我らの祭りに参加してくれ!」

 

霧が濃くなりだし、上へ上へと迫ってくる。

 

「全員、武装の解除をしておけ!リエと理子は変身を解除した直後に全員の服装を直してくれ!守鶴(しゅかく)たちは奏の中に!ギリギリのところで全員散らばってくれ!」

 

俺の指示の直後、リエと理子が全員の服を修復し、始めからここにいた者以外は散開して周囲に散らばった。

 

                    D×D

 

一泊あけ、霧が晴れると――そこは観光客で溢れた渡月橋周辺にいた。俺たち以外、何事もなく普通に橋を往来している。

 

「おい、イッセー。どうした?すっげー険しい顔になってんぞ?」

 

近くでイッセーの顔を覗き込んでいるイッセーの悪友の一人。

 

……そう、俺たちは渡月橋を渡りきったばかりだった。

 

――時間があまり進んでいなくて助かったな。

 

俺はイッセーたちを見ながら思った。

 

周囲を見回すと――散開した皆が人ごみに紛れている。……ルフェイの姿が見当たらないところをみると、帰還と同時に帰ったようだ。

 

ガンッ!!

 

近くの電柱を横殴りにするアザゼル。

 

「……ふざけたことを言いやがって……ッ!京都で実験だと……?舐めるなよ、若造が!」

 

あちゃー……、アザゼルがマジギレを起こしている。

 

「……母上、母上は何もしていないのに……どうして……」

 

アザゼルを(なだ)める俺と、体を震わせている九重をやさしく抱きしめて(なぐさ)めているイッセーたち。

 

英雄派…曹操たちの突然の襲来と、二条城で実験をするという宣言。

 

――また荒れた戦いになりそうだ。

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