ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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いざ、二条城へ

「お腹いっぱい。ふぅ~」

 

「ごちそうさまでした~」

 

『ごちそうさま』

 

夕食を食べ終えて席を立つ。

 

「今日もよく食べたな……」

 

俺は暴食組が食べ終わったので、タイミング的に声をかけた。

 

『お腹いっぱい。おいしいと食が進み過ぎる』

 

――食が進み過ぎるって…どういう胃をしているんだよ。二十人前といっても過言ではない量を食っていたんだぞ?しかも、一人あたり二十人前だし…。

 

食事のあとは少し休憩して、気を休められる入浴タイムだ!!

 

俺は鼻歌が出るほど温泉の入浴を楽しみにしている。なんだって、ここの露天風呂が最高なんだ!!広い!入浴できる種類が豊富!サウナあり!ジャグジーも数カ所ある!!

 

こんなに多くの種類をコンプするのは厳しいが、できるだけ入ろうと思うぞ!

 

時間的に誰もいないところだ。このセラフォルーホテルも団体客が多く、この時間帯だと誰も入ってこない。

 

俺は飛段と角都と共に露天風呂へ向かう。

 

脱衣場で服を脱いで棚に入れると、一回りして俺たち三人しかいないことを確認したあと……先ほど思いついた方法を実行する!

 

影分身(かげぶんしん)(じゅつ)!」

 

ボボンッ!と煙と共に俺の分身の実体が四体出現する。

 

「おぉ!!そういう手があったか……俺もいくぜ!!」

 

ボンッ!と煙から飛段の分身が一体出現した。

 

「俺はいい。ゆっくりこいつらと入るだけだ」

 

角都は背中から四体の地怨虞(じおんぐ)を出して湯に浸かる。

 

俺と飛段と分身体もそれぞれ目的の浴槽に浸かって癒されている。

 

「いい湯だなぁ……」

 

――こうして、俺たちは一時間かけて露天風呂を楽しんだ。

 

                    D×D

 

二十二時を過ぎた頃、俺の携帯に着信が入る……イッセーからだ。

 

俺は携帯の通話ボタンを押して電話に出る。

 

「――もしもし?」

 

「兄さん、全員集まったよ」

 

「わかった。すぐ行く」

 

俺は電話を切って携帯をポーチに入れて準備を済ます。

 

「さて、行きますか……神威(カムイ)

 

神威(カムイ)で空間を移動し、イッセーの部屋に転移した。

 

着くと同時に隣のホテルに留守番をしている部屋の分だけ魔方陣を展開して、ライブ状態にした。

 

いまイッセーの部屋には、俺、グレモリー眷属+イリナ、シトリー眷属、アザゼル、リエ、辰巳、理子、レイナーレ、奏、花楓、セラフォルーが集っている。

 

この部屋で今夜のことについて話し合うところだ。――二条城でおこなわれる英雄派の実験とやらだ。

 

……というか、この部屋が狭いため…俺を含めた数人は俺の術によって部屋の宙に浮いて参加している状態だ。

 

いまは酔いから覚めたロスヴァイセが参加しているが、顔が真っ青な上に時折気持ち悪くなって口元を抑える始末だ。

 

いちおう、俺の調合した酔い覚ましを手渡してあるが、たぶん…使ってはいないだろうな。なんたって、渡した際の注意で「飲んだら、半日は起きられない」と言っておいたからな。それだけ効果がある分の副作用だ……「自分で調合した奴を飲んだ」とイッセーから聞いているから、見守るぐらいにしておこう。

 

アザゼルが皆を見回して口を開き、部屋の中心に京都駅の全体図が敷かれる。

 

「では、作戦を伝える。現在、二条城と京都駅を中心に非常警戒態勢を敷いた。京都を中心に動いていた悪魔、堕天使の関係者を総動員して、怪しい輩を探っている。京都に住む妖怪たちも協力してくれているところだ。いまだ英雄派は動きを見せないが、京都の各地から不穏な気の流れが二条城を中心に集まっているのは計測できている」

 

「不穏な気の流れ?」

 

祐奈がアザゼルに訊く。

 

「あぁ、京都ってのは古来、(おん)(みょう)(どう)、風水に基づいて創られた大規模な術式都市だ。それゆえ、各所にいわゆるパワースポットを持つ。清明(せいめい)神社の清明井(せいめいい)(すず)(むし)(でら)幸福地蔵(こうふくじぞう)、伏見稲荷大社の(ひざ)(まつ)さん、挙げればキリがないほどに不思議な力を持つ力場に富んでいる。それらが現在、気の流れが乱れて、二条城のほうにパワーを流し始めているんだよ」

 

「ど、どうなるんですか?」

匙が生唾を飲み込みながらアザゼルに訊く。

 

「わからんが、ろくでもないことは確かだ。奴らはこの都市の気脈を司っている九尾の御大将を使って『実験』とやらを開始しようとしているんだからな。それを踏まえたうえで作戦を伝える」

 

アザゼルの言葉に皆がうなずいた。

 

「まずはシトリー眷属。おまえたちは京都駅周辺で待機。このホテルを守るのもおまえたちの仕事だ。いちおう、このホテルは強固な結界を張っているため、有事の際でも最悪の結果だけは避けられるだろう。それでも不審な者が近づいたら、シトリー眷属のメンバーで当たれ」

 

『はい!』

 

アザゼルの指示にシトリーの皆が返事をする。

 

「次にグレモリー眷属とイリナ。いつも悪いが、おまえたちはオフェンスだ。このあと、二条城のほうに向かってもらう。正直、相手の戦力は未知数だ。危険な賭けになるかもしれないが、優先すべきは八坂の姫を救うこと。それができたらソッコーで逃げろ。奴らは八坂の姫で実験をおこなうと宣言しているぐらいだからな。……まぁ、虚言の可能性も高いが、あの曹操の言動からするとおそらく本当だろう。――俺たちが参戦するのを望んでいるフシが多々あったからな」

 

「俺たちだけで戦力足りるんですか?」

 

イッセーがアザゼルに訊く。確かにオフェンスといっても、イリナを含めた五人しかいない。

 

「安心しろ。テロリスト相手のプロフェッショナルを呼んでおいた。各地で『(カオス)(・ブリ)(ゲード)』を相手に大暴れしている最強の助っ人だ。それが加われば奪還の可能性は高くなる」

 

「助っ人? 誰ですか?」

 

祐奈が訊く。

 

「とんでもないのが来てくれることだけは覚えておけ。これは良い知らせだな」

 

アザゼルは口の端を愉快そうに吊り上げている。――アザゼルのその顔は、対外当たりくじを引くことが多い。

 

「それとこれはあまり良くない報せだ。――今回、フェニックスの涙は三つしか支給されなかった」

 

「み、三つ!? た、足りなくないですか!? いちおう、対テロリストなんですし!」

 

匙が素っ頓狂な声をあげた。

 

「これだけテロを起こしているんだ。生産自体が追いつきもしないだろうな…」

 

俺の言葉にアザゼルがうなずく。

 

「あぁ、その通りだ。世界各地で『(カオス)(・ブリ)(ゲード)』がテロってくれてるおかげで涙の需要が急激に跳ね上がってな。各勢力の重要拠点への支給もままならない状態だ。もともと大量生産ができない品だったもんでな、フェニックス家も大変なことになっているってよ。市場でも値段も高騰しちまって、ただでさえ高級品なのに、頭に超がふたつはつきそうな代物に化けちまった。噂じゃ、レーティングゲームの涙使用のルールも改正せざるを得ないんじゃないかって話だ。おまえたちの今後のゲームに影響が出るかもしれないことだけ頭の隅に置いておけ」

 

ゲームのルール改正ねぇ…。

 

アザゼルは続ける。

 

「これは機密事項だが、各勢力協力して血眼になって『(トワ)(イライ)(ト・)(ヒーリ)(ング)』の所有者を捜している。レアな(セイクリッ)(ド・ギア)だが調査の結果、アーシアの他に所有者が世界に何人かいると発覚しているからな……花楓の『(トワ)(イライ)(ト・)(ヒーリ)(ング)』は例外だ。スカウト成功は大きな利益になる。冥界最重要拠点にある医療施設などにはすでにいるんだが。スカウトの一番の理由は――テロリストに所有者を捕獲されないためだ。優秀な回復要員を押さえられたらかなりマズい。現ベルゼブブ――アジュカも回復能力について独自に研究しているそうだが……。まぁ、いい。それとグリゴリでも回復系人工(セイクリッ)(ド・ギア)の研究も進んでいる。実はアーシアと花楓に陰で回復の(セイクリッ)(ド・ギア)について協力してもらっていてな。いい結果とおもしろいものが出ている」

 

――花楓が?全く知らんかった……あとで訊いてみよう。

 

「てなわけでだ。この涙は――オフェンスのグレモリーに二個、サポートのシトリーに一個支給する。数に限りがあるから上手く使ってくれ」

 

『はい!』

 

アザゼルの指示に皆が返事をした。アザゼルの視線が匙に移る。

 

「匙、おまえは作戦時、グレモリー眷属のほうに行け」

 

「お、俺っスか?」

 

匙が自身を指でさすが、すぐにその役目を理解したようだ。

 

「……龍王、ですか?」

 

「あぁ、そうだ。おまえのヴリトラ――龍王形態は使える。あの黒い炎は相手の動きを止め、力まで奪うからな。ロキ戦のようにおまえがグレモリーをサポートしてやれ」

 

「そ、それはいいんですけど、あの状態って、意識を失いかけて暴走気味になりやすいんです」

 

「問題ない。ロキの時と同じようにイッセーがおまえの意識を繋ぎ止めてくれるだろう。イッセー、そのときは匙に話しかけてなんとかしろ。――天龍なら、龍王を制御してやれよ」

 

「は、はい!」

 

イッセーがアザゼルの言葉に返事をする。

 

イリナが手をあげる。

 

「あの、このことは各勢力に伝わっているのですか?」

 

「当然だ。この京都の外には悪魔、天使、堕天使、妖怪の者たちが大勢集結している。奴らが逃げないように包囲網を張った。――ここで仕留められるのなら、仕留めておいたほうがいいからだ」

 

アザゼルの言葉にセラフォルーが続く。

 

「外の指揮は私に任せてね☆悪い子がお外に出ようとしたら各勢力と私が一気にたたみ掛けちゃうんだから♪」

 

明るく言うセラフォルー。……ちゃんと手加減をしてくれ、周囲を氷づけにされるのはちょっと…。

 

「それと駒王学園にいるソーナにも連絡はした。あちらはあちらでできるバックアップをしてくれているようだ」

 

「先生、部長たちのほうは?」

 

イッセーの質問にアザゼルは顔を少ししかめた。

 

「あぁ、伝えようとしたんだが……タイミングが悪かったらしくてな。現在、あいつらはグレモリー領にいる」

 

「何かあったんですか?」

 

イッセーの問いにアザゼルはうなずいた。

 

「どうやら、グレモリー領のとある都市部で暴動事件が勃発してな。それの対応に出ているようだ」

 

顔を心配の色に染めるイッセーにアザゼルが苦笑した。

 

「旧魔王派の一部が起こした暴動だ。『(カオス)(・ブリ)(ゲード)』に直接関与している輩でもないらしい。それでも暴れているらしくてな、あいつらが出ていったわけだ。いちおう、将来は自分の領土になるであろう場所だからな。――それにグレイフィアが出陣したと報告を受けた。まぁ、あのグレイフィアが出たとなると、相手の暴徒共もおしまいだろう。正確かどうかはわからないが、グレモリー現当主の奥方もその場にいるそうだ。――グレモリーの女を怒らせたら大変だろうさ」

 

「ちなみに、マリアたちは?」

 

若干体を震わせているアザゼルに訊くと、「手を貸しているようだ」と答えたので、借りを売っていると判断する俺。

 

「まあ、『亜麻髪(あまがみ)(マダム)(・ザ・エ)(クステ)(ィンクト)』『紅髪(べにがみ)(ルイン)(・プリ)(ンセス)』『銀髪(ぎんぱつ)(クイーン)(・オブ)(・ディ)(バウア)』がそろっちゃうのね☆ うふふ、暴徒の人たち、大変なことになっちゃうわね♪」

 

セラフォルーがそれを聞いて、楽しそうに言う。

 

「懐かしいな…絶滅と殲滅か。そこに滅殺が加われば――」

 

――ハハハ!しかも、マリアたちも出ているのなら…大丈夫かな?

 

「……おまえも将来大変だな」

 

アザゼルがイッセーの肩に手を置いて、うんうんとうなずいていた。

 

アザゼルは咳払いをして、改めて皆に告げる。

 

「と、俺からの作戦は以上だ。最後に龍介のほうは独自に決めてくれ。俺も京都の上空から独自に奴らを探す。各員一時間後までにはポジションについてくれ。怪しい者を見たら、ソッコーで相互連絡だ。――死ぬなよ? 修学旅行は帰るまでが修学旅行だ。――京都は俺たちが死守する。いいな?」

 

『はい!』

 

皆が返事をして、作戦会議は終わった。

 

                    D×D

 

俺は部屋に戻り、一番広いルリエルたちの部屋に召集をかけた。

 

「――以上だ。あとは魔方陣で聴いていた通りの内容だ。班の割り当ては――」

 

俺は手っ取り早く説明すると、すぐに準備に入るように言う。

 

「最後にこの会談を無事に終わらせて、残りの京を楽しむために――絶対死ぬなっ!」

 

俺の言葉に皆がうなずいた。

 

「解散」

 

                    D×D

 

戦闘のできるよう準備を終えて、ロビーに向かっている。

 

「おっ、リュースケか」

 

「飛段、準備は終えたのか?」

 

エレベーターに乗ろうとしていたところを、後方から飛段に声を掛けられた。

 

「あぁ。俺と角都の旦那は着替えるぐらいしかないからな。魔力があると、いろいろと便利だな」

 

私服姿の飛段。武器は携帯しておらず、亜空間に置いているようだ。

 

「…角都は?」

 

「先に降りた。ゆっくりコーヒーでも飲んでんじゃねぇか?」

 

笑いながら言う飛段。まぁ、少しはリラックスできれば戦闘に集中しやすいからな…。

 

エレベーターで一階まで降り、集合場所のロビーに着く。

 

「すまない、待たせたな」

 

ロビーには俺と飛段以外の全員が集まっていた。

 

『さっき下りてきたばかり』

 

ユーがメモを見せてくる。

 

俺はうなずく。

 

「行こうか」

 

全員でホテルの入り口を出て、隣のホテルの入り口に向かい歩く。

 

「兄さん」

 

イッセーが手を挙げて俺を呼ぶ。

 

「ちょうどいいタイミングだな。あまり待たせているかと思っていたが…」

 

俺はイッセーの傍まで歩み寄り、ワシワシと軽く頭を撫でた。

 

「――で、いちおう訊いておくけど…イッセーたちのチームリーダーは誰?」

 

すると、イッセーが挙手した。

 

「俺だよ、兄さん」

 

俺は再度、イッセーの頭を撫でた。

 

「了解した。基本的な指揮はおまえに任せる」

 

「任せてくれ、兄さん」

 

生意気な義弟(おとうと)をヘッドロックして、右手の拳で頭をグリグリと小突いてやった。

 

そんなやり取りを見ている皆から笑いの声が漏れる。

 

「……と、リラックスはここまででいいか?そろそろ出立の時間だな」

 

俺はロックを解除してイッセーを解放する。

 

「わりぃ、少し話し込んじまった」

 

匙が手で謝りながら合流してくる。俺たちに気がついた匙が「よ、よろしくお願いします!」と頭を下げて礼をしてきたので、俺はターン!と背中を軽く叩いておいた。

 

そのままサポート役のシトリー眷属の前にエールと辰巳を立たせて「よろしく頼む」と一言そえて軽く頭を下げた。

 

そしてすぐに皆のもとへ戻ると、全員が歩みだす。

 

「よし、二条城に向かおう」

 

イッセーの言う一路、曹操の提示した場所、二条城へ向けて歩みだす――。

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