ハイスクールD×D 力ある者   作:塩基

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かつての師弟

ザッバァァァァァアアアアアアアッ!!

 

ゼノヴィアが特大の聖なるオーラで曹操たちに先制攻撃を仕掛けた!

 

新デュランダルの威力は、アスカロンと共鳴させたときより太い。

 

「ふー」

 

ゼノヴィアが肩で息をしながら額の汗を手で拭う。

 

「おい、ゼノヴィア!一発目から飛ばしすぎだろ!」

 

「開幕の一発は必要だ」

 

「ロキのときもいきなりだったよね!?おいおいおい……」

 

イッセが突っ込み、ゼノヴィアは平然と答える…。もう慣れたぞ…この流れ。

 

イリナが話に入り、新デュランダルの説明をしている…。

 

「――エクス・デュランダル。この聖剣をそう名付けよう」

 

……しまいには、ゼノヴィアが新デュランダルを掲げて言い放った。

 

俺は仙術により、英雄派の筆頭と雑兵を感知している。

 

「イッセー、ゼノヴィア……まだ、曹操たちはピンピンしているぞ」

 

俺の言葉に二人は「そりゃそうだろ」的な表情で見てくる…。

 

ゴッ!

 

何もなくなった建造物跡――地面から腕が突き出て、英雄派メンバー全員が現れる。

 

曹操が肩に聖槍をトントンしたあと、あごに手をやりながら微笑む。

 

「いやー、楽しいね♪」

 

本気の「楽しいね」を言ってきた……。

 

その曹操がイッセーたちに向けて言う。

 

「キミたち、もう上級悪魔の中堅――いや、トップクラスの上級悪魔の眷属悪魔と比べても遜色(そんしょく)がない。魔王の妹君は本当にいい眷属を持った。レーティングゲームに本格参戦すれば短期間で二桁台――十数年以内にトップランカー入りかな?どちらにしても、末恐ろしい。シャルバ・ベルゼブブはよくこんな連中をバカにしたものだね。あいつ、本当にアホだったんだな。……おっと、これは失礼した。旧魔王派の姉君方がおられたんだったな。それにしても、そちらは旧政府から離れて正解……だから、うちはイタチ――いや、遠山龍介と巡り合うことができたのか…」

 

曹操がベラナたちを見たあと、俺に目線を移してきた。

 

その曹操の言葉にジークフリードが苦笑しながらうなずいた。

 

「そうだね。旧魔王派は古い威厳にこだわりすぎて、下から来るものが見えなかった……といったところでしょ。だから、ヴァーリにも見放され、旧魔王派は瓦解したわけさ。――さて、どうするの?僕、いまの食らってテンションがおかしくなってるんだけど?」

 

「そうだな。とりあえず、実験をスタートしよう」

 

曹操が石突きで地面を叩く――すると、九尾化した八坂さんが輝きだした。

 

「九尾の狐にパワースポットの力を注ぎ、グレートレッドを呼び出す準備に取りかかる。――ゲオルク!!」

 

「了解」

 

曹操の一言にゲオルクが手を突き出す。すると、周囲に様々な文様の魔方陣が縦横無尽に展開した。

 

「……魔方陣から察するに、ざっと見ただけでも北欧式、悪魔式、堕天使式、黒魔術、白魔術、精霊魔術……なかなか豊富に術式が使えるようですね……」

 

ロスヴァイセが目を細めながらそうつぶやく。

 

――天性の才能だろうな。

 

俺はバッ!と私服を脱ぎ捨てると、素早く装備を隠すように暁の装束を羽織る。

 

オォォォオオオォォォンッ。

 

八坂さんが雄叫びを上げた。双眸(そうぼう)が大きく見開いて全身の金毛が逆立っている。

 

「グレートレッドを呼ぶ魔方陣と(にえ)の位置は良好。あとはグレートレッドがこの都市のパワーに惹かれるかどうかだ。曹操、悪いが俺はここを離れられないんでね。これがまたキツくてねぇ」

 

それを聞いた瞬間、奏が九喇嘛(クラマ)チャクラモードになって突進した。

 

ゴンッ!!

 

音と共に弾かれた奏。

 

「無駄だよ、俺の張っている防御魔方陣はかなり頑丈だからねぇ」

 

ゲオルクの反応に表情をしかめた奏。

 

「さーて、どうしたものか。『(アナイア)(レイシ)(ョン・メ)(ーカー)』のレオナルドと他の構成員は外の連合軍とやりあっているし。彼らがどれだけ時間を稼げるかわからないところもある。外には堕天使の総督、魔王レヴィアタン、神の子、『(ウロ)(ボロ)(ス・)(ドラ)(ゴン)』の片割れがいるうえ、セラフのメンバーも来るという情報もあった。――ジャンヌ、ヘラクレス」

 

「はいはい」

 

「おう!」

 

曹操の呼び声に細い刀身の剣を持った金髪の女性と、巨体の男が前に出る。

 

「――久しいな。ジャンヌ」

 

「えぇ。八年ぶりね……師匠さま――いえ、リュースケ♪」

 

俺とジャンヌの会話にイッセーたちだけでなく、曹操たちも驚いていた。

 

「に、兄さん!?え…?どういうこと?」

 

その場が騒然となる…曹操たちは静かに話を伺っているが。

 

俺は口を開いた。

 

「――そうだな、俺とジャンヌは……かつての師弟関係だったんだよ。初めは雰囲気でしかわからなかったが。――テロリストに入っていたとはな、ジャンヌ」

 

「まぁね。――手合せしてもらいたいんだけど、無理かな?」

 

「いまは無理だ。代わりに義弟たちが相手をするよ」

 

俺はジャンヌと話し終えると、イッセーの後ろに下がった。

 

話しを伺っていた曹操が口を開く。

 

「――ジークフリート、おまえはどれとやる?」

 

曹操の問いにジークフリートは抜き放った魔剣の切っ先を祐奈とゼノヴィアに向ける。

 

「ん~、じゃあ、私は天使ちゃんにしようかな。可愛い顔をしてるし」

 

「俺はそっちの銀髪の姉ちゃんだな。随分、気持ち悪そうだけどよ!」

 

それぞれが視線を交わす。

 

「んで、俺は赤龍帝っと。そっちのヴリトラくんは?」

 

曹操が匙に視線を送る。匙の炎の勢いを増すが、イッセーが手で制す。

 

「……匙、おまえは九尾の御大将だ。なんとか、あそこから解放してやれ」

 

「俺は怪獣対決か。……あいよ。死ぬなよ」

 

「これでもここに来る前、『女王(クイーン)』にいちおうプロモーションしてんだからさ。最初から気合は十分だッ!」

 

すると、匙の体が黒炎に包み込まれていき――巨大に膨れ上がっていった。

 

「――『(ヴリト)(ラ・プ)(ロモー)(ション)』ッ!!」

 

盛り上がる黒炎は形を成していき、体の長細い東洋タイプの龍へと変貌していく。

 

ヴリトラ化した匙は九尾化状態の八坂さんと対峙する。

 

イッセーがアーシアに言う。

 

「アーシア、九重を頼む」

 

「はい」

 

「九重、アーシアを頼めるか?」

 

「任せろ!じゃが――」

 

「あぁ、わかってる。おまえのお母さんは俺が――俺たちが助けるッ!!」

 

親指を立てて言うイッセー。背中からドラゴンの両翼を生やして曹操と対峙する。

 

「レイナーレ、アーシアと九重の護衛を頼めるか?」

 

「はい。任せてください」

 

俺はレイナーレに訊くと、レイナーレはうなずいて引き受けてくれた。

 

そして、後方で待機している人化したアルセウスに言う。

 

「――アルセウス、二十七人全員を連れて匙……黒炎の龍のサポートを頼めるか?」

 

アルセウスは笑んで答えた。

 

「承知しました。行きますよ、皆さん」

 

アルセウスがそう言って空中へ駆け出すと、それに続くように二十七人全員が地空を駆け出して匙のサポートに向かって行く。

 

「さ~て、俺たちは雑兵を一掃しますか。皆」

 

俺は暁のメンバーと理子に言う。

 

相手の雑兵は、中堅クラスの人間と前回より二回りほど大きいアンチモンスターだ。

 

バヂヂヂヂヂ――。

 

俺は左目を閉じたまま、両手に雷切をまとわせてアンチモンスターの一体に突貫する。

 

アンチモンスターからは光の攻撃や炎の攻撃などが飛来するが、俺は難なく避けながらアンチモンスターの一体に両手の雷切を撃ち込み、そのまま宙へ打ち上げる。八方の壁をランダムに蹴って駆けあがるように空中を駆け上り、アンチモンスターの真上へ滞空する。

 

「――双雷震(そうらいしん)!!」

 

そこから右手の雷切を真下へ向け、一気に急降下してアンチモンスターを一閃する。

 

「理子りん、突撃~!!」

 

魔装少女に変身した理子は白鞘を抜き放ち、高速の振りでアンチモンスターの攻撃を難なく斬り裂く。そのままアンチモンスターの四肢を断つと同時に首を斬り払った。

 

「ミャーン」

 

リエの傍にはライオンのぬいぐるみ『ふうりんかにゃん』が両手を上げて等身大サイズに伸びる。

 

「ミャーン」

 

『ふうりんかにゃん』は一声上げてアンチモンスターの眼前に高速移動する。

 

「侵略すること猫の如し――ミャーン!」

 

グサリと鋭い爪を突き刺す。

 

「ミャーン」突き刺す。

 

「ミャーン」突き刺す。

 

「ミャーン」突き刺す。

 

アンチモンスターの体が穴だらけになると、口から光線を出して跡形も無く風景共々塵に変えた。

 

その近くではリエが魔装少女に変身してアンチモンスターの複数の攻撃を両手に握る日本刀型魔装錬器で軽く斬り払う。アンチモンスターの眼前まで歩み寄ると、一瞬で四肢と首を胴体から切り離して瞬殺する。

 

風遁(ふうとん)圧害(あつがい)!」

 

角都が右肩に召喚した地怨虞(じおんぐ)で風の塊を発生させてアンチモンスターの攻撃を吹き飛ばし無力化する。

 

火遁(かとん)頭刻苦(ずごっく)!!――雷遁(らいとん)偽暗(ぎあん)!!」

 

左肩と腕に召喚した地怨虞(じおんぐ)から眩い閃光と共に一筋の雷と高火力の炎を放ち、周囲を焼野原へと変えた。

 

呪術(じゅじゅつ)死司憑血(しじひょうけつ)!!」

 

飛段が術を発動して体に入れ墨模様が浮かび上がる。自身の血で描いた陣図に入り、四肢に鋭利な金属の棒を突き立てて複数の構成員を戦闘不可状態にする。

 

「凍えろ!!」

 

「焼き焦げろ!!」

 

「消えろ!!」

 

メイル、スバル、アースはそれぞれドラゴンの翼を展開し、氷雪、蒼雷、暗無の攻撃をアンチモンスターへ繰り出して倒していく。

 

「開け!ロンギヌス!!」

 

花楓は『(トゥ)(ルー)(・ロ)(ンギ)(ヌス)』の光の矛先を横へ四方に展開して壁を作り出し、アンチモンスターと構成員の攻撃を防ぐ。

 

「連弾!ミニ尾獣玉!!」

 

奏は九喇嘛(クラマ)のチャクラの腕で小さな尾獣玉を作り出してアンチモンスターに連続で叩きこんでいた。

 

『あまりオイタしちゃダメ』

 

ユーはスタッフでミニブラックホールを複数出現させ、アンチモンスターの攻撃だけではなく、その本体を呑み込んでいく。

 

「砕け散りなさい!」

 

ルリエルが破壊の魔力のブレードでアンチモンスターごと地面を抉り――。

 

「凍りつくといいわ!!」

 

レヴィが氷結の魔力のブレードでアンチモンスターを凍らせ――。

 

「焼け散りなさい!」

 

サルベリアが豪雷の魔力のブレードでアンチモンスターを焼き払い――。

 

「燃え尽きるのよ!!」

 

ベネチアが豪炎の魔力のブレードでアンチモンスターを黒焦げにし――。

 

「吹き飛びな!!」

 

マキアが旋風の魔力のブレードでアンチモンスターを突き刺して吹き飛ばし――。

 

「微塵切りにしてあげるわ!!」

 

ベラナが鋭水の魔力のブレードを鞭のように振るってアンチモンスターを切り刻み――。

 

「溶けてね♪」

 

アリスが灼熱の魔力のブレードでアンチモンスターを斬り溶かしていく――。

 

「――は、早い!!」

 

スコルとハティは持ち前の神速で英雄派の構成員を翻弄(ほんろう)し、狼化させた両腕の爪で武器を無力化させ、すべての急所を外して肉を斬り裂いていく――。

 

アイムも魔力で作りだした槍を両手に握り、構成員の武器を破壊した直後に急所を避けた部位に槍を突き立てていく――。

 

俺は残りの構成員の前に立つ。

 

木ノ葉(このは)――」

 

俺はその場で体を回転させ、その速度を急速に上げて高速の域に達せさせる。

 

「――龍神(りゅうじん)!!!」

 

高速回転により龍を象った竜巻が発生し、その竜巻は残りの英雄派の構成員を呑み込む。

 

「……うっぷ。回りすぎた」

 

回転を終えた俺は片手で口元を抑える……多使用は自重しよう…。

 

構成員を一掃した俺はイッセーのところに駆けつけた。

 

「――いい攻撃だった。強い強い。こちらもギアをもう少し上げないとダメか」

 

曹操が左腕の傷を治癒したところのようだ――右腕の瓶は…フェニックスの涙か!?

 

「それにしても、何かをするようだね……その左目」

 

俺の左目が気になるらしい曹操は、槍の切っ先を向けてくる。

 

「……そうだな、おまえたちの計画を根元から無駄にするためのものだからだね」

 

俺は口の端を釣り上げた――そのときだった。

 

「イリナさん!」

 

アーシアの悲鳴交じりの叫びが聞こえてくる!

 

「あら?こちらはまだやってるんだ?」

 

ジャンヌの声がし、そこに目を向けると…血まみれのイリナを抱えていた。

 

「ま、赤龍帝だからさ。彼らよりはやるんじゃないの?」

 

今度はジークフリート……六本に増えている腕に抱えているのは…祐奈とゼノヴィアだ。

 

「俺が赤龍帝とやればよかったぜ」

 

巨躯のヘラクレスが俺とイッセーの眼前に何かを放り投げる。俺はとっさに待機させていた砂のクッションで受け止めた。――銀髪を赤い血に染めたロスヴァイセだった。

 

『グオオオオオオッ!!』

 

向こうでは、ヴリトラが九尾化した八坂さんの九本の尾に縛られ、苦痛の声を漏らしている……アルセウスたち二十八人も元の姿に戻って戦ったのだろう、荒れ地と化した中に全員が倒れている――。

 

「……イッセーとアーシア以外が倒されたか…。少し甘く見ていたな」

 

俺は自問するように静かに口ずさんだ。

 

ズザザザザザ――。

 

俺はイリナと祐奈とゼノヴィアを砂で取り返すと、砂に乗せた重傷の四人を急いでアーシアのところまで飛ばして運ぶ。

 

「皆さん!」

 

アーシアが駆け寄って、涙を流しながら治療を始めた。

 

「私も手伝うわ」

 

傍で待機していた黒歌も、仙術を用いて四人の自然治癒力を高めていく。

 

苦痛に表情を歪めていた四人は、徐々に穏やかになっていく。

 

「――さて、フィナーレだ。あなたのその左目は俺たちの実験の邪魔になる……いまのうちに潰しておこう!」

 

曹操が聖槍の切っ先を俺へ向けてくる。

 

「――させないよ」

 

低い声と共に、俺と曹操の間に割って入ってくる者たちがいた。

 

「遅くなってすまんな。少し時間が掛かったぜ」

 

花楓が聖槍の切っ先を曹操の握る聖槍に向けている。

 

戦闘服が穴だらけの飛段も三刃鎌を構えて攻撃体勢に入る。

 

次々に集まりだして、陣を組むように円を作り出す。

 

「……これでは潰すことは無理そうだ」

 

曹操は諦めたのか、聖槍を肩にトントンしだした。

 

「僕たちが相手をしよう」

 

「止めておけ。ジークフリート…うちはイタチはともかく周囲にいる者たちを相手に『(カオ)(スエ)(ッジ)(・ア)(スラ)(・レ)(ヴィ)(ッジ)』でも無理だ。そこにジャンヌ、ヘラクレスが参戦してもだ。――ひとりひとりの戦闘力が高いだけでなく、統率力もある……俺たちだけでは勝てないよ」

 

ジークフリートが一歩前に出たが、曹操に忠告されて一歩引いた。

 

「母上!目を覚ましてくだされ!!九重です!九重はここにいます!!母上ぇぇぇっ!!!」

 

九重が泣き叫ぶが、八坂さんは視線を合わせることはなかった……。

 

「――このままでは埒が明かないな……ルリエル。レヴィたちを連れて八坂さんを止めに行ってくれ。アースもスバルとメイル、スコルとハティを連れて行ってくれ……ここは死守するからさ。だから――」

 

「死守じゃないでしょ。絶対通さないじゃないの?」

 

アースが俺の言葉を聞いて訂正してくる。

 

「…そうだな。死ぬ気は毛頭ない…行け!」

 

『承知!!』

 

ルリエルたち十二人は八坂さんを止めるために駆け出す。

 

残ったのは俺、リエ+ふうりんかにゃん、理子、ユー、花楓、奏、飛段、角都、アイム。

 

俺とイッセーは円を組んだリエたちの中心――円の中に佇んでいる。イッセーは片膝をついて瞑目していた。

 

睨み合う両者。曹操はゲオルクのところに行き、術式の状態を確認していた。

 

すると、背中合わせでしゃがんでいたイッセーから眩い赤い閃光が発される!

 

「くっ!」

 

俺たち全員は飛び退き、イッセーとの距離を取る。ジャンヌたちも同様に曹操のところまで退いた。

 

「……なんだ?」

 

曹操とゲオルクもその光に気がつき、イッセーに顔を向けた。

 

イッセーが天高く掲げた眩しく輝いている宝玉が何かを移しだしていく。それはしだいに人の形をなしていき、一人、二人と増えていく。

 

その数はどんどん増えていき、増え終わる頃にはおよそ千人は超えていそうな規模だ。

 

『おっぱい……』

 

『お、おっぱい』

 

『おっぱいーん』

 

『すごい、おっぱい』

 

『大変なおっぱい……』

 

人影が突然おっぱい、おっぱいと口走り始めた!?

 

「「「「おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい」」」」

 

人影の大群は呪詛のようにおっぱいとつぶやきながら、のろのろとおぼつかない足取りで動き出していく……何かの陣形を形作るように。

 

「「「「「「「「おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい、おっぱい」」」」」」」」

 

「……おっぱいゾンビか?」

 

曹操がそうつぶやく。この異常な情景を見た俺でもそう思えざるを得ない。

 

カァァァァァァアアッ!!

 

俺の左腕が光り輝きだす!

 

「――これは…!?」

 

俺は左腕を見て目を見開いていた。

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)……!!」

 

そう、その赤い光は俺の左腕に存在している花楓の創りだした『|赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』だ。

 

召喚(サモン)ッ! おっぱいぃぃぃぃぃぃぃッ!!」

 

イッセーの叫びと共に人影の集団に描かれた魔方陣が光り輝きだす。

 

一瞬の閃光が止むと、そこには――。

 

「な、何事!?ここはどこ?ほ、本丸御殿……?きょ、京都?あ、あら、イッセーじゃないの?どうしてここにって、私がどうしてこんなところに!?しょ、召喚されたの!?え?え??」

 

物凄く狼狽しているリアス。呼び出したであろうイッセーは無言、俺たちと英雄派御一行も呆気にとられていた。

 

『彼女のお乳をつつきなさい』

 

「つつくんですか?」

 

――素の声のイッセーとエルシャの会話が聞こえる……おそらく、俺の左腕にある赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を介して聞こえているものだろう。

 

『あなたの可能性を開く最後の決め手。それがリアス・グレモリーの乳首なの。あれはスイッチ――。あなたの可能性という名の扉を開くためのスイッチなの』

 

――ス、スイッチ!?いやいや、もう驚きはしないが…これはこれで驚きそうになってしまった。

 

「な、何なの!?光が私を包んでいくわ!!」

 

パァァァァァァァァ……ッ。

 

――リアスの胸が輝きを放ち出している。

 

下着姿とはいえ、この離れた距離からでも目視できるほどの光量だ…。

 

エルシャが言う。

 

『あのおっぱいは限界を超えたの。スイッチ姫の限界を――。第二フレーズに突入したといっていいわ』

 

――うん。これは由々しき事態だ。

 

俺は自ら声が聞こえないように無理やり遮断した。

 

『あれをつつくことであなたは変わる。劇的な変化を遂げるわ。あなたのなかの『(イーヴ)(ィル)(・ピ)(ース)』はあと一押しで力を解き放つ。その一押しが――』

 

――無理でした!そうっすよね!!

 

イッセーとリアスが全員の死角となる場所に移動する。

 

しばらくすると、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』から鳴き声が聞こえてきた。

 

『うおおおおおおおんっ!うわぁぁぁぁぁぁああんっ!!うおおおおおおおおんっ!!!』

 

――ド、ドライグ!?大泣きしているドライグの声が聞こえてきたぞ!!

 

次の瞬間――。

 

リアスが輝きながら、天高く昇っていき……光と共に消えてしまった。

 

『もとの場所に帰っていきました』

 

エルシャがそう言った。

 

「……なんだったんだ、あれは?」

 

曹操たちも呆然として、いまの現象にどうしたらいいかわからないでいる……。

 

『来たわね。さぁ、行きましょうか!』

 

エルシャが叫ぶと、イッセーの鎧の宝玉から赤い閃光が溢れ出る!!

 

『あぁ、俺も感じるぞ、相棒……。懐かしいものを思い出させてくれる。これは――本来の俺のオーラだ。激情に駆られ、「()」の力に身を任せたものじゃない。呪いでも、負の感情でもない。これは――俺が肉体を持っていた頃の気質だ。ただだた、白いあいつに勝ちたかった頃の――』

 

ドライグの楽しそうな声音が聞こえる…。

 

イッセーから発されていく赤いオーラが、イッセーの周囲を包み込み…俺たちも包み込んでいった――。

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