幻想仮面少女   作:さわたり

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ガイア外伝 FUWA・FUWA

「ごほっ、申し訳ありません…」

 

「ホントよ…」

 

タオルを絞りながら、天子はため息を吐いた。布団に寝込む衣玖の頭へと乗せる。辛そうな彼女を見て、天子は二発目のため息である。

 

「あんたねぇ、自分の健康管理ぐらい自分でどうにかしなさいよ」

 

「まあ…今日は休むという連絡もしておいたので」

 

「そーゆー問題じゃない!私の手を煩わせてる訳だしね」

 

永江衣玖、本日珍しくも風邪である。最近働き詰めで疲れていたのも祟ってか、その体調は決していいとはいえないもの。天子は面倒だのなんだの文句を垂れているが、要は心配なのだ。

 

「にしてもなんだってこの最悪のタイミングで風邪なんぞひくのかな」

 

そういう天子が居るのは、彼女が地上の拠点として借りている長屋。そう、ここは天界などでなく人里なのである。

 

「ったく、さっきから外がクッソうるさいわね」

 

外で何やらガタゴト騒音。誰がどんぱちやってるのかと、彼女は戸を開いて顔を出した。そこで目に飛び込むのはカラス怪人とモノの戦闘である。天子はデザインした身故に、そいつが射命丸のチェルカトーレであることはすぐに察しがついた。

 

「おぉ?天子さんでしたか!」

 

「でしかたじゃないんだよでしたかじゃ…。うるさいのよあんたら」

 

「え?そんなこと言われましても…」

 

「とにかく我々の戦いを邪魔しないでいただきましょう!」

 

そう言って、チェルカトーレは駆け出していった。天子は振り返り、衣玖が騒音で寝辛そうであることを確かめた。

 

「邪魔すんなはこっちのセリフなんだけど…!!」

 

そう言ったかと思えば、緋想の剣を投げつける。思わぬ不意打ちで変身が解け、射命丸のアーマーが消滅した。驚くモノの方へ、射命丸から奪ったターンブレイカーでパンチを喰らわせ、続けて変身解除へ。

 

「私はそんなこと言える分際じゃないけどさ!そもそもの常識として…」

 

数分後、二人は正座していた。天子の()()()()()説教をがみがみと浴びせられながら、二人はぺこぺこ頭を下げる。他人のことでキレる彼女も珍しいものだと思う射命丸だが、口に出せる状況ではない。

 

「マジでいい加減にしなさいよッ!」

 

そのセリフを残し、彼女は長屋へと戻っていった。そうしてため息をついた瞬間、自分が収録したうるさい変身音と戦闘音が。聞こえたのはディスガイズのものである。

 

「だあああ!」

 

杖の武器を構えるマミゾウ怪人ディスガイズの横へ寄り、足を引っ掛けて転ばせた。リヴァーシブルになろうとしていた正邪も目の前の事態で困惑中である。

 

「変身解きなさい」

 

「儂?え、なんだって」

 

「早く」

 

すごむ天子に気圧され、マミゾウは変身を解いた。瞬間、天子は思いっきりビンタを叩きつけた。メガネを吹っ飛ばしながら転ぶ姿を正邪は指差して笑った。二発目のビンタは正邪へのもの。

 

「くそっ、私もぶへぇ!?」

 

「ガッデム!」

 

なぜか正邪だけはもう一発ビンタを食らう。仲良く路上に倒れる二人へといい加減にしろと吐き捨て、天子は長屋へと戻った。そうして扉を閉めた瞬間、今度もガタガタと騒音が。

 

『ガイア・ザ・アース!』

 

「いい加減にしなさいよ…!」

 

今度という今度はしょっぱなから変身状態で戸を開けた。そこに立っていたのはこころであり、どうやら舞を披露するようだ。なら戦いよりかはマシかなとため息。変身を解こうとしたそのとき。

 

「まてぃ!貴様件の天人だな。貴様のせいでこの舞が台無しだ、どう落とし前をつけてくれる!」

 

そうして無表情なままこころは天子へと突っかかっていった。その手に握っているのはターンブレイカーだ。自分が作ったものなのだがという軽いイラつきを覚えながら、構えた。

 

『turn on!emotion girl!マスカレイダー!』

 

「行くぞー!」

 

「待ちなさい」

 

「待てと言われて待つ奴が」

 

「いいから待てつってんのよ洗面器」

 

「私は面霊器だ!」

 

「ここで戦うのは困るのよ。病人が居るから。場所変えるわよ」

 

「む!?なら仕方あるまい!ママ……じゃなくて白蓮が弱っている人はいたわれと言っていた!」

 

そんな風に言ったかと思えば、素直に少し離れた広場へ。そして観客たちも騒ぐ中で、二人の戦いが始まる。

 

「だああああ!」

 

「よっと」

 

魅せる戦いこそが幻想郷のものである。弾幕を交えながら、華やかに戦いが始まったキラキラと光る雨の中、二人が舞う。

 

「せいやっ!」

 

「はっ!」

 

そして近接格闘も展開する。ぶつかり合う剣と扇の間に美しく火花が舞い、押されたのはマスカレイダーである。しかし踊るように体勢を立て直し、すぐさま反撃に向かう。

 

「ちょっと強くしすぎたわね…敵対する可能性を考えておけばよかったわ」

 

「ふふん!自分の作った力と戦う気分はどうだっ!」

 

「なんであんたが…偉そうなのよッ!」

 

今一度近づくマスカレイダーにパンチをたたき込み、続けて回し蹴り。しかし攻撃の流れに慣れたのか、ギリギリではあるが完全にいなしてしまう。

 

「なんだってのよ…」

 

「ふはは!我々を舐めるな!」

 

そうして攻撃を続けるものの、いい加減天子も飽きてきた。基本的に慈悲は考えない彼女である。自分が『魅せる』のが面倒になるや否や、すぐさま強化アイテムを取り出した。

 

『マックスタァァァァッ!!』

 

「なっ」

 

「ショーは終わりってわけ。こっちに事情があんの」

 

『ブレイク・ザ・ディスパー!!!』

 

そうして、要石と緋想の剣は吸収されて爽やかな青が煌くボディと銀の目のマックスグランドへ。戸惑うマスカレイダーへ容赦ない右フックを叩き込んだ。

 

「ぶぐぇ!」

 

「オラァ!」

 

「もうちょっと何か…」

 

「うっさいわね」

 

急に劣勢になるマスカレイダーを、容赦なく追い詰めていく。吹っ飛ばされてよろよろ立ち上がるマスカレイダーを前に、ガイアは身を低く構えた。

 

『スーパーグランドフィニ『仙人!チョウゼツムソウカイホウ!』

 

「たぁっ!」

 

「ちょっえっ、うぐぁっ!」

 

「そっち!?」

 

必殺を発動しようとするガイアへ、リブレッスからの割り込み。亀と華扇のヴィジョンが二人へとダメージを与え、リブレッス本人はガイアへと連続回し蹴りを叩きつける。

 

「がーがー人里で騒いでんじゃないのよ。だいたいあんた人里の権力争いに関わってないでしょうよ。見世物にもならないってなら…」

 

「うっさいわね!この人里はどいつもこいつもうるさくてどーしようもないのよ!あんたも文句あるなら具体例あげなさいよ!静かなところ!!」

 

「あー?んなもん自分で探しなさいよ。自分で!」

 

「文句言うだけ言ってそれだわけ?ほんと使えない巫女ね」

 

ばちばちさせた雰囲気を漂わせたのち、天子はきびすを返した。そのまま衣玖を寝かせている長屋へと向かう。目の前で聖と神奈子が弾幕ごっこをしており、どうも衣玖は寝れなさそうである。

 

「あっ天人さま」

 

買い物に行かせていた紫苑が帰宅済みである。小銭を落としたと申し訳なさげだが、そんなことは想定内。ネギや生姜の入った買い物鞄を持たせ、天子は衣玖を抱えた。

 

「冥界に行くわよ」

 

「えっ!?私たち死ぬんですか……?」

 

「ちーがうわよ。フツーに行くの!隙間を通ってね。あそこなら静かだし妖夢とはいくらか交流があるわ」

 

「そんな…総領娘さまのお手を煩わせるわけには…」

 

「さっさと治してもらわないとウザいのよ。にっっしても軽いわね、ちゃんと食ってるのか?」

 

その言葉を受け、衣玖は沈み気味な表情をする。そんな彼女へ、天子はため息を吐き出した。

 

「自己管理ぐらいどうにかしなさいよ」

 

「そうですよ衣玖さん!天人さまがこう見えてものすごく心配してるのはお分かりでしょう!?」

 

「なんですってぇ?」

 

「ウフフ、そうですね」

 

そんな風に話しながら、彼女らは冥界を目指して進んだ。

 

「ええ、いいわよ。妖夢、お布団を」

 

「はいっ!」

 

結果として、幽々子は快く彼女らを受け入れた。客室の隣の部屋へと案内され、衣玖はゆっくりと布団へ入った。

 

『ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!!』

『さあ、ショータイムだ!』

 

だが、隣から聞こえる音声で眠れない。少しすれば静かになるかとも思うが…。

 

『シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!』

 

一向に静かにならない。何事かと思ってふすまを開けてみれば、隣に置かれたTVで二人が何かを見ていた。

 

『キャモナスラッシュ、シェイクハーンズ!』

 

「…それ」

 

「え?仮面ライダーウィザードよ。面白いわよ!あなた達も見る?」

 

「…うるさいのだけれど」

 

「そーお?でも変えるつもりはないわよ?」

 

「………」

 

キレ散らかしてやろうかとも思うが、天子は場所を借りている身分である。それにここでガイアvsブロッサムを繰り広げるのも面倒である。ため息ののち、彼女は衣玖を抱えた。

 

「あんま横で流れてると続きも見たくなるしね」

 

「おじゃましました〜」

 

「そうね、またね〜」

 

そうして冥界を後にする。一旦人里に戻った時、ぐぅっと衣玖の腹がうめき声を上げる。思わず笑う紫苑であったが、彼女もほぼ同時に腹の声。ご飯でも食べるかと、三人は決めた。

 

「じゃーあ」

 

「あっ天人様だ!」

 

「…針妙丸」

 

そこで、針妙丸と合流する。どうやら正邪はいない模様。ちょうど四人だしと言うことで、風邪に優しいうどんの店へと入った。

 

「「「いただきます!」」」

 

「…」

 

「ほら、総領娘様も!」

 

「私は食べ物を作らせて当然の…」

 

「いーから!」

 

「………いただきます」

 

静かに手を合わせ、四人の食事は始まった。その中で話題となるのはやりここ数週間の争いについて。里の支配を目論む妖怪たちへの、針妙丸視点の意見がメインである。

 

「自分で言うのもなんだけどさー、私個人の意見だし多分偏見もあるよ」

 

「だいたい信用ならないみたいですね」

 

「そりゃあね。いちばんマシなのは神社だけどさ、霊夢たちはあんま活動に乗り出そうとしないからさあ」

 

「へぇー…。私は詳しくないけど……。小人さん的に里はどうしたいの?」

 

如何ともし難いという顔をして、針妙丸は紫苑の質問を受け取った。どう言おうかというふうに辺りを見たのち口を開く。

 

「弱者の誇れる社会…ってのが理想だけど、現実的にはは現状維持がしたいかな。信用ならない河童やら天狗やらに里の人間は守らせたくないってとこ」

 

「…あんたって小さいなりに頑張ってるのね」

 

「ふふん、自慢じゃないけどね!」

 

そんな真面目な話の中、食事は進んでいく。病人に焦らせても良くないと、ゆっくり食べ進める。

 

「針妙丸のうどんなんかかわいいわね」

 

「そりゃ私サイズだもの」

 

意外と言ってみるものである。うどんを細く切ったものを醤油皿に入れる形で解決し、この量ならお題は天子のものに含まれているんだとか。

 

「しかしこんなおいしいお店があったとは思いませんでした」

 

「なんとなく入った割に結構いい店じゃないの」

 

そうして、衣玖がうどんを食べ終える。お代は天子が全て持ち、3人揃って頭を下げる。なんだかんだ言って面倒見はいいのである。

 

「あ、そうよ針妙丸。こっち来なさい」

 

「ん?」

 

無邪気に飛びよる彼女へ、天子は無慈悲にチョップを繰り出した。頭を押さえて涙目の針妙丸を見て、少女たちは困惑。それに対し、びしっと指を刺して天子は告げる。

 

「あんた勝手にターンブレイカー持ってったでしょ!」

 

「………あっ。そういえばそうね」

 

「二発目は許してあげるから代金払いなさい」

 

頭を擦りながら、不満気味に針妙丸は背負っている袋からお金を渡した。次は無いわよと睨みつけ、天子はお金を財布へとしまう。

そうして、針妙丸はその場を後に。今一度3人で静かな場所を探す最中。

 

「あっ、天子!それに紫苑とりゅーぐーの使いさんまで!」

 

「永江衣玖と申します」

 

「私古明地こいし!よろしくねー!」

 

多少激し目に握手をし、3人の目的を聞く。そうして、こいしは静かな場所として地霊殿を提案した。

 

「…いいんですか?」

 

「お姉ちゃんならいいって言ってくれるよ!」

 

そうして、四人は地底へ。多少時間はかかるが、人数が居るのであまり退屈はしない。地底に到着してしまえば、地霊殿に着くのはすぐである。

 

「ええ、いいわよ。御足労ありがとうございます」

 

「比那名居サンちょっといい?病人はやっぱベッドにね」

 

さとりがOKを出すや否や、お燐が衣玖を天子から受け取る。看病は任せなと告げ、そのまま運び去った。

 

「さて、貴女も機械を作っていると聞きます」

 

「そうだけど?」

 

「お話をお聞きしたいのです。私のペットの看病を信用してくれるならば、ついてきてはくださいませんか?」

 

それは質問であるが、彼女に対して回答の必要はない。一瞬ののち自分の地下室へと天子を案内した。

 

「…予想以上に機械的ね」

 

「ええ」

 

紫苑もふらふらと付いてくる。周りにおかれた様々なアイテムを見て、表情を分かりやすく躍らせた。天子も顔にこそ出てはいないが、そうとうテンションが上がっている。

 

「あのタンクは?」

 

「発電装置です。月読神社の分社を迎えまして、月光の妖力から発電する機構でして。まだ稼働はしないのですが、ほとんど実用段階です」

 

「神社が建物の中に?」

 

「いえ、上空…というよりは洞穴の天井に。107mほど上でしょうか。鬼の技術も交えた妖器パラボラアンテナでエネルギーを受け取ります。地底に光源を作る計画も兼ねてるんですよ」

 

「空飛ぶ神社ってわけね。にしてもネーミングもっと無いのかしら」

 

「…よ、よくわからないけどすごいです!」

 

困惑する紫苑を置き去りに、二人は技術者トークを展開する。新しいパワードスーツや、バイクなど。もっぱらライダーの話である。

 

「…そうそう、これ、見ていただきたいんです」

 

そうしてさとりが切り出したのは、『サイバー怪人』であった。なんでも、データに合わせた形状にエレクトロ粒子を定着させることで、無人の怪人を実体化させて戦力にするものだという。

 

「…そいつはすごいわね」

 

「いえ、しかしまだ実体化には至っていないんです。着るのが限界…というところでしょうか」

 

そう言いながら、さとりは腕輪『ライドデバイザー』を装着し、『召喚』のボタンを押した。

 

『サイバーブラックキャッツをロードできません』

 

「で、こっちが…」

 

『サイバーブラックキャッツをロードします。ブラックキャッツアーマー、アクティブ』

 

続けて押した『装着』のボタンで、さとりはサイバーブラックキャッツの姿へ。しかしこれではターンブレイカーやエックスゴースターと変わらないと呟く。

 

「…そうねぇ」

 

「どうにかできますかね…」

 

そんな風に会議のさなか、轟音が響き始める。何事かと頭をかく天子へ、さとりは最近よく工事をやっていることを語る。いい加減ムカついたのか、階段を駆け上がって工事現場へと走っていった。

 

「おー?天人様だ!また会いましたね」

 

「あんたなの?コレ」

 

「あと私もだよ。…さっきはよくも叩きやがったな」

 

無邪気に手を振る針妙丸に続き、鉄骨の裏に逆さまに立つ形で正邪が現れる。下半身はズボンである。髪は流石に重力に従っているが。

 

「…なんのつもり?こっちには寝てない病人がいんのよ」

 

「それは私の知ったことじゃ無いですもんね!」

 

「私達の叛逆を邪魔してくれるなよ」

 

「あんま調子乗んじゃないわよ、針妙丸!それに天邪鬼!あんたはしっかりと礼儀ってもんを教えるべきね!」

 

『グランドライバー!』

 

いい加減我慢の限界である。戦闘態勢を取る天子に、二人もターンブレイカーを構えた。私から持っていったのだろと言う天子に、正邪は利用できるもんはなんでも使ってやるぜと続け、髪を揺らしながら飛び降りる。

 

「変身!」

 

『ガイア・ザ・ルナ!』

 

『『get started!』』

 

「せいよっ…うだとそのままだから…えっと……わかんない!醒妖」

 

叛駁(はんばく)!」

 

「ちょっと!なんで先に掛け声考えてんのよ!」

 

「いいから行きますよ」

 

「…そ、そうね!行きますよ、天人様!」

 

『turn on!little girl!ラルジュネヌ!』

 

『turn on!chased girl!リヴァーシブル!』

 

そうして、ライダーと怪人の戦いが始まる。流石に元の強さもあり、ガイアはかなり優勢である。そんな中、ラルジュネヌはガチャガチャと何かを取り出した。

 

「実戦投入か?」

 

「そうよ、いくわよツクモガミども!」

 

そのボディに装着したのはアーマーである。針で斬りかかり、そのパワーが一気にガイアを押す。その状況を見て、紫苑もメモリを取り出す。そしてターンブレイカーへとセットした。

 

『turn on!miserly girl!マガツヒメ!』

 

「…大丈夫ですか?」

 

「そうね…でも1対2は分が悪いかも」

 

そうして、リヴァーシブルの方へと殴りかかる。歪さを減らした禍女とでもいうところか。しかしその特徴である肉弾戦のパワーは相変わらずだ。

 

 

 

 

「もー永江ちゃんってば無理しないでって言ったのにさー」

 

「そんなこと言われてもねー」

 

「おねーさんもわかるんじゃないっすか?女にはそんな時もあるって」

 

「んもーなーにそれー!」

 

同じころ。衣玖の元へ来ていたのは彼女の同僚の佐島であった。わざわざ居場所を調べて来たようで、どうやって知ったか聞いても秘密だと笑うのみ。お燐とのジョークも交えながら、心配の言葉を語る。

 

「私が来たわけどさ、他の子達も永江ちゃん休むの珍しーって心配してたんだよ」

 

「えー?ほんと?」

 

「ホントだって!」

 

「あたいもお空が風邪ひいた時は心配しすぎてもうね、死ぬかと思ったよ」

 

そんなふうに談笑を続けたのち、佐島はお見舞い品の林檎を置いた。お礼を言う衣玖へ、心配してるんだぞと笑う。

 

「ってか騒音ひどいわね。永江ちゃん大丈夫?」

 

「…全然寝れないよ」

 

「あちゃー。ごめんね衣玖さん」

 

あなたは悪くないでしょうと衣玖が言うが、それでもお燐は申し訳な下げである。工事の音を不快に思いながら、話は続く。

 

「あー、あと上司陣からもね、神官のとこの長女任せたぞー!って言ってた」

 

「うっわ、プレッシャーだね衣玖サン」

 

「ホントですよ…。面倒見に期待しないでって言っといてよ!」

 

そうして話してみて、ふと天子が心配になってきた。さとりと話しているのだろうが、何故か少し不安な気分が募る。彼女は、布団を退けて立ち上がった。

 

「ちょっとー?用なら私がいくけど?」

 

「そんなねーさんの手を煩わせはしないよ。あたいが行くけど…」

 

「…いえ、私が行きたいんです」

 

「天人さんかい?フフフ、止めるのは粋じゃないさね。行ってきな」

 

お燐の言葉に背中を押され、衣玖は駆け出す。そうしてさとりの方へと向かうが、そこに天子はいない。

 

「そうry」

「天子さんなら騒音の方へ」

 

読心により、すぐさま答えが返ってきた。軽くお礼を言うと、衣玖は少し駆け足気味に騒音の方へ。頭痛を感じてふらつくが、その肩をこいしが支えた。

 

「ほら、あっちに居るよ」

 

そうして指差す先に、苦戦しているガイアが見えた。マックスグランドであるが、多少押されてもいる。

 

「…総領娘様」

 

「戦ってるんだよ。…あなたのためにね」

 

こいしの言葉を聞き、衣玖は感謝をいっぱいに感じる。力になれないかと思ったとき、彼女のポケットの中のアイテムに目が行った。

 

「…総領娘様ーーーーー!これをッ!」

 

「!?…コレは」

 

リュウグウノツカイUSBとターンブレイカーであった。彼女はコレに強化アイテムとしての側面も持たせており、衣玖がそれを思い出したが故なのである。

 

「…でも、マックスグランドじゃ出力が高すぎるのよね」

 

必殺技を使ってはいるが、それを使っての変身はできない。衣玖はどうにかできないかと考えた。…そんな時。

 

「……そういえば、なんか月光みたいな…妖力が」

 

「ん?おねーちゃんが月光発電機作ってるんだってさ。で、ツクヨミのパワー引っ張ってるとかなんとか」

 

それを聞き、衣玖の頭に一つのアイデアが浮かび上がる。振り向けば、アーマーを着たラルジュネヌにガイアが吹っ飛ばされている。マガツヒメは若干リヴァーシブルに優勢だが、ラルジュネヌから貰えば相当吹っ飛んでいた。

 

「…総領娘様ッ!グランドルナになってください!」

 

「えっ?……まあいいわ」

 

『ガイア・ザ・ルナ』

 

衣玖の言うことを信じ、フォームチェンジ。しかし相手の攻撃力故反射能力が発揮しきれない以上、マックスグランドからすれば純粋な弱体化である。それを見届け、衣玖はさとりの方へと走っていく。

 

「さとりさん!」

 

「………無茶を言いますね」

 

「まだ言ってはいませんよ」

 

「フフフ、まあ、まだ動かしてはいない段階です。どうぞ、このタンクへ」

 

そうして彼女が入って行ったのは月光発電機の充電タンクである。さとりがコンピューターへデータを打ち込み、発電機のスタンバイが終わった。

 

「逆行させることで()()()()()()()()()()()とは。本当に無茶を言う!」

 

そんな風に言いながらも、さとりは完全に準備を終えていた。パラボラアンテナは、ガイアへと向いている。

 

「行きますよ、衣玖さん」

 

「ええ…はああああああああああああああぁぁぁああああああああぁーーーーーーッッッッ!!!!」

 

タンクの中、衣玖は持てる力全てで、電光を放った。順調に稼働し、どんどんと月光のエネルギーが生み出されていく。

 

「…!!」

 

何事かと振り向く彼女の元へ、月光のエネルギーが一気に放出された。そのパワーを受け、グランドルナは凄まじい力を生む。殴りかかったラルジュネヌを跳ね返し、仮面の中でニヤリと笑った。

 

「…なるほど。グランドルナなら十分こいつの制御もできるしね!」

 

『get started!』

『ガイア・ザ・仮面ライダー!』

 

相手の攻撃を避けたり跳ね返したりしつつ、ターンブレイカーへUSBをセットする。続けて、そのターンブレイカーをバックルへと合体させた。

 

「力借りるわよ、衣玖!」

 

『dragonic girl!break out!』

 

そうして、グリップとして引っ張る。同時に飛び出した光のカーテン…聞き馴染むようにいえば畳。そいつに向かって駆け出した。

 

「…だぁっ!」

 

「おっとっと」

 

白銀のグランドルナの上に、リボンのような装甲が乗せられる。ゴツい外見ではあるが華麗な装飾と爽やかな色合いがすっきりとした雰囲気を与える。何より目を引くのはツインアイに重なるバイザーであろう。ブルーのバイザーが、黒の煌めきに色を足していた。

 

「レガレクスグランドってとこかしら」

 

そんな風に呟きながら、緋想の剣で一撃。一気にダメージを喰らい、ラルジュネヌを跳ね飛ばした。そんな彼女を前に、ガイアは衣玖のスペル宣言ように天に右手を掲げる。そんな彼女に送るべき言葉はただ一つ。

 

「えっと、キャ-テンシチャ-ン!…ですっけ」

 

「うん、苦しゅうないわね!」

 

マガツヒメからの声援の中、月の力満ち満ちたガイアが構えた。駆け出した彼女をリボン型ブースターが支え、超高速の移動へ。その勢いに乗せた斬撃が、一気にラルジュネヌを押した。

 

「そっちもよ!龍魚の…一撃ぃ!!!」

 

そして隙を見てリヴァーシブルの方へ。腕のリボンをドリル状に巻き、雷光と疾風をまとって殴りかかった。大きく怯んだ彼女を前に、マガツヒメは一気に身を引く。

 

『マガツヒメ!turning-breaking!』

 

「せやああ!!」

 

『salut!』

 

凄まじいエネルギーとともに、パンチをたたき込んだ。元々非力で、機械で強化するだけの彼女ゆえに威力自体は高くない。だが、同時に放たれる衝撃波は耐えがたいもの。爆風とともに、変身を解かれた正邪が転げ出た。

 

「でやっ!」

 

「うぐっ!」

 

そうしてラルジュネヌの元へ。腕や肩のブースターの力で高速の斬撃を叩き込み、空中からの急襲攻撃も織り交ぜる。

 

「…こうなれば…出力全開よー!」

 

「おい待て…それは」

 

正邪の制止も聞かず、ラルジュネヌはアーマーのパワーを最大に。しかしその瞬間、特に爆発などはないにもかかわらずアーマーが弾け飛び、()()()()()()()その場から去って行った。

 

「付喪神だって言っただろ。自我がある程度あんだよ」

 

「…じゃあ、パワーをいっぱい持つと」

 

「そらお前にこき使われるより自由を選ぶだろうな。私だってそうする」

 

間抜けにも、ラルジュネヌは弱体化してしまったわけである。殴りかかろうとするマガツヒメを「一対一だから」と止め、ガイアは構えた。

 

『IKU NAGAE!ザ・ライダーフィニッシュ!』

 

「でやああああ!」

 

慌てるラルジュネヌへ、無慈悲に回し蹴りを一発。

 

「はっ!」

 

二発。

 

「せやっ!」

 

三発。

 

「とりゃっ!」

 

トドメにサマーソルトを叩き込み、着地。「おいたが過ぎたわね」とキメたと同時に爆炎が巻き起こり、ラルジュネヌの変身は解除された。

 

『salut!』

 

 

 

 

「はぁ…ったく」

 

戦いが終わった地霊殿で、天子は盛大なため息を吐き出した。何せ、自分のために体力を使い果たして衣玖がまた寝込んだのである。佐島も一緒にため息をつくが、しっかり休みなさいと告げるだけで責めることはない。

 

「もう、ほんっと手間かけさせるんだから」

 

呆れるように言いながらも、天子は笑顔であった。

 

 

 

「ラッキーだったな。ほとんど完成段階だよ」

 

「今度はこき使ったりはしない!一緒に我々の自由を掴み取るのよ!」

 

地底で目を煌かせる『ツクモガミロボ』を前に、針妙丸は腕を突き上げた。応えるようにロボがうなずく。始まりは、近い。

 

Continued on Side story of Masked Rider U




男なら 誰かのために強くなれ

「結局みんなそんなもんよ!」

歯を食いしばって 思いっきり守り抜け

「もう逃げない…受け入れる!」

転んでもいいよ また立ち上がればいい

『Mクリスタル!』『Sクリスタル!』

ただそれだけ できれば

『Nクリスタル!』『Aクリスタル!』

英雄さ

「変身!」

男なら 誰かのために強くなれ

「オーブさん!」「ディケイドさん!」

女もそうさ 見てるだけじゃ始まらない

「心の力、お借りします!」

これが正しいって 言える勇気があればいい

「絆…ネクサス!」

ただそれだけ できれば

「これが…私の心だあああああッ!」

英雄さ

外伝 仮面ライダーU『いと恋し -イドコイシ-』


フォーム名:レガレクスグランド
概要:マックスグランドの性能がグランドアース的だったのに対し、こちらはグランドルナに近い反射などの機能を持った姿。外見としては、グランドルナが衣玖風アーマーを纏った感じ。目にはブルーのバイザーがつき、リボン型ブースターなどで爽やかさが足された外見。機動力と反射能力、そして雷撃による攻撃がその魅力。力関係としては月光下においてはマックスグランドと同等。そしてこの外伝では月の妖力を送り込まれてるのでそれ以上のパワー。
武装:緋想の剣、要石、ターンブレイカー
変身アイテム:
『グランドライバー』
グランドルナと同じ。
『ルナオーブ』
グランドルナと同じ。
『リュウグウノツカイUSB』
エックスゴースターやターンブレイカーで使うUSB。衣玖の物。
『ターンブレイカー』
本編中に登場したもの。ベルトなどの変身アイテムと対応して、ライダーに強化アーマーを装備する機能がつけられている。
変身シークエンス:
1.バックルを装着
『グランドライバー!!』
2.オーブを装着
『ルナオーブ!』
3.USBをターンブレイカーにセット。
『get started!』
4.ターンブレイカーをグランドライバー右側にセット。
『ガイア・ザ・仮面ライダー!』
5.ターンブレイカーとレバーを同時に引っ張る(ルーブジャイロ参考)。
『ガイア・ザ・ルナ!』(グランドライバー)
『dragonic girl!break out!』(ターンブレイカー)
6.体の岩を砕いた後、出てくる畳を通り抜ける。
必殺技:
『ナイトブレイカー』
キック技。
『グランドフィニッシュ!!』
『ナイトブレイカー!!!』

『ライトニンググランストライク』
右回し蹴り、左回し蹴り、右回し蹴り、サマーソルトキックの順で行う電撃を纏ったキック技。
『IKU NAGAE!ザ・ライダーフィニッシュ!』
『salut!』



ものすごく嘘予告甚だしいですねコレ。
もともとは天子が一日竜宮の使いをやらされる話だったのですが、面白さとかその他の兼ね合いでこんな感じに。天界も登場しないと言う。
しかしこの限定フォームは大変気に入っております。
タイトル元は豚乙女の『GURA・GURA』です。ゲーム曲ながら、注目されるべき名曲だと思っています。
さて、次回は上記の通り仮面ライダーUです。何と何のエレメンタルフュージョンかものすごくわかりやすいですね!そんなわけで乞うご期待!!!
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