幻想仮面少女   作:さわたり

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タイトルは全て曲タイトル風。今回は「少女秘封倶楽部」より


導入編
第1話 仮面秘封倶楽部


「はぁ…はぁ…こっちは手が薄そうね!」

 

少女宇佐見蓮子は親友を抱きかかえて駆け回っていた。

なんとも奇妙な話だが、彼女は人型の武装警備ロボに追われている。山奥の廃ビルへと結界暴きに来たはいいが、中が現役の秘密組織だと予想できるわけないではないか。

彼女は事の理不尽に溜息をつく。外に逃げようにも行く手が阻まれており、中を動き回る他ない。適当に扉を開け、急いで入るとバタンと大きな音を立てて閉めた。

彼女は古いビルで助かった、という風に自動ドアでなかった安心感とともに、警戒を解かぬまま座り込んだ。

 

「ごめんなさい…ねぇ蓮子、私を置いて逃げて。私ならどうなってもいいわ!」

 

「あぁ!?何言ってんのよ!んなことするわけないでしょ!ほら、しっかり掴まりなさい」

 

少女マエリベリー・ハーンは自分の傷ついた足を申し訳なさそうに見つめた。

そんな彼女を蓮子はただ大事に抱えるだけである。ゆっくりと立ち上がり、再び出口を探し始めた。

 

さなか、突如爆音が響き渡った。振り向いた先は扉だ。砕け散った扉を尻目に蓮子は片っ端からドアノブを握る。

しかしどれ一つ動く様子はなかった。蹴破る力も、19歳の少女にあるわけがない。

 

焦り、いや、絶望と言うべきか。暗い感情が爆ぜるように彼女の中に広がる。

 

「クソっ!」

 

らしくない汚い罵声さえ飛び出る。そんな彼女に、警備ロボは銃口を向けた。

 

そして、銃声。しかし結果として近くのプラスチックボックスが砕け散っただけであった。

 

さらに続けて銃声が放たれた。弾幕とも言える凶弾たちが箱に壁に窓に天井に銃痕を残す。そんな中、一個の箱から、撃たれた勢いに任せてジュラルミンケースが飛び出た。

 

「…!」

 

蓮子はそれを、無意識に手に取っていた。手に取らなければいけない気がした。

 

「うわああああぁぁぁ!!!」

 

メリーを床に座らせると、意識を自分に向けるよう大声をあげる。こちらにカメラを向けるロボットの脳天に、重力加速度×ジュラルミンケースの質量の一撃をぶち込んだ。

 

ビリビリと電撃を起こすロボから拳銃を奪い、他のロボットへ銃撃を向ける。破壊こそできないが、動きがおかしくなっているのは確実である。やった。そう思った瞬間に、銃は反応をやめた。

 

「弾切れ…」

 

焦りに再び声が漏れる。ロボットの繰り出した蹴りをとっさにジュラルミンケースで防御した。それでもケースごと壁までぶっ飛んで、そして勢いそのままにケースから何かが飛び出る。

 

「何……これ?」

 

巨大な目のような気持ち悪い、しかしどこかかっこいいデザインの機械だ。何これと声を上げつつも、蓮子にはそれの使い方はなんとなくわかっていた。

腰にそれを当てると、ベルトが巻かれる。やはりバックルだったか。一人頷く彼女。続けてケースから赤いレンズのようなクリアーのプレートを取り出し、バックルの側面に差し込んだ。

 

『look the star…』

 

ちょうどコンタクトレンズのように目の上に重なると、光とともに、起動音が響く。

これを使って奴らと戦えるはず。レバーを操作し、その身を構える。

 

…しかし、何も起きない。再び焦り。

 

「何よ!動いてよ!」

 

いくらレバーを押し込んでも音一つ立てない。ロボットの警戒は蓮子から離れ、メリーへ。排除せんと近づくロボ達。させまいと蓮子は駆け寄り、メリーを庇うように抱きついた。

 

「動けよぉっ!!」

 

今一度、レバーを操作する。しかしロボット達は無慈悲にグレネード弾を飛ばす。そうしてあたりに爆炎が広がった。

 

『we are star night fantasy!』

 

その豪炎の中、光、音、粒子が爆散する。

ゆっくりと立ち上がる影は、マエリベリー・ハーンでも、宇佐見蓮子でもない。フルフェイスの異形の鎧をまとった騎士であった。

 

「あれ・・・メリー?メリー!?どこ!?」

『私はここよ!…あなたこそどこ?』

 

キョロと振り向く鎧の女。ふとその動きを止め、自分の手を見た。

 

『私…体が勝手に…いえ、私の胸はもっと大きいわ。私…蓮子の中に入ってる!?』

「うるさいわぃ!しかしまあ…私は自由に動いてるあたり、貴女が私の中にいて視界を共有してるって言うのが妥当かしら?」

 

一瞬でその事態を飲み込むと、鎧をまとった蓮子は、ロボットへフックを叩き込んだ。

ぐしゃっと重い音を立ててロボットは歪む。そして動くのをやめると、べこんと鳴らして壊れた。

 

「圧倒的パワーね。貴女を傷つける心配もないし」

 

『任せたわよ、蓮子…!』

 

近くのロボの腕を引きちぎり、それを武器に他をなぎ倒す。自分で恐ろしくなるほどのパワーである。大学生がこんなもん持ってていいのかとメリーは思ったが、状況が状況だ。神様だって文句は言わないだろうと言葉を飲み込んだ。

ふと横を見れば、放射状に亀裂の入った窓ガラスに、その姿が映っていた。

 

黒と白を基調に、赤のアクセントを入れた刺々しくメカメカしいスーツと鎧。帽子ようなデザインと、星の模様、赤の複眼レンズが目を惹く。

 

『まるで貴女のために生まれたようなスーツね。ちょっとプロレスの悪役みたいだけど』

 

「ならヒール。この姿の名前はヒールでどうかしら」

 

『まんまプロレスじゃないのよ』

 

「いいじゃないの、響きがいいわ。さ、いつまでもしゃべってるわけにゃいかなさそうね」

 

そう言ってロボの増軍に目を向ける。さらには蜘蛛のような戦闘用ロボットまで。蜘蛛ロボの指揮に合わせ、警備ロボが駆け出した。

 

蓮子、いや、ヒールと呼ぶべきか。ヒールは先ほどのジュラルミンケースに近づくと、中からガチャガチャとアイテムを取り出し、ベルト側面の専用フックにかけた。

 

「あら、これスマホって奴よ。おじいちゃんが持ってたわ」

 

『これがガラパゴスケータイよね?実物見る初めてよ』

 

その中からグリップとスマホを取り出し、その二つを合体させる。誰に言われたわけでもないが、こう使うということは何となくわかった。

 

その使い方は正解だったらしく、高圧粒子ブレードがスマホの先端から飛び出る。ブンブンと試し振りののち、警備ロボへ斬りかかった。

 

その一閃で、ロボ達は綺麗に二つに割かれてしまう。あまりのエネルギーに、オーバーヒートの末爆発した。しかしヒールがブレードに触れても一切ダメージなし。恐ろしい武器であると自分の獲物ながら冷や汗をたらした。

 

ジュラルミンケースを拾うと、行く手を阻むロボ達を適当にぶった切りつつ、廊下を駆け抜けようと先を向く。しかし蜘蛛ロボがそこに立つ。

 

「でやぁ!」

 

ブレードで斬りつけるが、真っ二つとはいかない。どうやら軍事用として生まれただけあって警備用より硬いらしい。しかしダメージが入っているのは確か。脚を狙ってさらに斬撃を加える。

 

「…そんなに効いてなさそーね」

 

蓄積があるものの大きなダメージとなる様子はない。できれば手早く倒したいのだが。そう思ったとき、右腰にかけたアイテムに目がいく。目薬型のアイテムがジャラジャラかかっていた。うち一個、剣の模様の書かれたアイテムを取り、バックルにセット。スロットを動かした。

 

「使ってみますか…」

 

『slash eyes!』

 

ブレードの圧力がさらに強化。横切りの一撃が前脚を二つ折った。

 

『チャンスじゃないの!必殺技とかないの?』

 

「えっと…これかな?合わせて使っちゃおうかしら」

 

続いてジャンプが書かれたアイテムを装着。スロットを操作した。

 

『jump eyes!』

 

「ジャーンプ!からの〜!」

 

続けてキックのアイテムを装着。操作。

 

『kick eyes!』

 

「シューット!!」

 

右足を前に突き出し、蜘蛛ロボの頭部に打ち込む。頭部が弾け飛び、うなだれたと同時に爆散した。

 

『お見事ね』

 

「でしょでしょ!」

 

仮面の下でニコッと笑い、廊下の先へ走った。固そうな扉が目の前にはだかったが、高圧粒子の元に意味は成さない。

 

「結局こうなるのか…」

 

扉の先に広がるのは広大な空間と謎の機器だ。その先にカーテンに囲まれた何者かの影が映った。

 

「やはり運命は収束するものなのだな」

 

『何の話よ。私達はここから出してもらいたいの。悪意はないわ』

 

「そういうこと」

 

そう言ってカーテンに向かって歩き出すが、足元にレーザーガンを撃ち込まれ、その歩みを止める。

 

「逃げることなどできはしない。悪意の有無は関係ない。貴様らには消えてもらう…と言いたいところだが、運命がそれを許さない」

 

「はぁ?私達は迷い込んだけだって!」

 

『違うわ蓮子、【誘い込まれた】のよ』

 

「…まぁ、そういう事だ。とりあえず目の前から消えろ」

 

その一言とともに指を弾くカーテンの中の者。同時にとてつもない暴風が生まれ、ヒールを襲う。中央にどんどんと飲み込まれていき、二人はその意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

「……あれ?ここ…」

 

次に蓮子が見たのは、日本的な建物の天井である。ゆっくり起き上がると、横には窓から外を眺めるメリーが居た。

 

「あら、お目覚めね」

 

「…夢?」

 

「それがヒールの話なら悪いけど現実よ。ほら」

 

そう言ってメリーは部屋の角に置かれたジュラルミンケースを指差した。蓮子は溜息と共に頭を抱え、窓を覗き込む。

 

「…撮影用のセット?」

 

第一印象はそれ。目の前に広がる風景は、そうとしか形容できないほど江戸時代であった。

目を見開いてメリーと外を交互に見る蓮子に対し、メリーは分からないわとかぶりを振る。

 

「よう、起きたか」

 

扉が開くと同時に、気の良さそうな男性が二つお盆を置いた。上に置かれていたのは蕎麦だ。二人は、そういえば結構食べてないなと思い、自身が空腹であることを自覚した。いただきますと一言放ち、箸を手に取った。

 

「しっかり治るまで居ていいからな。治ったらとりあえず博麗神社に行くことだ」

 

そう言って男性が去ろうとする背中をメリーが呼び止め、一言をかけてみた。

 

「今は、何年ですか?」

 

「今年?えっと、135季で…外の世界は2018年、かな」

 

そう言い残し、男性は階段を降りていった。それを聞き、二人は訝しげに顔を見合わせる。

 

「…半世紀近くタイムスリップしたわね。でもこれどう見ても江戸よね?天皇歴2018かしら」

 

「とりあえず現代じゃないのは確実ね。私達は未来人って訳」

 

「訳わかんないわ。あなたの夢ならともかく、私も一緒にタイムスリップだなんて」

 

蓮子は困り気味に頭をかいた。ひとまず食べ終えた食器を下に運び、キッチンへ置く。彼女達が居たのは蕎麦屋の二階で、一階は人で賑わっていた。

 

「あー、体痛いな〜、動くのもだるいわ」

 

「あんだけ戦ってればそりゃあね」

 

暖簾をくぐって、外へ出てみる。見れば見るほど江戸時代だ。しかし、ゲーム機を持って意味わからずこねくり回す子供や、眼鏡をかけた男、カメラを持った少女とその後ろをついて歩くガラケーを持った少女。二人はますます訳がわからない顔だった。

 

さなか、人だかりから叫び声。突如何かから逃げ惑う人々。何事かと向かってみれば、そこでは蜘蛛のような怪人が暴れていた。空を飛ぶ、紅白の服を着た巫女のような少女が応戦していたが、防戦一方であり、どちらが優位かは見て取れる。

 

「蜘蛛型ロボの次は人型クモって訳?全く」

 

バックルをケースから取り出す蓮子。しかしその横からメリーがバックルを奪い取り、腰に巻きつけた。

 

「?…何のつもりよ」

 

「私、あなたより1時間ぐらい早く起きたからマニュアル読んでたのよ。…フォームは二つあった」

 

そう言って、蓮子のものとは違う、青いレンズプレートを取り出し、ベルトに挿入。

 

『look the line!』

 

しっかりと蓮子の手を握ると、レバーを押し込んだ。

 

「変身!」

 

「変身!?」

 

『we are dream night fantasy!』

 

光が放たれると同時に、蓮子が粒子化。メリーに取り込まれたのち、スーツが装着される。

 

白と紫を基調とし、青い複眼レンズが目立つ、ゆったりとした姿。謎の文字が刻まれたスカートは神々しく、悪役のheelよりは癒しのhealが似合う姿である。

 

『貴女が動くこともできるのね』

 

「そ、どうやらこの姿、仮面ライダーというらしいわ。ご存知のヒーローね。どうする?」

 

『その人気シリーズに合わせて仮面ライダーヒールでどうかしら。この姿はナイトメアモード。私はスターボウモード。どう?』

 

「いいじゃない。仮面ライダーヒール ナイトメアモード。うん、じゃあ行くわよ!」

 

威勢良く向き直ると、グリップを取り出しスマホではなくガラケーを合体させると、ガラケーを開き、銃が完成した。

銃口を妖怪へ向け、射撃を飛ばす。怯む蜘蛛へ駆け出しつつ、射撃を続けた。

 

「ぐぉ!」

 

呻き声と同時に、蜘蛛が糸弾を発射する。鋭い糸弾が真っ直ぐヒールへと向かった。

 

『ちょっと!来てるわよ!』

 

「まあまあ見てなさい…結界を…」

 

焦る蓮子をよそにメリーは構える。当たる!その一瞬に連呼は心の中で目をつぶった。

ボフン!と、着弾した音が響くが、明らかに体に当たる音ではない。ヒールの振り向いた先には、穴が空いた土があった。

 

『え?』

 

「アーマーに張られた結界をいじって体をバラバラにしたり穴をあけたりできるのよ」

 

『なかなかすごいわね…』

 

余裕の様子で立ったまま銃を構えるヒールに苛立ちを覚えたのか、蜘蛛は巣を一気に広げ、防御しつつ遠方から糸弾を発射する。当たらなかった糸弾が広がって壁に張り付いてるを見て、二人は拘束目的の糸であることを察っした。

 

『これはすり抜けられないわよ…?』

 

「なら切り抜けるだけよ!」

 

『slash eyes!』

『spinning eyes!』

『bullet eyes!』

 

『それってまとめて読み込めたのね…』

 

目薬型のアイテムを三つ、順番にバックルに取り付け、操作する。そしてゆっくりと銃を構え、連続で発射した。放たれたリング状のブレード弾迫り来る糸弾を切り裂きつつ、盾となっていた蜘蛛の巣をバラバラにし、更に怪人にヒット。蜘蛛の怪人は無防備な姿を晒した。

 

「チャンス…!」

 

『dash eyes!』

『kick eyes!』

 

「はああああああああ!!」

 

素早くアタックドロップを読み込ませると、大声を上げつつ全力で接近する。そしてのっそり立ち上がる蜘蛛の前で跳び…

 

「ライダーストライク!」

 

飛び回し蹴りをぶちかました。ぶっ飛ばされたのち小さく爆発を起こす。爆風の晴れたそこには、金髪の少女が倒れていた。

 

「こいつ…地底の蜘蛛じゃないのよ」

 

巫女、博麗霊夢はそう言うと、ヒールへ軽く礼をする。そのまま空へ舞い、どこかへ消えていった。

変身を解いた二人に、衆目の歓声が襲い掛かる。恥ずかしげにそれを受けつつ、逃げるように二人は去った。

 

 

「こいつはスクープの予感ですね…!」

 

影の中、天狗の少女がその風景を写真に収めていた。

これが、二人がこの幻想郷に来るまでの物語である。

 

Continued on next episodes.




次回!幻想仮面少女は!

「大地の力を操るのは、得意なのさ!」

ガイア、その圧倒的パワー!

次回、「有頂天変身 〜 wonderful moon」
乞うご期待!

みなさんこんにちは。蓮メリちゅっちゅ至上主義者サードニクスです。見切り発射だけどやる気は多分史上最大。東方が好きでライダー好き。なら合わせればいいのです!応募楽しみにしてまっせ。
やっぱ第1話は蜘蛛だべってことで蜘蛛のあと蜘蛛。次回は多分コウモリだネ。
ダブルみたいな変身をするライダーです。
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