幻想仮面少女   作:サードニクス

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ちょい短め。言っても5000字だけども。

さて、前回の第4話は!
バイクの力も借り、ヒールはネコ女を撃破!そして輝夜達の元へ向かう一行だが、サグメがその身を預かると宣言し、変身。フェネクスとガイアが追い詰めるも、永遠亭の面々もろとも逃してしまう。帰路に着く中、天子とメリーは紅魔館へ向かった。二人は咲夜、レミリアに出会う。そんな中、レミリアは夜風を浴びるべく散歩に。突如として現れたサカナ女に襲われ、紅魔館へ戻ることになる。全く倒せず、サカナ女がフランドールへと迫る。しかしそんな状況で、レミリアはバックルを見つけた。…変身!爆誕したライダーは月夜へ飛び上がり、サカナ女を外へ叩き出したのであった。そのころ、妹紅は蓮子を引き連れヤケ酒中…。
・仮面ライダーワードレス アナライズワードレス
・仮面ライダージェヴォーダン
・サカナ女


第5話 広有極剣撃事 〜 Will You?

「つまり…私が受け継げ、と?」

 

「そう。あなたのお爺様が私に預けたこれ、そろそろ使う時だと思うの」

 

場所は変わって白玉楼。幽々子に呼び出された妖夢は、渡されたアイテムを不思議そうに見つめていた。

 

これが何であるかは知っていたが触るのは初で、ましてや自分のものになろうとは思っていなかった。喜びと恐縮で奇妙な気分なまま、幽々子の話を聞いていた。

 

「今日から…あなたが『仮面ライダー桜刀(おうとう)』よ」

 

覚悟を問うような眼差しで、妖夢を覗き込む。その目に未だ残る迷いを理解しつつも、幽々子は何も言わずにそれを渡した。

 

「使い方なら聞かなくても理解するはずよ」

 

そう言い残して姿を消す幽々子。妖夢はよくわからないままその『オビドライバー』を俯き加減に見ていた。

 

「それはそうとね妖夢。今夜は紫と朝まで飲むからお酒に合うお料理お願いできるかしら?野菜がいっぱいあると助かるわ」

 

無理矢理空気を戻すようにおどけ気味に話す幽々子。妖夢は顔を笑顔に戻して承諾し、オビドライバーをバッグにしまい、買い物に出た。

 

「さぁ、仮面ライダーの経験でどう成長してくれるかしら…」

 

幽々子は真剣な眼差しを作り、パタパタと駆けていく妖夢の背を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ま〜だ呑むの妹紅?」

 

「どんだけ酔っても一夜で元に戻るんだよ。だから呑みたいだけ呑むの!」

 

半ばフラフラ気味に叫ぶ妹紅。しかし呑んだ量の割には酔っていない。蓮子はいい加減水も茶も飲み飽きたのだが、相手がそうするならついてくしかない。苦笑いとともに次の店へ着いて行った。

 

次に入ったのは人里のうどん屋。非人食いの妖怪が住み込みで働いているので夜遅くまでやっているのだとか。

 

「ん?妹紅じゃないか」

 

先に店にいたのは上白沢慧音。妹紅の方を向いて手を振った。座っていたのがカウンター席だったので、妹紅と蓮子も慧音の横に座り、かけうどんを頼んだ。

 

「もう10時過ぎだぞ?外には気をつけろ」

 

「…怪物の話か」

 

「ああ。…やけに不機嫌じゃないか。無責任に元気を出せとは言えんがあまり落ち込むなよ?で、そこのお嬢さんは?」

 

妹紅に心配げに声を掛けると、続いて隣の蓮子の方を見た。お互い軽く自己紹介を終え、握手。ふと慧音が座り直し、蓮子を見つめた。

 

「そういえば文々。新聞に載ってたな。あれはデマばかりの新聞…というか娯楽誌みたいなものだからな。実際はどうなんだ?」

 

「なんて書かれてたかは知らないですけど変身するのは可能ですよ。まぁ、相方がいれば、の話ですけどね?」

 

「そうか。それは面白いな。二人で一人分の戦士になるとはな…」

 

「ま、私も相棒も半人前ってことですよ。なーんて」

 

 

 

 

「へっくしょん!」

 

「どうしたのよくしゃみなんて。格好は暖かそうだけど?」

 

「さぁ…?」

 

メリーとガイアは二人、外へ消えたジェヴォーダンを追っていた。地下を上がって、正門を蹴り開け、紅い月の下に飛び出た。その上空には巨剣ドラクリヤブレードを構えた黒の禍々しき悪魔。急降下と同時に斬撃。起き上がると同時に体に切り傷をぶち込まれたサカナ女は思わずうずくまった。

 

「でやぁ!!」

 

さらにアッパー。浮き上がったその上半身に乱暴に爪をぶつけ続けた。

 

「まだ…足りない!もっと斬らせなさい!!もっと争いなさい!この渇望を満たさせなさい!」

 

乱暴に声を上げ、ヤクザ蹴りを腹に叩き込んだ。ぶっ飛ばされるサカナ女の後をさらに追撃。雄叫びをあげて牙を見せるその女は、まさに化け物。異形。

先ほどの覚悟の姿はなく、ただ血を求むばかり。見かねたガイアが肩を掴んで止め、かぶりを振った。

 

「落ち着きのないやつは勝てないわよ。必死なんなのかなんなのか知らないけどさ、一旦冷静になりなさい」

 

そう言って緋想の剣を向け、サカナ女へ駆け出した。

 

 

 

 

 

「え、いいの?」

 

「いいよ。蕎麦屋だと衆目があるだろ?」

 

一杯の後のうどんを終えて二人は人里で買い物中であった。そろそろ寝た者も多いので、開いてる店はかなり少なく、ポツポツと灯りが見えるだけだった。慧音に悩み苦しみを吐き出した妹紅は、先ほどよりいくらか希望の灯った顔をしていた。

 

そんな中、妹紅が提案したのは、蓮子とメリーの妹紅宅への宿泊。先ほど語った理由もあり、蓮子はありがたくもそうさせてもらうことに。『帰るときは妹紅の家まで天子に送ってもらって』とメリーへ手早くメール。

 

帰ったら食事を振る舞おうという事で、見ていたのは野菜。河童から貰った冷蔵庫のおかげで魚は完璧に保存中なんだとか。

 

「お酒に合う野菜か…」

 

そんな中、隣で野菜を見つめていた妖夢。横が見えていなかったらしく、蓮子に衝突。お互い驚いたのち、深々と謝罪。顔を上げて二人を見て、妖夢は不思議げにその組み合わせを眺めた。

 

「妹紅じゃないの。それにあなた、夕刊に居た二人で鎧を着て戦う外来人よね?」

 

「ハハハ、宇佐見蓮子よ。相方はマエリベリー・ハーン。会ったらメリーって呼んであげて」

 

そう言って蓮子の方からハグ。銀髪少女二人は驚いた様子で蓮子を見た。

 

「初対面に抱きつくってお前…。いくら愛らしい少女だからってお前…。メリーって言う相方がいるのにお前…」

 

「握手にも飽きてきたし?今時の少女っていうかグローバルな世界なら昔からある挨拶よ!」

 

「じゃあ親しい人との挨拶は?」

 

「ほっぺにちゅー」

 

「キッス!?」

 

「そう言うもんだよ。まあ別に私が普段からそうやって生きているかって言うとノーだけども」

 

ケラケラと笑う蓮子。なにかを話そうと口を開いたその瞬間、遠くからアオーンと咆哮。うるさいなと思うものの、今日は満月。オオカミが荒ぶるのも仕方ないかと思ったそのとき、妹紅の顔が不穏に。何かに押されるように駆け出した。

 

「何か心当たりでもあるの!?」

 

「一応ね!」

 

その背中を追う蓮子と、二人の勢いにつられる妖夢。路地裏をかけ抜けてまっすぐどこかに向かう彼女。辿り着いた場所は

 

「誰もいない…くっ」

 

もぬけの殻。しかし布団の温もりでついさっきまでいたのがわかる。どうすべきか、立ち上がった瞬間、何かの影が妹紅の横を通った。瞬間的に振り向き、その影を妹紅は追った。

今度は急な出来事すぎて追えなかった二人。すっかり妹紅を見失った。

 

「ここ…あのオオカミ妖怪の家よね?」

 

疑問を抱きつつその室内を眺めるが、外へ向き直る。そして蓮子の手を掴むと、今泉影狼を探し走り出した。

 

「きっと怪人化させられたのよ!そう遠くには居ないはず!危ないからちゃんと着いてきてね!」

 

そうしてあたりを探しながら、道を駆け抜けること3分ほど。目的の相手を見つけた。刺々しい茶の怪物は、まさにオオカミ。オオカミ女と呼ぶにふさわしいものであった。

 

「はああああああああ!」

 

楼観剣で斬りつけ。しかし切り傷はあれどその身に大きなダメージはなかった。オオカミ女に胸倉を掴まれ、投げ飛ばされた。

 

「なぜ…楼観剣が!」

 

「見た感じ斬れ味というより力よ。もう少し力を入れて斬れば…!」

 

「あれで全力!」

 

蓮子の発言に焦りを見せる妖夢。もう少し力が。その発言が脳内でこだまし、あるものにぶつかる。

 

「この鎧を着れば…!」

 

オビドライバーである。ベルトであるのは帯という名前からすでに察しており腰に当て、腰の後ろでベルトを繋げた。

 

『人か霊か?』

 

「顕界の獣なら…人で倒す!」

 

そう言って心の中で変身の準備。どうすれば変身出来るかとふと左腰を見れば、鞘が固定されていた。これを見てピンときた妖夢は白楼剣を背中から抜き、鞘に収めた。

 

『変・身・承・知!ヒトノカタ!』

 

半霊が消え、その体に緑のボディスーツがフィット。黒い鎧が体を包み、兜のようなメットが装備される。

 

一言で形容するなら、黒と緑の侍。そういうのがふさわしい見た目であった。

 

「はあああああ!」

 

「これが…仮面ライダー、桜刀。…この姿では…斬れぬものなどほぼない!」

 

楼観剣をその手に一言決め台詞。オオカミ女へ駆け寄り一撃。その袈裟斬りにダメージを受け、苦しむ動きをとった。

 

「行ける…!」

 

さらに攻撃。しかしオオカミ女側も警戒が強まったのか、爪を構えて応戦の体制をとった。

 

しかし、その五本の右爪も、楼観の一閃で全て池に落ちる。

 

驚き、恐れるオオカミ女。そこにさらに柄殴りで追撃。怯んだところにさらに横斬りを入れた。

 

「ぐおおお!」

 

「すごい…!」

 

「私も驚いてるわよ…!」

 

再びかがんで苦しむオオカミ女へさらに突き。怯みの隙にハイキックを叩き込んだ。ぶっ飛ばされ、橋に。川に逃げ込もうとするが、それを許す桜刀ではない。

すぐさま駆け寄り、蹴り上げて土の上に吹っ飛ばした。

 

懲りずに牙で襲いかかるオオカミ女。しかし噛み砕かんとしたその刀の硬さ故に、むしろ歯を傷つける。すなわち、口内という大弱点をさらすこと。そのまま喉を斬りつけた。

 

「ーーー!ーーー!」

 

出せぬ声で叫びながら蠢くオオカミ女。

その化け物を前に、ゆっくりと白楼剣を引き、カンと音を立てつつ再び納めた。

 

それは必殺の合図。楼観剣にオーラを纏わせ、オオカミ女へ駆け寄ると、すれ違いざまの横斬り。

 

一瞬その動きを止め、うなだれたのち爆発。その爆風より、影狼が現れて倒れた。

 

「元に戻った…んだよね」

 

「少なくともレミリアはそうだったわ」

 

そう言って影狼を抱え上げる蓮子。息があるのを確かめ、その家へと寝かせてやった。桜刀もベルトを外してその姿を解いた。

 

 

 

 

 

 

「えっと、妹紅さんの家に泊めてもらう…?」

 

同じ頃の紅魔館前。ガイアとジェヴォーダンの姿を眺めるメリーの元へ蓮子からメール。『了解。終わったら向かうよ』と返信し、ガジェットガラパゴスをしまった。

 

当のガイアとジェヴォーダンは未だサカナ女と戦闘中であった。ジェヴォーダンの凶暴性がはじけそうになればガイアが抑え、ガイアが攻撃。そしてジェヴォーダンが攻撃し、凶暴を抑えづらくなる。この連鎖を繰り返し、決定打が入っていない状況である。

 

「シャッ!!」

 

さらにはこの流水ビーム。恐ろしい速度のそれは、流水云々以前に誰が食らってもやばそうなシロモノである。

 

ガイアもジェヴォーダンも一旦距離を置くほかない。ステップで飛びのいて避けに専念。

 

「ドラドラ!」

 

近接攻撃は難しいと判断。ドラクリヤーを呼び、攻撃するよう命令した。

 

「オーケイ!伏せろレミィ!天人!」

 

そう叫ぶと口の中よりガトリング準備。吐き出すように弾丸を撃ち放った。

 

「ぐがががが!」

 

その一撃を喉にくらい、苦しむサカナ女。水を吐こうとするも、掠れた風音がするだけ。早々に水弾を諦め、尾びれでの攻撃。近づいてきたガイアぶちかました。

 

「…ったく!」

 

仮面ライダーガイアこと比那名居天子はどちらかといえば短気な人間。冷静にジェヴォーダンを抑えて戦うより、サカナ女をすぐに倒してから抑え込む方にシフトチェンジ。ジェヴォーダンから手を離し、拳をサカナ女へ叩きつけた。

 

「シィイイ!」

 

威嚇の声を上げるサカナ女へジェヴォーダンが回し蹴り。思いっきりぶっ飛ばして、追撃せんと爪を構える。

 

「だーかーらー!落ち着きなさいなってば。ほら、私が隣にいてあいつが少し距離のある場所にいる。さぁ、どうすべき?」

 

「…一緒にフィニッシュを叩き込む」

 

「そう、正解。必殺技とかないわけ?」

 

「どうかしら。こう?」

 

『グランドフィニッシュ!』

 

『ファング!ドラクリヤエンド!』

 

ジェヴォーダンに言いつつ、レバーを引いて必殺技発動。身を低く構え、キックの体制をとった。真似るようにジェヴォーダンもレバー操作。必殺を発動した。

 

「ストライクファング」

 

『ナイトブレイカー!!』

 

「でやあああああああああ!!」

 

ジェヴォーダンはサカナ女へ向かって脚を広げてジャンプで接近。顔の前で脚を閉じ、首を締め上げた。ガイアはその下を抜けるようにスライディングキック。二人の攻撃に耐えきれず爆発。倒れ込んだわかさぎ姫を確認し、二人はベルトを外した。

 

「ふぅ、あんたはまだ訓練が要りそうね」

 

「未熟感は否めないわね」

 

ため息に二人はわかさぎ姫を抱え、紅魔館へ。問題も残りさらには建物もボロボロであったが、一応の安全の確保に安堵を抱いていた。

 

 

 

 

 

「ああ、妹紅!」

 

「どこ行ってたの?」

 

戦いが終わり、影狼の家の前で妹紅を待っていた二人。15分ほど待ったのち、彼女は走ってきた。

 

「倒せたん…だね?」

 

「私がね。それはそうと一体何を追ってたのよ」

 

「いや、人違いだった。私たちに驚いた人間だったよ」

 

そう言って申し訳無さげに頭をかく妹紅。二人の背中を押し、野菜を買うべく八百屋まで戻っていった。

 

その背を、遠くより見つめるものが一人。

 

「逃げた影は稀神サグメであった…とは言えんか。せいぜい上手くやってくれよ、藤原妹紅」

 

そう言って片翼の神霊は妹紅に背を向け、己の帰路へついた。

 

振り返りざまに、こう一言。

 

「明日の12:00、旧都入り口前。忘れるなよ」

 

そう残すと、口角を歪めて再び歩みを進めた。

 

Continued on next episodes.




「聞こえますか、これが怨嗟の声!」

その覚悟を問え。

次回、「法界の血」

乞うご期待。

みなさんこんにちは。細川さんインタビューでよもや響鬼本人出演かとざわめくサードニクスです。そこの君!細川さんが撮影とか言っててもジオウですかとか失礼なこと言うなよ!!
で、以下東方の話。
天子は偉そうでわがままだけど気に入ったやつには面倒見よくて姉御気質のイメージ。
前半は蓮刈天妹の四人三ライダーがメインになりつあります。登場の早さもそうだけど、定住してなくてもいいキャラで従者とか同居キャラが居ないから歩き回りやすいというのが理由。でもこの後の展開でこの固定はすぐなくなるからご安心を。



みんなの!変身ポーズコーナー!

はい、みなさん。このコーナーでは本作品の全ライダーのポーズをちょっとずつ紹介しようと思います。今回は〜

『仮面ライダーヒール スターボウモード』
『仮面ライダーヒール ナイトメアモード』

でございます。ではスターボウから。
まずはレンズを入れます。
そして、一号のあれ!左腕を拳にして腕を腰にして、右手を斜めに構えるアレからのレバー押し込み。

次ナイトメア!
一言で言えばブレイド!若干違うのは指を折らず、フラットな状態で甲を前にして右手を伸ばします。そしてくるっとして掌を見せ、レバー押し込みです。

ってなわけでまた今度!お楽しみに!

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