幻想仮面少女   作:さわたり

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急になげえよお前。

さて、前回の第5話は!
ジェヴォーダン、サカナ女を撃破!そのころ、幽々子からベルトを託された妖夢が人里で買い物中。そんな時に遭遇したのは蓮子と妹紅であった。そして、突然の咆哮!現れたのはオオカミ女だった。妹紅どこかへ行ってしまい、蓮子はメリーが居らず変身不可だ。妖夢はベルトを巻き、変身!見事オオカミ女を倒すのだった。終わったころに帰ってきた妹紅、彼女はサグメと何やら約束を取り付けたらしく…。
・仮面ライダー桜刀 ヒトノカタ
・オオカミ女


第6話 法界の血

「ふぁ〜、今何時?」

 

少女宇佐見蓮子は妹紅の家にて目を覚まし、布団からのっそり起き上がった。差し込む日の角度で朝11時過ぎ頃であろうと予測。立ち上がって視線を送った先の河童製時計は11:12分を指し示していた。一人得意げな顔を作り、縁側へと出た。

 

「あら、おはよう蓮子」

 

「呑んでないくせによーく寝るねぇ」

 

「疲れてるんでしょ」

 

メリー、天子、妹紅がそれぞれ朝の挨拶。全員起きたのを確認し、妹紅は朝食の準備を始めた。

 

「あんたってば不良くさいのに料理は上手なのね」

 

「不良はお互い様だよ。ま、1000年生きてりゃすることもそれぐらいになるさ」

 

米をよそってちゃぶ台に起き、続けて味噌汁と卵焼き。ちょうど四人で囲む形で朝食を始めた。

 

「実は私達今日は稗田家行こうと思うんだけどさ、妹紅と天子はどうするの?」

 

「私は用があるからパスだね」

 

「私はいいわよ。付いて行くわ」

 

味噌汁をすすりながら問うメリー。肯定の念を返したのは天子。四人はささっと食べ終え、準備。慌てて寝癖を直す蓮子をメリーと天子はバイクを用意しつつ待機。フェザーチェイサーに乗って先に去る妹紅を二人が見送ったころ、蓮子が準備完了。チェイスナイターの後ろに乗ってメリーの腹に手を回して掴まった。

 

「じゃ、行くわよ!」

 

天子の元気満点の声に合わせて、メリーもバイクを前進させた。

 

 

 

 

 

「さぁ、約束は果たしてもらうよ」

 

「若干早いな。まあ、いいか」

 

腕時計を確認しつつ、稀神サグメは旧都入り口前にて妹紅を手招いた。

 

「罠だったとしたらどうなるかは分かっているよね?」

 

「八意様や姫様をダシにして罠などしかけるつもりはない」

 

「なら信用させてもらうよ。永遠亭の住人は地底で保護してるんだな?」

 

その言葉に真剣な眼差しで頷く。その顔に偽りはないのだろうと信用し、彼女の後を追った。

 

 

 

 

 

「ひっろい屋敷…」

 

「予想以上よ…」

 

稗田家に入れてもらった三人。屋敷の召使いに連れられつつ、阿求のいる部屋へと向かった。見渡しながら驚く二人をよそに、まるで実家を歩くような堂々さで天子は突き進んでいた。

 

「あの図々しさ、いっそ貰いたいぐらいね」

 

半笑いにため息の蓮子。聞こえていたのか、天子は振り向くと得意げな顔で蓮子を見た。シャフ度ドヤ顔と言うべきか。

 

しばらく廊下を歩いたのち、大きな客間へ案内された。その先では阿求が座って彼女達を迎えていた。

 

「ようこそ、私が稗田家現当主の稗田阿求です」

 

「「はじめまして」」

 

「久しぶりね」

 

しっかり頭を下げる二人の横で堂々の態度の天子。縁を踏むのも気にせずズカズカと畳の上を歩行。阿求の前にどっしり座った。

 

「貴女は何の用なのよ」

 

「用なら無いわよ。あの子達に付いてきたの」

 

「その子達がまだ座ってないのに付いてはどうお考えで?」

 

「鈍臭いなとしか」

 

ベラベラと皮肉の応酬を続ける二人を尻目に、蓮子とメリーも座り込んだ。

 

「私達は幻想郷について知りたくて…その、外来人なんで」

 

「しかも未来からの」

 

その言葉に頷き、書斎へ三人を招くモーション。従ってついて行く三人。大きさのあまり、秘封倶楽部は屋敷を見たときと同じような動きで驚きを晒した。

 

「そう言うことなら幻想郷縁起が…」

 

背伸びしつつ取った和綴じの本から何かが落ちた。メモ用紙のような古ぼけたそれを蓮子は拾い上げて返そうとした。しかし部屋を見たとき以上の驚きの表情でフリーズ。何事かと覗き込んだメリーも、蓮子ほどではないが驚いていた。

 

「私の書いたメモじゃない!100年前に迷い込んだ時のよ!」

 

驚いきつつ蓮子の手からメモを取り、阿求に返却。未だに不思議そうな顔をしつつも、二人は阿求に招かれて椅子に座った。

 

「まずはここの地理から…」

 

 

 

 

 

語ること3時間ほど。二人は食い入るように幻想郷縁起を見つつ、阿求の話を聞いていた。

地名、施設、歴史。しかし最も興味深いのは妖怪についての話。それこそ本に出てくるような多種多様な妖怪達の話に二人は興奮しっぱなしであった。

 

「と、まあこんなものですね」

 

「天人の項があるんなら私についても記しなさいよ」

 

「現在執筆中よ。…そういえば、少し前に外来の機械がここに持ってこられてたんですよね。先ほど話したメディスン・メランコリーが先日盗んでしまったのですが、現場を見た人によると、鎧を着るためのアイテムなんだとか。使うと死亡すると言うことですが、貴女達はなにかご存知だったり?」

 

「いえいえ、このアイズバックルを使うまでただの一般人だったんですから!」

 

「ただの一般人は貴女みたいに境界は見えないわよ」

 

「歩く月時計にそれを言われたくないわね。まぁ、ただの計算なんでしょうけど」

 

「失礼しちゃうわ。れっきとした超能力よ!」

 

阿求は皮肉気味にじゃれ合う二人を楽しげに眺めていた。そんな最中ふと立ち上がって外を見上げた。

 

「アレ…」

 

指差すその先の黒い点を見た天子はまたかと顔をしかめて飛び出した。秘封倶楽部もよくわからないままその後を追った。

 

「どうしたのよ!」

 

「天人の視力なめないでよ!アレはカラスの怪物。多分天狗よ!」

 

そう言ってグラウンドスピーダーに飛び乗り、空の点を追った。同じく二人もチェイスナイターに乗り込み、その轍を踏みなおした。

 

『ガイア・ザ・アース!』

 

『we are star night fantasy!』

 

変身しつつ先を急ぐ。すると、こちらに気づいたのか急降下。立ちはだかる形でカラス女は着地した。

 

「さぁ!地に還れ!」

 

『「満天の月夜、見せてあげるわ!」』

 

ガイアとヒールは決め台詞を放ち、カラス女へ突撃。同時にキックを叩きつけた。カラス女はぶっとばされつつも受け身。空へ舞い、すれ違いざまの羽根での攻撃へシフトチェンジした。

 

ガイアとヒールもそれぞれ緋想の剣とフォンブレイドで応戦。横を呼ぶその一瞬に、刃をぶつけた。

 

しかしそこまでのダメージではないらしい。悠々と飛び回るカラス女に三人は苛立ちを覚えていた。

 

『ねぇ、代わって!ナイトメアで狙い撃ちましょう!』

 

「あなたアレを撃ち落とすエイム力あるの?スターボウのまま近づいたところをやった方がいいわ!」

 

『それも…そうね』

 

結局モードチェンジはやめ、この戦い方に。そんな中、ヒールはアタックドロップを構えた。

 

「くあああああ!」

 

『jump eyes!』

 

近づくカラス女の前で大ジャンプ。飛び上がるカラス女の背に掴まった。振り落とさんと暴れるカラス女の背にブレードを突き立てた。

 

「ギッ!」

 

しかし痛みのせいでさらに暴走。そのまま目の前の店の壁に激突。舞い散る土埃の中、カラス女は飛翔、ヒールは墜落。姿が見えなくなるほど遠くに消え、追跡は不可能となった。

 

「こいつは面白い…仮面ライダー、か。河童に作らせてみるとするかね!」

 

その姿を影から見ていたのは萃香。楽しげに笑うと、パタパタと走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

「うーむ…」

 

戻ってきてみると阿求が部屋の中を悩ましげに歩き回っていた。

 

「どうしたんですか?」

 

「うーん…その、これがおそらくあの怪物によるものと思われる被害者の住んでいた家なんですが…」

 

そう言って見せた地図を見て、天子は少し不思議に思った。やけに範囲が広いのだ。殺害された時間も細かく書かれていたが、明らかに移動できる時間ではない。というか3分とか、そういう間隔で起こっていた。

 

「複数居るかもしれないってわけ?」

 

「ええ、暴れまわるスパンは他の怪人と同じなんですが、いかんせん場所の検討がつかないんです。その辺について鈴奈庵で聞いてくるので、一旦お話は終わりということで…」

 

その言葉に秘封倶楽部二人は頷き、クルッと踵を返した。

 

「予測をつけるためにも被害者の居た部屋を見て回りましょう。天子も一緒に来てくれるかしら?」

 

蓮子はそういうと、足早に駆け出した。その背を天子は半ば感心の混ざった顔で見ていた。

 

「やけに頑張るわね」

 

「あの子、あれで責任感強いから。合理主義的な所もあるし、これ以上絶対に被害は出さないっていう強い思い入れがあるんじゃないかしら?まあ、私もそこは全く同意だけど」

 

そう言って駆け出すメリー。その背に追いつくと、天子は二人の肩に手をおいた。

 

「捜査も良いけど、まずはここの奴らに協力を仰ぎましょう。幻想郷の大半の勢力はここ二日で巻き込まれたせいで動き出すはず。でもここは別」

 

そんなことを言いながら、天子はささっと書いたメモを蓮子へ渡した。命蓮寺。それがその寺の名である。

 

「そこの奴らは篭ってることが多いからね。こいつらが動けば仙人どもも動く。調査は私の方でしとくわ。あなた達で話しなさい」

 

そういうとグランドライバーを装着。グラウンドスピーダーに乗り込み、真っ直ぐ人里へ走らせた。

 

「全く、無茶言うんだから」

 

そんなため息をつきながら、メリーはチェイスナイターを駆動。後ろに蓮子が乗ったのを確かめるとメモを貼り付け、そこを目指して走り出した。

 

 

 

 

 

 

「あら、こんなところで吸血鬼達がピクニックとはね」

 

「無明の丘は今日が初めてね」

 

日傘の下でのんびり寝転がるレミリアに対して話しかけたのはメディスン。その声にサングラスを外し、レミリアは起き上がった。

 

「毒人形のあなたこそ、ここで何してるのかしら?」

 

「私はここに住んでるのよ」

 

「ふーん、そういえば咲夜。ここなんか空気淀んでない?」

 

そう言って振り返った瞬間飛び込んだ咲夜を見た瞬間レミリアは驚きつつ吹き出してしまった。

やけにごついガスマスクをしていたのだ。見れば、一緒に来ていたパチュリーもしていた。

 

「いえ、実はここには強烈な毒を持つ妖怪がいると聞いていたので」

 

「それは最初に言いなさいよ。私だってちょっとは影響あんのよ」

 

そう言って紙マスクを装備。それでいいのかという視線を送るパチュリーをよそに、レミリアはくつろぎ直した。

 

「あなた、変身する外来人のこと知ってる?」

 

「知ってるわよ。メリーって言うんだけどね」

 

「今どこに居るの?無縁塚に埋まってる?」

 

「なんで死んでること前提なのよ。人里に居るわ」

 

レミリアの一言にメディスンは困ったような顔をした。人は嫌いなのだ。そのことを伝えつつ頭をかいてみるが、レミリアは依然笑ったまま余裕の様子である。

 

「でも別に見たらすぐ殺すとかそう言うわけじゃないでしょ?」

 

「嫌いだし慣れ合う気もないけどね…。でも、閻魔様に言われてからは見に行くぐらいはしてるけどね」

 

「なら良いじゃない。人をよく知らぬあなたのためにも人里案内してあげるわ。もちろん、メリーに会わせたらね。それにしても、なんだって例の外来人に会いたいのよ」

 

「これよ」

 

そう言って彼女が見せたのは何やら奇妙な機械とカプセル群。いかにも危険そうな見た目で、積極的に触る気はしないものであった。

 

「それ…もしかして変身アイテムだったりするわけ?」

 

「さあ?それを知るためにも…」

 

「人里に…ね。咲夜、準備して。人里に向かうわよ」

 

レミリアはそう言って素早くピクニックのセットを片付けた。パチュリーは先に帰ると伝えると、空を舞って紅魔館へ。残された三人は無明の丘を離れ、人里へ向かった。

 

 

 

 

 

 

「なるほど…怪人被害、ですか」

 

命蓮寺に到着した秘封倶楽部は彼女らが思う以上の歓迎ムードを浴びた。命蓮寺は人里から結構近く、歩いても良いのではというほどであった。

 

住職、聖白蓮の元で二人は簡潔に事件の概要を話していた。自らが未来からの外来人であること、戦った三人の怪人、人の被害が広がっていること。その話全てを聖はしっかりと受け止めていた。

 

「ですから、妖怪たちから信頼が厚く、自身の力も強いあなたなら…」

 

「状況の打開に一役買える…と。分かりました」

 

聖は深刻な顔で頷き、立ち上がると外出の準備を始めた。

 

「今すでに怪人がいるんでしょう?向かいましょう!」

 

そう言って飛び出した彼女の後を追い、秘封倶楽部も外に。

結局移動の都合で三人でチェイスナイターに乗るというシュールな状況となった。

 

 

 

 

 

「あなたは隠れてなさい!」

 

「大丈夫よ!あんな妖怪!」

 

「大丈夫じゃないから言ってんのよ!」

 

同刻の人里。現れたカラス女に人々は逃げ惑っていたら。その中立ちはだかるのは仮面ライダーガイアとレミリア。その後ろのメディスンを守る形でレミリアは立ちはだかっていた。

 

「怪人は妖怪でも大怪我するレベルに化け物なの。怪人退治は…」

 

『覚醒!』

 

「仮面ライダーの仕事よ。変身」

 

そうカッコつけた一言を放ったのち、腰に巻きつけたヴァンパイアリングのレバー引いて右手を掲げる。ゆっくりと下げつつ顔に当てるポーズののち、ヴァンパイアリングの口を閉じシークエンスを終わらせた。

 

『ジェ・ヴォー・ダン』

 

「さあ、楽しい殺戮を始めましょう」

 

決め台詞。心の中でキマッたと得意げな顔。日傘を投げ捨て飛び掛った。

 

「あっづ!あづづづ!」

 

飛びかかった瞬間煙を上げつつ転倒。その勢いをそのままにゴロゴロ転がって屋根の下に。情けない様子で首を横に振った。

 

「変身したら大丈夫とかそういうことはないのね…」

 

時刻は現在15:04。日光は下がりつつも凶暴に照っていた。

 

「あー、その、ご苦労様」

 

いつのまにか到着していたメリーからの優しげな言葉。しかしレミリアからすれば、その気遣いこそ恥ずかしさの起爆剤である。顔を真っ赤にして目を背けた。

 

「白蓮さんはここにいてくださいね。私達が戦うんで」

 

『look the star…』

 

「「変身!」」

 

『star night fantasy!』

 

そんなレミリアをよそにバイクを降り、聖を残して二人は手早くヒールスターボウモードとなり、フォンブレイドを組み立ててカラス女へ向かった。

 

「だあああああ!」

 

「でやっ!」

 

ガイアとヒールの同時パンチ。しかし咄嗟で避けたカラス女のせいで、二人はその拳をぶつけ合ってしまった。手をさする二人をよそにカラス女は飛び立った。その下をグラウンドスピーダーとチェイスナイターが駆ける。

 

「…そういえばここ、ガラケーの方つけたらどうなるのかしら」

 

そんな中蓮子がふと疑問を口にした。メリーのやってみなさいよの一言にて決定。ガジェットガラパゴスを取り出し、バイクの計器たちの横のスロットへセット。Enterボタンを押した。

 

その瞬間、何やら音を立て始めたチェイスナイター。戸惑う秘封倶楽部をよそにガタゴト変身。気づいてみれば、そこには巨大なロボットが立っていた。

 

「嘘でしょ…」

 

『何目輝かせてんのよ。追いなさいよ』

 

メリーの促しに頷き、走ってそのあとを追う。しかし、空中でカラス女がグルグル旋回しているのを見て、チェイスナイターは立ち止まった。何事かと疑問符を浮かべる三人をよそに、チェイスナイターはガトリングガンを構え、発射。いくらか当たったのか、ふらつくカラス女。

 

『今よ!』

 

「そんなの…」「分かってるわよ!」

 

メリーの合図にそう返しつつ、かたや土のカタパルトで、かたやジャンプのアタックドロップを使い、ガイアとヒールはハイジャンプ。緋想の剣とフォンブレイドで切り掛かり、その翼に傷を入れる。

 

「クエエ!」

 

奇声をあげてフラフラと落ちるカラス女。そこに対してチェイスナイターの追撃。猛烈なパンチにぶっ飛ばされ、床を滑った。さらに土がカラス女を拘束。重力に任せたガイアの急降下パンチがカラス女を襲った。

 

「ぐううう!」

 

悲鳴をあげるカラス女へさらに回し蹴り。ヒールもアタックドロップを持ち、必殺技の準備をした。

 

そんな中チェイスナイターが何かを思い出したかのようにダッシュ。カラス女を掴んで引きずると、ヒールの目の前で空中にぶん投げた。一瞬戸惑うも、すぐさま準備。

 

『kick eyes!』

『spinning eyes!』

 

「ライダー…ブレイク!」

 

落ちてきたカラス女へサマーソルトキックを叩き込んだ。その様子を見守ったのち、チェイスナイターはバイクへと戻った。大爆炎ののち、煙の中からはたてが起き上がった。ヒールは安心した様子でガジェットガラパゴスを外した。

 

「結構派手なもんね」

 

「よかった…」

 

遠くから眺めるメディスンと安堵した様子ではたてへ駆け寄る聖。しかしはたてはそんな聖とヒールへ回し蹴りを叩き込んだ。

 

「何…!?」

 

今まさに変身を解こうとしていたガイアも手を離して警戒態勢へ。そんな少女達をよそにはたてはその体から電撃を放った。

 

舞い散る砂煙。防御姿勢を解いた彼女らの視界から携帯を残し、はたての姿が消えていた。焦りにも似た戸惑いを抱き、辺りを見渡す。そんな中、ヒールの腿横で何かが振動する。恐る恐るそのガジェットガラパゴスを開く。

 

「unknown addressから…メール?」

 

そう言って戸惑う蓮子の肉体に突如電撃が伝う。悲鳴をあげて身悶えていたが、その体の動きはすぐに止まり、変身が解けてメリーを弾き出しつつ蓮子は倒れ伏した。

 

「ねえちょっと!蓮子!」

 

その体を揺さぶるメリー。命のあることにひとまず安心しつつも、戦えない状況に置かれてしまった。日はまだ照っている。ガイアからの目配せに、レミリアはうつむいたままかぶりを振った。そんな事情はよそに、携帯から青白い異質の怪人が這い出た。電気を固めたようなその見た目の怪人。電波女である。

 

「私がやるしかないって訳!?」

 

ため息をつきつつ拳を構えて殴りかかるガイア。しかし、突如その姿を消して背後に出現。ヤクザキックをガイアの背に叩き込んだ。

 

「携帯からワープできんのね…!」

 

天子はその能力に気づいたが、もはや遅い。転んだガイアに対して電波女は蹴り上げを叩き込み、転がし、さらに踏み付け。首を掴み、長屋の壁へぶつけた。

 

「ぐっ…」

 

力尽きて変身が解けるガイア。無理矢理起き上がろうとするも、邪魔者を倒した為に電波女はその注意を天子から外した。そしてゆっくりと携帯に歩み寄った。

 

「そうか…移動経路が分からなかったのって…電波時計を買った家にワープしてたから…」

 

その真相を掴み、天子はワープをさせまいと体を引きずりながらその手を伸ばした。しかし届く気配すらない。また人が死ぬのか。絶望したその一瞬、踏みつけられたことで携帯が破壊された。

 

「させませんよ」

 

聖であった。移動手段を一つ断たれ、立ち止まる電波女。しかし聖が邪魔者であることを認識したのか、右手でパンチを叩き込んだ。ぶっ飛ばされたその先にいたのはレミリア、咲夜、そしてメディスン。焦るレミリアは何かを思い出し、メディスンの方を見た。

 

「その紅白のカプセルとその機械で…」

 

「変身しろって?いやよ。なんで人間のためにわざわざ殴り合わなきゃいけないのかしら?」

 

「今更そんな…!」

 

困った様子で立ち尽くすレミリアをよそに聖がメディスンに接近。毒も気にせず、その手から複数のカプセルと機械を取った。

あまりに自然な、躊躇いのない仕草だったが故にメディスンは思わず手を離してしまった。

 

「…って、なんのつもりよ。返してくれるならいいけど、その毒、絶対ヤバいわよ。スーさんの毒も一切比べ物にならない。即死モノ」

 

「だからといって、あなたが今使うわけでもないでしょう?」

 

その一言に黙ったメディスンを尻目にその腕にその機械を巻きつけた。その名を、メディットブレス。

 

「これ、妖夢さんに渡しておいてください」

 

そう言ってレミリアに木札を渡すと、電波女の前に立ちはだかった。

 

「……正直、ここに来て怖いと思うなんて予想してませんでした。生の執着はともかく、死そのものを恐れるなんて」

 

自嘲気味にため息をつき、赤と白のブラッドリリィカプセルをメディットブレスの試験管型のパーツに挿入した。

そして身を低く構え、両腕を左側で構えるポーズ。

 

「…………変っ………身っ!」

 

その掛け声を放ちつつ、ゆっくりと息を吐いてメディットブレスの試験管を内側に畳み込んだ。

 

『GRADE UP……… FAZE 1』

 

カプセルから飛び出た液体が聖の血管を伝い、全身に赤い線を刻み込んだ。そして紅白の溢れ出た粒子が鎧を形成し、その姿をなした。

 

仮面ライダーメディス。白き機械の装甲を血管のごとき赤いラインが走っている。不気味で、どこか禍々しいものであった。

 

「あっ…がっ…うああああああああ!!」

 

絶叫。悶絶。倒れこみ、苦痛にのたうちまわるメディス。その姿を誰もが絶句したまま見つめていた。

 

「ダメですよ……聖さん、死んじゃいますよ!」

 

堪らず駆け寄ったのはメリー。しかしその歩みをメディスは制し、首を振った。

 

「大丈夫です…んがっ」

 

体内を這いずり回る激痛に、人と思わじき声をあげる。しかしそれでも無理矢理立ち上がり、マスクの奥の両目で電波女を見据えた。

 

いいかげん苛立ってきたのか、電波女がバチバチと音を上げながら駆け寄り、その首根っこを掴んだ。

 

「うっぐっ…」

 

そしてジュウジュウと焼けるような音が響く。

 

「ギエエエエエエエエエ!!」

 

その音は、電波女の右手からのものであった。焼けただれるその手を抑えながら後ずさる電波女に、一歩ずつメディスは詰め寄った。

 

「聞こえますか、これが怨嗟の声!命を奪われたものの声です!」

 

まるで苦しみを誤魔化すような強気な一言。そして右手を握り、その拳を電波女の腹に叩き込んだ。

 

身をかばいながら、電波女は近くの電波製品を探した。そして見つけたのは蓮子の手元に転がるガジェットスマート。逃げられる!飛び込むように駆け出す電波女。その手を触れようとした。

 

「させませんよっ!げほっ!」

 

咳混じりの聖の声。手がガジェットスマートに触れようかという一瞬、銃弾がそれを弾き飛ばした。驚いて振り向いた電波女の顔に銃撃。メディスの手にはト字管を模した銃、エクスブライガンが握られていた。

 

続いて赤と茶のカプセルをエクスブライガンに挿入。メディットブレス右部のボタンを押し、必殺を発動した。

 

『INCREASE EFFECT』

 

身を低く構え、そのトリガーを引く。エクスブライガンから放たれた弾丸が着弾。同時に電波女の体をツタが締め上げ、バキバキと気味の悪い音を立てた。小爆発ののち、草がほどけ落ち、はたてが倒れ伏した。

 

「終わった…」

 

ため息をついたその時、エネルギーを使い果たしたのか、変身が解除。膝をついた。

 

「白蓮さん!」

 

再び駆け寄るメリー。無事でよかったとその顔を覗き込んだその瞬間、顔を真っ青にして後ずさった。

 

「う、おえぇぇっ!」

 

突如の嘔吐。どうしたのだと他の少女達も聖の元へ顔を向けた。

 

そんな彼女の元からボトボトとなにかが煙を上げつつ溢れ落ちた。

肌色と赤が溶け合い、ピンクとなったその液体を見て、天子も、咲夜も、レミリアも、メディスンでさえもその口をつぐんだ。

 

「あっ…アアッ……」

 

喉が焼かれたのか声にならぬ嗚咽をこぼす白蓮。まるで何かをつかもうとするかのようにその右手を目の前に伸ばす。

 

「にぃ………」

 

その一言を残し、ついにその身は人に形を保つのを諦め、タンパク質の塊として地に溶け落ちた。

 

「うわあああああああああああああああああ!!!」

 

ショックのあまりの絶叫、号泣。メリーは吐瀉物と涙の混ざった唾液を吐き出しながら泣き叫んだ。

他の面々も暗い顔をしたり、目を背けたり、青ざめたまま事実を受け入れきれず目を見開いていたりと、目の前で起きたその事実に動揺のない者はいなかった。

 

Continued on next episodes.




「こんなわけわかんない気分にさせてくれたお礼はしてやるわ」
次回、「ポイズン・リリィ 〜 Forbidden Doll」

みなさんこんにちは。5話の感想の無さに心折れかけのサードニクスです。しかもお気に入り七人やで。私の作品だから人が来ないのかクロスオーバーだから単にダブってる人が少ないだけなのか…
で、今回の話ですけど。トラウマ回になったらいいなだなんて。しかしレミリアといいゲロシーン多いな。食事中の方いたらごめんなさいね。確実におらんけど。
個人的にフェネクスがあまり活躍してないのが問題点。まあ、ちょっと後に強化あるからええんやけど。
というか今回はあんまりガイアが戦えてなかったな…。みんな活躍させんのってむずいね。しかしいつもメディっていうせいで地の文でメディスンって書くのに違和感すごいな。しかもメディスとメディスンが一緒に居るしな!
さて、私が更新のない間は何をしていたか。実はプロットを作っとりました。なんで、もう第10話までストーリー出来てます。こっからは早めに出来るかなーとか。


みんなの!変身ポーズコーナー!

今回はガイアです。ポーズは両フォーム共通!
まずオーブをグランドライバーに入れて閉じます。この後、左腕を横腰にやりつつ、右腕を構えます。その後は逆転させつつレバーを引きます。ちょっと橘さんポーズに近いかな。でもわかんないと思うんでアナログで書きました。5分ぐらいで書いたんで下手なのは気にするな精神。グランドライバーはカラーリング決まっとらんのです。

【挿絵表示】

このポーズを左右逆転させつつレバーを引きます。
で、その後左腕を内側、右腕を外側にして胸の前で腕をクロス。岩が体にまとわれたのち、手を広げつつ岩をキャストオフ。ガイアが中から現れます。と、同時に変身音。これで変身完了。後は「さあ!地に帰れ!」の決め台詞で変身完了です。
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