サグメは永遠亭の住人を地底で保護しているという。それを信用した妹紅と共に、彼女は地底へ…。そのころ、秘封倶楽部と天子は稗田邸へ。この幻想郷について様々なことを学ぶことにした。そんな時、カラス女に遭遇。逃げられてしまうが、三人は倒すことを決意。天子が捜査を続ける中、秘封倶楽部は命蓮寺へ協力を仰ぐのであった。すぐに向かおうと言う聖を追い、人里へ。ドグマとガイア、遭遇したカラス女を撃破!しかし、はたては間髪入れず電波女へ。ガイアヒールともに負け、ピンチ。そんな中、聖が人里に来ていたメディスンからアイテムを奪う。そして、変身。電波女を倒すが、変身の副作用で体が溶けて死亡してしまう。
・仮面ライダーメディス ブラッドリリィフォーム
・カラス女
・電波女
「はい…そういう訳でご葬式の予定は今日は入れられないんです。本当に申し訳ありません」
「分かりました…。じゃあ、せめてこの人形の供養をお願いできますか?あの子のお気に入りだったんです。…妖怪になって人を傷つけたりしたら、あの子も悲しむから…」
雨というのは人ならば誰でも気が滅入るもの。今日とてそれは例外ではなかった。
聖白蓮が
聖が居なくなったせいで予定が混み合い、今日の葬式はお断りせざるを得ない。娘を失った父に、星はそう語った。
「このお人形はお預かりします」
丁寧に頭を下げて小さな人形を受けとると、星は本堂へと戻って行った。
「全く、ご本尊がこんな走り回って、感心しないなあ」
ナズーリンは苦笑気味、されどどこか誇らしげな様子で溜息をついた。
「…あの子、泣いてる」
そんな中、廊下を走る星を見ながらメディスンが一言。ナズーリンは疑問を抱いて顔を向けた。
「あの子?」
「あの虎さんが持ってたお人形。あの子、主人が居なくて悲しいって…。そんなに人間と居たいのかしら。好き勝手いじられて操られるだけなのに」
「…我々妖怪、無論君も、人間ありきと言える存在だ。まあ毘沙門天様の使いの私は微妙なラインだが…人形ならなおのことだろう。自分の存在意義を果たすのは幸福じゃないのかい?」
「私の存在意義って…捨てられることなの?」
「…果たせなかったのか、君は。だったらむしろ、他の人形に職務を全うさせてやるべきだと思うが?」
「…よくわかんないわ」
メディスンはそう吐き捨てた。しかしナズーリンに言ってこそいたものの、これはむしろ自身の心境に対するものであった。目の前で人間が死んだだけ。しかし、少なくともいい気分と言える心持ちではなかった。そんな自分に、彼女は、その言葉をぶつけてもいた。
「また外出かいご主人は。私が行こうかい?」
「いえいえいいんです!」
そんな中、星が再び廊下をパタパタ駆けた。話しかけるナズーリンに対し、遠慮気味に手を振って星は外に消えて行った。
「ちょうどいいね…これは」
そんな毘沙門代理の背を、黒い影が追っていた。
「あーれ?霊夢は居ないのか?」
「今日は居ないみたいよ。というか、地底に行ったまま帰ってこないとか。なんとか」
同じ頃の博麗神社。魔理沙が来た時には華仙がすでに先客として来ていた。
「やれやれ、雨の中来たってのにあいつは」
ケープの水を払いながら、つまらない顔で縁側に座った。そうして外を眺めていたのは、華仙も同じであった。
「あなた、まだ食べてないの?もう24時間近くそんなじゃない」
「うん…」
所は変わって妖怪の山。はたては自分の小さな家の中で、布団に丸まったままぼうっとしていた。隣で心配の言葉をかけ、おにぎりを置いた文にもただただ生返事。そんな様子を見つつも、できることが見つからなかった文は、とりあえず外に出た。
「雨、ひどいな」
「…伊吹様ではないですか」
そんな文に対し、いつのまに来たのか、萃香が話しかけた。背を家の壁に預け、腕を組んだポーズ。いつものハイテンションとは似ても似つかない、落ち着き気味の声色だった。
「よそよそしいな。もう立場なんてないんだ。別に萃香って呼び捨てでもいいんだけどね」
「そうはいきませんよ」
「…はたてはどんな様子だ」
「もしやあの子が心配で?」
「そんな訳ないだろう。たまたま玄武の沢の方に用事があったからさ」
「…レミリアさんも橙さんも暴れていた記憶はないって言うんですがね、なぜかはたてはあるんですよ。人を殺した記憶も、目の前で…自分を止めるべく人が死んだことも。原因は分かりませんけど…」
萃香はそうか、と軽く返して若干俯いた。流れる沈黙はそう続かず、萃香が再び口を開いた。
「…目の前で命の掛かる戦いを見んのは久しぶりだったよ」
「あの住職の話ですか?」
「そう。近くじゃなかったから助けにも入れなかったしね。あんま気分がいいもんじゃないね、人が溶ける瞬間てのは。最近食べてないからちょっと驚いちゃったよ」
「それは、まあ確かに。…人里の被害者の人数、知ってますか?」
「死亡者83人。大怪我は71人。そろそろシャレにならない段階だね。例の戦士、仮面ライダーだっけ?あいつらがいなきゃもっと多かったろうね」
「…異変、なんですかね」
文のそのつぶやきに、萃香はかぶりを振って応えた。
「そんなもんじゃないさ。…異変なんかじゃ、済まされない。事件、かな。もしくは災い。こんなんじゃ祭りも出来ないし、そこもかしこも葬式ムードだ。神社には霊夢はいないし。おかげさまで久しぶりにシラフの感覚を味わったよ。幻想郷のせいで一人酒が出来ない体になっちまった訳だ」
「それは困りますね。萃香さんの体の98%はアルコールだと言うのに」
「スピリタスかわたしゃ。ったく、このままじゃつまらんしさ、さっさと怪人騒ぎの首謀者、ぶっ倒して欲しいんだよね」
「それで河童に、ですか」
「なんだい、知ってるのか。ま、そういうことだ。私はそっちに用があるんだ。じゃあね」
そう挨拶をすませると、後ろ手で手を振り、雨に打たれながら森の中に消えて行った。
「人里が心配ならそう言えばいいのに」
萃香の目にこもる感情を文は見逃していなかった。人の優しさに触れたような温もりを感じつつ、文は再びはたての家の扉を開けた。
「おーい、進捗どうだーい」
玄武の沢の河童のアジトにて、萃香はにとりの様子を見ていた。かちゃかちゃと弄る手を止めて、深いクマを刻んだ顔を上げた。
「あと8日。徹夜です」
カッスカスの声をひねり出してそう告げた。
「…もう少し、早くできないかい?」
「これでも急いでるんですけどね」
「……頼む」
萃香の出した声色に、にとりは首を傾げた。やけに深刻で、いつぞやの「みんな楽しそうだから私も混ざりたい!」と言った時の雰囲気とは似ても似つかないものであった。
「一体どうしたんですか?」
「どうもしてないよ。ただ、暇だなって」
その様子を見て、にとりは何か深い事情を感じ取った。どうしようかとしばらく頭をかいていたが、仕方ないなと溜息を吐き出した。
「おーいみんなー!悪いけど私のやってる作業手伝ってくれないかなー!」
拡声器を取り出し、ラボ中に響く大声で河童たちに声をかけた。しかしどの河童も作業から手放せないようで、誰も彼も口々に否定の意思を述べるだけであった。
「…責任は全部私が取る!依頼者のいる案件なら私が頭を直に下げに行く!個人的作業なら私が何かしら埋め合わせをする。だから!」
大声でそう言い切ると、腰を折って、90度を超えるレベルで頭を下げた。皆気圧されたのか、戸惑っていたが、すぐにその手を止めてにとりの元へ来た。
それぞれ仕方ないなとか、飯は奢れよとか口々に語り、にとりのデスクの機械を弄り始めた。
「これなら…3日で終わります。何があったか知りませんが、頑張ってくださいね」
そういうと近くに置いてあったエナジードリンクのタブを上げ、一気に喉に流し込んだ。
「おっしゃあ!じゃあやりますかぁ!」
萃香へとサムズアップを送ると、腕を回し、体を伸ばしたのち自分のデスクへ駆け寄って行った。
「…悪いね。いい友人を持ったもんだよ」
そういうと、萃香は自分も準備をしなくてはと外へ駆け出した。
「…ひどい雨ですね」
「日が照ってない点は助かるんだけどねぇ。対流水魔術はせいぜい10時間が限界だからそんなに外には出たくないのよね」
団子屋の外の椅子でドラクリヤーに乗ったレミリアと妖夢はみたらし片手に話していた。レミリアから聖の話を聞き、妖夢は微妙な顔をしていた。泣くような接点はないが、気分のいい話じゃないのは確かである。なんとも言えない気持ちで文々。新聞を取り出した。
「こんな大騒ぎなのに、今日のはなんというかスクープ性というか、面白さを煽らない記事ですよね」
「オイラはあんまり信用しないことにしてるんだけど…確かにヘンだな」
命蓮寺住職失踪。それは一面を飾りつつもあやふやことしか書かれておらず、いつものような捏造と偏見にあふれたものではなかった。事実でないという点では捏造と言えるのだが、命蓮寺の対応と全く同じことが書かれているのは文々。らしくない。それが妖夢の見解であった。
「それもそうね、あのブン屋にしちゃ珍しいよ。…そういえば、あなたにこれ。あの坊主からよ」
突如何かを思い出したレミリア。ゴソゴソと手提げカバンの中を探し、木札を取り出した。
「渡してってさ」
「これ…魔界語のメッセージとなんかの呪文ですね。法術?」
「なんて書いてあるんだ?」
「…『地底にオウカオーが居る』『これを持っていなさい』の二文です。呪文は…なんだろう、不完全な召喚系魔法に似てるけどイマイチ分からないなー」
不思議そうに見つめていたが、頷くと懐にその木札をしまった。
「とりあえずの行動の指針は決まったかな。後で伝えとかなきゃ」
「一回帰るの?」
「いえいえ、この陰陽玉。紫様が作ったんですけど、これで通信ができるんです」
それに対して、レミリアは便利なものねと繋ごうとした。しかしその声が悲鳴にかき消される。
何事かと二人はそこの現場に向かった。
予想の通り、そこに居たのは怪人であった。黄色と黒のラインが目立つ、トラ女。誰が操られているかは明確であった。
「全く…このタイミングで…」
「とにかく倒しましょう」
『覚醒!』
『人か霊か?』
二人は溜息をつきつつ、ベルトを装備。トラ女の前に立ちはだかり、かたやレバーを引き、かたや背から白楼剣を抜いた。
「変……「変身」……身!」
二人の声は重ならず、雨の音に混ざってずれて響き渡る。それぞれポーズを決め、シークエンスを終えた。
『ジェ・ヴォー・ダン』
『変・身・承・知!ヒトノカタ!』
「この桜刀の振るう妖怪の鍛えた楼観剣に…斬れないものなど…ほぼない!」
「さあ、楽しい殺戮を始めましょう」
「行くぜレミィ!」
桜刀とジェヴォーダンが並び立ち、トラ女へと駆け出した。その後ろでドラクリヤーは援護態勢をとった。
「でああ!」
ジェヴォーダンの鋭い爪が刺さる。しかしそこまでのダメージではないらしく、トラ女も爪で応戦した。
「うおおおおおおお!!」
しかしジェヴォーダンは下がらず、噛みつきへとつないだ。さらに桜刀の横斬り。しかし怯みつつも、大きなダメージとはいえない。
「くっ!」
桜刀は一歩下がり様子を見ることに。ジェヴォーダンは依然暴れるように突っ込んでいた。
「ごおおあああ!」
そんな中、トラ女が口からビームを発射。二人ともすんでで避けるが、その光線が地面に残した跡を見て、二人は青ざめずには居られなかった。
「これ…食らったら…」
「そうね、背後に回った方がいいわね」
ジェヴォーダンは若干冷静になり、落ち着きを取り戻した。溜息を一つ吐き出すと、ドラクリヤーブレードを用意。その背に斬りかかった。
「はっ!」
爪でそれを防がれるが、今度は背中がガラ空き。その背に桜刀は楼観剣での一撃を叩きつけた。
「ごああああああ!」
しかし大きくひるむ様子は無い。口に光を集め、一直線に放射。ジェヴォーダンはそれを避けようとした。しかし、背後に人の気配。振り向けば、逃げ遅れた少年がまっすぐ走っていた。
「仕方ない…!」
必要に迫られ、ジェヴォーダンはドラクリヤブレードでの防御を選択。漏れた光と衝撃がその体を襲うが、耐え抜いた。すでに子供が逃げ切ったのを確認し、膝をついた。
「大丈夫かレミィ!」
「ええ…それよりあなたは妖夢の援護をなさい」
「…ああ、オイラに任せな!」
胸を張るような仕草をすると、ドラクリヤーが羽型パーツを展開して本物の羽に。空を舞い、旋回しつつガトリングでトラ女へと攻撃を始めた。
「がああああああ!」
しかし、効かない。その硬い皮膚に弾かれ、意味をなさない。斬りかかる桜刀に横蹴りを叩き込んで吹っ飛ばすと、さらに爪での追撃。足を打ち付けられ、起き上がれない桜刀にトラ女はにじり寄った。
「させるかっ!」
ドラクリヤーの上空からの降下突進。しかし回し蹴りをぶつけられ、ジェヴォーダンの横へあっけなくぶっ飛ばされた。
「ううっ…」
恐怖のあまり兜の中で目をつぶった妖夢。トラ女が手を振り上げたその瞬間。
「うぐっ!」
トラ女の背に何かが刺さった。苦しみながら身悶えるトラ女から転げ落ちたのはグングニールであった。
「ハハハ…結構痛いでしょう…」
苦し紛れに笑うジェヴォーダン。実際効いていたらしく、トラ女は撤退を選んだ。
「…」
「見てりゃ起きるわけじゃ無いんだ。そろそろ飯食ったらどうなのさ」
「そう…ね」
縁側が目の前のこの部屋は、やたら雨音がうるさい。
命蓮寺にてメリーは眠る蓮子のそばでずっと座っていた。お盆を持ってきた天子のかける心配の言葉さえ届いておらず、この姿勢になってから二十余時間が経つ。座ったまま眠る様子こそあれど、蓮子の横からはひと時も離れはしなかった。
「ぞっこんねぇ。…でも二十時間以上起きないってのは確かに妙ね」
「…うん」
静かに頷くメリーの横から、障子を開けて何者かが入ってきた。見上げた二人の目には、ピンクの雲が写り込んだ。
「うわっ」
「その入道。雲山ね。…って事は」
黙って頷く雲山の後ろから一輪が歩み出た。心配そうな目線で秘封倶楽部の二人を見つめると、蓮子を挟んでメリーと向かいになる形で座った。
「…この子の火傷、妖力の影響を受けてるわ。このままじゃ、目を覚まさないまま餓死してしまう」
「そんなっ!」
衝撃の告白に身を乗り出す形でメリーは一輪に詰め寄った。その気迫に若干の仰け反りつつ、一輪は首を振った。
「方法がないわけじゃ無いわ!…というか、あると言い切れる。けど…」
「けど…?」
「妖怪関連でしょう?」
天子のつないだ言葉に、一輪は頷いた。その目には、軽い不安のようなものを込めていた。
「地底の鬼がね、持ってるの。その薬」
「星熊勇儀?」
「正解。だから…」
「どうやって行くの!」
一輪が言い切る前に、メリーは立ち上がって素早く荷物を用意した。
「ちょっと落ち着きなさいよメリー。地底は危険よ。蓮子がこうなってる以上仮面ライダーっていう手も使えないのよ?」
「でも…」
「その間地上で怪人が現れないとも限らないわ。一旦落ち着いて策を立ててから向かいましょう。そのためにも仮面ライダーを呼び集めて一度話し合うべきよ。蓮子は倒れたままでも水は飲んでくれたし命蓮寺の薬箱に点滴もある。だから落ち着いて」
天子の説得に、暗い顔をしつつもメリーは頷いて座り直した。その様子をメディスンは奥の部屋から覗き込んでいた。
「はぁ…」
彼女は先ほど抱いていた訳の分からない気分を一層膨らませていた。
「ご主人なのかっ!」
そんな考えをぶった斬り、耳をつんざく叫び声。同時にナズーリンがメディスンの座る部屋に吹っ飛ばされつつ突撃してきた。
「ぐおおおおお!」
そこには咆哮を響かせるトラ女。背中の傷はすでに治り、完全回復していた。
「くっ…!」
『グランドライバー!』
『アースオーブ!』
奥の部屋の天子はその様子を見て、グランドライバー装備。アースオーブをセット。トラ女へと廊下を駆け出しつつ拳を固めてポーズを取った。
「変身!」
走りつつ右手でレバーを引き、シークエンス終了。腕をクロス。まとわりつく岩石をぶっ飛ばしながら、トラ女へ殴りかかった。
「ぐっ」
しかし一瞬の怯みを見せたのみで、大きな一撃では無い。その肩を掴み、投げ飛ばした。
障子を破りつつ別の部屋に。さらに追撃として放ったビームが畳をえぐった。
「こいつはやばいわね」
そう呟くと、背より緋想の剣を抜いて距離を置いた。
「そっちがビームなら。こっちも!全人類の…緋想天!」
スペルでも宣言するかのように技名を叫び、腕を突き出して緋想の剣を回した。
「くらえええええええ!」
絶叫とともに気を放射。トラ女のビームとぶつかり、爆発。その煙を潜り抜けつつ、ガイアはトラ女の喉へ緋想の剣を突き立てた。
「がはっ!げほっ!」
苦しみの声を上げつつ起き上がるトラ女。その口から光線を放出!
………できなかった。掠れた音が口から響くだけだった。
「ビーム……潰したわよ!」
威勢良く叫び、さらに拳を叩き込もうとした。しかし、ビームだけがその強みでは無い。拳が顔に届くより前に、トラ女のツメが腹に叩き込まれた。
「おごっ」
呻き声を上げて跪くガイアをトラ女は蹴り上げて吹き飛ばした。同時に変身が解け、その姿は天子へと戻った。
「うぐっ…」
そしてまさにトドメをささんと爪を振り下ろす。
カァン!
そんな音を立てて、爪はガイアへと到達を阻まれた。
「もっと使いやすい剣だと思ってたんだけどね…」
そう言って無理矢理トラ女を押しのけたのはメディスンであった。その手には、拾い上げた緋想の剣。
「気質の能力は天人しか使えないわよ。…感謝するわ。にしてもなんだって私を助けたのよ」
「さぁ、ね」
他人事のようにそういうと適当に緋想の剣を投げ捨て、トラ女の前に立ちはだかった。
「そこで見てなさい」
そうつぶやくと、メディットブレスを腰に当てた。すると側面からベルトが飛び出て、メディスンの腰のサイズで固定された。
「私の目的は相変わらず…人形解放よ。でも、少なくとも人間を必要とする人形がいる事は分かったわ。それに……こんなわけわかんない気分にさせてくれたお礼はしてやるわ。あなたを、そしてあなたを操ってる奴を苦しめるまで…気が済まない!」
トラ女を睨みつけて、叫んだ。その脳の裏には、先ほど供養された人形の姿が浮かんでいた。あの子は、主人を必要としていたのだ。それを改めて飲み込み、メディスンはブラッドリリィのカプセルをメディットブレスに挿入した。
「変身!」
右手を左頬の近くに寄せ、指を弾いてパチン。左手でカプセルのセットされた試験管パーツを折り込み、両手を広げた。体に赤のラインが血管のように走る。
『GRADE UP…… FAZE 1』
そして音声とともに赤と白の粒子がアーマーを形成した。
仮面ライダーメディス。聖の変身したものよりかなり背は低いが、見た目は大きく変わらない。その姿に昨日のことを連想し、メリーと天子は目を伏せてしまった。
「ごああああああ!」
飛びかかってキックを叩き込んだその一瞬。トラ女の足が焼けただれ、シュウシュウと音を立てながら煙を生んだ。
「ぐぐぐっ!」
「すごいね…これ。苦しいどころか、パワーが溢れてくる…」
己の力を確かめるかのように手を握り、開き。転げ回るトラ女を見据え、駆け寄った。
対し、爪を突き立てるトラ女。しかしその体躯の小ささを利用し、メディスは股下を潜り抜けた。振り返って攻撃を仕掛け直すトラ女に対し、パンチを叩き込んだ。
「うぐぐぐ…」
「どんだけ肌硬くても溶けりゃ同じって訳ね」
そう呟きつつ、トラ女を蹴り上げた。肌を焼かれつつ吹っ飛ばされる怪人にさらに蹴りの追撃。障子を破壊しつつ縁側の外へ叩き出された。
『INCREASE EFFECT』
そんなトラ女へ近寄りつつメディットブレス上部のボタンを押して必殺を発動。駆け出した。
「ライダーキック!」
技の名を高らかに叫びつつジャンプ。空中で何度か回転したのち、左足をトラ女へ叩きつけた。
「ぐううううああああああ!」
絶叫とともに溶けつつ爆発。その煙の中から星が倒れ出た。
「ご主人!」
そこへナズーリンが駆け寄り、お姫様ダッコの姿勢で抱え上げた。
「…一度爆発すると怪人時の怪我はリセットされるのか。それなら良かった。ご主人は寝かせとこう」
そう言って奥に消えたナズーリンの背を見つめつつ、メディスは変身を解除した。
「結構あっけなくやられちゃったなぁ。やっぱ普通の暴走じゃ足りんのかねぇ」
そんな声が茂みから聞こえた。メディスンは驚きつつも振り向き、その後ろ姿を目撃した。
「あいつ…本で見た…地底の妖怪!…あいつが操って…いや、あいつも操られて?…まあ、目的地は決まったわ」
「八割、出来ましたよ」
にとりは萃香に機械を渡しつつそう言った。
「三日って言ってたよね?まだ数時間…。残り二割は?」
「最後の仕上げに妖術が必要です。…私に、つてがあります」
「誰だい?」
萃香の問いに一瞬にとりは俯くが、何かを振り切るかのようにかぶりを振り、目を上げた。
「私の…姉さん。地底にいる、姉さんです」
それを聞き、萃香は溜息とも聞き取れるような声でそうかと呟いた。
「なら、向かうとするか…地底に」
同刻の博麗神社。
「全く…戻ってこないなあいつ」
「そうねぇ…」
「いつも居るんですけどねぇ」
つまらなさげに雨を見つめる二人の横に早苗も座っていた。やはり彼女も浮かない様子であった。
「仕方ない…」
そう呟くと、魔理沙は帽子とケープを装備し、箒を手に取った。
「どこに行くんですか?」
「この魔理沙さんがわざわざ迎えに行くんだよ。…地底にな!」
『なんで聖白蓮はオウカオーを知ってるのかしら』
「そもそも何なのですか…オウカオーというのは?」
人里の柳の下。レミリアと妖夢はドラクリヤーに腰掛けつつ幽々子と連絡中であった。渡された木札の話を聞き、陰陽玉の向こうの幽々子も疑問を抱いた顔であった。
『先代までの桜刀が乗ってた名馬。まあ、先代が地獄で魔物と戦った時に……死んじゃった、けどね』
「でも、居るって……」
『バカね、だから疑問なのよ。それに彼女、冥界に来てないのよ』
「え?」
幽々子の一言に、部外者のレミリアとドラクリヤーさえ驚いていた。では、どこに居るのか。妖夢はそう聞いた。
『不明、よ。幻想郷で死んで仏教徒なら…ここに来ないのはおかしいのに』
「変な話ね…」
「はい…」
『とにかく分かったわ。あなた、向かうのね?』
「はい……地底に」
「その子を救うなら…薬をもらう必要があるんでしょう?」
「そう…」
「私も実は地底に向かうわ。妖怪に殺されたくないならついて来てもいいけど?」
メディスンの提案に、メリーは頷いた。天子は地上を見守るということで、留まることに。とにかく二人は手早く準備を終え、命蓮寺の外に。
「さあ、行くわよ。…地底に」
少女たちはそれぞれ別の目的を持ちながら、一つの場所を目的地とした。雨の中立ち上がり、旧都の入り口を目指し消えていく影を、天子は不安を込めた目で見つめていた。
Continued on next episodes.
「バーンスマッシャーを五回握るのよ!!いいから!早くっ!!」
燃えよ、不死鳥。地底を焦がせ!
次回、「豪炎人形」
皆さんこんにちは。ルパパトの商品展開が残念なサードニクスです。ストーリー良いぶん、なおさら残念よね。ルパンの優遇ぶり。まあ目新しさやダークなかっこよさはルパンの方が断然上だしね。でも私は圭一郎が一番好きです。
というわけで次回から地底編です。
「変……「変身」……身!」
これがやりたくて妖夢との同時変身をさせた感あります。アクセルとWの同時変身みたいな。
そうしてもう一個。ずっと書きたかったダッシュ変身。やっぱライダーなら一回流行らせたいよね。今回はてんこちゃんにやってもらいました。あと普通にスペルカードっぽい技も使っていただきました。全人類の緋想天って語呂よくて好きなんすよね。
本作品は週二更新での半年完結を目標にします!一年経つとプライベートが色々面倒な時期なんで。全45話くらいの構成?全然遠いZE!
みんなの!変身ポーズコーナー!
今回はフェネクス!今回出てねえだろとか気にしたら負けDA!
まず、一回握ります。ignitionの音声ののち、両腕を突き出します。
そして私にデレ気はないのポーズ!気になる人はググるかうどんげっしょー買おう!
そして手を広げつつ炎の渦を作り、ビーストが変身するとき魔法陣出す時みたいな感じで両手を広げつつ炎を吹っ飛ばして変身完了!
じゃあ、次回もみてくださいねー!