ヘカーティアは地獄から、魔術具と思しき謎の装置を持ってきていた。さとりはそれにパワードスーツを格納し、ヘカーティアを変身させられるという。
そんなころ、妖夢とレミリアは聖の残したメッセージに従い『オウカオー』を探していた。聞いたことがあるというパルスィと共に地霊殿へ。しかし突如現れたブラックキャッツがそれを阻む。さらにはパルスィを怪人化させて、二人を襲わせる。二人は変身しこれに対処。ジェヴォーダンが緑目女と戦う中、桜刀はブラックキャッツを追う。そしてブラックキャッツはバイクに乗り攻撃をしかける。だがどうやらそのバイクの名は『オウカオー』のようだ。妖夢はそれを奪い取り、逃げていくブラックキャッツは追わず緑目女の元へ。二人でパルスィを正気に戻すことに成功する。
戦いを終えた二人は、永遠亭の面々とともに地霊殿にいることに。怪我の手当てをしながら、永琳は自信を無くしつつある妖夢を元気付けた。そんなときに謎の怪人が現れる!姿を隠したそいつによって鈴仙とてゐが洗脳。クレイジィラビットとハピネスラビットへと変わる。ライダー達が追おうとするも、行く手をブラックキャッツに阻まれる。ワードレスと桜刀が戦い、妹紅はうさぎ二人をどうにか追った。
新たなフォームでブラックキャッツを追い詰める二人だが、最終的には逃げられてしまう。
同じ頃、途中で合流したレミリアとメディスンとともに、妹紅はうさぎ達を追う。二手に分かれたうちの鈴仙の方を妹紅が追う。そして鬼ごっこは終了。フェネクスvsクレイジィラビット、ジェヴォーダン&メディスvsハピネスラビットが始まる!
その頃の勇儀宅。蓮子は無事薬を飲んで回復し、眠っていた。勇儀曰く宇佐見と言う名の外来人がすでに地底にいると。メリーは気づく。宇佐見菫子、蓮子の祖母だ。
・仮面ライダー桜刀 レイノカタ
・仮面ライダーワードレス バトルワードレス
・緑目女
・クレイジィラビット
・ハピネスラビット
『phoenix blaze!』
「でやああああああ!」
フェネクスは爆炎をまとった右腕を振るった。しかしクレイジィラビットはそれを余裕を込めた態度でかわす。続けるキックも当たらず、反撃の横蹴りにぶっ飛ばされるのであった。
「…やれやれ。熱いからあんまり嬉しくないフォームなんだがなぁ」
そんなことを言いながら、グリップを五回握ってフェニックスフォーム発動。フェザーチェイサーが変形を始めた。
『burn up complete phoenix feather!』
そして背に合体し、フェニックスフォームへ。跳びはねるクレイジィラビットへとフェザーシューターを放出。
「おっと!危ないなぁ!」
しかし、あまり直撃する様子はない。時に跳びのき、時に撃ち落とし。ファストクロウほどの俊敏さではないにもかかわらず、当たりづらい。妹紅は疑問を抱いたが、考える暇はない。攻撃を続けた。
「なんで当たらないのよっ!」
「…全く!」
そしてこちらはジェヴォーダンとメディスvsハピネスラビット。エクスブライガンの銃撃は一発たりとも当たらず、ドラクリヤブレードは全て急所を外れる。何か裏があるように思うが、そんな様子はない。
しかし相手はあのてゐである。どんなペテンが隠れているかわかったものではない。二人は一層警戒を強めた。
「ならこいつだ!」
メディスはプラントローズのカプセルをセット。ハピネスラビットへ撃ちはなった。
しかし、その隙間を抜け、かすりさえしない。遠距離は無駄であると判断。すぐさま近接に切り替えた。
「おおっと!いやぁ…わたしゃ運がいいなあ!」
しかしそれはアーマーへとしか当たらない。素肌に近いスーツなら効くが、アーマーに当たったところで毒は入り込まない。むしろジェヴォーダンの方にかすってそちらがダメージを食らうほど。
「うぐっ!」
そして至近距離での銃撃。二人の胸にヒットし、思わずうずくまる。その隙を見てハピネスラビットは姿を消してしまった。
「くっ…」
「幸運…みたいね。あのウサギ…」
疲労のあまり座り込んで、変身を解きつつため息のレミリア。対しメディスンはまだ元気なようで、もう一体の方へと案内するようにドラクリヤーへと騒ぎ立てた。
「どうするよレミィ。オイラは行ってもいいけど…」
「…いや、私も行くわ」
「…感覚が若干おかしいから…うまいこと狙えなくなってるって訳か」
フェネクスは戦闘方法を高速接近によるヒットアンドアウェー近接に切り替えた。
「うぐっ!」
どうやら効果的だったらしい。ときにウサギ足のキックを食らうが、空中に逃げるので効果は薄い。すぐさま態勢を立て直し、再び接近した。
「でやぁ!」
身構えるクレイジィラビットへと蹴り上げ。腕を弾き、開いた胸へ零距離射撃を叩き込んだ。
「おごっ…」
さらに白熱した右手でのフックを叩き込み、左のストレートを打ち込む。そして体勢も直せないほど怯んだ一瞬を見逃さず、その首根っこを掴んだ。
「離しなさい!」
「それで離すと思うかい?」
掴むその手をより一層強め、そのまま宙へと舞った。
「とべえええええええ!!」
そして空中へ放り投げる!あたふたと戸惑いながら重力に引きつけられるクレイジィラビットをフェネクスが追い抜き、上空からこれまた重力を味方に降下を始めた。
『over drive!』
そしてボルコネクターとバーンスマッシャーを接続し、三回握り込んで必殺を発動した。
「フルブライトォ!ドロオオオオオォォォォップ!!」
ブースターの加速をも味方につけ、白熱した足をぶつけてそのまま急降下を続ける。燃え盛りながらクレイジィラビットとフェネクスは床へと接近していた。
「何よあれ…!」
「多分妹紅…ね」
そんな様子を遠くからレミリアとメディスンは見つめていた。アレには到底近づける気はせず、それをただ見つめているだけであった。
「やめろおおおお!」
「目ェ覚ましな!」
そして爆風が地底を揺らす。轟音と熱風が駆け抜け、8mほど先にいたレミリアの帽子が風に舞った。
妹紅は煙の中から抱え上げ、同時にあたりに民家がなかったことに安心するのであった。
蓮子が起きたのは翌朝のことであった。
早朝5時。日の光も差し込まない地底に、彼女は違和感を覚えた。
「確か…カラス女を倒して…えっと…」
「んー?…ああ、目ぇ覚めたんだ。相棒なら寝てるよ」
そう言って萃香は中庭を眺めつつ縁側で酒をあおっていた。蓮子は初対面であったが、会話の流れからメリーとは交流があることと自分が気を失ってから時間が経ったことを察した。
「…私、宇佐見って言います」
「蓮子でしょ。メリーが言ってた。私は萃香、伊吹萃香。鬼さ。そこで寝てる一本角は勇儀。あいつも鬼」
萃香の軽い自己紹介に頷き、縁側の隣に座り込んだ。はっきり言って、巨大な角が非常に邪魔であった。
「…ここ、幻想郷ですよね?」
「そりゃもちろん。ここは幻想郷の地底。つまはじきにされた妖怪どもの溜まり場だよ。気をつけなよ。ここじゃ力がルール。まあ、仮面ライダーにゃ関係ない話か」
蓮子は身支度を整えつつ、「そりゃあメリーと私が揃ったら怖いもの無しですわ」などと冗談交じりに返答を投げる。そして帽子を被り、ケラケラと笑う萃香の横に座り直した。
「そういえば…これ、花果子念報?占いが書いてありますね」
何気なく蓮子はそばに置かれた新聞を拾い上げ、目を通し始めた。
「はたての新聞だよ。立ち直ったみたいで結構」
「………ですね。…なになに、『日本生まれの女性の人間のあなた、めちゃくちゃびっくりする出来事に遭うでしょう』んでもって…『横から生えた二本角の鬼と額から生えた一本角のあなた、禁酒で超ハッピーになれるでしょう』…ですって」
「えぇ…やだなぁ」
そう困り気味に言いつつも、飲むのをやめて栓をし、腰に瓢箪を掛け直した。
「んでもこの占いやけに当たるんだよなあ」
「私もびっくりして心臓止まらないように頑張りますよ」
「…起きたのね。楽しそうでなによりだわ」
冗談を飛ばしつつ笑い合う萃香と蓮子の元に、目をこすりながらメリーが座り込んだ。
「あらおはよう。ご覧の通り元気いっぱいよ」
「本当に良かった…。心配したんだからね?」
「まあ、また怪我しないように気をつけな」
そんなことを言って萃香は立ち上がり、寝っ転がる勇儀を見下ろした。
「気持ちよさそうに寝てんなぁー…よし、じゃああそこに行くか!」
起こすのは申し訳ないと判断し、外出の準備を始める。一瞬で終えると、メリーに対して着替えるよう促した。
「どこに行くんですか?」
「んま、そいつは秘密ってね」
ニッと笑ってそう答え、外に出ると、秘封倶楽部二人を招くように指をちょいちょいと引いた。
「やっぱ勇儀んところにいたね。今から外出かい?」
そんな萃香の元にみとりが駆け寄った。問いに対して頷くと、蓮子とメリーを指差し、ツレだと示した。
「…人間か。観光にでもついていくのか?この地底にそんなとこあるかね。で、これ、頼まれてたもの。『サカズキドライバー』。それと私が勝手に作った『イシグマスラッシャー』。もともと持ってたばいくってやつの改造品。そこにおいてある。酒の方はもうちょっと時間かかるから。それでも変身はできる。じゃあね」
早口で、畳み掛けるように言うことだけ言うと、後ろ手に手を振って足早に去っていった。
「…急だなぁ」
そんな感想を述べつつ、停められたアメリカンバイク『イシグマスラッシャー』に目をやった。かつての部下、石熊童子の妖力を仕込んだものであるが、その実力やいかに。期待を抱きつつ乗り込み、また、秘封倶楽部にもチェイスナイターに乗るように促した。
「ま、ちょうど乗り物渡してもらったとこだし…これで目的地に向かいますか!行くぞー!」
「ほら、行くわよ蓮子」
萃香の威勢良い掛け声とイシグマスラッシャーの発進音に合わせ、チェイスナイターもそのあとを追った。
「おおう!いい風だなぁ!バイクってもうちょっと扱いづらいもんだと思ってたけど…いいねえ!」
「ほら、初めて触った人もああいってるんだしあなたも帰ったら免許取りなさいよ」
「考えておくけど、こうやってあなたに掴まってる方が好きだわ。いつも私が動き回ってあなたの手を引っ張るんだしね。その分あなたに引っ張って欲しいのよ」
「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃないのよ」
風の音を聞きつつ、くだらない話をしながら二人は萃香の後ろについて走った。
「よし、ここだって勇儀は言ってたけど…」
長屋の部屋の一つの前で止まり、スペースにイシグマスラッシャーを駐車して扉を開けた。
メリーもチェイスナイターを停め、荷物を持つと、萃香に続いた。
「…誰もいないじゃない?」
「そう言う時間帯なんだよ」
そういうと萃香は適当に床に座り込み、瓢箪を出した。しかし今朝の占いを思い出し、その手を止めた。
「やめとくか」
そんな萃香をよそに蓮子はやけにキョロキョロしては頷きを繰り返した。
「どうしたのよ」
「ここ…長く住んでないみたい。それに土間に机があって、西洋風の椅子が置いてあるわ。でも小説が畳に積まれてるわ。椅子を座るのが普通なのに、畳文化に対する理解が深い…つまりここは外来人が一時的に泊まってると考えるのが自然よ」
「よくわかるねぇ!」
「あ、やっぱそうですか?」
蓮子の推理を聞いた萃香は驚いた顔で感心の色を見せた。メリーもなるほどと頷き、軽く部屋の中を見渡した。
「……!?ねぇ蓮子!れ、蓮子!コレコレ!つつつ、机の上!!」
机の上の物体へと目を向けた瞬間、メリーが形相を変えて騒ぎ立てた。
「なによ一体…」
「落ち着きなさい」と一言放つと積まれていたアガサクリスQの新刊から目を離し、机の下へと駆け寄った。
それを見て蓮子は目を見開き、驚愕の表情を浮かべた。
さらには「信じられない」と小さく呟き、後ずさった。
「これって…なんでここにコレが…なんでここに…『アイズバックル』があるのよッ!」
蓮子はメリーの右手のスーツケースに目を向けた。よもや超能力かなんかで私を驚かそうと?蓮子の向けた疑いの視線に対し、メリーはスーツケースの中身をしっかりと見せることで応えた。
「じゃあ…これって…なんなのよ!」
「ここに住む人が…開発した…?」
二人が机に対し疑惑の視線を送った時、そこには、先程までいなかった何者かが座っていた。
「「うわぁー!!だだだだ誰!?」」
「そ、それはこっちのセリフよ!…萃香が連れてきたの?」
萃香は肯定の頷きを返した。そして現れた少女へと近づき、肩を組むと、驚く秘封倶楽部二人に対して笑顔を向けた。
「宇佐見菫子!それがこいつ。寝てる間だけ幻想郷に来る外来人さ!」
手を広げてわざとらしく紹介。それに対してメリーは納得の表情。対し蓮子は目をがっつり見開いたままであった。
「…おばあちゃん?」
「「は?」」
訳の分からない様子の萃香と菫子をよそに蓮子は飛び跳ねて騒ぎ立てた。メリーは「落ち着きなさい蓮子」と声をかけ、菫子に近づいた。
「はじめまして。私、マエリベリー・ハーン。メリーって呼んでくれると嬉しいわ。…実はその、未来人なの。私達」
「ジョン・タイターみたいな話ね…ってことは、その、えっと蓮子ちゃん?は…私の未来の孫ってわけ?」
「あくまで同姓同名ってだけ」
それを聞き、菫子はウンウンと頷いて蓮子の元へ近づいた。
「…でも、心なしか私と似てる気も……あなた、おじいちゃんの名前何?」
「聞いちゃう?まあでも中学から知り合いって言ってたしいいか」
そう言って納得すると、菫子へと耳打ちをした。瞬間、爆発するように菫子の顔が紅潮。蓮子へ向き直ってゆっくり頷いた。
「…うん、あ、あなた、私の孫よ。彼との出会いまで知ってるなんて…」
「ファーストキッスの話も聞く?」
「もう結構よ…」
恥ずかしげに目を背ける菫子に対して蓮子はニヤニヤ。そんな蓮子へ、メリーは机の上を指差す合図を向けた。
それを見て蓮子は真剣な顔に戻り、メリーからスーツケースを受け取った。
「…これ、おばあちゃんが作ったのよね?未来で…私が手に入れたの」
「へぇー。血縁の人のアイテムを受け継ぐネタはよく見るけど、実際にそうなるとはね!」
誇らしげに笑う菫子に対し、蓮子は静かにかぶりを振った。
「謎の組織が保有してたわ。私たちが殺されそうになったときに、咄嗟に発見したの。偶然ね」
「…これが持ってかれるってことかしら…でも、あなたたちに渡ったならいいかな。自分の孫なら信頼できるし」
それを受けて蓮子は照れるような様子だった。菫子は微笑ましく思いつつ、机の上からアイテムを取り、蓮子へ渡した。
「…何があったか知らないけど、そのスーツケースにはそれ入ってなかったわね。入れるスペースはあるのに」
その言葉と共に蓮子が受け取ったのは、緑にラインの入ったライドグリップであった。
「ライトニンググリップよ。活用してね!…さあ、三人はそっちの畳にいてね」
そう言って三人へと笑顔を向けると、机へと向き、作業を始めた。邪魔するわけにはいかないと彼女たちは畳の上に座り、置かれた小説たちを読み始めた。
「おつかれ様です。…お燐をわざわざ助けてくれようとしてくれて本当にありがとうございます」
「いえ、心を見ればわかるかと思いますが…結局のところ自分のためなので…」
頭を下げて礼を送るさとりに対し、妖夢はオウカオーを拭きながら謙遜の言葉を送った。はっきり言ってしまえばさとりとはあまり同じ空間には居たくないと、妖夢はそう思った。しかしそれさえ筒抜けなので、話すに話せない。もどかしい気分でただただ手だけを動かしていた。
「…ん?」
そんな中、突如聖の残した木札が光り始めた。どうしたのだと驚く妖夢をよそに、さらに光を強め、さらには宙に浮き、オウカオーへとぴったり貼りついた。
「一体何が…」
「起きたのよ?」とさとりが続けて言い切る前に、光はついに閃光となり、二人は目を瞑ってしまった。
「で…これを私にくれるってわけ?」
5分後。妖夢に呼ばれたメディスンは目の前の物体に驚愕しつつ困惑していた。
しかしそれは妖夢もさとりも同じで、どういうことだと、その物体を眺めていた。
「ええ、私はバイクあるし、さとりさんは要らないって」
「嘘でしょ?『バイクからバイクが出てきた』だなんて」
「ほんとなの!…聖さんの木札が光ったら、なんかバーって出てきたの!」
その一言にメディスンは相変わらず疑いの様相でじろじろと巨大なバイクを眺め、何気なしに触れた。
『認証完了。アリスもしくはドールの条件に合致。設定します』
「うわ喋ったぁ!」
妖夢とメディスンは尻餅をつきつつびっくり。バイクのハッチが開き、シートが現れた。
「トライ…サイカー?」
シート前に置かれたモニターに映る魔界語を妖夢は無意識に読み上げた。そしてよく見るとこいつはバイクではなく三輪車であったことに気づき、より一層困惑の表情を強めた。
「…これ、書き置きよね」
そんな中、シートに貼られたメモを見つけ、それを拾い上げて妖夢は読み上げを始めた。
「なになに…『白蓮ちゃんが桜花王の魂に術を仕込んだみたい。私の愛娘がお家に置いてっちゃった自慢の乗り物です。これを読んでるのが誰かは知りませんが、きっと白蓮ちゃんが信頼できる人なんでしょう。このトライサイカーを役立ててね。人形しか乗れない設定とかだったらゴメンなさいね。ーーー魔界の最高神 神綺よりーーー』…は?」
「結局私のものでいいのよね?あなたが持つ資格があって、私にくれたのだから」
「いいけど…乗れるかしら?」
妖夢は不安げにそういうが、メディスンが人形であったことを思い出した。なら乗ってみてとメディスンへ促した。
対しメディスンも、「ありがとう」と軽く礼を返し、トライサイカーへと踏み込んだ。結論から言うと…
「これ…かなり辛いわね」
シートが高く、立ち漕ぎ以外不可能である。パワーが上がるライダー時ならいざ知らず、普段使いは無理と判断し、置いておくことに。モニターに映るマニュアル曰く、持ち主の「トライサイカー」の呼び声で32km先までなら駆けつけるとか。変身時に使うことに決め、ひとまず地霊殿にに置いてメディスンは散歩へ出ることに。
「…?あれって…」
そんな中、地霊殿の門の前を何やらピンクの影が駆け抜けるのを目撃した。一瞬だったのでよく分からなかった、どこかで見覚えがある。よく考える前にメディスンの足は動いていた。
「待ちなさい!」
「…毒人形?誰が待つか!」
その声がハピネスラビットのものであったことで、メディスンの中で全てが繋がった。地霊殿にいた因幡てゐはピンクの服を着ていたのだ。話したわけではなかったのでいまいち覚えていなかったが、この瞬間につながった。
しかしあのハピネスラビットである。勝てるか若干の不安を覚えた。
「いや、待ってあげてもいいかもしれないウサ」
てゐは突然そんなことを言って立ち止まった。そして素早くハピネスラビットへ。突如の行動にメディスンは戸惑ったが、走る足と変身の準備はやめなかった。
「変身!」
『GRADE UP…… FAZE 1』
指を弾いて素早く変身シークエンスを終え、そのままパンチを放った。しかしそのパンチは空を切っただけ。一瞬で間合いを空けられ、銃撃をぶつけられる。
「くっ…」
「なんの騒ぎよ!」
メディスが悔しげに声を上げたとほぼ同時のタイミングで長屋の一室の戸が開き、蓮子が顔を出した。その目にハピネスラビットが写り、彼女は素早くメリーを引っ張り出した。
「敵よメリー!ほら、準備!」
「さっきからメディスンの攻撃を避けてるわね。素早いんならナイトメアで行くわよ!」
『look the line…』
メリーはアイズバックルを装備し、手を返すポーズの後、青のライドレンズを挿入した。
「「せーの、変身!」」
そして蓮子と手を繋ぎ、レバーを押し込んで変身シークエンスを完了した。光と粒子の後、ヒール ナイトメアモードがその姿を現す。
『we are dream night fantasy!』
「幻想の境界、見せてあげるわ!」
高らかに叫ぶと、早速渡されたライトニンググリップを用意し、ガジェットガラパゴスと合体させた。
『なかなか強そうね。いいじゃないの』
完成したライトニングテレガンで狙い撃ち。放たれた電撃がハピネスラビットを襲った。
「おっと、危ない危ない」
もっとも、一発たりとも当たっていないのだが。
『illusion eyes!』
続けて追尾弾を放った。しかし相手の硬いアーマーの上を電気が伝うだけであり、あまり大きなダメージではない。
「何が起きたのさ!」
長屋からたいそう邪魔そうに角を避けつつ、顔を出した。それに対しヒールは視線でハピネスラビットを示した。
「なるほど…こいつの出番ってか!」
そう言って盃を模した機械、その名もサカズキドライバーを腰に装備。
「酒がなくてもいいって聞いたけど…どうなんだろ。ま、いっか!変身!」
勢いよく叫び、バックル上部のレバーを引いた!
『error There is no alcohol』
対しベルトからの返信はこれ。萃香私は英語は分からんのだとヒールへ視線を送った。
「アルコールがないから変身できないってことみたいですね」
「え?嘘でしょ、変身出来るって言ってたんだけどなぁ…」
残念そうにそういうと、生身で戦うべくファイティングポーズポーズをとった。
「当たってないし痛くもないよ!めんどくさいし撤退としますか!」
しかしそれと同時にハピネスラビットはその脚力でもって逃走を始めた。
「トライサイカー!」
それを見てメディスはすぐさまトライサイカーを召喚。ハッチを閉じ、立ち漕ぎでの追跡を始めた。ヒールも一瞬出遅れるが、すぐさまチェイスナイターに乗り込み、スライダーモードで後に続いた。
「…それなら!」
しかし萃香は全くの明後日の方向へ。逃げたのかと蓮子は思ったが、それよりハピネスラビットへ意識を向けることに。
しかしエクスブライガンの銃撃もライトニングテレガンの銃撃も当たる様子はない。ただただ時間と体力と精神を浪費するのみであった。
「当たんないわね…」
『INCREASE EFFECT』
たまらずランチャープルーネラをセットしチャージインバレットを発動した。しかし拡散するミサイルのどれ一つとして命中せず。ど真ん中に向かったミサイルはエックスゴースターに撃ち落とされるのであった。
「全く…」
『当たんないことに何かしらのパワーが働いてるみたいね。…運とか』
「運…ねえ」
『illusion eyes!』
『spinning eyes!』
続いてドリル弾が分裂しつつ不規則に動き、ハピネスラビットへ収束した。
…結果は言うまでもないだろう。メリーはどうすればいいか迷い、マスクの中で顔を歪めた。
「おらおら!蹴っ飛ばされたくなきゃそこどくウサ!」
そんな中、バイクに乗った一つの影がハピネスラビットの前に立ちはだかる。その影はバイクから降り、拳を構えた。
「無駄だって……ぶぼぉお!」
右手のフックがハピネスラビットのマスクを捉え、正確に顔面に衝撃を伝え、脳みそを揺らした。
「おごっ…なんで…当たるのさっ…」
マスクの下で鼻血をこぼしながら立ち上がり、目の前で立ちはだかる萃香を見据えた。
「地底は入り組んでるからね、こう言う先回りもできるのさ。しかし、禁酒してラッキーてのは本当みたいだね。こっから休肝日を設けよう…とか言ったりして」
動揺とともにハピネスラビットはエックスゴースターから銃弾を振りまくが、避けるかガードされるかしてしまった。
「おっと、これは幸運とかじゃなくて単なる実力の違いってやつさ。…しかしみとりのやつ、バイクの後ろに説明書あるならそう言ってくれっての」
『error There is no alcohol』
ぼやきながらレバーを引く。今度はエラー音に対しても寸分の戸惑いもなく対応。続けてレバーを掴み、2度引いた。
『error clear change standby ……3……2……1 ready?』
「やっと戦いに混ざれるよ…。変身!」
待ちくたびれたよとため息を吐く。そして胸の前で右手で作った拳を左手で受け止めるポーズをとり、和風な待機音の中、手を広げつつ再びレバーを引いた。
『formname is 酒鬼!GOGOGO!』
鳴り響く変身音の中、萃香の体を妖力が駆け巡り、その肉体が異形に変化する。
右半身にアーマーが寄り、全身を血管のような脈打つラインがその身に走る異形に姿へと変わった。何より目立つのが曲がった一本角。勇儀のようにも見えるが、そこに宿るオーラと体格は紛れもなく伊吹萃香であり、仮面ライダー酔鬼である。
「さぁ…宴の始まりだ!」
手を広げて楽しげに叫んだのち、構えを取る。ハピネスラビットは駆け寄りつつエックスゴースターを乱射するが、どれ一つも避けない。その身で完全に受け止め、正面からストレートを頭にねじ込んだ。
「うぐっ!」
続けてキックを腹にぶち込み、ラリアットを顔面にぶつけた。
「ぐぅ…」
「どりゃあ!」
苦しむハピネスラビットを休ませることなく蹴り上げ。開いた顎にアッパーを叩きつけた。
「おぐっ…げほっ…」
「チャンスね…!」
しかしヒールとメディスの弾丸は依然当たらない。当たるのは酔鬼の攻撃のみ。とはいえ、その攻撃がどれもこれも急所に入っているので援護の必要はないと三人は判断。その戦いを見守ることに。
「なんで…私が運を使い切ったのかな?ならあいつらの攻撃も当たるはず…?」
「これ見りゃわかるんじゃないかね」
酔鬼は辺りを転がっていた花果子念報を拾い上げ、広げつつハピネスラビットへ渡した。
「なになに…『横から生えた二本角の鬼と額から生えた一本角のあなた、禁酒で超ハッピーになれるでしょう』…まさか、うそでしょおおぉぉ!?」
ハピネスラビットは新聞を前に驚愕し、同時に脱力。酔鬼の手がその新聞を突き破り、ハピネスラビットの顔面を掴んだ。
「おごっ…な、何する気よ…」
「こうする気だ!」
必死に抵抗するが意味は成さない。そのまま空中へぶん投げたかと思うと、酔鬼はそれ跳びこえる大ジャンプ。くるくると回ったのち…
「オーガブレイクッ!」
その脳天にかかと落としを叩きつけ、そのまま地面まで。
爆発が広がり、その後を爆風が駆け抜ける。その真ん中に立つのは酔鬼一人。粉々になったエックスゴースターを尻目に、てゐを抱え上げた。
「さ、帰るよ」
ヒールへそう言葉をかけると、イシグマスマッシャーへ乗り、後ろへ落ちないようてゐを固定。メディスンへ軽く別れの挨拶を告げ、勇儀宅へと向かった。
to be continued…
「異界の力…味わうといいわ!」
その力の片鱗を見よ!
次回、「ライデモニックプラネット」
感想なくて寂しいサードニクスです。まあでも最終回まで書くってことだけで今んとこモチベ保ってるけど…中盤あんまりド派手なことやらないまま淡々と続くから感想減りそうなのよね。新フォーム登場で感想0ならなんも出ないとなるとどうなるんだろう。既にある感想が減ってくのかな?しかしなんか感想くれくれ言い過ぎるのもウザいと思う人は居るんかな。そう言う方はすみませんね。
しかしまあ前にもらったというか、たかったお褒めの言葉で千年は生きていけるんでその辺はご安心をば。
体言止めが多くてリズムが悪いと言われ、若干改善(?)。読みやすくなってますかね?リズムとは別問題なのかな?
あ、そうそう。来週は更新遅くなるかと。何故かって私の学業でございます。テスト近いんスよ。
しかし追い詰められると逆にこういう遊びというか趣味が捗っちゃいますよね。だいぶ前のテスト期間では装動で仮面ライダーノースが完成してました。
そういえばめっちゃ久しぶりにヒール書いた気がする。6話以降出てないのか…。そりゃ久しぶりな感じもするわ。実は「幻想の境界、見せてあげるわ」っていう掛け声を忘れてました。
あと酔鬼の変身音が不自然だったから直しましたが、あえてsutannbaiにしてたんなら一言ください。直します。
みんなの!変身ポーズコーナー!
今回はメディス!ただしメディスンの方。実は本作品は変身者ごとにポーズが違います。
至極単純!
まず左手でメディットブレスを腰に巻きます。で、右手でブラッドリリィカプセルを挿入します。ここで全身に血管のようなラインがビキビキという音とともに走ります。
そして右手を左頬のそばに持ってきて指パッチン!そして左手で試験管パーツを押し込みます。
以上で変身完了。
またね〜