フェネクスによりクレイジィラビットは撃破。しかし、ハピネスラビットには逃げられてしまうのであった。
翌日。蓮子とメリーが目を覚ます。同じく起きていた萃香とともに、外出をすることに。そんな萃香の元に、みとりが訪れる。変身アイテムを渡したかと思えば、彼女はそそくさと去ってしまう。行き先を教えてくれなかった萃香。言われるがままついて行った家は、菫子が地底に用意した隠れ家であった。二人からしてみれば、驚きの連続だ。
同じ頃、地霊殿にて。オウカオーと聖の遺した札が反応し、どこからか巨大な三輪車が現れた。妖夢はいらなかったために、メディスンの手に渡ることとなる。
その直後、ハピネスラビットが散歩中のメディスンの前に現れる。メディスに変身するも、敵わず。ヒールの加勢も虚しく、再び逃げ始める。そこに回り込む萃香。彼女の変身した酔鬼が、見事ハピネスラビットを打ち倒した。
・仮面ライダー酔鬼 酒鬼
半月が綺麗にきらめく夜に、天人は山の頂上にてその剣を神霊へと向けていた。
「ふぅ…ふぅ…」
しかし天人、ガイアは息も絶え絶えで、すでに立っているのもやっとである。反射能力を持ってしても捌ききれない猛攻に、もはや変身解除は目の前であった。
「もう諦めることね。素直に人里を明け渡せばいいのよ」
目の前に立ちはだかるストームスネイクはあまりに強かった。どれだけ殴っても防がれ、どれだけ蹴ってもいなされ、どれだけ斬っても弾かれる。気質を見極める緋想の剣が示した弱点でさえ、単純にパワーが足りずにダメージが入らない。相手の銃撃と格闘にその体力を削るだけであった。
「やめてよ神奈子っ!」
そんなストームスネイクの元に、両手を広げて諏訪子が立ちはだかる。これ以上誰も傷つけるなと涙を流して叫んだ。その声を聞き、ストームスネイクは諏訪子の目の前で立ち止まった。
「そうか…」
「…やめて、くれるよね」
「ごめんなさい、諏訪子。あなた、邪魔なのよ」
そう言い放ったマスクの中の神奈子の目は冷ややかで、微塵の情もないようであった。諏訪子はそうなってしまった相棒の姿に絶望した。…だが、次の瞬間、すでに意識は神奈子へと向いていなかった。
「がふっ」
口から血を飛ばし、ストームスネイクの白いボディが赤黒く色づく。そしてズルズルと倒れ込んだ諏訪子の腹には、土床が見えるほどの大穴が開いていた。
そして、ストームスネイクの右腕は真っ赤に染まった。
「…あなたの声よりも、頭に響くこの声に耳を傾けようと思ったのよ」
「くっ…」
「そんな、そんなっ!諏訪子様ああああああああああああぁぁぁぁぁぁーーーッ!」
早苗の絶叫も虚しく、諏訪子は目を閉じたまま動くこともなかった。そしてストームスネイクは汚れたぞうきんでも避けるかのような動きで諏訪子をどかし、ガイアへとエックスゴースターを向けた。
「お前…紫苑だけじゃなく……仲間の諏訪子までもッ!」
『グランドフィニッシュ!』
対しガイアは怒りの絶叫を上げる。レバーを操作し、必殺を発動して接近。大地を蹴って飛び上がり、右足をストームスネイクへと伸ばした。
「ムダだよ」
しかし、ストームスネイクが軽く手を動かしたと同時に御柱が飛び、ガイアの腹へと激突した。
「がはっ!」
硬いアーマーとしっかりとしたスーツでさえその衝撃に耐えかね、仮面の内側を吐血で染めた。
「うぐっ…くっ…」
すぐに変身が解け、地面を転げ回る。腹を抑えて血を吐きながらのたうちまわる。その様を見下して鼻で笑うと、ストームスネイクは奥へと消えた。
「紫苑…を…返せっ!」
必死の叫びもただ一瞥をくれるだけ。天子はそこで目を閉じた。
「あんまり根を詰めちゃいけないよ?」
「気遣いありがとね。でも大丈夫。そんな時間のかかる作業じゃないから」
その頃の地底。すでに誰もが寝静まる中、むしろ少女菫子は幻想郷で活動する時間。その様子を、心配げに勇儀が見ていた。
「応援してるわよおばあちゃん!」
蓮子も目が冴え、眠れなかったので勇儀、そして萃香とともに菫子の長屋に来ていた。長く寝すぎたからなのだが、かといってメリーの寝顔を眺めるのも飽きてしまう。暇つぶしの目的もあった。
「そのおばあちゃん呼び…ビミョーな気分ねぇ」
一作業終え、背を伸ばしながらそう呟いた。事実とはいえ年上の少女からおばあちゃんと呼ばれるのは、JKにはなんとも言えないものであった。現に隣の勇儀も訳の分からない顔をしていた。
「ああ、未来人なんだっけ?宇佐見………え、孫なのか!?」
やっと自体を飲み込んだらしく、納得と驚愕をかき混ぜたような表情で二人の顔を交互に見ていた。
「…よし、そういえばさっき片手間で作ったんだよね。あげる。いらないだろうけど」
何かを思い出したのち、机の上からブレスレットのようなものを蓮子へ投げ渡した。しっかりキャッチし、それを見つめるが、なんなのかわからない表情を送った。
「充電器。変身中の余分な電力を使ってない方のガジェットの充電に使えるの。それだけ。名付けるならライドブレスかな」
「一応貰っておくわ」
そう言って腕に試し付けをしてみる。どうやら気に入ったらしく、外さずそのままにした。
「一仕事終わったんてなら呑みに行こうよ。もうちょっとで12時過ぎるしさ、私の禁酒デーも終わるのさ!」
萃香がハイテンションに右手を振り上げるが、蓮子と菫子は呆れ気味に笑った。私は酒が飲めないのに。二人は水片手に鬼に付き合わされることを想像し、少し苦笑いを浮かべた。
「私はさっき飲んだからいい。この屋敷で見張りでもしてるさ。おあつらえむきに本もあるしね」
そう言って勇儀は小説片手に寝転がった。萃香たちは彼女に手を振って外に出ると、三人で旧都へと繰り出した。
「…そういえば、おばあちゃん。これってどう使うの?」
「ん?」
そんな中、蓮子はガジェットスマートを取り出し、うち一つのアプリを見せた。『式』とだけ単純に書かれたもので、押しても謎の設定画面が出現するのみ。それを見て菫子は得意げに鼻を鳴らした。
「式アプリ。なんと妖術を利用して人工知能をまるごと機械に入れられるのよ!オフラインであってもね!」
「へぇ、2018年段階の女子高生の技術とは思えないわね」
「でしょ?近くに人工知能の入った装置をおいて新規登録するだけ!」
得意げにそう語り、続いて別のアプリについてドヤ顔での解説を続けるのであった。
「人間の技術ってのもすごいねぇ」
しかし萃香はそれに全くついていけずただすごいねと相槌を送るのみ。ものすごいアウェー感と戦いながら、真っ直ぐ飲み屋へ向かった。
「おお、菫子に萃香!それに噂の外来人じゃないか!」
「お先してるわよん。ご一緒どう?」
先客に魔理沙とへカーティアが六人テーブル席に居た。店は時間帯もあって空き気味であり、店主も特に文句を言う様子もなかった。二人はすでにほろ酔いであり、軽いものをつまみながら日本酒を流し込んでいた。
「じゃあお言葉に甘えちゃおうかしら」
菫子が魔理沙の隣をもらったのに続き、三人の前に萃香と蓮子が座った。そうして萃香が酒を頼みんだのち、蓮子と菫子も軽くメニューを注文した。
「この席、火車も一緒させてくれないかニャー…なんてね」
『X!』
突如かかった声に、五人は振り向きつつ警戒態勢を取った。声の主お燐がエックスゴースターを取り出したのをキッカケに、店員と客が避難。鬼や妖怪が逃げ惑う様はなかなか異様である。
「醒妖!」
『cat…change』
粒子と煙をまとい、ブラックキャッツは変身を終えた。そして爪を構え、その命を奪わんと近づいてくる。萃香は逃げろと三人に促し、サカズキドライバーを装備した。
『error There is no alcohol』
「楽しませてくれよ…」
『errorclear change standby 3……2……1……』
「変身!」
レバーを立て続けに引き、右拳を左手で包むポーズをとる。そして最後に一度引き、変身を完了した。
『formname is 酒鬼 GOGOGO!』
純白の鬼がその拳を構え、ブラックキャッツへ振るう。
「おっと、危ないなぁ!」
小手でガードし、腕を蹴り上げる。しかしそう簡単には行かない。あげた右足は両腕で掴まれ、持ち上げられたのち、地面に叩きつけられた。
「いてて…あたいも本気出さなきゃなあ!」
すぐさま立ち上がり、弾丸をばらまく。そうして生まれた隙にクローを叩きつける。相当な距離をぶっ飛ばされ、大地を転がる。受け身を取り、接近しようとするも、すでにブラックキャッツは構えを取っており、隙はなさそうであった。
「にゃぁあ!!」
そしてどう仕掛けようかと思案する間も無くカチ上げをくらう。落下の勢いでかかと落としをたたきつけようとするも、一瞬早く、そして酔鬼のものより長い脚から繰り出したハイキックを貰い、今度こそ地面に叩きつけられる。
「さ、大人しく死ねっ!」
そうして両腕を振り上げるその瞬間、間にへカーティアが入った。しかし生身な上弱体化した彼女に防ぎきれるわけもなく、思わず目をつぶってしまった。
「どけどけー!ドラクリヤー様とレミリア様がお通りだぜ!」
「ぎにゃっ!」
そのとき、けたたましいエンジン音と叫び声とともにブラックキャッツがぶっ飛ばされた。
上手く着地して、見据える先にはジェヴォーダンがドラクリヤーから降り、立っていた。
「ほら、完成したらしいわよ」
そう言ってへカーティアへと機械を投げ渡すと、ドラクリヤブレードとグングニールを構えて戦闘態勢を取る。
対しブラックキャッツもクローを構えた。
「…なかなか良さそうじゃないの」
へカーティアはその機械を改めて見つめる。『ヘルドライバー』彼女はこの場でそう名付け、腰へと装備した。
そしてバックルのボタンを押し、待機音が響く中今一度深呼吸をした。
「変身」
続けて、叩くような乱暴な操作でバックル側面のボタンを押し、シークエンス終了。彼女の背後に現れた影の塊が彼女を飲み込み、その姿を漆黒の戦士へと変えた。
『Perfect!HellGod Balance!』
真っ黒な複眼と、両手の鎖が目を引く、仮面ライダーヘルゴット バランスフォームへとなったのだ。
「さぁ、地獄を見せてあげるわ」
身を低く構え、睨みつけたのち気取り気味にセリフを吐く。そしてブラックキャッツがこっちを見た一瞬ののち、敵へと突進した。
「だぁ!」
左手の鎖を叩きつけられ、ブラックキャッツは地面に倒れ伏した。さらに蹴り上げを貰い、二発三発と鞭のように鎖をぶつけられる。
ひるんだその瞬間にジェヴォーダンと酔鬼からのパンチをぶつけられ、再び地面へ叩きつけられる。
「離せ!」
「誰が離すと!」
そして胴に鎖を巻きつけ、引きつけたのちヤクザキックを叩き込む。腹を押さえながら苦しむブラックキャッツを見据え、バックル側面を再び叩いた。
『Invocation Deathblow!』
「…ヘルスストライク!」
高く飛び上がり、キックの姿勢。さらに、まるで電動リールのように鎖がヘルゴットの腕に収められていく。その勢いままに足裏を叩きつけ、鎖を解き放ってぶっ飛ばした。
「ぐっ!」
そのままうずくまり、苦しむ所にチャンスだと酔鬼とジェヴォーダンが駆け寄る。
「うわっ!」
「んだよこれっ!」
その瞬間、猛烈な爆風が少女たちを襲う!連続であたりを業火が焼く。ヘルゴットさえ防御体勢を取るなか、爆風は止まない。
「見つけたよ!」
「ああ、悪いねお空」
その爆風の中、黒い影がブラックキャッツを連れ去った。
ジェヴォーダンがドラクリヤーに乗って空に舞う黒い影を追おうとするが、間に合わず視界から消えてしまう。
「…逃しちゃったみたいね」
「仕方ないさ、予想以上に奴が強かっただけだ」
そう言って一同は変身を解いた。しかし店に戻ろうにもボロボロで、店主も避難済みである。面白くない気持ちを抱きつつ、それぞれの帰路に着いた。
「じゃあ、私は帰って休むわ」
蓮子は萃香とともに勇儀宅へ戻る事に。対しレミリアは地霊殿へ、魔理沙は宿へと戻っていった。
「で、こんな朝早くに呼んでなんのつもりだい?」
翌日、地霊殿にはライダー達が全集合していた。萃香はみとりから先ほど受け取ったひょうたんをいじりつつ疑問を飛ばす。
サグメ曰く自身が集めたとのこと。全員が座ってるのを一人一人達の顔を見つめて確認し、深刻な顔で頷いた。
「…お前達が、何と戦ってるか、話そうと思う」
その一言が耳に入り、好き勝手騒いでいた面々も黙り、サグメの方を向いた。
「やっと話す気になったのね…あんたがここにいる理由を」
妹紅は少し語気を強めて言う。それには、目的もわからず付き合わされた鬱憤もこもっているようであった。
「…おそらく、月の要人が手を引いている」
サグメの放った一言に対し、それぞれ疑問符を浮かべたり顔をしかめたり驚愕したり好き勝手な様子であった。それに対して一番納得の様子を示したのは妹紅であった。
「だから裏切った…と」
「依姫さまレベルの可能性もあるからな。ここにはいないが…例の天人が侵入したおかげで旧竜宮の秘密の研究所が発見された。そこにあった機密事項は私でさえ知らないことがチラホラあるレベルのものだったからな」
「内部でそいつを追放しようとするより自分が裏切って行動した方が動きやすいと思ったって訳ね」
へカーティアはサグメの発言に対して頷き、より一層深刻な面持ちを見せた。
「ってことは…相当厄介な敵が最後にいそうね」
「ああ。だから、戦うつもりのものは全員覚悟した方がいいと伝えておこうと思ってな」
サグメはため息混じりに頭をかきつつ語った。メディスンや蓮子とメリーのように話の内容をいまいち飲み込めない者も居たが、ことの深刻さは伝わっていた。
そんな中、重苦しい空気に耐えかね、レミリアは口を開いた。
「それなら、協力が必要になってくるわよね。区別したりわかりやすくする民に…私達でそれぞれあの姿に名前をつけようじゃないの」
そう言ってヴァンパイアリングを机の上に置いた。それに対し、他の面々も納得の表情を見せた。
「それなら提案がありまーす」
真っ先蓮子が手を挙げた。一同はそちらへと目を向け、話を聞く姿勢に。そんな中、彼女はスーツケースから説明書を取り出した。
「この姿、私達はヒールって呼んでるんですけど、正式名称は仮面ライダーなんです。新聞で見ましたかね?これって、外の世界で昔やってた…ってのは私たち視点だから…今やってるテレビ番組に出るヒーローの名前なんですよ」
蓮子のその説明に対し、一同は口々に意見を述べ始めた。…結論として、それでいいのではと言うことになった。
「ヒーローの総称を仮面ライダーにしちゃえってこと?じゃあ私は…仮面ライダーフェネクス…かな」
妹紅のその一言を皮切りに、それぞれで勝手に話を始めた。サグメも緊張が解れたのか、気楽な様子で話していた…重く堅苦しい空気よりもこちらが幻想郷らしいと、レミリアは蓮子に対してサムズアップを送った。
「…仮面ライダー、桜刀」
そんな中、一人、妖夢は釈然としない様子であった。
「どうしたの?」
「…実は、幽々子様にこれを渡される時、『あなたは今日から仮面ライダー桜刀』…って、言ったんです。新聞を受け取る前です。それに外に世界にも詳しい方ではないし…」
「それは…変な話ね」
その言葉を受けた蓮子、そして横で聞いていたメリーも疑問を浮かべた顔であった。しかし考えても分かるわけもないので、不思議だね、で話を終えた。
「皆さん、お揃いみたいですね」
そんな中、扉を開けてさとりが入った。辺りを見渡して頷いたのちサグメの方を見て、手招く動作をとった。
「少し…来てもらっていいですか?…他にも何人か、戦える方を」
その誘いに対し、好奇心混じりに全員が立ってそのあとを追う。さとりは驚きつつもなんだか嬉しく思い、心強げに案内した。
「…急に目を覚まさなくなったんです」
さとりは寝室の一つへと全員を案内した。ベッドに眠るこいしを見て、薄暗い表情でそう呟く。サグメはそんなこいしの額に触れ小さな声でポツポツと呟いた
「夢の世界…か」
さとりはサグメのその声の方を見ると、お願いしますと呟き、頷いた。
「原因は夢にあるはずだ。…夢の中に向かう。伊吹とへカーティア、それと…妹紅。来てくれ」
「夢に…。そんなことできるの?」
「ああ、夢の管理者から教わった。簡易的なやつだがな」
レミリアの疑問に対して簡潔に答えると、魔法陣を展開し、祈るような姿勢をとった。
「この中に入るんだ。おそらく夢の中で何かを仕掛けてる奴がいる。戦う準備はしておけ」
サグメの招くのに従い、三人は魔法陣へと踏み込んだ。瞬間、三人は倒れこむように眠り、夢の世界へと誘われた。
「…ここが、夢の中」
起き上がった妹紅が辺りを見渡しつつ呟いた。側ではへカーティアと萃香もキョロキョロとしており、夢の中へと侵入したのだと実感した。
「術者は入ってこれないのねぇ」
へカーティアは背を伸ばしつつそんなことを言った。そうして萃香と妹紅の方を見たのち、頷いた。
「原因を手分けして探しましょう。あんな言い方をしたからにはそれこそ夢魔とかが居るはずよ」
それに対し二人は頷いて肯定の意思を見せ、三手に分かれての探索を開始した。
「しかし…夢ってのはもっと騒がしくてはちゃめちゃだと思ってたんだけどなぁ。無意識ってのはこういうことなんかね」
人がいない旧都を駆け回りながら妹紅はそんなことを呟いた。普段見る旧都とのあまりのギャップに奇妙な感覚を覚える。そしてうっすらと不気味さも。
「待てっ!」
そんな中、彼女は一つの影を目撃した。路地裏を走り抜けたそいつをしっかりと視認はできなかったが、萃香とへカーティアではないのはすぐに分かった。すぐさま駆け出し、そのあとを追った。
「すばしっこいな…」
妹紅の追跡に気づいたのか、謎の影も逃げるような急ぎ足で路地裏へ消えていく。あいにくフェザーチェサーはいないので、走る他ない。ボルコネクターとバーンスマッシャーを用意し、さらに足を早めた。
「もう逃げられないな」
逃げた何者かを行き止まりまで追い詰め、その姿を見据えた。
妹紅はサグメから聞いていたその姿と脳内で照らし合わせ、そいつが他でもなくドレミースイートであることに気づいた。
「夢の…管理者だっけ」
「一応そういう者ですね」
「お前も探してるのか?こいしを眠らせたままにした張本人を」
「さぁ…どうでしょうかね?しかしまぁ、あなたを始末しなきゃいけないって点では…敵ではありますが。眠妖!」
『X!』
『tipper…change』
帽子の中からエックスゴースターを取り出し、USBを挿入した。身構える妹紅をよそに、銃口を右下に向けて発射。
その姿を鎧の怪人、ズェッケロティパーへと変えた。
『ignition』
「あんたもそういう感じか…変身!」
『burn up complete!phoenix blaze!』
対し妹紅もフェネクスとなり、ズェッケロティパーへと向かった。
「くらえっ!」
「くらうわけないでしょう」
しかし飛びかかりつつ放つパンチは軽くかわされ、続けて繰り出すキックもチョップも当たらず。しかしズェッケロティパーの重い頭突きは正面から叩き込まれる。怯んだところに間髪入れず銃撃を飛ばす。どの怪人のものより高圧で高温で、まるでパンチを食らったかのような動きでぶっ飛ばされた。
「こんなんじゃフェザーチェイサーとの合体形態も大したことなさそうですねぇ」
さらに蹴り込みを叩きつけられ、長屋を二つ突っ切って大通りへ。ボロボロの身を庇いつつ起き上がるが、すでに疲弊しきっており、これから勝てる見込みなどありはしなかった。
「お前かあああああ!」
「見つけたわよんッ!」
そんな中、酔鬼とヘルゴットが助太刀に。しかし同時に繰り出した飛び蹴りは軽く防がれ、思い切り弾かれるだけ。二人の着地を狙った射撃を喰らい、軽く跳ね飛ばされるのであった。
「…まーだまだですねぇ」
立ち上がろうとするヘルゴットと酔鬼に対し、屈んで目線を合わせつつそう言い放つ。酔鬼は立ち上がって殴りかかろうとするが、肘を叩きつけられ、さらに膝蹴りをねじ込まれる。再び倒れこむような姿勢に。それは見てズェッケロティパーは背を向けた。
「このまま仕末しちゃっても困りますし。とりあえず…こいつの相手でもしててくださいな」
そうしてエックスゴースターを何やらいじったのち、正面へ発射した。紫の塊と煙が飛び出て変形したかと思うと、真っ黒な目の妹紅へと姿を変えた。
「任せましたよ」
そう一言残すと、空間に穴を開けてその中へ飛び込んだ。その穴が消滅したと同時に、ドレミーが生み出した偽物、シャドー妹紅が三人の元へ近づいた。
「ライダーは始末する。悪く思わないでよね、本物さん」
妹紅の声でスラスラとそんなことをつぶやくと、ポケットの中からバーンスマッシャーを取り出した。
「変身…」
ボルコネクターを装備し、グリップを握りこんだのち変身シークエンス完了。中から真っ黒な目のフェネクスが現れた。立て続けに五回バーンスマッシャーを握り、フェニックスフォームへ。空間から現れた紫の塊がフェザーチェイサーになり、変形してシャドーフェネクスの背に合体した。
「死ねっ!」
フェネクスへハイキックを浴びせ、さらに回し蹴り。自分の強化フォームに対応などできるわけもなく、なすすべもなく変身解除に追い込まれた。
「やあああ!」
ヘルゴットが鎖を伸ばしその足を捕まえようとするが、その素早さゆえに捉えきれない。さらにフェザーシューターが突き刺さり、怯んだ一瞬にキックを叩きつけられる。
「どりゃああ!」
「無駄だよっ!」
酔鬼の投げつけた岩もチェイスブラスターによって粉々にされ、続けてフェザーシューターの弾幕を舞わせるのであった。
「くっ…」
膝をつく二人の元に、拳を構え、シャドーフェネクスが迫る。そしてとどめを刺そうとしたそのとき、抱きつくような姿勢で妹紅がシャドーフェネクスを拘束した。
「離せっ!」
「いまだっ!別のフォームとかあるんだろっ!」
そう叫びつつ、自ら炎上。抵抗するシャドーフェネクスをしっかりと掴んだ。
「助かるわっ!」
『Set!Alien power!』
「ありがたいよ!」
『set confirmed』
シャドーフェネクスが動き回っても全く離さず、ついには自爆。シャドーフェネクスが膝をつき、よろよろと立ち上がった。そのとき、すでに二人はフォームチェンジの準備を終えていた。かたや赤い石をベルトにセットし、かたやベルトに酒を注ぎ込む。
「異界の力…味わうといいわ!」
「さあ、暴れますかね!」
『confirmed change standby……3……2……1』
それぞれ身構え、ボタンを押す。レバーを引く。赤い球体がヘルゴットに合体し、酒が酔鬼の鎧を形作る。
『Perfect!HellGod Alien!』
『formname is 乱鬼!GOGOGO!』
ヘルゴットには赤い鎧が足され、異界のへカーティアを思い起こさせる姿のエリエンフォームへ。
酔鬼には左半身に赤い差し色が入り、左手が強化。反り返る一本角の乱鬼へ。
赤い女神と赤い鬼がそれぞれ巨大な斧と太刀を構え、シャドーフェネクスへと駆け寄った。
「色が変わったところで…無駄だね!」
そう叫びブースターで加速して接近するシャドーフェネクスに対し、酔鬼は2mを超える乱喰刃を叩きつけた。怯んだそこへ、ヘルゴットは斧をぶつける。さらに吹っ飛ばされ、今度は警戒態勢をとった。
「あんま見くびるべきじゃなかったかな…」
そうしてチェイスブラスターを向け、熱線を放射。あたりの長屋をぶっ飛ばしつつ、じわじわと酔鬼へ向かった。
「危ないな!」
それを上手く潜り抜けて避けると、再びシャドーフェネクスへ接近。左の拳を叩き込んだ。
「おごっ!」
両腕でガードするも、それでさえ激痛。腕を抑えて屈んだところに、ヘルゴットの蹴り上げが入った。
「でやあ!」
さらに落下を狙って斧を振り落とし、フェザーチェイサーを真っ二つに。シャドーフェネクスが立ち尽くすその一瞬に、二人は立て続けてパンチを叩きつけた。
「うぐっ…熱い…体がっ!」
「オーバーヒートか…いくら体をコピーしたと言っても…私の『慣れ』まではコピーできなかったってわけか」
突然苦しむシャドーフェネクスに対し、妹紅は一人納得する。屈むそいつへ蹴りをぶつけ、怯ませた。
「くそっ…一旦夢の外へっ!」
彼女はライダー達に背を向けると、欠けた羽を炎の羽で補い、ふらふらと空へ飛んだ。
しかしそれを許すライダーではない。ヘルゴットは腕から鎖を伸ばし、その足を捕捉。引き寄せつつ、側面のボタンを押した。
『Invocation Deathblow!』
右拳を構え、一気に引き寄せる。対し酔鬼も、乱喰刃を引きずりつつ駆け出した。
「ヘルスブレイクッ!」
そしてその顔にパンチをたたき込む!ぶっ飛ばされたその一瞬、酔鬼は切り上げを繰り出し、シャドーフェネクスを真っ二つに。空中で爆音が響いたかと思うと、あたりに紫の液体が飛び散った。
「…ったく、面倒な敵もいてくれたもんね」
あたりに敵がいないことを確認し、一行は変身を解いた。そしてへカーティアは頭をかきむしりながらため息を吐き出す。月の要人が関わっているというのは嘘ではないらしい。改めてその事実を認識し、へカーティアは今後の苦戦を想像した。
「…終わったか」
瞬間、視界は無人の旧都からこいしの寝室へ。すでに他の少女たちは帰るなり別室に行くなりしており、残っていたのはこいしを見守る姉と、帰った三人とサグメだけであった。
「黒幕っぽいのは逃した。…ドレミーだったわ」
へカーティアがポツポツとそう告げたのに対し、サグメはショックで目を見開き、受け入れきれない様子であった。
「…そうか」
唾を飲み込みつつ、表情をかげらせて部屋を去る背を、妹紅は心配げに見ていた。
「…んん、お姉ちゃん?…それに、えっと、妹紅」
そんな時、こいしは目を覚まして辺りを見渡した。
いつのまにかその手に握っていた青緑のクリスタルと、謎の機械に疑問を抱きつつも、ひとまず起き上がって広間へと向かった。
to be continued…
「やだ…やだっ!来ないでっ!来ないでっ!」
シャドーはトラウマを抉る。
次回、「駆動の摩天楼 〜 Toxic Mind」
皆さん御機嫌よう。東方曲では実は廃獄ララバイが一番好きなサードニクスです。2位は砕月。ZUN曲で2位なら霊地の太陽信仰かな。お前地霊殿好きだな。
今回はどどんと強キャラと伏線を叩き出した回です。これからヤベーのが出るぜっていう感じで。まだ11話やぞと言えなくもないけど、言い換えればだいたい4分の1。結構進んだねぇ。こっからもショッキングな展開が割と出ると思うからお覚悟を。
次回もタイトルとtoxicってのを見ればわかると思いますが。アレな回です。
で、予約した方!早めの投稿をお願いします。多少遅れるとはいえ、もう15話も近づいてきております。ストーリーのギチギチぶりの関係でそれ以降に頂いたフォームはお受付は難しいのです。
つまり、最終フォームのないライダーとして出ますし、その分出番は減ります。ただし、「いつ頃完成予定」とか、「最終フォームはどうしても作りたくない」とか、「思いつかないからあんたが考えろ」と言う場合はそう言ってください。それを前提としてストーリーを組ませていただきます。
みんなの!変身ポーズコーナー!
今回はワードレス!
まず左手にワードレッサーを装備します。で、マコト兄ちゃんっぽくコトダーマを右手に持って、そして挿入。
『コトダーマ!◯!』の音声とともにゆっくり両手を若干クロスしつつ前に伸ばします。
そして右手をサムズアップにしたのち、180度回してバッドサインに。右手でワードレッサーのレバーを引き、ゆっくりと手を広げて変身完了です。