幻想仮面少女   作:さわたり

25 / 43
もう1クール終わっちゃったよ。
さて、前回の11話は!
ストームスネイク、八坂神奈子。友人の諏訪子さえ顧みない冷酷な彼女の攻撃に、ガイアは苦しんでいた。当然勝利などできず…。
深夜。ひと作業終えた菫子とともに、居酒屋に行く萃香と蓮子。先客のヘカーティアと魔理沙とともに、宴会…かと思えば、割り込むようにブラックキャッツが現れる。酔鬼が立ち向かうが、いささか押されてしまう。ジェヴォーダンがピンチから酔鬼を救出し、さらにヘカーティアに彼女用の変身アイテムを渡す。新たな仮面ライダー、ヘルゴットの誕生である。だが、第三者の手によって、ブラックキャッツへのトドメは逃してしまう。
翌朝、地底にいるライダー達をかき集めてサグメは告げた。「この事件には月の要人が関わっている」。動きやすくなることこそサグメが月を裏切った理由だった。そのご、レミリアの提案と蓮子の提案により、『仮面ライダー』と言う呼び名が彼女達の変身後の姿に付くこととなった。
そんななか、さとりから助けを求める声が。こいしの目が覚めなくなったという。サグメは夢の中に原因があると考え、ヘカーティア、萃香、妹紅らを彼女の夢の世界へ送った。そこにいたのは、なんとドレミー。しかし怪人となった彼女に誰も敵わない。始末しちゃっては困ると言ったかと思えば、夢塊で妹紅の偽物を作り、けしかけた。早々に倒される妹紅だが、彼女が稼いで時間で酔鬼とヘルゴットが別形態へ。偽物であるシャドーフェネクスを撃破した。
目を覚ましたこいし。彼女の手には、不思議な石が握られていた…。
・仮面ライダーヘルゴット バランスフォーム
・仮面ライダーヘルゴット エリエンフォーム
・仮面ライダー酔鬼 乱鬼
・ズェッケロティパー


第12話 駆動の摩天楼 〜 Toxic Mind

「なんなのよっ!」

 

とんでもない轟音でへカーティアは目を覚ました。時間は朝5時。まだ眠いというのに。彼女は不平を言いつつも、すぐさま準備を終え、外へと駆け出した。爆音がかき鳴らされるたびに地霊殿中のステンドグラスは揺れ、いまにも割れるのではという心配さえ起こさせる。

 

「うるさいな…」

 

同時にサグメも飛び出し、玄関のドアを開けた。同時に轟音と閃光が飛び込む。爆風こそないものの、目を背けるほど大きな爆発に、人々は逃げ惑っていた。

 

「行くぞ!」

 

「ええ」

 

サグメはすぐさまコードランナーに乗り、発進。へカーティアもヘルドライバーよりバイク『マシンラピス』を出現させ、そのあとを追った。

 

『蓮子、どうしましょう…』

 

「うーん…とりあえずあいつを倒すしかないかなあ」

 

爆破を前に逃げ惑うのはライダーも同じ。ヒール、酔鬼、そしてメディスの四人も爆発を避けつつ戸惑っているようであった。

 

「どうしたんだお前たち」

 

「私とメリーが地上に帰るって言ったら萃香が付き添いに来てくれてね。メディスンとはたまたま旧都で会ったの」

 

サグメはそうかと頷き、ワードレッサーを装着し、コトダーマを用意した。同時にへカーティアもヘルドライバーを装備し、変身の準備を終える。

 

『コトダーマ!観!』

 

「変身……!」

『ブレイクオープン!ドレスアップ!』

「変身」

 

サグメがバッドサインを作ってレバーを引いたのち、へカーティアもバックルのボタンをぶっ叩いた。緑の粒子がサグメを覆い、ワードレスに変えるその横で、黒い塊がへカーティアを包んでヘルゴットへと変えた。

 

『メイクアナライズ!ワードレス!』

 

『Perfect!HellGod Balance!』

 

「あいつを倒せばいいのよね?」

 

そう言ってヘルゴットはマシンラピスを駆り、遠くへと離れていく黒い影を追う。そのあとをコードランナーとイシグマスラッシャーが追った。

 

「行くわよメリー!」『了解!』

 

「トライサイカー!」

 

ヒールとメディスも追うべくバイクを用意した。しかしその瞬間、建物が崩れ落ち、瓦礫が三人の行く手を阻む。一瞬防御態勢を取ったのち、一歩下がって身構えた。

 

「蓮子さん…メリーさん…あとメディスンさん…ですね」

 

その瓦礫を踏み倒し現れた人物に三人は目を見開いて驚愕した。

何せ、聖白蓮その人であったから。

しかしその体は半分溶けかかり、目は真っ黒。顔はどうにか人間としての美形の様相を保っているが、ドロドロと血なのか溶けた肉なのかわからないものをこぼしている。さらにはうっすらと骨さえ見える。

 

『う…ううっ!おえっ!』

 

その姿に、メリーの脳内で聖の最後がフラッシュバックする。その見た目ゆえに妹紅に化けたとかいう怪物であることはすぐにわかった。それでもあまりにもグロテスクで、あまりにもショッキングであった。

今にでも胃の中身をぶちまけそうであったが、あいにく今は粒子化しベルトに収まっている状態。声でえづくだけであった。

 

「ちょっと、メリー!」

『やだ…やだっ!来ないでっ!来ないでっ!』

 

「ごめんなさい…あなたを守れなくて…今…楽に……」

 

そんな中、身を引きずりながらシャドー聖は二ライダーに接近した。その手にはいつの間にやらメディットブレスが握られており、ゆっくりと左腕に装着すると、ブラッドリリィカプセルをセットした。

 

「変身」

 

『GRADE UP…… FAZE1』

 

そして試験管パーツを折りたたみ、変身を完了した。真っ黒な複眼と背丈、そしてメディットブレスの位置でいとも簡単に見分けがつく。

だが、それが問題なのだ。背が小さくなり、ブレスの位置も違うがゆえにメリーはメディスンの変身する姿には思うところは少なかった。

だが、目の前でうなだれ気味に立ちはだかるメディスはあんまりにも聖のものそのままで、あの時の風景がより鮮明に想起される。

 

『うわあああああああ!!』

 

「落ち着いてメリー!」

 

ヒールの頭の中にメリーの絶叫がこだまする。さらには夢を見せてくれる時のように、蓮子にもその風景と恐怖がなだれ込む。

 

「ううっ…」

 

ヒールはそのまま膝をつき、頭を抑えてしまった。メディスはその様子を一瞥すると、もはや自分で倒す他ないと決断した。

 

「そんなボロボロで私に勝てるかしら?私はこの毒と相性がいいのよ」

 

メディスンは小さな人形を指の上に乗せて仮面の中で笑った。それに対し、シャドーメディスは「それはそれは」とむしろどこか嬉しそうに答えるのであった。正直不気味で、メディスンは一転して顔をしかめた。

 

「救って…あげますから…!」

 

焼けた喉から出した掠れた声と共にボロボロの腕を振り上げ、拳を突き出した。メディスも対抗し、拳を放つ。

結論を言えば、押し負けたのはメディスンであった。

 

「いったい……!」

 

衝撃にビリビリする腕を抑えながら、メディスは後ずさった。しかしシャドーメディスも無事ではないらしく、右前腕が真ん中から折れ曲がっていた。

 

「あら…」

 

それを軽い調子で直すと、辺りを見回したのち、ズルズル体を引きずって姿を消した。

 

「くっ…」

 

「うっ…ううっ…おええええええ!げほっ!うぇええ!」

 

ヒールの変身が解けたその瞬間、メリーは膝をついて四つん這いの姿勢に。どうにか駆け出して路地裏に行くと、飲食店のそばの大きなゴミ箱に胃の中身を全てぶちまけた。

 

「…相当、辛かったのね」

 

蓮子は自分の相棒がショッキングなものに弱いのは知っていた。背中をさすりながら墓場探索の際に現れたゾンビの幻に対する反応を思い出した。ここまでではないにしろ、気持ち悪そうにしていて、守らなければと、そう思った。

彼女はその思いを一層強くし、メリーを弱く抱きしめた。

 

 

 

 

 

 

 

「あんたたちもしつこいねー!」

 

その少し前、黒い影を追った三人はゆっくりとそいつに接近していた。予想通りそいつは霊烏路空で、制御棒を砲身のようにエネルギー弾をばらまいているのであった。すでに住民の避難しきった無人の旧都に対し、破壊の限りを尽くしているのだ。

 

「ま、いいか、ここで始末しちゃお!」

 

ワードレスのシューターフィールをくらい、うざったそうに振る舞ったかと思うと、そんなことを言って地上に着地した。

 

『X!』

 

「醒妖!」

 

『crow…change』

 

そして制御棒を外し、エックスゴースターを用意したかと思うと、USBを挿入し、姿を変えた。メタリックな黒と、全身から吹き出る水色の炎が目を引くアトムアヴェムである。

 

「「さぁ」」

「地獄を見せてあげるわ」

「宴の始まりだ!」

 

「運命だと思って、諦めるんだな…!」

 

対峙する三人もセリフをぶつけ、構えをとった。対しアトムアヴェムは制御棒をエックスゴースターと合体させ、アトムゴースターへと。ライフルのような形で構えた。

 

「くらえ!」

 

そしてエネルギー弾を放出した。とっさに危険と判断し、ヘルゴットは素早くそれを飛び避ける。

そして50mほど遠くの家に着弾し、爆風を巻き起こした。その衝撃がヘルゴットの腕の鎖を乱雑に揺らした。

あれをくらえばどうなるか。食らった自分を想像し、三人は青ざめた。

 

「あまり近づいて攻めるわけにもいかんか」

 

『シューターフィール!』『コトダーマ!戦!』『ブレイクオープン!ドレスアップ!』

 

『メイクバトル!ワードレス!』

 

銃撃戦を仕掛けるべく、ワードレッサーを銃撃モードに切り替え、バトルワードレスへ。紫のエネルギー弾を連続で放射した。

 

「おっと、いてっ」

 

何発かもらって痛がりつつも決定打にはならず。しかし隙が生まれたのもまた事実である。その背中へと酔鬼が拳をぶつけた。

 

「あいてっ!」

 

軽く怯み、転んでしまう。しかしすぐさま体勢を取り直し、酔鬼に向かって熱弾を放った。かといって素直にくらう酔鬼でもない。すんでで回避して、殴りかかった。

 

「…そんなら!」

 

放った拳を、アトムアヴェムは胸であえて受け止める。そして、苦痛で顔を歪めつつ、後ろに向かってアトムゴースターを振るった。

 

「おごっ!」

 

その銃身が後ろから接近していたヘルゴットにジャストヒット。床に叩きつけられた。さらに酔鬼の腕を掴むと、振り向く勢いのまま背負い投げ。ヘルゴットの上に叩きつけた。

 

「後ろからの接近…気づかれてた…のか」

 

「あいにくレーダー機能があるんでね!」

 

そう言って真上へと飛び上がると、銃を構え、USBを一度抜いた。

 

『XX!』

 

「ぶっ飛べ!」

 

そして再び挿し直して必殺を発動し、真下へと向けた。酔鬼たちは青ざめ、防御体制を取った。ワードレスは焦って撃ち落そうとした。通常攻撃であれなら必殺ならどうなるのだ。そう、三人は焦らずにいられなかった。

 

『…good bye!』

 

しかし焦る以上のことはできず。一行は目をつぶって屈むのであった。

ビームが地上に着弾し、その一瞬後、爆炎が円柱のように昇った。あたり15mほどを焼き尽くし、爆風がその何倍もの距離を伝う。羽型の装飾を揺らしながら、アトムアヴェムはマスクの中で不適に微笑んだ。

 

「三人、倒しちゃった!」

 

そう言って飛び去ったのち煙が次第に晴れていく。その中で三人は健在で、ただただ一人が爆炎をその身に受けていた。

 

「私があと一秒…遅れてたら…全滅だったな…」

 

焼けてもはや誰なのかわからないその人を、三人は声で妹紅だと判断した。なら良かったと安堵のため息をつくと、三人は変身を解いた。

 

「あのバクほどじゃないけど強いわね…」

 

「ドレミーは…そんなに強かったのか?」

 

サグメの問いに対し、へカーティアは無言の頷きで答えた。対しサグメはそうかと弱く返すのであった。

 

 

 

 

 

「……ううっ」

 

「あの子は来た時からあの調子なのかしら?」

 

蓮子とメリー、そしてメディスンは勇儀宅へと来ていた。先ほどの戦闘と溢れかえる記憶のショックでうなだれるメリーと、その背中をさすりながら優しく話しかける蓮子を見て、もう一人の来客、茨木華扇は心配げな様子を見せていた。

 

「さっきちょっと強烈なものを見ちゃってね。あれで弱るとは、人って貧弱ねぇ」

 

「でも人じゃないとできないことも多いんだぞ?」

 

メリーの背へ吐き捨てるメディスンに対して勇儀はそんなフォローを差し出した。

それに対して華扇は呆れ気味にため息をついた。

 

「けれど人間が肉体においては弱いのは事実よ。…こんな瘴気に満ちたところにいれば気は滅入る一方です。早く地上に帰した方がいいわよ」

 

「そんなもんかねぇ」

 

「帰るなら私たちもご一緒させてくれるかしら?」

 

勇儀が帰すべく準備を始めたその時、入り口のあたりから声がした。振り向いた先にはレミリアが偉そうに、そして妖夢が申し訳なさそうに立っていた。

 

「…そうだな。目的も達成したろ?」

 

勇儀のその問いに、メリーは蓮子を一瞥したのち静かに頷いた。

 

「よし、あんたらのバイクなら外に置いてる。運転はできるか?」

 

「はい…」

 

続いた問いに対し、メリーは再び小さな頷きで返答した。そしてゆったりと立ち上がると、フラフラと外へ向かった。

 

「「お世話になりました」」

 

二人は同時に礼をすると、勇儀宅を出て、チェイスナイターへ乗り込んだ。

 

「あっちの出口なら壁を登ったりしなくてもいける。坂は多いけどバイクならいけるだろ?」

 

勇儀の指差した方に続く道を見据え、蓮子とメリーはチェイスナイターをそちらに向けた。それに続いてレミリアと妖夢も、それを追った。

 

「結局オイラたちって何しに来たんだ?」

 

「さあ?遊びにきたんじゃない?」

 

レミリアはそんなことを言って笑うと、後ろ手で勇儀に手を振って消えていった。

 

「…あなたはまだここにいるの?」

 

「うん、奴らは人形たちを苦しめかねないからね。地底に何かあるかもしれないうちは居るわよ」

 

そう言ってメディスンはメディットブレスを強く握った。

覚悟を決めた様子であったが、華扇はその瞳に迷いを見つけた気がした。

 

「おーい、勇儀ー!風呂行こうぜフロー!朝風呂だー!」

 

そんな中、バイクのブレーキ音が聞こえ、家の中にけたたましく高い声が響き渡る。聞き慣れた萃香の声に、華扇は立ち去ろうとした。しかしその腕を勇儀は掴み、逃げることないだろと言い放った。

 

「おお、華扇も来てんのかい。そんなら三人でお風呂行こうよ。地霊殿で温泉入れんだとさ!」

 

「…あなたたちと?」

 

「別にいいだろ?」

 

「ま、いいでしょう。行きますよ。ちょっと疲れてたしね」

 

華扇は諦めたように笑うと一転、肩を回して腕を伸ばした。

 

「メディスンも来ないかい?」

 

「いいじゃない、行くわ」

 

メディスンも少しウキウキとした様子で立ち上がり、三人へと付いて行った。温泉というものを知らない彼女は純粋に興味もあるのである。

 

「そういえば萃香、あなた聖白蓮のことは聞いてるわよね」

 

「聞いてるも何も、遠くから見てたさ。それがどうした?」

 

行きの最中、華扇の出した話題に、メディスンと萃香は暗い表情を見せた。華扇も話すのを躊躇うような様を見せたが、ゆっくりと口を開いた。

 

「最後の言葉、『にいさん』だったみたいね」

 

「そんなこと言ってたわね」

 

「…彼女に、兄なんて居ないのよ」

 

華扇の放ったその一言に、三人の顔は疑惑の色へと変化した。

 

「にいさんと慕う人が居たのかしら?…でも、弟の命蓮や仲間たちよりも優先される人なのかしら?そんな人…」

 

「あんま悩んでも解決はしないよ。ほら、着いた。さ、暗いことは忘れて入るぞー!」

 

萃香がやかましく駆け出したのに合わせ、他三人も暗い顔をやめ、まっすぐ温泉へと向かった。

 

「で、まさかあんたたちが居るとはねえ」

 

到着した温泉にはサグメと妹紅の先客がいた。すでに二人は湯船に浸かり、リラックスしきっているようであった。

 

「ふうぅぅぅ…疲れが取れるなあ」

 

サグメはより一層リラックスし、大きく息を吐き出した。そんな様子を、勇儀たちは湯を浴びながら微笑ましげに眺めているのだった。

 

「でも…今襲われたらどうするのよ」

 

「抜かりはない」

 

メディスンの放った疑問に対し、サグメは左手を掲げることで答えた。驚愕しつつ若干引く面々に対し、続けて胸の間からコトダーマを取り出して見せつけた。

 

「隠し場所考えろよ…」

 

「他にどこに隠せる。あるものは活かさなければな」

 

「胸がない人が聞いたら憤死ものね。ほら、タオルで隠すとかあるじゃない」

 

「それもそうだな」

 

盲点だったとでもいうような様子で返すと、続けてバトルコトダーマも取り出した。二つも隠せんのかよという面々の驚きの視線に、サグメはドヤ顔で答えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「でやっ!たっ!はっ!」

 

「あんまり根を詰めないでくださいねー!」

 

朝7時。外の世界ではすでに初夏の凶悪な日光がきらめいており、外にいる者はみな軽く汗を流していた。

命蓮寺で木刀を振るう早苗も例外ではなく、運動の分むしろ汗は増えていた。

そんな様子を、天子と星は縁側で心配げに眺めていた。

 

「私が…もっと強ければ…!」

 

「天子さんも気負い過ぎないでください。あなたがそう思えば思うほど早苗さんも気負ってしまうんですから」

 

天子も一緒に稽古をしたいところだが、ストームスネイクに手酷くやられたのは先日の深夜のことである。いまだ体は痛み、動き回ることを許してくれない。

心の奥底で不甲斐なさと戦う天子を見て、星はなおさら自分の無力を悔やんだ。

 

「…あんたらは無力なんかじゃないよ」

 

「諏訪子…」

 

奥の布団で寝たまま、諏訪子は口を開いた。傷が塞がりきっていないのだから、あまり喋るなと星は言ったが、それでも言わせてくれと、力強く答えた。

 

「とくにあんたがいなきゃ私も早苗も今頃死んでたよ。ありがとう、天子。あんたなら…いや、あんたたちなら倒せるよ。あいつをね。だから、お願い…神奈子を……げほっ、ごほっ!!」

 

一通り語り終えたのち、天子の手をしっかりと握ったかと思うと、疲れ切ったのか再び眠り込んでしまった。しかし、その目に輝くものを見た気がして、天子は改めて覚悟を固めた。

 

「…着いたわよ」

 

そんな中、バイクの音がする寺の前で止まった。誰が来たのかと、天子と星が見れば、そこにはチェイスナイターが止まっているではないか。そばに停まるオウカオーのことは知らなかったが、妖夢が乗っていたので特に何かを疑うことはなく近づいた。

 

「帰ってきたのね…地底から!」

 

「ただいま、天子」

 

「別に私の住処じゃないんだけどね」

 

天子は苦笑いで答えると、三人を奥へと案内した。謙遜こそしていたが、やはり実家を行くかのような堂々とした闊歩を見せた。それに対し、蓮子とメリーはどこか頼もしいような感じであった。

 

 

 

「…そんなことが。大変だったわね」

 

三人は地底で起きたことをつらつらと語っていた。ブラックキャットに負けたこと、妹紅が新たな姿を手に入れたこと、妖夢も新たな姿を手に入れたこと。萃香とへカーティアが変身したこと。そして何より…。

 

「月の偉いのが一枚噛んでる…ねえ」

 

「うん、だからサグメさんが天子に感謝の言葉、述べてたよ」

 

「喜んでいいんだかなんだか」

 

妖夢の言葉に微妙な反応を示した。結果として味方だったとはいえ、彼女の中のサグメ像は輝夜たちを拉致して以降更新されていない。いまいち仲間として自身を褒める姿が浮かばなかった。

 

「うわあああああああ!!」

 

そんな中、強烈な悲鳴が寺全体にこだました。何事かと心配して声の元に向かったその時、彼女らの足元に、人が吹っ飛んできた。星はギョッとしつつも、すぐさま倒れる男性を抱え上げ、息のあることを確かめ、奥へと連れて行った。

 

「救って……あげ…ます…」

 

「白蓮っ…溶けて……」

 

「あいつは偽物よ、騙されないで」

 

目の前に現れたシャドー聖に戸惑う天子へとそう告げ、妖夢は戦闘態勢を取った。

 

「やだっ…おえっ……うえっ…やだ、やだああああああ!」

 

そんな中、メリーは絶叫を上げ、胃の内容物…と言ってももはや胃液だけだが…そいつを吐き出し、泣きながら後ずさって行った。そして立ち上がると、シャドー聖へ背を向け、駆け出した。

 

「メリーッ!待ちなさい!ちょっと!」

 

その背を蓮子が追う。シャドー聖はどんどんと遠くなっていくそのシルエットを見ていたかと思うと、ゆっくり振り向き、妖夢の方を見た。

 

「まずは…あなたを……」

 

「地底から追ってきたのね…!」

 

ぼたぼたと赤い何かをこぼしながらメディットブレスを装備し、ブラッドリリィカプセルをセットした。同時に体に走る赤いラインさえもはや痛ましさを感じないほどその姿は不気味で、天子でさえ眉をひきつらせるものであった。

 

『GRADE UP…… FAZE1』

 

シャドーメディスに変身したのに合わせ、天子はグランドライバーを用意した。しかし妖夢は怪我をしてるんでしょと天子を制し、オビドライバーを装備した。

 

『人か霊か?』

 

「あまり触れたくないわね…。なら!」

 

そうして楼観剣を構え、腰横に挿入した。半人が消え、半霊が人型になったかと思うと、その身に黒いスーツがまとわれる。

 

『変・身・承・知!レイノカタ!』

 

最後に陣羽織が装備され、レイノカタへの変身を終える。そして白楼剣を構え、シャドーメディスへと飛び出した。

 

「やあああ!」

 

「…あら」

 

桜刀が振るった刀をシャドーメディスが避ける。しかしその左腕にヒットし、綺麗にスパッと切れて地に落ちた。

しかしあまり意に介する様子はなく、拾い上げてくっつけた。

 

「バケモノね…」

 

「そうかも…しれません…」

 

そう言うと少し桜刀から距離を置き、手で何やら印を組んだ。

 

「ほら、救ってあげます……苦しまないで…」

 

「何をして…!?」

 

そして手を広げたその瞬間、桜刀の体が遠くへとぶっ飛ばされた。対しシャドーメディスも反動のせいか手がグニャリと曲がっていた。

 

「魔界の、対霊魔術か…」

 

彼女はそれを理解すると、仕方なさげに楼観剣を抜き、白楼剣に挿し替えた。

 

『変・身・承・知!ヒトノカタ!』

 

桜刀が姿を消したかと思うと、半人が現れ、スーツと装甲が装備された。

 

「でやああああああ!」

 

そして斬りかかる。その一閃は肩にしっかりと刺さるが、再び大きなダメージとはならず、毒をまとったパンチを叩き込まれる。

 

「うぐっ…」

 

音を立てて焼ける肌を抑えつつ、シャドーメディスから後ずさった。

 

「させませんよ…!」

 

そんな中、星が奥から機械を持ち出し、腰に装備した。

 

「これで…変身できるはず…!」

 

その『エイディングドライバー』を見つめたのち、腕に数珠風の腕輪『僧の腕輪』を巻いた。

 

「変身!」

 

そして、ドライバー上部のレバーを操作する。…だが、反応はない。何度倒しても逆に倒してもただエラー音声が鳴るのみ。

 

「なんで…何で動かないのっ!」

 

シャドーメディスが焦る星へと駆け出し、腕を振り上げた。

 

「何でっ!」

 

そして振り下ろさんと力をかけたその一瞬、オウカオーからまばゆい閃光が放たれた。

その場の全員が目をかばうほど閃光が収まった時、シャドーメディスは自分の腕が何者かに抑えられていることを認識した。

 

「私の…錫杖……ね」

 

自分の邪魔をする袈裟を着た女を怪訝に見つめると、体を引きずりつつ後ずさった。

 

西()()()()()を頼って正解だったわ。…ね、あなたもそう思うでしょう?偽物さん」

 

錫杖でシャドーメディスを殴る女の姿、一同は今度こそ目を見開いて驚愕した。

その少し高い背丈も、その白く繊細だが力強い肌も、その長く鮮やかな髪も、その身から放つ法力のオーラも、その美しい顔も、すべてに見覚えのある聖白蓮であったからだ。

 

「復活…したん……ですね……やっと、救われたのに……」

 

「死は救いであるが、終わりではない。ただ求むべきは、生きる道。ですよ」

 

得意げに笑うその姿に星はいつしか涙を流していた。そして手を差し出した彼女の意図を汲み取り、その手にエイディングドライバーと僧の腕輪を乗せた。

 

「復活の方法、何個か用意しておいたのがこんな形で役立つとは思わなかったですよ」

 

そう言ってドライバーと腕輪を巻くと、懐から巻物を取り出し、身を低く構えて両腕を向かって左側で構えるポーズを取り、エイディングドライバーに巻物を差し込んだ。

 

『南無三宝!』

 

「変身!」

 

そうして左手を広げつつレバーを倒した。その体をオーラが伝い、光を放った。

 

『heavy!光照らせ!その救い!輝く魔界の魂!』

 

神々しいBGMに乗せた変身音ののち、聖の身に黒いスーツと重々しいアーマーがまとわれた。

 

「見せてあげましょう…これが法の光!」

 

その名も、仮面ライダードグマ 僧術ヘビィフォルム。スカートのような巨大ブースターが唸り紫の目が煌めく戦士である。

 

「でやああああああ!」

 

その手に一輪のものを模した『クラウドリング』を握り、拳を振るった。

 

「おっと……」

 

かわそうとしたその一瞬、ドグマの右手にピンク色の雲が出現し、伸びたリーチで拳を腹に叩き込んだ。

 

「うぐっ…」

 

苦しむメディスに対し、さらに拳をぶつけ続けた。コンボのフィニッシュに繰り出したストレートで、かなりの距離を吹っ飛ばされ、石畳に落下跡をつけた。

 

「ちょっと、アンタがやられてどうすんのよ」

 

突如、木の陰からそんな声がした。振り向いた先には、青いバイザーの煌めく怪人がいた。そのシルエットは煙でぼやかしているが、黄色いボディが薄く見える。

 

「私のバイク、貸したげるからこれで逃げなさい」

 

そう言って女が投げたマシンが巨大化し、紺色と黄色のバイクに変化した。シャドーメディスは助かりますと答えると、それに乗って駆け出していった。

 

「待ちなさい!」

 

『light!』

 

そう叫ぶと、ホバーで追いながらバックルのレバーを逆方向に倒した。すると、アーマーがパージされ、変形合体ののち、バイク『マッハラギャテー』へと変わった。

すでに木陰の怪人は姿を消していた。

 

「逃がしませんよ!」

 

「私だけ…救われる訳には……」

 

すぐさま追いつき、シャドーメディスと並行状態に。そしてエイディングドライバーから三宝の巻物を抜くと、もう一度挿し直し、必殺技を発動した。

 

『波羅羯諦!』

 

そしてマッハラギャテーの上に立ち上がり、そこからシャドーメディスへ飛び蹴りを放った。

 

「ぐっ…」

 

防御態勢をとったのが仇となり、その腕のメディットブレスが粉々に。爆散したかと思うと、紫の液体となって消滅した。そしてシャドー聖はバイクもろとも脇の川へと落ちていったのであった。

 

「よし…」

 

そしてドグマはUターンし、命蓮寺へと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…助かったわ…」

 

シャドー聖は土手から必死に這い上がった。零れ落ちる体液の中には川の水が紛れていた。

 

「本当に、助かったと思う?」

 

そんな中、頭上から声がかかった。身を引きずりながら立ち上がり、その声の主を見据えた。

それは、逃げたはずのメリーであった。目の前のグロテスクな怪物の姿を見ても、吐き出すどころか弱音を吐く様子もなくアイズバックルを装備して変身の準備をした。

 

「…あなたみたいに、苦しむ人を、二度と出さない!そう決めた。蓮子が背中を押してくれた…。だからもうあの光景は乗り越える。忘れはしない。でも、受け止めて、立ち向かう!蓮子と一緒なら…!」

 

『look the line…』

 

「私と一緒なら?」

「あなたと一緒なら…なんだってできる!空だって飛べる!…変身!」

 

蓮子の手を強く握り、しっかりとシャドー聖を見据えると、力強くアイズバックルのレバーを叩いた。

 

『we are dream night fantasy!』

 

蓮子が粒子化し、ベルトに格納されたと同時にメリーの姿は仮面ライダーへと変わった。

 

「まだ……」

 

直感的に勝てないと悟り、背を向けてズルズルと身を引きずって走り出した。

 

『kick eyes!』『dash eyes!』『illusion eyes!』

 

そんな背を見据え、無慈悲にアタックドロップをロードすると、シャドー聖へ駆け出していった。

 

「幻惑ッ!ライダアアアアアアアアア!!!」

 

そしてキックが背中に当たろうかというその直前!

 

「ストラアアアアアアイク!!」

 

シャドー聖の目の前に瞬間移動し、胸に飛び回し蹴りを叩き込んだ。

 

「うぐっ!ううう!」

 

苦しんだのち、ドロドロに溶け落ち、爆発した。あたりには紫の煙と液体が飛び散った。

 

「倒した…のね…」

 

変身を解いたと同時に倒れそうになったメリーを、蓮子は肩を組んで支えた。

 

「これからも支えてあげるわよ、メリー」

 

「頼んだわよ、蓮子」

 

二人は向かい合って微笑むと、命蓮寺へと足を進めた。

 

to be continued…




「粉々にしてあげるよっ!」

燃えよ核熱!

次回、「熱地の太陽信仰 〜 Nuclear Bomber!」

皆さん騙してごめんなさい。ひじりんの乳で圧死したいサードニクスです。
ひじりん復活します。はい。
でもね、見返してくだいよっ!
・一回変身にしてはやけに凝った変身ポーズ
・「生の執着はともかく、死そのものを恐れるなんて」つまり死ぬけど生には執着する=復活するつもり。
・冥界に行かず魔界に行った=復活する気マンマン
・「にいさん」の不自然さ。
っていう具合に伏線というか答えがあるんですよっ!
それともオウカオーのくだりでバレてましたかね?とにかくひじりんはハナから生き返る予定でした。
そんな時にどどんとシャドーメディスの設定が送られてきてっ!
ビビっときましたよね。気づいたらプロットできてましたよ。
そういうわけでドグマをよろしくです。
シートは募集の活動報告に追加します。
しかし本作品ゲロシーン多いですね。ごめんなさいね。強烈な不快感の表現に便利なんですよ。
それはそうとプロットのストックがもう13話と14話だけ…。さっさと書かねば。
あ、来週多分更新ないです。許して。

で、みんなの変身ポーズコーナー!
今回は萃香&へカーティア!
まずは酔鬼。
サカズキドライバーを装備します。で、酒鬼以外のフォームならここでマシュヒョウタンをセットします。
で、このままポーズをつけずにレバーを引きます。
『error There is no alcohol』もしくは『set confirmed』が鳴ります。
続けて酒鬼なら二回、他なら一回、これまたポーズなしでレバーを引きます。
で、『3……2……1』のあと、クローズみたいな感じで、顔前で右拳を左手で掴むポーズ。そのあと手を広げつつレバーを引き、変身終了です。

続いてヘルゴット。死ぬほど単純。
まず、ストーンをセットします。バランスならなし。
で、バックル前面の向かって左……バグルドライバーならAボタンがある位置のボタンを押します。(ボタンの位置は追加設定なんで、問題ありゃ言ってください)。バランスなら一回、他なら二回です。
続いてバックルの向かって左側面……ビルドドライバーならレバーの付け根がある位置のボタンをぶっ叩くような動作で激しく押します。お子さんが真似するからDXのベルトは頑丈に作らなきゃね。で、変身完了。
上記シークエンス間、一切ポーズなし。仕方ないでしょ。そう書いてあるんだから。クールでカッコいい変身だと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。