幻想仮面少女   作:さわたり

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今回の前に桜刀外伝『離れた花弁を掴んで』が入ります。読んでなくても問題はありませんが、時系列で読みたい方はどうぞ。
というわけで、前回!
地底に突如爆発が。ヒール、メディス、酔鬼、ヘルゴット、ワードレスが飛び出るが、ヒールとメディスが足止めを喰らう。そこに現れたのは、なんと身体中が溶けた聖白蓮であった。シャドーのようだ。メリーのトラウマがえぐられて動けないヒールを前に、メディスvsシャドーメディスへ。互角で逃げられてしまう。
爆発の正体は怪人となったお空によるもの。ライダーの攻撃も虚しく、妹紅にかばわれた上逃げられてしまう。
メリーの状態を見て、2人は地上へ戻ることに。レミリアと妖夢も一緒に帰っていく。それを見送ったのち、鬼3人とメディスは朝風呂のため銭湯へ。サグメ、妹紅の先客とともに堪能した。
守矢神社。天子たちを励ます諏訪子のもとへ、地底を発ったライダーたちが到着した。そして事情を説明していた頃に、シャドー白蓮が現れる。逃げ出すメリーと追う蓮子。戦うことになった妖夢だが、押されていく。
そこに助けを出したのは、復活した聖白蓮だった。星が使えなかったアイテムを使い、変身。撃破することに成功した。
実際は、川を流れて逃げていた。だがもはや体力など残っておらず、恐怖を乗り越えたメリーによるヒールの一撃で、完全に撃破されたのであった。
・仮面ライダードグマ 僧術
・アトムアヴェム


第13話 熱地の太陽信仰 〜 Nuclear Bomber!

「いやぁー、リラックスできたな」

 

「温泉ってあんな感じなのね。普通にお風呂に入るのとは違って不思議な気分ね」

 

地霊殿にて、少女たちは絶賛リラックス中であった。素早く着替えると、マッサージマシーンやら飲み物やらでこれまた好き勝手に楽しみ始めた。

 

「これっ…いいな。立てなくなりそうだ。んっふうううぅぅ。いいな、これ」

 

サグメはその筆頭であり、柄にもなくマッサージマシーンに居座っていた。しかし左腕にはワードレッサーが、ポケットにはコトダーマがあり、本当に気を抜いていられるわけではないようであった。

 

「そうだねぇ…」

 

そんなサグメの様子を見て、萃香は心の底から楽しめない気がし、一刻も早く安全な状況にしなければと決意を今一度胸に叩き込んだ。

 

「このまま去るのもアレだしねえ。一旦さとりの奴にも挨拶をしとこうかい」

 

勇儀のその一言に全員が賛同し、メインのロビーからさとりの部屋へと向かった。

 

「あれ?さとりー?」

 

しかしそこには誰もおらず、妹紅の呼びかけも真っ暗な部屋に反響するだけであった。

しかし、そんな時。

パリン!と、陶器か何かが落ちて砕ける様な音が響いた。

 

「ーーっ!」

 

同時に内容までは聞き取れないながら必死な様相の叫び声が聞こえた。何事かと一行は駆け出し、反対側の部屋と向かった。

 

「いま、ら、楽にしてあげるわ…!」

 

そこで、彼女たちはさとりがこいしへとカッターを振り上げる信じられない光景を目にした。やめろと掴んで止めるが、必死にもがいてやめようとはしなかった。

しかし力の強さもあり、すぐに押さえ込まれる。よく見れば、その左手には、こいしにつながったサードアイが握られていた。

 

「離してください!!離して!」

 

「どうしたんだ、落ち着け!」

 

妹紅は涙を撒き散らしながら騒ぎ立てるさとりの肩を掴み、強く語りかけた。

 

「…こいしに意思が…あの子の心が……少しだけ…読めるっ!彼女が今…私を怖がってるのが分かるっ!」

 

それに対し、さとりは膝を落として手も床につき、声を荒げながら告げた。その告白に対し、他の面々は驚愕の様子を見せた。

 

「こいしって…無意識状態なんじゃ?」

 

勇儀の問いにさとりは静かに頷き、こいしのサードアイを見るよう促した。

その目はしっかりと開いていた。

 

「こいしは悩み抜いた末…見ないことを選んだのに……その決断を揺るがせちゃダメなのよ!……この目は、潰さなきゃいけない……。私みたいに身勝手にも自己評価過大にもなれない優しいこいしは……見てちゃダメなのよ!!」

 

「やめろっ!」

 

無理矢理カッターを振り下ろそうとした彼女を突き飛ばし、勇儀は今度こそその腕を掴んだ。

 

「それを決めるのはこいしだ!…再び縫い付けるのも、今一度見ながら生きるのも!これはあいつの選択だ!」

 

「見ながら何十年生き続けて、その末目を閉じることを選んだんですよ!?だからっ!」

 

「やめてよお姉ちゃん!」

 

こいしの声を受け、揉み合う二人は動きを止めた。しかしやはりさとりは釈然としない様子だった。

そんな彼女に近づき、こいしはゆっくりと姉を抱きしめた。

 

「ありがとう…こんなに心配してくれて。ごめんなさい…こんなに不安にさせて」

 

その一言に、さとりは再び涙を流した。慟哭と言ってもいい。とにかく大声をあげながら、咳き込みながら、全てを吐き出すように泣き叫んだ。その側でこいしは姉の背をさすり、暖かく見つめていた。

 

「解決してくれそうだね…二人で」

 

妹紅がそう言い、扉を閉じてロビーへと戻ったその時、正面玄関に乱暴な開閉音が響いた。

何事かと一行が駆け寄る。

 

「はぁ……はぁ…もこ…う…ね」

 

そこに倒れていたのは、他でもなく霊夢であった。その体はすでにボロボロで、白かった服も面積の1/3ほどは赤くなっていた。意識はもはや飛びかけで、立ち上がる体力など微塵もないようであった。妹紅は竹林でこういう人は手慣れである。霊夢を脱がせると、自分の服の袖をちぎってそれで包帯を作り、出血を抑えた。

 

「あそこに寝室がある!血とか汚れとかそういうのは私が謝っておく!だからそこに連れて行くぞ!」

 

サグメが霊夢に駆け寄ったのを受け、萃香と勇儀も手伝い、三人で霊夢を抱えて連れていった。華扇も治療のため付いてき、他の面々は永遠亭のメンバーを呼びに向かった。

 

「…何事よ。あなたがこんなになるなんて」

 

永琳の治療しながらのその問いに対し、霊夢は口をゆっくりと開き、掠れた声をひねり出した。

 

「…八雲、藍……ゲホッ!」

 

咳混じりに告げたその言葉を受け、全員が目を見開いて霊夢の方を見た。

 

「あいつが…」

 

「ええ、怪人に変身したの。…こほっ、紫も怪人にされたわ……。口をきかない怪人だけど。そいつに、力を奪われた」

 

霊夢は半身だけ起こすと、手を開いて、そして閉じるのを繰り返すモーション。おもむろに前方に手を広げるが、何も起こらない。霊弾一つ出ない。ため息をつくと、再びベッドへ倒れ込んだ。

 

「どうしようかしら…」

 

 

 

 

 

「どうしようかしら…」

 

ため息をつくのは古明地姉妹も同様であった。二人は裏庭に出て無言のまま座り込む。こいしは自分で決めると言ったもののどうすべきか迷うし、さとりは妹をどう支えていくべきか迷っていた。

 

「死んじゃったら楽になりますよ!」

 

そんな時、その声と同時に蹴りが吹っ飛んできた。こいしはとっさに受け身をとるが、さとりはぶっ飛ばされ、壁に叩きつけられた。

 

「うぅっ!…うう…」

 

足を折ったのか、立つことはできず、ズルズルと体を引きずって移動する他ないようで、蹴りをかました張本人の燐が追いつくのは一瞬で終わりそうであった。

 

『X!』

 

「醒妖!」

 

『cat…change』

 

そしてその姿をブラックキャッツへと変え、さとりにゆっくりと距離を詰めはじめた。

 

「やめてお燐!」

 

そのあいだにこいしは立ちはだかり、両手を広げた。その前でブラックキャッツは立ち止まり、思案していたようだが、ヘルメットの中で嘲笑を見せたかと思うと、その腹を蹴り込み、標的をこいしへ変えた。

 

「えいやっ!」

 

まるでネコがネズミの死体で遊ぶかのように蹴り転がし、さらに蹴り上げてぶっ飛ばした。

 

「ちょっとこいし様〜。もうちょい骨あると思ったんですけどねぇ?」

 

倒れたまま咳き込むこいしを嘲笑いながらそう言った。

それを睨みつけながら、こいしはまだ立ち向かってやろうと、立ち上がった時。

こいしの服から何かが落ちた。どさっと大きな機械が一つ。小さなクリスタルが四つ。

 

「そういえばこんなの持ってたわ…。起きた時に、持ってた」

 

半ば直感的に機械を拾い上げ、腰に装備した。腰にベルトが巻きつくのを見ても驚きはなく、むしろこの使い方を知っているようでもあった。

 

「あなたをアンノウンドライバーと呼ぶわ。どこぞのぬえは関係ないわよ?」

 

そんなことを言いつつ、クリスタルを拾い上げると、うち二つをしまい、残り二つを両手に持った。

そしてゆっくりと前へ見せつけるようにポーズをとると、手を下でクロスしつつクリスタルを挿入した。

 

『Rクリスタル!』

『Uクリスタル!』

 

「おうふ、まさかこいし様までライダーになっちゃうとは。まあ、あなた達の殺害とは別にライダーの始末も任されてましたし?あたいとしちゃ好都合なんですが」

 

「なんとでも言ってなさい。今、正気に戻してあげる」

 

そして手を腰に構えつつ、アンノウンドライバーの中央部のボタンを押した。

 

『エレメントフュージョン!』

 

「変身!」

 

『ライジングアップ!』

 

同時に彼女の洋服が黒いライダースーツに変異し、銀のラインが引かれる。そして胸にクリスタルが煌めいたと同時に、放射状に赤いラインが通った。

時代を築いた二人のヒーローを合わせたような、かつての子供の理想のいいところどりをしたような、そんな姿であった。

 

『戦士の力が時代を呼んで、高まり続ける向上心!仮面ライダーU、ライジングアップ!』

 

ベルトの叫んだ口上に、こいしは自身のこの姿の『仮面ライダーU』の名を認識した。

そしてブラックキャッツを見据えると、ゆっくりと構えを取り、相手の動きを待った。

 

「やああああ!!」

 

ブラックキャッツは飛び上がり、その爪を振り下ろした。それを軽くいなすと、ブラックキャッツの背中側へと回り込み、体を掴んだ。

 

「ライダーきりもみシュート!」

 

ハイジャンプと同時にブラックキャッツの体をぶん回しつつ地面へ叩きつけた。

 

「おごっ!」

 

「だあああああ!」

 

そしてそのまま浮遊したかと思うと、急降下でパンチを叩きつけた。

 

「いっでえ!…この…!」

 

フェアリートルーパー達を呼び出し、行かせた。そしてその隙にブラックキャッツは撤退を図ろうとした。

 

「八つ裂きライダーチョップ!」

 

しかし、特に効果はない。右手に出現させた光輪で敵をぶった切りながら突っ走り、ブラックキャッツの背に蹴りを叩き込んだ。

 

「くっ…」

 

そして姿勢を崩したブラックキャッツの頭と肩を両足で拘束し、逆立ち状態から飛び上がった。

 

「ライダー……キャッチリングヘッドクラッシャー!」

 

そして光輪でブラックキャッツの体を拘束したかと思うと、地面へブラックキャッツをぶつけた。

 

「ぐうう!」

 

再び苦しむブラックキャッツをよそに反動を生かして飛び上がり、空中でアンノウンドライバーのボタンを押した。

 

『放て、戦士の力!』

 

そして軽く飛び出たスロット二つを押し込み、必殺を発動した。

 

『ヒーロータイム!』

 

「でやああああああ!」

 

『ライダーレイキック!』

 

ベルトが高らかに叫ぶと同時に青の雷光が足にまとわれる。そして降下しつつブラックキャッツへと足裏を叩き込んだ。

 

「うぐああああ!」

 

遠くまでぶっ飛ばされたと同時に爆風が巻き起こり、中からは気を失った燐と粉々になったエックスゴースター、そしてUSBが飛び出た。

 

「…よかった。無事みたい」

 

脈を確認し、安堵のため息を吐いた。そんなとき、爆発がUを襲った。とっさにかばったために燐は無傷で、爆風はさとりには届いてはいなかった。

 

「ありゃりゃ。始末失敗かあ」

 

そこに降り立ったのはアトムアヴェムであった。その声とアトムゴースターを見て、そいつが空であることは簡単に理解した。

 

「お空…」

 

「さ、二発目行くからぶっ飛んでくださいよこいし様!」

 

『phoenix feather!』

 

エックスゴースターを構えたその時、炎を吹き出しながらフェネクスが蹴りをぶつけた。アトムアヴェムは吹っ飛ばされはしないが、体制は崩し、攻撃は放てなかった。

 

「大丈夫か!……こいしだよな?」

 

「う、うん」

 

「よし、行くよ!」

 

そしてチェイスブラスターを構えると、炎弾を連続で叩きつけた。しかし大きなダメージではない。アトムアヴェムが飛び上がったのに合わせ、空中射撃戦へ。弾幕ごっこでは比較にならないレベルの殺意に満ち溢れたものだった。

 

「お姉ちゃん、今のうちに」

 

Uの合図を受け、さとりは左脚を引きずりながら地霊殿へ消えていった。

 

「…こっち、試してみようかな」

 

『Cクリスタル!』

『Zクリスタル!』

 

『エレメントフュージョン!』

 

RとUのクリスタルを抜き、変身した時と同じように二つのクリスタルを入れ、中央のボタンを押した。

 

「超変身!」

 

『クロニクルゼアル!』

 

そうしてその姿を仮面ライダーU クロニクルゼアルへと変化させた。

黒い体に紫のラインが走り、銀の鎧を着せた姿へと変わった。

 

『熱き情熱伝播して、ゼロより紡ぐ新たな歴史!仮面ライダーU、クロニクルゼアル!』

 

「だああああ!」

 

思いっきり跳び上がってアトムアヴェムへと拳をぶつけた。一瞬の怯みを見逃さず、フェネクスはアトムアヴェムへと熱戦をぶつけた。

 

「おっと、すごいね」

 

だいぶ消耗したのか、地面に着地し、そこからUとフェネクスを狙う戦闘スタイルへ変えた。

 

「だあ!」

 

Uはアトムアヴェムへとパンチをぶつけた。しかしダメージは小さく、アトムゴースターでの殴打攻撃で吹っ飛ばされるのであった。

 

「死ねーーーっ!!」

 

そしてアトムゴースターを向け、エネルギーを溜めた。

 

「させるか!」

 

それもフェネクスの加速キックに阻まれるが、このままでは勝てないと、こいしは感じた。もっと、パワーが出せないかと。そう思ったとき、Uの額のランプが煌めいた。同時に緑だったそれは赤色へ変わった。クロニクルゼアル ストロングマイティである。

 

「これなら…!」

 

改めて殴りかかる。すると先ほどの余裕ぶりは何処へやら。一発の怯みに大きな隙を作り、連続パンチを叩き込まれていた。

 

「ぐっ……」

 

もう近寄らせてなるものかと小さな爆撃を繰り返すスタイルへと切り替えた。パワーでは度し難く、Uはそれを避けきれずにいた。

 

「大丈夫かこいし!」

 

「スピードの方が入用みたいだね…」

 

そんなことを呟き木に隠れたその時、ランプが青く変化し、握っていた木の枝が折れたかと思うと、突如変異を始めた。驚愕するこいしをよそに龍を模した槍『ドラゴンランス』に変わった。クロニクルゼアル ミラクルドラゴンだ。

 

「今度はやっぱ…!」

 

こいしの予想通り、青く光る時の力は高速移動。爆風を縫ってアトムアヴェムに近づき、ドラゴンランスをぶっさした。

 

「あいっっでぇ!」

 

叫ぶアトムアヴェムへより深く槍を刺し、持ち手先端のレバーを引っ張った。同時に衝撃と斬撃がアトムアヴェムの体を伝った。

 

『XX!…good bye!』

 

焦った様子で必殺を発動し、Uの肩へと突きつけた。しかし素早くそれもかわし、光線ただ空を切って遠く遠くの洞窟の壁で爆裂した。

 

『放て!新時代の力!』

『ヒーロータイム!』

 

「だああああああ!」

 

『ドラゴンマイティショット!』

 

『over drive!』

 

「ボルケニックカノン!!」

 

自分の放った光弾の反動に怯むアトムアヴェムへ、二人は必殺を発動した。

Uは両手重ね、赤青交わった龍型の光線を発射した。

同時にフェネクスも極太の熱戦をチェイスブラスターから放った。

 

「うわあああああ!!!」

 

二つの光線に襲われたアトムアヴェムは大爆発を巻き起こした。やったぞとフェネクスが駆け寄って見てみた。

だがその場には空もエックスゴースターも転がってはいなかった。

 

「け、消し炭に…?」

 

「いや、ダミー爆炎で逃げたんだ。前にお燐がやってた」

 

それを受け、こいしは逃してしまったと悔しげにため息をついた。

 

「なんだ今の爆音は!敵と出くわしたのか!?」

 

そんな中、バタバタとサグメが飛び出た。そしてあたりを見ると、Uへ視線を移した。

 

「なるほど…。理解した!」

『コトダーマ!戦!』

 

「そうではない!そうではない!この子はこいしだから!変身したの!」

 

「…ああ、なんだそういうことか。っておい待て藤原妹紅。お前鈴仙から純狐の騒ぎは聞いてるんだよな?今のそうではないってもしかして私をからかってるのか?」

 

「いや、別にそういうわけじゃないよ。使いたかっただけ」

 

それってからかってるんじゃないかという疑惑も生じないでもなかったが、とりあえず飲み込み、元いた場所へ戻っていった。

 

「どうせ外に出たんだ。…裏口だけど。このまま外に出て昼メシでも食べようじゃないの」

 

「いいわねそれ!」

 

変身を解いた妹紅の誘いに乗り、Uも変身を解いて軽く身を整えて旧都へと繰り出した。

 

「ん、こいしと妹紅か!」

 

そうして何気なく入った店には魔理沙が先客として座っていた。親子丼を食べ始めていたらしく、こいしはスプーンを奪って一口だけ口に運んだ。

 

「ん〜、おいしい!」

 

「お前ッ!…さすが無意識だぜ」

 

呆れ気味に言った魔理沙の隣に座ると、こいしは一転して深刻な表情を作った。

 

「それなんだけどさ、これ、見て」

 

そしてサードアイを持ち上げ、ゆっくりと魔理沙の目の前へとやった。

 

「…これは、どうコメントすりゃいいのか…」

 

「祝ってくれていいよ。新しい私の幕開けってわけよ」

 

「それならいいんだがな。おめでとさん」

 

そんなことを話しながら、妹紅とこいしもそれぞれ思い思いの丼物を頼んだ。

 

「いただきまーす!」

「いただきます」

 

二人は箸を取り出すと、具と米をつまみ上げ、口に運び始めた。

 

「ほういうへはは」

 

「飲み込んでから喋れよ」

 

「……うん、そういえばさ、魔理沙ってなんでここいんの?」

 

「霊夢のやつを探しにきたんだよ」

 

「霊夢なら地霊殿にきたけど?」

 

妹紅のその発言に、魔理沙は本当かと叫んで立ち上がった。落ち着けという二人に言われ、座り込んだかと思えば、ものすごいスピードで親子丼をかっこみ始めた。

 

「ごちそうさん!」

 

「いい食べっぷりだな嬢ちゃん!」

 

「そいつはどうも!っと、こうしちゃ居られねえぜ!いくとするか!釣りはいらないぜ!」

 

魔理沙はドンと代金を置くと、こうしちゃ居られないと箒にまたがりすぐに飛んでった。

 

「ん?なんだありゃ」

 

しかしその魔理沙の意識は地霊殿から離れ、道を飛ぶ小さな何かに行った。どうせ地霊殿にいるなら今行かなくてもいいだろうということで、目的を小さな物体へと変えた。

 

「おーい!待て待てー!」

 

どうやらその小さな何かは亀型のマシンだったらしい。隙間を縫って逃げていくそいつを追いかけるうち、魔理沙は長屋の一室へたどり着いた。

 

「捕まえてやるぜー!」

 

そしてその手を伸ばそうとした時、「誰よ!」という声が魔理沙の背中にかかった。

 

「誰って私は……お前、菫子じゃないか!」

 

「え?魔理沙じゃないの」

 

そこは菫子の作業部屋であり、寝ている間だけ来れる場所でもある。授業中の居眠りを利用して来たのだ。

 

「さてはセンニンタートルさんを追ってきたのね」

 

『しつこいから困ったよ』

 

「喋ったぁ!」

 

亀ロボット改めセンニンタートルから男の声が聞こえた事に腰を抜かし、魔理沙は目をぱちくりとさせた。

 

『私はこれでも誇り高き河童なんだ。訳あってこんななりだが』

 

「この人の技術提供で色々出来たのよ。アイズバックルは私一人だけどね」

 

「…お、おう。じゃあ何かしらアイテムを作ったって訳か?」

 

魔理沙の問いに、菫子はウキウキ顔で機械を取り出した。

円盤、画面、キーボードが並んだ黒いそれは、いまいち用途の掴めないものであった。だが、魔理沙はそれに対しなんとなく察しがついた。

 

「仮面ライダーになるためのベルトか?」

 

「そう!サォルブドライバー!あなたように出来てるからね。あげるわ」

 

自慢げにそう告げたかと思えば、サォルブドライバーと、カードを何枚かを魔理沙に渡した。

そして何かを思い出したかのように机の上をごちゃごちゃといじり、何かを取り出した。

 

「あとこれ、蓮子とメリーって言う二人組の外来人に渡しといて!えっと、仮面ライダーヒールの!」

 

「ちょっと前に新聞に載ってた奴らか。いいぜ!渡しといてやる!」

 

受け取ったのは()()()()()()()()()であった。

しっかりとそれをスカートのポケットにしまって、落とさないようボタンをした。

 

「ん、じゃあ私は地霊殿に行くとするか!」

 

そうして扉を開けて、外に出たたその時。

 

「うわっ!びっくりした!」

 

「あ、あんたこんなところに…!」

 

霊夢と華扇にぶつかりそうになり、三人揃って転んでしまった。

 

「おいおい、気をつけてくれよな」

 

一足先に魔理沙が立ち上がり、二人に手を貸した。

 

「ごめんなさい…」

 

「悪いわね」

 

「お前たちはどこ向かってるんだ?」

 

それに対し霊夢は帰るのよと一言で告げ、小さく駆け出した。

 

「全く、さっきまでぶっ倒れてたとは思えない回復力ね。さすがは巫女。そして若さってとこね」

 

華扇はしみじみとそういうと、彼女も駆け出した。そのあとを魔理沙も追い、三人で出口の穴へと向かった。

 

しかしその時、目の前で大爆炎が巻き起こった。魔理沙のとっさの防御魔法で全員無傷であったが、魔理沙はその衝撃を受け、立てないようであった。

何事かと見やった先には、アトムアヴェムがアトムゴースターを構えていた。

 

「全く、また仕留め損なっちゃったな」

 

残念そうにそう言うアトムアヴェムに対し、三人は精一杯の防御をしながら怯える以上のことはできなかった。魔理沙の頭にはサォルブドライバーのこともあったが、変身なんてできる体力はない。エネルギーを溜め始め、三人が目をつぶったその時。

 

白いバイク、ヴァースサイクロンに乗ったこいしがアトムアヴェムを撥ねた。

 

「お姉ちゃんってばこんな凄いもの作ってたなんて」

 

そんなことを言いつつ降りた瞬間、ヴァースサイクロンは小型化してこいしの手のひらに収まった。

 

「凄いもんだねえ」

 

それにイシグマスラッシャーから降りた萃香も追いつき、二人ともベルトを用意した。

 

『error There is no alcohol』

『error clear change standby ……3……2……1 ready?』

 

『Rクリスタル!』『Uクリスタル!』

『エレメントフュージョン!』

 

「「変身!」」

 

『formname is 酒鬼!GOGOGO!』

『ライジングアップ!』

 

二人は同時にシークエンスを終え、それぞれ酔鬼とUとして、アトムアヴェムへ向かった。

 

「やああああ!」

 

「とう!」

 

二人が同時に放った拳はダメージを与えたが、倒せるもののほどではない。超近距離爆破で二人とも吹っ飛ばされ、再び殴りかかった。

 

「無駄だね!粉々にしてあげるよっ!」

 

しかし羽ばたきの風圧で二人を退け、今一度爆破弾を放った。

 

「…アレじゃ、勝てない」

 

霊夢は二人の様子を見てそう言った。魔理沙も華扇も「勝てるから心配すんな」ってとは言えず、ただ黙るだけであった。

 

「それなら!」

 

突然、霊夢が駆け出した。そしてサォルブドライバーを拾い上げたかと思えば、それを腰に装備し、地面に散らばったカードを拾い集めた。

 

「無理だ…それは私用に作ったって…」

 

「『専』用じゃあないんでしょう?見なさい。巫女のカードがあるわよ」

 

だが、そんなことを言っても何をすればいいのかわからない。どうしようかと戸惑っていたとき、センニンタートルが長屋から飛び出し、霊夢へと近づいた。

 

『あんたが使うのか。まあいい。まずそこのキーボードに文字を入力しろ。CH016 Enterだ』

 

「キーボード…この文字盤ね。えっと、シーがこれで、エイチっと、で、016、エンターっと」

 

『チェンジ コード確認 reimu!』

 

音声と和風な待機音に少し驚いたのち、亀へと視線をやり、次の指示を求めた。

 

『ポーズをとってカードを挿すんだ』

 

「ポーズねえ」

 

適当に胸の前で右手を握るポーズをとり、左手でカードを挿入した。

『読み込み!巫女!』

 

『何かカッコつけたこと言うんだ』

 

「ハァ!?」

 

『いささか急だったかい?では次までに考えていてくれ。ほら、変身と叫んで円盤を回せ』

 

「えっと、こんな感じね。変身!」

 

言う通りに円盤を回し、両手をバッと広げた。するとバックルの画面にカードの絵柄が浮かび上がり、そこからアーマーが実態化した。

 

「な、なにこれ」

 

『いいから突っ立てるんだよ』

 

驚く霊夢をよそにアーマーは霊夢の周り高速回転を始め、同時に霊夢の体へボディスーツが装着された。

 

『楽園!神の使い!博麗の〜巫女!』

 

『さあ戦うんだ仮面ライダー!名前はなんと言う!?』

 

「名前?………リブレッス!」

 

問いに答え、改めて彼女は自分が変身したことを実感する。

仮面ライダーリブレッスがその名である。

紫に青の差し色が入ったスーツの上に、彼女らしい紅白の鎧が着せられ、スカート型アーマーが風に揺れる。

あまりにも霊夢らしく、頼もしい姿であった。

 

左腰横からお祓い棒を模した武器『ガイネンブレイカー』を取り、構えてアトムアヴェムへと向かった。

 

 

 

 

 

 

「これ、渡しておくぞ」

 

同じ頃の地霊殿も爆発に気づき、妹紅、サグメ、へカーティア、メディスンもそこへ向かっていた。

メディスンはトライサイカーには乗れないので、コードランナーの後ろに掴まっていた。

そんななか、サグメは何かを思い出したかのようにポケットから黄色い石を取り出し、へカーティアへ投げ渡した。

 

「走ってる時に…危ないわね。ん、これって」

 

「旧天人居住区で見つけた。月の力の入った石。お前が使えるんじゃないかと思い出してな」

 

へカーティアはそれに礼を軽く返すと、ドライバーにセットした。

 

「お先変身しとこうかしら」

 

『Set!Luna power!』

 

「体力消耗は抑えた方が……いや、お前なら気にする必要ないか」

 

サグメはフフッと笑い、そんなことを言った。対しへカーティアは素早く変身シークエンスを終えた。

 

『Perfect!HellGod Luna!』

 

黒い塊が彼女を飲み込んでバランスフォームになったかと思うと、黄色の装甲と黄色の球体が装備され、ヘルゴット ルナフォームとなった。

 

「さ、急ぐわよ!」

 

そう言って加速したその瞬間、ビームが全員へと飛んだ。コードランナーとフェザーチェイサーはそれをどうもできず、サグメと、メディスンを抱きしめた妹紅はバイクから飛び降りた。対し、変身していたヘルゴットはそれを胸で跳ね返し、そのまま撃った張本人の横を駆け抜けた。

 

「おっと、行っちゃったわね」

 

その女の後ろ姿に、妹紅は見覚えがあった。もはや見間違えようのない九本のふわふわとした尾を振り、妹紅達へ向き直った。

 

「八雲、藍っ!」

 

「今の私にそれは適さないわね。…うーん、本名なんてないし……いいや、九尾さんとでも呼びなさい」

 

「…式としての性格が消えたのか…」

 

「八雲紫暴走のおかげさんで式が弱まったのよ。今でもたまーに出てきて邪魔したりするけどネ」

 

歌うような軽いテンションでそういうと、エックスゴースターを取り出し、USBを挿し込んだ。

 

『X!』

 

「醒妖!」

 

『fox…change』

 

そうして黄色の鎧を着たノヴェムフォックスが放った青色の眼光に、妹紅は何かを思い出した。

 

「鈴仙とてゐを暴走させたのはお前だったわけだ」

 

先に言葉にしたのはサグメであった。煙の中で見た女の青い光と重なったのだ。

 

「そーよ。そのあと地上に行ったり貸したバイク水ぽちゃされたり散々だったんだから。ま、回収したけどさ。行くわよ、インディゴナイター!」

 

そして投げた小さな機械は巨大化しながら変形してバイクになった。その名も『インディゴナイター』。紺と黄色のマシーンだ。

 

そして先に行ったヘルゴットを追うべくそいつを走らせた。

 

『メイクアナライズ!ワードレス!』

『GRADE UP…… FAZE1』

『burn up complete!phoenix blaze!』

 

三人も手早く変身し、メディスはトライサイカーを呼び、ノヴェムフォックスを追った。

 

「邪魔くさいわね…」

 

インディゴナイターからガトリングを展開して後方へ発射するが、ライダー達は素早くそれを避け、横についた。

 

「でやあ!」

 

そしてフェザーチェイサーの体当たりを食らって、一瞬ひるんだ。そこにフェザーチェイサーはマニピュレーターにバーンスマッシャーを持ち、パンチを叩きつけた。

 

「予想以上に頑張ってくれちゃうわね!」

 

今度はフェネクス狙いでガトリングを向けた。しかし。

 

『phoenix feather!』

 

その瞬間乗ったまま空中で合体し、フェニックスフォームへと変身した。射角外の斜めうしろに付き、チェイスブラスターで狙った。

 

「危ないわね!」

 

さらにはトライサイカーの体当たりにより、横の川へとぶっ飛ばされた。しかしそのままインディゴナイターを小型化してしまうと、水没し、姿を消した。

 

「くっ…逃げやがった」

 

悔しげにワードレスが呟いたが、そう言ってもいられない。アトムアヴェムの元へと向かった。しかしバイクチェイスの間にかなり遠くに来ており、向かうにはだいぶ遠そうであった。

 

「やれやれ」

 

三人は呆れ気味にバイクの向きを変え、爆発の方へと向かった。

 

to be continued…




「ギルティ…ドライバー」
『guilty or not?』

「なんだこれ!趣味悪い腕輪だなぁ…」
『がっちーん☆』

凍てつけ空!煌めけ黒!
次回、「おてんば恋娘の変身」

みなさんん今日は。茨歌仙と鈴奈庵の最新刊と三月精の新シリーズが欲しいサードニクスです。空から降って来ねえかなあ。
敵に一回は死ねー!って言わせてみたかった。空は言いそうなキャラかと言われればビミョーだけどそこは操られ補正ってことでひとつ。
本来今回は実はリブレッスデビュー戦のvsお空もちゃんと書くつもりだったんですが、10500字超えたあたりで諦めました。次回冒頭に。
タイトルの件なんですが、
・お空の曲は今後使う予定ないから敵として出しゃばる回で使おう。
・霊夢の曲はいっぱいあるけど強化フォームん時に使いたい。
・こいしちゃんはハルトマン(とラストリモート)しかないからまだ使いたくない。
上記の理由でこんなタイトルに。

みんなの!変身ポーズコーナー!
今回はひじりん!
まず腕輪を巻き、エイディングドライバーを装備します。
で、巻物片手にビーストのあれ。以下ネットの拾い画。

【挿絵表示】

これ。で、エイディングドライバーに巻物をぶっさします。
「変身!」
そして手を広げつつレバーを倒します。ヘビィかライトかで倒す手は変わります。
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