幻想仮面少女   作:さわたり

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更新が遅い男!
スパイダーマッ!!
(約:スパイダーマンのゲームやってました)


第17話 ブルシヴァントの人形師

「幽々子……お前なら……託せる……。これを……」

 

光の中、声が響いた。とても優しい声で、聞いているだけで何故か涙が湧きそうなもの。グッと涙をこらえ、幽々子はゆっくりと頷いた。

 

「……変な夢ね」

 

夢であることはすぐわかったのだが、なによりも今まで見たことのない風景である。起き上がった幽々子は布団を片付けながら思案していた。

 

「何ですかそれ?……外の世界のおもちゃですか?それとも変身のアイテムですか?」

 

そんな幽々子に、妖夢が話しかけた。何の話だと思って足下を見れば、そこには確かに謎の機械らしきものが。

 

「私も初めて見たわ」

 

「えっ、じゃあそれって…」

 

「…でも、どういうものかは分かるわ。()()()がくれたんだもの。きっと、私の助けになるはずよ」

 

幽々子の言葉に対して妖夢は、よくわからないという印象を抱いた。しかし、何を考えてるかわからないのはいつものこと。それなりに根拠あって助けになると言っているのだと、妖夢は信じた。

 

 

 

 

 

「…何かしら、これ」

 

同じ頃の魔法の森の、アリス宅にて。

曇った空は太陽を隠し、あまりスッキリしない朝だ。

彼女はポストに何やら包みが投函されていることに気付いた。ガサゴソと開けてみれば、何やら機械のようなもの。

 

「…!?」

 

何気なく触れてみれば、突如脳内に情報がなだれ込んだ。驚きつつ、再び拾ってみる。

 

「…ママ!?」

 

改めて見た脳内映像に映ったのは、神綺の姿である。魔界人である自分からすれば、母のようなもの。母からと思しきものがいきなりポストに入っていれば、驚くのも無理のある話ではないだろう。

 

「ん?お前のママからか?」

 

「…お母さん、ですか」

 

そんなアリスの元を訪ねたのは、魔理沙と聖であった。珍しい顔触れだななどと言いつつ、彼女は来客分含めて朝食の準備を始めた。

 

「あら、わざわざ悪いですよ」

 

「いいのよ。ほら、ブッキョーではくれるものは受け取らないと失礼なんでしょ?」

 

「…よくご存知ですこと」

 

聖は微笑みつつ、ゆっくりイスへ腰掛けた。対し魔理沙は自宅かなんかのような態度で座り込み、コップの水を飲み干した。

 

「いやぁー、しかし直射日光が無くても暑いなこの季節。…アリスは相変わらず厚着だな」

 

「魔界に比べりゃ涼しいわよ」

 

「え、魔界ってそんな暑いのか?」

 

「私が居たエソテリア郊外は凄かったですよ、本当に。太陽が二個あるんじゃないかってぐらいで」

 

「嘘だろ。聞いてるだけで暑いぜ」

 

魔理沙はそんなことを言うと、スカートから扇子を出して仰ぎ始めた。コスチュームに似合わぬ和の雰囲気に、アリスはふふっと笑いを漏らした。

 

「…あー、すみませーん!」

 

そんな中、もう一人の来客が。開いたままの扉から中を覗き込み、知った相手の魔理沙へと挨拶を送った。

 

「あなた…確か闇の妖怪さんですね」

 

「うん、ちょっと道に迷って。そしたらお家があったから…」

 

アリスはそんなルーミアをイスに座らせ、その前に一食食べていくことを勧めた。

 

「あとでとりあえず人里に送るわ。あなたはルーミアね、幻想郷縁起で見たことあるわよ」

 

「阿求のやつかー。意外と私って知れてるのかなー」

 

「私も幻想郷縁起で知りましたしね」

 

聖がそんなことを言ったタイミングで、アリスは全員の前へとサンドイッチを置いた。それぞれ礼といただきますを言うと、朝食が始まった。

 

そうしてアリスが口にサンドイッチを運んだ、その時。

 

「楽しそうにしてるねぇ…」

 

爆風が室内へと吹き荒れた。同時に、青の禍々しいエネルギーを着た怪人が現れる。

ただ事ならぬ気配を感じ、四人は怪人から距離を置き、警戒態勢をとった。

 

『南無三宝!』

 

『コード確認 marisa!』

『reading!wizard!』

 

そして、三人はアリスを守るような態勢で変身の準備をし、それぞれポーズをとった。

 

「「「変身!」」」

 

『heavy!閃光!救って!栄光!描いて!』

『spark, great miracle magic!White & Black wizard!』

 

聖と魔理沙の方からけたたましい変身音が鳴り響き、その姿がスパークとドグマへ変わる。同時に光がルーミアを飲み込み、その姿をリライへと変えた。

 

「バトルスタートだぜっ!」

「これが…法の光!」

「行くわよっ!」

 

そしてドグマとスパークが駆け出し怪人「禍女(まがつおんな)」へとそれぞれに攻撃を叩き込む。その後ろからリライは「H・ライフル」で援護を行った。しかし禍女は怯まない。攻撃をその体で受け止め、パンチをドグマの頭に叩きつけた。

 

「うぐっ…!」

 

「消えなさい!」

 

そして蹴り上げを叩き込む。アーマーの厚い仏術ヘヴィが故に大きなダメージではないが、スペックに依らない性能のスパークが食らえばどうなるか。そんな警戒が湧いたとき、魔理沙の脳内にふとカメ仙が思い浮かぶ。同時に、彼のくれた武器もだ。

 

「試してみるか…!」

 

そしてカメラ型のガジェット「ウォッチングレイブン」を取り出し、カラス型に変形させて飛ばせた。すると、巧みに攻撃をかわしつつ禍女の気を引いてくれるではないか。その隙を見て、魔理沙は魔鳥のゲンソウレイスカードをセットした。

 

『reading!dark bird!』

 

そうして読み込み音声が響く中、腕を振り回し、ポーズを決めた。そして円盤を勢いよく回し、フォームチェンジを始める。

 

『beat!burst!dynamic dark bird!』

 

そんな音声と同時に、アーマーが別のものに変わる。全身に黒と黄緑を散らし、カラスらしさを見せるそのその姿の名はマチョウフォーム。その体には大量の銃口が煌めいた。同時にウォッチングレイブンは変形し、ゲンソウスペルアンロッカーと合体してキャノンモードを成した。

 

「くらえっ!」

 

リライとスパークの銃撃、そしてドグマの自身を顧みない突撃により、禍女は大きく怯みを見せた。だが、決定打ではない。すぐに体勢を立て直して反撃を繰り出した。それは、暴風と同じく災厄、隕石である。

 

「うごぉっ!」

 

ドグマはそれを一身に受け、一瞬にして変身解除に追いやられた。気絶した聖にアリスが駆け寄り、その身を案じる。そんな聖の袖から、ふと手紙が落ちる。何かと目を向ければ、それは魔界で受け取ったものらしい。差出人は神綺だ。

 

「…ママ!」

 

そうして、力になれない悔しさが、彼女の中を駆け巡った。しかし、それは一瞬。すぐさま決意を固めると、人形たちへ糸を伸ばした。

 

「行くわよっ!」

 

人形たちが禍女へと向かう…が、それは簡単に跳ね返されてしまう。驚くアリスへ近づき、禍女は横蹴りを叩きつけた。

 

「おごっ…」

 

「アリスっ!!」

 

「ライダーみたいな戦闘手段もないくせに…」

 

禍女の吐いたその言葉を受けたとき、アリスは今朝のことを思い出した。送られた機械は、もしや。そんな考えの下彼女は今朝の機械を取り出し、魔理沙や聖のやったように腰に押し当ててみた。

するとどうだ、やはり予想通りに、腰にベルトが巻かれたではないか。

 

「へぇー、めんどくさいことになったなあ」

 

禍女はため息をつきつつ、アリスへと向かう。だがスパークとリライはそれを許さない。連続の銃撃を叩き込み、その行く手を阻む。

対しアリスは、同梱されていた四つのディスクと説明用紙を眺めた。素早く目を通すと、「アクア」と「ウィンド」のディスクを、そのエレメンツドライバーにセットした。

 

『アクア・ウィンド』

 

「この形態は…初期型・αかぁ…。イマイチ好きになれない名前ね」

 

『ready…go』

 

イマイチなセンスへとぼやきつつ、上部のボタンを押した。そして、ゆっくり腕を前へと伸ばし、親指と人差し指で三角を形作る。

 

「…変身!!」

 

『α・mode ACTIVE』

 

掛け声とともに大きく手を広げる。させるかと禍女は駆け寄り、拳を構えた。その瞬間、アリスが光に包まれる。突然のことに目を瞑った禍女の腹に、蹴りが叩き込まれた。

 

「そうね…。ツバイスターターと呼ぶわ!」

 

そう宣言したそのアリスの姿は、先ほどまでの華奢な儚さを吹き飛ばすものであった。金の模様が引かれる白いボディに着せられるのは、青と緑の羽織。魔道士のようなその姿は、美しさと同時に強さを見せつけるもの。

仮面ライダーエレンツ ツバイスターターである。

 

「でやああああ!」

 

まず繰り出したのは、風をまとった蹴り込み。続いて水圧を込めたパンチを顔面へ叩き込む。吹っ飛ばされるようなものではないが、怯みが生まれているのは確かだ。

そこへスパークの集中砲火とリライの頭部を狙った銃撃が刺さる。

 

「今ねっ!」

 

そしてエレンツは腰のショットガン「ツインツインガン」を取り出し、暴風弾を連続で浴びせた。さらに水流弾を叩き込む。

 

「くらえっ!なのだああああああ!!!」

 

そしてのっそりと気だるげに起き上がった時に、リライのH・ライジングパンチを叩き込まれる。今度は大きく仰け反る。その隙に、エレンツとスパークは銃口を向けた。

 

『blast α ready…FIRE』

『dark bird!GENSOU deleter!』

 

「スタートブラストッ!」

「ダァーイナミック!ニュークリアキャノォォオン!!」

 

かたやベルト上部ボタンを押し、かたやカードを武器にセットする。双方のエネルギー弾が、渦を描いて一つになりながら禍女へ飛んだ。

 

「やれやれ…」

 

そう気だるげに呟くと、青いオーラを放出しながらエックスゴースターの銃口をいまやと迫るエネルギー弾へ向けた。

そして、放たれる。必殺ですらないたったの一発で、二人の合体技は消し飛び、空中に爆風を生んだ。

 

「くそっ…。逃げたぜ!」

 

そしてもはや姿はなかった。魔理沙は悔しげにため息をつくと、暴風で荒らされた屋内を片付け始めた。

そんな中、変身を解こうとしたリライの手を、エレンツが掴んだ。

 

「…どうしたの?」

 

外骨格が形作る仮面の中、ルーミアは疑問を浮かべた顔をした。アリスは数秒の思案ののち、リライへと強烈な頭突きを叩き込んだ。戸惑う彼女へ詰め寄り、ベルトへツインツインガンを当てた。

 

「…あなたにその力を持たせちゃいけない気がするの。いえ、その力自体危険よ。…消させてもらうわ。安心なさい。暴れなきゃあなたは傷つけないわ」

 

そう言って、シャドウライトへ風圧弾を放った。リライは転がって避けると、起き上がりつつエレンツの腹へ両足キックをねじ込む。

怯みつつも、エレンツは蹴られた勢いままに距離を置き、ディスクを抜いた。

 

『フレイム・グランド』

 

「初期型・βってのはやっぱりセンスないわよねえ」

 

『ready…go』

 

新たに二枚ディスクを挿入し、今一度変身ポーズを取ると、ベルト上部のボタンを押した。そうして、エレンツの体を光が包み込む。

 

『β・mode ACTIVE』

 

そんな音声とともに光の塊がリライへ駆け出した。それに対抗して、リライもS・ダークへと姿を変えてアリスを迎え撃った。

 

「名付けて…ツバイブースター!」

 

白と金のボディスーツは変わらず、その上に赤と茶のツートンでなるプロテクターとスカートが現れた。腰のツインツインガンは分解して二丁拳銃型に変えた。

 

「喰らえっ!」

 

そこから放ったのは土塊。リライは素早くS・スピアーでどけると、アリスのベルトを弾き飛ばすような蹴り上げを放った。しかしそれはスレスレでかわされる。

 

「抵抗しなきゃこんな目にも会わないってのにね!」

 

そう言ったエレンツは、リライの眼前へツインツインガンを突きつけた。そして超至近距離で火炎を放つ。顔面にくらい、怯んだところに、ゆっくりと歩み寄った。

 

「何やってるんだよお前っ!」

 

その時、魔理沙はエレンツからエレメンツドライバーを剥ぎ取った。瞬間、その姿はアリスへと戻る。彼女は頭を抱えてしゃがみこむと、ゆっくりとリライの方を見た。

 

「…ごめんなさい。なんか、あなたが。いや、あなたのそのシャドウライトのことが…許せなくなって…」

 

「どうしたのですか、一体…」

 

いつの間にやら起きていた聖も、アリスの方へ寄って怪訝な表情を見せた。ルーミアはいつの間にやら逃げており、もはや姿は見当たらなかった。

 

「…そのベルトか?でもお前のママからのもんなんだろ?」

 

「そのはずだけどね…」

 

アリスはなんと言えばいいかと、微妙な表情を浮かべた。

 

 

 

 

 

「はあ…やれやれ」

 

同刻の博麗神社で、霊夢は深々とため息を吐いた。心は休まらないが、かといって今すぐできることもない。ソワソワとした焦燥感が居るだけである。

 

「…八坂神奈子は、次どう動くんでしょうかね」

 

「さあね。警戒は必要だけど…あんまり好き勝手できないのも事実よね」

 

そんな霊夢のため息に応えたのは華扇とレミリアであった。その声に振り返ってみれば、二人ともちゃぶ台で何かをいじっていた。何をしているのだと、上からその姿を覗き込んだ。

 

「これは…ヴァンパイアなんとかよね」

 

「ヴァンパイアリングだ」

 

「そうそれ。…で、華扇のは?」

 

続けて視線を向けたのは、華扇の持つ機械であった。霊夢はそちらには見覚えはなかったが、変身用のバックルであるのはうっすらと想像がつくものだった。

 

「この手紙と一緒に置かれてたの」

 

そう言って見せた手紙に書かれたのは、「頼む」と「お願いします」の二文だった。霊夢はそれを訝しげに見るが、だからといって分かることもない。どことなく見覚えを感じるのみだ。

 

「仙力で動く構造に見えるんですがね。私では動かなかったんですの」

 

そう続けたのは青娥だ。トレーニングをする天子のことを眺めたまま、特に霊夢の方を見るでもなく呟いた。それを聞き、霊夢はことさらわけがわからなくなった。

 

「新聞ですよー!」

 

そんな中、バサバサと羽音が神社に近づく。音の主の文はゆっくりと降り立ち、霊夢へと文々。新聞を渡した。それを受け取ると、彼女は早速パラパラとそれを開く。

 

「読まないと妖怪化しちゃうからねー」

 

「ええ、そうですとも。それにしても相変わらず賑やかですねぇー」

 

三月精と仕掛けたいたずらはまだ効いていたらしい。心の中でクスクスと笑いつつ、霊夢の読む記事へ指を向けた。

 

「…この記事、重大さは分かりますよね?」

 

一気に真剣になったその声色を聞き、他の面々も霊夢の新聞を覗き込んだ。そこに書かれるのは、『疫病神、守矢神社から兵器を盗み出す!』という内容である。

そこには、八坂神奈子がおかしくなったこと、それを救おうと早苗が奔走していること。そして…。

 

「疫病神と言われて分かりますか?…依神女苑です」

 

「あいつが?」

 

女苑が兵器つまりはエックスゴースターを盗み出したことと、それを河童が匿ったことが続けて書かれていた。

それはすなわち、洗脳がないまま相手側の武器を手に入れたということである。仮に相手側の罠でも放置はできない。ライダー達は頷くと、それぞれ移動の準備を始めた。

 

「行くぜレミィ!玄武の沢だな?」

 

「そう。向かうよ」

 

そしてドラクリヤー、グラウンドスピーダーが並ぶ。霊夢が天子に向かって後ろに乗せろと言おうとした、その時。カメ仙が邪魔するように霊夢の前に来て、なにやら起動音のようなものを鳴らした。

 

『お前さんのバイクなら既にあるさ。我ら河童の最高知能の結晶!』

 

「…亀」

 

自動運転で現れた緑のバイクに真っ先に抱く感想はそれであった。その名を『タートルライダー』。霊夢はカメ仙の言葉に従い、そのタートルライダーの上に飛び乗った。

 

「皆さん乗り物で移動するんですね」

 

「飛ぶよりも疲れないし地上移動の方が色々都合いいしね」

 

「なら竿打(かんだ)じゃなくてあの子の出番ね」

 

そう言って、彼女は口笛を響かせた。それに呼ばれ、バサバサと羽の生えた赤い馬が降り立った。河川はヒョイとその上に飛び乗り、首を撫でてやった。

 

「行くわよ紅飛馬(こうとば)。…さ、玄武の沢に向かうとしましょう!」

 

そうして少女四人は、妖怪の山の方へとまっすぐ向かっていった。三つのバイクに劣らぬ速度で紅飛馬は駆け抜けた。

 

「さ、この辺でいいでしょ」

 

十数分のうちに、玄武の沢へと到着してしまった。三人は文明の利器の凄さと紅飛馬の凄さを思う知り、なんとも言えない笑い顔を浮かべた。

 

「…あ、天人様じゃないですかー」

 

そんな少女達の元に、紫苑が現れた。匿われたのは女苑じゃなかったのかと、三人が訝しげに視線を送る中、天子だけはグランドライバーを装備して完全戦闘態勢であった。

 

「…こいつ、八坂神奈子に連れてかれてたわ。…洗脳済みよ。確実にね。また会えたのは嬉しいけど…。感動の再会とは言えないね」

 

『アースオーブ!』

 

「ハァ…。もうちょい騙されてもいいじゃないですか」

 

『X!』

 

天子の様に紫苑はため息をつき、エックスゴースターを取り出した。他三人も、流石にその様子を見れば、警戒しない道はない。それぞれ変身の準備を始めた。

 

「変身ッ!」

「…醒妖!」

 

『ガイア・ザ・アース!』

『misfortune…ready』

 

真っ先にガイアが変身を終え、青い煙をまとう紫苑の元へ駆け出した。そして、その拳を一気に振り下ろす。

だが、煙の中から粒子と共に飛び出した手によって、ガイアの手はいとも簡単に止められる。

 

「残念だけど…。あなたを倒さなきゃいけないんですよ」

 

そう語って煙を払ったのは禍女である。青の禍々しいエネルギーを放ちながら、ガイアへと追撃の蹴りを叩き込んだ。同時に暴風がガイアを襲い、さらには落雷が追撃となる。

 

『博麗の〜巫女!』『ジェ・ヴォー・ダン』

「ちょっと、大丈夫?」「怪我はないかしら?」

 

「ああ、大丈夫よ」

 

ガイアは心配して駆け寄ったリブレッスとジェヴォーダンへと気丈な言葉を返し、再び立ち上がった。しかしそれはすでにふらふらとした立ちであり、勝てるとは到底思えないものであった。

それでもガイアは立ち向かう。…とはいえ力の差は歴然。ガイアはあっけなく変身解除に持っていかれた。

それを見て、このままでは勝てないと、霊夢は別の戦闘手段を取ることに。

 

『読み込み!妖狐!』

 

フォームチェンジである。魔理沙から渡されたカードの中にあった「妖狐」を使ってみることにした。待機音が響く中、右手を胸の前で握りしめ、手を広げつつ円盤を回転させた。

 

『宴!踊れ!惑わしまくれ〜!妖術の妖狐〜!』

 

音声とともにミコフォームのアーマーが弾けとび、吹き出した紫の炎が新たなアーマーを形作った。

狐面を中心に、藍を思わせるカラーリングと尻尾パーツが何よりも目を引く。その名もヨウコフォームである。

 

「だああああああああ!!」

 

まずはパンチを繰り出してみる。一応当たるものの、禍女にはほとんどダメージがない。ならばとゲンソウスペルレッカーを構えたその時、タートルライダーのリアががたがたと動く。何事かと見てみれば、タブレットが飛び出てくるではないか。

 

「なによそれ」

 

『あいぱっどだったか。それを元に作ったアイテムだよ。…そして!』

 

カメセンが得意げな様子を見せたかと思えば、タブレットがキツネ型へ。そしてゲンソウスペルレッカーに合体し、刃に変わって鎌をなした。

 

「フン、武器が変わっても無駄よ!」

 

禍女は威勢よく叫び、指を弾いた。すると、後ろの河が突如氾濫を始める。流水をくらってはまずいと、ジェヴォーダンはすぐに飛び上がり、華扇を引っ張り上げた。リブレッスも天子を抱え、飛んでそれを避ける。しかし、それが続いてはこちらから攻撃は仕掛けられない。

さらにはエックスゴースターによる銃撃も少女たちを襲う。

 

「くっ…」

 

避けに熱中することを強いられるし、なにより誰一人として手が空いていない。変身しようと華扇はベルトを持っていたが、それもできない。

だが、いつまで経っても氾濫が収まる様子はない。ジェヴォーダンが片手で槍を投げてみるが、当たらない上その度バランスを崩して危なっかしい。どうしようかと、霊夢が策を練り始めた、その時。

 

『fortunate…ready』

 

「醒…妖!!」

 

エックスゴースターを持った女苑が、禍女へと飛びよった。驚く禍女の元へぐんぐんと近づくその体に、ギラギラしたマッシブなアーマーが着せられる。そうして爆現した「福女」は、禍女へと拳を叩き込んだ。

 

「おごっ!!」

 

「どりゃああああああああああああ!!!!」

 

さらに首根っこを掴み、顔面に拳を連続でブチ込む!

最後の腹パンで地面に叩きつけ、大きくダメージを与えた。ほぼ同時に隕石が福女を狙い、姉妹共々地面へと転げ落ちる。氾濫は、すでに止んでいた。

 

「味方…なのね」

 

そう言ってジェヴォーダンが倒れた福女へと肩を貸す。そうして起こそうとした時、福女はジェヴォーダンの胸にエックスゴースターを押し付けた。驚くレミリアへと、容赦無く引き金を引く。

 

「ぐがっ!」

 

「姉さんを救えるのは私だ…。天人でも巫女でも仙人でも吸血鬼、あんたでもない」

 

そういうとさらに追撃の射撃をぶつけ、改めて禍女へと向かった。戸惑う少女たちであったが、禍女の攻撃が止んだのもまた事実。一行はひとまず福女vs禍女を見守ることにした。

 

「でりゃあああああ!!!」

 

「このっ!」

 

禍女の蹴り込みを、福女は腕で受け止める。そうして生まれた大きな隙に、さらに連続パンチをねじ込み、最後に顔面にヒジ鉄を叩きつける。かといって、それで素直に受ける禍女でもない。落雷による反撃で、福女に大ダメージを叩き込む。

 

「洗脳はされてないけど…」

 

「…味方ではないな」

 

ドラクリヤーとレミリアは目を見合わせて事実確認をすると、福女に対しても警戒の態勢を見せた。

 

「やれやれ…」

 

そんな中、禍女は煙を振りまき、自分の姿を溶け込ませた。福女は待てと叫び、その拳を振る。

しかしながら既に青いシルエットは消え、そこにはただ福女が残された。

 

「…クソっ!」

 

悔しげな声をあげ、彼女は木を殴りつけた。大きく穴が空き、今すぐにも倒れそうな状態へ。

さらに二発目の腹いせで蹴りこんだ時、ついに木は折れてしまった。

 

「…逃してしまいましたね」

 

華扇はそう言って福女へと近づいた。慰めようとして、言葉を続けんと口を開いたその時、福女からのスラップが入る。

 

「な…」

 

「逃したじゃんか。()()()()()()()()!…えぇ!?」

 

さらに銃撃をジェヴォーダンとリブレッスに当て、蹴りを当ててやろうと天子へ近づいた。

 

「やめなさいっ!怪我人よ!?」

 

「気持ちは分かるけどさ…」

 

「うるさい!天人に私の気持ちがわかってたまるか!」

 

そんな怒号をあげると、天子へ近づく足をさらに力強くした。二人はまた止めようとするが、次は揃って腹パンを喰らい、吹っ飛ばされた。

 

「いいか!姉さんを正気に戻すのは…戻していいのは私だけだ!…二度と戦う気なんて起きなくしてやる!」

 

続けてそう叫んだかと思えば、手を高く掲げ、パチンと指を鳴らした。

瞬間、全員の視界が闇に包み込まれる。

 

「ここはっ!」

 

「見えない…。カメ仙!ライト機能とかないの!?」

 

『あるとも。まずは…』

 

一行が戸惑う中、ゆっくりと光が現れる。ポツポツと輝く一列の光に、霊夢は見覚えがあった。見まごうはずもない。菫子と戦った時のことである。

 

「これ、街灯?外の世界の…」

 

「外の世界ってこんななのね」

 

「でも人はいっぱい居たはずよ。ここは無人じゃない…」

 

見渡せば、建物にもチラチラと光が点く。深夜の無人の都会とでも言うか。しかし店の様相はいつぞやに見た2017年の外の世界とは違うものである。どこか、悪趣味なのだ。

 

「…異世界生成!これが私、福女の能力よ!ここは1980年ごろの東京。私が外の世界に居た頃の街」

 

福女は手を広げて自慢げに叫んだ。そしてキラキラとした体に街灯を受けつつライダー達へ駆け出した。

それに対抗して突撃したのはジェヴォーダンである。ドラクリヤブレードとグングニールを構え、槍と巨剣の二刀流を振りかざした。

 

「甘い甘い!」

 

しかし福女は、それを二本の腕で軽々と捕まえる。そして弾き飛ばそうとしたその時。ジェヴォーダンはむしろ、福女の方へ頭を突っ込んだ。

 

「いだっ!」

 

ほのははひからひなはい(このまま干枯らびなさい)!」

 

勢いままに噛み付くと、吸血攻撃を繰り出した。絶対に離してたまるかという執念と顎力で噛み付き続ける。連続の腹パンも気合いで受け止め、歯をより深く刺し込む。

 

「このっ!」

 

福女の全力の頭突きを喰らい、離してしまう。が、そうして福女に生まれた隙に、リブレッスの連続攻撃が入る。華扇も加わるべく、福女へと駆け出した。

 

「くそっ!お前ら!」

 

福女がそう叫んだかと思えば、どこからともなく仮面を被った屈強な男達が現れる。そうして福女の命令を受け、男達がリブレッスを押さえ込む。

 

「来るなっ!」

 

『XX!』

 

そして華扇の足元へ牽制射撃を繰り出し、今度はジェヴォーダンへ向き直る。そうしてUSBを挿し直す。必殺を発動した状態で、一気にジェヴォーダンへと駆け寄った。

対しジェヴォーダンもフラフラとしつつも反撃すべく必殺を発動した。

 

『ファング!ドラクリヤエンド!』

『XX!…bye-bye!』

 

「イーターフィニイイイイイッッシュ!!」

「バブリック・エクストーション!」

 

福女は差し押さえ状を空へ舞わせて目くらましを行い、ジェヴォーダンへ拳を放った。ジェヴォーダンはそれをあえて胸で受け、一気に噛み付いた。

 

「離せっ!」

 

福女はジェヴォーダンを蹴り上げ、変身解除へと持ち込んだ。だが生気や血を奪われ、十分な体力とは言えない様子であった。やっと接近できた華扇は福女に横蹴りを叩き込み、ベルトへ左手をかざした。

 

『Checking……Checking……』

 

不気味な手を模すパーツと人間らしい細い手を模すパーツがついたそのキセンドライバーが、しばらくののち反応する。応えたのは人間の手のパーツの方であった。動き出して手をかざした左手で握る。

 

「スゥゥゥゥ……変身!」

 

『Confirmation Exit』

 

そうして、光が華扇を包み込んで行く。光の塊は福女へと駆け出し、光の中から拳を突き出す。

 

『Humanside……change modehermit!』

 

その拳に続き、軽快な蹴りや手刀が入る。福女は全てガードするが、披露もあり、小さく後ずさった。

光の中から、仮面の戦士が現れる。緑の体に赤い差し色が入り、全身には茨が巻かれる。

その両腕の枷にも似た鎖には、短剣がつながる。

 

「仮面ライダー、ハーミット!…我が信念にかけて、必ず救う!」

 

名乗り上げたその戦士へ、福女はキックを繰り出した。それをいなしたかと思えば、むしろ回転に利用して拳を叩き込むではないか。

 

「おらあああああ!」

 

その背に、やっと男達を振りほどいたリブレッスが鎌を振り下ろす。軽く怯んだその瞬間に、リブレッスの狐火とハーミットの短剣『カクガ』からの一撃をもらう。

 

「ったく…。仕方ないね」

 

そうぼやいたかと思うと、何を思ったか、男の背に手を突っ込んだ。そしてちょいと動かしたかと思えば、男の体が一瞬のうちの金銀財宝へ変わる。

福女はそれ振り撒いたかと思うと、

 

「さあ、こんだけくれてやるんだ。もうちょっと頑張りなさい!」

 

金で釣る作戦である。男達はみな喜びの絶叫をあげると、リブレッスとハーミットへ攻撃を繰り出した。数で押す攻撃に、二人は若干圧倒される。

 

「…宝石に…術…なるほどねっ!」

 

そんな時、仮面の下で華扇は得心する。そして右手で、男の胸へと手刀を突き刺した。さらに他の男へカクガでの攻撃や、『イバラムチ』での縛り上げなどを行う。

瞬間、男達が雲散霧消した。驚く福女へと、ドヤ顔で語る。

 

「怨霊…ね。金の亡者だった者の怨霊!そういう人間の執念からは金銀財宝が精製される。それには財禍のパワーが含まれる…。それを利用した異世界生成と怨霊使役!…でしょう?…怨霊なら恐るるに足りないわ!」

 

得意げに飛び上がると、リブレッスの周りの怨霊へ、まとめてイバラムチをギチギチと巻きつける。そうして信号機の上を通したかと思えば、全力で引っ張り上げる。

 

「爆散しろ!」

 

そして一気に煙と化す。リブレッスはフワッと着地し、鎌の一撃と妖術を福女へ放った。大きくできた隙を見て、二人は身を低く構えた。

 

『ヨウコ!ムソウカイホウ!』

 

「アヤカシランブ!!」

「ハーミットドライブ!」

 

狐火で福女を苦しめたと同時に茨を巻きつけ、飛び蹴りを繰り出した。

 

「ぐあっ!」

 

福女が大きく転んだと同時に異世界は搔き消え、曇りの玄武の沢へと戻る。だが、その時に福女の姿は無い。川から逃げたのだ。

 

「…もっと本格的に修行しなきゃね」

 

天子はそんなことをつぶやき、グラウンドスピーダーを跨いだ。その横に、ドラクリヤーに乗ったレミリアも近づく。

 

「力不足は…私も感じたわ。修行、付き合わさせてもらう」

 

そんなこと言いながら、二人は命蓮寺の方へと向かっていった。その背を眺めながら、霊夢は今後に関して、大きな不安を募らせるのであった。

 

to be continued…




「笑顔にしてやるぜっ!」
「一緒に踊らせてあげるわ♪」

星条旗が唄い、花が舞う。

次回、「ゴーストシェード」

皆さんこんにちは。最近女苑ちゃんが好きなサードニクスです。そこに福女!うん!(ご満悦)
あのステゴロスタイル好きなのよね。
しかし今回は戦ってばかりの話でしたねぇー。
なんか地の文の比率が多くなった気も。PCで書いてるとなんか長くなんのよね。地の文。
禍女と福女はこういう関係性です。強化イベントなら一緒にやりたいでしょ?その方が燃えるじゃないの。
あ、ちなみにお嬢様が平気なのは曇りのおかげです。
まあそんなこんなで変身ポーズコーナー、行ってみよう!
今回はスパーク!

腕をぶん回すってのが地の文ですね。
まずキーボード入力をパッと済ませ、カードをセットします。
そして、スカイライダーのポーズ風に、突き出した右手をブンブン回し、そして左手で円盤を回転させつつ両手を広げます。
そして変身完了!すごく単純でわかりやすいでしょう?
ではまたー!
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