幻想仮面少女   作:さわたり

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ターンブレイカーはイクサみたいな感じで起動します。


第22話 ハルトマンと妖怪少女たち

「…やはり目的と勢力的位置が不明瞭という点で最も注意が必要だな」

 

「そうねぇ…」

 

月に照らされる人里を歩きながら語り合う二人の話題、その中身はビランアニヒレイトである。先程現れてライダー達と交戦した謎の存在であり、いまいち正体が掴みがたい。

 

『一応こちらからも強化アイテムなどがあるが…』

 

「仙人系でしょ。どうにかなるのかしら」

 

「…うむ、私も何か考えておいた方がいいかも知れない」

 

そうして歩み進めていた時、どこからともなく人々の騒ぐ声が聞こえた。何事かと駆け寄ってみれば、宗教戦争を思わせる言い争いである。立っていたのは針妙丸と神子だ。その後ろにいくらかメンバーはいるが。

 

「この人里を守るのは私だ!仙人どもにやらせてられるか!」

 

「そうかい?残念だが私達には協力者がいてだね。…彼女らは誰よりも人間に近く誰よりも妖怪に寄り添う者たちだ!」

 

そうして神子が叫んだその横から聖が歩み出る。その手に握られているのはスペルカードであるが、針妙丸が持っていたアイテムに目を向けたのち、エイディングドライバーへと持ち変える

 

「久し振りにリトルグリーンマンと戦うものだと思っていたんですがね」

 

「こっちだって本来ならターボババアと戦うつもりだったさ」

 

そう言った針妙丸の横で正邪はUSBメモリを取り出し、ゆっくりと身構える。対し聖も巻物を取り出し、睨み合いつつ少しずつ歩み寄った。

 

『南無三宝!』

 

『get started』

 

「変身!」

 

「さあ、ご準備を姫」

「醒妖!」

 

そして二人はアイテムをセットし、かたやレバーを倒しかたやナックルを手のひらで押し込む。針妙丸と聖の身にアーマーが装備されていき、戦士がその姿を現わす。仮面ライダードグマ、そしてラルジュネヌである。紫と赤みがかったピンクが目立ち、小さかったはずの針妙丸の体は普通の少女大のものだ。

 

『heavy!変わらぬ麗光(れいこう)!続くは研鑽(けんさん)!揺るがぬ神仏!』

 

『turn on!little girl!ラルジュネヌ!』

 

「…聖殿。我や住職達の力は借りぬということでいいのだな?」

「公平な勝負にしたいですから」

 

「これを」

「ありがと!」

 

ドグマがシャックシューターを向けたと同時にラルジュネヌは正邪からターンブレイカーを受け取り、駆け出した。皿やビームの弾をスライディングで避けつつターンブレイカーでの拳をぶつける。銃であったエックスゴースターに続き、ナックルなのである。

 

「おりゃおりゃ!!」

 

「…っと、危ないですね」

 

ドグマはギリギリぎみに攻撃をかわしつつ、銃撃をぶつけていく。対しラルジュネヌも巨大針を構えて槍のようにして突撃した。だが幾分かドグマが優勢である。そんな中、ラルジュネヌは突如横にあった樽をターンブレイカーで思いっきり殴りつけた。

 

「…!?」

 

「いけ!タルルン!」

 

針妙丸の適当命名を受けながら、樽は巨大化しながらその形を変異させる。いまだ様子見にまわりながらも、霊夢は驚愕を隠しきれない様子であった。ラルジュネヌはさらに仲間の小人を連れていたらしく、緑の鎧のようなものを着込んだ小人達がドグマに襲いかかった。

 

「…フン、これじゃあ対等じゃないだろう。私がやる」

『get started!』

 

「ありがとうございます!」

『light!光照らせ!その救い!輝く魔界の魂!』

 

「いいよ別に。醒妖…ってんだっけ?」

 

樽怪物の相手は自分がすると、屠自古が構えた。聖は感謝を告げつつ僧術ライトフォルムになり、小人達を蹴散らしながらバイクで突進をかます。舌打ちを放ちながら、ラルジュネヌは針を構えた。

 

『turn on!hateful girl!タンスィオン!』

 

「やってやんよ…っと!」

 

その横で屠自古もアーマーを装備し、樽怪物へと突撃した。白とグリーンをメインにしたいかにも屠自古らしい姿である。何よりも目を引くのがドリルになった足であるが。そして電撃を放ちながらあたりを飛び、確実にダメージを叩き込む。困惑した様子のラルジュネヌをよそに、グリップを操作して平手で拳を打ち、必殺を発動する。

 

『タンスィオン!turning-breaking!』

 

「どりゃああああああああああ!!!」

 

『salut!』

 

そしてドリルキックをねじ込み、木っ端微塵に。変身を解除しつつ、ボロボロの樽と一緒に着地した。そうして今一度サシになったとき、霊夢が歩き出す。

 

『そろそろ割り込むのかね?』

 

「ええ、またあんなことされたらシャレにならない被害が出るわ」

『読み込み!巫女!』

 

「そうだな。行くぞ」

『コトダーマ!翼!』

 

「「変身!」」

『博麗の〜巫女!』

『ウィング!ワードレス!』

 

同時に変身を終えると、リブレッスはドグマ、ワードレスはラルジュネヌの方へと向かった。そして対面いきなりヤクザキックである。ライトフォルム故にダメージも大きく、かなり激しめに投げ出されてしまった。

 

「それなら…」

 

『heavy!閃光!救って!栄光!描いて!』

 

ならばと今度は仏術ヘビィフォルムへ。リブレッスの攻撃を受け止めながら、タイガースクラッチを叩き込んだ。

 

「他愛もないな…」

 

「うぐぅ…」

 

「大丈夫ですか姫さまー」

 

「正邪ちょっと本心じゃないにしても棒読みすぎない?」

 

どうでも良さげな正邪にツッコミを入れているが、こう見えてラルジュネヌは結構ピンチである。しかし特に手立てもない。何かしらを怪物にしようとするが、全て途中で弾かれてしまう。しかしこうやって飛び出した手前、撤退というのがしづらいのか彼女の性格である。

 

「だああああ!!」

 

「甘いな!」

 

そうしてワードレスが蹴り込んだその横で、リブレッスは相変わらず苦戦気味である。仕方なさげにカメ仙を呼ぶと、呼ばれたなり彼はサォルブドライバーに合体して、カードもセットし勝手にセンニンフォームへの変身を終えた。

 

『八卦、神通力!神秘なる仙人!!』

『戦乱!閃光!仙獣タートルゥ!!』

 

『やれ、霊夢!』

 

「はいはい…たぁっ!!」

 

「…おっと」

 

錫杖での攻撃にはさすがにドグマの防御力でもダメージがあるらしく、割と大きめな怯みを晒した。そして追撃を叩き込んでいき、ドグマはついに転んでしまう。

 

「さて…さっさと片付けましょ」

 

「…!」

 

そしてリブレッスはキーボード操作ののち円盤を回転。エネルギーをたぎらせながらオーラをまとい、背後には錫杖を持った仙人と亀のビジョンが現れる。

 

「…やっぱ私の中の仙人ってこいつ(華扇)なのかしら。錫杖とか持ってるイメージないけどなぁ」

 

『いいからさっさとキックをするんだ』

 

少しめんどくさそうに駆け出すと、ドグマへ連続で回し蹴りを叩き込んでいく。亀は回転でダメージを与え、仙人改め華扇のヴィジョンが錫杖を叩き込み、最後は同時攻撃をぶつけた。

 

「ったく…」

 

『light!』

 

「あー…?」

 

しかしどうやらドグマは逃げ切っていたようである。幾分かダメージはあったが、仏術ライトフォルムでそこに立っていた。マウスダウザーでの攻撃を叩き込み、これまた少しであるが、リブレッスが怯む。いい加減イライラしてきたのか、別カードを構えて変身した。

 

「ねぇカメ仙。魔理沙がこの前なんかフォームチェンジの掛け声言ってなかった?」

 

『ゲンソウチェンジとかなんとか』

 

「いいかも。…ゲンソウチェンジ!」

 

『博麗の〜巫女!』

『仙獣タートルゥ!!』

 

そうしてセンニンミコフォームへ。素体そのままにミコフォームのアーマーが着せられ、シェルガーダーは足に移動してタートルスマッシャーに。

 

「…これならいけるわ!」

『そいつはよかったな』

 

そして、再びドグマへと飛びかかる。ゲンソウスペルレッカーとガイネンブレイカーでの二刀流スタイルへ。さらに錫杖もぶつけ、蹴りをも叩き込む。ドグマもいくつけ避けるか、流石に全ては避け切れず一発一発を確実に食らっていった。

 

「ちょこまかとっ!」

『巫女!超絶ムソウカイホウ!』

 

続けて必殺を発動。ガイネンブレイカーでの赤い光の斬撃と、錫杖での緑の光の攻撃を、虹色とともに叩き込んでいく。疲弊もあって避けきれなかったドグマはそこで膝をつき、さらに連続蹴りを叩き込んだ。

 

「うぅっ…」

 

爆炎とともに倒れ込み、霊夢が勝利。その後ろでうなだれた針妙丸がサグメにつままれていた。勝負はあったようである。

 

「…いい?あんたたちは八雲紫が居ないというこの状況の重大さを分かっていないわ」

 

「であればこそ、この状況は誰かが指揮をとることで打開すべきです。貴女達はあまり動かない上統率者がいない。守るだけでは今は無理ですよ」

 

「…弱者が声を上げるチャンスをそう見逃すつもりなんかないね」

 

負けた二人はその場を立ち去りつつも、そんな言葉を残す。神子や正邪もそのあとに付いて去っていき、霊夢はなんとも言いがたい苛立ちを覚えた。

 

 

 

 

『…お前たちはそれでいいのだな?』

 

藍の静かな問いに、蓮子とメリーはゆっくりと頷いた。マヨヒガの中で、橙の持つガジェットスマートを前にしてのことである。

 

「もともと長居なんかする気は無かったけどね。戦うつもりも」

 

藍曰く、二人は帰れるのである。はみ出た時間軸の存在である二人は、大結界による閉じ込めがなければすぐ元の時間軸に戻っていくというのだ。

 

「いままでありがとね。藍さんとは短い付き合いだったけど…助けられたわ」

 

メリーの感謝を恥ずかしげに受け取りながら、藍は笑う。橙も橙で怪人化の時に助けられたりとそれなりに恩もあり、どこか残念なようでもあった。

 

『さて、準備はできている。あちらの部屋へ』

 

「こっちよ」

 

橙の案内に従い、ボロボロの一室へ。壁一面に謎の術が書かれ、札も貼られている。どこか不気味なその空間に二人は座りこみ、術の発動を待つ。

 

『…いけるな?橙』

 

「無論です。さぁ、行くわよ…」

 

体が動かせない藍に代わり、術の発動役は橙である。空中に指でなぞるように何かを描き、ぶつぶつと何かを唱えている。

 

「…そんなことだろうと思ったわ」

 

「な…」

 

そんな彼女らの元に、天子が現れる。お互い初めて出会ったライダーである彼女らは、なんとも言えない様子で見合っていた。

 

「あっちでも元気にしてなさい。じゃなきゃ許さないわよ!」

 

どこか涙をこらえたような声で、天子は光にゆっくり消えていく彼女らを見送った。最後に、閃光と同時に二人はその姿を消す。

 

「うぐあっ!」

 

「ああっ!!」

 

しかし想定外にも、謎の衝撃波が放たれてしまう。大した痛みではないが、どういうことだと天子は立ち上がる。橙も同時に立ち上がり、辺りを見回す。

 

「…橙はどこだ?」

 

「は?」

 

「ん?この体…感覚…視界…橙か!?私は今…橙の、いや化け猫の体に!?」

 

その言葉を聞き、その橙の中身が藍であることを認識した。天子はなんとも言い難い顔でその様子を見てみる。

 

「…くそっ!どういうことだ!!術の失敗か!?何故だ…?私は捜索に行く!じゃあな天人!」

 

そうして橙、いや藍は駆け出していき、森の中をかき分けて姿を消した。追おうとするがすぐに見失ってしまい、置いてかれたような気分で天子はいじけ気味にその場をあとにした。

 

「ガゥ…」

 

そんな時、天子は不穏な唸り声を聞く。その場に立ち止まって耳を澄ました瞬間、草むらから飛び出た野良の狼妖怪が飛びかかった。迎え討とうとしたその時、突如妖怪の首が地面に落ち、血を垂れ流しながら倒れる。

 

「ん?おめえさん噂の天人さまでねえか。助けるまでもなかっただな」

 

「…山姥」

 

「んだ」

 

鉈片手に妖怪を始末したそいつは、まさしく坂田ネムノである。ケラケラ笑いながら、死体の首根っこを掴んで森をかき分けていった。

 

「今日は狼鍋だな。…おめさんももちっと耐えてりゃ影狼みたいになれたべ。惜しいことをしたな」

 

「…食べるわけ?」

 

「それが最大の供養だべ。少なくともうちら山姥はそうして生きてきた。肉となってくれる者たちへの感謝のもとな」

 

そう言って彼女は天子を自宅に来るようにと案内した。彼女は遠慮の様子を見せていたが、押しの強いネムノについに負けて仕方ないなと、しかしどこか嬉しそうにその後を追った。

 

「今戻ったべー」

 

「お、ネムノさん!いいキノコ取れた?」

 

「ん。こいつが成果だ!狼もだげど」

 

何故か家にいたこいしへと、袋いっぱいのキノコを見せる。というか、彼女の家には結構な人数の妖怪がいる。幽香のような強い妖怪もおり、どういう状況かいまいちよくわからなかった。そうして困惑する天子に、こいしは笑って告げる。

 

「これはね、妖怪たちの会議!権力争いとかで荒れる幻想郷の今後について話し合う場所をネムノさんが用意してくれたんだー」

 

「んだ。おまえも何かしら思うことはあんだろ?会議に妖怪も天人様もない!座った座った!」

 

戸惑い気味な天子を椅子に座らせると、水を置いて会議に混ざるよう言った。見わたしてみれば影狼やらわかさぎ姫やら九十九姉妹やら見慣れた面々ばかりである。

 

「この状態で誰かに味方するなら博麗神社側なんだろうけど…」

 

「彼女らは動かなさすぎるのよねぇ。誰かが表に出て声張り上げないと何起こるがわからなくてねー。安心してライブもできやしない」

 

そんな鋭い意見を述べたのはミスティアである。響子も激しめに肯定の頷きをし、全体的にもその通りだという感じだ。

 

「私は正直太陽の畑さえ無事ならなんでもいいんだけどねぇ」

 

「じゃあなんで来たのよ」

 

「面白そうじゃないのよ」

 

クスクス笑う幽香に呆れ笑いを向ける天子であるが、それよりも妖怪たちの真面目な会議に気を引かれる。自分たちの存続に要るとはいえ、弱小寄りの妖怪たちまで人里に注意を向けているというのは、天子的にも驚きであった。

 

「どうしたの?」

 

「いや、なんでもないわ」

 

「…そう。ねえ天子、あなた」

 

「断るわ。悪いけどこの件では誰の味方でもない予定なの」

 

そうかと残念に頷くこいしであるが、天子はそれを受けて不敵に微笑む。どうしたんだという視線を浴びながら、彼女はターンブレイカーを机に置いた。

 

「…ただし、誰の味方でもあるわ。プレゼントよ」

 

「いいの?」

 

「すでに針妙丸とか話をした霊廟勢は持ってるわ。頼ってくれればそれなりに考えるわよ。今回の一個以外は有料だけど」

 

影狼の金取るのかという絶妙な表情にふっと笑いながら、彼女は大量のUSBを見せる。どれを選ぶかという話であろうと、一行は悩ましげな顔をした。

 

「無意識とか向日葵とか闇とかは要らないわよね。ライダーだもの」

 

幽香の声に全員がうんうんと頷いたそのとき、突如爆音のようなものが響き渡る。何事かと外に飛び出てみれば、エレンツがビランと戦っているではないか。

 

「嘘でしょ…。ここに居るライダーは?」

 

「私と幽香だけ」

 

「闇とか言ってたからルーミア居るもんだと…。まいいわ。ちょうどいいしここで実践販売してあげるわよ」

 

『get started!』

 

「醒妖!」

 

『turn on!ecstatic girl!ソルラテール!』

 

中距離戦を展開するビランとエレンツを前に、青色の戦士がその姿を現わす。ガイアに比べて悪役感の強いデザインであるが、スタイリッシュという点に疑いはないだろう。あとに続くように幽香とこいしも構える。

 

「変身」

「変身!!」

 

『Rクリスタル!』『Uクリスタル!』

『エレメントフュージョン!ライジングアップ!』

 

「たぁっ!!」

「とうっ!」

 

プランゼが重傘を構え、ビランの方へと斬りかかる。驚きつつビランはとっさにエレンツを盾にし、プランゼは急なことだったために思いっきり振り下ろしてしまう。

 

「あううぁっ!!!」

 

絶叫とともに血しぶきのような火花を散らし、エレンツが膝をつく。そうしてうなだれたかと思うと、爆炎ののち草の上に倒れこんだ。

 

「アリス…!ごめんなさい…!」

 

「うふふ……あとで覚えておきなさい……」

 

冗談か本気かよくわからない脅しを飛ばしながら、アリスは気絶した。弁々へとネムノ邸に入れるように言いつつ、プランゼは今一度構える。

 

『フン、弱い弱い』

 

斬りかかったプランゼをチェンジブレイドで抑え込み、殴りかかったUへ蹴り込む。怯むUを踏み台にしつつ、今度はソルラテールが飛びかかった。

 

『学ばないねッ!』

 

「うぐっ…」

 

そうして繰り出したパンチをプランゼを盾にして防ごうとする。…のだが、幽香はそれを読んでいた模様。背中のツタを叩きつけて拘束離れ、寝転がる。そして下から蹴り上げる形でソルラテールのカタパルトの役を果たした。

 

「でぃやああああ」

 

『くっ…!!』

 

ビランは悔しい様子を晒しながら膝をつき、すぐに立ち上がる。ナーグフレイムを展開してライダー達を押し退け、ソルラテールに集中して斬撃を浴びせた。

 

「ぐあっ!」

 

「天子…!」

 

その様子を心配したUが駆け寄る。ビランの攻撃を受け止め、そのまま肩で持ち上げて床へと叩きつけた。しかしその勢いを利用して回転斬りを繰り出し、さらにヤクザ蹴り。ノックバックしたところでプランゼのツタ攻撃が入った。

 

「それなら…!!」

 

『エレメントフュージョン!』

 

『風が銀河に吹く時に、受け継がれしは英雄譚!仮面ライダーU』

「『ウィンドギャラクシー!』…っと、行くよ!」

 

この逆境に立ち向かう姿として、こいしはこのフォームを選んだ。風と雷を放ちながら、確実に一発一発のキックをぶつけていく。

 

『あんたら…!』

 

「…世話がやけるな。こいつらを倒せばいいのね?」

 

そんなとき、木の陰からもう一人天子が現れる。戸惑う一行を前にグランドライバーを巻き、オーブをセットしたのちポーズを構える。

 

「変身!」

 

『ガイア・ザ・ルナ!』

 

そして駆け出しならソルラテールに向かい、クロスカウンターになる形で拳をぶつけ合った。忘れてはならないのが反射機能である。月光に照らされてその力も強くなり、ソルラテールは大きく押された。

 

「フン、大したことないわね」

 

その姿は紛れもなくガイアであるが、暗い紫の目が、そいつがシャドーであると示していた。なるほどと頷きつつ、天子vs天子が展開される。

 

『なかなかやるな』

 

「誰目線よっ!」

 

Uの電撃を避けつつ、スライディングで抜けながらプランゼへと斬撃をぶつける。重傘でガードするプランゼであるが、そのままビランがドリフトのような姿勢転換と同時に繰り出した攻撃をUは貰ってしまう。

 

「負けてたまるか…!!」

 

しかしウィンドギャラクシーは逆境を力に跳び上がるフォームである。くらってもくらっても立ち上がってくらいついていく。そうして叩き込んだ風をまとったパンチに大きく仰け反り、さらにプランゼからキックが叩き込まれた。

 

「無駄に硬いわね…!!」

 

『褒め言葉として預かるよ』

 

ナーグフレイムで反撃したかと思うと、今度はUを狙って連続斬りを叩きつけていく。しかしUもUでそう簡単に追い詰められるわけでもない。寝技なども取り入れながら超接近戦を繰り広げた。

 

「…あんたがそうくるなら私はこれだ!」

 

シャドーガイアの攻撃をかわしたかと思うと、ソルラテールはターンブレイカーを腰にマウント。女苑から渡されたエックスゴースターでの射撃を繰り出す。

 

「うぐっ…」

 

「私の力は私が分かってるってね。不意打ちは反射できないかつ連続で反射するには凄まじい集中力がいる!」

 

そうして光弾に紛れながら緋想の剣を叩き込み、さらに視界の外から要石をぶつける。ソルラテールも至近距離パンチをくらい、ほとんど拮抗状態である。

 

「ムカつくわね…」

 

「こっちのセリフだ!」

 

そうしてぶつけあう状態にいい加減苛立ちを覚えたのか、シャドーガイアはとどめを刺さんと必殺技を発動した。ソルラテールも同じくシークエンスを終える。

 

『グランドフィニッシュ!』

 

『ソルラテール!turning-breaking!』

 

「「でやああああああ!!」」

 

『ナイトブレイカー!』

 

『salut!』

 

シャドーガイアの低姿勢キックを緋想の剣でどうにかガードするが、押されていく。しかし自身も攻撃力を上乗せし、どうにかシャドーガイアを押し返しかけた。だがビランがUを蹴り込んでソルラテールにぶつけ、その姿勢を崩す。

 

「あぅあっ!!」

 

「うぐああああ!」

 

そうしてナイトブレイカーを食らったソルラテールの爆破に巻き込まれたUもダメージをくらい、変身解除はしないがダメージを負って転んでしまう。

 

「…ライダーに対抗できるぐらいには強いのよ。負けたけど」

 

天子はそんなことを言い残しながら奥に運ばれていった。2対1の状況でも幽香の強さもあってどうにか防ぎ切れているが、ギリギリ感はある。他の妖怪たちも弾幕で援護するが、大した効果はないようだ。

 

『惨めね、そして愚かだわ。勝てもしないくせに』

 

「ほんとバカよ。あんたらはただ強いものに従ってればいいのよ!」

 

二人の蹴り込みがプランゼに叩き込まれ、ついには吹っ飛ばされてしまう。連絡はしたがまだ援軍はない。そんな中、こいしはゆっくりと立ち上がった。

 

「天子は……この姿を嘲笑ったりはしない!偉そうだし鼻につくしなんか上から目線だよ。でもっ!必死に誰かを守ろうとする姿を笑う人なんかじゃあない!自分以外を全て弱者として自由を許しながら守る、どうしようもなく自己中心的な、巨大すぎる器の女だ!!」

 

「…こいし。あなた戦えるの?」

 

「できるかじゃないんだ。今、私たちが立ち上がる他ないんだッ!」

 

「…それも、そうね。私は平和なんざどうでもいいけれど…。あんたらは癪にさわる!」

 

「黒いの、ビランだっけ?あんたドレミーに言っておきなさい。天子のキャラを作り違えたってね!」

 

そう言ってUは駆け出し、シャドーガイアに掴みかかった。離せと振り払った、その瞬間。

 

『Dクリスタル!』『Oクリスタル!』

『ネオフュージョン!』

『エレメンタルカリバー!!』

 

「ぐああ!!」

 

アンノウンドライバーから飛び出た大剣『エレメンタルカリバー』に突き飛ばされる。特にガードもできずに転がるその横で、ビランは警戒態勢を取る。と、言ってもプランゼの攻撃を防ぎながらであるが。

 

「…いつの間に持ってたんだっけ。まいいや、これなら勝てるって、分かるわ!」

 

そうしてエレメンタルカリバーのグリップの底面をアンノウンドライバーに接続し、柄のボタンを押した。シャドーガイアが拳を構えたその目の前で、光が放たれる。

 

『纏え、心の力!』『ドーンオース!!』

 

そうして、光の中から月光に照らされてUが歩み出る。ピンク色のアーマーと青いクリスタルがきらめくその姿は、今までのどのフォームとも違う特別なもの。頭部は今まで以上に流線的であり、しかしスタイリッシュである。

 

『自身を取り戻した時、夜明けに誓う物語が始まる!覚醒せよ!』

「『仮面ライダーU、ドーンオース!』…行くわよ」

 

プランゼがツタを叩きつけたと同時に、エレメンタルカリバーでビランへと斬りかかった。チェンジブレイドでガードし、ナーグフレイムでダメージを与えて押し返そうとする、が。

 

『フレイムライド!』

 

「無駄だよっ!!」

 

さらなる炎で押し切る。一気に斬りはらいをくらった、その上に連続斬りを叩き込んで行く。続いて回し蹴りのそののち。

 

『スプラッシュライド!』

 

「はぁっ!!」

 

『ハリケーンライド!』

 

水圧で斬撃ダメージを増しながら、ナーグフレイムを消火してしまう。続けて風とともに高速連続切断を食らわせ、怯ませる。

 

「こいつっ!」

 

「とう!」

『グランドライド!』

 

プランゼを押し退けてシャドーガイアが殴って来たのに対しては、大地の力をまとった重く強い一撃で返す。そこにプランゼの斬りつけも入り、転ばされた。

 

『放て!自分の思い!ヒーロータイム!』

 

「はああああああぁぁぁぁ…!」

 

ボタンを押してスロットを押し上げたのち、今一度押し込む。エレメンタルカリバーを投げ捨てながら構えるその横で、プランゼも姿勢を低くとった。

 

『ディメンションアタック!』

 

「でええええええやああああああああああああ!!!」

「たあぁっ!!」

 

『くそっ…』

 

エネルギーと花びらをまといながらの飛び蹴りを同時に放ち、二人はビランへと迫る。しかし彼女はとっさにシャドーガイアを盾にし、その姿を消した。

 

『ブレイク・ザ・ディスパー!』

「来いっ…」

 

しかしシャドーガイアもやられっぱなしではない。マックスグランドへ姿を変え、防ごうとする。一度食らい、耐え切れるという瞬間、彼女の背後にオーロラのようなものが現れ、それを通り抜けるようにキックの押しが加速していく。

 

「なんなのよ……うああああああ!!!」

 

そうしてディメンションアタックとストライクブルームにて、シャドーガイアは爆散した。安心感がどっと襲うように、変身を解きながらこいしは姿勢を崩した。

 

「…あんたじゃなくて天子だったら防ぎ切れたわよ」

 

そう言いながら、こいしはゆっくり立ち上がる。同時に幽香も変身を解き、ネムノの家へと戻っていった。

 

「…これじゃあターンブレイカー売るには説得力ないかな」

 

「量産できてあれなら相当なもんよ」

 

「天子は技術でどうにかしてるとこあったけどねぇ」

 

そんな風にして、会議兼飲み会は翌日朝まで続いた。

 

 

 

 

「…これで完成よ!」

 

「おー。なかなかすごいじゃないのよ」

 

暗いアジトの中、文とはたてが話している。文の手に握られているのは鋭い形状のバックルであり、さらにはたてが持つのはプロジェクトフォトグラフの計画書である。

 

「我々天狗もいい加減動かねばいけないわ。情報を制するものが勝負を制するわけですから」

 

「そうね。さ、始めましょう」

 

また一つ、新たな影が動く。

 

Continued on next episodes.




「この術が使えるのは…今日、この月食の日なんです!」

恋い焦がれ、信念を犠牲にして。

次回、「久しユアンシェン」


みなさんこんにちは、待機音は原曲フレーズで考えてしまうサードニクスです。
今回はターンブレイカーが出まくってましたね。タンスィオンはフランス語で電圧という意味です。ソルラテールもソル(土壌)ラ・テール(大地)の合体。salutもフランス語。『サリュ』と読みます。意味は要するとチャオ。
Uの短縮変身音はどうするか悩みどころでした。
とりあえず最終回まで書いたら誰かしらには褒めてもらえるだろうということを目標に頑張ってます。俊伯さんはいつも長々感想くださるので励み。感想乞食うるせえと思うんなら与えることで黙らせてください♡
さて、そんなことはどうだっていいのです。最終回までの超簡易プロットができました。こっから劇場版や今後の話のプロットを書いていくという関係で更新結構遅れそうです。またかよ…。
ただ書き溜めたら早いと思うんで許したまえ。
一回プロットなしのいきあたりばったりで書こうかね…。
とりあえず全ライダーほぼ同じ登場回数を目指して書こうと思います。二話あたりの改稿もせねば!
さて、続いては劇場版です。ご期待ください。

最後にみんなの変身ポーズコーナーです。
考えてなかったので今から考えます。
まず手をベルトにかざします。
そうしてもう一方の手を下げて木野さん的にクロス。
で手を広げます。
広げ方に注意!一巻のこのポーズです。

【挿絵表示】

で、光に包まれて終了です。シュールだけどかっこよく見えなくもないですね。では!
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