幻想仮面少女   作:さわたり

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第24話 お姉様の云う通り

「んだよコレッ!」

 

新聞を前に、にとりは怒りを込めて叫んだ。そうしてテーブルに叩きつけるのは文々。新聞である。書かれているのは、『河童の陰謀』。

 

「…ま、仕方ないんじゃない?あなたたちはいつも通りの商売をしてただけだもの。信頼を落とすなら今のうちと思っても仕方がないでしょう」

 

「だからって話でもないでしょ…。どうすりゃいいかなあ」

 

みとりのアドバイスを受け取りながら、彼女は家の戸を開けた。崖の壁に立った階段から、アホみたいに晴れた6月末の空を見上げて息を吸う。水場に吹く風は爽やかなものであり、見下ろした玄武の沢には遊ぶ妖精たちがいる。

 

「サニー姿消すのずるい!!」

 

「水しぶきをよく見たら分かるわよ?」

 

「えー?ホントだ。そこにいんのね!」

 

三月精たちが水の掛け合いをしている。ルナとサニーが全力で戦うのを、ニコニコとスターが見つめていた。時折両方に戦略を告げ、その争いを加速させて楽しんでいるようだ。

 

「あんたらは呑気でいいねぇ」

 

「コレでも幻想郷の未来とか色々考えてるのよ」

 

「嘘つけ」

 

「そうだよ。こいつらは昔っからずーーーーっとこんなことやってる」

 

そうして現れたのは妹紅である。タバコを吸いながら、スターの横に座り込んだ。そして観戦する妹紅の横に、続けて阿求とメディスンが現れる。随分賑やかだなと呟き、にとりは少し下がった位置へ。

 

「なぜ…私達を?」

 

「この風景懐かしくないか?」

 

「……?」

 

「ああ、阿礼乙女は完全に記憶を継承するわけじゃないんだっけか。メディスンも阿弥のこと良く覚えてないとか言ってたし」

 

「そもそも誰よそいつ」

 

そんなことを言いながら、その平和な風景をぼんやりと眺めている。得体の知れない何者かがこの幻想郷へ今も脅威を及ぼしていると思うと、あまり気は休まらないが。

 

「くだらない内輪揉めなんか……。平和になればいいねぇ」

 

そんなことを言いながら、みとりも階段を下りた。その手に小さな機械を持ち、にとりの方へと寄って行く

 

「これ…今までの戦闘データを元に作った強化アイテムよ。平和のために使いなさいよ」

 

「いいの?ありがと!」

 

その手に握ったアイテム『ハーフパス』を見つめ、お礼に頭を下げたのちポケットへ。ひとしきり妖精達を眺めたのち、ラボの方へと歩いて向かった。

 

「やっぱ売るもんだよなあ」

 

そうして準備するのは数々の家電である。ひとまずこれを売って人気を得るのが、当面の目標だ。鞄に詰め込み、さらに台車も用意し、仲間の河童たちと共に人里へと繰り出した。

 

「ほらほら安いよー!寄って見てみなこの便利な品々!!」

 

途中ですれ違った魔理沙を雇い、いつも通り売り子に。前々からの話ではあるが、やはり顔の広さもあって客寄せ効果は凄まじい。だが、今朝の新聞もあってかいつもの「飛ぶように」という感じではない。

 

「…ったく。河城たしか射命丸の奴に交流あったよね?」

 

「この状況で直談判しろって?煙に巻かれるだけだろ」

 

「姫海棠さんならいけたりしない?怪人化で人里襲っちゃった件で多少負い目とかありそうだし」

 

「私ら河童だしそれは交渉材料にはならないっしょ」

 

今朝のことをどうにかできないものかと話してみるが、これといった手は思い浮かばない。魔理沙は一回ぶん殴ってみろだとかなんの参考にもならないことを言うだけ。河童達はほぼ同時にため息をついた。そんな時、霊夢が現れる。

 

「…あんたら、なーんか企んでたりしないわよね?」

 

「人聞き悪いなあ。私達河童はいつも通り商売してるだけだぜ」

 

「あんた河童じゃないでしょ」

 

「種族人間、所属河童ってとこさ。金を渡されてる間は」

 

「それは河童と金銭的契約をしてる人間って言うのよ」

 

魔理沙といつものような応酬をしたのち、視線は河童達の方へ。一番霊夢に交流がある奴ということで、にとりを盾にして他の河童は後ろへと下がってしまった。

 

「で?何がしたいわけ?」

 

「いえいえ、人里に素晴らしい技術をね。我々も儲けられて相互に得にわけですわけです!」

 

「あっそ、信用できないわね」

 

「ほらほらそんなこと言わないでよ霊夢さーん」

 

「なっ、なによコレ」

 

毅然とした態度の霊夢へ、ぐりぐり押し付けるように電子レンジを見せる。最初は取り合っていなかったが、ゆっくりと目を逸らせなくなっていく。

 

「…ほっ、本当にぽちっと押せばいいの?」

 

「そーだよ。鍋みたいに見張る必要ナッシング!」

 

「本当に…火傷しないの?」

 

「むしろ電子レンジでする方が難しいよぉーん?」

 

「でもね、私も外の配電のシステムぐらい…」

 

「魔力か霊力で動いちゃうんだよね」

 

問答の末、霊夢は明らかにおろおろし始める。そして考え込む中、ベリーショートの河童が耳元でささやいた『交換・修理には迅速に対応いたします♡』が決め手に。

 

「今日は…見逃しといてあげるわ」

 

そう吐き残し、明らかに浮かれた様子で空へと飛んでいった。入れ替わるように、幽香が傘片手に現れる。威圧感こそ凄まじいが、敵意はなさそうだ。

 

「幽香さん、コレ」

 

「…あら、いいじゃない。ちょうど欲しかったわ」

 

一緒に来ていたリグルが、ミシンを指差した。しかしそれとは別に、幽香には目的がある。依頼品であった散水機の受け取りである。

 

「えっと、コレです」

 

「なんかすごい顔してるわよ。重圧に耐えかねる顔」

 

「幽香さん分かって言ってません?」

 

散水機と代金を交換し、さらにミシンまで売り商売は大成功。お互い満足げに、取り引きは終わった。

 

「幽香って雑魚妖怪達に味方してるって聞いてたがな」

 

「こういう利用関係は要るのさ」

 

そんなふうに自慢げに語ったとき、すぐ近くから悲鳴が。急いで向かうと、2mほどの人型ロボが暴れ回っていた。物的被害や怪我人はなさげだが、放っておくわけにもいかない。魔理沙とにとりは戦闘態勢をとる。

 

「コアドライバー、コード2!」

 

『set up Code 02』

『phase blue!version 0.1!』

 

「行くぜ!」

 

『reading!magician!』『& magical beast!』

『reading!wizard!』

 

「「変身!」」

 

『armored rider phase blue!』

 

『spark, great miracle magic!White & Black wizard!』『bad?nightmare?not…magical beast!KO・U・MO・RI!』

 

リヴィエルとスパークが変身を終え、ロボットへと駆け出した。スパークは強化フォーム派生のマジシャンウィザードである。キックと同時にブレードを叩き込み、リヴィエルもC2ブレードで斬りかかる。

 

「…っと、硬いな」

 

「だな…オラァ!!」

 

ホウキ型武器、マジシャンライザーで殴りつける。そちらは多少効いているのだが、リヴィエルの攻撃が全く効かない。KP-110とKP-210をリモコンで呼ぶ、そんな時。

 

「ぜあっ!!!…ったく、騒いでくれるねえ!」

 

イシグマスラッシャーが煙と轟音を巻き上げて現れる。そしてウィーリーでぶつかり、怯んだロボットを前に酔鬼が構える。フォームは乱鬼であり、ロボットと同じほどの背丈の剣『乱喰刃』を振った。

 

「どりゃああ!」

 

「くらえっ!!」

 

スパークと酔鬼の攻撃がロボットへ大ダメージを与え始めたころ、続けてKPマシン二機が到着。合体し、副砲からのレーザーを放った。

 

「よっしゃ効いてる!」

 

「行くぜ2人とも!」

 

「はいはい…!」

 

『wizard!super wrecking spark!』

 

『climax charge!KP blue!』

 

スパークが跳び上がったのに合わせ、リヴィエルはC2ブレードのグリップをKP-110に接続。その横で酔鬼は剣を引きずりロボットへ向かう。

 

「スターダストえっと、なんとかバースト!!」

 

「コードブルー・フルバースト!!」

 

「クイッッチギリィ!!!」

 

三人が少しずれたタイミングで掛け声を出し、それぞれ必殺を繰り出す。酔鬼が思いっきり斬り上げたのに続いてKP-210の副砲とスパークの銃撃が叩き込まれる。

 

「でやあああああああぁぁぁぁあああ!」

 

「ぶちかませ!!」

 

そしてスパークがキックを叩き込み、同時に主砲からの凄まじい光線がロボットを襲う。ぼごんという音と同時に爆発を起こし、パーツが辺りに転げ落ちた。

 

「ってめ、にとりィ!私が居るタイミングで撃ってんじゃねーよ!」

 

「アッハッハ!悪い悪い」

 

変身をときながら文句を言う魔理沙に対し、リヴィエルは仮面の中でケラケラ笑って答えた。そうして彼女も変身を解こうとするが、視点を感じてその手を離す。

 

「…なんすか伊吹さん」

 

「これ、お前らの機械だろ?」

 

「そんなわけ…!」

 

「じゃあ誰だってんだよ…こんな技術持ってるのは!お前らだったらやりかねないよなァ、自作自演!」

 

リヴィエルの方へと詰め寄り、酔鬼は仮面がぶつかり合いそうな勢いで顔を引き寄せた。怒りを浮かべているのが簡単に分かる。だが犯人扱いににとりも怒りを隠しきれない。

 

「……マッチポンプだってんですか?…河童の誇りを侮辱するか!!我々はなァ!こんな危ない橋は渡らないし…そもそも人里で人間相手に暴れる無粋はしないねっ!」

 

「河童が粋を語るつもりか?そもそもお前らは」

 

言い終える前に、リヴィエルがその拳を振り上げていた。その様子を見た仲間の河童達がざわめき始める。酔鬼はすぐさま掴み取り、仮面の中の視線を鋭くした。

 

「河童が…お前らが鬼に刃向かうか!」

 

「このままじゃ溜飲が下がらないんですよねェ!!」

 

そうして、リヴィエルが蹴りをぶつけた。後ずさった酔鬼もそろそろ我慢ならないらしく、今度こそ本気で殴りかかる。そこは力量の差もあり、リヴィエルは大きくぶっ飛ばされてしまう。

 

「えぇ?おい河童が舐めた事してくれるじゃないのさ。今なら話ぐらい聞いてやるよ。遺言にならないよう気をつけなよ」

 

少し冗談めかして、酔鬼は語る。にとりは、このまま取り引きをしてやってもいいと思った。だが、それでは気に入らない。答えとして出したのはC2ブレードの突きである。

 

「…あっそう、じゃあこっちも応えるだけだ!」

 

「まともに戦うとでもお思いで?ここで沈んでもらいます。あんたにはもう手は残されちゃいませんよ!」

 

拳を構えて駆け出した酔鬼の背中に、凄まじい爆撃が打ち当たる。続けて光弾の嵐。後ろからKP-210が狙っていたのだ。…しかし。

 

『formname is 金剛鬼 GOGOGO!』

 

「まともに食らうとでもお思いで?さぁ、宴の始まりだァ!!」

 

「ちっ、そうくるかい」

 

巨大なシールド『鬼骸壁』が全てを跳ね返していた。パラパラと砂埃が舞う中、青と白の鬼がズルズル盾を引きずって現れる。リヴィエルの斬り付けとKP-210の砲撃を跳ね返しながら、重い拳をたたき込んだ。

 

「…っ」

 

「っと…」

 

だが流石にKPマシンの火力を受け止めていれば、盾越しでも苦しいものがある。酔鬼は膝をつき、肩を上下させていた。その隙を見て、にとりは今朝を思い出す。

 

「恨まないでくださいね、伊吹さん。平和のためなんですよ!」

 

「…あ?」

 

リヴィエルの手に握られるのは、ハーフパスであった。萃香は初めて見るが、状況的に強化アイテムであることは想像に固くない。睨みつけながら、警戒態勢を取った。フェネクスのように空を飛びかねないし、ヒールのように銃撃メインになりかねない。

 

『connect on!update!version 0.2!』

 

「…やっぱそう来るよな」

 

「……そんな事言っってる余裕あるんです?すぐ倒されちゃいますよ?」

 

その挑発を受け、酔鬼はシールドを構えて駆け出した。その目の前でリヴィエルはレバーを引き、シークエンスを終える。全身にさらにパイプが巡り、生み出された装甲が重なっていく。

 

『armored rider phase blue R!』

 

「…これが…私の新形態!」

 

「いっちょまえにゴツくなりやがって…」

 

酔鬼が言う通り、その装甲は凄まじい分厚さに。仮面ライダーリヴィエルブルーフェイズRである。同時にKP-010が駆けつけ、KP-210を格納。さらに武装を増やしてKP-210、いや、KP-210R(にとり)は爆誕した。

 

「お前ごときどんだけ装備しても無駄だね」

 

「どうだかね!」

 

その手に立ち入り禁止標識を模した斧『パーミッションプレート』を構え、駆け寄る酔鬼へ一発をたたき込んだ。いままでの攻撃より明らかに重くなっており、大きく隙を晒した。そこにC2ブレードの追撃が。

 

「…くっ、こいつが防御力で言えば最強なんだがな」

 

「そいつはいいことを聞きましたよっ!」

 

さらに凄まじいパワーでパーミッションプレートを振り下ろす。それをどうにか避けながら酔鬼は狂鬼にフォームチェンジ。こうなれば避けながら戦おうという戦略だ。

 

「…!!」

 

「隙アリだっ!」

 

『滅鬼』の反射で一瞬リヴィエルの視界を潰し、一気に切り掛かった。しかし連撃に対しパーミッションプレートをシールド状に変形させ、リヴィエルはそのダメージを完全に無効化させてしまう。

 

「ったく…」

 

「こうなればKPマシンを使わなくて良さげかなあ」

 

トドメとばかりにリヴィエルが構えた、その時。

 

「これ、星熊の姐さんから!」

 

彼女の部下の鬼が、何やらパーツのようなものを酔鬼へ渡した。遅かったじゃないかと呟くように言うと、酔鬼はベルトへその『マスコア』をセットした。

 

『Extenditem 『マスコア』 let's mixing』

 

「なっ…!」

 

「驚いたかな?私だって強化ぐらい考えてたさ。勇儀にお願いをね」

 

『set confirmed』

 

今度はリヴィエルの方が警戒態勢を取る中、マスコアへとランシュ、コンゴウシュ、キョウシュをセット。レバーを引き、手をクロスして構えた。

 

『confirmed change standby……3……2……1』

 

「全部載せかよ…」

 

「行くぞっ!」

 

『formname is 鳴厄鬼 let's battle!』

 

酔鬼がレバーを引きシークエンスを終えると同時に酒がベルトへ注がれ、それが光と共に全身に広がり鎧を形成した。ベルトが宣言する通り、仮面ライダー酔鬼 鳴厄鬼がその名だ。重装軽装入り混じった白い姿が特徴的。

 

「でやああああ!」

 

その手に呪術で出現させた武器を構え、斬りかかる。180cmはあろうかという剣『鬼叫(ききょう)』である。重苦しく持ち上げ、振り下ろさんと構える。

 

「ふん、遅…!?」

 

余裕の態度でリヴィエルがパーミッションプレートを構えたその瞬間、剣が爆裂音と共に加速。シールド形態だったのだが、それでもぶっ飛ばされる威力を生み出した。

 

「爆薬ってか…弾丸でこの威力ってわけね…」

 

「どうやらね…」

 

そうしてリロードする隙を狙い、リヴィエルはC2ブレードで斬りかかる。瞬間、酔鬼は腕のシールド『鉄鬼(てっき)』で攻撃をいなし、半分ほどの刃渡りの剣へ持ち替えて斬り付けた。

 

「…そっちはスピード系ですかい」

 

「多分ね!」

 

その『錠鬼(じょうき)』で連続攻撃を叩き込んでいく。咄嗟のことにガードは出来ず、もろにくらってしまう。爆薬での加速は鬼叫より弱いが連続性がある。

 

「うぐぐ…」

 

「このままぶっとびな!」

 

そして再装填ののち鬼叫を構えた、その時。KP-210Rからのおびただしい量のビーム弾が飛ぶ。4連となった主砲からのものだ。そうして出来た隙にリヴィエルはKP-210Rに乗りこみ、素早く回避しようとする酔鬼を正確なエイミングで襲う。

 

「ったく!」

 

流石に凄まじい弾幕故に避けは諦め、鉄鬼でのガードに。元々凄まじい戦いだったが、ビームがやらがえげつない戦場故に、見物人はどんどんと戦いから距離を置いていく。

 

「…動きづれえ。人里での戦いには向いてないな」

 

ほとんど固定砲台となったKP-210Rに近づくのは、酔鬼の防御力前提ではあるが容易だ。鬼叫の斬り上げを食らい、機体が大きく揺れた。傷がつかないのはさすがというところか。

 

「…くそっ!」

 

「っぶね!」

 

振り落とされながらも、リヴィエルはギリギリのタイミングでKP-210Rの副砲を放つことに成功した。直撃しなかったが、鬼叫を吹っ飛ばして地面に突き刺すことにも成功。しかし同時にパーミッションプレートを落とした点で、ほぼ同じ状況だ。

 

「たあああっ!」

 

「どらああ!」

 

C2ブレードと錠鬼がぶつかり合う。しかし元々のパワーを考えれば、萃香に軍配が上がる。若干ながら優勢である。だが、蹴り飛ばした瞬間、リヴィエルが腕を掴んだことで一緒に転がることに。武器を落としながら転げていく彼女らへ、見物人が一気に駆け寄る。河童や鬼を含む大勢に見守られる中、二人は河へと水没した。

 

「墓穴掘りましたね…伊吹様!」

 

「…まさか!」

 

にとりが名乗る能力は「水を操る程度の能力」である。それは水における確固たる自信の現れだ。この状況も例外ではない。パイプを伝う水妖エネルギーが生まれ、全身から蒸気が吹き出る。

 

『climax charge!hydro!』

 

「ぜあああああ!」

 

「うぐぅあ!」

 

凄まじい水圧をまとったキック、ハイドロスライダーを喰らい、酔鬼は膝をついた。さらにそのまま立てなさそうであり、自ら変身を解いた。一気に歓声が上がる中、にとりも変身を解き、川から這い上がる。

 

「…人里の平和は…他でもない、我々河童が守る!人間は技術を持つ生き物、我らと共に進もうではないか!」

 

足元に転がっていたロボの頭を踏みつぶし、右拳を天へ掲げる。河童達が一層強く声を送り、鬼達が怒りをあらわにする。しかし萃香は鬼達に抑えるよう言った。自分が負けたのは事実だと、悔しげに噛み締める。

 

 

 

 

 

「…つまり、これで萃香を倒したのね」

 

「そうさ!辛勝ではあったけどね!これで人里が…」

 

戦いの疲弊でベッドに横たわり、にとりは自慢げに語る。だが、みとりはそんな彼女へ気遣うことなく思いっきりビンタをくらわせた。

 

「…!?ね、姉さん!?」

 

「こんなことのために渡したんじゃないわ。…私が謝ってくる。そこで頭冷やしてなさい」

 

「でも…!」

 

「どうせ本当なら会話で解決できたんでしょう?頭に血が上ったからと戦って…お子様には過ぎたおもちゃだったね。弾幕ごっこで満足すればいいものを…」

 

ハーフパスを取り上げると、呆然とするにとりを背にみとりはKP-110でその場を後にした。そして居場所を聞きながら移動し、萃香のいる神社へたどり着く頃にはすでに夜になっていた。

 

「…私はそのつもりはないわ」

 

「あくまで霊夢達とってか?お前はこっちにいればもっと輝けるのに」

 

三日月を盃に映しながら、萃香は華扇へと語る。霊夢は外出しているようで、二人きりの空間である。包帯を巻いて明らかに疲れた様子の萃香へ、彼女は心配の目を送る。

 

「…おっと?誰かが隠れてるねぇ」

 

そんな中、萃香は突如盃をぶん投げる。草むらの中に隠れていたぬえが一滴も溢さずキャッチし、一気に飲み干した。

 

「投げちゃっていいわけ?」

 

「そいつは安物さ。私は瓢箪だけありゃいい」

 

「あっそーお?ま、そんなことはどうでもいいんだ。もうちょっと叩きのめしてしばらく戦えなくなってもらうよ!」

 

ターンブレイカーを構えるぬえ。立ち上がろうとする萃香だが、休んでいてくれと華扇が止める。そうして彼女はキセンドライバーを取り出し、腰へ。

 

「惑変!」

 

『turn on!mysterious girl!アンファイルド!』

 

「変身!」

 

『Humanside……change modetrick!』

 

アンファイルドとハーミットが向かい合い、仮面の下視線をぶつける。そうして、お互い槍とカクセイガを構え駆け出そうとした瞬間。遠くからの銃撃が二人を怯ませた。同時に振り返ると、屋根の上にエックスゴースターを構えたビランが。

 

『私も混ぜてもらおうかしら』

 

「…信念にかけて守るわ」

 

萃香の方を一瞬だけ見ると、果敢にも二人に向かって駆け出した。と言っても、三つ巴の状況だ。やはり見ていられず立とうとする萃香だが、体が痛み、転びそうになってしまう。そんな時、砂埃とともに颯爽とみとりが現れる。萃香を支え、縁側へ今一度座らせる。

 

「…妹が粗相をしたね」

 

「ああ、おかげさまでこの通りだよ」

 

「許してあげてほしい。…きつめに言っといたから」

 

こう素直に来られると、逆に萃香はなんとも言えない気分である。そっぽを向いて黙る彼女を背に、彼女はビランとアンファイルドを見据えた。その手には、ハーフパス。

 

「…ま、ちょうどいい。この際実験台になってもらうわ。コアドライバー、コード1」

 

『set up Code 01』

 

『phase red!version 0.1!』『connect on!update!version 0.2!』

 

「変身!」

 

『armored rider phase red L!』

 

リヴィエルレッドフェイズが変身を終え、同時に追加ブースターが装備される。さらに装甲をいくつかパージし、レッドフェイズLが完成した。

 

「たぁっ!」

 

『速いのねぇ』

 

ビランが言うように、そのスピードがリヴィエルレッドフェイズLのウリである。ビランの攻撃を食らうことなく、淡々と攻め立てる。

 

『…くそっ!』

 

とっさにアンファイルドを盾にするが、トリックモードはホールクラッカーがあり、レッドフェイズLにはスピードがある。回り込むのは簡単な話だ。

 

「人を盾にしやがって…!」

 

アンファイルドの怒りも彼女へ向き、圧倒的に不利な状況である。撤退も考えた、その時。

 

「ヘイガールズ!ルナティックタイムの始まりだぜ!みーんな楽しませてやるよっ!」

 

『お前は…』

 

「ビランちゃんだっけぇ?あたいはね、あんたを手伝えって言われてんのさ!」

 

爆熱と共に着地したのはフールである。サンフォームの特色はやはりその凄まじい高温。ランパースが変身したフェアリートルーパー達と共にハーミットに狙いをつけ、一気に攻め込む。

 

「うぅっ!」

 

「くたばりなァ!」

 

そうして放つ火炎弾だが、それは穴を開けて対処ができる。しかし、その隙を狙ってすでにフールは構えていた。

 

『太陽の一手!』

 

「…させるか!」

 

ハーミットへと火炎を纏ったキックを繰り出す。…が、そこにはパーミッションプレート片手にリヴィエルが立っていた。一瞬のうちに間に入ったのである。

 

「…んだとぉ?」

 

『やれやれ、面倒になってきたわね』

 

「余裕ぶってんじゃないよ!」

 

今一度構え直し、リヴィエルはフェアリートルーパー達をまとめて狩り始める。フールも同時に相手取りながらであり、簡単ではない様子。続けてハーミットはビランへと駆け出し、アンファイルドもそれに続く。

 

「おりゃりゃりゃ!」

 

『バラバラねぇ』

 

「えー?なんで私がこんな仙人と息わせなきゃいけないのよ」

 

「あなた一人で勝てるならそれでもいいのですがね」

 

ビランの攻撃を巧みに避けながら、ハーミットは小さいながらダメージを与えていく。アンファイルドもそれなりに戦えているのだが、ハーミットを押し退けながらである。ペースを掴んだのか、ビランが押し返し始めた。

 

「…あなたは槍を使った大振りな攻撃がメインのはず」

 

「こうして欲しいって…事かなァ!」

 

流石に危機感があるのか、ハーミットの連撃でできた隙に一気に叩き込む戦い方に。一進一退の戦いの後ろで、リヴィエルは若干ながら押されつつあった。

 

「おらおらおらぁ!どうしたァ!」

 

「…っ」

 

スピードがあるとはいえ、炎の範囲攻撃はガードがメインになってしまう。シールドがあってもダメージは響くというものだ。萃香もそろそろ心配になってきた、その瞬間!

 

「はっ!」

 

KP-010がフェアリートルーパー達をまとめて撥ね飛ばし、さらにお札がフールも巻き込んでダメージを与えていく。何事かと見てみれば、KP-010に霊夢が乗っているではないか。

 

「ったく、いきなりこのデカブツが来たと思えば……乗れって何事よ」

 

「…助かったよ博麗の」

 

霊夢が降りると同時にKP-110が発進。その後ろからKP-310の改良品『KP-310L(みとり)』が降りた。そうしてリヴィエルが乗り込むと同時に霊夢がサォルブドライバーを装備、神霊のカードを取りだす。

 

「別に。神社を守りに来ただけよ。あと、友達を。…変身!」

 

『読み込み!神霊!』

 

『煌き!ハジャケンセイ!魅惑の神霊!』

『戦乱!閃光!仙獣タートルゥ!!』

 

萃香の方を一瞬見ると、シークエンスを終え、センニンシンレイフォームへ。オレンジをメインに、耳パーツやヘッドホンなど神子のデータから作られたのが割りやすい形態だ。センニンフォームのシェルガーダーは合体し、左腕の『トータスナックラー』へ。

 

「どらああああ!」

 

そうしてフールの元へ駆ける、その一瞬。霊体化して回り込み、後ろからパンチを叩き込む。さらに目にも止まらぬスピードで、KP-310Lからの銃撃が。さらにすれ違いざまに主翼をブレードにフェアリートルーパー達を一掃。軽く音速を超える。

 

「おい逃げるぞビラン」

 

『はァ?…仕方ないわね、この状況じゃ』

 

そうして二人は近づき、エックスゴースターから煙をまく。リヴィエルがすぐさま飛ばした銃撃がヒットするが、それを最後に完全に姿を消してしまった。

 

 

 

 

「お姉さんは…家族は大事にするものですよ」

 

「それは分かってるよ…でも!」

 

「私、両親死んじゃったんです。事故っていうか…私のせいで」

 

うつむく早苗に、にとりは何といえばいいかわからなかった。相談しようと神社へ来たはいいが、何かをほじくってしまったのではと不安に。時間帯は夕方。みとりが人里で萃香の居場所を尋ねている頃だ。

 

「…頭に血がのぼっちゃうんですよね」

 

「うん、そう…だね」

 

静かに言ったかと思うと、早苗はおもむろに立ち上がる。にとりに目で追われながら、彼女は近くの葉っぱを取った。そうして今一度座り込んだかと思えば、葉の香りを嗅ぎ始める。

 

「いい香りの葉なの?」

 

「いいえ。でもこの青臭さも生命って感じしませんか?大空の香りっていうか。私は一番レモンが好きでしたけど」

 

「…そうかな?まあ、そうかも……」

 

「落ち着きたい時、おすすめですよ」

 

そう言われ、真似したにとりはたしかにリフレッシュできたような気分であった。自分のKP-110に乗り、彼女は博麗の方の神社へと向かう。あそこにいっぱ居る人妖なら、「謝り方」についてもっと深く聞ける奴ぐらいは居るような気がしたのだ。

 

「…霊夢、居るかい?」

 

一度頂上に行ってからの下山というのもあり、たどり着いたのは夜である。その時、すでに戦いは終わり小さな宴会が始まっていた。

 

「…にとり」

 

「伊吹様……」

 

にとりは言葉に詰まってしまった。本当に謝ればいいのか?それは河童としてしゃくに触らないか?でも鬼との関係を悪くするのか?そもそも私の行動の一番の問題は?様々な不安やらを処理し、にとりは畳に膝をついた。

 

「…怪我は、大丈夫ですか?」

 

「さーね」

 

「……思えば、今あなたと戦う意味は何もありませんでした。ただ気に入らないから、頭に血がのぼって…」

 

「河童は無駄にプライドが高いからな?」

 

みとりとにとりを交互に見ながら、萃香は言う。気に入らない物言いだが、にとりはキレようとはしない。ポケットに入れたミントの香りを吸い込み、続けた。

 

「私は…本当ならただ人里を守りたいだけで…人間と、もっと妖怪が近づける社会が欲しいだけなんです」

 

にとりは、一瞬だがみとりの方を見る。彼女のような存在が生きやすい社会、そう言い換えてもいい。

 

「言い訳、いろいろしましたけど…。言いたいのは…えっと……………すみませんでした!深く考えもせず、話そうともせず」

 

「…私も悪かったよ。お前が…あんなもん作るはずないって、知ってたんだけどさ。お前に一言でも『目指すとこは同じだろ』と言えてればな。私もさ、呑みたいだけなんだよ、みんなでね。だから今後は伊吹様〜なんてくっそ堅いのは結構だよ」

 

萃香はそういうと、升へと酒を注ぎ、にとりへ。そんな鬼へ、河童は「ありがとうございます、萃香さん」と優しく応えた。

 

 

 

 

「…やっぱダメですねぇ」

 

翌日、鈴奈庵へ届いた新聞の感想を片手に文は苦い表情であった。呆れながらお茶を出し、小鈴は告げる。

 

「あのですね、被害が出ないように暴れると、そう作られたマシンでもですよ。そーいうのを人里に放つのはどうかと思うんですよ」

 

「河童の自作自演を装えるかと思ったんですけど」

 

「失敗してるじゃないですか」

 

「それは言ってはいけないですよー…」

 

鬼と河童が手を組んで商売し始めた、というのはかなり大きい事実である。何せロボに関して疑った側と疑われた側だ。その両方の和解というのはすなわち「河童は犯人でないと鬼が判断した」ということ。

 

「…鬼は嘘つかない。人間でもみーんな知ってることですよ」

 

「…なるほど。とにかく振り出しですね」

 

「聞けば最近ベルトをもう一人の自分に奪われたそうですね。もう厄年じゃないですかねぇ」

 

小鈴はケラケラ笑いながら続けた。静かなため息ののち、文は今一度頭を抱える。権力争いは、未だ激しくなる一方だ。

 

Continued on next episodes.




「なるほど…これが…夏!」

「いや、それたぶん溶けてるだけよ」

夏に舞え、氷精よ!

次回、「夏の氷精 - 動 -」



いやーおまたせしました。最近の外伝の流れからなんで割と早いかな?とりあえず最近なりきり系のロールプレイが楽しいサードニクスです。今回はちょっと長くなりましたが。言っても1000ちょい多めなだけだけども。主な原因はにとりvs萃香の長引きだよね…。今回はなんというか、東方っぽい話にできたかなーと思いますね。キャラが全体的にいい人化するのはライダー作品の宿命だから許して…。ホントはみんなもっとゲスめでもいいとは思うものの。いやしかし一年以上やってやっとはんぶ…え待ってもう一年以上経つの!?仮面秘封倶楽部の2018/10/26で震えてます。びょえー更新おせー!ホントお待たせしてます。
恐ろしいのは導入編と地&永が2018の間に終わってること!16話以降急に遅くなる…そもそも去年の12月の16話からまだ8話しか進んでない恐怖。このままだとあと四年はかかるぞぉ〜?合同参加したり原稿書きまくったりのせいなのよね。来年ははだいーぶ少なめになるからいけるはず…。
今プロットが6話分あるんですがね、これがあとどれほどで書き上がるかですよね。とりあえず25話26話はいろいろ好き勝手やってる回ですし、27話はプロット時点ではかなり気に入ってる回なんで…早いといいなぁ……。

まあそんなこんなでおおよそ3ヶ月ぶりのみんなの変身ポーズコーナー!
仮面ライダーフールだぜ!
まずはアルカナドライバー装備。右手で松明を掲げ、左手でカード挿入!
続けて右腕を下げつつ左腕上げる!さらに左腕を下げて一号のポーズのように腰に構えながら、松明ぶん投げ!
「変身!」
そして落ちてくる松明を蹴っ飛ばして完了です。ワイルドだろォ?

ではまたー
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