幻想仮面少女   作:さわたり

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はっちゃけました。
ジオウ的タイトルは「フューチャー・ザ・ヒール・2068」です。
オリキャラ要素あるのでご注意を。


ヒール外伝 たいせつな未来のために

2068年、この日明光院ゲイツは決心した。

オーマジオウとなる男、常盤ソウゴを過去へ行って抹殺することを。

 

「行くのね…」

 

「ああ、タイムマジーンは準備した。準備を終えたらもう出るさ」

 

心配げに自身を見つめるツクヨミに、安心しろと言い放ち、ゲイツはカバンを背負った。

 

「このジクウドライバーがあれば…!」

 

「…ゲイツ君、いるかしら?」

 

そうして出ようと立ち上がった時、背中から声がかかった。振り向いて見ると、物陰から女がキョロキョロとしている。そしてゲイツと目が合い、そちらへと駆け寄った。

 

「これ、渡しておくわ」

 

そうして女が取り出したのは、紫と黒の二色で彩られたライドウォッチだった。

 

「…!?」

 

「…これはオーマジオウも知らないライダー。必ず奴への決定打になるわ」

 

女がそう言ったのを受け、ゲイツは驚愕と懐疑の顔を女へと向けた。

 

「こいつは貰うが…貴様、何者だ?」

 

「ヴィオレット・ハーン。…それ以上は言えません」

 

「ハーン?…マエリベリーの親戚か?まあ、いい、ここまで来れるということは怪しいものじゃないんだろう。いいだろう、使ってやる」

 

そう言うと彼は今一度女へ背を向け、タイムマジーンへ乗り込んだ。

 

「時空転移システム起動!」

 

そして計器の表示を2018に合わせると、ゆっくり空へと飛び立ち、時空の狭間へと消えていった。

 

「…どうか、今を変えて…!」

 

旅立つその背に、女から声を受けた気がして、ゲイツは今一度オーマジオウを抹殺する決意を抱くのだった。

 

 

 

 

 

「おーい!ゲイツくぅーん!」

 

「…。夢か、あの日の…」

 

次にゲイツの視界へ飛び込んだのは、クジゴジ堂の屋根だった。二階の質素な寝室を出ていき、一階のリビングへと入った。

 

「いやぁー、ゲイツくんが最後って珍しいね。いつもソウゴくんが最後なのに」

 

「まぁ、連休中だしね!ほら、ゲイツそこ座って」

 

「何故貴様に指図されなければならん」

 

そんな文句を言いつつも、ゲイツはソウゴの向かいの席に座った。そしてパンにバターを塗り、口へと運ぶ。

 

「そういえば俺さ、今日友達のお見舞いに行くんだ」

 

「フン、勝手にしろ」

 

「あれ?二人は来ないの?」

 

ソウゴは軽い様子でそう言った。対しゲイツはため息をつき、ソウゴへ指差し、こう告げる。

 

「お前は俺の敵だ。…誰が貴様なんかと…」

 

「あれ?見張らなくてもいいの?じゃあめっちゃ魔王っぽいことしちゃおうかな〜」

 

ソウゴの一言を聞き、ツクヨミとゲイツはものすごい形相でソウゴを睨みつけた。

 

「ほら、研究所とか爆発させたり?」

 

「フン、それには乗らん。貴様の思う魔王とはかけ離れているからな。……っ、別にお前を信用してるわけじゃないからな!?」

 

「…やれやれ、私はついて行くわ。ソウゴ」

 

「…ハァ、俺もお前を監視しといてやる」

 

そう言うこともあり、文句言いつつもなんだかんだで三人揃って聖都大学病院へと来ていた。

熱心に働く永夢を横目に、同級生の児蓮 真墨(コハス マスミ)の休む病室へと入っていった。

 

「失礼するよー」

 

「…その声、常盤くん?」

 

ソウゴの声を受け、真墨はゆっくりと起き上がって声の方を向いた。その目には包帯がグルグル巻かれており、目は見えていないようであった。

 

「僕と常盤くん意外に…もう二人分の呼吸音が聞こえるね。誰?」

 

しかしその分他の感覚は鋭いようである。ツクヨミとゲイツの方へと、音を頼りに顔を向けた。

 

「私、転校生のツクヨミ。こっちが…」

 

「明光院ゲイツだ。見舞いに来た」

 

「初めてなのにわざわざ僕のお見舞いにありがとね。ところで…」

 

真墨はふと話題を変えるように口を開き、あたりの音に耳を澄ませた。数秒ほどその様子をみせ、ニヤッと笑顔を浮かべる。

 

「みんなの視力は?」

 

「俺は1.2」

「1.0よ」

「…1.5だが?」

 

「オッケー、十分過ぎるっ!」

『HEEL…』

 

そう叫んだかと思うと、黒のエネルギーが彼女の体を包み込み、一瞬のうちにバケモノへと変えた。

スターボウアナザーヒールである。その黒い体にはところどころ赤が入り、頭部は帽子のようにも見える。目には傷が刻まれており、包帯のような布が巻きついている。

 

「いただきますッ!」

 

そしてソウゴたちへと飛びかかった。三人はとっさにそれを避け、それぞれ変身とファイズフォンXでの射撃を準備した。

 

『ZI-O!』『GATES!』

 

「「変身!」」

 

二人もそれぞれウォッチを起動してセットすると、変身ポーズをとった。そして、ジクウドライバーを回転させる。

 

『『RIDER TIME!』』

『仮面ライダ〜!ジオウ!』

『…仮面ライダーゲイツ!』

 

瞬時にアーマーが形作られ、そのゴーグルに「ライダー」と「らいだー」が刻まれる。

 

『ジカンギレード!ケン!』

『ジカンザックス!oh!no!』

 

二人はそれぞれ武器を構えると、アナザーヒールへと走った。

 

「…っ、今までバレずにやってきたんだけどね…!あんたらあの女の子が言ってたライダーって訳ね!」

 

アナザーヒールも右手にビーム剣を生み出し、二人へと切りかかった。

 

「ぐっ!」

 

「けっこう強いね…!」

 

二人は軽く吹っ飛ばされ、ゲイツの方は武器をぶっ飛ばされていた。こうしてはいられないと、ゲイツはライドウォッチを取り出した。

 

『555!』

『RIDER TIME!…仮面ライダーゲイツ!』

『ARMOR TIME!complete…ファイズー!」

 

そしてファイズアーマーへと変身した。ファイズフォンXでヒールを狙い撃ちつつ、近接格闘を仕掛ける。

 

「おっとっと」

 

しかし大きなダメージではないようだ。軽く怯むが、同時にジオウの斬りかかりもいなし、二人同時に斬り払った。

 

「くっ…それならこいつだ!」

 

『DE・DE・DE・DECADE!』

 

ジオウはディケイドライドウォッチを準備すると、左のスロットにセットし、一回転させた。

 

『RIDER TIME!仮面ライダ〜!ジオウ!』

『ARMOR TIME!カメンライド!ワァーオ!ディケイド!ディケイド!ディケイドー!』

 

バラバラの十パーツが重なり、ディケイドアーマーが完成した。そしてもう一つウォッチを起動する。

 

『W!』

『ファイナルフォームタイム!ダ・ダ・ダ・ダブル!』

 

そしてディケイドウォッチにセットした瞬間、ジオウの顔面が仮面ライダーW ファングジョーカーのものに。そして素体は黒白の二色のものへと変わり、ダブルフォームへと変身完了した。

 

「だああああ!」

 

そしてアームファングを発動し、アナザーヒールへ斬りかかった。ガードしたそのビーム剣を突き抜け、そのまま胸へ一撃が入った。

 

「おっと…」

 

「次はこっちだ!」

 

そうしてショルダーファングを発動した。だが、出ない。

 

「フンっ!ヌっ!でやっ!……アーマーが突っかかって出ない…。仕方ないか。それならこうだ!」

 

『ZI-O!』『DE・DE・DE・DECADE!』

『ダ・ダ・ダ・ダブル!ファイナルアタックTIME BREAK!』

 

ショルダーファングのブーメラン攻撃は諦め、そうそうに必殺技を発動し、飛び上がった。

 

「ディケイドストライザー!」

 

そして足をピンと伸ばし、縦回転で突撃。両足サマーソルトを連続で叩きつけた。

 

「うぐっ!」

 

最後にファング要素0のパンチをくらい、アナザーヒールは窓から叩き出された。

 

「ちょうどいい…僕はこのまま逃走といきますか」

 

そう言って落ちるのを受け入れたかと思えば、すぐに姿を消していた。ゲイツはすぐさま降り、その後を追った。

 

「…私達は一旦帰りましょう。少し気になることがあるの」

 

「分かった。ゲイツなら大丈夫…だよね」

 

ソウゴは変身を解除しつつ若干心配するような様子を見せたが、彼への信頼を思い出し、一旦クジゴジ堂へと足を進めた。

 

 

同じ頃、ゲイツはアナザーヒールを探して駆け回っていた。…だが、気配すらない。まさか瞬間移動でもできるのかと、焦りを表して、さらに走った。

 

「…何だと!?」

 

突如、道の横にあった研究所が爆煙を上げた。ここに居るのかもしれないと思い、彼はその『岡崎技術研』へと足を進めた。

 

「…ここ、まさか夢美のっ!?」

 

そんな時、彼の脳内に2068年の光景が蘇る。科学技術により、自分達を支えてくれた、レジスタンスの一人の老人の姿だ。岡崎夢美、それが名である。

 

「なら…なおさらここで死なれては困る!」

 

ゲイツは一層意思を強め、被害状況を見て、避難を勧めつつ爆発があったであろう場所へと駆け出した。

 

「吐いてもらう…私は知ってるわよ。あんたが魔術研究をしてるって事をねっ!」

 

「知らないっ!何の話よっ!」

 

所長室では、少女が赤髪の女性へと詰め寄っていた。アナザーライダーではないのかという疑問はあったが、とにかく夢美に間違いなく、助けなければという意思に、足が呼応した。

 

「な…に……!」

 

そうして跳んだと同時に彼の体は空中で止まった。炎すら形が固まり、しっかりと動けるものは誰ももいないようであった。

 

「本来…お前はこのあと警察に捕まり、意味不明な供述と吐き捨てられる。そして、様々な罪状の元、懲役を課される。16歳からの若い人生を棒に振るわけだ」

 

そんな中、スウォルツが少女、小泉エリへと近づいた。スウォルツが彼女をちょんと触れると同時に、エリの時間が動き出す。

 

「あなたは…」

 

「俺はタイムジャッカーのスウォルツ。会いたい人が居るのだろう?会わせてやろう。意見は求めん」

 

スウォルツはエリへ詰め寄り、驚く彼女へとアナザーライドウォッチを入れた。

 

『HEAL…』

 

「うぐっ…うあああああああ!!」

 

そして、紫のエネルギーがほとばしると同時に、彼女の姿が怪人へ変わる。ナイトメアアナザーヒールである。白と紫を基調とし、金の模様が入っている。全身にスキマが開き、不気味そのものな見た目である。

 

「見える……境界が…見えるッ!」

 

「…さっきのもそうだったが…また見たことのないライダーか。ヒールだと?…ヒール?それにその色…まさか!」

 

ヒールへと対峙したゲイツの脳内に一つのものが駆け巡った。そして、出発前にヴィオレットとか言うからもらったライドウォッチを出して見た。

 

「…何?」

 

しかし起動しない。いくら押せど反応はない。ため息をつきつつ、彼はライドウォッチを二つ起動した。

 

『GATES!』『WIZARD!』

 

『RIDER TIME!…仮面ライダーゲイツ!』

『ARMOR TIME!プリーズ!ウィッザード!』

 

そして素早く変身を終えると、ジカンザックスを構え、アナザーヒールへと斬りかかった。

 

「でやぁ!」

 

そして斬りつける直前にエクステンドを発動し、鞭のような形で斬撃をぶつけた。

 

「いててて…」

 

軽く怯んだかと思うと、左腕からビーム弾を放って素早い反撃を送り返した。

 

「やれやれ…」

 

『you!me!』

 

ゲイツはそれをサイドステップでかわし、ジカンザックスを弓モードへ。コネクトでウィザーソードガンも召喚し、二丁拳銃スタイルでの攻撃へと切り替えた。

 

「私の邪魔をしないで…!先輩と…東風谷先輩と会うには!この目が要るのよっ!」

 

そう絶叫をあげると、青い目をギラギラと輝かせて銃撃をばらまいた。

 

「フン!」

 

しかしそれもディフェンドで防ぎ、出来た隙に銃撃を返した。

 

「くっ…!」

 

ダメージを負った彼女は、撤退を選んだ。空間のスキマを広げ、体をバラバラにしながらその中に入って逃げた。

 

「…逃したか」

 

「…ありがとう。誰かは知らないけど…本当に」

 

夢美の言葉に礼には及ばんと軽く返し、手早く消化を済ませてクジゴジ堂へと帰っていった。

 

 

 

 

 

 

「……見えるッ!ああ、夕陽が見えるよ!」

 

病院から遠く離れた公園で、真墨は一人笑っていた。

光を失ったはずの目に、オレンジの光が差し込んでいた。

ぼんやりと光を感じ、今一度星を見れると、希望を抱くのであった。

 

「…悲願は叶いそうかい?」

 

その時、風に舞った砂つぶが空中で止まり、風さえも動きを止める。同時にウールが現れ、彼女の元に接近した。

 

「君は…」

 

「オーラの仲間さ。君には時の女王になってもらうんだ」

 

「…僕が、女王ね…。とにかく、視力が戻ってからね」

 

「まぁ、好きにするといいよ。君を…立派擁立させてもらうさ」

 

そうウールは言い残し、去っていく。同時に時が動き、砂つぶが地面へと落ちた。

 

 

 

 

 

「…見覚えがない?」

 

「そう、オーマジオウの並べた石像にヒールなんてライダーは居なかったの」

 

「…ああ、これだ」

 

そう言ってゲイツは机の上に、ヴィオレットから受け取ったライドウォッチを置いた。

 

「…コレがおそらくヒールだ。2068年で謎の女に渡された。…オーマジオウの知らないライダーだとさ」

 

「…それ、俺に言っていいの?」

 

「お前がオーマジオウにならない事を…俺は信じる。だからだ」

 

ゲイツは覚悟を決めた顔でソウゴを見据えた。ソウゴはそれをしっかり受け止め、口を開く。

 

「…児蓮が事故にあったのは今年の5月。えっと、14日。…多分、その辺でタイムジャッカーが」

 

「…決まりだな。行くぞ。ツクヨミは一応こっちにいてくれ」

 

ゲイツはそう言い渡し、表へ出てタイムマジーンを用意した。ソウゴもマジーンを用意し、タイムスリップ先を5/14に設定し、時空転移を開始した。

 

 

「急がないと…流星群に間に合わない!」

 

2018/5/14、真墨は山の展望台へ向かうべく走っていた。すでに夕方となり、急がねばならない時間である。彼女はさらに足を早めた。

 

「あ…」

 

そんな時、彼女は双眼鏡を落としてしまう。…その時、目の前に迫るトラックには目が行かなかった。

 

「ううっ!」

 

急ブレーキをしていたのもあり、ぶつかる衝撃は大したものではなかった。どこの骨も折れず、軽く投げ出されるだけ。

 

「ああっ!うぅ…あっ!ああああああああ!!」

 

だが、その投げ出された先には、ガードレールの先端があった。両目を叩きつけられ、どくどくと血があふれ始める。激痛のあまりもはや叫ぶこともできず…ただただ気を失うのであった。

 

「嘘だ……!」

 

次に目覚めたのは病院である。彼女の視界は真っ暗で、どこからか声が聞こえるだけ。

光のない空間に、彼女は言い得ない恐怖を抱いた。

 

「あっ…」

 

そして、動こうとしたその時、その手がとなりのペットボトルにぶつかった。

 

「…?」

 

だが、床とペットボトルの衝突音はいつまでたっても聞こえない。それどころか、音の全てが消えていた。

そんな中、足音だけが響く。

 

「あなたにちょっと悪い知らせと…めちゃめちゃ良い知らせがあるの」

 

オーラである。真墨はその声方をゆっくり向き、誰かと問うた。

 

「タイムジャッカーのオーラ。…まず、悪い知らせは、君はそのまま…光を失うってこと」

 

オーラは空中のペットボトルを拾い上げて、元の位置に置きながらそう語った。良い知らせは何なのだとすがりつく真墨へ、ニヤッと笑顔を返した。

 

「いい知らせは…その盲目が治るってこと」

 

『HEEL…』

 

そしてウォッチを起動し、彼女の胸に埋め込んだ。瞬間、真墨の姿がスターボウアナザーヒールへと変異する。

 

 

 

『Application!Ready?』

 

「理解理解……ん?あれ!?」

 

その頃、幻想郷ではコウモリ女とヒール、ガイア、フェネクスの戦いが繰り広げられていた。

フェネクスがブライトドロップを食らわせてコウモリ女と共に落ちているとき、突如ヒールの変身が解け、蓮子とメリーに。

 

「仕方ないわね!」

 

ガイアはそういうと、どうにかコウモリ女へ攻撃を当て、撃破することに成功した。

 

「…やれやれ、どうしたのかな」

 

フェネクスは不思議そうに二人のことを眺めていた。

 

 

 

 

「コレがあれば…僕はっ!」

 

「その時は…女王になってもらうわ。…誰か来たみたいね。早速奪ってみなさい」

 

場所は戻って病院にて、オーラはそう残して物陰へとゆっくり入っていった。そして、真墨は光を取り戻す第一歩に薄く湧き上がる喜びを感じる。

 

「俺は…最善の王でいるために!君を救わなきゃいけない!」

 

扉をあけて来たのはソウゴだった。真墨はその声が常盤くんである事はすぐに分かったが、言っていることの意味はよくわからない。真墨は警戒を見せた。

 

「…俺だ」

 

『まずい…アナザー…ライダーがっ!』

 

そんな時、ツクヨミからゲイツの元へ連絡が来る。それは2018/12/23からであり、自分が先ほど発った時空である。

 

 

 

 

「まずい…アナザー…ライダーがっ!」

 

その頃、ツクヨミはナイトメアのアナザーヒールに追われていた。何故ゲイツがやけに遅かったか気になり、外へと出ていたのだ。

 

「その電話…あの仮面ライダーとか言う男が持ってたやつね?」

 

エリは彼女の持っていたファイズフォンXを見たのである。ゲイツの仲間であると判断し、その後を追っていたのだ。

 

「死ねっ…!」

 

邪魔をされてたまるか。その思いを込めて銃を構えた時、バイクがアナザーヒールを吹っ飛ばした。

 

「やれやれ、わざわざ別世界の過去に行くなんて…お人好しね、蓮子は」

 

「お人好しはあなたもよ」

 

そしてその『チェイスナイター』から、ゆっくりと蓮子とメリーが降りた。

 

「ひっさびさのヒール、行くわよ!」

 

「OK!」

 

『どうした!何があったツクヨミ!』

 

「…助けが来た。…切るわね。貴方達…蓮子にメリー。なんでここに」

 

「…多分貴方の知る私とは別人よ。パラレルワールドのね」

 

そう告げたの秘封倶楽部がベルトを構えたのを見て、ツクヨミは彼女らがライダーであると確信した。何故、アナザーライダーと同時に存在できるのか。それは分からなかったが。

 

「私から行くよ!」

「ええ、任せたわ」

 

『look the star…』

 

「「変身!」」

 

ポーズ構えてバックルにレンズを挿入し、手を繋いだかと思うと、蓮子はレバーを押し込んだ。

 

『we are star night fantasy!』

 

瞬間、光がほとばしり、粒子化したメリーがベルトに収納される。そしてアーマーが装着され、ヒールは変身を終えた。

 

「満点の月夜…」

『「見せてあげるわ!」』

 

そしてフォンブレイドを構え、アナザーヒールへと斬りかかった。

 

「はっ!」

 

アナザーヒールは体をバラバラにしてそれをかわすと、距離を置いて銃撃を始めた。

 

「危ないなぁ…!」

 

『dash eyes!』

 

対しヒールは高速ステップで接近し、斬りあげをかました。

 

「…こっちにしますか!」

 

そしてグリップを変え、ライトニングフォンブレイドへ。ビームは短くなるが、より高圧になり電撃が通う。

 

「だああああ!」

 

そしてさらに連続で斬りはらい、二の腕の棘をラリアットでもって叩き込んだ。

 

「くっ!」

 

対しアナザーヒールはワープを行い、より距離を離しながらのスタイルへ切り替えた。その様子を見て、ヒールはレンズを抜いた。

 

「それならこっちね」

『そうね』

 

『look the line…』

 

そして青のライドレンズを入れ、手を前に構えてひっくり返すポーズをとった。

 

「『変身!』」

 

『we are dream night fantasy!』

 

そしてレバーを押し込んだ瞬間、変身が解け、蓮子が粒子化しつつメリーが実体化する。瞬間、その身にアーマーが装備され、ナイトメアモードへと変わった。

 

「幻想の境界…」

「『見せてあげるわ!』」

 

アナザーヒールの銃撃をかわしつつ、テレガンでの狙撃を行なった。緊迫の銃撃戦の中、何を思ったかヒールは駆け出し、拳を構えた。

 

「だああああ!」

 

ビーム弾はヒールの体のスキマを通り抜けて彼方へ消えていく。そして目の前にまで接近したヒールの拳をくらい、アナザーヒールは思い切り吹っ飛ばされた。

 

「さ…一気に行くわよっ!」

 

『dash eyes!』

『kick eyes!』

『illusion eyes!』

 

そしてヒールはアタックドロップを読み込み、アナザーヒールへと駆け寄った。

 

「幻惑!」「『ライダーストライクッ!』」

 

そして体をバラバラにして地面を這ったのち、アナザーヒールの背後で合体してその背に飛び回し蹴りを叩き込んだ。

 

「ぐぅっ!」

 

苦悶の声とともに爆炎を上げ、転がり落ちたライドウォッチが砕け散った。

その破片を握りしめ、エリは嗚咽とともに震え始めた。恨みを詰め込んだ目でメリーの方を睨む。

 

そんな時、エリの元へとコツン、コツンと足音が近づいた。

 

 

 

 

「どうした!何があったツクヨミ!」

 

『…助けが来た。…切るわね』

 

その声を最後に、ツクヨミとの通話は終了した。ファイズフォンXを閉じ、ゲイツは今一度真墨へ向き直った。

 

「お話は終わったかい?さ、貰うよ、君の眼をっ!」

 

「人の命を奪おうとするなど…!この手段は間違っている。俺は…お前を正す!」

 

飛び起きてアナザーヒールへと姿を変えた真墨に対し、二人はベルトを装備して、変身の準備を始めた。

 

『ZI-O!』『GATES!』

 

「…あとは、ゲイツのそれだ」

 

「…だが、起動しなかったぞ?」

 

ゲイツのその発言に対し、ソウゴはニヤッと笑ってライドウォッチを手に取った。

 

「アナザーライダーが二人いるんでしょ?それなら二人で変身出来るんだよ。きっと、ヒールもそういうライダーなんだ」

 

「Wみたいな感じか…。試す価値はある」

 

『HEÆL!』

 

二人が並び立ち、ソウゴはライドウォッチを起動した。動かなかったのは、ゲイツ一人だったから。二人は納得し、ゆっくりと構えた。

 

「…お前が使え!」

 

「分かった!」

 

そしてウォッチをセットし、変身ポーズをとる。ソウゴは手のひらをバッと返し、ゲイツは腕を構え、同時に叫ぶ。

 

「「変身!」」

 

『『RIDER TIME!』』

 

「僕は…この力でもう一度っ!星を見るんだあああああ!」

 

バックルをグルンと一回転させたソウゴに向かって、アナザーヒールは駆け出した。同時にソウゴの姿がジオウに変わり、ゲイツが粒子化してジクウドライバーに入っていく。

 

『仮面ライダ〜!ジオウ!』『…仮面ライダーゲイツ!』

 

『ARMOR TIME!』

 

そしてアナザーヒールが斬りかかった瞬間、巨大な紫の瞳を持った、機械の目玉が現れ、弾け飛ぶ。その勢いにアナザーヒールは吹っ飛ばされてしまった。

そしてバラバラになったパーツがアーマーになり、目の上についていた赤と青のコンタクトレンズは肩につく。そして、最後に紫の瞳が胸部のアーマーとなり、飛び出たマフラーがネクタイのように結ばれて胸にはためいた。

 

『we are ヒール!!』

 

「祝え!全ライダーの力を受け継ぎ、時空を超え、過去と未来をしろしめす時の王者。その名も仮面ライダージオウ……あー、一体…」

 

『ヒールだ』

 

「…コホン、仮面ライダージオウ!ヒールアーマー。また一つライダーの力を継承した瞬間である!」

 

どこからともなく現れたウォズの言葉を受けながら、自分の姿を見た。

頭部は右半分は蓮子の帽子、左半分はメリーの帽子を模したものが被せられる。胸はネクタイと紫の目のようなアーマーで形成される。トゲトゲしい左腕のスマホパーツからクリアカラーの刃が伸び、ふわっとした右腕のガラケーパーツの銃口がきらめく。そして、両肩に赤と青の半円が光る。

 

最後に「ひ」と「ヒ」を重ねた文字、「ー」、「る」と「ル」を重ねた文字がオレンジの目を形作った。

 

「ねぇ、境界とか夜空とか…見たいかな?」

 

いまいち決まらないセリフをアナザーヒールへと向け、駆け出した。

 

「姿が変わっても同じだねっ!」

 

アナザーヒールはビーム剣を振るった。その隙間をくぐり抜け、ジオウは斬撃を叩き込んだ。

 

『ジオウ、お前とで一人のライダーってのは癪だが…今回は手伝ってやる』

 

「そうかな?俺はかっこいいと思うよ?」

 

軽い調子でそういうと、右手から弾丸を散らした。アナザーヒールはそれをもらって怯む。その隙に横蹴りを叩き込み、さらに斬り上げで吹っ飛ばした。

 

「やっぱり…この力に弱いんだね!」

 

「…フフフ、私の知らない力まで手に入れた…。私が知る以上の我が魔王へと成長するということ!楽しみだ」

 

ウォズの笑い声を背に受けながら、ジオウはさらに格闘でアナザーヒールを追い込んだ。

 

「くたばれっ!」

 

その時、転ぶと見せかけてアナザーヒールは斬撃を放った。避けきれない距離で、ジオウはとっさに防御をとった。

 

「うわぁ!まずいよ、上半身と下半身が!」

 

しかし間に合わず、体が上下に分断される。しばらく焦ったのち、ジオウは自身が痛みを全く感じていないことに気づいた。

 

「…体をバラバラにできるのか!」

 

そう納得すると、さらに細かく体を分解し、アナザーヒールの背中側に瞬間移動してキックを食らわせた。

 

『なかなか不気味だな…』

 

「ま、便利だからいいでしょ!」

 

体が完全に動くことを確認すると、改めて右腕の銃口をアナザーヒールへ向けた。

 

「それに…弱点が見えちゃう!俺が攻撃した胸!脚!そして頭!」

 

銃撃をドカドカと浴びせ、ついにアナザーヒールに膝をつかせた。そして今がチャンスとばかりに必殺を準備した。

 

『ZI-O!』『HEÆL!』

 

『FINISH TIME!eyes!TIME BREAK!』

 

そしてベルトを一回転させ、発動。身を低く構え、宙へと飛び上がった。その瞬間、ナイトメア部分のアーマーを着たジオウとスターボウ部分のアーマーを着たゲイツに分裂した。

 

「ライダーストライクシュート!」

「やあああああ!!」

 

そしてジオウがそのまま降下キックを浴びせ、ゲイツは飛び回し蹴りを叩き込んだ。

同時にアナザーヒールの胸に激突し、アナザーヒールは爆発を起こした。そしてライドウォッチも砕け落ち、消滅した。

 

『…こっちでいいのか?逆な気がするが』

 

「いいんじゃない?よく知らないけど」

 

そう言って変身を解き、ゆっくりと真澄に近づいた。屈んで視線を合わせると、口を開く。

 

「…児蓮ってさ、優しいじゃん?…誰かを犠牲にしてて本当に幸せなの?」

 

「…うるさい!…僕は…僕は…」

 

「…帰るぞ」

 

「でも…」

 

「ツクヨミから連絡があった。…そいつも救えるさ」

 

ゲイツがそう告げたのを受け止め、ソウゴは渋々な様子でタイムマジーンへ乗り込んだ。

 

「「時空転移システム起動!」」

 

『『タイムマジーン!』』

 

そして、二人は2018/12/23の、戦闘を終えたツクヨミと秘封倶楽部の元へ着陸した。

 

「来たわね」

 

そこには、エリ、ツクヨミ、そして秘封倶楽部以外に、一人の女が居た。

 

「貴様…ヴィオレット・ハーンか!?」

 

「…?誰かしら、私は八雲紫。まぁ、覚えることでもありませんわ」

 

紫は妖しげにそう告げると、道の先を見やった。その先では、杖を持った真澄がこちらへと来ていた。

 

「…用事って何?」

 

真墨は紫の方を見て、疑問の表情を送った。対し紫はニッコリと笑顔を浮かべ、エリと真墨のことを交互に見た。

 

「貴女、会いたい人が居るんでしょう?…来なさい。それに児蓮真墨。貴女にも会わせたいの。…彼女は奇跡を起こせるから」

 

そういうと、二人を連れて紫は消えてしまった。その様子を見届け、蓮子とメリーはチェイスナイターへと乗り込んだ。

 

「何故ここに居るか聞きたいが…まぁ、大方言えないことだろう?」

 

「分かってるわね少年。ま、そういうことだから。こっちの秘封倶楽部にもよろしくね〜!」

「じゃあね!さ、行くわよ蓮子」

 

そう言って手を振ると、二人はそそくさと姿を消してしまった。だが、ひとまず事態が落ち着いたことに安堵し、ひとまずクジゴジ堂へと帰路に着くのであった。

 

 

 

 

「入部希望?…えぇっと…そういう冷やかしはお断りしてるのよ」

 

「…私は幻想郷を知ってるのよ?東風谷先輩とは…仲も良かったわ」

 

東京、某高校の放課後。菫子の元に居たのはエリであった。紫の暗躍で岡崎技術研は綺麗に直され、彼女の侵入も爆弾設置も無かったことにされたのだ。…無論、罪悪感だけは彼女の胸にとどまっているが。

菫子は最初は門前払いをしてしまおうかとも思ったが、彼女の口から出た情報に、NOとは言えなかった。

 

「…来なさい。詳しく聞くわよ」

 

そしてひとまずエリを部室へ招き入れ、スマホを開いた。

 

「…そう言えばすごいニュースよね」

 

菫子は携帯に表示されたネットニュースをエリに見せた。そこには、「視力回復。驚きの回復速度と絶たれていたはずの望み」と書かれていた。

 

「本当に、『奇跡』…よね」

 

そして彼女は一人の少女のことを思い出し、優しい微笑みを浮かべた。

 

 

 

「こうして、ヒールの力は我が魔王へ受け継がれた。私の知る魔王以上の成長を遂げていく彼の前に…もう一人のライダーが現れる」

 

そしてウォズの開いた逢魔降臨伝には、つまらなさげに桃にかぶりつく少女の姿が映った。

 

 

 

 

次回、仮面ライダージオウ!(BGM:Over “Quartzer”)

 

「地震…?」

 

「ここのところな」

 

突如連続する地震。

 

「ぶっ壊してやる…こんな町!」

 

「次の地震はこの日です。…それと、総領娘様…比那名居天子様からプレゼントです」

 

アナザーライダーと謎の女。

 

「…そうではない」

 

「キャーイクサーン!」

 

次々と沸き起こる疑惑と思念。

 

第X話『ルナ・アース・ガイア・2008』




上記は嘘予告です。ガイア外伝とは微塵も関係しません。
多分比那名居天子役の人が呼べなかったんで、永江衣玖役の人を加え、なおかつワードレス編とくっつける感じなんでしょうね。2008は緋想天発売年です。
まぁ、時系列的に次外伝はガイアかなー。22話頃を予定。
しかしギッチギチだったね今回。戦闘4回やってるからしゃーない。
…ていうか設定集にヒールアーマーの設定は載せたほうがいいのでしょうか。
タイトルは凋叶棕の「たいせつなもののために」より
外伝とか部屋では「これからのふたりたち」でしたが、これは本家が「これからのわたしたち」というフェイクタイトルを使ったことから。
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