2重の言霊使いは最強ランク1位を目指す~驚く程の好待遇と女性に困らない人生を送りたい~   作:イリーム

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10話 依頼 その1

「ノイモントさんの屋敷の護衛ですか~?」

「うむ、その通りだ」

 

 受付の者より出された紅茶を片手に、依頼主であるカルフェン・ノイモントは信也達に依頼内容を話していた。

 

「そういう護衛の依頼って結構あるんじゃないのか?」

「伯爵さまからの依頼は珍しいですよ。一般の方からなら多いですけど」

 

 なるほど、と信也は納得する。一般人からの護衛の依頼など、フィクション作品の定番中の定番だ。この異世界でもそれは同じであった。

 

「伯爵なら私設兵とか、王国の兵士使ったり、色々あるんじゃ?」

「いや、へたをすれば国際問題になりかねないのでね。国の兵士はなるべく避けたい。相手は隣国のエルディアン公国の伯爵だからだ」

「あ~、あの公爵様がトップを務めてる貴族中心の国ですね」

 

 エルディアン公国は信也からすれば聞き慣れない国ではあるが、バルトシアン王国の隣国となっている。国王を公爵閣下が務めるため、公国という名称ではあるが、軍事レベルではバルトシアン王国程の高さではない。

 

 

「それで、王国ランカーへ依頼をしたってことですか」

「うむ、護衛の詳細は館に来てくれた時に話すとしよう。エルディアン公国の伯爵とのパーティでの護衛になるが……報酬額は30万ガルを用意している」

 

 ノイモントの言葉に、信也の目の色が変わる。それだけの額があれば、しばらく暮らすことに困らないだろう。ファリスと二人で分けたとしても15万ガルにもなる。

 

「わかりました、引き受けましょう」

「そう言ってもらえると思っていたよ。それでは、1週間以内に我が屋敷へ来てくれ。我が領地は王国の端に位置しているからね、ここからは200キロメートル以上離れているので遅れないように」

 

 それだけ言うと、ノイモントは立ち上がった。それと同時、ファリスと信也の魔導石が光り始めた。

 

「おいおい、なんだこれは?」

「契約の証ですよ。私もですけど、先輩も心の底から承諾したからこそ、魔導石が反応したんです」

「魔導石って色々便利だな……」

 

 契約の証は魔導石に履歴として刻まれている。例え、契約が破棄されたとしてもその記録は残り続ける。契約書いらずの王国ランカーというわけだ。

 

「ギルドのデータベースにも記録として残るみたいですよ。もちろん、トップシークレットですので、ほとんどの人は見れませんけど」

 

 信也は改めて感心させられるが、良く考えるとこの街の外壁は魔法のヴェールのようなもので包まれており、シースルーになっているのだ。それを考えると、この程度のことは朝飯前なのかもしれない。

 

「それでは、また会おう」

 

 ノイモントは信也達に深々と頭を下げて、そのまま部屋から出て行った。その立ち振る舞いは庶民的ながらも、所々に貴族の雰囲気も漂わせていた。

 

 

 

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「結構、危険な臭いのする依頼ですよね。先輩、よく即答しましたね」

「まあな。いきなり尻込みするわけにも行かないだろ」

 

 20位以内のランカー達の前でインパクトを与えたのだ。これで、魔族の依頼を受けなければ、なんのためにあそこで凄んだのかわからない。元々、1位を目指しているのだ。こんなところで脅えていては、足下にさえ行くことはできないだろう。

 

「というか、ノイモントの屋敷まで200キロ以上あんの?」

「それはもう。アルファ大森林を抜けて、魔族の進路防止の砦を越えてさらに北西に行ったところですから。バルトシアン王国の国境線の街「シェルブール」ですね」

 

 国境まで歩いていかないと行けない……あの、深そうなアルファ大森林を越えるだけでも面倒なのに……信也としては、目的地に行くことについてため息が漏れていた。

 

「でも、1つ問題があってですね」

「なんだ?」

 

 ギルドを出た信也とファリスだが、少し照れたような印象でファリスは話した。

 

「信也先輩と、二人旅って言うのも照れくさいっていうか……」

「た、確かにな……」

「そこはもうちょっと気の利いたこと言ってくださいよ。茶化すとか」

 

 意外にも同じく照れ始めた信也に、ファリスは余計に恥ずかしくなったのか、視線を逸らした。さすがに昨日出会ったばかりの信也と旅をするというのは恥ずかしいのだろう。

 

「俺としては、お前みたいな可愛い後輩と旅ができるのは……嬉しいぞ」

「も、もう……。照れながら言わないでくださいよ……!」

「思ったより恥ずかしい……」

 

 格好つけて言うつもりの信也であったが、元々は使い慣れていない言葉であったので余計に気まずい雰囲気になってしまった。二人は沈黙のまま、視線を合わせない時間が過ぎていく。

 

 そして、二人がいい感じにギルドの入り口で照れていると、そこに声をかけてくる人物が居た。

 

「ほんなら、ウチも一緒に行こか?」

 

 信也は聞き覚えのない声の方向に目をやる。そこに居たのは……先ほどの会議室の壁にもたれていた女性。さっきは一言も話してはいなかったが、確かに20位以内のランカーがそこには立っていた。

 

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