2重の言霊使いは最強ランク1位を目指す~驚く程の好待遇と女性に困らない人生を送りたい~   作:イリーム

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14話 メイドの護衛 その1

 

「護衛か……いい響きだ」

「いい響きなのは別の目的があるからじゃないですか~?」

 

 翌日、非常に上機嫌な信也と不機嫌なファリス。昨日はノイモントの屋敷で泊めてもらい、次の日を迎えたことになる。

 

 信也はノイモントの屋敷の入り口付近にある大階段を下りながら考えていた。

 

「この屋敷はあれだな。構図が……ゾンビが出てくる有名な洋館にそっくりだ」

「はい? ゾンビが出てくるんですか?」

「いや、なんでも。確か呼ばれたのは西の1階だよな」

「そうですね」

 

 朝、マイエラに呼び出された場所。1階の西側の大きな扉だ。大階段を下りた二人は、そのまま西の扉を開けた。

 

「おお~豪華ですね~~」

「ダイニングルーム……!」

 

 思わず決め台詞を語ってしまう信也。隣のファリスは意味が分かっていない様子だ。その場所は大食堂になっていた。マイエラともう一人、メイドの姿がある。

 

「お似合いですね、お二人とも」

 

 昨日の貫録ある態度からは一変……という程でもないが、幾分か親しみやすい態度になっていたマイエラ。昨日は最初の挨拶だけに貫録を付けていたのかもしれない。

 

 彼女が褒めたのは、信也とファリスの服装だ。信也は白いシャツと黒の服装が決まっている執事の格好、ファリスはミニスカートのメイド服だ。

 

 いつもの黒い魔導士の格好もセクシーだが、メイドの格好はまた格別な良さで詰まっていた。両足が見放題というのもあるが、可愛らしさといやらしさが丁度混在している。

 

先日、太ももを眺めていたことを指摘されたばかりではあるが、ファリスの太ももは見ないという選択肢を信也は取れないでいた。

 

「信也先輩? どうですか~?」

 

 いたずらっぽく笑いながら、ファリスは信也の前で一回転してみせた。ミニスカートを穿いていることを忘れているのか、スカートは舞い上がり、中が見えてしましそうに揺れる。

 

「おう、可愛いと思う……」

「なんだか、今日ははっきりしませんね? どうしてですか~?」

「し、しらね……」

 

 信也は照れているのか、今回ははっきりとした言葉は出なかった。そんな彼の態度にファリスは先ほどまでの不機嫌さは完全に消えて、笑顔になっていた。

 

 

「それではファリス様はメイドに扮して、信也様は執事に扮してパーティ会場に潜入していただきますわ。パーティはこの大食堂で行われます」

 

 信也は、現在居る場所を改めて見た。確かに相当に巨大な食堂だけに、パーティ会場としても十分に使えるものだ。奥にはステージも設けられており、ポールダンス用と思われる鉄のポールが備え付けられている。

 

 信也はエッチな想像をしてしまうが、それ以上に真剣な表情になっていた。

 

「信也様の考えていらっしゃることは想像が付きます。ここは国境線の街ですので……隣国と対立するわけにもいかないのです。その関係上、定期的なパーティではメイドへのセクハラの黙認やポールダンスの披露、身体を捧げるなどの行為も行っておりましたわ」

 

 信也だけでなく、ファリスの表情も真剣になっている。どういうことが行われたのか、映像が鮮明に見えてくるようだ。

 

「ただ、最近はエルディアン王国が魔族に支配されているのではないかという噂がありまして。このままではシェルブールの街そのものが危険だと認定されました。

今回の依頼を通して、圧力をかけるのが目的になります。この不純なパーティも今回で終わらせてみせますわ」

「そういうことでしたら、喜んで協力しま~す」

 

 真剣な表情を一気に解いたファリスは、元気にそう言った。彼女の絶妙なトーンでの返事に周りは一気に明るくなった。

 

「ありがとうございます。本来であれば、政治上のことですので、ランカーの方々への依頼にするわけにもいかないのですが」

「そうですよね~。私達、王国ランカーは政治には絡まない遊撃部隊ですから。ただ、政治上、経済上の話し合いで解決する余裕がない時には、最適かもですね」

 

 信也はファリスの説明に納得がいった。ノイモントを含め、今は時間がないのだろう。とにかく目先のパーティを乗り越えて、相手を牽制しておく。それだけでも有用だと考えたからこその今回の依頼と言うわけだ。

 

 魔族の介入が確認できるかどうかは二の次。まずはメイド達の安全を確保したいといったところか。

 

「俺も出来る限り協力します」

「ありがとうございます。信也さま、ファリスさま」

「ところで、シルビアの奴は?」

「彼女でしたら、まだ準備をしていらっしゃいますわ」

 

 シルビアも潜入することになっているが、彼女はエルフであることを活かして、ポールダンス要員として偽装するのだ。つまりはより危険と言える。

 

「エルフは100年以上20歳くらいの若さを保てますからね。シルビアさんは18歳ですから、これから私達が寿命で死ぬくらいの年代になっても、今の外見ですよ?」

 

 なんとも羨ましいという表情のファリス。口には出さないが、マイエラも同じ意見のようだ。人間の寿命を100年程度と換算して、5倍以上の年齢を生きるエルフ。

 

 それだけに重宝され、人身売買などでは値段が跳ね上がる。直接誰かに聞いたわけでもないが、信也としてもそれくらいは容易に想像がついた。

 

「シルビアを表に出せば、他のメイドへの関心は薄まるかもって感じかな」

「シルビア様はとてもお美しいですので。そのようになる可能性は高いかと存じます」

 

 危険ではあるが、シルビアの強さがあれば、返り討ちにして相手を牽制できるだろう。少しずつ、護衛の計画の細かい部分が見えてきた信也。

 

 事実上の初の依頼ということになるが、ファリスとシルビアの二人もいる為に、大きな自信が彼を包んでいた。不穏な事態、予定外の事が起きても対処できるという確かなものだ。彼は、拳に力を溜めこみ、護衛の任務に備えた。

 

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