2重の言霊使いは最強ランク1位を目指す~驚く程の好待遇と女性に困らない人生を送りたい~   作:イリーム

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15話 メイドの護衛 その2

 

「裏口は1つか。中庭もかなり大きいな」

 

 警備が必要になる可能性を考慮し、信也は屋敷の間取りをチェックしていく。かなりの部屋数ではあるが、特に迷路になるような造りではない。

 

 信也が現在いる場所は1階の裏口の扉を開けた先の中庭。中央には噴水が設置されており、何人かのメイドや執事が談笑をしていた。特に話をすることもないので、信也は素通りをすることにした。

 

 素通りをしつつも、メイドの脚に目を向けてしまう信也。誰を見ても可愛い子しか居ない。年齢もファリスくらいから、例えは悪いが23歳のテオくらいまでの子たちばかりだろう。

 

 ノイモントのメイド達を自由にセクハラしているエルディアン公国の伯爵や子爵たち。これみよがしに殴りつけた場合は、後に国際問題になり兼ねない。そういう事情を考慮して、王国ランカーを護衛に付けたわけだが、それでも完全に問題にならないわけではない。

 

 

 

 護衛についても、まだわからない部分が多く、ぶっつけ本番になることに不安がよぎっていた。

 

「信也先輩、ここに居たんですか?」

 

 前方から信也の姿を見て駆けつけてきたのはファリスだ。メイド服を揺らしながら愛くるしい笑顔を彼に向ける。

 

「護衛するにあたって、間取りとかも見ておいた方がいいと思って、散策してた」

「真面目ですね。なら、私が狙われた時も助けてくださいね?」

「もちろん……って、お前を襲える奴が向こうに居るとは思えないけど」

 

 その気になれば周囲を氷漬けにできるファリスだ。怖くて手の出しようがない。

 

「近接戦闘は苦手なんですから。信也先輩が頼りですよ? 魔法なんて使ったら、メイドさんを巻き込んじゃいます」

 

 信也は成程と感じてしまう。実際、近接戦闘だろうが、ランキング7位に勝てる者はそうそう居ないだろうが魔法を使用できないというのは本当だろう。非常事態の時は信也が身体を張る必要が出てくる。

 

「ここに居る人たちはほとんどが身寄りのない人みたいですから。パーティの後も安心して働けるようにしてあげないと駄目です」

 

 ファリスの唐突な言葉。マイエラからもそんなことは聞いたことがない。

 

「そうなのか? なら、孤児院出身とか?」

「はい。お屋敷のメイドさんというのは孤児院出身の人が多いですよ? 給料もいいですし、住む込みで働けますし。私も孤児院出身ですから良くわかるんです」

 

 信也の身体が一瞬止まった。彼女の太ももを眺めていた視線も、彼女の目に集中する。

 

「そうか……ファリスって孤児院出身だったのか」

「はい。ですから……ここで働いている人は他人とは思えなくて。全力で依頼をこなしてみせます」

 

 孤児院出身ということは親の顔も知らない可能性がある。彼女の元気な態度からは少し想像はしにくい。この性格は、孤児院から育まれたものなのか。

 

「行こうぜ、ファリス」

「どうしたんですか? なんだか急に優しくなりましたよ?」

「さあ、ただのきまぐれ」

「そういうことにしておいてあげます」

 

 唐突に彼女の過去の一部を知った信也。特に詳しく話を聞くことはなかったが、それからしばらくは、ファリスの脚を見ることはなかった。

 

 

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「どう? この衣装」

「うわ~~~、なんだかエッチです!」

「なかなか良いな……」

 

 信也とファリスはダイニングルームでシルビアと合流した。彼女は黒いビキニのような衣装を着けており、この状態で踊るというのだ。彼女のスタイルの良さと相まってかなりそそる要素だ。

 

「そうやんな~~。ちょっと恥ずかしいわ。まあ、しゃあない、近づいてくる男共は根こそぎ倒したろ」

 

 そのままの状態で踵落としのポーズをしてみせるシルビア。信也は少し視線を逸らす。大事な部分が見えそうになっていたからだ。

 

「まあ、とにかくあれだ。シルビアも俺が守るから……その辺は心配すんな」

 

 特にファリスが孤児院出身であることがわかったことが原因ではない。最初から、遠距離主体の二人を守ることは信也の中には刻まれていたことだ。

 

「良いやん、信也。ちょっと格好良かったで」

「……そうか?」

 

 今の衣装のシルビアに言われると、まともに顔が見れない。彼は視線を少し逸らしていた。

 

「今度デートとかどない?」

「え、マジか?」

 

 女性からデートを誘われたことなど初めてだ。信也は期待に胸を膨らませてシルビアに返す。

 

「もちろん、ウチはホンマやけど……」

「な、なら……ん?」

 

 信也はもう一人の存在をすっかり忘れていた。嫌な予感がしてファリスの方向に目をやる。想像以上に冷たい視線が彼を襲った。

 

「へえ、デートですか~? 良かったですね、先輩!」

「お、おい……お前が怒ってどうするんだよ……」

「怒ってません! 別にいいんじゃないですか~?」

 

 むくれながら明後日の方向を向くファリス。信也は慌てて彼女の機嫌を取る為に宥め始めた。だが、どうやればいいのか見当もつかない。

 

「な、ならファリスもデートしようぜ!」

 

 悔し紛れの一言。宥めるのが難しいと思ってのやけくその一言だ。

 

「なんでそうなるんですか? ……でも、考えておきます」

「お、おう……」

 

 意外とファリスに効果的だったのか、彼女は機嫌が戻っているようにも見えた。とりあえず信也は安心した。

 

 

「よっしゃ、じゃあ気合い入れていこか! まだ、何日か時間はあるけど」

「そうですね、今の内にメイドの嗜みとか学んでた方がいいですかね」

「俺は、執事のマナー……か? うわ、似合わねぇ……」

 

 キビキビ動き、ワインを適切な位置に置く自分など想像しただけで吐き気がしてしまう。ファリスのメイドの動きは意外にも想像できるだけに悔しい。彼女は家事や料理も普通に出来そうなイメージがあった。

 

「ファリスって料理とかできんの?」

「はい、一応できますよ。今度作ってあげましょうか?」

「そうだな」

 

 これは悔しい。歳下のファリスに負けたような感覚に襲われる信也。しかし、彼女の手料理が食べられるということで、とりあえずお茶を濁すことにした。

 

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