2重の言霊使いは最強ランク1位を目指す~驚く程の好待遇と女性に困らない人生を送りたい~   作:イリーム

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3話 王国最強

 

 

 賑やかなギルドを出た信也とファリスは一仕事終えたような感覚に陥ったのか、二人とも気伸びをしていた。

 

「成り行きとはいえ、王国ランキングに参戦することになるとは」

「そうですね、このあと何かご予定はあるんですか?」

 

 非常に困る質問をファリスは信也にした。信也としては特に目的があるわけではない……放浪していると思われるのも、彼としては嫌だったのだ。

 

「ま、自分の実力を試したくてな。だから、予定があるわけではないが」

「なるほど、信也先輩の強さなら納得ですね。偶にそういう方がランキングに参戦することは聞きますし」

 

 ファリスも怪しむことなく納得したようだ。とりあえずの目的としては上出来だろう、信也はそう考えた。自らの言霊の力の検証などは必要なので嘘ではない。

 

「俺は丸腰だからな……なんか、武器でも持った方がいいかね」

 

 RPGの常識とも言える。信也は自分がどういう装備がいいかを考えていた。身体の感覚から接近戦タイプではないかとは感じていた。

 

「信也先輩って剣士型ですよね?」

「まあ……ファリスは魔導師だよな? スタッフも持ってるし」

「はい、そうですよ!」

 

 彼女は古木で出来た杖を装備している。格好などからも明らかではあったが、正しかったようだ。

 

「あそこの店でいいですかね」

 

 ファリスは近くにあった大きな剣と盾の模型が置かれている店を指差した。明らかに武器屋を思わせる風貌だ。二人はその店に入る。

 

 中は何人かの客が居り、全員、戦闘関係の仕事をしている格好をしていた。ファリスと信也の二人には目もくれずに武器などを選別している。

 

「剣……というのは安直か。う~ん」

「ムチなんてどうですか? 先輩、似合ってますよ?」

「お前……なにを見てムチが似合ってると判断したんだ?」

 

 冗談を言うファリスを軽く小突く信也。彼女も笑いながら反応を示した。ここだけのやり取りを見ていると恋人同士のじゃれ合いに見える。少なくとも、出会って間もないとは誰も思わないだろう。思いの外、二人は気が合うようだ。

 

「……ま、薙刀にしとくか。距離も取れるしな」

 

 そう言いながら、信也は薙刀を手に取った。初めて掴む武器ではあるが、意外にも手になじむ感じを受ける。この世界の常識に身体が付いて行ってるのかもしれない。言霊の力と薙刀による攻撃……信也はそれらを武器にすることを決めた。

 

 薙刀を購入した信也はそのままファリスと一緒に武器屋を後にした。価格は2000ガルであったが、イマイチ日本円との区別は付いていない。信也は貨幣の価値は早急に理解する必要性を感じた。

 

「ねえ、信也先輩」

「なんだ?」

「信也先輩って、この辺りの情勢に疎いみたいですし、良かったらしばらく組みません?」

「ファリスと? いいのか?」

 

 信也としてもそれは願ったりなことではあったが、ファリスのことも考え聞き返した。彼女はとても魅力的な笑顔で言った。

 

「もちろんですよ! 信也先輩とはまだ、会って数時間ですけど……そんなに悪そうな人に見えませんし。ランカー仲間になりましたしね」

「そう言ってもらえるのは光栄だな。じゃあ、しばらくよろしくな」

「はいっ!」

 

 そして、二人は固い握手を交わす。ここまでで、既にかなり世話になっているが、パーティとしてもしばらく組むことになる。ファリスという子はかなり良い子なのではないか。信也はそのように考えていた。

 

 そして、その時……ギルドの建物よりさらに北に位置するマルレーネ城の門が開かれた。

 中から現れるのは……一人の少女。信也の視線は一瞬、その少女に釘付けになる。門の周りに居る兵士や、街の人々も同じように少女を見ていた。

 

 

「……あの子は?」

「あ、今の王国ランキング1位の方ですよ」

 

 ファリスの言葉に信也は驚かされた。そして、もう一度、少女に目をやる。

 

「丁度、猛獣討伐に向かうみたいですね。確か、依頼受けてたって聞いてましたし」

「あの子が……? ランキング1位だと?」

 

 信也とファリスの傍を通る人物。身長は信也と比べて10センチ以上は低いが、それでも女性の中では平均以上に高い。金髪で腰までの長さの髪を、美しく後ろで一本の三つ編みにしている。

 

 目は細く鋭い獣のようだが、その瞳の色は驚くほど澄んだ青であった。そして、ノースリーブのブラウスに下は太ももが丸見えになる程の短い黒のスカートを穿いている。

 

 さらに黒いブーツに黒のハイソックスを穿いていた。

 

「胸がデカい……身体は凄い華奢……というより、無駄な贅肉がないって感じか。そして、絶対領域……これはっ、いいな……」

「アンジェリカ・ブルーローズさんです。年齢は16歳ですね、確か。ラングートさまを倒したことで、剣聖の称号は彼女に受け継がれましたね」

 

 恐ろしい程に均整の取れた少女ではあったが、信也はそれ以上に自分より歳下であることに何よりも驚きを感じていた。彼女が1位の座についたのは14歳の時になるからだ。

 

「アンジェ様! 猛獣を倒してください!」

「がんばれ、アンジェリカさま~~!」

 

 周囲の声援を受けている、ランキング1位のアンジェリカは軽く手を振って挨拶代わりとしていた。特に何かを話すこともなく、王都を出て行く。まさに、孤高の存在と言える顔つきでもあったが、意外と人当たりは悪くないのかもしれない。

 

「多くを語らず、己の正義を遂行する。ランキング1位……同じ歳なんですけど、憧れちゃいますね~」

 

 ファリスは少し顔を赤らめながら、アンジェリカを見送っていた。信也も感情は違うが気持ちとしては理解できる。外見はもちろん、佇まいからして異彩を放つ天才……16歳というのが信じられないというのが正直な感想だ。

 

「自分に絶対の自信を持っているみたいで、自分を倒した相手に身体を捧げるって言ってるんですよ」

「マジか……すげぇ」

 

 これは男であればスケベ心が刺激されないわけがない。あれほどの美人だ……付き合えるというわけではないかもしれないが、一晩は好きにできるということだろう。

 

「彼女を倒せばランキング1位になれることは勿論、一晩過ごすこともできる……とても魅力的な特典って言われてます。あ~やらしいですよね~」

「そ、そうだな」

 

 ここで否定するのも不味いと感じたのか、信也はファリスの意見に合わせるように頷いた。

 

「アルファ大森林のスケイルビーストの討伐だと思うので行ってみます?」

「アルファ大森林って……俺がファリスと出会ったところだよな?」

「はい、そうですね」

 

 わずか、数時間足らずで戻ることになったわけだ。もちろん、大森林は広大な為、同じところに行くわけがないが、本日は行ったり来たりと少し忙しい。

 

 だが、ランキング1位の戦闘だ。信也の心にもなぜか疼くものがあった。闘争心というやつだろう。信也もファリスの言葉に頷き、二人は急いでアンジェリカの後を追った。

 

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