2重の言霊使いは最強ランク1位を目指す~驚く程の好待遇と女性に困らない人生を送りたい~   作:イリーム

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8話 王国ランカーの集結 その2

 

 20位以内のランカーの集まる部屋は会議室のようになっていた。中央には大きな机と、それを囲むように椅子が並べられている。ランカーと思われる者達は、椅子に座っている者、壁にもたれかかっている者など自由ではあったが。

 

 

「なあ、ファリス」

「なんですか?」

「この部屋で、具体的には何をするんだ?」

 

 信也は会議でも行うのかと考えていたが、特に中央の席に集まる気配もない。

 

 

「ここに居る皆さんは仲間であると同時に、ライバルでもありますからね。各々の近況報告とか、自慢とか……色々です」

「つまり、適当に集まってるだけだな」

 

 信也はファリスの態度からそのように結論付けたが、間違ってはいないようだった。

 

「さて、定例会議を始めましょうか」

「てめぇが仕切ってんじゃねぇよ」

 

 先ほどのネプトが中央の椅子の一つに座り、皆を纏めようとしていたが、テオより横やりが入っていた。

 

「なんでランキングを明かしもしない野郎に仕切られないと行けねぇんだ?」

 

 テオは座っているネプトに毒を吐き続ける。ネプトの方は気にしている素振りは見せておらず、目線は前方に向けていた。

 

「なら、彼女であればいいですか?」

 

 テオの言葉を受け流すような口調で、ネプトは前方に居る女性……車椅子に乗っている彼女に声をかけた。

 

「はっ? 私? ちょっと、なに寝ぼけたこと言ってんのよ。なんで私が」

 

 ネプトに望まぬ指名を受けたその女性は不満そうにしていた。

 

「車椅子……」

「ドロシー・スピネルさんです」

「ドロシーね……」

 

 そんなやり取りを、ファリスと見ていた信也はドロシーと呼ばれる車椅子の女性に目を向ける。信也と同年代のその少女は、金髪の髪を肩辺りまでに切っており、毛先がちぢれていた。髪型はなかなかお洒落な印象を受ける。

 

 

 剣士なのだろうか、車椅子のサイドには何本もの剣が差し込まれていた。

 

 顔は非常に美人ではあるが、頬杖をついており目つきはテオにも負けない程に悪い。いかにも罵声が飛んできそうな表情をしている。

 

「ネプトの野郎よりはマシか。おい、お前。適当に報告しな」

「はあ? なに言ってんの、あんたも。鏡見てから発言すれば?」

 

 ドロシーの挑戦的な言葉。彼女の言葉は男にはダメージがデカいのか、テオも青筋をたて始めた。

 

「犯してやろうか? このアマが」

「気持ち悪い発言ね。あんたって、アンジェリカも犯すとか言ってなかった? キモイのよ」

 

 少し耳の痛い信也。テオと同じには見られたくはないが、アンジェリカを欲しいと思っている気持ちは同じだ。隣に居るファリスも察したのか、いたずらっぽい表情で彼を小突いた。

 

「耳が痛くないですか、先輩」

「ちょっとな。この場所って、いつもこんなギスギスしてんのか?」

「テオさんが居る時くらいですよ。みなさん、ランキングを公開していないので一定の緊張感はありますけど」

 

 ファリスの口調から察してもテオへの印象は良いものとは思えなかった。確かに、彼が居ないだけでも部屋の雰囲気は随分とマシになると考えた。問題を起こす異端児はどのような組織にも1人は居るということか。

 

 そんな時、壁にもたれかかって眠たそうな表情をしていた人物が、ゆっくりと中央の席へと移動した。

 

 黒い髪を耳にかかるくらいの長さにしている少年と言えばいいのか。眠そうな目は椅子に座ってからも変わっていないが、とても2枚目な顔をしている。

 

「正直、面倒だから早く帰りたいんだけど」

「ニグレド、定例会議は重要な情報もあるんだよ?」

「わかってる。だから、来たんだ。面倒だけどさ」

 

 やる気のなさそうなニグレドに対して、ネプトは穏やかながらも叱責ともとれる言葉を発した。まるで、後輩を叱る先輩のような関係だ。

 

 

「先輩、どうです? みなさんの雰囲気は」

「そうだな……」

 

 信也は周囲を見渡し、ランカーの数を確認する。既に名前の判明している者だけでも、前の席についているネプト、ニグレド、ドロシー。それからその周りをうろつくテオの4人だ。

 

 もう一人、壁にもたれて立っている女性もいるが、特になにも言葉を発することがないのでよくわからない。

 

「俺たちを除けば、全部で5人か。雰囲気だけを見ればネプトが一番な気はするが……」

 

 信也の見据える5人。アンジェリカよりも下であり、20位よりは上ということが確定している。信也はレイチェルが戦える人物ということも看破できていた。その勘に頼ればネプトが5人の中で最強ということになる。

 

 しかし、力を上手く隠している人物もいるかもしれない。ランキングを公開しないということは、自分の情報が漏れることを警戒していることを意味するからだ。

 

「雰囲気だけではなんとも言えないな。結局は魔導石だけでしか、順位の確定は無理か」

「そうですね。あ、でもドロシーさんはわかってますよ、知り合いですので」

「何位?」

「5位ですね」

 

 あの車椅子の女剣士は5位。確かに、気の強い性格や口調、表情などからも5位に相応しい威圧感が伝わってくる。

 

 車椅子である為に、立ち上がることはできないだろうがそのハンデを感じさせない、圧倒的な余裕も見て取れた。それは先ほどのテオとのやり取りからでも容易に感じ取れる。

 

 

 

「まさに騎士の兵装って感じの格好だしな。比較的、軽装備ではあるんだろうけど」

 

 ドロシーはブレストプレートやレッグアーマーなどで身を包んでいた。装備自体は軽い物ではあるが、スタイルは隠れる程の露出の無さにはなっている。美形な顔だけに、勿体ないと思ってしまう信也であった。

 

 

「ところで、なんかあんの? 新情報とか」

 

 頬杖をつきながら、ドロシーはネプトに質問をする。ネプトは静かに頷いて答えた。

 

「魔族の新情報があるよ」

「!」

 

 ドロシーの表情が大きく変化する。待ち兼ねていたという勢いだ。それだけではなく、周囲のテオやニグレドたちも一斉に表情を変えていた。ネプトは上手く纏められらと感じたのか、定例の報告を開始した。

 

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