東方紫流風   作:永遠の中級者

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デュエルはノリで進めてます。


3話 最強⑨戦術

「最強のあたいと決闘しろ!」

 

 人間の里に降りてきて歩いていたらこれである。

 さっきの決闘後から腕に決闘盤(デュエルディスク)を付けっぱなしにしていた俺にも非はないこともない…いや、ないな。

 

 

 

 事の発端を説明すると、守矢神社を後にした後、早苗に教えて貰った索道を通って行った結果、熊とかと出くわすようなことはなく無事に人間の里に辿り着くことが出来た。

 早苗の服装やここまでの道のりなどで察していたが、人間の里は昔ながらの木造平屋が軒を連ねており、其処に住まう人々もその手の感じの服装をしていた。

 人々の賑わいも中々のものだ。

 

 それから少しは観光の気分で里の中を歩いていたのだが、やっぱり俺の服装が目立つのか、度々呼び止められることもあった。まぁ怪しむ気持ちも分からないでもないが。

 何て思っていたが、割と親切な人が多かった。目立っていたのは事実だがそれほど怪しまれていなかったらしい。差し入れをくれた人も居た。何に対しての差し入れなのかは謎だが、小腹が空いていたので有難く頂いた。

 

 その後も特に揉め事などもなく、観光をしていたのだが、街で子どもたちとすれ違ったと思ったら、その内の一人が俺の決闘盤を見るなり決闘しろと言ってきた。

 

 先述のことに戻る。

 

 とにかく、付けてそのまま歩いていたら変な子どもに絡まれた。見た目も小さくて自分を最強と自称しているところなんかはまるっきり子どもだ。

 

 子どもが目を輝かせながら手にしたデッキをこちらに向けている。デッキはちゃんと持っているらしいし、決闘が何なのかも分かっているようだが、決闘盤は持っていないらしい。

 にしても、この子どもは何者だ。なんか…氷的な羽のようなものが背中付近から出てるんだが…。

 

「けーね先生の授業よりもこっちの方が面白いからね!」

 

「チルノちゃん、持ってきたよ」

 

「おー大ちゃんでかした!」

 

 そういえばいなくなっていたもう一人が何処かから決闘盤を持って来て、氷の子どもに渡した。ちなみに今来た子どもも紛うことなく羽が生えている。

 チルノと呼ばれた子どもは受け取った決闘盤に自らのデッキを差し込み、そのまま腕に付けようとする。自身が使うにしては少し大きめな気がする決闘盤だったが、調整が出来るようで何とか腕にセットした。

 

「さあ!決闘だ!」

 

 …まあいいか。こうまでして挑まれたからには受けよう。それが決闘者だ。

 既にデッキが入っているので決闘盤を構える。

 

「決闘をするのは良いが、先行はどうするんだ?」

 

「あたいから!」

 

「はいはい」

 

「それじゃあ――「決闘(デュエル)!」!!」

 

 

 

紫遊    VS   チルノ

LP4000       LP4000

 

 

 

 さて、こんな調子だが、一体どんな戦い方をするのだろうか。

 お互いに手札を引いて、紫遊が見守る中、チルノはさらにデッキに手を掛ける―――

 

「あたいのターン!ド――」

 

「待て待て待て! 先行はドローしないんだぞ」

 

 先行ドローが無いルールなのにドローしようとするチルノを見て思わずツッコんでしまった。本当に大丈夫か…

 大ちゃんと呼ばれてたもう一人にまでツッコまれていたチルノはその後、今の自分の行動を特に気にしないまま、メインフェイズに移った。

 

「あたいの最強戦法を見せてやる!

あたいは手札から《デス・メテオ》を発動!相手に1000ポイントのダメージを与えるぞ!」

 

 氷みたいな色してておもっきり燃やすのかよ!!

 

「うわっ!」

 

紫遊 LP4000 -1000ダメージ → 3000

 

「さらに《ファイヤー・ボール》を発動!500ダメージ!」

 

紫遊 LP3000 -500ダメージ → 2500

 

 まさかとは思うがあいつの言う最強戦法って単純なバーンかよ!

 しかもまだあるみたいだし!

 

「次は《革命(かくめい)》を発動!相手の手札の枚数×200ポイントダメージ!お前の手札は何枚だ?」

 

 まだ何もしてないんだから五枚あるに決まってんじゃねえか!

 

紫遊 LP2500 - 1000ダメージ → 1500

 

 って結構シャレにならなくなってきてる気がするな。案外良い引きしてやがる。

 三枚使った段階で総ダメージは2500か。半分を切ったか。ライフが残っているだけ良いが、残りの手札によっては先行ワンターンキルが成立する可能性が出てきたな。

 

「もう一枚《革命(かくめい)》を発動!相手の手札の枚数×200ポイントダメージ!」

 

紫遊 LP1500 - 1000ダメージ → 500

 

 相手の残り手札は一枚。こちらの手札には生憎と効果ダメージに反応するカードは無い。次の一枚に勝敗が賭かっている。流石にこんなのにワンキルされるのは遠慮願いたい。

 

「次でお前も終わりだ……あれ、なんだもう無いのか?」

 

 どうやらバーンカードは尽きたようだ。最後の一枚はそういった魔法ではないのだろう。だが油断はできない。魔法以外でも効果ダメージを与えるカードは多い。危機はまだ去ってはいない。

 

「でも、これで終わりだ!あたいはこいつを召喚!」

 

《コールド・エンチャンター》

☆4 / 水属性 / 水族 / 攻1600

 

 出てきたのはバーンとは関係のないモンスターだった。

 あのモンスターは手札を捨ててカウンターを置くのだが、バーンのしすぎで肝心の手札が残っていない。そもそも力を十二分に発揮させるには下準備の必要なカードなんだがな。

 でもこれで終わりってどういうことだ?まさかとは思うが……

 

「バトルだ!」

 

「やっぱりそうだったよコイツ!?」

 

 度々ルールを忘れやがるよコイツ…。

 説明しながらしないといけないのか?とりあえず戦闘出来ないことだけ伝えておくか。

 

 それで次は俺のターンだ。俺のターンならルール無視の暴挙に出ることもないだろう。伏せも手札もないし。

 

 

 

ターン1→2

チルノ LP4000

手札 0

墓地 4

フィールド

 モンスター《コールド・エンチャンター》 

 

 

□ □ □ □ □

 

□ □ □ □ コ

 

  □   □  

 

□ □ □ □ □

 

□ □ □ □ □

 

紫遊 LP500

手札 5

墓地 0

フィールド 0

 

 

 

 次にターンを返して下手なバーンカードを引かれたら困るから出来ることならこのターンで決めてしまいたいが…この手札では厳しそうだな。そもそもワンキルを目指している訳ではないからなこのデッキ。…出来るだけやるか。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

 このカードは……

 引いたカードを見て、紫遊は少し考えた。保険としては使えるだろうとそのまま手札に加える。

 

「俺は《フレイム・バッファロー》を召喚」

 

《フレイム・バッファロー》

☆3 / 炎属性 / サイバース族 / 攻1400

 

「なんか弱そうなの出てきたな?」

 

 チルノが自分のモンスターと攻撃力を比較した結果を言っているが、紫遊はお構いなしに進める。

 

「《フレイム・バッファロー》の召喚成功時に手札の《ブート・スタッガード》の効果を発動。このカードを手札から特殊召喚する」

 

《ブート・スタッガード》

☆5 / 光属性 / サイバース族 / 攻2300

 

 《ブート・スタッガード》は自分フィールドにサイバース族モンスターが召喚された時に手札から特殊召喚できる効果を持つ。1ターンに1回の通常召喚権を使うことになるが、そこそこの攻撃力を持っているし悪くはない。

 あっさり攻撃力を越えるモンスターが出てきてチルノが驚いているが、気にしない。

 そして俺のフィールドのモンスターはサイバース族モンスターのみ。

 

「俺は《サイバース・コンバーター》を特殊召喚」

 

《サイバース・コンバーター》

☆2 / 光属性 / サイバース族 / 攻1000

 

「現れろ!幻想を創造に変えるサーキット!」

 

 呼びかけにより、上空に開かれるゲート。

 

 「アローヘッド確認。 召喚条件は効果モンスター2体。俺は《フレイム・バッファロー》と《サイバース・コンバーター》をリンクマーカーにセット。 サーキットコンバイン!リンク召喚!!

リンク2、《アンダークロックテイカー》!」

 

《アンダークロックテイカー》

 リンク2 / 闇属性 / サイバース族 / 攻1000

【リンクマーカー:左/下】

 

□ □ □ □ □

 

□ □ □ □ コ

 

  □  ←ア  

      ↓

□ □ □ ブ □

 

□ □ □ □ □

 

 

「俺は《アンダークロックテイカー》の効果を発動する。このカードのリンク先の《ブート・スタッガード》の攻撃力分、《コールド・エンチャンター》の攻撃力を下げる!」

 

《コールド・エンチャンター》

☆4 / 水属性 / 水族 / 攻1600 → 0

 

「バトルだ!俺は《ブート・スタッガード》で《コールド・エンチャンター》を攻撃!」

 

チルノ LP4000 → 1700

 

《コールド・エンチャンター》の攻撃力が0になっていることで《ブート・スタッガード》の攻撃力を半減されることなく丸々受けることになる。そしてダメージを与えたことで《ブート・スタッガード》は効果を発動する。

 

「《ブート・スタッガード》の効果を発動。このカードが相手に戦闘ダメージを与えたことで、自分フィールドに「スタッグトークン」1体を特殊召喚する」

 

《スタッグトークン》

☆1 / 地属性 / サイバース族 / 守0

 

「続けて《アンダークロックテイカー》で直接攻撃(ダイレクトアタック)

 

チルノ LP1700 → 700

 

「チルノちゃん!」

 

「メインフェイズ2、俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

 

 

ターン2→3

チルノ LP700

手札 0

墓地 5

フィールド

 

 

□ □ □ □ □

 

□ □ □ □ □

 

  □  ←ア  

      ↓

□ □ ス ブ □

 

□ □ □ □ □

 

 

紫遊 LP500

手札 2

墓地 2

フィールド 

 《アンダークロックテイカー》

 《ブート・スタッガード》

 《スタッグトークン》

魔法・罠伏せ1

 

 

 

「最強のあたいにかかればこのくらいなんともないもんね!次で決める!あたいのターン、ドロー!」

 

 力強くドローされたカードを見たチルノが勝ち誇ったような顔をした。恐らくバーンカードでも引いたのだろう。だが勝ちを確信するのは早いぞ?

 

「へへん!あたいってばやっぱり最強ね!

魔法カード《昼夜(ちゅうや)大火事(おおかじ)》を発動!

これであたいの勝ちだ!」

 

 《昼夜の大火事》は相手に800ポイントのダメージを与える効果を持つ。確かにこれなら残りライフ500を削り切ることが出来る。――だが削り切れるのは相手も同じだ。

 

「それはどうかな。リバースカードオープン!罠カード《精霊の鏡》!」

 

 紫遊に襲い掛かろうとしていた火の手が突然現れた鏡によって吸収されていく。

 

 《精霊の鏡》はプレイヤー1人を対象とする魔法の効果を別のプレイヤーに移し替える効果を持つ。《昼夜の大火事》は()()に800ポイントのダメージを与える効果であり、モンスターではなく相手という1人のプレイヤーに対して効果が及ぶ。つまり《精霊の鏡》でその矛先を変えることが出来る。

 本当は相手が魔法でドローしようとしたら横取りしてやろうと一枚仕込んでいたんだが、まさかここで使うことになるとはな。

 

 そして《精霊の鏡》で移す別の対象は勿論発動させた相手!

 

「自分のカードで自滅してろ!」

 

 鏡から纏められて放たれた火炎弾がチルノのライフを撃ち抜いた。

 

 衝撃で吹き飛ばされたチルノの下に観客になっていた大ちゃんという子が駆け寄る。そんなに心配しなくても本当に命が尽きたりはしないって。ほら起きた。

 

チルノ LP700 → 0

 

「お前、最強のあたいを倒すとはやるな!」

 

「それはどうも」

 

 決闘後訊いたのだが、彼女たちは妖精とか妖怪とかそういうものらしい。

 人間じゃないのかよと薄々分かっていながらもツッコんでいると幻想郷でそういうものはあまり珍しくはないらしく、この人間の里にも訪れているものが割と居るとのことだ。

 

 それから、次にあったらまた決闘するとか一方的な約束をして去って行く二人。

 その後ろ姿を見送った後、紫遊はまた人間の里の中を歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 所変わって守矢神社とは別の神社。

 人間の里からは随分と離れていて、森に囲まれているこの場所に人間が訪れることは少ない。

 

 そんな神社の境内の縁側で黒髪の少女が静かにお茶を啜っていた。

 その少女は紅い巫女服を着ていることからこの神社の者なのだろう。

 

「よう、霊夢。来てやったぜ」

 

「別に呼んだ覚えはない……って勝手に何私のお団子食べてるのよ」

 

 霊夢と呼ばれた黒髪の巫女の傍らに置かれていた皿から串団子を取って食したのはこの神社によく来る来訪者。なお参拝者ではない。

 

「それより何の用よ魔理沙。お賽銭箱ならあっちよ」

 

 魔理沙は賽銭なわけないと言いながら霊夢の皿を挟んだ向かいに座る。

 そして串を口に咥えながら懐から決闘盤を取り出した。

 

「また面白そうなカードを拾ってな。調整がてら決闘でもしねえかと思ったんだぜ」

 

「決闘ねぇ……」

 

 霊夢はいまいち乗り気にはならない。彼女もまた決闘者である為デッキは持っている。だが今は面倒がっている。

 そんな霊夢を見て今すぐは無理だなと思ったのか、魔理沙は話題を変えることにした。そして団子皿の近くに置かれているものに気付いた。

 

「お、デッキあるじゃん。

…ん?なんだこれ、サイバース?」

 

「勝手に見てんじゃないわよ。用が無いなら帰りなさい」

 

 魔理沙が置いてあったデッキの一番上のカードを手に取る。そのカードを見て少し疑問符を浮かべる。

 霊夢はすぐにそんな魔理沙の手から自分のカードを抜き取って他のカードと一緒に手の届かないところに移動させる。

 

「なんだよ、霊夢もデッキを改良したんだな…。

そうそう、新しいカードと言えば、例のアレはどうするんだ?」

 

「例のアレって紫流風(シルフ)のこと?

アレはこれまでの異変とは違うわ。言うなれば現象よ。誰かがどうこうするものじゃない」

 

 そう言ってお茶を呑む。

 そんな霊夢に魔理沙は…

 

「それ面倒臭がってるだけじゃね?」

 

ツッコむのだった。

 

「やかましい」

 

 




霊夢と魔理沙は近々デュエルするかもしれません。
霊夢のデッキに関してはまだ迷ってるんだけど。
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