狩人、あるいはケモノハンター   作:溶けない氷

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やだ、感想欄の啓蒙高すぎ?
埋めて焼き殺す、これ一番
洞窟に潜るとか正気じゃないわ(COD:BOでベトコンの穴倉にもぐった感想
立哨は実際重要



第2話

 

貴方は略奪隊を全滅させると其の足で獣臭い連中の臭いを辿り洞窟の前までやってきた。

獣臭く、生臭くて堪らない。

故に炎で清めなければならない。

洞窟の前には見張りのゴブリンがいる、貴方は構う事なく見張りのゴブリンに襲い掛かる。

「Go!?」「Guga!?」

古い狩人の遺骨の力を借りて貴方は物陰から俊足で見張りのゴブリンに到達し、警戒の声を上げる暇も与えずに殺した。

見張りのゴブリンどもは簡単で無防備な村への略奪隊に選ばれず

食物も女も後回しにされる退屈な見張り役という事に腹を立て、やる気も起きず集中力散漫だった。

そのつけが回ってきたのだろうか、いやいずれにしろ熟練した狩人の獣の如き疾さの前では無意味だったかもしれないが、少なくともねぐらの中の仲間に警告することはできたかもしれない。

貴方はゴブリンの洞穴に注目した。

洞穴は縦2m、横幅4m程度のそこそこに大きい入り口だ。

しかし戦闘をするには狭すぎるかもしれない。

故に貴方は出入り口を塞いで火で消毒するという行動に出た。

貴方は燃えそうな木々入り口に積むと、入り口を爆発金槌で崩し始めた。

確実に内部を酸欠にするためである。

そうやって殺したゴブリンと薪を積むと崩れた洞穴のわずかな隙間から火炎放射器のノズルを突っ込む。

油壺の中のタールや油を振り掛けると大量の枯れ木が内部でパチパチと勢いよく燃え始め、ゴブリンの死体の油すら燃える炎となって密閉空間の中で燃え始める。

やがて煙が上がるのをまって貴方は洞窟の出入り口を完全に閉じた。

貴方は周りを見渡し洞窟の別の出入り口や通気口がないかを確認し始める。

!煙が少し上がっている事を見るとどうやら通風孔があるようだ。

貴方は入り口から20mほど離れた場所にある丘の上に上がり、煙を確認する。

貴方が煙の上がっている場所を確認するとそこには小さな穴があった。

非常に小さく、中ではゴブリンどもが大騒ぎしながら必死に新鮮な空気を吸おうと穴に詰めかけているところを見ることができた。

もしもゴブリンに一致団結や協力という概念があれば全員で薄いところを掘って脱出できたかもしれないが、そんな時間を貴方は与えないだろう。

野獣よけに出入り口を限定したのかもしれないがそれが仇となった。

 

貴方とゴブリンの目があった、憎悪の視線を向けてくるが知ったことではないので棒で突く。

「Guee!」

引っ込んだ穴に向けて又しても火炎放射器のノズルを突っ込み、点火する。

「「「Gieeeeeee!!」」」

小さな穴から全身にタール、硫黄、油、生石灰などの特性混合燃料を被り全身に火がついたゴブリンの悲鳴が聞こえてくる。

汚い合唱団だ。

中からはゴシュ!だとかグシャァ!という音が聞こえるが、おそらくは火を殺した仲間の血で消そうとしたのだろう。

もっとも生石灰が混ざっているために水をかけると温度が上がりますます燃え上がる特性燃料。

故に逆効果なのだが。

どんどんとかガリガリだとか土を必死な思いでゴブリンどもが蹴ったり殴ったり引っ掻いたりする音が中から聞こえてくるが

貴方はそんな事には御構い無しに炎を浴びせかけ続けた。

焼け死ぬのが先か亜硫酸ガスで窒息死するのが先か。

ゴブリンの洞窟はガス室となった。

貴方は炎に魅せられ、浄化の熱狂も冷めずに触媒の水銀弾が尽きるまで炎を吐き続けた。

水銀弾が尽きても洞窟の中で蠢く炎が大地と貴方の心を温めるだろう。

まこと火と炎と灰は人の友である。

あの哀れな灰の狩人は獣を焼く匂いに耐えられなかったのだろう、その優しさ故に。

貴方は背後でゴブリンどもがギャァギャァと騒ぐ叫び声も他所に星を見た。

宇宙は空にある!

唐突に降りてきた超次元的思索!高次元の啓蒙!空に開いた瞳!

そして貴方は感じる、誰か…いや何かが貴方を見ている!

『上位者ども!貴様ら、見ているな!』

脳に瞳を持つとはまさにこの事である。

貴方はこの箱庭の観察者達を観測した。

彼らが貴方を観測したと同様に貴方も彼らを観測できる。

汝が深淵を覗き込むとき、深淵もまた汝を覗き返しているのだから。

貴方は交信のポーズを取り、彼らに強い遺志を込めて覗き返す。

そんなに人の悲劇を覗き込むのは面白いか?と

だが貴方がすべきは手の届かない神々とやらに文句をつけることではない、今のところは。

貴方は夜に浮かぶ月を眺めた、赤い月と緑の月。

2つの月は不気味な光を放ち、貴方の脳を震わせる。

貴方は今までの旅路を振り返り、獣への憎しみも強く狩を全うするだろう。

リボン、そしてオルゴール。

全ての貴方が救えなかった人々の為に貴方は獣を狩り続けるだろう。

夜空にメルゴーの子守唄のメロディーが響く、響き渡る。

貴方を獣狩りの使命感がきっと突き動かすだろう。

ゴブリンの断末魔の苦悶が貴方の苦しさを和らげるだろう。

皆貴方が狩り尽くした、何千何万何億と繰り返してきたように。

「悪夢は巡り、そして終わらないものだろう!」

嘗て狂った学徒は言った、彼は狂っているが故に正しかった。

貴方の狩に称賛はない、栄誉もない、ただただ暗く血塗られた道だ。

獣を狩る狩人達は嘗て英雄とされてきた、全ては遥か昔の事だが。

せいぜい足掻くがいい、狩人に暗い血の祝福があらん事を…

貴方はゴブリンどもの苦悶の声が聞こえなくなるまで待っていた…

気づけば夜が明けていた、貴方が撒き散らす狂気と殺意を感じ取ったのか周辺には動く生き物はいない。

…貴方は念の為に洞窟の中の炎が消えたのを確認すると入り口を崩して中に入る事にした。

中は一酸化炭素と亜硫酸ガスが充満しているが短時間なら息を止めていても問題はない…

中には大量のゴブリンと大柄なゴブリン、それに人間の死体があった。

男二人に女一人。

女性は小鬼どもに凌辱され、男は殺されて肉が食われていた。

気にすることはない、貴方が火で炙る前に彼らはもう死んでいたのだから。

…別に珍しくもない、ヤーナムで死体などいったいどれほど貴方は見たというのか。

繰り返す悪夢で貴方自身も数知れないほど死体となり、死体から剥ぎ取り死体を作ったというのか。

だというのに、貴方は不愉快だった。

どうやら貴方の血はまだ凍てついてはいなかったらしい。

貴方は冒険者らしい彼らの所持品の白磁の標識を取り、遺体を外に持ち出し袋に入れた。

洞窟は爆発金槌で入り口を完全に埋め、後でゴブリンが利用できないようにしておいた。

貴方がゴブリン退治から戻ってくると村長に貴方は袋を渡し、埋葬してやるようにと頼んだ。

死者に感謝と敬意のあらんことを。

…貴方が冒険者ギルドに戻ってくると驚いたような顔をした受付嬢に報告した。

彼女は驚いたのだろう

「ちょっ!?待ってください、ではホブゴブリンにゴブリン30匹以上を討伐したっていうんですか?」

別に大したことではないだろう、罠をかけて20。

あとは焼き殺した、そしてこれが…と貴方は死亡していた冒険者の認識票を渡した。

「これは…わかりました、確かにあの近辺で行方不明になっていた冒険者のですね…

すみません、新人の貴方なのにいきなりこんな情報違いの案件の依頼を出すなんて…」

ゴブリン…あれらは実に弱かった、1対1ならヤーナムの烏にも負けるだろう。

だが群れる、飛び道具を使う、罠を仕掛けるといった行動で脅威度は跳ね上がる。

他でもない、狩人がまさにそういった戦い方で巨大な獣を狩ってきたのだから。

「あ、ゴブリンスレイヤーさん!」

貴方は受付嬢に依頼の達成を報告していると入ってきた鎧姿の男と聖職者らしい少女もゴブリンの集団の討伐を報告してきた。

「終わった、通りすがりに例のゴブリンに襲われた村の件を見てきた。

ゴブリンは全滅、巣穴は完全に焼き払われ潰されていた。

誰がやった?」

「ああ、、ついさっきこの人が報告を終えたところです。

そうですか、ゴブリンスレイヤーさんが確認してくれたならこちらとしても確認の二度手間が省けて助かります」

鎧の男は興味深そうな視線で貴方を見ている。

貴方も鎧の男に興味がある。

「ゴブリンどもは矢で撃ち殺されたように見えたが鏃は無かった。

巣にしてもああまで中まで燃やすのは難しいはず

どうやった?」

貴方は銃火器と火炎放射器について説明した。

銃とは言ってみれば火の秘薬で金属の筒に入れた鏃を打ち出す道具であり。

火炎放射器は燃える油をポンプの要領で遠くまで噴き出す道具のだと。

「そうか…便利な道具があるものだな」

貴方はゴブリンスレイヤーという男の目に何かを感じ取った。

それは使命感に駆られた連盟長のそれであり、ただ狩りの中でならば心折れぬ聖剣に似たものであった。

貴方は彼に良ければと火炎瓶と油壺を手渡した、ゴブリンどもは良く燃えた。

かの血族狩りが貴方に良くしてくれたように助け合うのも狩人の勤めなのだから。

あんたも獣が焼けるのを見るのは好きだろう?わかるんだよ。

なに、同業者への心ばかりの餞別だよ。

「すまない」

彼は愛想がなかったが、貴方も人のことは言えまい。

お互いに、この世界を清潔にいたしましょう。

 

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