狩人、あるいはケモノハンター   作:溶けない氷

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小鬼防ぎの女英雄の像
黒い髪に黒い瞳を持った女性の像
西の都の護り手の一人
彼女は狩人の妻の一人となり
多くの尊い子を成したという
彼女の子逹は多くの村々でまた子を成した
彼らは気高い母と同じく終生弱き者たちの護り手だったという

当時、絶え間ない小鬼禍に悩まされる村々に自衛の為の技術や方法
武器などを伝授して廻ったとされる女英雄
自分ができることをする勇気こそが家族を守る最高の武器だと言い残している



第27話

「わかった、屋上に櫓を設置する」

彼は先行し、他の冒険者と共に罠や牧場の厩舎の上に簡易的な物見櫓を作ってくれるらしい。

貴方の周辺では準備に忙しい冒険者逹が気合いを入れて武器装備、道具の確保に忙しくなっている。

「ポーションだ!ありったけくれ!」

「矢よ!あるだけ頂戴!そう、クロスボウのも!」

「毒消しだ!相手はゴブリンだからな、毒矢にも注意しろよ」

特に弓矢の準備が忙しい、ゴブリンを遠くから減らせば安全だし報酬も同じ。

新米の弓手でも熟練剣士と同じ程度の報酬が得られる機会と張り切っている。

「へへっ、5匹も倒せば金貨十枚だぜ!?

そんだけありゃ防具も新品に新調できるな。」

「何言ってんのよ、あんたの武器なんて強化クラブで十分!

私の杖と防具の方が先でしょ!

それに火炎瓶だって私達には結構高いんだから油断しないでよ!」

向こうには貴方が教えを授けた新米剣士と新米聖女がいる。

「あ、狩人さん!

この前はありがとうございます!」

…見れば血が染み付いた強化クラブを持っている…それによく見ればギルドのあちこちの新米も強化クラブを持っている…

「へへ、あの後強化クラブとスリングスタッフの使い勝手の良さを教えてやったら

みんな使うようになったんですよ。

俺たちみたいな貧乏な雑魚殺しにはぴったりの道具だって…」

少年剣士は今も取り戻した安っぽい剣を腰に下げているが、メイン武器は強化クラブに変更したらしい。

大きめの強化クラブだ、両手で持つのでさしずめラージ強化クラブと言ったところだろう。

どうやら少年は撲殺を繰り返したことで筋力が上がったらしい。

典型的な脳筋育成ビルドだ。

この前は長さを活かして石を投げてから

ホブゴブリンの手足を少しづつ抉り、最後は崩れたところをパーティー全員で離れたところから石で滅多打ちにして殺したらしい。

この棍棒で5代目だと誇らしげに話してくれた。

「はい!私達大切なことを忘れてました…

冒険で重要なのは見栄えでも冒険でなくて敵を効率的に殺すことだって!

殺せることに関しては名剣も棍棒も変わらないって思い知ったんです!」

新米聖女もすっかりスリングスタッフの名手となり、奇跡よりも多くの敵を石で撲殺したと目を輝かせながら話してくれた。

殆どの冒険で奇跡を温存しすぎて結局使わないこともあると照れている。

確かに一日一回の奇跡は強力だが、今回のように数で攻めてくる相手に使い勝手は良くなさそうだ。

今では同期や後輩の新人にも初心者獣狩りとして貴方の戦術を教えちょっとした先生がわりになっているという。

奇跡や魔術、名剣頼みでは無い。

頭を使った石と棍棒の戦術、そうだそこから少しづつ進歩していけばいい。

良いことだ。

 

各々冒険者逹はギルドの鍛冶屋や街の店に散らばって準備に忙しい。

ゴブリンを倒せば倒すほど大黒字になる今回の出来事は彼らにとっても嬉しい誤算だろう。

襲われる牧場や捕まった女性逹は堪ったものでは無いだろうが。

 

貴方は一度家に戻った。

敷地の外で馬車を降り、正面から入っていく。

家は雨戸が閉められちゃんと鍵がかかっているようだ。

敷地内には警戒時のためトラバサミ、杭つき落とし穴、振り子丸太などの罠が仕掛けられており侵入者を容赦無く抹殺してくれるだろう。

ちゃんとデストラップを警告する看板があるので間抜けにも踏み入る奴が死んでも責任は取れない。

一見無害そうに見えるが正面の道以外を通ると死ぬ。

武闘家が貴方を出迎える、狩装束は脱ぎ私服にエプロンだ。

どこから持ってきたのか棒の先に草刈り鉈を付けた武器を持っている、グレイブとか薙刀とか呼ばれているものだ。

重い刃を遠心力で振り回すので普通に殺傷力が高い。

「あ、これですか。お父さんが言ってたのを思い出したんです。

家を守る女性はグレイブを使うんだって。

ヤマトナデシコなんですって、東の方の風習でお父さんの故郷の女性はみんなそうなんですって」

 

そうなのか、だが随分明るくなったでは無いか…

貴方は彼女が望むなら街の中に避難していて良いのだと言った。

街の外とはいえある程度は罠で守られているが、やはり中の方が心理的に安心できるのでは無いだろうか?

「…ここ、もう私の家なんです。

絶対にもう居場所を無くしたくないんです…」

 

確かに身寄りもない少女が見知らぬ街で暮らしたりしたらたちまち食い物にされるだろう。

街中とて疫病や飢え、そして何よりも他の人間という危険がある。

世界とは悲劇なのだろうか。

「ぁ…狩人さんはこれからゴブリンどもをやっつけに行くんですよね…」

そうだ、その為に物資を取りに来た。

「狩人さんは信じてます…でもお父さんもあいつも…

死ぬって凄く普通に起こるんですよね…」

…確かに日常茶飯事で起きることだ。

「あの…少しだけ時間ありますか?

今日、多分危険日なんだと思います…

だから、もしもの時のために私の中に狩人さんのを残していってください…

また一人ぼっちになるのは嫌なんです」

…(ダイスを振る 1D6 4以下で荷物を持っていく 5,6で種を蒔く)

 

5:貴方の種を武闘家の畑に蒔く

貴方は女武闘家と寝室に向かった。

 

「ら、乱暴にしてもいいですよ…

あの嫌なのを忘れたいんです」

 

貴方は愛し愛された。

…屋敷の住人が一人増えた!

貴方は手早く荷物を馬車に積み込み屋敷を後にすることにした。

「狩人さん、必ず帰ってきてくださいね…」

武闘家は貴方が去っていく様子をずっと見送っていた。

見送ると武器を持ち、家に鍵をかけて銃眼から銃を突き出しいつでも発射できるようにしている。狩人の隠れ家とはちょっとした要塞なのだ。

 




なんやいつの間にか武闘家ちゃんが王道ヒロインになっとるやん
しかも出会って数日で子供まで授かる手際の良さ
でも大地主の奥さん確定だからゴブリン被害者としては異例の玉の輿では?
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