狩人「こいつ助けるシナリオとか書いたらマジで殺しに行くから」
真実「…」
国王「王の許可なく私兵を募るなんて反乱行為だ」
狩人「何だこいつ、世間じゃ名君とかいってるけど単なる事なかれ主義者じゃないか」
実際問題として、名君であろうと外聞を気にする国王と
獣狩りのためなら外聞も手段も問わない狩人では相入れない気がする。
ゴブリンスレイヤーはゴブリンロードと対峙していた。
ゴブリンの数はどう見ても100を遥かに超えていた。
あれだけのゴブリンを組織化し、武装を施し、指揮する。
生かしておけばこいつは必ずや復讐しに来る!
それだけは絶対に許してはならない!
…戦闘の準備は一日中かけた、指揮は信頼できる冒険者に預けてきた。
本当に危なかった。
防御構築ができなかったら、あるいは間に合わなかったら、負けていたかもしれない。
牧場は焼け落ち、俺はまた故郷を失う。
…信頼できる仲間たちは奮戦しているがそれでも防衛はギリギリだろう。
彼らに余裕がない以上、一人でこれまで通りに巣を潰しこのロードを殺す。
何も変わらない…一人でいるのは随分久しぶりな気がするな…
あの頃と同じ、純粋なゴブリンへの殺意だけを心に留める。
「お前の故郷は、もうない」
『あいつ』から買った散弾銃をゴブリンロードに向ける。
ロードの戦闘力は高い、だが何も問題はない。
『あいつ』が対峙してきた獣に比べれば全く問題は無い、殺し方はよく心得ている。
ロードは雄たけびをあげて、ゴブリンスレイヤーに飛び掛かろうとした!
ゴブリンスレイヤーは何百回と繰り返した練習通りに散弾銃を撃った。
装填された散弾はたった一発。
再装填は目の前にゴブリンがいる以上無理だろう。
一発あれば十分だ。
十分すぎる。
凄まじい発砲音とともに鉛粒が何十と音速で飛んでいく。
ゴブリンロードとゴブリンスレイヤーの距離は僅か3m。
不発に備えた剣の構えは不要になった。
至近距離から発射された鉛玉はロードの全身に食い込んだ。
分厚い胴鎧を着込んだロードだが全身を覆うことは重すぎてできない。
鎧を貫いた鉛玉は脂肪や筋肉に止められ浅いところで止まるが、顔、足、腕といった守られていない部分では脂肪も筋肉も引き裂き、骨にまで鉛玉が食い込み、ロードは苦悶の声を上げながら後方に吹っ飛ぶ。
全身に無数の穴が空き、その傷跡は凄惨極まりない。
「Gugaya!?」
ロードは火器の恐ろしさを知らない、目の前の弱そうな人間の雄が何をしたのか見当がつかない。
魔法!?鎧を着た魔法使いだとでもいうのかと。
反撃だ!殺してやる!そのムカつく面を叩き割ってやる!
…不味い!動けない!?激痛!?殺される!!そうだ、命乞いだ!
少しでも生きるチャンスを…
「タ…」
ゴブリンロードが無益な考えを抱いた、次の瞬間に剣の柄が散弾で吹っ飛ばされて無防備になったロードの顎を砕いた。
「お前らゴブリンが何をしようと、ゴブリンはゴブリンだ。
何一つ成し遂げられることなどありはしない…あってたまるか」
顎を粉砕し一撃でゴブリンロードの声を奪った。
激痛!呻き声しか出てこない。
次いでゴブリンスレイヤーはロードの武器を蹴り飛ばし、やはり剣の腹を棍棒のように使い足と腕を折った。
手足をおられ、顎を砕かれても、普通のゴブリンよりは高い生命力と内臓を胴鎧で守られたことが災いして死に逃避することもできず、動くこともできない。
「だがそんな貴様らにもできることはある。
お前らが人々に与えた苦しみの何千分かの1でも味わえ」
…いつの間にか狩人が来ていた。
ゴブリンスレイヤーの銃声を聞きつけたのだろう、相変わらず速い男だ。狩人に同行する何人かの冒険者はゴブリンの巣穴からゴブリンスレイヤーが救出した別の女性を馬に乗せて急いで牧場に戻る手はずになっている。
「…出血は焼く、猿轡を噛ませなるべく長く苦しませる…」
貴方は頷き、連れてきた馬とロードをロープで繋ぐ。
やはり用意のいい男だ、それにゴブリンスレイヤーのやろうとすることをもうわかっている。
だがゴブリンスレイヤーはまだ安心しなかったようなので
手足の腱をナイフで切り、火で焼いた。
万が一も無いように。
貴方達はこいつをまず牧場まで引きずっていく。
地面を引きずられ、苦悶の呻きを挙げるロード。
だが心配はいらない、この程度で死なせはしない。
死なせてなるものか…貴方達の思いは同じだ。
ゴブリンロードを引き摺って牧場に戻った。
ロープで縛られ、手足を切られ、顎を潰されボロ雑巾のように引きずられたロード。
いやただの害虫だ。
「あっ!狩人!それにオルクボルグ…な…何それ」
「ゴブリンロードだ、今から使う」
「使うって?…そんなの早く殺したほうがいいよ!」
「殺す、だが捕虜の女性たちは?」
「あ、えーとね…衰弱してたけど街の冒険者で回復魔法が使えるのがつきっきりで看病してて、今はもう大丈夫よ」
「そうか、立てるか?」
「うん、それくらいなら…まさか…」
「復讐だ、そうしなければ彼女達は立ち直れない」
考えたのは貴方かゴブリンスレイヤーか、いや無意味だ、
貴方がやらなければゴブリンスレイヤーがやったろう。
ゴブリンスレイヤーがやらなければ貴方がやったろう。
だが貴方達二人は同時に同じ方法に考えついた。
ロードを引き摺り冒険者達の間を進む、彼らの目には捕虜の女性達を辱め犯し嬲ったゴブリンどもの首魁への憎悪と怒りが渦巻いていた。
「くそゴブリンが…」
「殺してやる…殺してやるぞ…」
「駄目よ、ただ殺すなんて駄目。
地獄の予行演習をさせてやる…」
集まった冒険者の中に哀れみの目などありはしない。
慈悲の無い獣だ、だから慈悲をかけるな。
こんな獣に慈悲をかけることは人を裏切ることだ、あんたもそう思うだろう?
貴方達は病院がわりに使われている牧場の建物の前までやってきた。
回復魔法とポーションのおかげである程度は体力を回復させた女性達。
だが肉親を殺され、故郷を焼かれ、尊厳をどん底にまで辱められた女性達の目は光を宿していない。
貴方とゴブリンスレイヤーは彼女達に問いかけた。
復讐したいか?生きたいか?尊厳を少しでも取り戻したいかと。
「ふ…復讐…したい!」
ある女性は涙を流しながら冒険者達に懇願した。
「お願いです!あいつを…あの獣に考えられる最大の苦しみを与えて下さい!」
この場にいる女性は皆そうだ、貴方達は当然了承した。
…ゴブリンロードは苦悶の声を砕けた顎で叫び続けた。
「足と腕だけ叩け、胴や頭は駄目だ。
水はたっぷりやって餌は最小限だ。
皮が破れたら火で炙って出血は抑えろ」
ゴブリンロードは地面に四肢を広げたXの体勢で、辱められた女性たちの復讐にあった。
昼も夜も四肢の骨が砕けてタコのようにぐにゃぐにゃになっても棒で叩かれ続けた。
並みのゴブリンよりも強い生命力ゆえになかなか死ななかった。
出た血は焼いて止められたし、餌と水は粥のようにして食道から無理矢理流し込まれた。
生ゴミでできた粥だったが、吐くことも許されなかった。
牧場の伯父さんは戦慄したし不愉快だったので、女性達がある程度落ち着くと今度は西の都に移された。
そこでもひたすら公衆の面前に晒されて叩かれ続けた
昼も夜も晴れの日も雨の日も野ざらしだった。
小さなネズミや虫が生きながらロードの肉を貪った。
焼けた杭と鎖で地面に固定され、剥がせば出血する。
そして冒険者ギルド経由で狩人に雇われた見張りが常についた。
混沌の者が奪おうとすればすぐに殺せるように上には岩が設置された。
ロードは痛みに耐えかねて常に呪いと救いを求め続けた。
だが神々は何のアクションも起こさなかった。
殺意満点の狩人がすぐそこにいたからだ、こればっかりはマジで洒落になってなかった。
神が万が一にもロードを救おうとしたら、その神を9割9分殺して同じ目に遭わせる。
殺神鬼はそういう目をしていた。
ロードの地獄のような苦しみは長く続いた。
地球人の拷問よりもエグかった。
時々回復魔法をかけられた。
だが体内に直接埋め込まれた固定杭が外されるはずもなく、苦痛を倍増させ長引かせるだけだった。
その間もゴブリンに辱めを受け神殿で心のケアを受ける女性達がゴブリンロードをまた叩きに来る…
ゴブリンロードが死んだのはそれから約1月後だった。
痛みでひと月の間一睡もできず、衰弱死した。
顔は原型をとどめていなかったが、多分地獄のような苦痛を味わった顔だと思われる。
この間にもゴブリンスレイヤーは多くのゴブリンを殺し、
狩人は多くの獣を狩ったが、それは別のお話。
悪いゴブリンは現世で考えうる究極の地獄を味わって死にましたとさ。
めでたしめでたし。