狩人、あるいはケモノハンター   作:溶けない氷

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第51話

貴方は宿のロビーで目覚めた。

空は未だ青ざめた夜の暗さだ。

しかし貴方には馴染みのない澄んだ青さだ。

貴方のパーティーのメンバーは未だ眠っているようだ。

起こすのも悪いだろう。

昼を生きるものたちは日の下で行動するのがよい。

獣狩りとしてはあるまじきことに貴方は昼の者と行動している。

貴方は彼らが夢から目覚めるまで紅茶を嗜むことにした。

色は鮮やかに紅く血の色をどこか思い浮かべた。

だが貴方の獣性に落ち着きを与える。

・・・

しばらくたつと上の階からパタパタと4人が降りてきた。

「なんじゃい狩人よ、折角の若夫婦が旅先で寝床をともにしとらんとは。

いかんのう、嫁さんをほったらかしとってはその内すてられちまうぞい」

貴方は昨晩、女武道家とお楽しみでなかった事を鉱人にたしなめられた。

貴方は彼女の嬌声は思ったよりも大きくて迷惑になるだろうから遠慮した。

特に後ろからの突きで獣のように乱れた。

そういうことを伝えると肝心の女武道家は顔を真っ赤にして部屋に閉じこもってしまった。

「うんうん、いや新婚夫婦とはいいものですなぁ。

反応が実に初々しい」

「ちょっと!ったくうちの男連中は本当にデリカシー無いんだから!」

蜥蜴僧侶と妖精弓手はそれぞれ相変わらずの反応をしている。

「ほら!あんたが責任もってエスコートするのよ!」

今日はどうするのだろうか?

ゴブリンスレイヤーは休むとしてもこの4人で遺跡の調査と掃討に当たるつもりだったが。

「なにいっとるんじゃ、狩人よ。

本来ならお主が一番重傷なんじゃぞ。

ここはお主も休んだ方がいいじゃろ」

獣狩りの狩人に休息など・・・夢で隠れ家に滞在すれば一瞬で済むのだが。

そう鉱人が言うとバァンとドアを開けて女武道家が階上からパタパタと出てきた。

「か、狩人さん!重傷って!?わ、わたし急いでポーション!?毒消しならたくさんありますから!」

慌てて飛び出してきた彼女を貴方は諭した。

確かに一撃食らったが輸血でもう完治した。

そもそも内蔵攻撃をすればリゲインと血の歓びで全快する。

ゴブリンの血肉は豚より臭いがポーションがわりだ。

「そ、そうですか。でも絶対に危険な目には遭わないでください。

また誰かを失うなんて・・・」

潤んだ瞳であなたに頼み込んでいる。

無論、そもそも貴方は悪夢こそ見れど死ぬことは無い。

死ぬことを受け入れなかったからこその貴方。

死などという容易い終わりが許されるはずもない。

ところで結局彼女も神殿に行くのだろうか?

「あ、ええと。

その・・・わたし結局ゴブリンスレイヤーさんにお礼もまだ言ってないし・・・

今言えなかったら・・・その・・・」

貴方は彼女の悪夢を考えた。

もし彼が間に合ったら?

彼女は未だに冒険者だったかもしれない。

あるいは犠牲になったのが女神官だったら、立場は逆だったかもしれない。

そうなっていたらここに貴方の赤子を孕んでいたのは女神官だったかもしれない。

誰にとっても過去と向き合うのは難しい。

哀れな家族、悲しいオルゴール。

だから豚を許しはしない。

全く、あなたと彼は似ている。

だから小鬼を許しはしない。

「行きます、お礼を言って・・・区切りをつけなきゃ」

女武道家の覚悟にあなたを含め4人は感心した。

小鬼を赦すな、貴方がたは一層決意も強くゴブリンスレイヤーを見舞いに神殿に向かうのであった。

 




彼は貴方の憧れ
狩りに優れ無慈悲でだが使命をもち血に酔ってはいない
彼はかつて英雄だった狩人たちのようだ

貴方は彼の憧れ
狩りに優れ無慈悲で血に酔っており、技は彼の及ぶところでない
貴方のような英雄が10年前にいてくれたらと彼は思う
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